2017年8月21日月曜日

柔軟性について科学が教えてくれること Vol.2
What Science Can Teach Us About Flexibility Vol.2

では、前回からの続きです。どのようにすれば前屈を深められるのでしょうか?

--------------------

相互抑制


結合組織のストレッチに加え、ヨガで行うことは、筋肉のリリースと伸長をさせるために神経メカニズムに働きかけることを目指しています。そうしたメカニズムの一つが「相互抑制」です。ある筋肉群が(主動筋)収縮すると、この自律神経に組み込まれた特徴が相反する筋肉(拮抗筋)を解放させます。ヨギたちは何千年にも渡ってこのメカニズムを使ってストレッチを促進してきたのです。

相互抑制を感じるためには、テーブルの前に座って、天板を優しく空手のチョップのように手の端で押してみましょう。上腕の後ろ側(三頭筋)を触ると固く力が入っているのを感じるでしょう。反対側の筋肉である二頭筋を触れば(上腕の前にある大きい筋肉)、弛緩しているのが感じられるはずです。

パスチモッターナサナでも同様のメカニズムが働きます。ハムストリングスが弛緩し、反対にある四頭筋が使われています。

テネシー州ナッシュビルの整形整体セラピストのデビッド・シアーは、患者の可動域の向上を安全に行うために相互抑制の理論を利用しています。ハムストリングスの柔軟性を上げるためにシアーの元を訪れるなら、彼は腿前面の四頭筋を鍛えハムストリングスの弛緩を促すでしょう。そして、ハムストリングスが最大に達すると、今度は荷重をかけてアイソメトリック、あるいはアイソトニックのエクササイズで強化するでしょう。

ナッシュビルにある「ヨガルーム」の、アイアンガーヨガのインストラクターであるベティ・ラーソンも、パスチモッターナサナで生徒らのハムストリングスをリリースさせるために相互抑制を理論を利用しています。

「生徒たちに四頭筋を収縮するように促すんです」と、ラーソンは言います。「脚の前面全体を持ち上げると、脚の背面は緩みます」ハムストリングスと背中を鍛えるために、彼女のクラスでは後屈も取り入れています。ストレッチする筋肉を鍛えることは、大変重要なことだと彼女は感じています。多くのティーチャーたちのように、最近やっと近代化学で理解されるようになった生理学的原理を適用する古いヨガの技術を利用しているのです。

シーアによれば、彼女は正しいと言います。最善の柔軟性というのは、可動域と強さの向上の両方が必要だと彼は主張します。「役に立つ柔軟性なのです。受動的な柔軟性だけを向上させてもそれをコントロールする強さがなければ、関節の深刻な怪我をしやすくなってしまうのです」

パスチモッターナサナに戻りましょう。今度は、骨盤を軸にして上体を前に伸ばしたところを想像しましょう。ハムストリングスは大抵は固いことでしょう。もっと曲げたいのに深く曲げられず、頑張れば頑張るほどハムストリングスは固くなってきます。インストラクターが、呼吸を続けて、ポーズを続けるために能動的に使われていない全ての筋肉をリラックスさせるよう促します。

自分の最善を尽くすのを諦めます。ポーズをとりながら判断をせずリラックスすると、ゆっくりとハムストリングスが弛緩し始めます。

無理に曲げようとしなくなった途端に、頭がゆっくりと脛に近づいていくのはなぜでしょう?科学(そして古代のヨギたち)によれば、柔軟性を制限しているのは身体ではないのです。それは心であり、少なくとも神経システムなのです。

Credit: Yoga Journal

伸展反射


神経系を柔軟性を深めるための大きな障害であるとみる生理学者によれば、限界を超える鍵となるのは神経に備わるもう一つの機能である伸展反射です。柔軟性を研究する科学者らは、少し深められる小さな進歩(そしてヨガの練習で驚くほど向上する柔軟性)は、この反射を再訓練することが大きな部分を占めると考えています。

伸展反射を理解するには、冬の散歩をイメージすると良いでしょう。突然、氷の上に乗ってしまい滑って足が離れて行ってしまうと想像しましょう。すぐに筋肉が目を覚まし、両脚をそろえてコントロールを取り戻そうとします。神経と筋肉に何が起こったのでしょうか?

各筋繊維には筋紡錘と呼ばれるセンサーのネットワークがあります。それらは筋繊維に垂直に走っており、繊維の伸びる長さや速さを感じます。筋繊維が伸びると、これらの筋紡錘へのストレスが増加するのです。
このストレスが速すぎたり長すぎたりすると、筋紡錘は神経的緊急「SOS」を発して、反射ループを活性化させて即座の防御的収縮を引き起こします。

これは、膝のすぐ下の靭帯を医者にゴムのハンマーで叩いた時、急に四頭筋が伸展するのと同じことが起こっているのです。この急な伸展が四頭筋の筋紡錘を刺激し、脊椎に信号を送ります。その後すぐ、神経ループが四頭筋の収縮で終わり、よく知られている「室外反射」を作り出すのです。

このように伸展反射は筋肉を守ります。そのため、専門家はストレッチの際に弾みをつけないように注意を喚起しているのです。ストレッチに弾みをつけると、筋紡錘が刺激されて反射的緊張を起こすため、怪我の確率が高まってしまうのです。

ゆっくりと安定したストレッチも伸展反射を引き起こすのですが、それは急なものではありません。パスチモッターナサナで前屈すると、ハムストリングスの筋紡錘が抵抗を生み、進展させようとしているまさにその筋肉の緊張を作り出してしまうのです。そのため安定したストレッチで柔軟性を高めるためには時間がかかるのです。筋紡錘のゆっくりとした調整を通して、神経ブレーキがかかる前により強い緊張に耐えれられるよう訓練することで、柔軟性が高められるのです。





(またまた次回に続きます)
(出展)https://www.yogajournal.com/practice/what-science-can-teach-us-about-flexibility

2017年8月8日火曜日

柔軟性について科学が教えてくれること Vol.1
What Science Can Teach Us About Flexibility Vol.1

今回はストレッチについての最新の科学研究についてです。
ヨガといえば、というくらいヨガではストレッチをたくさん行いますが、そのとき体に何が起こっているのか、何に効くのか、改めて科学の立場から見るのも面白いですね。
-------------------------------------------------------------------------

近年、何世紀にも渡るヨギの知識を生物医学研究が調査、評価を始めた:

ストレッチは私たちをしなやかに、若々しく、そして健康にする


もしヨガをもう始めているとしたら、ストレッチの効果を感じるのに科学者や生理学者は必要ないでしょう。その代わり、アサナを深められる柔軟性の研究があるなら教えて欲しいと思うでしょう。例えば、前屈をしていて脚の後ろが硬いと感じたとき、科学は何が起きているのか説明できるでしょうか?その知識はアサナを深めるのに役立つのでしょうか?

その答えはどちらも「イエス」です。生理学の知識により、体内の働きを視覚化しストレッチをしやすくする明確なメカニズムに焦点を当てることができます。脚の硬さが、骨格のせいかのか、結合組織が硬いせいなのか、怪我をしないように作られた神経反射のせいなのかを知っていると、最善の方法で行えるようになります。そしてもし不快な感覚が、怪我をしそうなのか、それとも単に新しい領域に入っていこうとしているだけなのかがわかれば、やり続けるべきかやめるべきかの賢明な選択を行えるようになり、怪我も防具ことができるのです。

さらに、新しい科学研究は、ヨガの叡智さえも広げる可能性を思っているかもしれません。もしヨガに関連する複雑な生理学によりはっきりと理解できるのなら、身体を開くテクニックを洗練させることができるかもしれません。

Credit: Yoga Journal

なぜストレッチするのか?


もちろん、ヨガは私たちを柔軟に保つだけではありません。身体と心の緊張を解き、もっと深い瞑想へと誘います。ヨガでは、「柔軟性」とは心と身体を投じて変化させる姿勢なのです。

しかし西洋では、生理学的な「柔軟性」というのは単に、筋肉や関節を限界まで曲げる能力のことを指します。生まれながらに持っていても、ほとんどの人が失くしてしまう能力です。ネブラスカ州リンカーンのカイロプラクター、トーマス・グリーン博士によれば「私たちの生活は限定されていて座りっぱなしだ。だから、体がなまって筋肉は萎縮し関節も制限された範囲だけ動くようになってしまっている」

私たちが狩猟採取生活をしていた頃は、身体を柔軟で健康的に保つためのエクササイズを毎日していたのです。しかし現代では、座ってばかりの生活だけが筋肉や関節を制限している犯人というわけではありません。どんなに活動的な人でも、年齢とともに身体は水分を失い固くなっていきます。成人に達するまでに、組織の約15%の水分を失い、柔軟性を失って怪我をしやすくなります。筋肉繊維はお互いに癒着し始め、平行な筋繊維が独立して動くのを妨げる細胞の架橋結合が起こります。ゆっくりと柔軟な繊維がコラーゲンの結合組織とくっつき合い、どんどん動かなくなっていきます。この組織の通常の老化は、悲しいかな動物の皮をなめすのと同じプロセスです。ストレッチをしなければ、乾ききってなめされてしまうのです!ストレッチは、組織の潤滑液の生成を刺激することで、この乾燥のプロセスを遅らせるのです。互いに絡まった細胞の架橋結合を解き、健康的で平行な細胞構造で筋肉が再生するのを助けるのです。

ラクエル・ウェルチと小さくなった潜水艦のクルーが注射されて血管の中に入っていった陳腐な70年代のSF映画を覚えていますか?西洋の生理学がいかにアサナの練習に役立つかを本当に理解するのなら、深く潜って体内の冒険をし筋肉がどのように働くのかを調査しなければなりません。

筋肉と内臓ーひとつの働きのため統合された様々な特別の組織からなる生物学的な単位です。(生理学者は筋肉を三つに分類しています。内臓の平滑筋、心臓の特別な心筋、そして骨格の横紋筋です。が、この記事では骨のてこを動かす滑車である骨格筋だけを見ていきます)

筋肉の特別な働きとは、もちろん、収縮と弛緩で形を変える細胞の塊である筋繊維が作る動きです。筋肉群は協力し合って動き、交互に収縮とストレッチを正確で調整された流れで身体が可能な広範囲の動きを作り出します。

骨格の運動において、筋肉を働かせること(骨を動かすために収縮させる)ことを「主動筋」と呼びます。その反対(動かすために弛緩させて伸ばす)の筋肉を「拮抗筋」と言います。ほとんどすべての骨格の動きが、主動筋群と拮抗筋群の調和された動きに関係しています。動作解剖学における陰と陽です。

しかし主動筋を伸ばすストレッチは骨格の動きの半分に過ぎないにも関わらず、エクササイズの生理学者らの多くは、健康的な筋繊維の弾性を高めるのは柔軟性を高めるための重要な要素ではないと考えています。Science of Flexibility (Human Kinetics, 1998)の著者であるマイケル・アルターはによれば、現在の研究では各筋繊維は切れてしまうまでその静止長の150%まで伸びるそうです。この伸展性が、最も難しいアサナなども含めほとんどのストレッチで効果的に大きな範囲の以後きを可能にするのです。

筋繊維がストレッチの能力を制限していないのなら、何がしているのでしょう?実際にまにが柔軟性を制限していて何をすればいいのかについては、二つの科学的学説があります。まず一つ目は、筋繊維そのものでなく筋繊維をつなげ、包み、そして他の臓器と結んでいる細胞である結合組織の弾性を高めることに焦点を当てています。二つ目は、「伸展反射」と自律神経の機能に専念しています。ヨガはどちらにも働きかけます。なので、柔軟性を高めるにはとても良い方法なのです。


内側にある網


結合組織とは、身体の構造をまとめるのに特化した様々な細胞群を含みます。身体の中で最も多い組織で、その複雑な網が身体のパーツを繋ぎ、骨や筋肉、臓器など個々の構造に区分します。ヨガのアサナのほとんどは、こうした多くの組織にある細胞の質を向上し、動作を伝達し、筋肉に潤滑液と治癒物質を与えます。しかし、柔軟性の研究においては、三つの結合組織にのみ焦点を当てましょう。靭帯、腱、そして筋膜です。それでは、それぞれをさっと見ていきましょう。

腱は、骨と筋肉を繋いで力を伝えます。比較的硬いものです。そうでなければ、ピアノを弾いたり目の手術をするなど細かい作業を行うことは不可能になります。腱は大変強い張力を持つ一方、ストレッチにはとても弱いのです。ストレッチが4%を越えると切れてしまうか元に戻らなくなり、筋骨の結合が緩くなってしまいます。

靭帯は腱よりは少し安全にストレッチが可能ですが、そう大きくはありません。靭帯は骨と骨を関節の内側で繋いでいます。柔軟性を制限するという役割を担っており、概して靭帯をストレッチするのは避けなければなりません。靭帯が伸びると関節が不安定になり、それを補うために怪我をする可能性が高まります。これが、パスチモッターナサナ(座位の前屈)で膝を伸ばし過ぎずやや曲げて行う理由です。膝後方の靭帯(また腰の靭帯も)の緊張を解くためです。

筋膜は柔軟性に関わる三つめの結合組織ですが、これが最も重要です。筋膜は、Science of Flexibility によれば筋肉全体の重量の3割にもなり、筋肉の動きに対する総耐久力の約41%にもなります。筋膜は、各筋繊維を分けて働きのグループにまとめ、構造を作り力を伝えます。

関節の潤滑、治癒の促進、血流の改善、動きの改善などストレッチから得られる効果の多くは、筋膜の健康的な刺激に関係しています。柔軟性を制限するすべての構造要素の中で、唯一、安全にストレッチすることができるものです。Anatomy of Hatha Yoga の著者である解剖学者のデビッド・クールターは、アサナの記述の中で「内側にある網(編み物)の注意深い手入れ」だと述べています。

さて、この生理学のレッスンを、基本的ですがとてもパワフルなポーズに取り入れていきましょう。パスチモッターナサナです。

このポーズの名前は、3つの言葉からなっています。サンスクリット語の「Paschima」は「西」、「uttana」は「強いストレッチ」、そして「asana」は「ポーズ」です。ヨガは伝統的に太陽のある東を向いて行われてきたので、「西」は身体の後ろ側を指します。

この座位の前屈は、アキレス腱から脚の後ろ、骨盤、そして脊柱に続いて頭の付け根までの一続きの筋肉を伸ばします。ヨガの伝承では、このアサナは脊柱を若返らせ、内臓を活性化し、心臓や腎臓、腹部をマッサージします。

ヨガクラスで仰向けに寝て、パスチモッターナサナに入るため起き上がる準備をしていると想像してみてください。腕は比較的リラックしており、手のひらは膝の上。頭は快適に床に置かれて、頚椎は柔らかいけれど意識している。インストラクターがゆっくり上体を起こし、尾骨から頭頂まで伸ばすように指示する。負担をかけないよう注意して腰を伸ばし過ぎずに起き上がる。見えない糸が胸にあってそれが外へ上へと持ち上げながら(アナハタチャクラを開く)座位になるまでゆっくり腰骨を回していく。

先生が使うイメージは詩的なだけではなく、解剖学的にも正しいのです。前屈で最初に働く筋肉は、胴体の前に走る腹直筋です。心臓の真下、肋骨から始まり恥骨に繋がっているこれらの筋肉は、文字通りハートチャクラから前に引っ張る解剖学的な糸なのです。

