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2026年6月2日火曜日

プラナを理解する Vol.2 
Understanding Prana


前回の続きです。

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プラナと心


精神エネルギーは、食物や呼吸、外界から受け取る印象から派生します。プラナは印象の取り込みを司り、サマナは精神的な消化を調整、ヴィヤナは精神的循環を管理します。アパナは有害な思考やマイナスの感情を排出します。ウダナはプラスの精神エネルギー、力、熱意をもたらします。


精神レベルでは、プラナは栄養や感情のプラスの源、そして心や感覚を通した知識の感受性を司ります。混乱すると、不健康な欲望や底なしの強い欲求が起こり、わたしたちは間違った方向へ導かれ進み、一般的にはバランスを崩します。


アパナは、負の志向や感情を取り除く能力を支配します。これが混乱すると、鬱状態を起こし、重荷となる未消化の体験でいっぱいになり不安で抑圧され脆くなっていきます。


サマナは栄養や満足感、そしてバランスの取れた心を与えてくれます。混乱すると、執着や貪欲さに繋がります。物に固執し、狭量で沈滞した独占欲の強い行動を起こすようになります。


ヴィヤナは心の動きや独立性を与えてくれます。混乱すると、孤独感や嫌悪感、疎外感を生み出します。他社と結束することができなくなり、自分がしていることだけに繋がり続けます。


ウダナは、喜びと熱意を与えてくれ、より高次の精神や創造的な可能性を覚醒するのを助けます。混乱すると、プライドや傲慢さを引き起こし、不安定で高すぎる目標に向かおうとしたり、自身の根源へのつながりを失います。






プラナの精神的な観点


ヨガの実践において、プラナは多くの特別な機能を持ちます。精神的なレベルでは、サマナが心臓の中の空間を調整し、そこには真我が7つの炎をもつ火として存在しています。サマナは、むらなく燃えなくてはならない内なる火を調整します。サマナが作り出す平和やバランスがなければ、自身の中心部に戻ることも心を集中することもできません。
 

ヴィヤナは、ナディを開き、その機能においても澱みないきれいな状態に保つことを通してプラナの動きを司ります。アパナは負の霊的影響や架空の体験から私たちを守っています。プラナ・ヴァーユは、精神を開発するために必要な正しい欲望をあたえてくれます。
 

ウダナは、意識の成長を司り、心を夢を見ている深い眠りの状態へ、そして死後の世界へと連れて行ってくれます。ウダナはまた、シュシュムナの上方へ動きも調整しています。精神はウダナ・ヴァーユとともに動くため、精神的な成長には最も重要なプラナだと言われます。


ヨガを実践していると、こうしたプラナの微細な面が覚醒し、クリヤと呼ばれる無意識に起こる様々な動きなどの普通ではない心身エネルギーの動きを引き起こすことがあります。エネルギーの新しい広がり(微細なヴィヤナ)を感じるかもしれませんし、大きな平穏(微細なサマナ)、空中に浮くような軽さ(微細なウダナ)、深い根付きや安定性(微細なアパナ)、あるいは活力や感受性(微細なプラナ)が高まったと感じるかもしれません。




プラナに働きかける


物質レベルでは、正しい栄養がプラナを増やします。正しい排出もまたそうです。アーユルヴェーダ的な考えにおいては、食物からのプラナは大腸、特に最初の3分の1の部分で吸収されます。そのため、体の健康のためにはアパナが最も重要なプラナです。


ヴェーダによれば、この世の人間は食物をアパナで食べますが、神はプラナで食べます。人間は物理的な組織の集まりで正しい食物によって維持されます。神は感覚で、感覚印象という形でプラナそのものを通して食物を取り込みまやす。プラナを強めるには、儀式や視覚化などの実践とともに、色や音、香りに関した感覚の癒しや自然との接触が重要です。


プラナに働きかける主な方法はプラナヤマで、特にヨガの呼吸法という形になります。ヨガは自己実現の手段として心身どちらもの浄化を重要視し、そのためプラナが豊富なベジタリアンの食事(つまり生命力に満ちた食べ物)、精神修練や誠実や非暴力などの倫理観に根ざした心を重要視しています。不純で有害、乱れた心身は高次の自己を実現することはできません。心身を浄化する鍵はプラナで、この2つに繋がっています。主な方法はプラナが流れているナディを浄化することです。


この面においてヨガの呼吸法は有用で、最も重要なのはナディ・ショーダナ(片鼻交互の呼吸)で、左右のプラナの流れのバランスを取ることができます。ヨガのシステムによれば、体や経絡は左右どちらかが優勢です。右は太陽の性質を持ちます。消化や労働、意識の集中などの行動を助け、ピッタ、火のような性質を持ちます。左側は月の性質で、ナディはカファ的、水の性質が優勢です。休養や睡眠、リラクゼーションなどの行動を促進します。


プラナやエネルギーのバランスを維持するためには習慣的な肩鼻呼吸が最も重要ですが、他にも方法があり、プラナとアパナを繋げることです。アパナ・ヴァーユは重力に沿っていて通常は下向きに動きますが、そのため病気や死だけでなく意識の下降にも繋がります。一方でプラナ・ヴァーユは精神や感覚を通して上方へ分散する傾向があり、上方へのエネルギーの道筋でもあります。ヨガの実践はアパナを上方へプラナを下方へ動かして2つをつなげることが求められますが、これがプラナすべてのバランスをとるのに役立ちます。そうすれば、うちなる火であるクンダリニがおへそのあたりで燃え立つようになります。ムーラ・バンダ(根の鍵)はこの面において重要な実践です。


マントラと瞑想


精神のプラナへは直接働きかけることができます。心や感覚に働きかけるプラナヤマのテクニックがありますが、それらは呼吸に限られていません。色や音(音楽)は、エネルギーを心に向ける重要な方法ですが、最良のテクニックは特に「オーム」など一音節のマントラで、プラスのエネルギーを無意識に向けるのを促す振動が作られます。心に空間を作り上げる瞑想そのものはより多くのプラナを作り、精神が空の広がりのように穏やかで受け入れる状態になった時、新しいエネルギーが現れて偉大なる変容に向かわせてくれます。


ヨガで進む道は、プラナをコントロールすることが基本となっています。献身のヨガであるバクティ・ヨガは、聖なるプラナとつながることでプラナの変容をもたらします。奉仕のカルマ・ヨガは聖なる意志に従うことで、外に向いた行動だけでなく精神の成長を含むより多くのプラナを与えてくれます。
 

伝統的ヨガであるラジャ・ヨガは、精神活動のコントロール(チッタ・ヴリッティ)が基本となっています。心の振動(チッタ・スパンダ)はプラナの振動(プラナ・スパンダ)に従うため、心を制御するのにプラナヤマが役立ちます。また、五感から離れて内側の気づきへと引き入れられるため、五感の調整(プラティヤハラ)にも役立ちます。ハタヨガそのものが主にプラナに関することであり、ヨガのポーズはプラナの動きの現れであり、多くの偉大なヨギたちは、機械的な練習を通してではなく、覚醒したプラナの力を通してをヨガポーズ学んできました。


知識のヨガであるジナナ・ヨガは、強い意思と集中を要します。このヨガでは、精神的なものだけでなく日々の活動すべてにおいて、私たちが得ることのできない発達したウダナ・ヴァーユなしで、プラナへの問いかけ、すなわち真我に対する問いかけが必要です。


まさにヴェーダが語る通り、私たちはみなプラナのコントロール下にあります。プラナは太陽であり、命や光をみなに分け与え、生きとし生けるものすべての真我として心の中に存在しています。私たちのなかにあるプラナは、命を与えてくれ、行動させてくれます。このより大きな力に心を開き迎え入れることを学び、より多くを人生や行動に取り入れるよう求めなければなりません。これこそがヨガの最も偉大な秘伝のひとつなのです。



2026年5月19日火曜日

プラナを理解する Vol.1 
Understanding Prana

ヨガやアーユルヴェーダでよく出てくる「プラナ」
生命力だったり呼吸だったり「気」だったり。
今回はそんなプラナについてです。

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この3つの世界に存在するもの全てはプラナのコントロール下にある。母親が子どもを守るが如く、おおプラナよ、我らを守り、輝きと知恵を与えたまえ

ープラシュナ・ウパニシャッド 2.13

私たちが生まれ持つ5つの主な能力である精神、呼吸(プラナ)、話す力、聞く力、見る力は、どれが最も重要なのかについて議論していた。その争いを解決するため、欠けた時に最も困ることになるのはどれかを見ようと、彼らはそれぞれ体を離れることにした。まず話す力が離れたものの、無言にはなってしまったが体は元気なままだった。次に目が去ったが、盲目ながらも体は元気だった。そして耳が離れたが、聞こえないものの体は成長し続けた。ついに精神が去り、今度は無意識になったが体は生き続けた。しかしプラナが離れ始めると、体は死に向かい始めた。他の力はすぐに生命力を失っていったのでプラナのもとへ急ぎ、プラナの優位性を認めてとどまる様に懇願した。



これは古いヴェーダの物語で、少しずつ違うバージョンがさまざまなウパニシャッドの中で見られます。最初の議論が意味するのは、私たちの能力が統合されず意識をコントロールしようとそれぞれが競い合うというよくある人間の状態です。プラナが離れる時、全ての能力にエネルギーを与えているのがプラナであり、プラナがなければ何も機能できないということが明確になります。この物語の教訓は、これらの能力をコントロールするにはプラナをコントロールしなければならないということです。


心身に良い変容をもたらすためには、エネルギーの働きを理解しなければなりません。この力をサンスクリット語で「第一のエネルギー」の意味でプラナと呼び、「呼吸」や「生命力」とも訳されることがありますが、実際にはそれ以上の意味を持ちます。プラナそのものが表すさまざまな形について、西洋のヨガ文献ではあまり語られないため、その広大で深淵なプラナの科学が理解されることは稀です。


プラナには、体の呼吸から意識そのもののエネルギーに至るまで多くのレベルの意味があります。プラナは単なる基本的な生命力ではなく、原始の創造力です。私たちの存在のすべてのレベルで働く全てのエネルギーを支配しています。この全世界はまさにプラナの現れです。意識を変容させるうちなるエネルギーである大蛇の力、クンダリニ・シャクティでさえ、プラナが覚醒することで起こります。


宇宙のレベルでは、プラナには2つの局面があります。ひとつは出現していない純粋意識のエネルギーであり、全ての創造物を超越しています。ふたつめは出現したプラナで、意識そのもののエネルギーであり、デヴァトマ・シャクティやチティ・シャクティと呼ばれます。出現していない純粋意識のプラナから、全宇宙が存在物へと成り、創造のプラナの出現となります。


自然そのものは3つのグナ(質)から成ります。サットヴァ(調和)は精神を生じさせ、ラジャス(動)はプラナを生じ、タマス(不活発)は身体を生じさせます。自然は動的、ラジャス的なエネルギーです。高次の自己、純粋意識の引力に応えて、このエネルギーはサットヴァ的となります。無知の不活発さによって、この同じエネルギーはタマス的になります。


身体の存在と比較すると、生命力であるプラナは呼吸する酸素から主に起こる「風」要素の変容したものです。微細なレベルでは、空要素は触覚に対応し、触覚を通じて私たちは生きていると感じ、生命力を他の人に伝えることができます。



コーシャ

人間の存在は5つのコーシャ(鞘)から成る

  • アンナマヤ・コーシャ(食物でできた鞘)。これは物質であり、私たちが摂取する5つの要素(地、水、風、火、空)で作られています。

  • プラナマヤ・コーシャ(呼吸でできた鞘)。これは生命力である、ヴァーユという5つのプラナから作られています。

  • マノマヤ・コーシャ(印象の鞘)。これは外側にある低次の精神で五感の印象で満たされています。

  • ヴィジュナーナマヤ・コーシャ(概念の鞘)。これは知性そのもので、方向性を持った精神活動です。

  • アーナンダマヤ・コーシャ(体験の鞘)。これはより深い精神で、記憶、潜在意識、超意識の精神を含みます。



プラナマヤ・コーシャは生命エネルギーの領域です。この鞘は、物理的な体と、3つの精神的な鞘(外側の精神、知性、内側の精神)を媒介しています。また、5つの粗い要素と5つの感覚印象の媒介をも行なっています。
  

プラナマヤ・コーシャは、5つの運動器官(外分泌、泌尿生殖、足、手、発声器官)を繋げており、生存、生殖、運動、自己表現の欲求を含みます。行動への熱意や動機をもたらします。


ほとんどの人は、物理的な身体とそれに深く存在する欲求に支配されており、それは生き続けるためには不可欠なことです。身体は無意識のエゴが存在する場所であり、様々な恐怖や欲望、執着がとどまるところです。私たちの多くが、このコーシャを通して、感覚的な楽しみや形ある物質を得ることといった形で喜びを得ようとして人生を過ごします。
 

強い身体を持つ人には個性を世界に認めさせる能力があって、傑出した人生を歩む人が多いです。身体が弱い人は、多くを成し遂げるエネルギーが少なく、多くの場合は従属的な地位に留まります。一般的には、体力があり自我の強い性質を持った人が世界を動かします。しかし、この性質は精神的な道のりでは最大の障害のひとつとなります。というのも、彼らにとっては、自身の欲望に基づいた衝動に疑問を持つために必要なより大きな力に身を委ねることが困難だからです。


そのため、精神的な人生はプラナを押さえ込まなければならないと考える人もいますが、プラナマヤ・コーシャが強いということは、利己的あるいは欲望志向の活力とは全く異なります。それは個人の力から得られる強さではなく、聖なるエネルギーへの降伏から得られるものです。霊化された強いプラナマヤ・コーシャがなければ、持続的な集中した実践を行うエネルギーを持つことはできません。


ヒンズーの神話では、このより高次のプラナは風の子である猿の神様ハヌマンに象徴され、古代神話ラーマーヤナの中で語られています。ハヌマンは神の生まれ変わりであるラーマとその妻シータに仕えており、それによって望む通りの大きさになり、あらゆる敵や障害を乗り越え、奇跡を成し遂げる能力を得るのです。そうした精神的な方向へ向かう性質によりエネルギーや好奇心、熱意を持つことができ、五感や身体的な衝動(低次から高次まで全ての意思や野望)をコントロールする能力をも得るのです。



ヨガにおける5つのプラナ


プラナマヤ・コーシャは、ヴァーユまたは「風の力」とも呼ばれる5つのプラナから成っています。これら5つのプラナは、動きと方向によって分類されます。これは、アーユルヴェーダ医学でもヨガの実践においても重要なテーマです。


プラナ・ヴァーユ

プラナ・ヴァーユは文字通り「前進する風」という意味で、内向きに動き、食べることから、飲むこと、息を吸うこと、感覚を得ること、精神的な体験に至るまでの体の中に受け入れるあらゆる種類のものを調整しています。もともと推進力があり、物事を動かして導き、日々の中で私たちを動かす基本的なエネルギーを与えてくれます。
 

