2017年7月4日火曜日

ヨガとエネルギー 
Yoga and Energy

物理学者にとって、エネルギーとは運動の容量だ。運動とは、与えられた力によって物体が動くことのできる距離だと数学的には定義される。
とても退屈な定義だ。ヨガにおいてエネルギーはどのように働くのか、というのはずっと興味深いものだ。何に使われ、それをするためにどうやって得るのだろう?

さて、ヨガの視点から見たエネルギーを理解する簡単な方法は、「エネルギー 2-3-4」と覚えればいい。


エネルギーに関してヨガを通してできる2つのこと


ヨガの実践により得られる生理学的な効果は、エネルギー的に次の2つだと言える。
  1. スイッチを入れる
  2. 詰まりをとって流す
庭のホースに例えるといい。美しい森のアシュラムにヨガと瞑想のリトリートに一年間行ったとしよう。家に帰ってきたら庭はぼうぼうだ。注意して枯草を刈り、1年間庭に放ったらかしだったホースで芝に水をやる。蛇口をひねるが水は出ない。ホースに泥や虫が詰まっているのだ。そこで、君はホースにちょっとしたヨガをさせる。詰まりが取れて水が流れるまで、曲げたり捻ったりするのだ。
エネルギーを使うためには、繋がっている必要がある。ホースは、川岸のごとく水の流れに繋がっている。電線は電気の流れにつながっている。そして、身体もまた多くのものと繋がっている。電気的エネルギーのための神経、科学的エネルギーのための血管が存在するが、もっと微細な経路(インドのヨギはナディと、中国では経絡と呼ぶ)もある。これらが詰まっている時は、流す必要があるのだ。
これがヨガでやっていることだ。スイッチを入れてエネルギーの流れを刺激する。そして閉塞や障害を取り除いてエネルギーを流す。この閉塞をサンスクリット語では「グランティス」と呼ぶ。幸いなことにヨガはグランティスを打ち砕くことができる。


エネルギーの3つの使い道


ヨガではエネルギーを次の3つの働きに使っている。
  • 運搬
  • 変換
  • 伝達
物質は身体の中である場所から別の場所へと移動する必要がある。これがエネルギーの運搬機能だ。食べ物を摂り、その残余物を排出し、栄養を内臓から血流へと(そして全細胞へ)、または手足を動かしたりと運搬は大変な量のエネルギーを必要とする。

同様にエネルギーを要するのが変換に関する働きだ。身体は、食物の栄養と空気を燃料としてのグルコースに、またはあらゆる組織へと変換する必要がある。全ての細胞は、栄養をタンパク質、酵素、メッセンジャー分子へと変換する小さな工場である。そして変換されたものは必要な場所へと運搬される。

メッセンジャー分子とは、体内の伝達系の一部である。しかし、メッセージを伝達するのには電気信号などのさらに洗練された方法もある。そして伝達に使われるエネルギーは、運搬や変換に使われるものよりはずっと少ない。実際、このエネルギーを「微細」と呼んでいるのだから!

運搬や変換に使うエネルギーを計るのは、基礎代謝という形で見られるので簡単なことだ。熱は、こうしたエネルギー使用の一般的副産物で、身体がどれくらい熱を持っているかも体温計を使えばすぐわかることだ。しかし、伝達に費やされるエネルギーはかなり少ないので感知するのがもっと困難だ。

体内の様々な伝達系が理解がすすんだのは、他のエネルギー使用状況を把握した後だったのは当然である。医学のある新分野が、「細胞内シグナル伝達」というたったひとつの側面に割り当てられている。身体的ストレスや組織への圧迫がどのように伝達されるのかの研究が「メカノバイオロジー」と呼ばれている。「エネルギー療法」と呼ばれる分野もある。これらの医療分野は、細胞がお互いに様々な技術で伝達しあっているということを発見している。電気や化学物質、PHレベル、圧力、触覚、音、光や電磁場などだ。


スイッチを入れる4つの方法


ヨガのアサナで作るストレスや動きは、エネルギーの流れを刺激しその流れの詰まりを減らしたり取り除いたりしている。

動きやストレスは、微小な電流や電磁場を体内に作りだす(圧電気という)。また、メカノトランスダクションというプロセスを通し、筋膜から筋膜内細胞へと加わる身体的ストレスが、そうした細胞を刺激する信号を作り出す。筋膜内では、組織の治癒を助けたり栄養を与えたりするために、または瘢痕組織や癒着を解消するため、成長因子や酵素が活性化する。

スイッチを入れエネルギーの流れを刺激する東洋の4つの方法がこれだ。
  1. 鍼治療
  2. 指圧
  3. 気づきの移動
  4. 呼吸法
私はこれらの方法をサラ・パワーズから教わった。残念ながら、サラも私も生徒に鋭い針を刺すライセンスは持っていないし、ヨガで鍼を使ったりはしない。ほかの3つは間違いなくヨガでも使える。ストレスと圧力は伝達の形だ。ヨガをするときは、伸組織に与える長と圧縮のストレスを両方作り出している。こうした指圧は、細胞が反応する別の信号でもある。「感じているなら、やっていることだ」と言えるのだ。

マインドフルネス瞑想である気づきの移動は、ヨガの練習でよく行われるが、これの体への影響も測定できる。自分でやってみるとよい。1分間、手の親指の先に意識を集中する。1分後には、親指が感知できるほど温かくなっているだろう。意識は血管を拡張させ、集中した場所に多くのエネルギーを送るのだ。

呼吸は言わずもがな命である。しなければすぐに死んでしまう!古代の言語では呼吸は命と空気の両方の意味を持っている。ラテン語の Spiritusin は魂と息の意味であり、プラナも同様に生命力と呼吸という意味を持つ。呼吸は、酸素を送るだけでなく(細胞が燃料を燃やしエネルギーを放出するため)、呼吸自身が刺激となる。ゆっくりとした安定した呼吸を一定の場所に意識をもって行うと、そこのエネルギーの流れを強化することができる。もちろん、身体中に肺があるわけではないが、身体全体に張り巡らされた筋膜のネットワークがある。一呼吸一呼吸がそのネットワークにストレスを与え、集中していれば、それぞれのポーズの中でそのストレスをその場所に感じることができるのだ。


(出典)https://yogainternational.com/topic/practice

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