胴体を引くため使われる2番めの筋肉は、骨盤から脚の前に走る腸腰筋です。胴体と脚を繋ぎ、腿の前にある四頭筋、脛骨の横にある筋肉まで繋がります。

パスチモッターナサナでは、身体の前面、心臓からつま先の走る筋肉が主動筋となります。前に行くために収縮する筋肉です。胴体や脚の背面にある筋肉は、反対(あるいは補完的な)の働きをし、前に行く前に伸びて解放されなければなりません。

さあ、前にストレッチしてポーズに完全に収まりました。最大のストレッチから少し戻って深く安定した呼吸をします。心は、身体からの微細な(もしかすると微細ではないかも)メッセージに集中します。ハムストリングスの心地よいストレッチを感じます。骨盤は前傾し、脊柱は伸び、各椎骨の間の空間が優しく広がったのを感じます。

それ以上あなたを無理させないよう、そして自分のペースでポーズを深めていけるように、インストラクターは今は黙っています。だんだんポーズが馴染んできて快適になってきます。おそらく、数分間パスチモッターナサナを行ううちに永遠に穏やかな彫像のような気分になるかもしれません。

このような練習では、ポーズを長くとって結合組織の可塑性に働きかけます。こうした長いストレッチは、筋肉を包んでいる筋膜の質を健康的で安定したものへと変化させます。理学療法士でアイアンガーヨガのインストラクターであるジュリー・グドメスタッドは、オレゴン州ポートランドの彼女のクリニックでこうした長いアサナを患者に使います。「短い時間なら気持ちの良い開放感を感じるわ。でも必ずしも柔軟性を永久的に向上させる構造的な変化が得られるわけではないの」

グドメスタッドによれば、結合組織の「基質」を永久的に変化させるには、90〜120秒のストレッチが必要だと言います。基質とは、コラーゲンやエラスチンなどのある繊維質の結合組織がある非繊維質でジェルのような物質です。基質は、結合組織を安定させて潤滑させます。また、この物質の制限が、特に年齢を重ねると柔軟性を制限すると考えられています。

彼女は、正しいポーズのアライメントと補助具を使い、患者が長期間の変化が作れるような長いアサナをリラックスして行えるようにしています。「痛みがないようにしています。そうすれば呼吸ができて長くストレッチができるからです」

Credit: Yoga Journal



次回に続きます。

(出展)https://www.yogajournal.com/practice/what-science-can-teach-us-about-flexibility

2017年8月3日木曜日

ホットで厄介:ホットヨガの嘘と歴史と科学 
Hot and Bothered: The Hype, History, and Science of Hot Yoga

ホットヨガのスタジオが、何年か前から駅前に多く見られるようになってきています。ヨガといえばホットヨガを連想する方も増えてきたようです。そんな中、ホットヨガに関する個人的な体験と感覚、そしてセラピーとしてのヨガを伝えている人間の一人としての思いがなかなか周りに伝わらないことがあり、もどかしく感じることがあります。
今回の記事は、歴史から科学的なアプローチを含めてホットヨガを洞察したものです。
----------------------------------------------

暖房したスタジオで行うヨガが初めて行われたのは、1970年代の日本に遡る。ビクラム・チョードリーが日本で教えていた頃、彼の生徒たちがお昼の休憩にサウナに入っているのに興味を持った。そして、彼のヨガ・ルームで温めたクラスを試し始めた。

当初ビクラムは、彼の故郷であるインドのカルカッタの温度に似せて、約28℃に温度を設定していた。クラスの生徒たちは、温度を上げると汗をかいてもっと頑張り、汗をたくさんかくと良い運動をしたと考えることに彼は気づいた。そしてもう少し温度を上げた。そしてもっと。今日のビクラムヨガは40℃に上げた部屋で行われている。
1980年代のホットヨガ・ブームはハリウッドで始まり、その頃ビクラムは裕福な有名人たちのためのヨギだった。性的虐待を申し立てられるまで、ビクラムと彼の類を見ないヨガブランドは大人気だった。今や、ホットヨガの実践者たちは、その輝きをあっという間に失くしてしまった大胆なグルと距離をおきながら、大好きなその練習を続けられる方法を探している。

ビクラム以前にヨガクラスを暖房した部屋で行ったという記録はないが、変化のある癒しの環境を作るために熱を利用した例は数多く存在する。実際、アーユルヴェーダでは、一般の健康維持や風邪の治療のため、スチーム・バスで発汗させる。
マヤのテマスカルからトルコ風呂やフィンランドのサウナまで、健康や変化のために汗をかくことは、世界のほとんどの文化に共通していることだ。世界中の発汗の習慣と比較してホットヨガが興味深いのは、伝統的な知識が伴わないということ。ナルシスト的な傾向のある競泳水着を着た億万長者以外には、ホットヨガを始めた権威はいない。


ホットヨガの始まりとは?


裸でドレッドヘアのヒンズーの賢者(霊的探求を求めて全ての世俗的関係を放棄した人)が、火のついた牛の糞の山の真ん中に座っている。インドの日中の太陽はとても強く、「狂った犬か英国人」以外は日陰へと逃げ込むほどだ。しかし、このヨギは火に囲まれ太陽の熱の下に座っている。熱と煙は、パンチャグニ・タパスと呼ばれる苦行のひとつである。火へ供物をし、マントラを繰り返し、瞑想の修行を行う儀式である。

現代のホットヨガの原型を探るとすれば、このパンチャグニ・タパスがそうだと思われる。熱は決意を試すものであり、意志の力を増大すると言われている。ホットヨガの始まりは、苦しみを故意の不快を通して超越することを目指した苦行だったのだ。

パンチャグニ・タパスは、アサグニ・ホトラ(火の捧げ物)と知られるインドではありふれた極端な例のひとつだ。火の捧げ物は普通、マントラを唱え火の番を儀式的に行うヴェーダの司祭らとともに日の出と日の入りに行われる。
パンチャグニ・タパスのような激しい苦行は、今日のインドでは一般的には批判されている。アート・オブ・リビングの創設者、シュリ・シュリ・ラヴィ・シャンカールの言葉を借りれば「体をこのように痛めつけるのは間違っており、行うべきではない」

一般的でもなく広く行われてもいないにも関わらず、苦行はヨガの歴史の中では大変よく見られる。ヨギといえば、釘のベッドに寝たり、長時間立ち続けたり、生き埋めにされたり、性器を木の棒に巻き付けたりさえすることで長く知られてきた。とても風変わりに聞こえるかもしれないが、これらの苦行は全て一つの目的のためにある。意志力を強め、快適で楽な人生に向かいがちな傾向に打ち勝つためだ。
初心者はこうした苦行は行わない。苦行は、とても儀式的で管理された環境で行われる。ガンジス川の岸辺にいるドレッドヘアの賢者のところへ行って、ちょっと性器の巻き方を教わる、ということなどできないのだ。修行者の文化に長い間たっぷり浸かって初めて、誰かが高度な苦行を教えても良いと考えてくれるようになるのだ。

一方、ホットヨガは、潤った人なら誰でも1時間15ドルで行うことができる。この伝統を持たないということが、派閥的実践者ら(一定の派や系統の中で実践する人たち)からはヨガの雑種だと見られることがある。しかし、伝統の境界を取り除くことで、ヨガはより民主的で、より接しやすい、またより革新を受け入れるものへと変化してきた。しかしホットヨガの恩恵には代償が必要だった。


伝統的な知恵のない儀式


2009年、アリゾナ州セドナで行われた「スピリチュアル・ウォリアー(戦士)」リトリートに参加した2人が死亡した。彼らは二日間の断食を行なった後、ニューエージのグルでありモチベーション・スピーカーのジェームス・アーサー・レイが経営する発汗ロッジに入った。他の18人は入院した。深刻な脱水状態に陥った参加者らは、発汗ロッジの中でより善く強い人間になるために限界を超えろと指示されていた。

レイは、過失致死に問われ二年間を刑務所で過ごした。出所後、彼は自己啓発の協会に戻り、現在はセミナーを行ったり講演をしたりしている。

この話は、スピリチュアルな発見の海にいる船乗りたちにこう注意喚起している。文化的な裏付けや指針のない激しい修養は健康を害する危険を伴う。(発汗ロッジと同じ)ホットヨガの明らかな危険性は、熱性疲労である。エクササイズによる内部で作られた熱と外部で作られた部屋の熱の組み合わせが、めまいや吐き気を引き起こし、幻覚、失神にいたることもある。


暑い部屋で指導するヨガ・ティーチャーは、熱性疲労に関する症状を意識するべきだが、より重要なのは生徒がいつでも快適な、必要な時は暑さを取り除ける環境を作ることだ。高体温の症状があるのにも関わらず、競争心や順応したいというプレッシャーから生徒が部屋から出ないことがよくある。これは、何よりもスタジオの総体的な「雰囲気」のせいなのだが、これこそが親しみのあるくつろいだ場所でヨガを行う理由でもある。


ホットヨガの嘘を暴く


インターネットで最新の科学研究を閲覧できる人間なら誰でも戸惑うのだが、ホットヨガの支持者は体を「デトックス」する効果があるといつまでも主張し続けている。ビクラムヨガ(世界一のホットヨガのフランチャイズ)のオフィシャルサイトでは、「汗をかくと不純物が皮膚を通して身体の外に排出されます」と掲げている。モクシャヨガ(カナダのホットヨガのフランチャイズ)のオフィシャルサイトは汗をかくことが「体を無毒化する」と主張している。

水、塩、マグネシウムを毒だと考えなければ、汗が体から不純物を排出するという根拠は全くない。体は浄化に関しては素晴らしいシステムを持っている。腎臓、肝臓、そして(少しだが)腸である。発汗は浄化システムではない。冷却システムだ。

ホットヨガに効果が全くないと言っているわけではない。高い温度に晒されると血流がよくなり筋肉が弛緩することがわかっている。ホットヨガは、温かいお風呂が素晴らしいのと同じ理由で素晴らしいのだ。どちらも気持ちがよくなる。

ホットヨガに関することで、現在研究中であるまだ未知の領域もある。ダーマシジンと呼ばれる自然の抗生物質が汗に含まれているとわかっている。ダーマシジンは現在、結核やMRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)のような強い超細菌に対する治療法として研究中だ。

ダーマシジンが最もよく働くのは、汗がすぐに蒸発せず皮膚の表面にとどまっているときだ。これは、昔のハタヨガでは、練習中は汗を拭かずに肌に擦り付けておいた方が良いと言われてきたことを裏付ける。

また、高温にさらされると、体内のリンパ液の流れが良くなることもわかっている。これが、リンパ節を手術で取った者にホットヨガを勧められない理由である。濾過するリンパ節がないと、リンパ液流の上昇が四肢の不快な腫れ(リンパ浮腫)に繋がる。しかし、通常ではリンパ液流の上昇は免疫系を助け、体の修復や治癒を高める。

おそらく、ホットヨガ科学の中で最も興味深いのが、温熱コンディショニング(熱の中でエクササイズする)と呼ばれるものだろう。温熱コンディショニングの研究は、生物医学研究者であるローンダ・パトリック博士によって進められていて、暑い部屋を使って暑さに慣れることは、耐性と筋肉の両方を増強すると証明されている。そしてその結果は、温熱コンディショニングが成長ホルモンと熱ショック蛋白の生成を高めることを示唆している。筋肉の成長と修復を強化するのだ。また、パトリック博士は、この熱への順応が「ランナーズハイ」と知られるものを作り出すと主張する。よいホットヨガのクラスでは、愛好者たちは特別なヨガの幸福感を感じるだろう。


ホットヨガの未来


ホットヨガには、系統も伝統的な管理者もいないため、その実践者らが未来を決めることになる。ホットヨガが、その深い瞑想的苦行へと戻る可能性もある。また、ビクラム・チョードリーの立ち上げた方向へ進み続けるかもしれない。聖なる場所というよりはジムのような場所で、自らの内面へ向かわずワークアウトのような実践をし続けるかもしれない。

最終的には、ホットヨガの未来はヨガ全体の未来に関係してくる。この100年間にヨガはより一般的になった。公の目から遠く隠された秘密の伝統だったものが世界中で広く知られ行われるようになった。この、一つの権威から分断することは危険性を孕んでいる(セドナの死亡事件など)。しかし、たった一つの権威というのも危険である(無節操なグルたちの手による虐待など)。

ヨギたちのごとく、我々も自らのカルマを作っている。もっと極端で苦しく、過激な形のヨガを探しているとしたら、きっとそれを見つけることだろう。そしてそれは危険を伴うものだ。賢明で持続可能であり、健康な何かを探すなら、ホットヨガの未来はきっと安泰なはずだ。






2017年7月29日土曜日

更年期、その兆候とアーユルヴェーダ自然療法 Vol.2 
Menopause Age, Signs Of Menopause, Natural Menopause Treatments

ホット・フラッシュと寝汗


更年期に起こりうることを知っていたとしても、初めてのホットフラッシュには驚くことでしょう。更年期の約85%にのぼる女性がホットフラッシュを経験しており、数年続きます。ほとんど起こらず少し面倒だと感じるだけの人もいます。それ以外の人にとっては、ホットフラッシュは毎日のように起こり何年も続くのです。


ホットフラッシュが起こる原因


よく起こることにも関わらず、これはまだ医学的に解明されていません。現在の理論では、エストロゲンの減少により引き起こされ、体温の上昇だと視床下部が勘違いしていると考えられています。そして恒常性保持のため表面の血管を拡張させて汗が出るのです。もし本当にオーバーヒートしているのなら、これは適切な反応です。オーバーヒートしていないのなら、余分な熱が体内を巡り、ホットフラッシュとなるのです。

エストロゲンの減少に身体が慣れると、大抵は回数も強度も低下して来ます。閉経前にはエストロゲンのレベルが上下し、これが「エストロゲン不足」の状態を起こして何度もホットフラッシュが起こるのです。


寝汗


閉経期に起こる寝汗も、同じ原因ががあります。

閉経期の女性が朝起きるとパジャマや寝具が汗だくということがあります。寝汗は睡眠を妨げ、不安を引き起こし、ホットフラッシュや寝汗の原因ともなってしまいます。この悪循環は、米国や他の先進国の更年期女性のかなり高い割合で起こっています。興味深いことに、ホットフラッシュや寝汗は世界中の閉経期の誰もが経験することではないのです。こうした症状に悩む女性のいる場所で何が起こっているのかを詳しく見る前に、その原因を探りそれらを取り除くことから始めましょう。


アーユルヴェーダの観点


アーユルヴェーダの観点から見れば、ドーシャの体内のアグニのバランスが崩れることでこうした症状が起こると考えられています。閉経期へ移ることは、人生のヴァータの時期に入ることなのです。ホットフラッシュや寝汗は、この信号が誤解されているというサインで、大抵はヴァータドーシャによって起こります。しかし、通常は熱に関連するピッタは現れません。ピッタのバランスが崩れると熱くなったらそのまま熱い状態に止まります。ピッタが組織の深いところに保持されている女性もいますが、ホットフラッシュの症状は、保持された熱というよりヴァータに原因があることが多いのです。


肝臓


アグニは、消化の火と呼ばれますが、ここでは、消化器官の火と代謝の火のある場所である肝臓の両方をさします。消化器官のアグニが変動すると食物を消化するのが困難になりアーマが形成されます。アーマは不完全あるいは不適切な消化の有毒の副産物のことを言います。うまく対応する言葉がないのですが、アーマは通常、不規則なホルモン分泌や体内の組織、内臓、体系の損傷を起こす原因となります。

このアーマは、消化器官から肝臓へと食物の栄養とともに運ばれていきます。肝臓の体内での役割はとてもたくさんありますが、アーマを取り除くのもそのひとつです。肝臓は5つのアグニのある場所で、それらが摂取した食物を身体が使える形に変えることです。