アパナ・ヴァーユ

「立ちさる風」であるアパナ・ヴァーユは、下方そして外側へ動き、あらゆる形の排泄や生殖(下方への動きもある)を司っています。便や尿の排泄、射精、月経液や胎児の放出、そして呼吸を通した二酸化炭素の排出を制御しています。より深いレベルでは、負の感覚、感情、精神的な体験などのを排除を支配します。私たちの免疫機能の基礎となります。


ウダナ・ヴァーユ

「上へ動く風」のウダナ・ヴァーユは、上方へ動き生命エネルギーの質的、変容的動きをもたらします。体の成長を司り、立つ能力や話す能力、努力や熱意、意思を調整します。主なプラスのエネルギーで、さまざまな鞘での成長や意識の発達を助けます。


サマナ・ヴァーユ

「バランスをとる風」であるサマナ・ヴァーユは、攪拌や識別を通して周囲から中心へと動きます。すべてのレベルでの消化を助け、消化管では食べ物を消化し、肺では空気を消化あるいは酸素を吸収し、精神では感覚、感情、精神の体験を消化します。


ヴィヤナ・ヴァーユ

「外に向かう風」のヴィヤナ・ヴァーユは中心から周囲へと動き、すべてのレベルでの循環を制御します。食物、水、酸素を身体中に運び、精神の中で感情や思考を循環させ続け、勢いを授け強さを与えます。







5つのプラナはまた、体の場所という観点でも見られます。プラナ・ヴァーユは、頭から、身体のプラナの中心であるおへそへのエネルギーの動きを制御します。アパナ・ヴァーユは、おへそから背骨の先端である根のチャクラまでのエネルギーの動きを制御します。サマナ・ヴァーユが司るのは、おへそから全身へのエネルギーの動きです。ウダナ・ヴァーユは、おへそから頭へのエネルギーの動きをコントロールします。


簡単に言えば、プラナ・ヴァーユは物質の取り込み、サマナはその消化、そしてヴィヤナは栄養の循環を司っています。ウダナはプラスのエネルギーの解放、そしてアパナは老廃物の排泄を調整します。これは効率的な機械の働きにとても似ています。プラナは燃料をもたらし、サマナがその燃料をエネルギーに換え、ヴィヤナがそのエネルギーを様々な現場に循環させます。アパナは変換プロセスでできた廃棄物を処理します。ウダナはこうして造られたエネルギーを管理し、機械が効率的に機能させます。


健康の秘訣は、プラナを調和し続けることです。ひとつのプラナのバランスが崩れると、すべて繋がっているため、他も均衡を崩しやすくなります。大抵の場合、プラナとウダナはアパナのバランスを取っていますが、それはエネルギーを作る力が排泄のバランスをとるためです。同様にヴィヤナとサマナは、拡張や収縮という側面でお互いに調整し合っています。




プラナはどのように物理的な体を作り上げているのか


プラナがなければ、体はただの泥人形に過ぎません。プラナが、様々な微細の神経経路(ナディ)を造って、それ通して操作してエネルギーを与えて粗い物質を様々な組織や臓器の形に変え、このゼラチン質の塊りから手足や様々な内臓などを形作っています。


プラナ・ヴァーユは、頭部や脳から心臓までの開口部や経路を作っています。頭には、2つの目、2つの耳、2つの鼻の穴、そして口と7つの開口部があります。ウダナ・ヴァーユは、上半身の開口部、特に口と発声器官を作るプラナを補助します。口は、頭だけでなく全身のための開口部だからです。実際、ある意味では、身体は食べたり自己表現の主な臓器である口の延長なのです。


アパナ・ヴァーユは、尿生殖器と排泄など下半身の開口部を造ります。サマナ・ヴァーユは身体の中央部にある開口部、おへそを中心とした消化器をつくります。肝臓、膵臓などの臓器と腸との経路を開けています。ヴィヤナ・ヴァーユは身体の周囲を走る腕や脚などの経路を作ります。静脈や動脈、そして筋肉、腱、関節、骨などを形作ります。


おへそは、主に消化器官からなっている物理的な身体、つまりアンナマナヤ・コーシャの主なプラナの中心です。粗いプラナが食物として、小腸を中心とした消化プロセスに取り入れられ、主に筋肉などより重い組織に保持されます。しかし、プラナにはより微細なレベルでの機能に基づいた中心もあります。心臓はプラナマヤ・コーシャのエネルギーの主な中心です。呼吸で取り込まれたプラナは、心臓の機能で血液にのって運ばれていきます。頭は精神的な鞘であるマノヤマ・コーシャの中心で、主に目や耳からの感覚受容によってエネルギーがもたらされます。


呼吸は、体内のプラナ活動の主な形です。プラナ・ヴァーユが吸気を調整しサマナが酸素の吸収を司りますが、それは主に呼吸を止めている間に起こります。ヴィヤナはその循環を調整します。アパナは、
特に二酸化炭素の排出を管理しします。ウダナは会話や歌など呼吸を通したプラスのエネルギーを解放することで呼気を調整します。






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2026年2月6日金曜日

瞑想のための精神世界への地図 
A Meditator’s Map to the Mind


精神はまさに束縛と解脱の原因である
アムリタビンドゥ・ウパニシャッド(第二節)



ヨガの文献は、精神は心の道具だと述べています。記憶を保管し、希望や欲望を示し、日々の活動を調整します。しかし、日々の暮らしで中心の役割であるにもかかわらず、私たちはその精神そのものについてあまり考えません。「精神」とは何なのかを簡単にでも定義できる人もほとんどいません。


瞑想の実践者にとって、精神世界の実用的な知識とは地図のような者です。瞑想でどこに向かうのかどのように向かうのかを教えてくれます。幸い、ヨガ哲学は瞑想の実践を補う精神の地図を与えてくれています。物事を新しい方法で見るための扉を開け、私たちが何なのかの問題を解く手助けをしてくれます。では、瞑想でこの地図が示してくれる精神について見ていきましょう。



精神の風景


体験をまとめるためには、精神は体とつながらなければなりません。精神が外の世界の印象を受けとって外の世界で行動するのは、感覚の経路や感覚器(目、耳、手足など)を通してです。ですから精神と体は巧妙に統合されたチームなのです。


精神の機能に途切れはありませんが、ヨガではその活動を4つの領域に分けています。ひとつ目は日々の意識的な精神、マナスです。次に、微細で静かな体験の目撃者、ブッディ。三つ目は、個人、自己像という感覚であるアハムカラ。最後に、習慣や潜在的な印象(サムスカラ)の保管庫として働く、無意識にあるチッタです。






日々の精神


日々の精神であるマナスは、多くの場合「下位の」精神あるいは「世俗的な」精神と呼ばれます。マナスは、意識のスクリーンとして働き、外の世界の感覚的印象とすでに精神に保存された体験とを混ぜ合わせます。マナスの作用を通して、私たちは、錆色の腹をした羽の生えた生き物を見て、朝早くに始める歌を聞き、そしてその名前はロビンだと覚えているのです。


マナスまた、「どっちつかずの」精神とも呼ばれますが、それは情報を集めたり表示するのは得意なのに決断をするのは苦手だからです。休暇の行き先を選び、旅行に最適の日を選び、ルートを計画し、全旅程の費用を計算できます。しかし、行くか行かないかの決断はしないのです。結論には辿り着けません。そのため、行動の価値を特定する役目をもつ精神であるブッディを使う必要があります。


少し時間をとって、あなたのマナスの働きを確認してみましょう。以下を読んでから、少しとどまってあなたの周りの環境を受け止めてみましょう。

  • 意識のスクリーンに映り出される世界を見る

  • 耳から入ってくる周りの音を聞く

  • 触覚、味覚、嗅覚ももまた認識の多次元的なスクリーンにある意識に完全に溶け込んでいる様子に気づく

  • いかに周囲の物をすぐに認識できるか(名前がわかる、あるいはただ認識できる)、そして一貫性のある環境を組み立てることができるかに気づく

重要なのは、精神のスクリーンは外の世界からの印象を記録するだけでなく、印象を色付けすることにも気づいておくことです。過去の記憶は世界、未来のイメージ、現在の形と直面します。ブンブン飛ぶ蜂から逃げて、ふわふわの子猫を抱き上げます。セイリングのイメージは魅力的ですが、あなたのマナスが「日焼け止めを忘れないで!」と言います。欲望も記憶のどちらも常に思考の内容を形作っているのです。




静かなる目撃者


日々の精神というたくさんの活動を考えると、マナスが精神のCEOだと考えるかもしれません。その光景はいつも忙しく、歩いている時も夢を見ている時、夢を見ないで寝ている時もずっと続いています。しかし、その活動は仮面のような物で、人生のより深い次元を隠しています。瞑想者は、慌ただしいこのマスクに隠されたものを見て、もっと心を掴む精神の自然な穏やかさを見出せるようになります。


まさに、マナスの活動は眠りのようなものだと表現されることもあります。マナスは感覚的な体験や直感的な衝動を満足させること、日々の快楽の追求に焦点を向けています。ですから、うちから湧き上がる声は「起きろ!自分自身に戻れ!」と言っているのです。これが瞑想の目的であり精神的な旅のゴールです。けれど、それはどのようにして達成できるのでしょうか?


瞑想者にとっての第一歩は、下位の精神に安定した集中をすることです。通常その集中は呼吸やマントラなどです。これが意識を休ませるプロセスの始まりです。これを行うと、忙しい感覚が(空想の感覚も含む)あとからついてきます。静まりリラックスします。このように、精神に焦点を与えることでマナスの活動を落ち着かせることができます。


マナスが静まって落ち着くと、あなたは覚醒し始めます。静かな目撃者としての自分自身、すなわち他の精神活動を静かに観察する意識の中心への気づきを養います。


こうした覚醒が可能な意識の機能がブッディです。この言葉はサンスクリット語で覚醒するという意味の「Budh」からきています。興味深いことに、これはまさに瞑想中に起こっていることです。意識の静かな変化が起こり、マナスの注意散漫な感情が静まり、より穏やかで安定した精神が覚醒します。


ブッディの語源の動詞には他の意味もあり、どちらも瞑想中の精神の質に関係します。例えば、「意識を取り戻す」すなわちより深みにある自身の認識を取り戻すということ、または「注意を払う」すなわち精神を散漫にさせずに意識を集中させるということです。



これを感じるための簡単な実験をしましょう。目を閉じて呼吸の流れを感じ、以下の指示通りに行ってみましょう。

  • 数分間、力が抜けて吐く息と吸う息の心地よい感覚に意識が向くまで呼吸に集中します

  • 自身が呼吸をしているのではないというとてもシンプルなことに気づき始めます。自分は意識であり、呼吸の感覚を体験しているのです。

  • ブッディが何かをしているのを感じることはありません、が、静かに存在していることを感じます。ブッディである自身は、静かで穏やかな意識です。

  • そのまま呼吸を見つめながら精神を休ませます。マナスが落ち着いたら、そしてこのように注意が落ち着いたら、下位の精神を超えて進むことが可能です。精神活動を見ている自身に気づきます。


旅はここで終わりません。瞑想中は、無意識であるチッタに保存された体験の多数の層へ注意喚起する雑念が現れます。ブッディは、思考や感情、のちに日々の習慣やふるまいという形をとるこれらの印象を深く調べます。このプロセスで、ブッディは、思考(「休暇だ!」)を観察して保存し、その意味(「一年ぶりだ!」)の理解を形づくり、そして決定します。この決定は、執着に基づく物であれば馬鹿げた物にもなり得ますし(「何がなんでも行くぞ!」)、本当の必要性の評価に基づいていれば賢明なものにもなり得ます(「待望の休息が取れる」)。ブッディは決定者であり、覚醒していれば賢明な決定をすることを学びます。


しかしブッディが覚醒している間、日々の生活で助けてくれますが、瞑想の目的はただより良い決定をすることでも、より多くの人生経験を可能にすることでもありません。ブッディの覚醒は、自分自身に戻るのに役立つのです。自覚している意識の源であるうちなる真我の覚醒を取り戻す方法を示してくれるのです。


このプロセスはゆっくりと徐々に展開しますが、地図のない領域というわけではありません。自身を落ち着かせることから始め、下位の精神の活動を観察することを学び、内なる目撃者ブッディを覚醒させます。次回は、瞑想中の、無意識(チッタ)に対処する方法、自性(アハムカラ)を操る方法についてお話しましょう。ですが、今は、瞑想のために座って、精神の領域を認識するところから始めましょう。これ以上に美しく複雑な光景は、この世にありません。




2025年11月13日木曜日

2分で骨盤底筋を整える 
Tone Your Pelvic Floor (in 2 Minutes)



骨盤底筋は解剖学の中でも軽視されやすい場所です。調子よく活性されている時は、恥骨と尾骨の間を薄く覆っているこの筋肉は、おどろくほど様々な面で健康を支えています。膀胱機能の向上、規則正しい大腸の動き、痔の予防や緩和、生殖機能のバランスを整える、交感神経を鎮めるなどです。しかし、骨盤底筋が弱くなると、時と重力に負けて、次第に多くの問題が起こるようになります。





シンプルなエクササイズ



骨盤底の筋肉は、他の筋肉と同様、定期的に繰り返し使いながら、強化したり整える必要があります。以下のエクササイズはそうしたものです。

  1. 仰向きに横たわって、骨盤の近くに両足を置きます。身体と呼吸をリラックスさせて目を閉じます。

  2. 骨盤底に意識を向けます。恥骨と鼻骨の間にある筋肉を、尿道と肛門の括約筋、その間にある会陰も含めて全て収縮させます。(男性は会陰の中心を収縮、女性は子宮頸部も収縮しましょう)息を吸い込んでリラックスします。

  3. 息を吐き出し、エクササイズを繰り返します。できるだけ深く強く締めましょう。息を吸い込んで解放します。25回繰り返しましょう。呼吸が途切れないよう、そして顎や腹部、内腿など体の他の部分はリラックスし続けるよう確認します。

  4. できるだけ長く収縮を保ったまま普通の呼吸を続けて、終わります。

  5. もし疲れを感じたら可能な範囲で練習し、25回の収縮が楽にできるまで徐々に回数を増やしていきましょう。



練習する時間


筋力を維持するため、週に4回は練習しましょう。一度テクニックをマスターしたら、歯医者の待合室や、信号待ちの間、つまらない会議の間など、空いた時間に練習できます。やがては、ヨガポーズや呼吸法、瞑想を深めるために骨盤底筋を使うことができるようになるでしょう。



次の段階へ


強靭で柔軟な骨盤底は、霊的、精神的、肉体的にも生命力の貯蔵庫を支える基盤です。ヨガを練習している人は、このエクササイズがムーラ・バンダ(根元の鍵)の準備だと気づくでしょう。ムーラ・バンダはアーパナ(心身にある生命力の下向きの流れ)をコントロールするための微細な実践です。マスターすれば、心の安定が得られ直感や創造性が目覚めます。







https://yogainternational.com/article/view/tone-your-pelvic-floor-in-2-minutes/

2025年2月25日火曜日

パササナ(投げ輪のポーズ)のシーケンス Vol.2
A Sequence for Pasasana (Noose Pose)