アーマが消化管内に形成されるとそれが肝臓に運ばれ、肝臓が持つ無数の働きをする能力を弱めることになります。それによってアーマは血流に入り、最終的には身体中の組織や細胞へとたどり着くのです。細胞レベルでは、身体が内臓のホルモンに対し適切に対応する働きをアーマが弱めるのです。

ホルモンバランスが崩れる時、それはアーマが細胞の受容体をブロックしていることが原因である高い可能性があります。この場合、肝臓を見てみましょう。肝臓を健康に保つには消化器系が健康でなければなりません。この点では、アーユルヴェーダではシンプルなのですが簡単なことではありません。「食事と生活習慣を変えれば、やがて体内のアーマが全て取り除かれる」と言うのは簡単ですが、行うことは容易ではないのです。


消化が更年期障害に与える影響


消化管、肺、皮膚から体内に入ったものは、肝臓を通らなければなりません。しかし、もしそれらが不純物だったり、質の低いものだったり、あるいは量が多すぎると、肝臓は疲れてしまいます。外因性エストロゲンや化学物質など身体がエストロゲンと間違って反応してしまうものを多く含んだ食物は、より深刻な症状を起こします。

消化器官は何を、いつ、どのように食べたかに影響されます。食べたものが新鮮で、オーガニック、旬のものであれば、それらを質の良い組織へと変換することができるでしょう。使ったエネルギーに応じて、アグニが最も強い日中に食べることで、アーマの形成を少なくすることができます、穏やかな気持ちで意識を持って食事をすると、身体が食べ物を完全に消化するのを助けてくれます。

なぜ、米国のこんなにも多くの女性が更年期障害に悩まされているかわかるでしょう。ストレスもまた消化を妨げます。新鮮でオーガニックのものを食べていないかもしれません。季節外れのものを食べるために輸入された食品を食べる贅沢をしているかもしれません。多くの食物が売られていますが、大抵はそんなに体を動かしてはいません。片手に電話、または近くの画面を見つめながらなど、「ながら食べ」をしていることも多いでしょう。

更年期障害に対抗するために、消化の火のバランスを整え、効率的に毒素を排出できるよう肝臓をいたわり、血液やリンパに流れるアーマを取り除きましょう。簡単なことではありませんが、不可能ではありません。


更年期障害のための食事法


次は、食べるべきものとバランスを崩す避けるべきものを見ていきましょう。外因性エストロゲンは有機でないフルーツや野菜、肉や乳製品に含まれることがあります。有機のものを購入することは、農薬や除草剤、防カビ剤などのホルモンバランスを乱しうる物質に触れる機会を少なくする良い方法です。

使ったエネルギー量に応じて食べましょう。余分な食物を脂肪に変えるのを抑えるため、1日で消化できる分量だけを摂ります。脂肪細胞はエストロゲンを作るため、エストロゲン・バランスの乱れが長く続き、それが症状に現れます。つまり、たくさん体を動かした日はたくさん食べ、あまり体を動かしていない日は少なめに食べるということです。エストロゲンによる代謝促進がなくなるため、閉経期には多くの場合、規則的に月経がある時よりも消費カロリーが500カロリー少なくなります。つまり、閉経期の女性は500カロリー少なめに摂取するべきだということです。これだけでも、肝臓の負担を長期に渡って減らすことができます。


肝機能をサポートする療法


気づきを持って食事をすることが、身体が食べ物を完全に消化するのを助けます。アーユルヴェーダでは、健康的な食事のための多くの指針が存在しますが、それは全て、食事の間、自己に気づき今を感じるということにつきます。そうすることで、自然と食べ過ぎなくなり、消化の火を保つことができるのです。

肝臓をサポートするために、何をどのように「与えているか」に注目しましょう。オーガニックで自然なものを肌につけ、肝臓が取り除かなくてはならない化学物質を体内から排除しましょう。上記のように食べれば、肝臓を使いすぎることはありません。他に肝臓をサポートする方法は、日中は十分な水分を摂り、アルコールやコーヒー、砂糖の入った飲み物など熱をあげる酸性の飲み物は避けましょう。メインの食事を昼間にとり、日が沈んだら食べないようにします。そうすれば、就寝するまでの間、食べたものが消化される十分な時間ができます。夜は「肝臓の時間」と考えて、安心して肝臓が働けるよう、夜には肝臓に新たな負荷をかけないようにしましょう。

肝機能をもっと高めるには、寝る前にターメリックを入れたアロエベラ・ジェルを摂ります。おおさじ約2杯のアロエベラ・ジェルに大さじ1/4のターメリックと200〜250ccの水を加えます。これが、肝臓の熱をとるので、ホットフラッシュを鎮める効果がある場合があります。

アーマを血液やリンパから取り除くには、汗をかく必要があります。毎日、水を飲みながらのエクササイズを増やし、身体が毒素を排出するのを自然に助けましょう。身体に栄養を与えながら浄化するお茶も良いでしょう。

同量のフェンネル、クミン、カルダモン、コリアンダーシードで淹れたお茶が浄化を助けます。これらを混ぜたもの大さじ1杯を2カップの水で5分間煮出して冷まします。冷めたら漉して飲みます。血液やリンパのアーマを取り除いてくれます。

健康的な食事やライフスタイルに代わるハーブはありません。シャタヴァリやヴィダリ・カンドはフェトエストロゲンやプロゲステロンを含むので良いとされますが、この場合これら植物がある程度はホルモンバランスを整えてくれます。これらを含んだハーブなど、短期的に症状を緩めてくれるものを試しても良いでしょう。ホットフラッシュが起こりにくくなるかもしれませんが、もし原因が消化と肝臓にあると気づいたら、直接それらに対処する治療を行ってアーマを取り除く方が良いでしょう。




(出展)https://www.theayurvedaexperience.com/blog/menopause-age-symptoms-signs-treatments/

2017年7月22日土曜日

夏のアーユルヴェーダ 夏の健康習慣をレベルアップ 
Summer Of Ayurveda… Take Your Summer Wellness Regime To The Next Level

この夏、アーユルヴェーダの習慣を試してみましょう。感情や体、精神の完全なクールダウンとシンプルな食事とライフスタイルのヒントから、健康的な生活のための賢明な科学だとわかるでしょう。


バランスを見つけよう


アーユルヴェーダでは、健康とはバランスが取れていることです。人は皆、アーユルヴェーダのドーシャであるヴァータ、ピッタ、カパの3つの組み合わせでできています。バランスが取れていると、これらのドーシャは完全な健康状態になります。バランスが崩れると、症状が現れ始めます。放っておくと、症状は病気へと向かいます。

夏はピッタの季節です。ピッタは、「火」と「水」の元素でできています。ヴァータ(秋)は「風」と「空」、カパ(冬)は「水」と「地」でできています。夏には、太陽の熱が私たちの周りの環境と暖かく乾燥させます。私たちの内側もまた乾いて暖かくなります。では何に気をつければいいのでしょう?


夏の健康トラブル


夏は、発疹、もちろん日焼け、短気、脱水がよく起こります。潰瘍や胸焼けなどの消化に関する問題も起こります。他に消化不良、胃酸逆流、めまいなどがピッタの症状としてあげられます。全体的に、体内の熱であるピッタが増えるのです。感情的には、怒りやイライラ、欲求不満などが起こります。

健康であるために何をするべきでしょう?アーユルヴェーダの体質であるドーシャによって、アーユルヴェーダの食事やライフスタイルを行い、5元素のバランスを取りましょう。


夏のアーユルヴェーダの食事法


体質に関わらず、夏は涼しく保たなければなりません。ピッタを鎮静させる食事をしましょう。ピッタを鎮める冷やす軽食を選び、アルコールは避け、冷やして栄養のある飲み物で水分を取りましょう。消化器官に大問題を起こすスムージーはやめましょう。酸っぱい果物、発酵した飲み物や食物、そして辛い食物は身体をオーバーヒートさせます。

対策や冷やす飲み物としてアロエベラを試してみましょう。また、目のエクササイズをして疲れ目を落ち着かせましょう。

薔薇は夏のよいパートナーです。感情を落ち着かせ、様々な使い方があります。ローズ・ラッシーやローズペタル・ミルク(リンク先は英語です)を作りましょう。トウモロコシやオクラなどの季節の野菜を楽しみ、スイカで体を冷やしましょう。


夏のアーユルヴェーダの肌とボディのケア


鎮静効果のあるアーユルヴェーダのセルフ・マッサージでピッタ・ドーシャを冷やし、昼間の暑い太陽を避けましょう。夜の就寝前には足の裏を冷やすクリームを塗ってみましょう。

髪のケアをしましょう。ハーブを使った洗浄剤を使い、洗いすぎによる乾燥を防ぎましょう。




夏はリラックスと楽しみの季節です。頑張りすぎず、競争を避けてクールでいましょう!






(出展)https://www.theayurvedaexperience.com/blog/summer-ayurveda/

2017年7月19日水曜日

更年期、その兆候とアーユルヴェーダ自然療法 Vol.1 
Menopause Age, Signs Of Menopause, Natural Menopause Treatments, Hot Flashes, Night Sweats

シンガポールに住んでからどうも暑がりになった私ですが、そんな私に「更年期じゃないの?」という友人が多くいました。確かにそんな年齢になってきましたが、この暑がりはおそらく食べ物のせいではないかと思っています。かの南国では、ニンニク、ショウガ、チリを日本とは比べ物にならないほど摂取しますから。かなり辛いものも平気になりました。
とはいうものの、年齢に限らず更年期は誰にでもやってくるもの。知っておいて無駄ではないでしょう。今回は、更年期とアーユルヴェーダについてです。

-----------------------------------------

更年期っていつ始まる?


人によって異なりますが、女性の更年期は一般的に40代後半から50代半ばに始まります。
閉経は、卵巣機能の「自然な」停止であり、生殖ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンが減ることでわかります。
エストロゲンは、身体の組織の維持を助け、妊娠に向けて毎月身体の準備をします。プロゲステロンは、受精卵の着床のために子宮の準備をし、着床がなければ量が減り月経開始のきっかけを与えます。これがこの生殖ホルモンの働きであり、更年期の症状は月経がなくなるだけであることもあります。


若者指向の私たちの文化では、35歳を超えた女性にとって「更年期」ほど不安になる言葉があるでしょうか?更年期の始まりは恐ろしくできる限り遅らせたいものです。生体時計が時を刻み、更年期というアラームが鳴るのです。
自然に寄り添って生きていれば、この変化を恐れることはありません。年齢を重ねることに向き合う、人生のこの時期を喜んで受け入れるという能力を私たちは備えているからです。


40代、50代の女性にとって、更年期は究極の自由ととらえられるでしょう。出産を終え、子育て以外のプロジェクトに集中し、自分の時間を満足いくように自分のために使えるのです。


閉経とは?


閉経とは、卵巣の成長可能な卵子がなくなることで月経が自然に止まることです。卵巣は、その誘因ホルモンに反応しなくなり、エストロゲンとプロゲステロンが減少します。閉経すると出産はできなくなり、月経もなくなります。しかし、生理のある間にきちんとケアをしておけば、閉経による変化はそれだけなのです。

そのあたりの年齢になれば、そろそろ更年期かなと思うでしょう。更年期とは、大抵の場合、閉経の前後約4年くらいで、更年期の特徴的な症状を経験することがあります。閉経時は、卵子のエストロゲン生成が止まります。更年期になると、卵子がホルモンに反応しにくくなり、これが月経前後のあらゆる症状を起こします。月経が不規則になることが普通で、月経が少なかったり長期間だったりもします。月の周期に顕著な変化を感じないで更年期を終える人は、女性のたった1割以下なのです。

これらの生理学的な原因は、もちろんホルモンです。毎月剥がれ落ちる子宮内膜は、排卵前にはエストロゲン、排卵後にはプロゲステロンに応えて作られます。出産年齢の女性では、濾胞細胞が毎月周期的にこれらのホルモンを作ります。更年期には、この周期が乱れるのです。

不規則な月経で、卵巣が不規則に反応します。排卵が起これば月経があります。卵巣が脳下垂体ホルモンに反応しなくなれば、排卵もなく月経も起こりません。


更年期のサイン:不規則な月経


月経が減るのは、プロゲステロンの生成が減少するからです。プロゲステロンがあれば子宮内膜が厚くなり、なくなれば月経がはじまります。プロゲステロンのレベルが下がれば、内膜の生成が少しになり、よって量が減ります。

ある程度月経が長くなるのは、月経が不規則になるせいです。周期が乱れて排卵が行われないと、エストロゲンのせいで子宮内膜が作り続けられます。やがて卵胞が脳下垂体ホルモンに反応してその周期に達すると、次の月経はそれまで作り続けられていた内膜をはがすことになり、疲れを感じるほど長い月経になってしまうのです。

こうしたホルモン変化は自然であり、こうした生殖ホルモンの変化に対して身体がどのように調整していくか、食事や生活スタイルによって助けることができます。

アーユルヴェーダによれば、閉経は「ヴァータ」ドーシャが悪化する時期です。組織の不規則で不完全な生成は、ヴァータが関係している確かなサインです。月経の長期化はより「ピッタ」や「カパ」に表面上は関連しているように見えますが、不定期性の原因要素は、ヴァータです。

つまり、更年期の症状を管理するには、ヴァータ・ドーシャを管理することが不可欠だということです。ストレス、栄養不足、カフェインは、不規則な月経の3つの引き金であり、食事やライフスタイルで対応可能なのです。アーユルヴェーダ的なライフスタイルで、規則正しく適切なセルフケアを行っていれば、更年期の影響を小さくすることができます。毎日のエクササイズや自然に身を置くこと、そして瞑想は、よりよい食事を選ぶ土台とのあります。よい食物と健康的な食べ方で、栄養不足は解消できます。自然に身を置き、エクササイズをし、プラナヤマを実践すると、一日中刺激物を必要としなくなります。

有名なアーユルヴェーダのことわざがあります。「間違った食事をしていれば、薬は役に立たない。正しい食事は、薬を必要としない」食事と生活スタイルをちょっと変えることで、身体の他の部分のバランスを取るためにエストロゲンへの依存を転換することができます。これによってエストロゲンが急に減少することでおこる症状の重症度が下がります。

症状がもっと深刻な健康問題だと思われる場合は、必ず医師に相談してください。


更年期とアーユルヴェーダ


アーユルヴェーダはインドの古代からの自然療法で、ヨガとは姉妹関係にあります。アーユルヴェーダ理論によれば、私たちと周り全てが5要素(空、風、火、水、地)から成り、身体と精神の原理としての3つのドーシャとして表れています。これら5元素やドーシャが、多すぎたり少なかったりバランスが崩れると、病気になります。

異なるドーシャ

あなたの中には「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」ドーシャの組み合わせがあります。みんながそれぞれ、異なる比率でこれらを持っているのです。
  1. ヴァータは、風と空から成る。動き、創造、敏捷
  2. ピッタは、火と水から成る。知性、代謝、体温
  3. カパは、水と地から成る。身体の構造、癒着、愛、共感、堅実
アーユルヴェーダは、人生の各段階におけるドーシャの影響を示しています。それはどういう意味でしょうか?

幼少期、また成人早期は、カパ・ドーシャと呼ぶものに特徴づけられています。例えば、成長はカパの特徴です。成人期は、生産性などのピッタの性質に大きな影響を受けます。年配になれば、縮小などのヴァータの性質に影響されます。

各段階の後半は、次の段階のエネルギーが集められます。これは、成人早期にすべての人の身体と心に、ピッタ体質でなくても、ピッタが増えることを意味します。思春期のピッタ的反抗にこれを見ることができます。

女性が年を重ねると、30代から40代にはヴァータが蓄積され始めます。身体はまだピッタの段階で活発に生産的で、出産に対する十分な能力もありますが、ヴァータが少しずつやってきます。代謝の変化やエネルギーの変動などで身体の微細な変化を感じるはずです。

この微細なヴァータ増加の嵐に対応すれば、身体や精神、感情に大惨事を起こす前にヴァータを鎮静できます。これができれば、激変ではなく、自然な変化として更年期を過ごすことができるでしょう。

一日を過ごす間に、食事や睡眠、エネルギーなどの習慣を通して、ヴァータを鎮めましょう。


アーユルヴェーダの自然の更年期治療:食事、睡眠、エネルギー


他のアーユルヴェーダのアドバイスと何ら変わらないように見えるかもしれません。これらの基本に沿って過ごしていれば、ヴァータの蓄積を遅らせることは事実です。ヴァータを調整すると、否定的になるほどの鋭く圧倒的な変化ではなく、適応が可能な自然で緩やかな変化になります。思春期につける魔法の薬がないように、更年期を準備するための魔法の薬はありません。何がやってくるのか、その変化に準備する身体を作っていくと、無理なくその変化に乗れるでしょう。

以下の食事、睡眠、エネルギーの提案は、日常生活を良い影響を与える賢明なヒントです。


食事

  • 食事には特に気を付けて。未加工で新鮮、オーガニックのものを摂りましょう。
  • エストロゲン優勢になるものを含む可能性があるので、加工品やオーガニックでないものはやめましょう。
  • プラスチック容器に入った食物や飲み物を避けましょう。プラスチックはエストロゲンを模倣し正常なホルモンバランスを妨げます。
  • 意識して食事しましょう。
  • 食事を味わい、自らに栄養を与える時間を持てることを味わいましょう。これによって得られる栄養は高まり、神経が鎮静します。
  • 身体の声を聞きましょう。
  • 空腹時のみ食べ、空腹感がなくなれば食べ終わりましょう。アーユルヴェーダでは、満腹の75%を薦めています。
  • 代謝は少しずつ変化します。以前の食事量が必要以上の量になっている兆候を見逃さず、それに沿って調整しましょう。
  • 水をたっぷりとりましょう。
  • 朝、約400ml程度の白湯を飲みましょう。レモンを少し入れてもいいでしょう
  • 日中は水を少しずつ飲みましょう。
  • 湿り気のある食物を摂り、食事の時は少量のぬるま湯かお茶だけを飲むようにしましょう。


睡眠

  • 十分な睡眠を取りましょう。
  • 十分な夜の睡眠をとるため早寝をしましょう。
  • 眠りにつく時や眠り続けたい時にメラトニンのサポートを受けられるよう、少なくとも一時間前には電子機器の使用を止めましょう。
  • 寝室は暗く静かで快適にしましょう。安らかな睡眠が取れます。
  • コーヒーや砂糖などの刺激物、アルコールなどの鎮静剤を摂らないようにしましょう。
  • できれば戸外で、日中何らかのエクササイズを行いましょう。
  • 睡眠障害がある場合は、睡眠時間を取り戻すために瞑想誘導やヨガニードラのCDを聞きましょう。

エネルギー

  • エネルギーを温存しましょう。
  • 活動的な時は、食べたものからエネルギーを引き出します。そのエネルギーがなくなれば、蓄えたエネルギーを使います。疲れを感じる時は、そうしたエネルギー源が枯渇しています。エネルギーを使い続けると、アーユルヴェーダで言う生命力の蓄えであるオージャスが枯渇します。
  • エネルギーをどのように使うかを気にかけて、常に使うより少し多いエネルギーを蓄えるようにしましょう。蓄えたエネルギーでできることだけを行います。疲れたらやめましょう。日々を過ごすのに何らかの刺激物が必要なら、あなたの生命力の蓄えは枯渇します。
  • 日課を作りましょう。浄化、ストレッチ、呼吸、瞑想など効果的な日課で一日を始めましょう。
  • 気をつけましょう。日中の活動と休息のバランスを取りましょう。エクササイズを取り入れましょう。疲れて休息をとり、刺激よりも滋養をとっている時を意識しましょう。午後、エネルギーがなくなっているのを感じたら、短い散歩をして深呼吸しましょう。果物やナッツなど栄養の高い食物を摂りましょう。



次回に続きます・・・

(出典)https://www.theayurvedaexperience.com/blog/menopause-age-symptoms-signs-treatments/

2017年7月11日火曜日

<日記>ガムランでヨガ 

インドネシア、ジャワ島はジョグジャカルタ出身のガムラン奏者、
そしてワヤンクリの演者である茨木在住ユニット、Hanajoss さんと
ヨガとガムランのコラボイベントを行いました。
浄土真宗のお寺の会館をお借りしてのイベントです。

普段、週末のクラスは行っていないのですが、
お仕事の都合で週末しか参加できない方や、遠方の方など
初めましての方から、馴染みの顔まで多くの方にお集まりいただきました。

不眠症に悩まれている方、腰椎のすべり症と診断された方、
生理不順だったり、過敏性腸症候群だったり、
糖尿で高血圧、はたまたリウマチの持病をお持ちだとか。
全くの健康体!という方は逆に珍しいのかもしれません。

当日は、ガムランに合わせてマントラを唱えて心を落ち着けた後
プラナヤマで呼吸と気を整えて、少しずつ身体を緩めていきました。
緊張と弛緩を繰り返し行い、そのたびにリラックスが深まっていきます。
この方法は、シンガポールのインド人ドクターのもとで私が習得してきたもので、
実際に、様々な症状の方がその効果を感じられているのを目の当たりにしてきました。

また、ガムラン楽器の金属の周波数は脳をリラックスさせる効果があるそうです。
Hanajoss さんは、他に弦楽器と唄、シンギングボウルに、蛙や牛の声が出る楽器まで駆使されて、それはそれは素敵な温かいのんびりとした空間を作り出してくださいました。
インストラクションをしている私までもがどんどん心地よくなってくる感覚。

瞑想に近い形のヨガとガムランの音、相乗効果が間違いなくあったのでしょう。
すっかり寝てしまった方もいらっしゃいました。



約1時間はあっという間に過ぎてしまいました。
最後のSavasanaの後、「起き上がって一緒にマントラを唱えてもいいし、そのまま寝転がっていても結構です」と言ったところ、下のような状態となり・・・(笑)



静かに Closing Prayer を独唱した後、ガムランの音色にしばし耳を傾けました。
そもそも現地のガムランは、戸外や半戸外で行われ
寝たり食べたりお喋りしたりと、のーーーーんびりと聞くものだそうです。

普段のクラスでは、ポットにハーブティーを作っていって皆さんと一緒にティータイムをするのですが、当日は時間がなかったので
お土産にネパールのお茶とカルダモンをおすそ分けしました。




翌日、不眠症の方から昨夜はよく眠れたと感謝のメールをいただきました。
お金とか人気とか有名になるとかじゃなく、こんなことが本当に嬉しいと思うのです。
一人でも多く、悩みを解決したり楽しく平和に暮らすための、ちょっとしたお手伝いができればいいなと思うのです。

そしてこんな機会をもてたことに感謝です。
会場を貸していただいた方、演奏してくださったHanajossさん、
こういうヨガのありかたを教えてくれた先生がた、
好きなことを勝手にやらせてくれている家族に、
そして何よりお越しいただいた方々に。


2017年7月4日火曜日

ヨガとエネルギー 
Yoga and Energy

物理学者にとって、エネルギーとは運動の容量だ。運動とは、与えられた力によって物体が動くことのできる距離だと数学的には定義される。
とても退屈な定義だ。ヨガにおいてエネルギーはどのように働くのか、というのはずっと興味深いものだ。何に使われ、それをするためにどうやって得るのだろう?

さて、ヨガの視点から見たエネルギーを理解する簡単な方法は、「エネルギー 2-3-4」と覚えればいい。


エネルギーに関してヨガを通してできる2つのこと


ヨガの実践により得られる生理学的な効果は、エネルギー的に次の2つだと言える。
  1. スイッチを入れる
  2. 詰まりをとって流す
庭のホースに例えるといい。美しい森のアシュラムにヨガと瞑想のリトリートに一年間行ったとしよう。家に帰ってきたら庭はぼうぼうだ。注意して枯草を刈り、1年間庭に放ったらかしだったホースで芝に水をやる。蛇口をひねるが水は出ない。ホースに泥や虫が詰まっているのだ。そこで、君はホースにちょっとしたヨガをさせる。詰まりが取れて水が流れるまで、曲げたり捻ったりするのだ。
エネルギーを使うためには、繋がっている必要がある。ホースは、川岸のごとく水の流れに繋がっている。電線は電気の流れにつながっている。そして、身体もまた多くのものと繋がっている。電気的エネルギーのための神経、科学的エネルギーのための血管が存在するが、もっと微細な経路(インドのヨギはナディと、中国では経絡と呼ぶ)もある。これらが詰まっている時は、流す必要があるのだ。
これがヨガでやっていることだ。スイッチを入れてエネルギーの流れを刺激する。そして閉塞や障害を取り除いてエネルギーを流す。この閉塞をサンスクリット語では「グランティス」と呼ぶ。幸いなことにヨガはグランティスを打ち砕くことができる。


エネルギーの3つの使い道


ヨガではエネルギーを次の3つの働きに使っている。
  • 運搬
  • 変換
  • 伝達
物質は身体の中である場所から別の場所へと移動する必要がある。これがエネルギーの運搬機能だ。食べ物を摂り、その残余物を排出し、栄養を内臓から血流へと(そして全細胞へ)、または手足を動かしたりと運搬は大変な量のエネルギーを必要とする。

同様にエネルギーを要するのが変換に関する働きだ。身体は、食物の栄養と空気を燃料としてのグルコースに、またはあらゆる組織へと変換する必要がある。全ての細胞は、栄養をタンパク質、酵素、メッセンジャー分子へと変換する小さな工場である。そして変換されたものは必要な場所へと運搬される。

メッセンジャー分子とは、体内の伝達系の一部である。しかし、メッセージを伝達するのには電気信号などのさらに洗練された方法もある。そして伝達に使われるエネルギーは、運搬や変換に使われるものよりはずっと少ない。実際、このエネルギーを「微細」と呼んでいるのだから!

運搬や変換に使うエネルギーを計るのは、基礎代謝という形で見られるので簡単なことだ。熱は、こうしたエネルギー使用の一般的副産物で、身体がどれくらい熱を持っているかも体温計を使えばすぐわかることだ。しかし、伝達に費やされるエネルギーはかなり少ないので感知するのがもっと困難だ。

体内の様々な伝達系が理解がすすんだのは、他のエネルギー使用状況を把握した後だったのは当然である。医学のある新分野が、「細胞内シグナル伝達」というたったひとつの側面に割り当てられている。身体的ストレスや組織への圧迫がどのように伝達されるのかの研究が「メカノバイオロジー」と呼ばれている。「エネルギー療法」と呼ばれる分野もある。これらの医療分野は、細胞がお互いに様々な技術で伝達しあっているということを発見している。電気や化学物質、PHレベル、圧力、触覚、音、光や電磁場などだ。


スイッチを入れる4つの方法


ヨガのアサナで作るストレスや動きは、エネルギーの流れを刺激しその流れの詰まりを減らしたり取り除いたりしている。

動きやストレスは、微小な電流や電磁場を体内に作りだす(圧電気という)。また、メカノトランスダクションというプロセスを通し、筋膜から筋膜内細胞へと加わる身体的ストレスが、そうした細胞を刺激する信号を作り出す。筋膜内では、組織の治癒を助けたり栄養を与えたりするために、または瘢痕組織や癒着を解消するため、成長因子や酵素が活性化する。

スイッチを入れエネルギーの流れを刺激する東洋の4つの方法がこれだ。
  1. 鍼治療
  2. 指圧
  3. 気づきの移動
  4. 呼吸法
私はこれらの方法をサラ・パワーズから教わった。残念ながら、サラも私も生徒に鋭い針を刺すライセンスは持っていないし、ヨガで鍼を使ったりはしない。ほかの3つは間違いなくヨガでも使える。ストレスと圧力は伝達の形だ。ヨガをするときは、伸組織に与える長と圧縮のストレスを両方作り出している。こうした指圧は、細胞が反応する別の信号でもある。「感じているなら、やっていることだ」と言えるのだ。

マインドフルネス瞑想である気づきの移動は、ヨガの練習でよく行われるが、これの体への影響も測定できる。自分でやってみるとよい。1分間、手の親指の先に意識を集中する。1分後には、親指が感知できるほど温かくなっているだろう。意識は血管を拡張させ、集中した場所に多くのエネルギーを送るのだ。

呼吸は言わずもがな命である。しなければすぐに死んでしまう!古代の言語では呼吸は命と空気の両方の意味を持っている。ラテン語の Spiritusin は魂と息の意味であり、プラナも同様に生命力と呼吸という意味を持つ。呼吸は、酸素を送るだけでなく(細胞が燃料を燃やしエネルギーを放出するため)、呼吸自身が刺激となる。ゆっくりとした安定した呼吸を一定の場所に意識をもって行うと、そこのエネルギーの流れを強化することができる。もちろん、身体中に肺があるわけではないが、身体全体に張り巡らされた筋膜のネットワークがある。一呼吸一呼吸がそのネットワークにストレスを与え、集中していれば、それぞれのポーズの中でそのストレスをその場所に感じることができるのだ。


(出典)https://yogainternational.com/topic/practice

2017年6月29日木曜日

蜂蜜の伝統的な使用法 
Check out the Traditional Uses of Honey

アトピー体質の私は、子供の頃から「甘いものは摂らない様に」とお医者様に言われ続けていますが、昔は今のように白砂糖の代替品が多くはありませんでした。でも、蜂蜜はいつも家にあって、口内炎や火傷の時にはペタペタと塗っていた記憶があります。
アーユルヴェーダでも蜂蜜はとてもよく使われています。
今回はどんな使い方ができるのか、その効能は何なのかをみていきましょう。
-----------------------------------------

蜂蜜を健康管理のために使うのは、大昔から行われてきました。甘味料としてだけではない価値が今、見直されてきています。大昔のヴェーダ時代の人々は、蜂蜜を人間に与えられた最も優れた自然からの贈り物だと考えていました。現代の研究により、蜂蜜が特別な栄養や薬効を持っていることがわかっています。この記事では、古代の医師がどのようにまた何の目的で使われてきたかについてです。これは診断や治療に向けたものではありません。


蜂蜜の栄養価


蜂蜜の糖分はブドウ糖、果糖、しょ糖です。ブドウ糖は、糖の中で最も単純なものです。動物の血液中、果物や野菜ジュースの中に存在します。疲労によって作られる乳酸を
に置換される酸素を取り戻します。
果糖はブドウ糖よりも容易に結晶化し、組織に蓄積されます。しょ糖はブドウ糖と果糖が結合したものです。粘着性のデキストリンは少量のみ含まれるため、蜂蜜は消化しやすいのです。
最近の研究では、蜂蜜の花粉は、22種のアミノ酸、28種のミネラル、11種の酵素、14種の脂肪酸と11種の炭水化物を含みます。しかし残念なことに、商品化するさいの加熱によってこれらの栄養価はほとんどが失われてしまうのです。