 前回の続きです。

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4. マリチアサナ 3


ダンダアサナで、右脚を曲げて右足先を左腿内側の会陰近くに置きます。左脚はしっかり伸ばしておきます。右手を体の後ろにまわして少し肘を曲げます。肘で体側を押さないでください。体のエネルギーの流れだけでなく肩の動きも阻害します。息を吸い込んで、左腕を頭の方へ伸ばし、背すじを伸ばします。息を吐き出し、ツイストし、左わきの下の外側を右膝の外側へおきます。わきの下と膝の間はできるだけ近づけて、より曲げた脚の方へ腹部が移動するようにします。




今度は、立位ポーズのように脚を使いましょう。前腕が床と並行になるように手首の内側を床の方に向け、それから右へ捻ります。腕の骨を力強く後方へ引き、上背部をやや後屈します。保持してから、吸う息で解放し、反対側も行いましょう。


5. アルダ・マツエンドラアサナ


このポーズでは、手や腕を組む段階に進んでいきます。背中で肩を安定させて腕の骨頭を後ろへ引くことで、力強い背中側の腕組みを維持します。




ダンダアサナから、左膝を曲げて左足先を右脚の下へ滑らせて、左足先を右股関節の外側におきます。右足先は、左膝の外側の床へおきましょう。股関節の外側をしっかりと下ろします。息を吸い込んで、両脚をギュッと揃え、左膝と右足先どうしで押し合い、左腕を上げて背筋を伸ばします。息を吐き出して捻ります。


左手を左の膝頭の周りに置きます。左肘で少し右脚を押してより深く捻りましょう。右腕は体の後ろに置いて両わきから背筋を伸ばします。ホールドして、解放、そして反対側でも繰り返します。



6. マリチアサナ3(手を組む)


マリチアサナ3のこのバリエーションは、膝とわきの下のすきまがなくなるまで捻れるようになったら行いましょう。そうでなければ、最初のバリエーションをただ繰り返すようにしてください。腕と脚のすきまがほとんどなくなったら、両脚を使いながら左肘を脇へ広げて腕を内側に回転させます。左手を右の脛の前に滑らせましょう。アルダ・マツエンドラサナでしたように、右手をウエストラインの背中側へ回します。右手首の内側を床の方に向けて、両手を組みましょう。右踵は床に向かって押し続けます。右踵の内側を左膝内側へとアイソメトリックに引き込んで、右股関節の外側が下りるようにしましょう。それから、背筋を伸ばし、腕の骨を引き込んで、捻りましょう。保持して、解放し、反対側でも続けます。




7. パリヴリッタ・パールシュヴァコナアサナ(手を組む)


これは、最初に練習したパリヴリッタ・パールシュヴァコナアサナのより深いバリエーションです。今は手を組むことができないなら、無理しないでください。ゆっくり時間をかけましょう。体の声を聞いて、愛情を持って注意して対応しましょう。前回のパリヴリッタ・パールシュヴァコナアサナの指示に沿って入ります。両脚と体の背中側全てを強く保ちましょう。





右肘を開いて右前腕を左腿の下に通らせて脚の内側に沿って安定させます。左肩を背中に回して、腕の骨頭を後方へ下げ、左腕をウェストラインで曲げて、マリチアサナ3でやったように背中側で手を組みます。上背部で後屈し、両腕を安定して後方へ下げます。右の内腿を床から離すように引き上げ、右踵を床へ回し下ろして、より深く捻ります。保持して、解放、反対側で繰り返します。



8. マラアサナ


両足をそろえます。前屈して、30cmほど前の床に両手を置きます。足指の付け根に乗って体重を両手に移動し、股関節を踵に近づけて、脇の下の方へ両膝を開きます。前方へ屈んだら、踵を床に下ろします。踵が床に着かなければ、安定感を得るためにブランケットやタオルを折って踵の下におきましょう。もし可能なら、両足は離したり外に向けたりせず、そうでなければ調整しましょう。




両腕を体の前へしっかりと伸ばし、背筋を伸ばしながら頭をできるだけ床に近づけます。今度は、肘の内側を内へまわして横に向け、腕を内側へ回しながらわきの下を脚の下の方へとできるだけ下げましょう。


今度は、両肩を耳の方へしばらくの間すくめます。それから一方の腕を脛の下へと伸ばし、やや内回転させながら背中へと伸ばしましょう。反対側の腕も同じようにします。この「ベルトを締める」動きを何度か行ってポーズを深めます。保持して、両脚をしっかりと合わせ、背中をたっぷり伸ばすよう背中に呼吸を入れます。解放します。



ピーク・ポーズ

9. パササナ(バリエーション1)


壁の横に折りたたんだブランケットをおきます。ブランケットに踵をのせてタダアサナで立ちます。壁から前腕の長さの距離くらい離れましょう。息を吸って胸を持ち上げます。息を吐いて膝を曲げてスクワットします。今度は息を吸って、立位ポーズのように両足に力を入れて背筋を伸ばし、息を吐いて捻って、右わきの下の外側を左膝の外側へおきます。肩と膝の隙間を無くしましょう。





右手を右肩の高さで壁に置きます。必ず左肘を曲げたまま、左腕を壁に置きましょう。息を吸って両脚をぴったりと着け、背骨を伸ばして、息を吐き切り、壁の方へ捻ります。左手をアイソメトリックに床へと引き、背中の左肩甲骨に力をより感じるまで続けます。その力を保ったまま、右腕を左膝に押し付けて、もっと尾骨を引き、上背部の後屈をしながらより深く捻ります、保持、解放してから反対側で繰り返します。



10. パササナ(バリエーション2)


左肩と右脚の間の隙間をなくすことができたら、この手を組むバリエーションに進みましょう。前のポーズの指示すべてを繰り返します。左腕を内回転して、もう一度引きを横に広げましょう。左手を右脛の周りに伸ばし、前腕を左脛の前と左腿の外側あたりにスライドさせます。最後には、両脚の周りに回して組むことができるかもしれません。





右腕の骨を後方へ下げ、右腕をウェストラインで曲げて、手首の内側は下に向けたまま、背中で両手を組みます。両膝どうしをしっかりとつけて、股関節外側を働かせ、背骨を伸ばし、腕の骨を下げて、そして捻ります。保持、解放、そして反対側で繰り返します。




初めて試した時にこのポーズができる人はとても少ないです。練習が長期間続く努力を必要とするのと同様に、この難しポーズは、忍耐強く献身的な繰り返しを通してのみ可能となります。




準備ができたら、足の下のブランケットをよけて取り組んだ要素全てを取り入れ、
最後のポーズを練習しましょう。



このような深い股関節屈曲の後は、鼠蹊部のストレッチや腸腰筋のリリース、体をニュートラルに戻ることがとても効果的です。ですので、セツ・バンダ・サルヴァンガアサナで、体の前が伸びるよう脚の骨を通してストレッチして、この練習を締めましょう。スプタ・ヴィラアサナやワイパーのポーズもまた同様の効果があります。シャヴァアサナで時間をかけて心地よく休みましょう。

2025年2月20日木曜日

パササナ(投げ輪のポーズ)のシーケンス Vol.1
A Sequence for Pasasana (Noose Pose)

今回の記事はアドバンスのポーズのための練習法です。
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「責任・義務」という言葉は時に、とても自信のある人でさえもその出口戦略を見出すことに心配や不安を感じさせるものなのかもしれません。例えば、私の友人が最近とても好きな相手を結婚しました。けれど、「その日」の数週間前、彼女は突然不安に襲われました。もし自分の気持ちが変わってしまったら?彼が愛の誓いを守れなかったら?私は彼女に何が一番
不安なのかを尋ねました。彼女は涙をポロポロ流しながら叫んだのです「私は責任とか義務には向いていないのよ!」


この友達は、アサナやプラナヤマの練習を長い間続けてきました。私は、彼女がずっとこうした練習を熱心に続けてきたことを指摘しました。「それは、また違う」彼女は言いました「それは義務じゃないの。本当にヨガがしたいの」本気で?毎日?私は言いました。「1日も欠かさず練習したがる人なんて、聞いたことないわ」もちろん彼女の毎日というわけではないけれど、でも毎日練習してきたのです。「したい時もしたくない時も私はヨガをするの。そうやって長い間続けた努力から成果を得るの」私は、うまくいった結婚みたいだと思いました。


人間関係の多くを根付かせて育てるためには、こういったタイプの持続した責任や義務が必要です。パタンジャリは、こうした考えをヨガスートラの第1章14節ではっきりと説明していて、練習に専念するということを定義づけています。練習を確立するということは、すなわち練習が自身の堅固な基盤となるということと彼は述べています。長い間、敬意と愛情を持って続ければ確立されると。


私たちはみんな、故意であるかそうでないかに関係なく、何であれ習慣的に行うことができ、確かな習慣やルーチンを作ることができます。毎晩寝る前にお茶を飲むことだったり、毎日午後4時に犬を同じ道で散歩させることだったり、毎朝、朝食前に瞑想をすることだったり。敬意をもって取り組むことで何でも実践や練習にすることができます。そしてその取り組みが自分自身への約束となり、あまり考えずに行う作業やただ決めたルールではなく、向上したいという意思となるのです。


私たちの練習は、自身の価値や熱意を持って続けるに値するその追求を確かにする手段です。献身と敬意を観念的な理想と見るのではなく、マットの上でアサナをしている時もマットの外で自分のことや人間関係について取り組んでいる時も、私たちは敬意と愛情を持ち続けることができます。長い間繰り返し練習すれば、パタンジャリの言うように、安定した基盤を作ることができ、逆説的に言えば人生の中でより大きな自由に到達するのです。


ロチェスター大学宗教学教授であるダグラス・ブルックス博士は学生たちに、ヨガでは「自由は自由から来るのではない。自由は束縛から来る」と念を押します。ブルックス氏はヨガのことを「洗練された束縛」と呼び、心の中で真実だと信じるものに従って生きる自由をその実践者に与えるのだと。有害で思慮のない習慣にはもはやとらわれず、実践者は、死と蘇りという究極の束縛、つまりサムサラからの自由を見つける力を得るための練習を完璧なものしようと献身しています。いったん精神的な安定を得られれば、自由に自身の心の叡智に耳を傾けたりそれに従って人生を生きることができます。


パササナ(投げ輪のポーズ)は、束縛と自由、義務と献身を体験させてくれます。深いねじって腕を組むこのポーズは身体的に、背骨を自由に深くねじれるような強固な土台をつくるため、両脚と股関節を強く働かせなければなりません。ねじりが深くなればなるほど、肩を開き脚の後ろで手を組みながら、胸や肺でしっかりと呼吸し、喜びと解放感を感じることが容易になります。


比喩的には、パササナの安定した土台は約束の力を、ねじりの動きは最も深い真実を中心におくという私たちのゴールを表しています。組んだ手は中心にある価値に留まることを表現します。そして練習が時間をかけて持続する努力を必要とするように、この難しいポーズは熱心に継続して繰り返し練習することのみで完成することができます。最初に試したときにこのポーズができる人はとても少ないのです。では、実際のレベルは?パササナは空腹時にだけ行いましょう。また膝や腰に問題がある、椎間板ヘルニアの場合はこのポーズは行わないでください。


今回のシーケンスを練習するときは、全てのポーズで決まった数の呼吸を続けてください。すべてのポーズでウッジャイ呼吸を5回行うこと、あるいは前もって決めた時間ポーズを保つことで、自身で境界を決めることができ、それが皮肉にも自由を与えてくれます。これで、少し不快感を感じた時にモゾモゾしたりポーズをやめようかなと思ったりすることなく、ポーズに注意を向けることができます。体力やスタミナ、経験に応じて30秒から1分間やってみましょう。


もちろん、ポーズの間痛みを感じるべきではありません。痛みが生じたり呼吸が乱れたら、ポーズをやめましょう。これらの境界は厳格ではありません。自分自身の練習に取り組んでください。最大の効果を得るために同じポーズを2回以上するのがいいと思うかもしれませんし、繰り返すことでより学び向上できると感じるかもしれません。



パササナ(投げ輪のポーズ)の準備


1. パールシュヴォッタナアサナ

タダアサナから、両手を背中で合わせて合掌します。肩が硬いと感じたら、背中で両肘を掴むか指を組みましょう。背中に肩甲骨を引いて寄せます。両腕の骨頭つまり上端を背面へと動かします。この動きによって肩が安定し、胸をより大きく開くことができます。



息を吸い込んで、両足を1ー1.5mほど開き、右脚は外側へ左脚は内側へしっかりと回転させます。まず両脚の次の3つの力強い動きに注目しましょう。筋肉を骨に向かってまとめる、両脚は強く引き寄せあう、そして足先のエネルギーを股関節に引く。尾骨は引いて下腹部をおへそに向かって引き上げ、胸を上げながら頭頂に向かって背骨を伸ばします。二重顎を作るかのように首を戻して、空に向かって顔を上げましょう。




息を吐き出して、股関節から前屈します。胴部を下げながら、右足の指の付け根でアクセルペダルを踏みこむのをイメージします。かかとを地面に着けたまま、指の付け根を通って後方の足が床の方へ重たく感じるまで押します。この動きで、重みを均等に両足にかけることができ、前方の脚が過伸展するのを防ぎます。まず額をすねに向けて、それから顎をすねに向けていきます。このポーズで5回しっかりと呼吸するか、自分で決めた時間まで保持しましょう。


息を吸って、後方の脚を押して、立ち上がります。反対側で繰り返します。



2. ガルーダアサナ

タダアサナで立ち、右脚を曲げます。左脚を右脚の周りにからませます。左足首を曲げて右脚のふくらはぎに後ろに置いて、つま先は床の方へ向けておきます。左足が安定しなければ、もう一度やってみましょう。右脚をより深く曲げて左脚をもっと高く持ち上げ右脚の上の方へからめてみます。または、左足先を右足首の外側にそっと置いておきましょう。今度は、左腕を右腕の下にして、肘と手首で交差します。できるだけ両手のひらを近づけましょう。


軸足を深く安定させ、からめた脚と強く合わせます。今度は、できるだけ後方へ上背部を引き上げます。両脚の強さを維持しながら、ウェストで前屈し、脇腹を後方へスライド、魔女の猫のように背中を膨らまします。背を丸めて両肘を上の脚の外側へ動かします。この前屈によって股関節が開いて背中が伸び、次のポーズの準備となります。ホールドして解放したら、反対側でも繰り返しましょう。



3. パリヴリッタ・パールシュヴァコナアサナ


タダアサナから両足を1.2-1.8mほど開きます。右脚を外側へ回転させて、股関節がマットの前端の並行になるまで左足指の付け根を軸に回旋します。息を吸い込んで両脚に強く働かせ、筋肉を骨にまとめ、股関節に向かってエネルギーを引きます。左腕を頭上に伸ばして背骨を伸ばします。息を吐き出して、少し背中を丸めて、前の脚の上で上半身を捻ります。左の脇の下の外側を右膝の外側におきましょう。左手は床かブロックに乗せます。