自然の効能と治療特性:古代のアーユルヴェーダ書物から


蜂蜜は、最も上質の熱源のひとつです。エネルギーは主に、炭水化物から作られますが、蜂蜜は最も消化しやすい炭水化物のひとつです。デキストリンが含有されるため血流に直接入り、ほとんど瞬時にエネルギーとなります。
アーユルヴェーダ書物によれば、伝統的に蜂蜜は消化力の弱い人にとってよいとされています。蜂蜜を食べると、体内の内臓がよい反応をすると言われています。すべての病に対する多目的な薬として考えられているのです。
アーユルヴェーダ書物によれば、朝いちばんの白湯にレモン果汁半分とスプーン一杯の新鮮な蜂蜜を混ぜたものを飲むと、便秘や胃酸過多に効果的です。この蜂蜜レモン水を使った断食は、エネルギーや食欲を無くすことがなく肥満治療にとても効果があります。
蜂蜜とアルコールを混ぜて使うと、髪の成長を促すと考えられています。


蜂蜜と心臓


蜂蜜は消化しやすく分解されやすく、腸のガスを作らず腸の働きを促進するとてもよい甘味料です。食事に組み入れやすいため、アーユルヴェーダでは動脈硬化や心臓が弱っている際に勧められています。
心臓のようによく働く臓器が夜間のエネルギー不足を補うため、就寝前や夜間に目覚めた時に蜂蜜レモン水をとるとよいでしょう。心臓通や動悸には、伝統的なアーユルヴェーダの専門家は蜂蜜を推奨しています。


蜂蜜と貧血


主に鉄、銅、マンガンから成る体内のヘモグロビンを作るためには、蜂蜜はかなり優れた食物です。古代の書物によれば、蜂蜜はヘモグロビンと赤血球のよいバランスを保つため貧血の治療に有効です。


蜂蜜と肺の健康


古代のアーユルヴェーダ専門家らは、蜂蜜は、肺の健康を支援し肺がバランスを崩した際の治療にとても有効だと考えていました。アーユルヴェーダ書物によれば、喘息患者の鼻の下に蜂蜜を瓶を置いて吸気させると、空気が蜂蜜を含み、呼吸が楽に深くなります。その効果は約一時間持続します。
アーユルヴェーダによれば、これは蜂蜜が「高濃度」のアルコールとエーテル油の混合物を含むため、その蒸気が喘息患者にとって鎮静効果を与えるのです。蜂蜜の上を流れる空気を吸う、または食べる、または牛乳や水とともに飲むことで、大抵は症状を緩和します。呼吸器の疾患には一年置いた蜂蜜が推奨されています。


蜂蜜と皮膚


アーユルヴェーダ書物にはまた、怪我や痛みの治療に蜂蜜を外用する方法を記しています。蜂蜜は痛みを和らげ、消毒剤として働き治癒を促しますが、特に火傷や吹出物に効果的です。

蜂蜜と炎症性の咳


アーユルヴェーダ書物はまた、炎症性の咳の治療に蜂蜜はとても効果的だと述べています。鎮痛、鎮静剤として、気管上部の粘膜の炎症を鎮静させて、咳をや嚥下困難などの症状を緩和します。同じ理由で、様々な咳止め剤にも使われています。蜂蜜でのうがいもまた咳に有効です。


蜂蜜と不眠症


蜂蜜はまた、何世紀にもわたって不眠症の治療に使われてきました。熟睡させる催眠作用があります。就寝前、コップ一杯の水にスプーン二杯分の蜂蜜を入れて飲むとよいでしょう。蜂蜜を摂った後は、たいていの子供は眠りにつくと書物に書かれています。


蜂蜜と口腔疾患


蜂蜜は、口内の健康を保つのに有用であるとアーユルヴェーダ専門家らによって考えられています。毎日、歯や歯茎に塗布すると、歯をきれいにし艶を与えます。歯石沈着を防ぎ、虫歯や抜け歯を防止します。そのおだやかな殺菌力により、有害な微生物の成長を防ぎます。
また、血流を促進して歯茎の健康を整えます。口内の腫瘍に対しては、蜂蜜が治癒を早め、腐敗の進行、化膿性感染の悪臭や化膿を防ぎます。歯茎の炎症による歯肉炎には、蜂蜜水のうがいが大変有効です。


蜂蜜と眼


様々は眼病に対し、蜂蜜にはアーユルヴェーダで使用されてきた長い歴史があります。眼に毎日使うことで、視力を改善します。目のかゆみやトラコーマ、結膜炎などの治療に大変有効です。緑内障初期段階には、内用、外用の両方が予防に有効です。


蜂蜜と胃


アーユルヴェーダの専門家は、長い間、胃の健康を保つのに蜂蜜が効果的だと考えてきました。胃の調子を整え、消化を助け、胃の病気を防ぎます。胃酸過多を緩和し、吐き気や嘔吐、胸やけといった症状を防止します。
アーユルヴェーダの書物によれば、腐敗物や未消化の食物が消化器内に存在する際には、蜂蜜が下剤あるいは吐剤として働き消化器官をきれいにします。


蜂蜜と老化


文書はまた、高齢者の身体にエネルギーや熱を与えるのに蜂蜜が特に有効だと述べています。高齢者がよく抱える悩みである痰を切って粘膜をきれいにします。沸騰させたお湯を覚ましてぬるくした水コップ一杯にスプーン1,2杯の蜂蜜を入れると、爽やかで力の出る飲み物になります。



(出典)https://www.theayurvedaexperience.com/blog/traditional-uses-of-honey/

2017年6月24日土曜日

ヨガで癌の危険を小さくできる 
Minimize The Risk Of Cancer With Yoga

昨今、若くても癌で闘病中だったり命を落とされる有名人の報道が多いように思われますが、ましてや歳を重ねるごとにそのリスクは高くなるのは否定できません。
誰もが発症可能性のある癌に対して、ヨガは何ができるのでしょうか。
-----------------------------------------

ヨガの効能:癌の危険を低減する最善の方法


ヨガは、外見だけでなく心地よく感じられる最も効果的な運動のひとつでしょう。ポーズからポーズへ移りながら、周りの穏やかさや静けさを感じるはずです。ストレスや問題、痛みでさえ、ただ消えていきます。アサナの素晴らしい健康効果を裏付ける多くの研究があるのは当然のことでしょう。よく知られている効果もあれば、あまり知られていないものもあります。例えば、ヨガが多くの形で癌を防いだり対処することができると知っていましたか?そう、本当なんです!

ヨガは免疫を強める

強い免疫力は、冬の風邪などのウィルスをかわすためだけに重要なわけではありません。健康で(そして幸せで)いたいのなら、免疫力を付けることが必要なのです。どうして?それは、身体の全ての機能が正常に働くようにすることが、第一の目標だからです。機能しないシステムがあればほかの機能に影響してしまいます。そうやって病気になったり、癌のような重篤の病気を発症してしまうのです。

では、ヨガがどのように身体を強くして癌を防ぐというのでしょう?答えはシンプルです。様々なアサナを実践することで、免疫に作用するストレスホルモンのレベルを下げるのです。またヨガは、肺や気管によい効果があります。さらにこの古代の叡智は、おそらく多くの人が知っているように、デトックスに最適です。身体から毒素を出して、毒素が溜まって健康問題を起こすのを防ぐのです。

防止するだけでなく、ヨガはこの重病と闘っている人たちにも役立ちます。もちろん、癌を克服するのにはポーズ以上のことが必要ですが、このゆっくりとした運動が回復に必要となる浄化、持久力、弛緩全てを与えてくれます。また、癌の治療に大きな影響を持つ肯定的な考え方ができるようになります。


ヨガは血圧を調整

世界中の何百万人もの人が高血圧症です。高血圧が心臓発作や脳卒中など循環器疾患の危険を上げることを知っている人は多いでしょうが、癌発症の危険も高めることをご存知でしょうか。ヨガは、この悪い状況を緩和する素晴らしい方法です。様々なポーズを行うことで、身体が深くリラックスでき血圧を調整します。リラックスすると、神経活動が穏やかになり、幸福感が増してストレスが減少します。また、ヨガは体内の動脈を柔軟に保ち、健康的な血液循環を促進けます。


体重管理

肥満は、身体に悪いだけでなく癌などの重病のリスクをあげます。例えば、肥満の人は健康的な体重の人よりも、乳癌、大腸、直腸、膵臓、子宮内膜、食道、肝臓の癌になりやすいのです。

ヨガはこの点においてかなり過小評価されていると言えるでしょう。数キロ落とすのに「ヨガを定期的に行いましょう」という情報はみかけません。が、体重を減らすのにはとても効果的な解決法です。そんなに汗もかかないのに、そんなことできるの?と思ったかもしれません。ヨガで体重を減らすというのは、食べ物から得るより多くのカロリーを消費するということではないのです!異なるアプローチ、例えば体重減少に必要な消化促進や、毒素の排出、健康的な食事をするようになるなどです。ヨガが柔軟性や体力を強化することも忘れないでください。それによってすぐに疲れることなく他の運動もできるようになるのです。そのうえ、ヨガでストレスが解消すると、ストレスのために食べ過ぎる傾向のある人が減量するのに特に重要である「やけ食い」をしなくなります。


ヨガは炎症を抑える

身体の炎症は、癌を含む多くの病気の原因になります。結腸癌、肝臓癌、前立腺癌、皮膚メラノーマなどは全て、けがやストレス、感染、ホルモンバランスの異常などへの身体の反応である炎症に関係しています。

ヨガは、炎症を促進するストレスを減らしたり、炎症を抑制、炎症性細胞を減少させることでこうした病気を防ぐ非常に素晴らしい能力を持っています。


まとめ

広範囲の健康効果のあるヨガは、何世紀も前と同じように人気なのは驚くに値しません。ベテランのヨギ達は、習慣的に行っているアサナのおかげで気持ちがよくなっていることを喜んで認めることでしょう。もしヨガをしていないのなら、今こそ始めるときです。多くの病気を防ぎ、癌を防いだり対処するのに役立ったり、健康になれます。そして、もっと幸福感を感じられもっと自信に満ちていくでしょう。


(出典)https://www.yogitimes.com/article/minimize-risk-cancer-yoga-health

2017年6月15日木曜日

ホリスティック・ヒーリングとしてのヨガセラピー 
Using yoga therapy as a holistic healing technique

古代から病気を治すために人はヨガを使ってきた。
しかし、ホリスティックな治癒の技術としてのヨガの効果に人々が気付いたのはつい最近のことである。ほとんどの人がヨガの身体的効果のみを認識しており、ホリスティックな効果を重要視している者は少なかったからだ。現代の行き詰った生活のせいで問題を抱え始めて初めてヨガを治癒システムとして理解したのだ。


ヨガの癒しとは


ヨガは病気を治すためだけではなく、人を癒すことができる。例えば、ヨガは高血圧を直接的な問題として取り上げるわけではない、それよりもストレスや肥満など高血圧の考えられる原因全てを考慮に入れて対象にすることで、血圧を自然に正常値に戻す。同じことが不整脈にもあてはまり、ヨガは不安を癒しストレスに対処できるパワーを与えるので、あっという間に不整脈がなくなっていることに気付くのだ。


ヨガのホリスティックな特性がヒーリングには必要


ヨガを優れたヒーリングにしているのは、ヒーリングを助ける精神力を使うという特質だ。ヒーリングとしてのヨガは、根本原因ではなくその症状のみに働きかける理学療法や医学的療法よりも勝る。一方で、ヨガは患者が問題の根本原因に達するのを可能にし、ホリスティックで効果的な方法で病気を消失させるのだ。

今日の身体的な病気の多くは、生活のなかのストレスに関係している。腰痛、偏頭痛、首こりや筋力低下などだ。医者に行くと、その症状に合わせて薬が処方される。薬で痛みや不快はしばらくは消えるが、またすぐに戻ってくる。その理由は、医者は根本原因を気にかけてはいないからだ。



ヨガの鎮静と高揚の効果


一方で、ヨガは身体全体をまず鎮静させてから、大きな問題に取り組んでいく。鬱や不安症ならば、ヨガは薬のようにすぐに深いを取り除いてはくれないが、心を落ち着かせ和らげる練習であり、やがては病気を取り除いてくれる。ヨガは痛みから注意をそらせ、よりよいコンディションに心全体を集中させるのだ。


ヨガは楽観的になることを教えてくれる


呼吸と瞑想を求めるヨガの実践は、人を自信と高い自尊心で満たす。これらの性質を持っている人は不安や鬱には絶対にならない。大変な状況に対処できるという自信は、どんな状況でも緊張したり不安になったりしない人間にする。

ヨガは人生の肯定的見解を教えてくれ、それはヒーリングの過程の基本原則となる。肯定的であればあるほど心地よく感じ、高揚した気分そのものが様々な病気を遠ざける力強い治療薬なのだ。


ヨガセラピーはホリスティックな方法で病気を治す


ヨガセラピーは、その症状にも原因にもどちらにも働きかけるので、ホリスティックな方法で病気を治す。そのように力強く不思議なセラピーは外科手術さえする必要をなくす。だから、資格のある充分な経験をもったヨガセラピストを探すべきだ。
ヨガセラピストや施設を見つけ、そのセラピーを本気で受け、どんな効果があるか体験してみよう。ヨガセラピーは、ただ病気を治すためだけでなく、内面から人を癒すことができるのだ。


(出典)http://drprem.com/wellness/using-yoga-therapy-as-a-holistic-healing-technique/

<日記> 当たり前のこと

隔週で70〜80歳代の方々を対象にシニアヨガを行なっています。
あくまで高齢者なのでハードなアサナは行いませんが、
参加者の方々がまあホントにお元気なので、そんなに特化しないクラスにしています。

が、先日、ブロックとベルトを使って胸を開くポーズを試したところ
おそらく高齢者でなければなんでもないことに
ものすごく時間がかかってしまいました。
ベルトをかける位置、左右の腕の位置、ブロックを置く位置の調整。
ひとつひとつご説明したつもりでも、やっていただきたいようにできた方はたった1人。
結局、1人ずつお手伝いをしてやっと、という感じで。

そうなんです。
シンプルなこと、これまでやったことのあることは結構すっとやられます。
多少複雑でも、多少筋力が必要でも大丈夫なんです。
高齢者って初めてやること、新しいことが苦手なんですね。
そして新しいことが複数になるとややパニックになられます。

老いるということは、当たり前だったことができなくなっていくことなんですね。
無理をしない程度に、脳を活性化できるように
身体のコーディネイションが向上するように心がけて行きたいと改めて感じました。
いい勉強になりました。

2017年6月11日日曜日

記憶力を維持する最善の方法 
The best way to protect your memory?

今回は英国のMailOnlineの記事です。
------------------------------------------------------------------------------

YOGA: Stretching and meditation are better at preventing from dementia than brain training games
ヨガ:ストレッチと瞑想は脳トレゲームよりも認知症予防になる


頭をシャープにするにはクロスワードやスウドクをするのがいいと長い間言われてきました。
しかし研究によれば、アルツハイマーに進むこともある知力の退化を防ぐ記憶エクササイズよりもヨガや瞑想の方が効果的なのです。

その研究では、ヨガを習慣的に実践している人は鬱や不安症になりにくくストレスにうまく対処できることがわかりました。
習慣的に実践することは、脳の健康を向上させ老化を防止する簡単で安全、安価な解決法だと研究者らは言います。

名前や顔を忘れたり、約束を忘れたり、物を失くしたりするなど記憶の問題を抱える55歳以上のボランティアを25人集めました。
二組に分け、記憶エクササイズをする組とヨガや瞑想をする組を作りました。

3か月後、どちらの組も同様に、名前や単語リストを覚えるのに使われる言語記憶が向上していました。しかし、このスピリチュアルな方法は、視聴覚記憶が強化されるという形でさらなる効果を示したのです。
この能力は、歩いたり運転する際に場所を思い出したり道をたどることに関係し、不安を解消するのにも役立ちます。

参加者のうち11人は、毎週1時間の記憶トレーニングとクロスワードパズルからコンピューターの課題に至るエクササイズを行いました。
他の14人は週に一度1時間のヨガ、そして家で毎日の20分間のキルタン・クリヤ瞑想を行いました。

アデレイド大学、研究主任のハリス・エアは「歴史的に、また逸話的にヨガは老化防止に効果があると考えられてきましたが、これはその効果を科学的に示しました」
「伝統的な叡智を、医師が患者にそのセラピーを薦めるのに必要になる高いレベルの証拠へと変化させているのです」

その研究で使われた「クンダリニ」と呼ばれるヨガは、呼吸、瞑想、チャンティングとともに、体力や柔軟性を向上させるように作られたポーズに焦点をあてています。
このヨガは、チャンティングや手の動きを伴い光を思い浮かべるキルタン・クリヤ瞑想を含み、老年者の知力退化を防ぐために何百年もインドで行われてきました。

12週間後、ボランティアのどちらの組にも同様の言語記憶の向上が見られました。
しかし、ヨガ・瞑想組には著しい視聴覚記憶が向上したのです。

感情障害が認知機能障害と関係するため、心の充実感は重要なのだと研究者らは言います。
「物忘れをするとそれに対してとても不安になり、それが鬱につながりかねない」と、共同研究者のUCLAのヘレン・ラブレツスキーは言います。

脳活動の変化に関係する記憶力の改善は、脳の機能的MRIでモニターされました。

どちらの組にも脳細胞の結合に変化が見られたのですが、ヨガを実践した人にだけ著しい変化が見られたのです。ラブレツスキー教授によれば「もしあなたや家族が記憶力を向上させたり認知症や物忘れがひどくならないようにしようとするのなら、脳の健康を向上するためのヨガや瞑想の習慣的な実践が簡単で安全、安価な解決法になるでしょう」

この研究は、アリゾナのタスコンにあるアルツハイマー研究予防基金が出資し、Journal of Alzheimer's Diseaseに発表されています。


(出典)http://www.dailymail.co.uk/health/article-3583038/The-best-way-protect-memory-YOGA-Stretching-meditation-better-preventing-dementia-brain-training-games.html

2017年6月9日金曜日

3つの呼吸法とその効果 
Three Pranayamas and their Ayurvedic / Psychological Effects

ヨガの呼吸法は、呼吸に注目することで精神を集中させるだけでなく、自律神経に働きかけ身体の状態を調整する効果があります。
今回の記事では、呼吸法のアーユルヴェーダ的な効果、精神的な効果、そしてそれをもっと効果的にするためのマントラ(声)について書かれています。
----------------------------------------------------------------------------------

ヨガの呼吸法、プラナヤマは身体のドーシャ(性質)に影響します。ヴァータのガス、ピッタの胆汁、カパの痰です。
プラナヤマはまた、以下の4段階の精神に特定の影響を与えます。

  • チッタ:無意識の精神、心の素質
  • ブッディ:知性。精神の代謝(マナシカグニ)を調整 .
  • マナス:心の感情面
  • アハムカラ:エゴ, ラジャスの力 (扇動、動機)

これらの精神の層にもいくつかのレベルがあると言われています。各層はサトヴィック(純粋、明確)、ラジャスティック(扇動的、情熱)、そしてタマシック(暗く、妄想的、無知)のレベルに分けられます。これらの層とプラナヤマについてお話ししましょう。

様々なマントラがどのように働くか理解するのに役立ちます。そして日常のエネルギーにどのように関連するかについて。こうした知識は、生物学的性質であるドーシャに影響を与える呼吸法を行うための指針となります。


I. チャンドラ(月の)・ベーダナ(左鼻孔呼吸)


これを行うには、右手の親指で右鼻孔を閉じ、右手の薬指で左鼻孔を軽く触れておきます。左鼻孔からゆっくりと息を吸ったあと、薬指で左鼻孔を閉じで右鼻腔から息を吐きます。ゆっくりこれを繰り返します。

やりすぎると、身体のスロータス(経絡)を詰まらせ、知性であるブッディの火を吹き消してしまいます。感情(マナス)のバランスを取り戻し、特に原動力となるラジャスティック(動機や落ち着かない)状態を落ち着かせます。しかし、エゴであるアハムカラの妄想的でタマシックな状態を悪化させる可能性があります。また感情のマナスをかき乱すこともあります。全体的に、以下のような激しく動き続ける状態を落ち着かせるのに役立ちます。

  • 不安
  • 不眠
  • ストレス
  • 怒り

このタイプの呼吸は身体を冷やしピッタ(熱、胆汁)を減らしますが、適したマントラは「シュリム(Śrīṁ)」または「ソム(Soṃ)」です。夏など暑い時期の月曜日にこうしたマントラを「オーム ソム ソマヤ ナマハ(Oṃ Soṃ Somāya Namaḥ!)」とともに唱えると、身体をもっと冷やし至福(ソーマ)の火を目覚めさせ、身体のカパ(痰)の火を増やして組織を養います。

これらマントラは、左鼻孔からの吸気で行えます。生命力であるオージャスの火を目覚めさせるため、「クリム(Klīṁ)」または「エイム クリム ソウハ( Aiṁ Klīṁ Sauḥ! )」を同じように唱えると、熱くて乾いた気候や環境でオージャスを乾ききらせてしまうヴァータを助けます。このプラナヤマは、安定性や体力、生命力に欠ける弱いヴァータタイプの人に効果的なのです。

心のクローダ(怒り)を減らすための素晴らしいプラナヤマであり、過剰な欲動やラーガ(熱情)があるときに効果的です。


II. スリヤ(太陽の)・ベーダナ(右鼻孔呼吸)


これは上にあるチャンドラ・ベーダナのプラナヤマ(月の呼吸)の逆になります。これを行うには、左鼻孔を右手の薬指で閉じ、右鼻孔を右手の親指でそっとふれておきます。ゆっくりと右鼻孔から息を吸ってから、薬指で右鼻孔を閉じて左鼻孔から吐きます。これをゆっくり繰り返します。

やりすぎると、動きのある攻撃的なラジャシックな性質を刺激しすぎてしまい、ブッディ(知性)、マナス(感情)、アハムカラ(エゴ)の火を燃やします。しかし、適切に使えば、純粋はブッディを目覚めさせ、無意識のレベルであるチッタを明確にし、タマシック(暗く鈍い、妄想的)な状態を取り除きます。精神的なアーマ(毒)をその熱で燃やすように、過去のネガティブな心の感情などをラジャシックな動きを投資て取り除くのです。

鈍く内向的、遅く落ち込んでいる時、または心の理解に欠けているときなど、知性の火を刺激し心が動き始めるのを助けてくれます。このタイプの呼吸は身体を温めて、秋など(チャンドラ・ベーダナでバランスが取れる)ヴァータ(風、痙攣、寒さ、固さ、エネルギーの欠如)を減らすため、またはカパ(鬱血、鈍さ、落ち込み、無気力)を減らすため、「フリム( Hrīṃ)」、「ハム(Huṃ )」、「ハウム(Hauṃ)」のマントラがよいでしょう。

冬など寒い時期の火曜日や日曜日にこれらのマントラを、「オーム フリム スリヤヤ ナハマ(Om Hrīṃ Sūryāya Namaḥ! )」と唱えると、太陽の火を呼び起こし身体をもっと温め(ピッタを増やす行動によって)、肺の過剰な痰を取り除きます。こうしたマントラは右鼻孔からの一息で唱えることもできます。

このプラナヤマは、心象であるヴァサナスの瞑想に適しており、熱や火(アグニ)とともに燃や上がるのです。


III. ウッジャイ・プラナヤマ(吸気時の喉の筋肉収縮による音を出して行う)


これは、精神のすべてのレベルに効果があり、感情であるマナス、特にエゴであるアハムカラのタマシックな暗い状態を解消するのに役立ちます。マナスのラジャシックで過剰な火を鎮静させ、精神の代謝といえる知性のブッディの火のサトヴィックで純粋な働きを覚醒させます。シッダ―サナ(成就者の座)やシャヴァーサナ(屍のポーズ)で行うとよいでしょう。

「フリム(Hrīṃ)」「ハム(Hūṃ)」などの熱を起こす特別なマントラを使って、特に冬など寒い季節に悪化する喉の痰を取り除きます。

粘液が多い時は「クリム(Krīṃ)」の乾燥させる性質を使い、ヴァータタイプのように乾いた喉には「シュリム(Śrīṃ )」か「クリム(Klīṃ)」を使って喉を潤わせ喉の乾いて岩がれた音を解消します。この火は問題を起こすほど強いものにはないと理解しておいてください。

このプラナヤマは、日常において混乱や動揺が多い時に静けさを取り戻すのに便利です。
ヴァータや心身の不穏には、ここでもまたゆっくりした呼吸がよいでしょう。


(出典) https://www.theayurvedaexperience.com/blog/three-pranayamas-ayurvedic-psychological-effects/

2017年6月5日月曜日

<日記>陰ヨガのトレーニング

先週、5日間にわたる陰ヨガのトレーニングを受けてきました。
香港から定期的に日本に来られるJanet先生の講座です。

陰ヨガは、普通のヨガが「陽」つまり動きのある力強いものであるのに比べ、「陰」の要素である静かでやわらかなヨガのことを指します。ポーズ自体は特に変わらないのですが、ポーズをとる時間が長いのとほとんど力を入れないで行うのが特徴です。主に、固い筋肉や筋膜をストレッチするためのものです。

見た目は、動かないでじーっとしているので簡単そうに見えるのですが、やってみると意外と気持ちいいと感じる場所を見つけるのが難しく、自分の身体との対話がもっと必要になってきます。身体は、ひとりひとり違うので感じ方や感じる場所も異なります。そしてその感じ方がわかるのは、本人だけなのです。

今回は、アナトミーをみっちり復習しながらの講座でした。
私は、今までのほとんどの講習をシンガポールで受けてきたので、基本的に英語ベースで学びました。講義もテキストもディスカッション、レポート、テスト、実習、全て英語。
今回は、先生の英語と通訳の日本語を同時に聞いて両方復習することができたのですが、やっぱり初めに覚えた英語の方がわかりやすく特に漢字がよくわからない。。。いい頭のストレッチにもなりました。まあ、生徒さんに解剖学用語を漢字で書いてお教えするわけでないのでいっか、ということで。(笑)

最初の資格を取ってから約6年、やっといろんな知識や経験が染みわたってきたかなあという段階です。
ヨガは深いです。

2017年5月30日火曜日

アーユルヴェーダの食事法 「カパ」タイプ 
Kapha Diet: Everything You Need To Know (Ayurvedic Diet Types)

もう夏と言っていいほど熱くなってきましたが、春はほこりが多くいろんなアレルギーがでやすい時期です。アーユルヴェーダでは、春は「カパ」という要素が多くなる季節だと位置づけられていて、多くなりすぎた「カパ」が悪さをすることがあると考えられています。今回は、「カパ」体質である人やカパのバランスが崩れている人に合った食事法の記事ですので、同様の原因があるアレルギー鼻炎などの方は参考にしてみてください。
-----------------------------------------

アーユルヴェーダでは、健康管理するための治療や予防の方法として食事に重きを置いています。体質の合ったアーユルヴェーダの食事をすることで、心や身体、感情の健康状態に効果があります。これは「カパ」の食事法で、「カパ」のバランスが崩れている方、「カパ」体質の方に適しています。


「カパ」の食事+ドーシャ


カパを鎮める食べ物は、カパのドーシャ(性質)のバランスが崩れているときにそのバランスをとるのに役立ちます。カパが悪化しているときはカパの食事が必要です。

カパを整える食べ物は、身体の経路を開くことでカパ・ドーシャを鎮静します。
鋭く辛い、軽く、動きのある特性をもつ食べ物は、血行を促しカパ(粘液)の病的形成を防ぎ、正しい消化や排泄を助けます。自分に合ったカパを鎮める食事を見つけるのには、ある方法があります。

カパが減少した状態では、通常「ピッタ」や「ヴァータ」の悪化が見られます。これはまた、カパ体質でも起こります。こうした状態はよく起こり、カパの特性をもった食物を必要とします。乳製品などのこってりとした冷性の甘くオイリーな食べ物は、カパがその力を取り戻すまで短期間使われます。


カパのための食品


カパ・タイプのための食物の選択はどうして決まるのでしょう?アーユルヴェーダ的食事や治療の基本は、反対と類似のルールです。

カパは遅く、冷く、鈍く、重く、どろどろ、柔らかく、甘く、オイリーです。こうした性質を中和する食物を摂ると、増えすぎたカパのバランスを取ることができます。こうした食物は、消化しやすく、温かく、軽く、純粋で、粗く、乾いています。苦み、辛み、渋みのあるものです。一方、カパを増やしたい時は、バランスが取れるまでカパと同じ性質を持った食物を食事に取り入れます。

カパの食事のガイドラインはとても広いので、このガイドラインの意味と背後にあるアーユルヴェーダの原則を説明しましょう。


辛い食物


カパに適した「辛い」食物は、基本的に辛く乾いた性質を持っています。辛い性質は冷たく乾いた性質を持ち、カパの性質である湿ってオイリーな性質を中和します。

雑穀や黒コショウなどのスパイスととると、カパを悪化させる食物(ヨーグルトなど)でさえ、カパ体質の人に適したものになります。例えば、ヨーグルトに黒コショウを入れると、カパの人にもカパを悪化させず消化吸収しやすくなります。黒コショウなしのヨーグルトは、粘液を生成しやすくします。

同様に、雑穀とヨーグルトのおかゆは、カパを悪化させません。雑穀が乾いているので、ヨーグルトの粘液生成の影響を中和するのです。その一方で、タピオカなどの冷たくドロッとしたもの、冷蔵して温めていないもの、冷たい飲み物などはカパを悪化させます。これらは、カパの冷たくどろどろした性質と似ているので、避けなければなりません。

オクラなど湿ってどろどろしたように見えない食物も、摂りすぎるとカパを悪化させる可能性があります。他に小麦や米、ナッツ類も含みます。これらの甘い性質がカパを悪化させます。一方、アムラ(インディアン・グースベリー)などの酸味のあるものは、後味が甘く冷たくてもカパを鎮めます。これは、そのものが持つ特性で渋味に関連しています。実際、アムラは6味のうち塩味以外のすべての味を含みます。

冷たくどろどろとオイリーなカパの性質のバランスを取るため、熱く乾いた性質をもつものを食べるとどうなるのでしょう?乾燥させた生姜や黒コショウなど熱い性質の食物を多く摂ると、悪化したカパを一時的に鎮静させます。が、それが長期間続くと身体の潤滑を維持するのに必要なカパの最適なレベルより下がりすぎてしまいます。
胃炎、関節炎や空咳を引き起こす可能性があります。なので、そういった食物を摂りすぎないように注意しましょう。


カパを鎮静する味


カパはを鎮静するのは、辛味、渋味、苦味で、甘味、塩味、酸味は悪化させます。これを知っていると、取るべきもの避けるべき食物の長いリストといつもにらめっこしながら、食事を考える必要がなくなります。ですから、6味についてみていきましょう。