ねじりが安定していると感じたら、前屈をやめます。胸を上げて頭と尾骨が一直線になるよう上背部を開きます。ねじりを深めるには、安定性を作るため両脚に力をこめ、上半身の左右両側が同じ長さになるように右の腰と右脇の下の間を伸ばします。もっと捻っていきましょう。右腕を頭上にあげて上を見ます。ホールドして解放したら、反対側も繰り返しましょう。



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次回に続きます。








(出典)https://yogainternational.com/article/view/exquisite-bondage-pasana-noose-pose/

2025年2月12日水曜日

ゴムカアサナからより多くを得るために 
Get More From Your Gomukhasana


ゴムカアサナ(牛の顔のポーズ)は複雑なポーズです。股関節の屈曲、外旋と内転、そして肩の屈曲ともう一方の肩の伸展、内転を通して、股関節と肩を深く開きながら胸を開きます。その複雑性のおかげで、ゴムカアサナには上半身にも下半身にも多くの効果があり、姿勢や機能運動を改善したり、肩を深く開いたり手を組んだりする他のポーズ、エーカ・パダ・ラジャカポタアサナ(片足の鳩王のポーズ)など深く股関節を開くポーズなどへの準備になります。



ゴムカアサナの対象となる部分(肩・胸・股関節)は、特に長時間座っている人にとって
は、問題が起こりやすい箇所です。臀筋の上に一日中、受動的に座っていることでそれが弱く硬くなり、タイピングや食事、車の運転、腕で何かを押す動き、メールを打つ動きなどにより胸と肩(特に三角筋前部)は硬くなります。ゴムカアサナは、いくつかの調整をすれば、こうした問題すべてに対処できる素晴らしい方法です。






ゴムカアサナの入り方


では最初から始めましょう。まず四つ這いになり、右脚を前に引いて右膝を左膝のすぐ前で交差させます。今度は左足を右方向へと開き、両踵が腰よりも広い幅にして置きましょう。両手を後方へ歩かせて、床の方へと腰を下ろします。先に左の股関節が下りるので、右も下ろしましょう。ゆっくりと動いてください。両方のお尻を下ろすことが難しい場合は、左脚(下の方)を前に伸ばすか、ブランケットの上に座りましょう。



左かかとの上には座らないで、両方の坐骨が床(やブランケットなど)にしっかりと着くようにしてください。右膝を左膝の上に重ねてみましょう。でも、無理はしないでください。完全に重ならなくても大丈夫です。背筋を伸ばして座り、骨盤から離すように胸郭を持ち上げます。腰が曲がらないよう(前屈みにならないよう)に気をつけて、骨盤を前傾し、坐骨は後方へと伸ばします。そうすることで、体幹の筋肉とのつながりを見失わないようにします。お腹は優しく引き上げて、腰が反りすぎたり胸郭が前に突き出ないようにしましょう。胸を持ち上げて、頭頂まで背筋を伸ばします。



ポーズの上半分を作るには、右腕をまっすぐ上げて左腕を体の脇でまっすぐ下げます。両方の肘を曲げ、右の手のひらと左の手の甲の両方を背中に着けます。指先どうしを着けてみましょう(無理しないで)。もし届かなければ、ストラップやタオルなどを使ってつなぎ、両手はただ背中に休ませておきます。指先を這わせて近づけた時にポーズに何が起こるのかに気づきましょう。顎はあまり上げたり下げたりしないように、床と並行に保ち、首の後ろ全部を長くします。



ほとんどの人はゴムカアサナは上げた方の腕が重要だと思っていますが、実際には下方の腕により焦点を当てて、肩の回旋腱板(特に肩甲下筋)や菱形筋などを強化し、周知の通り固くなった胸筋と前部三角筋をストレッチすることで、肩により多くの効果を得ることができます。そのためには、上がりやすい右肩を上げずに両肩を床と並行にする必要があります。
両肩を揃えることで、両手を繋ごうと背骨を横に曲げることなく、肩甲体をストレッチすることができます。次に、左(下方)の肩を後方へ回転させながら肩甲骨どうしをやさしく寄せましょう。これによって左三角筋前部、つまりこのテクノロジーに囲まれた世界に住む私たちの多くが硬くなってしまっている部分のストレッチが深まります。これをするには、両手をもっと離す必要があるかもしれませんが、長期的にはより効果的です。このポーズをホールドして、呼吸しましょう。



顎のまわりをリラックスして、頭頂に向かって背筋を伸ばしてみます。このポーズによって、肺に力強い呼吸がもっと入ってくるのを感じましょう!背骨と胸郭のまとまりを保つため体幹を使い続けるのを忘れないでください。



ゴムカアサナの素晴らしいところは、上半身と下半身の要素をどちらも選ぶことができることです。どちらか片方を選んで、体のその部分を開くことに本当に集中することもできます。股関節のストレッチを強めるには、例えば、背骨をまっすぐに保ったまま股関節で前屈(対象としている股関節の可動域を狭めることになるため背骨を丸めないようにしましょう)し、坐骨を後方へ放つことに集中します。



上半身の要素は、特にデスクの前や椅子の上に長くいる人にとって、一日中取り入れられる素晴らしいストレッチです。毎日何回か休憩時間にこのストレッチをすることで、姿勢が大きく改善するだけでなく肺により多くの酸素を取り込めるためエネルギーレベルも改善されるでしょう。



ゴムカアサナはまた、他の多くのポーズの効果的な準備になるポーズでもあります。上半身の要素は、ウッティタ・パルシュヴァコナアサナ(体側を伸ばすポーズ)やシュヴァルガ・ドヴィジャサナ(極楽鳥のポーズ)などの手を組むポーズの準備となります。下半身の要素では、鳩のポーズやベイビークレードル、エーカパダ・ガラヴァアサナ(飛ぶ鳩のポーズ)、アグニシュタンバアサナ(薪のポーズ)などの股関節を深く開くポーズの準備に役立ちます。




こうしたちょっとした微調整に意識を向けて、ゴムカアサナで股関節と肩の可動域が前よりも良くなって、より深い練習へと誘ってくれるのを確かめましょう!



2024年11月15日金曜日

プラティヤハラ:忘れられたヨガの支則 Vol.3 
Pratyahara: Yoga’s Forgotten Limb


前回の続き、最終回です。

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1. 同一の印象に集中する

精神を浄化し感覚をコントロールするもうひとつの方法は、例えば海や青い空を見つめるなど、同一の印象に意識を向けることです。不規則な食生活や相入れない質の食べ物が消化機能をショートさせるように、耳障りで過剰な印象によって印象を消化する能力も混乱します。そして消化力を向上させるには断食や、モノ・ダイエット(アーユルヴェーダでお米とムング豆のキチャリを食べるように)が必要であるのと同様に、精神の消化力も自然で同一の印象を取り入れて印象を断つ期間が必要なのかもしれません。


2. 肯定的な印象を作る


五感を制御するもうひとつの方法は、肯定的で自然な印象を作り上げることです。これには数多くのやり方があります。木や花、岩などの自然のものに対して瞑想する、または公的的な印象や思考の宝庫である寺院や聖地などを訪れるなどす。肯定的な印象はまた、お香や花、ギーのランプ、祭壇や礼拝に関する工芸品などを使うことで作り出すことも可能です。



3. 内的な印象を作る 


五感から離れるテクニックは他に、内側にある印象に精神を集中する、すなわち外側の印象から意識を遠ざけることです。想像力を働かせることで自身の内側にある印象は作り出すことができ、肉体の感覚が静まって初めて作用し始める微細な感覚に繋がることもできます。



視覚化すること


視覚化するることは、内側の印象を作り出す最も簡単な方法です。実際に、ヨガの瞑想の実践は、神やグル、自然の美しい景色などを思い浮かべることから始まります。神やその世界を思い浮かべる、または想像した神様に花や宝石をお供えするなど心の中で儀式を行うなどで、より複雑に視覚化することができます。心の中の景色に没頭するアーチストや、音楽を作り上げるミュージシャンも心の中で視覚化しています。これらはみなプラティヤハラなのですが、なぜならこれらは外的印象の精神域をクリアにし、瞑想の基盤となる肯定的な内的印象を作り上げるからです。準備としての視覚化は、ほとんどの瞑想に有用となり、他の霊的な実践に取り入れることもできます。





ラヤ・ヨガ


内なる音や光の流れのヨガであるラヤ・ヨガでは、粗い感覚から身を引いて微細な感覚へと集中します。この内なる音や光へと身をひくことは、精神を変容させる方法のひとつでインドリヤ・プラティヤハラのもうひとつの形でもあります。




プラナをコントロールする


五感のコントロールには、プラナの成長とコントロールが必要となりますが、それは五感がプラナ(生命力)の流れであるからです。プラナが強くなければ、五感をコントロールする力を持つことはできません。プラナが乱れたり混乱していれば、五感もまた乱れたり混乱します。


プラナヤマは、プラティヤハラの準備です。プラナはプラナヤマで集められ、プラティヤハラで内に入ります。ヨガの文献では、体のあらゆる部分からプラナを内にひく方法が述べられています。つま先から始め、頭頂や第3の目、心臓、あるいは他のチャクラなど意識を留めたいと思う場所で終えます。


おそらくプラナ・プラティヤハラの最良の方法は、死のプロセスを心に浮かべることでしょう。生命力であるプラナが体から離れ、足から頭まで全ての感覚が遮断されます。ラマナ・マハリシは、彼がたった17歳の少年の時にこれによって自己実現を果たしました。真我を深く探る前に、彼は自分の体が死にプラナが精神へ、精神が心臓へとと引き込まれるのを心に浮かべました。このような完全で集中したプラティヤハラがなければ、彼の瞑想のプロセスは成功しなかったでしょう。




行動をコントロールする


感覚器(目や耳など)に加えて、私たちはまた(手や舌など)運動器官を持っています。運動器官を制御することなくしては感覚器官をコントロールすることはできません。実際、運動器官は外界と直接関係しています。感覚を通して入ってくる衝動は運動器官を通して現れ、そしてこれがより強い感覚を得たいと想わせるのです。しかし、欲望は終わりがないため、幸福を得るためには、私たちが欲しているものを得ることではなく、外の世界からもう何も必要がなくなった時なのです。


印象の正しい取り込みが感覚器官のコントロールを可能にするように、正しい仕事や正しい行動は運動器官のコントロールを可能にします。これは、カルマ・ヨガで、人生に必要な行動を取ること、そして欲望や自己満足に基づく行動を避けることです。カルマ・ヨガには二段階あり、外に向けた行動や奉仕(セーヴァ)、そして様々な形式の儀式から成る内に向けた行動です。


カルマ・プラティヤハラは、神や人類全体に対する奉仕として行動することで、自分の行いに対する個人的な報酬に関するあらゆる思考を放棄することで実践することができます。バガヴァッド・ギータでは、「あなたの義務は行動することであり、行いに対する報酬を求めることではない」と書かれています。これは一種のプラティヤハラです。それはまた、運動器官のコントロールにつながる禁欲の実践も含まれます。例えば、アサナは手足をコントロールするために使われることがありますが、それは長時間、静かに座る際に必要とされるコントロールです。




精神を引いていく


ヨギたちは、精神は6つめの感覚器であり、他のすべての感覚器を調整する役割を持つといいます。感覚の印象は、精神の気づきがある場所でのみ受け取ることができます。例えば、テーブルからコップを。持ち上げる時に手の動きに合わせて目が見るものを関連づけることで、精神もまた感覚器官や運動器官を調整します。ある意味では、私たちは常にプラティヤハラを実践しているのです。精神の気づきには限界があり、精神を他の印象から遠ざけることである一つの印象に注意を向けることができます。私たちが意識を向ける場所がどこであっても、その他のものは自然に見落としてしまうものなのです。


意識をそこから遠ざけることで、私たちは感覚をコントロールしています。ヨガ・スートラによれば、「感覚がその対象そのものを確認するのではなく精神の本質を再現する時、それはプラティヤハラである」より明確に言えば、それはマノ・プラティヤハラ、つまり感覚を対象物から引いて精神の本質という内面、つまり形のないものへと向けることです。ヨガ・スートラにおいてヴィヤサは、精神は女王蜂のようなものであり、感覚は働き蜂のようなものだと解説しています。女王蜂が向かうところはどこでも他のすべての働きバチが従います。ですから、マノ・プラティヤハラは感覚のコントロールというよりは精神のコントロールなのですが、それは精神がコントロールされれば感覚もまた自然にコントロールされるからです。


不健全な印象が現れた時は、そこから意識的に注意を逸らすことで、マノ・プラティヤハラを実践することができます。これはプラティヤハラの最も高度な形で最も困難です。感覚や運動器官、プラナをコントロールすることに熟達していなければ、機能することは困難です。野生動物のように、プラナや感覚は弱い心を簡単に打ち負かすため、多くの場合、より実際的なプラティヤハラから始める方が良いでしょう。




プラティヤハラとヨガの他の支則


プラティヤハラは、ヨガの全ての支則に関係しています。アサナからサマディに至るまですべての支則にはプラティヤハラの局面があります。例えば、アサナの最も重要な面である座位のポーズでは、感覚器官と運動器官のどちらもがコントロールされています。プラナヤマはプラティヤハラの要素を含んでいて、呼吸を通して注意を内面に引き込みます。ヤマとニヤマは非暴力や知足など様々な原理や実践を含みますが、それは感覚をコントロールするのに役立ちます。言い換えれば、プラティヤハラはヨガの高度な実践のための基礎を与えてくれ、そしてそれは瞑想の基礎となります。プラナのコントロールであるプラナヤマの後、精神とプラナを結びつけることで、肉体という領域から出ていくのです。



プラティヤハラはまた、ダーラナとも関連性があります。プラティヤハラでは、通常の障害となる心の乱れから注意を引いていきます。ダーラナでは、マントラなど特定の対象物にそうした注意を意識的に集中させます。プラティヤハラはマイナスの実践ですが、ダーラナは同じ基本的機能でプラスの局面を持っています。




最も重要な支則


瞑想の実践を何年も行ってきたけれど、期待通りには達していないと感じる人は多いでしょう。ある程度のプラティヤハラのない瞑想を実践しようとするのは、穴の空いた器で水を汲もうとするのに似ています。どんなに水を入れても、それはまた流れていきます。感覚とは心の器の穴のようなものです。穴を閉じなければ、精神は真実の蜜を保つことはできません。瞑想をしたり感覚に耽ったりする人にはプラティヤハラが必要です。


プラティヤハラは、瞑想のために心を準備する様々な方法を与えてくれます。また、心理的な痛みのもとである環境的な障害を避ける手助けとなります。プラティヤハラは、人生をコントロールし、内面の存在を開くための素晴らしいツールです。何人かの偉大なヨギが
「ヨガの最も重要な支則」だと呼んだのも不思議ではありません。私たちは皆、実践にプラティヤハラを含めることを忘れてはならないのです。







2024年10月27日日曜日

プラティヤハラ:忘れられたヨガの支則 Vol.2 
Pratyahara: Yoga’s Forgotten Limb


前回の続きです。
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五感の制御


五感の制御、インドリア・プラティヤハラは、プラティヤハラで最も重要とされますが、マス・メディア志向の文化にいる私たちにはあまり耳にしたくないものでしょう。テレビやラジオ、コンピューター、新聞や雑誌、本など常にありとあらゆる刺激により、ほとんどの人が感覚過剰な状態になっています。商業主義の社会は、五感を通して興味を刺激することで機能しています。いつも明るい色や騒がしい音、ドラマチックな感覚を突きつけられています。ますますより多くの感覚的な楽しみにふけるようになっています。そして私たちの社会での娯楽とはとういったものがほとんどです。


問題は、そういった感覚というのは、躾されていない子供のように自分の意思を持ちとても衝動的な性質を持っていることです。五感は何がしたいかを心に伝えます。もし躾しなければ、五感は私たちを支配し、その終わりのない要求が心を乱します。私たちはいつも知覚が働くことに慣れていて、心を静かに保つ方法を見失っています。感覚の世界とその魅力の人質となってしまっています。五感に訴えるものを追い求めて、人生のより高度な目標を忘れています。こうした理由から、プラティヤハラは現代の私たちにとって最も重要なヨガの支則なのでしょう。


昔のことわざ「精神には意思があるが、肉体は弱い」は、五感を正しく制御する方法を学んでいない私たちに当てはまります。インドリア・プラティヤハラは、精神を強くし肉体への依存を減らすためのツールを与えてくれます。そうした制御は抑制(最終的に反発を起こしてしまう)ではなく、正しい調整と動機づけなのです。




印象を正しく受け入れる


プラティヤハラは、印象を正しい受け入れることです。私たちの多くは、何を食べるか誰と居るかに注意を向けますが、五感から入ってくる印象については同様の識別を行いません。個人の生活では決して許さないような印象をマスメディアを通して受け入れています。現実の生活では決して家に入れないような人々が、テレビや映画を通して家の中に入ってくるのを許しているのです!


毎日どんな印象を取り込んでいるのでしょう?それが私たちに影響を及ぼすことなどないと考えられるでしょうか?強い感覚は精神を鈍らせ、鈍った精神によって私たちの行動は無神経で軽率で、暴力的ですらなり得ます。


アーユルヴェーダでは、五感による印象は精神の主な食物です。精神域の背景は、五感の印象に支配されています。これは、精神が最後に聞いた歌や最後に見た映画などの印象を思い出す時に見られます。ジャンクフードが体を不快にするのと同じく、ジャンクな印象は精神を不快にします。ジャンクフードはたくさんの塩や砂糖、スパイスで味つけられていますが、それはほとんどが死んだ食物だからです。同様に、ジャンクな印象は強くドラマチックな印象(セックスや暴力)で現実であるかのように感じさせますが、それは実はそれらがただスクリーンに映し出された色にすぎないからです。


私たちが何者なのかについて、五感の印象の役割は無視することはできません。というのも、印象が潜在意識を築き、その中にある潜在的な傾向を強めるからです。印象をコントロールせずに瞑想をしようとすれば、潜在意識は私たちと闘うこととなり、精神の安定や明快さを作り出すことはできません。




五感から離れる


幸運なことに、私たちは五感の印象の嵐の前でどうすることもできないというわけではありません。プラティヤハラが正しく管理する実際的なツールをたくさん与えてくれます。おそらく印象をコントロールする最も簡単な方法は排除する、つまり五感から入ってくる全てのインプットからしばらく離れることです。断食が肉体に効果があるように、印象を断つことは精神に効果があります。これは、目を閉じて座って瞑想する、通常の五感の嵐から離れた場所(例えば山小屋など)に逃避するなど簡単にできます。


ヨニ・ムードラ(またはシャンムクティ・ムードラ)は、五感を閉じるための最も重要なプラティヤハラのテクニックの一つです。手の指を使って、頭部の感覚器(目、耳、鼻、口)をブロックして、意識とエネルギーを内側へと動かします。プラナヤマの練習をしたすぐ後など、プラナのエネルギーが強い時は短時間で効果があります。(もちろん、酸欠になるほど口や鼻を閉じてはいけません)


五感から離れるもうひとつの方法は、感覚器は開いたまま注意を内側へと引き込むことです。この方法では、実際に感覚器を閉じてしまうことなく、印象の取り込みをやめます。最も一般的な方法はシャムバーヴィ・ムードラで、目を開けたまま座りながら意識を内側に向けますが、いくつかの仏教の瞑想で使われるテクニックです。この感覚を内側に向けることは他の感覚、特に聴覚も同時に行うことができます。日々の生活のまま五感が働いている時でも、精神とコントロールするのに役立ちます。


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次回にまだまだ続きます。


2024年10月25日金曜日

プラティヤハラ:忘れられたヨガの支則 Vol.1 
Pratyahara: Yoga’s Forgotten Limb

ヨガって何でしたっけ?
やせるため、健康のための運動?若々しく綺麗でいるためのストレッチ?
さて、大事な物を忘れてしまっているかもしれません。

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プラティヤハラそのものがヨガと呼ばれるのは、ヨガ・サダナ(日々の鍛錬)の中で最も重要なものだからである ー スワミ・シヴァナンダ







ヨガは、精神修練の広大なシステムで、精神の成長のための手段を与えてくれます。私たちの本質の様々な側面を理解する方法や、そんな本質と私たちの内側や周りに存在するより大きな世界とを調和させる方法を授けてくれます。この素晴らしい精神科学は、私たちの可能性が最大に展開するのを実現する方法を示しています。


この目的を果たすため、伝統的なヨガのシステム(アシュタンガ・ヨガ)は8つの支則を取り入れており、それぞれが役割や機能を持っています。8つがまとまって精神を解放するための完全なシステムを作り上げている。この8支則とは、ヤマ(禁戒)、二ヤマ(勧戒)、アサナ(坐法)、プラナヤマ(調気法)、プラティヤハラ(制感)、ダーラナ(集中)、ディヤナ(瞑想)、そしてサマディ(三昧)です。これらの中で、プラティヤハラが最も知られていないでしょう。ヨガの指導者であっても、どれだけの人がプラティヤハラを明確に示せるでしょうか?プラティヤハラのクラスに出たことがありますか?プラティヤハラについての本をみたことがありますか?重要なプラティヤハラのテクニックのいくつかを思いつきますか?ヨガの実践の中でプラティヤハラを行っていますか?しかし、プラティヤハラを理解しなければ、ヨガの不可欠な部分を欠いていることになります。この側面がなければ、このシステムは機能しないのです。




ヨガの内側と外側の側面



ヨガの外的側面は、正しい生き方、正しい体の使い方、そして生命力を高めることから成っています。これが、ヤマやニヤマ、アサナ、プラナヤマです。ヤマとニヤマは、非暴力や誠実などの価値観や清浄や知足などの実践を通して正しい鼓動の基礎を作ります。アサナは体を強く柔軟にさせ、プラなヤマは生命力を高めてくれます。


ヨガには、瞑想やより高度な意識の開発などの内的側面もあります。これこそがヨガの目的であるダーラナ、ディヤナ、サマディがひとつのプロセスとして形を成したサンヤマで、広い意味では瞑想のことです。


八支則の5段階目として、プラティヤハラは中心に存在します。ヨガの外的側面のひとつだとする人もいれば、内的側面とする人もいます。どちらの分類も正しく、その理由はプラティヤハラがヨガの内外的側面の関係への鍵であるからです。次へどう進むのかを教えてくれます。


アサナから瞑想へと直接に進むことが可能な人はほとんどいません。これは、体から精神の間に何が存在しているのかを見失ったままジャンプしなければいけないからです。この移行を行うためには、まず体と精神を繋いでいる呼吸や五感を制御して正しく開発しなければなりません。ここでプラナヤマとプラティヤハラの出番です。プラナヤマによって生命力と心拍をコントロールし、プラティヤハラによって手に負えない五感を制御します。このどちらもが、瞑想を正しく行うために必要不可欠です。



プラティヤハラとは?



「プラティヤハラ」という言葉は「Prati」と「Ahara」という二つのサンスクリット語から成っています。「Ahara」の意味は「食物」あるいは「外側から自分自身へ取り込むもの」です。「Prati」は「逆らって」や「離れて」を意味する前置詞です。つまり「Pratyahara」とは文字通り「aharaの制御」あるいは「外的影響の統制」という意味です。これはこれまでカメが甲羅の中に引っ込むことに例えられてきました。甲羅は精神で脚は感覚です。一般的に「感覚から離れる」と訳されますが、より多くの意味を含んでいます。


ヨガの考えでは、アハラつまり食物には3つの段階があります。まずひとつめは、体を育むために必要な5要素(土、水、火、風、空)をもたらす物理的な食物です。ふたつめは、精神を育むために必要な微細物質をもたらす五感(聴覚、触覚、視覚、味覚、嗅覚)です。各感覚は、聴覚が空、触覚が風、視覚が火、味覚は水、嗅覚は土というように微細な要素から成っています。みっつめのアハラは私たちの人間関係で、魂を育み私たちのグナ(サットヴァ、ラジャス、タマス:調和、混乱、怠性の根本的質)に影響を与える心の中にある人々です。


プラティヤハラには二面性があります。間違った食物、間違った感覚、間違った人間関係から離れると同時に、正しい食物、正しい感覚、正しい人間関係へと向かっていきます。正しい食生活や正しい人間関係がなければ精神的な印象を制御することはできませんが、プラティヤハラで最も大切なのは、感覚が作る印象から離れ制御することであり、それによって内側へと向かう精神を自由にすることができます。


否定的な感覚から意識を離すことによって、プラティヤハラは精神的な抵抗力を強化します。健康な体が毒素や病原菌に抵抗するのと同じく、健康な精神は否定的な感覚が周囲に影響を与えるようとするのに抵抗します。もし周りの騒音や混乱ですぐに心が乱れてしまうなら、プラティヤハラを実践する必要があります。それがなければ、瞑想することはできません。


プラティヤハラには主に4つの形があります。インドリア・プラティヤハラ(五感の制御)、カルマ・プラティヤハラ(行動の制御)、プラナ・プラティヤハラ(プラナの制御)、そしてマノ・プラティヤハラ(五感から離れる)です。それぞれに特別な方法があります。


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次回に続きます。







2024年9月6日金曜日

全てのレベルで癒すアーユルヴェーダの知恵 Vol.2
Ayurvedic Wisdom to Address Healing on Every Level

 前回の続きです。

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バランスを取り戻す


癒しの基本は自分の特性を理解することなので、アーユルヴェーダによれば、健康を取り戻すためには正確な属性や生まれ持った特質、病気の構造などを理解しなければなりません。体内のバランスを作る知性が身体そのものにあり、アーユルヴェーダはそのプロセスを助けるのです。アーユルヴェーダの治療は全て、ヴァータ、ピッタ、カパのバランスを築くように考えられています。そしてそれは、毒素の排出と中和の2通りの方法で行われ、どちらの方法も肉体レベルと同様に感情レベルにおいても効果的です。







感情を解放する


怒りや恐れ、不安、いらいら、嫉妬、所有欲、貪欲は人間誰もがもつ感情です。私たちの文化においてそれらは良くないものとされるため、多くの人はそうした感情を表に出さないことを子供のころ身につけます。その結果、そうした感情を自然な表現を幼い頃から抑え始めます。アーユルヴェーダでは、こうした感情は解放すべきだとされています。なぜなら、抑えることでバランスの崩れが生じ、それが結果として病気を生む毒となるからです。


否定的なものに対処するアーユルヴェーダのテクニックは、観察と解放です。例えば、怒りが起こる時、そのことにしっかりと気づき、初めから最後までその感情がどう展開するかを見つめます。この観察で、怒りの本質を知り、そして解放します。手放すのです。全ての感情に対してこのように対処することができます。


恐怖はヴァータに、怒りはピッタに、そして貪欲、嫉妬、所有欲はカパに関連があります。恐怖が押さえつけられると腎臓が乱されます。怒りは肝臓、貪欲や嫉妬、所有欲は心臓や膵臓に影響します。




浄化


毒素はまた、悪化したドーシャが生物学的な炎(アグニ)に影響を与えた時に作られます。そしてその結果、消化や代謝、吸収に影響を与えます。つまり、消化、吸収、同化されなかった食べ物がアーマとして体内に残り、不均質で不健全な粘りのある物質として組織に癒着し、経路に詰まり、毒性をつくります。それが血液に入り毒血を作り、病気の根本原因となります。このアーマの根本原因は、アグニを攻撃する悪化したドーシャであり、消化や代謝の力を下げます。


浄化(ショーダン)の目的は、体から過剰なドーシャとアーマを取り除くことです。ドーシャとアーマを体内の深部から、排出することができる場所まで移動させる最初の手順(プールヴァカルマ)も含まれます。その後、5つの手順(パンチャカルマ)でそれらを取り除きます。過剰になった不純なカパを取り除く嘔吐セラピー(ヴァマン)や、過剰なピッタを取り除く腸を下すセラピー(ヴィレチャナ)、過剰なヴァータを取り除く浣腸セラピー(バスティ)。ナシヤは特定の薬草パウダー、薬を加えた調合オイル、そしてギーを鼻に入れてプラナや精神、意識を浄化します。ラクタ・モクシャは、伝統的な瀉血あるいは特定の薬草を使った血液の浄化です。




毒素の中和


体のドーシャのバランスを整え落ち着かせる中和法(シャマン)には7タイプあり、火を燃え立たせる(ディパン)、毒性のあるアーマを燃やす(パチャン)、断食(クスッド・ニグラハ)、脱水を保つ(トゥルット・ニグラハ)、ヨガのストレッチ(ヴィヤヤマ)、日光浴(アタップ・セーヴァ)、そして呼吸です。シャマンは主に精神的な浄化法で、パンチャカルマを行うには体力が弱い人、そして感情的な問題のある人などに適しています。免疫やアグニに影響する慢性的な乱れはピッタ、ヴァータ、カパにかかわらずシャマンが良いでしょう。シャマンは、治療にも予防にもなるので健康な人にも向いています。


  • シャマンの初めは、蓄積された毒素を燃やすために体内の火をおこすことです。これはカパやヴァータの乱れに、特に消化の火が落ちている人には必ず必要です。特定の薬草を特別な割合で蜂蜜とともに内服します。中でもピッパリ、生姜、シナモン、黒胡椒、チトラックなどは火をおこすのに役立ちます。みぞおちに集中することでもアグニを燃やすことができ、肉体や微細な因果体の毒素を燃やします。このテクニックはカパやヴァータタイプに特に効果的ですが、ピッタの人が行うには十分な注意が必要です。


  • 毒素は、トリカトゥ、チトラック、シナモン、生姜、クミン、コリアンダー、フェンネルなどの薬草を特定の割合で作ったお茶を摂ることで燃やす(パチャン)ことができます。これらのお茶は、食べ物が適切に吸収できる様に食事の後に飲まなければいけません。集中や瞑想、熟考もまたパチャンを高めます。


  • 急な発熱や消化不良、赤痢、下痢の場合、アーユルヴェーダでは断食(クシュド・ニグラハ)を勧めています。通常の断食では、ギーで煮たリンゴ、バスマティライスとムング豆とギー、あるいはヨーグルトとお米だけを少量だけ食べます。しかし、急な発熱や下痢、赤痢などの場合は、数日間何も食べない方が良いです。これがアグニを燃え立たせ毒素を燃やします。