辛味
スパイスの多くが辛味を持っており、その熱く乾いた性質がカパを鎮静させます。乾燥した生姜、ターメリック(うこん)、黒コショウなどです。性質上、辛味は「火」と「気」の元素からなりカパの「水」と「地」の元素を中和し、強く鎮静化させます。

苦味
苦味は、冷たく、粗く、乾いて軽いので、概してカパを減らします。カパを鎮める傾向のある全ての性質を含んでいます。あまりおいしくないので、食事の中では一般的に不足すています。なので、消化不良を起こすしやすいカパを作りだしすぎる食物のせいでカパが悪化した時には重宝するのです。ターメリックやフェヌグリークなどのスパイスで、必要に応じて苦味を加えることができます。
苦味は「気」と「空」です。

渋味
渋味は乾いて、冷たく、重い性質をもちますが、その乾いた性質でカパを穏やかに鎮静します。トリファラ、アーティチョーク、ジャックフルーツは渋味の食物です。渋味は「気」と「地」の元素からなっています。

甘味
甘味は冷たく重たく、持久力、体力を増進し、そして身体の液体や組織を健康にします。その重く、オイリーで湿った性質は、消化を遅らせる傾向があります。アーユルヴェーダでは、消化や代謝の火がもっとも強い食事の最初に、前菜としてデザートを食べることを薦めることがよくあります。甘味は、果物や穀物、根菜、牛乳、ギー、新鮮なヨーグルト、卵、ナッツ類、種子類、マスタードオイル以外のオイルのほとんどに見られます。冷たく、地に着き、栄養価が高く、体力を作り、満足感の得られる性質は、カパを強く悪化させます。ここでいう甘味とは、自然の甘味や消化後の甘味であることに注意してください。サツマイモや白米、小麦なども含まれます。
カパの要素である甘味は、「水」と「地」の元素からなるのでカパを最も悪化させます。

酸味
酸味は、マインドと感覚を目覚めさせ、消化液分泌を刺激して消化を促進し、過剰なガスを除去します。摂りすぎはカパを悪化させます。レモン汁、タマリンド、ザワークラウト、アップルビネガー、オレンジやパイナップル、キウイなど甘酸っぱい果物が含まれます。その「火」(カパを誘発)と「地」(カパを支持)元素のため、カパをやや悪化させます。

塩味
塩味は、食欲と消化を刺激します。水分を保持し正常の排泄を促します。また、多くの食物の風味をひきたてます。塩味は、様々な形状の塩、海塩、岩塩、ふつうの食卓塩などから得られます。とても少ない量で使われます。「火」と「水」の元素からなっているので、ややカパを悪化させます。


カパの食事法


もしあなたがカパ体質だったら、おそらくカパに適した食事をしていてもカパによる不調を経験したことがあるかもしれません。それは、もしかすると間違った食べ方をしているからかもしれません。

カパを鎮静するには、何を食べるかと同じくらい、どのようにいつ食べるかが重要になってきます。カパは、穏やかな環境でゆっくり咀嚼できる時間をもって食べることで鎮静されます。また、水分を与えるものと取り除くものの良いバランスを取ることも必要です。

朝ごはんは軽くして、後の二回は正しい時間に食べます。果物やカパを減らすちょっとした軽食以外は、間食しないでください。これによって、カパのバランスがとれ、デリケートな消化を助けます。消化の火を消さないように、食事中と食後すぐは水は飲まないようにします(少しならOK)。これが、アーユルヴェーダでいう「アーマ」、粘液や消化不良による悪い物質、つまり悪いカパを作るのを防いでくれます。

時には、カパを悪化させるものを全く避けるというのは不可能なこともあります。そういうときは、マスタードオイルなどカパを鎮静させるものを使って料理するといいでしょう。あるいは、カパを鎮静させる食物やスパイスと組み合わせます。適切にスパイスを使い、渋味や苦味を加えると、カパを悪化させることなく正しく消化できるようにしてくれます。

カパ体質やカパが悪化している人は、スパイスを加えた茹で野菜やスープで時折断食をおこなうと効果的です。スパイスを入れたムング豆のスープのように熱く乾いた性質を持っているもので行うとよいでしょう。あるいは、蜂蜜を入れたハーブティーとゆでてスパイスを加えた野菜で行います。が、これを長期間行うのは避けましょう。特にヴァータのドーシャを悪化させてしまう可能性があります。


カパの食事提案


カパを鎮静させるために何を食べるべきかまだよくわからないでしょうか?では、3食の食事提案をしてみましょう。

朝食
前の夜に断食をしたけれど空腹を感じていなければ、朝食は抜いてもいいでしょう。その代わりに、蜂蜜を入れたバジルのお茶の後、たっぷりの果物を摂りましょう。空腹を感じてから昼食をとります。いずれにしても、朝食時に空腹ならば温かく軽いものをとります。大麦やオーツ麦をスキムミルクや水で煮たものなどがいいでしょう。ライ麦や雑穀のトーストと卵の白身。複数の穀物の入ったパンを使った野菜のサンドイッチもいいです。シナモン、バジル、生姜、蜂蜜などのハーブティーは、悪化したカパのバランスを整えるため朝食の1時間後に。体内時計によれば、朝はカパが悪化する時間なのです。

朝食
理想的には、1日の中で昼食をメインにし、最もたくさんまた栄養のあるものとります。蒸すか炒めた野菜をたっぷりとりましょう。豆類や適した穀物で補います。キヌア、アマランサス、大麦、複数の穀物で作ったパンを試しましょう。また、脂の少ない白身の肉(鶏肉、豚肉、魚)や卵の白身を食べます。キヌアのキチョリ(インド風おかゆ)もいいでしょう。

夕食
夕食は、昼食よりもずっと軽く量を少なくしましょう。スープやシチューは、温かくて栄養があるので、軽くてもお勧めです。ランチを少なく摂ってもいいでしょう。特に体重を減らしたい時は、夕食をとても軽くすることが最善です。スパイスを入れたスープや煮た野菜、卵の白身、またはちょっとの脂の少ない肉に野菜などです。


(出典)https://www.theayurvedaexperience.com/blog/kapha-diet-2/

2017年5月22日月曜日

高血圧のためのヨガ 
Yoga for High Blood Pressure


高血圧の原因は様々ありますが、多くの場合ストレスからくると言われます。
今回は、高血圧の方に効果のあるヨガを紹介します。

-----------------------------------------

高血圧とは




正確に言えば血圧とは何か?血圧を測る際に記録する数字は、ふたつの測定値の割合だ。高い方の値は(水銀の高さ)、心臓が鼓動し動脈や細動脈に血液を押し出す時の測定値。低い方は、心臓の鼓動の合間に循環器系が作り出す圧力で、これが血管系の健康を計る主な値のひとつである。

どちらも心臓血管の健康状態を示す重要な数字である。医師は120/80は「正常」だというが、血圧は低かったりときにbは少し高かったりもするがそれは健康に害はない。全ての生理学的測定値を同様、血圧の測定も状況をふまえて読み取るべきである。年齢、性別、運動のレベル、病気、姿勢、長期にわたるストレスなどの要素を考慮すべきである。しかし、拡張期血圧(低い方)90以上が続くときは医師の診断を受けるべきだ。

高血圧は、心臓そのものの問題で起きることもあるし、腎臓や肺の異常で起こる場合もある。しかし、ほとんどの高血圧は「本態性高血圧」といい、基本的に何が血圧をあげているのかわからない。おそらく、遺伝的な素因が一因であろう。

高血圧患者は大抵、塩の摂取を控えるようにと言われるが、最近のいくつかの研究では危険な状態にある患者のうち約15パーセントしか血圧が下がらなかった。必要ならば体重を減らすのは通常効果があり、私たちがよく耳にするライフスタイルの変えるの(エクササイズ、ストレス軽減、禁煙など)もいい。家族に高血圧の者がいるいないに関わらず、35歳を過ぎたら、専門家にたまには血圧をチェックしてもらうのは良いことだろう。

現在の高血圧の逆症療法は、様々な処方薬を含む。カルシウムチャンネル遮断薬、利尿薬、ACE抑制剤、血管拡張剤、アルファ、ベータブロッカーなどだ。血圧を下げる自然療法は、ニンニクなどのハーブ、ホメオパシー療法、鍼灸などがある。

ヨガも効果的だ。10分間のリラックスした深い呼吸が血圧を下げその後30分間効果が続くという研究がある。最も効果的なポーズは、支えのある橋のポーズ、足を壁に挙げるポーズ、そしてシャバアサナ(屍のポーズ)だ。また、毎日、瞑想の時間をとることは、多くの研究が効果的であると示している。


支えのある橋のポーズ


血圧を下げるのに優れたポーズは支えのある橋のポーズだ。ヨガ用のボルスター二つか、硬めのブランケット6枚、あるいは大きめのクッション二つ、またはこれらの組み合わせを使おう。タオルも必要かも。

端をそろえて二つ折りにしたブランケットを、ボルスターかクッションの上に置く。人の身体はそれぞれ違うし身長も異なるが、両肩が床に軽くあたるくらいに調整する。

ボルスターを両脚でまたぎ、両肩が軽く床に触れるよう横たわる。もし高すぎるか低すぎたら、横に転がってから腕を使って起き上がり、ブランケットを足すか減らすかして調整しよう。

位置が定まったら首に注目しよう。顎が下がりすぎていると感じるなら、上記のようにポーズを出る。タオルを折って、首元の椎骨の下に置き、首を後ろを持ち上げ自然なアーチを作る。



このポーズで腰が不快だったら、両膝を折って両足をクッションか床の上に置いてみよう。両腕は、横に伸ばし快適な位置に置く。目を閉じて、優しく静かな呼吸を続ける。このポーズを5-15分行う。終わったら、横に転がるかボルスターの端に移動する。ど地らの場合も、1,2分間横たわって休もう。それから、腕を使って起き上がる。


このポーズは、妊娠中、あるいは腰に椎間板疾患がある場合は、行わない。


ヴィパリタ・カラニ


高血圧シリーズの次のポーズは、足を壁に挙げるポーズ「ヴィパリタ・カラニ」だ。硬めのブランケット3枚かヨガ用のボルスター1つとブランケット1枚を使おう。

硬く折りたたんだブランケット2枚かボルスターを、壁から20-25㎝くらいの場所に置く。3枚目のブランケットを90度の角度で置く。両肩が壁に向くようにボルスターの端に座り、ボルスターの上に寝転んで両脚を壁に振り上げる。これは脚をストレッチするポーズではないので、リラックスできるようにボルスターと壁の距離を十分にとるようにする。腹部が床と平行になるよう、ブランケットかボルスターの端で尾骨が下がるようにする。腰は自然な場所に置くようにしよう(脊柱が少しカーブしている)。

肋骨の下端が背中側でしっかり支えられるよう横たわり、両肩が軽くブランケットにのるようにしよう。目を閉じ、必要ならば眼を覆い、自然な呼吸で3-10分間休む。ポーズから出るには、両膝を曲げ横に転がりボルスターかブランケットから注意して下りる。1,2分間横向きで休んでから、腕を使って起き上がる。次のポーズや日常に戻る前に、少し休もう。



このポーズは、妊娠3か月以降、あるいは裂孔ヘルニアや腰椎の椎間板疾患がある場合は行わない。


圧受容器と血圧


医療専門家でもあるヨガ・ティーチャーらによる実験では、ヴィパリタ・カラニを行った生徒らの拡張期血圧(低い方の数字)が8ポイント下がった。これと支えのある橋のポーズは、同様に血圧を下げる効果がある。どちらも顎を胸に動かすことで首の両側にある頸動脈にある圧受容器と呼ばれる構造に同様の効果があるからだ。この器官は、事実上同量の血液(すなわち酸素)が常に脳内に保持されるよう、脳に血液が送られる際の圧を高くなりすぎないように維持する。

全ての神経組織を同様、脳は酸素欠乏に極めて敏感で、座ったり立っている際に脳内の血圧が下がりすぎるとおそらく気を失うことになる。これは、身体を水平にして脳に血液を送り通常の血圧や酸素を送るための適応機構だ。

この二つのポーズにおける首の位置が、圧受容器を刺激し、頸動脈の血圧上昇を感知する。神経系は、この情報に対して全身の血圧を反射的に下げる反応をする。すなわち、このポーズが圧受容体を「だまし」て血圧が高すぎると「思わせ」、それが血圧の反射性低下を引き起こす。


シャヴァアサナ


最後に、このセッションだけでなく全てのヨガの練習がこの基本的なリラクゼーションのアサナで素晴らしく終わるーシャヴァアサナ。ブランケット2枚と目を覆うものを用意する。まず、ラグやブランケットなどを置いた心地よい床の上に座る。1枚のブラン家とtを大きく巻いて膝の下に置こう。もう1枚のブランケットは四角に折り、端がもう一方の端から約15センチくらいの位置になる様にもう一度折る。薄い方を肩甲骨の下に、厚い方を頸椎(首)の自然なカーブを支えるように置く。




アイピローや柔らかいタオルで目を覆い、プロップス(ブランケットなど)の上で心地よいことを確認してから、数分横たわる。両腕と両脚は体の中心軸から等距離に置く。顎を少しだけ引き、軽く飲み込んで顎を緩め、口を少し開ける。腹部の内臓を床に下ろすようにしてお腹をリラックスさせよう。鼻から、ゆっくりとした均等な呼吸を行う。そして、自然な呼吸に戻そう。そのまま15-20分リラックスする。準備ができたら、ゆっくり膝を曲げて片側に寝転がる。そのまま1,2分間横たわってから、腕を使って起き上がる。日常の活動に戻る前に少し時間をとろう。

シャヴァアサナの主な効果は2つ。ひとつは全身のリラックスで、ふたつめは毎日行う20分間の練習で得られる精神的な効果だ。現代社会ではリラクゼーションは重要な要素となっている。ほとんどの人は2つのスピードで動いている。誰もが持っている無数の課題を遂行しようとがむしゃらになっている時、そして死んだように眠る時。時々、退屈なテレビの前でぼおっとする。リラックスの方法を教えてくれる活動はそんなに多くはない。しかし、シャヴァアサナを日常的に行えば、他の在り方を知ることができる。このポーズは、血圧を下げる機会をくれるだけでなく、副交感神経を優位にすることもできる。深いリラクゼーションでは、身体的なパラメータは我々が休息していることを示す。呼吸のリズムが遅くなり、消化、治癒、組織の生長が始まり、血液のpH が変わる。

妊娠3か月以降は、身体を横にしてこのポーズを行う。


独創的に


昼下がりや、仕事からの帰宅後、夕食を作る前などにシャヴァアサナの休息を行うのもいい。都合のいい時間でいいので、このポーズを行おう。独創的になろう。店から出てくる誰かを車の中で待っている間に「座って」シャヴァアサナするのもいいし、飛行機が離陸・着陸するときに行うのもいいだろう。昼食後、職場のソファでリラックスするのもいいかもしれない。(この場合は、消化を助けるために左側を下にして横になってみよう)



このヨガのポーズは、どんなポーズよりも最も重要だと信じている。血圧を下げるだけでなく(その他の効果もある)、瞑想への入口にもなる。毎日15分の間、我々ができるこれ以上良いことがあるだろうか?