  • 脱水を保つ(トゥルット・ニグラハ)とは、水を飲まないことです。体内に過度の水分が保持されるカパの乱れの時にはとても大切です。アーユルヴェーダでは、例えば浮腫のように腎臓の不調、腹腔内に水分が溜まっている時、特定の尿の異常がある時は水を摂取してはいけないと伝えられています。トゥルット・ニグラハは、水のファスティング(水だけを飲む)ではありません。水を全く飲まないことです。


  • 次に続くのはエクササイズ(ヴィヤヤマ)で、特にヨガのストレッチです。ここでのエクササイズとは、筋肉の特定の方向へのストレッチで、努力がなければできない目標を立てます。この努力が肉体的なストレスを生み、その結果火が起こります。アーユルヴェーダでは、エクササイズは血流を改善し、心拍を活性、カロリー燃焼を強め、代謝を刺激し、体温を調節、体重を維持すると言われます。また、感覚を鋭く注意深くさせ、心が研ぎ澄まされます。正しいエクササイズは素晴らしいシャマンの技術なのです。


    アーユルヴェーダでは、それぞれ個人の体質に向けたエクササイズを推奨しています。例えば、ヴァータの人に重要なのが骨盤腔なので、骨盤の筋肉をストレッチするエクササイズが良いです。それゆえヴァータの人が落ち着くのを促してくれるのは、前屈、後屈、背骨の捻り、コブラのポーズ、ラクダのポーズ、肩立ち、鋤のポーズなどです。水泳はヴァータの人に向いていますがジョギングはそうではありません。

    ピッタの人に重要なのがみぞおちで、そのあたりの筋肉をストレッチするエクササイズが効果的になります。魚のポーズ、舟のポーズ、ラクダ、バッタ、そして鋤のポーズがピッタを落ち着かせるのに役立ちます。ヴァータと同様にピッタにも水泳は良いです。

    カパの人の重要な場所は胸ですので、胸まわりのストレッチをするエクササイズが効果的です。それには、肩立ちや耡のポーズ、バッタ、猫、牛、弓のポーズが含まれます。これらは全てカパの肺腔内循環を高めます。カパにはジョギングが良いですが、カパの人はジョギングを好みません。山登りやハイキングなどが良いでしょう、が、やはりあまり好きではないでしょう。



  • 日光浴(アタップ・セーヴァ)は、もうひとつの伝統的なシャマンですが、熱と光、そして高レベルの意識の源は太陽だからです。ピッタ優位の人が日光浴をするには、日光照射を減らすためにオイル(日除け)を塗布する様にし、30分以内を目安にしましょう。ヴァータの人は1時間ほどの日光浴をします。カパの人は1時間以上日光の下で横たわっても構いません。カパとヴァータの人は、正しいケアができるなら日光の下に横たわってみぞおちに集中した瞑想をするのも素晴らしいシャマンになります。血流を改善し、ビタミンDの吸収を促し、骨を強くします。

    しかしながら、電離層やオゾンが破壊されている今日では、望まれない過度の放射線(紫外線)が地面に届いているので、日光浴が危険な場合もあります。皮下のブラジャッ・ピッタを悪化させ皮膚がんを起こす危険があります。ほくろが多い人は日光浴をしない方が良いでしょう。月光浴はピッタを下げるのに良いです。



  • 最後のシャマンは呼吸です。呼吸法(プラナヤマ)には数多くのタイプがあり、経験豊富な指導者から学べる全く異なる呼吸の科学もあります。しかし、誰しもが両方の鼻から正しい呼吸をいくつかしなければなりません。そのひとつは以下のような呼吸です。静かに座って片鼻から深く吸い込み、下腹部へ息を入れ、そしてゆっくりと反対の鼻から吐き出します。反対の鼻でこれを繰り返し、片鼻ずつの呼吸を続けます。これが交互の鼻腔のプラナヤマで、シャマンの全ての形と同様に、心と体、意識のバランスをもたらすのに役立ちます。




結果は・・


この様に、アーユルヴェーダは、健康と調和を日常にもたらす洞察を与えてくれます。また、長寿や精神的な平穏をもたらします。アーユルヴェーダは完全な癒しの技術であり、その基本的な原理を理解し、自分の体質を理解し、ドーシャの悪化の性格な性質と構造を理解することで、正しい指針に従って調和とバランスを得ることが可能となります。そのバランスから、最も平穏な状態が生まれるのです。








2024年7月26日金曜日

熱さをしのぐ呼吸:シタリとシトカリ 
Beat the Heat: Sitali and Sitkari


夏の暑さにイライラしていませんか?怒りに顔が赤くなったり、ホットフラッシュに悩まれていませんか?昔々のヨギは、コップ1杯の水を飲む間に体を落ち着かせることができる、涼しくするプラナヤマ(調気法)を見つけました。


ヒマラヤの山奥で古代の聖人たちは、体や呼吸、精神を制御しようという壮大な試みのため、周りの世界を観察して模倣しました。鳥の曲がったクチバシ、新芽が伸びる様子、コブラのシューっという声に気づき、こうした形状と音を真似てシタリという実践(涼しくなる呼吸)を行いました。このプラナヤマでは、吸気は丸めた舌を通って湿り気を帯び(鳥のクチバシと新芽)、水分で飽和した空気を「飲む」ことになります。


この実践は、呼吸への気づきを確立する以外にも空腹感や喉の渇きを落ち着かせ、一人で過ごす時間への愛を養うと言われています。また、シタリは体を冷やすとともに水分を与え、そしてそれはアーユルヴェーダ的に言えば夏によくみられるピッタバランスの崩れを落ちつかせます。さらに、この呼吸法は、疲労感、口臭、熱、高血圧を軽減します。







シタリの実践法


  • 頭と首、背骨をまっすぐにして心地よい姿勢で座ります。

  • 目を閉じて数分間、腹式で呼吸してから、口を開けて口元を「O」の形にします。

  • 舌を縦に丸めて口から突き出します(約2cmほど)。

  • ストローで飲む時のように、舌から口の中へと深く息を吸います。

  • お腹と胸の下が膨らむと同時に、呼吸の涼やかな感覚に注意を向けます。

  • 舌を引き込んで口を閉じ、鼻腔から息を吐き切りましょう。

  • シタリを2、3分間続けたら、腹式呼吸に戻ってまた数分、そしてまたシタリを2、3分間長く繰り返します。そうやって徐々に10分間まで延ばしていきましょう。



舌を丸められない?シトカリを試しましょう


  • 目を閉じて心地よく座ります。

  • 上下の歯を優しくくっつけて、心地よい範囲で唇を開き、歯が空気に触れるようにします。

  • 歯の隙間から息をゆっくりと吸い込み、呼吸のシューっという音に意識を向けます。

  • 口を閉じて息を鼻からゆっくりと吐きましょう。

  • 20回まで繰り返します。この実践をシトカリと呼びます。ハタヨガ・プラディピカによれば、シトカリには冷やす効果に加えて内分泌系のバランスを取り活力を高めます。



シタリとシトカリの注意点


シタリやシトカリは体温を下げるため、暑い季節や力強いアサナの後、または熱をつくるプラナヤマ(バストリカなど)の後に行うのが最適です。


ヴァータやカパの体質の人にとっては、冬季のシタリやシトカリは適切ではないかもしれません。また、いつ練習するかにかかわらず、体温に近い温度の空気を吸い込むようにしましょう。息が鼻腔で温められないため、冷たい空気は肺を害する可能性があるからです。






2024年7月23日火曜日

夏のピッタのバランスをとる方法 
How to Balance Pitta in the Summer






何千年も前のインドでは、熱い夏の夜の満月の下で、アーユルヴェーダの癒者は青と白の蓮から露を集めて薬用のために保存していました。聖典によれば、その貴重な露の一粒を舌にのせると、全身が冷やされると言われています。この「月の汗」は、外が暑い時期に体が暑くなりすぎる原因となる代謝をコントロールする微細なエネルギーであるピッタ・ドーシャを鎮静します。



脱水している、汗をかいている、あるいはイライラしていると感じたら、おそらくピッタが過剰になっています。その他の眼に見える兆候には、皮膚の炎症、胃酸過多、体のほてり、目の充血、激昂しやすいなどがあります。


しかし、ピッタのバランスが良い時は元気でいられます。類を見ないようなエネルギーややる気に溢れ、精神は明晰に、喜びや生命力、体力を感じられます。ここでは、夏の暑さの中でピッタのバランスをとるヒントをお伝えしましょう。



正反対の原理


アーユルヴェーダの知恵は「似たものは似たものを増やす」という考え方に基づいています。例えば、外が32℃の時に、気性が激しく怒りっぽいビジネスマンが熱いスパイシーなものを食べたら、ただもっと熱くなってよりイライラすることでしょう。そこでアーユルヴェーダでは崩れたバランスを正反対のもので治療するのです。おそらく癒者は、彼の過剰な火を鎮静するためにキュウリのように冷やす食べ物を勧め、水泳に行ったり、「立ち止まって薔薇の香を楽しむ」時間を取るように言うでしょう。この原理はとても単純なため見過ごされがちなのですが、いったん日常生活に取り入れてみれば心身のバランスをすぐに取り戻せることに驚くことでしょう。



何を(いつ)食べるかに注意する


🟠太陽が熱くなる前に朝食と昼食を取る


私たちの消化の火であるアグニは夏に弱くなるため、涼しい季節よりも食欲が弱まります。実際、最も弱るのは日中の一番熱い時間帯です。朝食や昼食を午前11時前に、そして日が沈み始める時に軽い夕食をとるようにしましょう。


🟠夏は水分をたっぷりと


毎日、コップに4-6杯の水、新鮮なココナツウォーターやスイカジュースなどの冷やす飲み物を飲みましょう。キュウリミルクを、皮を剥いたキュウリ1/2カップと牛乳1カップ、砂糖ひとつまみを混ぜ合わせて作り、薔薇の花びらを添えましょう。または、電解水を作りましょう。ライムジュースと砂糖を小さじ1杯ずつ、岩塩をひとつまみをの冷たい水カップ1杯に加えます。


🟠夏の間は熱く、辛い、塩っぱい食べ物を避ける


これらはピッタ・ドーシャを増やします。強いお酒、赤ワイン、赤みの肉もまた、夏には熱を高め過ぎになります。


🟠その代わりに、甘く、苦く、渋いものを食べる


これらの味覚はピッタを鎮めます。夏に良い食べ物は、牛乳やヨーグルト、ギー、キュウリ、りんご、梨、メロン、スイカ、フレッシュのコリアンダー、アスパラガス、アーティチョーク、ブロッコリ、バスマティ・ライスなどです。朝食には、小麦を牛乳で炊いたクリームにカルダモンと砂糖を少し足して食べてみましょう。昼食や夕食には、1日に必要な葉野菜をとります。オリーブオイルやサザンアイランド・ドレッシングでフレッシュなサラダを食べるのが理想です。デザート?タピオカ・プディングや小さじ半分の砂糖を加えた甘いヨーグルト1カップが良いでしょう。



太陽と月


適度な日光は健康や幸福のために不可欠ですが、月光も同様です。その効果を最大限にするヒントをご紹介しましょう。


🟠午前10時から午後3時の直射日光を避ける


日中の暑い時間を戸外で過ごすなら、皮膚が呼吸できるように緩く心地の良い綿や絹の服を着ましょう。白や青、緑、灰色など日光を反射する色を着て、サンダウウッドのビーズや翡翠、真珠、アメジストやムーンストーン、マラカイト、銀など冷やすジュエリーを身につけましょう。そして、広いツバのある帽子で頭部を守りましょう。


🟠熱の中で運動をしない


夏は、水泳やスキューバダイビング、ウォーター・ポロなどウォータースポーツが理想的です。しかし、運動は早朝や夕方遅くに留めておきましょう。


🟠日焼けをしずませる


サンダルウッドとターメリック同量の粉を少しの冷水で混ぜて、そのペーストを日焼け部分に塗ります。または、アロエヴェラのジェルやココナッツオイルを肌に擦り込ませましょう。


🟠月光浴をする


夜、ビーチや涼しい草地を散歩します。白い服を着て白い花を髪につけると、ピッタ・ドーシャを鎮める月の涼やかな光線を取り込むことができます。




夏のヨガ・アサナ


冷やす効果のあるポーズには、魚、ラクダ、船、コブラ、牛、ツリーポーズなどがあります。シタリ・プラナヤマを実践しましょう。また、瞑想も忘れず行いましょう。心や感情の熱が落ち着きます。


2024年7月1日月曜日

マルハナバチの呼吸の練習 5つの方法 
5 Ways to Practice Bhramari


「息を吐きながら、雌ミツバチの音をだしましょう」バンガロール郊外にあるスワミ・ヴィヴェーカーナンダのアシュラムでのクラスに参加していた時、サリーに身を包んだインストラクターが優しく穏やかに言いました。同じ年の後半、ロッキー山脈の会議でもまたハチの羽音のプラナヤマをロッド・ストライカーと共に行う機会がありました。標高が高かったせいなのか、それともその日のストライカーの教え方が良かったのか、その日はこの古代のブラマリの練習はどういうわけか私の身に染み込んできました。穏やかさと明瞭さを感じ、クラスが終わっても長い間私の中でその音が共鳴し続けました。そうして毎日練習するようになり、今では数年になります。ブラマリによって音波の物理的な振動に敏感になり、全く思いがけないことに、それまであまりやろうとしなかったチャンティングをやりたいと思うようになったのです。



ブラマリの効果


ブラマリは安全で容易に習得できる実践で、とてつもない癒しの可能性を持っています。他のプラナヤマと同様、その力は自律神経(ANS)に対するいくらかの効果にあります。吸気よりも呼気を長くすることで、自律神経の鎮静の副交感神経が活性化されます。心配や不安(ラジャが強い)に伴う鬱に悩まされる人にとって、この実践は数呼吸のうちに心を落ち着かせ始めることができます。ブラマリの絶え間ないぶうんという音は、感情的な苦痛を増加させる頭の中の終わりのないループを消し去ってくれ、瞑想するには心が『忙しすぎる」人にとって有益な出発点となります。




始めましょう


床や椅子の上で心地よい姿勢で座ります。床に座る場合は、太腿が降りて腰椎が自然な曲線を保つのに必要な支えを骨盤の下におきます。椅子の方が良ければ、太腿が下向きになって両足が平らに床に付くよう、少し前に移動して座面の端に座りましょう。(足が床に付かなければ、2つのヨガブロックの上に載せます)


常に力とくつろぎとのバランスを取ります。穏やかな音量で羽音を出しますが、無理に出そうとはしません。顔の筋肉を緩め、上下の唇は軽く触れた状態で、顎の力を抜き、上下の歯は少し離しておきます。羽音の音を心地よい範囲で長く吐いて、息を切らさないようスムーズに息を吸います。不安を感じ始めたら、無理をせず普通の呼吸に戻りましょう。





基本のブラマリ


心地良く座りそっと目を閉じます。1、2回呼吸をして落ち着き、心の状態に気づきます。準備ができたら息を吸って、それから息を吐き切って喉から中低音でハミング音を出します。音の波が舌や歯、鼻腔を優しく振動するのに気づきます。音が頭全体に振動しているのをイメージしましょう(実際に振動しています)。この練習を6回繰り返してから、目を閉じたまま、普通の呼吸に戻りましょう。何か変化があったかに注意をむけます。




無音のブラマリ


もう一度、1、2回呼吸におちついて準備します。基本のブラマリを6回行います。6回終わったら、無音のブラマリにうつります。吐く息ごとに羽音を出していることをイメージします。6回行いましょう。顔や鼻腔に振動の感覚が感じられるかに注意を向けます。




シャンムキ・ムードラのブラマリ(バリエーション




ブラマリの効果を強める方法のひとつは、シャンムキ・ムードラです。ブラマリは、プラティヤハラを促し五感を内に向かわせるので、外的な五感へのインプットを指でいくらか遮断することでその効果を高めることができます。まずは簡単なバージョンを試しましょう。親指で耳珠(耳の入口の軟骨の出っ張り)を押し、外耳道を閉じます。中低音のブラマリを6回繰り返しましょう。終わったら、手を下ろして普通の呼吸をします。




シャンムキ・ムードラのブラマリ(伝統的)





背筋を伸ばして座り、両手を顔に、親指は耳珠、人差し指は目頭に軽く触れ、中指は鼻の横、薬指は唇の上方、そして小指はその下におきます。眼球にはほとんど圧力がかからないように気をつけましょう。中低音のブラマリをさらに6回行い、両手を下ろして効果に意識を向けます。もし不安や鬱、閉所恐怖症などがあれば、シャンムキ・ムードラでくつろぐことはできないでしょうから、やらない方が良いでしょう。





高音のブラマリ


音を出している時は、感じようと感じまいと、頭のてっぺんからつま先まで文字通り振動しています。異なる高さの音は異なる周波数で振動しています。ベースの音や低い音はゆっくりと振動し、高い音は1秒に何千回という速さで振動します。


リラックスして座る姿勢に戻ったら、目を閉じて数回普通に呼吸をします。次に、シャンムキ・ムードラをして、あるいはせずに高音のブラマリを6回行いましょう。どこに振動を感じるかに意識を向けます。おそらく、低音と比べて頭の高い位置に振動を感じるでしょう。高音のほうがより刺激を感じるでしょうか?さまざまな音程、音量の音を試して結果を比べてみましょう。







ブラマリの処方


ブラマリの治療に応用できる可能性を科学的に研究したものはとても少ないのですが、ヨガの伝統は、うまく選んだ音には力強く健康によい効果があることを教えてくれます。ブラマリの音波が甲状腺に直接的な効果はないとわかったとしても、その効果はより調和のとれた神経系、穏やかな心、気づきの高まりなどが含まれることでしょう。このように、今ブラマリを終えたばかりの状態で、また背筋をのばして座りオームなどよく知ったチャントを数回唱えてみて全く新しい様子で聞こえてくるかどうかを見てみましょう。


音が共鳴する場所と同様に、異なる音程や音量のエネルギー的効果もまた、特定の状況で最もどのブラマリに最も効果があるのかを示唆してくれることでしょう。
  • 不眠:静かで低い音を、シャンムキ・ムードラをしながら行うと神経や心を落ち着かせることが可能かもしれません。
  • 副鼻腔感染や鼻詰まり:より強力な中高音程の音が通路を開くのにより良い選択かもしれません。
  • 甲状腺の問題:中音程でジャランダーラ・ムードラ(顎で閉める)を使いながら喉に音波を送る。
  • ストレス:無音バージョンを試しましょう。仕事中や外出中などで周囲の誰もがもあなたが何をしているのかに気づきません。







2024年6月17日月曜日

呼吸の長さが重要:ブラマリ呼吸のHRVに対する効果 
Breath Length Matters: Research Reveals Bhramari's Impact on HRV


ブラマリ呼吸(マルハナバチの呼吸)は、心拍数を下げる、注意や睡眠の質、自律神経や肺機能が向上する、そして心拍変動(HRV)が向上するなど、複数のよい効果があることがこれまでの研究で示されてきました。


心拍変動とは、心臓の健康や体のストレスに適応力を図る効果的な方法です。一般的にHRVが高いと心臓や自律神経の働きが良い状態で、逆にHRVが低いとストレスや隠れた病気があることもあります。


最近まで、ブラマリ呼吸において異なる呼吸の長さがHRVの変化量にどう関係するのかの理解には意見の相違がありました。



新しい研究

ヨガ国際ジャーナルに発表された最近の研究では、4つの長さで(8、10、12、14秒)ブラマリ・プラナヤマを3分間行い、被験者118人のHRVへの影響を調べました。呼吸の長さは、以下の呼気吸気の比率に分けられました。

  • 3秒吸気, 5秒呼気 (計8秒)
  • 4秒吸気, 6秒呼気 (計10秒)
  • 4秒吸気, 8秒呼気 (計12秒)
  • 5秒吸気, 9秒呼気 (計14秒)



結果は、ブラマリ呼吸でHRVが最大になるのは呼吸が12-14秒の呼吸時でした。こうした長い呼吸が、8-10秒呼吸時よりもHRVの範囲を有効にやや向上させたのです。


「最適な呼吸の長さはたった10秒だと示した直近のエビデンスとは異なる発見である」と研究者は結論づけています。


こうした研究は、ハミングの効果、またはマントラの練習における呼吸の長さがHRVに与える効果などを探るさらなる研究を促すことになるでしょう。




では、あなた自身にとっては?




どんなものでもブラマリ呼吸を適切に練習することで、日々のストレスにより素早く落ち着きを持って適応することができます。HRVやストレス管理の力を向上したいなら、この研究で行なわれた比率のん12-14秒の呼吸を試してみましょう。心臓の健康を向上するだけでなく、以下の効果も得ることができるでしょう。
  • より質の良い睡眠
  • より健康な肺
  • より上手にストレスを処理
  • 今ここに焦点をあてる


この研究が示したように、ブラマリ呼吸の効果はたった3分間で体験することができます。練習する準備はできましたか?


https://yogainternational.com/article/view/breath-length-matters-research-reveals-bhramaris-impact-on-hrv/

2024年5月16日木曜日

溢れるエネルギーを!エネルギーを高める5つの自然な方法 
Supercharge Me! 5 Natural Energy Boosters

季節の変わり目、特に今年の春は暑かったり寒かったりが激しくて疲れやすいですね。体力を保ち健康でいるためにはどうすればいいのでしょうか?

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あなたは、恋人たちや聖人、赤ちゃん、ヨギ、そして妊娠中のお母さんが同じ輝きを発していることに気づいたことはありますか?彼らの肌は輝き、微笑んでいて、いつも目がキラキラしています。文字通り、生命力を放っています。アーユルヴェーダでは、活気に満ちた人には、健康や創造性、ウェルビーイング、精神力などを促す3つ必要不可欠な要素のひとつであるオージャスの量が多意図されています。オージャスは命の精髄で、体組織の純粋な本質であり、幸福感と免疫力の源です。


古代のアーユルヴェーダの文献には、健康的なオージャスがあれば幸せに100歳まで生きられると書かれています。しかし、オージャスが枯渇すると老化や病気に脆弱になり、早死にすることさえもあります。


では、十分なオージャスがあるかどうかどのようにわかるのでしょう?体に見られる兆候は、明るく綺麗な目、艶のある髪、艶のある肌、そして薔薇色の頬などです。また心や感情のサインはといえば、前向きのエネルギー、活力、喜び、明晰な心、共感力などです。もし肌の乾燥、手足の冷え、便秘、不安、頭がはっきりしない、後ろ向きな考え、孤独感、疲労などがあるなら、オージャスが枯渇しているのだとわかります。


多くの人にとってオージャスを増やすことは可能です。以下は、爽快な気分で輝くための5つのヒントです。




1.  オージャスのための食事をとる


太陽の光で実った新鮮な自然食品には、活気を与えてくれるエネルギーを含んでいます。過度に加工した食品、精製した食品、アルコール、刺激物を避けて、オージャスの多い食事をとりましょう。

  • 果物;アボカド、リンゴ、バナナ、デーツ、いちじく、アプリコット
  • 野菜:緑の葉野菜、レタス、パセリ、アルファルファの芽、オクラ、さつまいも、山芋、ルバーブ、ほうれん草、カブ、クレソン、ズッキーニ
  • 穀物:アマランサス、バスマティライス、オートミール、全粒小麦
  • 豆類:ムングダル、大豆、豆乳、豆腐
  • 乳製品:山羊のチーズ、カッテージチーズ、新鮮なヨーグルト、ギー
  • ナッツ類:アーモンド、ブラジルナッツ、黒グルミ、ヘーゼルナッツ、松の実、ピスタチオ、胡桃




2. アーモンドミルクを飲む


アーモンド10個を一晩水につけます。朝になったら薄皮を剥きます。アーモンドをカップ1の牛乳、カルダモンのパウダーをひとつまみ、ひき立ての黒胡椒をひとつまみ、蜂蜜を小さじ1と一緒にブレンダーに入れます。高速で5分間ブレンダーにかけて、いただきましょう。アーモンドと牛乳、蜂蜜はオージャスがたっぷり入っているので、これを飲めば栄養とエネルギーを得ることができます。




3. 自分自身を養う


健康的でバランスの取れたライフスタイルを始めると、活気に満ちた感覚をすぐに感じ始めるでしょう。それは、どうしてでしょうか?なぜなら、ストレスはオージャスを枯渇し、リラクゼーションはオージャスを満たすからです。以下はおアーユルヴェーダのライフスタイルに関するヒントです。


  • 習慣的な運動をする(やりすぎないで)
  • いつのも時間に就寝して、約8時間の睡眠をとり、毎日同じ時間に起きる
  • 自然や芸術に触れて心に栄養を与える
  • 愛する人と一緒に過ごす
  • マルチタスク、過度な刺激、過度なセックス、慢性疲労、強い風、激しい温度を避ける



4. ヨガや瞑想をする


習慣的なアサナやプラナヤマ、瞑想は活力を高めます。瞑想が初めてなら、ソウハムのマントラで行う瞑想を試してみましょう。


両目を閉じて数分間の間深く呼吸します。それから、第3の目に意識を集めて、吸う息とともに心の中で「ソウ」と言い、吐く息とともに心の中で「ハム」と言います。このマントラを呼吸に合わせて5分以上繰り返しましょう。この瞑想をすると、オージャスが増大し気分が高まります。



5. セルフマッサージをする


毎晩就寝前に、少量の温かいオーガニックで無精製のオイルを体全体にすり込みます。耳や鼻腔など体の開口部は特に注意しましょう。そして温かいお風呂に浸かってから自然素材の石鹸でこすり洗いします。この栄養を与える習慣によって筋肉が柔らぎ、赤ちゃんのように眠れるでしょう。自分のプラクリティ(体質)がわかっているならそれに合ったオイルを選ぶことができますが、そうでなければドーシャテストを受けて下のようにマッサージしましょう。

  • ヴァータ体質: セサミ、アーモンド、ブリンガラジ(アメリカタカサブロウ)のオイルなど暖かく重いオイルを使います
  • ピッタ体質:オリーブ、ひまわり、ココナッツ、ギーなど冷やす自然油を使います
  • カパ体質:マスタード、アマニ、紅花など軽いオイルを使います


オージャスの精神的側面


聖人らによれば、プラナヤマや精神的な修練、タントリックの技術などを通して自らのオージャスを精神力へと変容させることが可能です。この力のあるエネルギーは、悟りを開いたヨギの頭の後ろにオーラや後光という形で目にすることができます。もしそんな人に会う稀有な機会があれば、彼らが言葉を発しなくとも愛や哀れみが胸元から出ているのが感じられると気づくでしょう。それこそがオージャスの精神的な面の現れなのです。








(出典)https://yogainternational.com/article/view/supercharge-me-5-natural-energy-boosters/

2024年3月29日金曜日

アーユルヴェーダ的 春の過ごし方  Vol.1
Ayurveda Tips for Spring


季節の移り変わりに心と体を準備する


冬から春に変わる時期は、ワクワクする祝福の時です。動物も植物も昆虫も冬の眠りから出てきて、成長と可能性の季節へと目覚めます。アーユルヴェーダでは、春への移り変わりの時期は、最適に目覚めた状態で元気に過ごすため心を整理整頓して体を活性化する時期です。


春の性質は、暖かく、潤い、優しく、そして油分に満ちています。暖かさのおかげで、冬に蓄積した雪や氷は溶け始めます。同様に、蓄積された体内のカパ(潤滑や持続のエネルギーの維持に関わる心身の力)もまた液体となって流れ始めます。また、花々が花粉を落として甘い香りを放ち、多くの人が花粉症やアレルギーを起こします。


鼻水、鼻詰まりや喘息、アレルギーがあるなら、また、けだるさや貪欲、執着を感じるなら、おそらくあなたのカパが過剰になっているのでしょう。こうした症状を起こさないためには、カパを減らす養生法をするのが最も良い方法です。伝統的な以下の方法を試して、最高の春を楽しみましょう。




ジュースで活性化する


人参やビーツ、ブロッコリ、パセリ、リンゴ、ザクロ、ベリーなどの新鮮な果物や野菜で作ったジュースを飲んだり、夜に小さじ一杯のトリファラ(アーユルヴェーダの混合ハーブ)を一杯のお白湯で飲んで腸をきれいに保ちましょう。また、3ー10日間のパンチャカルマの浄化を試しても良いでしょう。


浄化と若返りの方法であるパンチャカルマは、季節の移り変わりの体をサポートし免疫を強化すると言われています。




カパを減らす活力を与えてくれるハーブを摂る


ショウガ

抗炎症と抗菌の特性を持つショウガは、消化を助ける完璧なスパイスであり、春の免疫をサポートする抗酸化物質も含まれます。
 

黒胡椒

サンスクリット語でピパリと呼ばれる黒胡椒は、かつては「黒い金」と言われていました。
骨の健康や傷の回復、代謝を助けるマグネシウムを豊富に含んでいます。


トリカトゥ

トリカトゥは、ピッパリ、ショウガ、黒胡椒を混ぜた伝統的なアーユルヴェーダの混合ハーブで、消化の火であるアグニと解毒プロセスを刺激するために使われます。
 

クトゥキ

クトゥキは、肝臓を助けるインドのハーブとして知られています。一般的に消化のために使われますが、肌の艶を良くするなど多くの効果があるとされています。
 

プナルナヴァ

プナルナヴァは「取り戻すもの」という意味で、過剰になったカパを取り除いてバランスをとり、全体的な健康感を促すために使われます。



アクティブに過ごす


夜明け以降に寝続けるのはカパ・ドーシャのバランスを崩すとアーユルヴェーダでは言われています。早起きをして朝の散歩をしたり、太陽礼拝や魚、船、バッタ、ライオン、ラクダ、のポーズや逆立ちなどの活力を与えるアサナで体を元気にしましょう。
 