(出典)https://yogainternational.com/article/view/yoga-for-high-blood-pressure

2017年5月2日火曜日

ヴィパサナ瞑想とその効果 
Vipassana Meditation And The Bundle Of Benefits It Offers

瞑想って結局のところ、なぜやるのか、どうやるのか、なんだかよくわからないという人は多いと思います。瞑想の方法もひとつではありません。
ヴィパサナ瞑想についての記事があったので、今回はこれを選んでみました。
-----------------------------------------


ヴィパサナ瞑想の哲学とその心と身体の祈り:

これは、インドを起源にする穏やかな表情に囲まれた古く深ざした精神の旅である。2500年前に悟りをひらいたゴータマ・ブッダによって再び見出されたという。心と身体のかたいつながりを作る深い集中である。この場所にひたむきに集中することで、すべての心の傷やあらゆる病気の原因を取り除くことができる。

ヴィパサナを行う:

胡坐を組んで行う。椅子に座って瞑想を行ってもよい。換気のよい静かで落ち着いた場所を探そう。服装は軽く緩いものがよいが、脱げるほど緩くない方がいい。眼を閉じる必要はない。両手は膝の上におく。胴体だけに集中する。ゆっくり息を吸うと腹部が膨らむ。ゆっくり吐くと腹部が収縮する。腹部の波状の動きをただ感じる。

瞑想の間、心は過去を振り返ったり現在を探求したり未来のヴィジョンを見たりあちこち動く。静寂が圧倒的になるだろう。それが心と身体を浄化する。セッションの間、少しの不快な感情さえも消え去るだろう。

少しの間、焦点を腹部からはずし、心にある実体的な事柄を意識する。

ヴィパサナ瞑想の効果:

– 感覚が研ぎ澄まされ、次レベルの意識へと向かう:
温度や感情の上下に対応する強度を含む、身体の感覚を高める。感覚が極度に高まると、より高いレベルの意識を得る。身体が自然に治癒していく。

– 心を落ち着かせる:
.瞑想は精神を活発にするため、不快な感情をかき集めて少し神経質になるかもしれない。にもかかわらず、日常的に座って行えば、静寂をもたらす。

– 心を清める:

こころはエネルギーの中核である。治癒を早める大きな可能性を持っている。反対の方向にも働くことがあり、健康を損ね病気を迎え入れたり、すでに身体にある病気を悪化させることもある。ヴィパサナ瞑想は、心を清めて静けさを取り戻す。純粋な心は病気への力強い障壁となる。純粋な心は、パニックや怒り、緊張やストレスなどネガティブな感情をコントロールする強い心である。

– 精神が叡智を得る:
ヴィパサナは、筋肉をリラックスさせ、心は自由な道を通り意識していない行先へ向かう。思考の高い平面へと導く。自己実現への道を進む。自身をもっと深くよく知る。思考過程の限界が広がり、小さな利己的な境界をも越える。敵の行いさえも合理的に見える。彼らの視点に感謝し彼らの眼で世界を見る。彼らがもっと好ましく見えてくる。

– 超越した経路で思考過程の周波数を合わせる:
ヴィパサナ瞑想を通し、悟りに向かう。エゴや利己主義、怒り、妬みなどの醜い特質を明らかにするクリスタルを通すかのごとく、自分自身を探求できる。肯定的な変形自在の思考へと導く。もし他人に干渉せず自分自身をコントロールできれば、この永遠の哲学は現実にある。問題の半分は小さく見え、それがヴィパサナの本質である。

10日間この瞑想を続けてその不思議な効果を感じてみよう。この10日間は誰にも話してはならない。自分自身だけと向き合う。雰囲気は穏やかになり、気をそらすものは全くない。10日後に得られる叡智に驚くだろう。

2017年4月29日土曜日

ヨガセラピー:癌の回復に必要な治療 
Yoga Therapy: The Medicine Needed for Cancer Recovery

Huffington Post に掲載された医師でもあるヨガセラピストのインタビュー記事です。

-----------------------------------------

これは、C-IAYT、RYT-500、医師であり認定ヨガセラピストであり、癌や不安症、ストレス関連の障害に悩む人々を助けるサウスジャージーにあるヨガセラピークリニックのYoga Heals 4 Life の創設者ロビン・タイガー博士のインタビューです。ロビンは、癌回復クラス、講義、ワークショップなどで無料のヨガと瞑想を行っています。現在、退役軍人のためのトラウマを理解したうえでのプログラム展開に取り組んでいます。 Integrative Yoga Therapy にて1000時間のヨガセラピーのトレーニングを終え、Yoga 4 Cancer and Breast Cancer Recovery and Beyond の医師です。トラウマへのヨガセラピー、そして研究のための医療審議会の一員です。また、癌を経験した全ての人を助けるためのNPOであるMedical Resource Committee for Gilda’s Club of South Jersey のためにも働いています。



ロブ:そもそもこの仕事をすることになった動機と、何があなたを突き動かし続けているか教えてください

3年生のある日、先生がポールに下げた実物大の骨格図を広げたんです。それが私の最初の大きな「アハ!」体験でした。ガイコツはハローウィンの飾りじゃなく、身体を支える基盤なんだと初めて気づいたんです。じゃあ、私たちの他の部分は何?それがとてもたくさんあることがわかって、その時に私は医者になりたいとわかったんです。

医師として、診断放射線医学の女性のイメージングに15年を費やしました。その過程で、癌の容易な発見と治療を可能にする西洋医学の素晴らしい技術進歩を見てきました。こうした技術に大変感謝していましたが、患者のケアにおいて見落とされている大きなものがあることに気付いたんです。患者の治癒にどう私たちは手助けができるか?まるでこれまで、健康の枠組み、あるいは骨組みに対してのみ取り組んできたように感じたのです。ヨガセラピーのトレーニングを受けて初めて、こうしたギャップを埋め、またもっと総体的、包括的、統合的方法の治療に取り組み始めました。

手術や化学療法、放射線などを含む最先端の癌治療は、癌を治療するのには素晴らしいものですが、身体的制約や精神的苦痛、精神的抑鬱などを引き起こし得ます。長い間、患者を抱きしめて微笑む以外に、彼らの治癒を助けるすべは私には思いつかなかったのです。医師としての仕事がとうてい完璧とは言えないことはわかっていました。

ヨガセラピーを使って治療を行うことの重要性を強く感じ、従来の治療をやめヨガセラピーに専念することにしました。私のヨガセラピーの治療で焦点をあてているのは、患者自身のすべての側面における各部分の集合体であると個人を見ること、そして「骨格」を越えた身体、心、精神の最良の治療に対し懸命に努力することです。


あなたの指導経験のなかで最もやりがいがあったことは何ですか?

自身の経験を通して、個人個人が治癒する力をうちに秘めています。

私がセッションで指導した方法を使って成功したという電話や、メール、メッセージが頻繁に来ます。そして、彼らは覚えた方法を友人や家族、同僚などに伝え広めています。

猫背で足を引きずり、目を合わせようとしない、動きが遅く、疲れ切っておびえた人が、ヨガや瞑想というツールを使って、自身に満ちた、力強く熱心で、エネルギーに満ちていくのを繰り返し見てきました。

同時に、マットの上でもそれ以外でも、私たちは意味のある人間関係と支援コミュニティを作っています。


あなたが生徒から教えてもらったことは何でしょう?

安全な場所を確保すること、そして彼らの必要を実現するクラスを作るために個々人が何を必要としているかを全身を傾けて聞くことの重要性を教えてもらいました。

また生徒たちは、お互いに共有する時間という贈り物を私にくれました、深く感謝しています。彼らの自己治癒という旅の過程で、私と時間を共にすることを選択してくれたことに毎日毎日誇りを感じています。


癌治療に取り組むうえでヨガが効果を表す社会的要因(例えば、誤解や誤情報など)は何だと思いますか?

私のメンターの一人であるタリ・プリンスターはこう言いました。「私たちの身体は動くように作られている」癌患者も多くのヨガ・ティーチャーたちも、癌を患う人にヨガが危険ではないかと怖がっています。ソファに座ったりベッドに横たわったりして、ただ次の医師の予約や科学治療や放射線治療を待つだけでは、身体にも心にも精神にもよくありません。癌治癒のための特別なヨガ・瞑想のクラスは、身体的にも感情的にも、精神的にも強くなる助けとなります。患者らは、彼らの前に現れる何にでも立ち向かえる力を得るのです。

私の生徒たちは、身体が強くなれば自分をもっと信じられるようになり、よりよい決断ができるようになると教えてくれました。治療プランや回復にもっと熱心になり、つまり早く治癒します。身体が強くなれば、感情や心、精神が強くなり、治癒過程にもっと深く取り組むようになるのです。ここに、治癒の本当の力が存在します。


癌患者に取り組むことで、癌に対するあなたの考えや感情、あなた自身に変化はありましたか?

私は、癌のある生徒たちがある「警鐘」を経験するのを何度も見てきました。もっと健康的なライフスタイル(仕事、食事、運動)を選択する方法、愛する人ともっと一緒に過ごす方法、ストレスのある仕事を辞める方法、死ぬまでにしたいことリストを準備する方法を知りたいのです。生徒たちの眼を通して、毎朝、それが自分の「警鐘」だと見て自分自身の中にあるのかそれとも他人とあるのかの存在を確認します。いつも、自分のライフスタイルについて、どうすれば最も健康的な決定ができるかを考えています。私が可能な限りベストであるように生徒たちから力をもらっているのです。

この先10年、アメリカにおけるヨガの将来に対し何か考えや希望はありますか?

私がしているように、医療業界が単に癌という病気だけでなく患者自身を見てくれることが夢です。患者は、治癒を必要としている多くの側面を持った総体的な個人なのです。癌回復のためのヨガは、全世界のすべての人が受けられるものとして全患者の治療プランに必要な要素なのです。



(出典) http://www.huffingtonpost.com/entry/yoga-therapy-the-medicine-needed-for-cancer-recovery_us_58fdf221e4b0f420ad99c9d3

2017年4月25日火曜日

ヨガセラピーで更年期のホットフラッシュや気分変動を治す 
Hormone yoga therapy could cure menopause's hot flushes and mood swings

今回は、更年期について。
ホルモンバランスが崩れるといろんな症状がでてきますが、それは更年期だけなく、いつでも起こりうるものです。特に年齢によってホルモンバランスを崩しやすい女性の身体に何が起こっているのか、ヨガがどう効くのかについての記事です。
-----------------------------------------

ほとんどの女性にとって、ホルモンレベルが崩れるとはっきりとわかります。知らない人がバスに乗り遅れたのを見て抑えきれずに泣いてしまう、缶切りがいつもの場所に入っていなくて激怒するなどというのはよくあることで、PMT(月経前緊張症)と呼ばれる症状です。そして、更年期が始まり卵巣のエストロゲン生成がゆっくりになると、ホットフラッシュや気分変動に対処しないといけなくなります。


しかし、誰にでも影響がある兆候が他にもあります。性欲の減退、説明のつかない体重増減、肌あれなど。身体の好不調がわかっていようがいまいが、バランスが取れた状態にいる方がいいのは議論の余地がないでしょう。


どんどん増えているロンドンのヨギたちにとって、その解決法を薬(あるいは毎月大量のチョコレートを詰め込むとか)だけに頼るわけではなく、ヨガマットの上に見出しています。もちろん、ヨガはすべてバランスだと私たちは知っています。そして、身体と心の精神的なバランスもあります。しかし今では、ホルモンバランスを取るためにも人々はアサナを行っているようです。


その結果、Triyoga やTen Health & Fitnessなどのロンドンのスタジオでは、投薬の代替や補完としての、ホルモン系を調整させることに特化したクラスやワークショップを行っています。

ホルモンの問題の核心は、バランス異常です。特に、エストロゲンとプロゲステロンの不均衡で、多嚢胞性卵巣や子宮内膜症などの疾患につながります。それを緩和するツールとして、体内の調和を作り出すための練習を取り入れるのは完全に筋が通っていることなのです。


来週末Triyoga のホルモンバランスのワークショップを行うキャロリン・コーワンは、ヨガが私たちの身体が自らを攻撃するのを止める方法であると確信しています。「否定的なことに対処するとき、身体はそうした思いを身体的にも経験します。それが精神的な不安やストレスを増長させ堂々巡りとなってしまうのです」


そして身体は、副腎でコルチゾールを作り、心拍数を上げ、私たちを緊張した極限状態に置き続けます。ストレスを感じる時というのは、祖先が危険に直面した時と同じ反応で、すなわち「逃げるか戦うか。」しかし、その危険は現実のものではありません。身体が反応するためには、ただ危険を察知するだけで十分で、それは翌朝9時の会議のことを心配するといったシンプルなものかもしれません。


適度なら構わないのですが、忙しいライフスタイルのせいで常にストレスを感じ、つまりコルチゾール値の高い人が多いのです。


Ten Health & Fitness でホルモンバランスのマスタークラスを開講したダニエル・ウィルムセンによれば、「毎日のプレッシャーで、私たちは常にストレスモードにあります。自律神経はいつも交感神経モードになっています」


簡潔に言えば、交感神経モードとは危険に対する「逃げるか戦うか」の反応です。その反対派副交感神経モードで、身体の休息や消化機能をコントロールします。この2つの神経系はシーソーのように働き、ヨガは両方のバランスをとる助けをしてくれます。


どんな種類のヨガを行っても、身体をストレス状態からリラックス状態へと導くことでホルモン系全体(内分泌系)へ効果があります。全体的に行うヨガでは、身体のホルモン分泌をする部分が優しく圧迫、解放され、分泌腺が刺激されます。また、対象とする部分の血流を促して特定の分泌腺を刺激するシーケンスもあります。例えば、代謝を調整する甲状腺は、バランスを崩しやすい場所ですが、肩立ちなどの甲状腺を刺激するポーズは問題を軽減します。


エクササイズでホルモンの問題に対処できるのはヨガに限りません。ピラティスや筋トレも同じです。Notting Hill にある FORM studio の METcore クラスは老化防止のホルモン・マジックを約束しています。創設者の Elissa el Hadj によれば、METcore は、レジスタンス・ケーブルを使ったトレーニングとHIITシーケンスを慎重に組み合わせられており、成長ホルモン(HGH)の生成を促します。このホルモンは骨を強くし、皮膚や表情をやわらかにします。成長ホルモン生成が再び下がり始める前の50分間というエクササイズは理想的な長さなのです。


しかし、全てのエクササイズが急上昇するホルモンやストレスレベルを補完してくれるわけではありません。実際、ホルモンバランスで悩む人にとって、ランニングや強度のトレーニングなどエンドルフィンを上昇させるタイプのエクササイズは悪影響を与えかねません。


Marylebone にある Marion Gluck Clinic のホルモンのスペシャリスト Amalia Annaradnam博士が言うように、「常にコルチゾールを絞りだすようなクレイジーで慌ただしい暮らしのせいで副腎への刺激が過多になっているなら、ランニングはもっと負担になってしまう。誰もがそうではないが、もし副腎が疲れ始めているなら ― ストレスを感じ眠れず、苛立ち、いつも緊張していれば ― 副腎は『ああ、もうこんなことはできない』と言って疲れ切り、エクササイズの後はもっと気分が悪くなる。つまり、間違ったことをしていると身体が教えてくれている」


これに思い当たる節があったら、10km歩道を走るよりダウンドッグをした方がいいということ。


ひとつのポーズを毎日行うことで、ホルモンバランスは保てるでしょうか?
専門家らは可能だと言っています。膝をついて踵をつかみ頭が床につくよう前屈するラビット・ポーズは、甲状腺を刺激し脊椎を伸ばします。何もかもが解決するわけではありませんが、シーソーのようなバランスを平行に保つのに役立つでしょう。そして、呼吸をしましょう。



(出典)http://www.standard.co.uk/lifestyle/health/the-hormonally-harmonious-yoga-practice-could-cure-hot-flushes-and-mood-swings-a3326236.html