バスティリカ、カパラバティ、ブラマリなどのプラナヤマを試してみましょう。





2024年3月12日火曜日

心臓の健康へのヨガの5つの効果 
5 Heart-Health Benefits of Yoga

ヨガが高齢者の健康に大きな効果をもたらすことはすでに知られています。
そのひとつは、心臓にとても良いということです。






ヨガが心身に良いのは、柔軟性や体力増強、エネルギーや気分向上などの効果をもたらすからです。また、心臓にも良いというますます多くのエビデンスが出てきています。


何千年も前のインドに起源を持つヨガは、これまで数多くの臨床研究の対象となっており、太陽礼拝やダウンドッグなどに対するエビデンスは強固になってきています。一例を挙げれば、米国心臓学会の2023年アジア会議で発表された研究では、ヨガが心不全患者の循環器機能向上とともに、忍耐力、体力、バランス、そしてQOLを向上させることが認められました。


もし心臓に問題があるのなら、どのレベルのヨガがあなたに適しているのか医師に確認しましょう。もしヨガを始めようと思っている、あるいは健康に不安がある場合は、クラスの前にインストラクターに相談しましょう。インストラクターが、一緒にクラスが受けられるようにコツやバリエーションを教えてくれるはずです。



1. ヨガは体の運動を促す


CDC(米国疾病予防管理センター)によれば、運動不足は、米国の男女No.1の死因である心臓病の原因になります。


しかし、遅すぎることはありません。研究によれば、ヨガをする人はより活動的で健康的な食事をする傾向が高く、それが心臓を守ってくれています。2018年5月「International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity」で発表された研究では、ヨガを習慣的に実践している若年層はより健康的な食生活を送っており、より中高レベルの運動をより長時間行っているとわかりました。2020年8月の「International Journal of Environmental Research and Public Health」に発表された他の調査では、ストレッチをするエクササイズは、心臓や全身に血液を送り出す動脈硬化を著しく減少させ、中高年層における心機能を向上させることを示しています。


米国心臓協会(AHA)が薦めるのは、総合的な心臓の健康のためには中程度の有酸素運動を少なくとも30分、週に5日以上行うことです。中強程度の筋トレを週に2日以上行うと、より効果が得られるそうです。



2. ヨガがストレス解消に


ストレスがどれほど心臓病に関係しているのかを研究者もはっきりとは確定することはできない一方で、ストレスが心臓病のリスクを上げる習慣や要因を増加させる可能性があります。これには、喫煙や運動不足、過食、高血圧などが含まれます。


ヨガの実践者には、精神衛生の向上、リラックス感の増加、気分の向上などがみられると研究で示されています。心身の実践は、落ち着こうとする神経である副交感神経を調整するのに役立ちます。2020年8月「Stress & Health」で発表された研究では、呼吸法や瞑想をするヨガクラスの参加者のストレス受容減少とマインドフルネスの高まりが示されました。


「ほとんどのストレス解消テクニックでは、呼吸に意識を向けます」ミシガン州ビンガムファームスの「Kahn Center for Cardiac Longevity」の循環器医師ジョエル・カーン博士はそういいます。「全てのヨガで不可欠なもののひとつは、呼吸への気づきとよりマインドフルであることです。つまり、外から見てわかる、あるいはわからないストレス解消の意識付けが、ほとんど全てのヨガクラスに内在しているのです」



3. ヨガが高血圧リスクを下げる可能性も


2021年9月の「Scientific World Journal」で発表の系統的な再調査では、ヨガで高血圧をコントロールできる可能性を示しました。


瞑想や呼吸、ヨガの練習が、高血圧前症の患者における拡張期・収縮期血圧(血圧の最高と最低の値)を下げるとされる数多くの研究を再調査しました。再調査では、体系化されたヨガポーズや呼吸法の「服用量」は確認できなかったものの、高血圧や心臓病を起こす可能性をヨガが減らすことができると研究者らは結論づけました。


「ヨガの生理学的な効果は、神経系の福交換神経を高めることだということはわかっています」コロンビア州のミズーリ医科大学の産科医であり、ヨガの血圧に対する効果の研究を行っているシャミタ・ミスラ医師は述べています。「心拍を下げ、心臓の働きを抑えます。心拍が少なくなればなるほど、そのひとつひとつはより強くなります」



4. ヨガは不整脈を落ち着かせる可能性も


心房性細動は、早かったり不規則に打つ異常な心拍リズムのことで、心不全やその他合併症の原因となります。2022年の「European Society of Cardiology Congress」で発表された研究では、ヨガが心房性細動患者の症状を抑える可能性を示唆しました。研究は、2012年から2017年、538人に対して実施されました。被験者らは、12週間ヨガをしないで、その後16週間毎日、ポーズや呼吸を含めたヨガのセッションに30分参加しました。その16週間の間は、被験者たちの発作の回数が減少しました。


「心房性細動患者の治療の中で、発作回数を減らすのにヨガが役立つ可能性があるかもしれない」ニューヨークのブロンクスにある「Cardiac Wellness Program at Montefiore Medical Center」の創設者であり管理者のロバート・オストフェルド博士はそう述べています。



5. ヨガは共同体意識を促す


心不全など深刻な心臓疾患を経験した患者の多くは、社会からの孤立感を感じたり、うつ状態になったりすることがあります。「外出するのが安全ではない、外出するほど元気でないと感じるのです」オストフェルド博士は言います。「初めて自らの死に向き合っているからでしょう。あるいは、今まで可能だったこと全てができるわけではないという事実に直面したからかもしれません」


ヨガがそれに役立つかもしれないというエビデンスがあります。米国医学協会の機関誌に発表された研究では、メイン州の農村で、循環器リスク要因と行動変化を対象とした共同体プログラムに参加することが、死亡率や入院率の低下と関係があることがわかりました。


ヨガは共同体意識をもたらすことができ、それが鬱や孤独感を和らげます。「ヨガクラスでは、安全な環境の中で、他の人と一緒に流れるように動いて繋がることができます」カーン博士は述べてます。「社会的交流の効果を数値化することは困難ですが、もし健康問題のある人たちが自宅にいるような心地よい環境にいられれば、人はより健康的な選択ができるようになると考えています」


ヨガはまた、特に認知行動療法など通常の治療と組み合わせると鬱症状を緩和することができると、2019年5月に「American Family Physician」に掲載された研究が示しています。また2023年9月に「International Journal of Old People Nursing」で発表された再調査では、60才以上の成人で、鬱や不安症のレベルがヨガで向上することがわかりました。




自分に合ったヨガクラスを選ぶ方法


ヨガクラスを試したくなりましたか?ヨガには多くのスタイルがありますが、ひとつだけにこだわる必要はありません。また、難しい1時間のクラスに飛び込んでもすぐに効果があるというわけでもない、とミスラ博士は言います。
「そんなに長い時間は必要ありません。私の研究では、ただヨガの呼吸を15分行っただけで結果がみられたからです。しかし、有益な結果を得るために何分間のヨガが必要なのかというような情報はありません」


  • ハタヨガは、西洋社会で通常行われているヨガの流派で、身体的なポーズの練習のことを示します。ヴィンヤサ、アイアンガー、アシュタンガなどのヨガがありますが、これらすべてはハタヨガに分類されます。どんな運動でもm始める前に医師に確認しておきましょう。

  • ヴィンヤサ・ヨガは「フローヨガ」とも呼ばれ、呼吸と動きの組み合わせが中心となります。クラスは、パワーヨガやアシュタンガなどペースが速く強度の高いものから、スロー・フローやアライメントを重視したクラスなど健康状態や身体的な制限がある人やビギナーに適したより穏やかなものまであります。

  • ホットヨガは熱した室内で行われます。今は様々なタイプのホットヨガがありますが、最も人気があり最も熱いのがビクラムヨガで、40°Cにまで熱した室内で26のポーズと2つの呼吸法を行います。心臓に何か問題がある人や極度の暑さに敏感な人などは体調を悪化させる恐れがあるので、オストフェルド医師によれば、このヨガは避ける方が良いでしょう。

  • アイアンガーヨガは異なるポーズを通して体のアライメントに注目するタイプのヨガです。他のスタイルのヨガとは異なり、個々人のスキルレベルや体のタイプに適合するよう、椅子やブロック、ベルトなどのプロップスを使います。

  • 「トグロを巻いた蛇」という意味のクンダリニヨガは、呼吸法、チャンティング、音楽、瞑想、そして動きを組み合わせたものです。その目的は「蛇を解」き、背骨の基底部から頭頂までのエネルギーを解いて7つのチャクラ(体内のエネルギーがある場所)を目覚めさせることです。よりスピリチュアルなヨガであるクンダリニは、ストレスや不安を解消するのによい選択となるでしょう。

  • よりゆっくりとしたスタイルの陰ヨガは、同じポーズを5分以上保つので、ビギナーが始めるには難しいかもしれません。またこのスタイルは瞑想的な性格を持っているので、クンダリニヨガよりは少し身体を動かしたいけれどヴィンヤサヨガほど動かないクラスを探している人にはぴったりかもしれません。

  • ゆっくりと穏やかなリストラティブヨガは、呼吸に集中できるような長く保つストレッチで全身を開くことに重点を置いています。様々なポーズで全身をサポートするため、ブロックや枕、クッションなどプロップスが使われます。この安らぎを与えてくれるヨガは、痛みを緩和し精神的な幸福感を高めるのに良い方法です。






2023年12月18日月曜日

ヨガの生命の樹
The Yogic Tree of Life



ほとんどの人にとって、樹木というのは地面から育つのが普通ですが、ヨガ的には樹木は逆さに成長します。「アシュワッタという永遠の木がある。その根は上にあり、枝は下にある」と、死の神秘を明かすヨガの書物であるカタ・ウパニシャッドでそう語られています。ヨガマスターや、シベリアのシャーマン、ペルシャの司祭、古代ケルト族、そしてバイキングたちもこの木のことをよく知っていました。


私の祖父母がイッグドラシルと呼ぶこの驚くべき木は、ノルウェーでは空から地面に向かって育つといいます。オーディンやトールなどの北欧の神は、私たちとは異なる枝に住んでしました。実際に古代のイギリス人たちは、自分たちのことを「ドルイド」つまり「その木を知る者」と呼んでいました。しかし、私がヨガを学び始めるまで、この逆さの木がいったい何なのか知りませんでした。


私が知る限りアシュワッタについて語る最古のものは、5000年以上前にインドで編纂されたリグ・ヴェーダです。「その木とは何か?何でできた木なのか?それが形作られているのは地なのか天なのか?」インド古代聖者たちは、文字通りその木を空に置きました。夜に外に出て、黄道(太陽や惑星の通り道)が天の川と交差するあたりの蠍座を探してみましょう。そこには、ヨギがムーラ「根」と呼ぶ空の蠍の尻尾に小さな星座が見えるでしょう。これが、世界の木が育つ天界の根です。ここはまた銀河の中心でもあるという驚くべき偶然が、もしあなたが偶然を信じるならですが、起こっています。


空に散らばる星たちを十二宮を逆さに辿っていくと、蠍座にアシュワッタの幹が生えていて、天秤座の方へ腕を伸ばしていて(インド星座では「分かれた枝」という意味のヴィシャカ)、そして獅子座や乙女座にある枝に実をつけています(「木の実」という意味のファルグニと呼ばれます)。古代聖者はここにカニャという若い女性を置きます(乙女座)。彼女は、木の実に片手を伸ばしています(からす座はハスタと呼ばれ「手」を意味します)。そしてそこで彼女の隣で木に巻きついた長い蛇がうみへび座で、古代インドではアシュレシャ「蛇の王」と言いました。インドの伝説によれば、この木の実はヨギ以外は食べてはいけませんでした。そのすざましい力は彼らにしか扱えなかったからです。


さて、ここでびっくりです。古代のインドやイランでは、天空の木は一本ではなく二本あったというのです。一方は金の実をつけ、もう一方は銀の実をつけます。これらは、蛇がイブに食べるよう誘惑した、聖書の知識の木やエデンの園の生命の樹を思い出させませんか?モヘンジョダロ(パキスタンの遺跡)で発見された粘土版の記述から、聖書の最古の部分がが編纂された1000年以上も前にインドではアシュワッタの木が崇められていたことがわかっています。古代アッシリア人もまた、女神イシュタル(乙女座)が世界の木のかたわらでライオン(獅子座)の上に立つ絵を残しています。これら星座の神話は、おそらく聖書のアダムとイブの物語の原型なのでしょう。イブは、黄道に沿ってなる木の実に手を伸ばしています。インドでは、ヨガの書物の中で十二宮のある黄道をアディチャスと呼び、木の実を食べたアダムとイブがとらわれてしまった死と再生の車輪、つまりサムサラ(輪廻転生)を表します。


ヨガの伝統では、行動の結果(木の実)への執着をなくすよう学びます。それはカルマをより複雑にするだけだからです。


ノルウェー神話では、木の世話をする三人の庭師が出てきます。一人目は過去を知るウルドという老婆で、二人目は現在を知るヴェルダンディという若い女性、最後は未来を知るロヒニという無垢な女の子で牡牛座の星アルデバランに関係があります。若いヴェルダンディはインドではチトラと呼ばれますが、西洋の天文学者からは乙女座のスピカとして知られます。運命をコントロールするとバイキングが信じている恐ろしい老婆のウルドは、インドの人がジェスタと呼ぶ赤く輝く星、蠍座のアンタレスです。この3つの星はそれぞれがほとんど同じ距離で離れていて、4方角を示す伝統的な天空の指標のうちの3つです。


古代インドで最も重要な儀式、馬の供犠で、この3つの星を表す3人の女性が儀式の頂点で午に手を置きます。この馬の供犠との関係が特に興味深いところは、世界の木の意味を持つアシュワッタは、実は「馬が立っている場所」という意味だということです。天空の馬とはもちろんペガサス座で、サンスクリットではダディクラス、4つ目の指標です。ペガサスは、天の北極の周りを永遠に駆け続けます。天の北極は、動くことのない北の空の一つの点です。それ以外の天空の全ては、周りを動きます。それは、時や変化の外にある魂を表します。私たちの内なる魂は完全な静寂の場所から、まるで回転する独楽の動かない車軸のように、周りで起こる物事を観察しているのです。


ノルウェーの天の北極はふたつめの木で、黄道の周りを回っている善悪の知識の木と直角に立っています。この北の木の銀の実は、有名なヨギの不死の蜜であるソーマの源です。これが、アダムとイブが食べることを禁じられた生命の樹です。カタ・ウパニシャッドは、わかりやすく暗示しています。「アシュワッタと呼ばれる永遠の木がある。その根は上に、枝は下にある。その輝く根はブラフマン、至高の真実と呼ばれ、それのみで死を超える。この世に存在する全てはその一点に根ざしている。それを超えるものは何もない」ウパニシャッドは、アシュワッタの樹の輝く根、つまり動かぬ一点を自分自身の中に見つけなさいと伝えているのです。では、実際にはどうすればいいのでしょうか?


ヨガで馬が象徴するのはプラナ、生命の呼吸です。呼吸は、ペガサスが北極星に繋ぎ止められているように、私たちの心に繋ぎ止められています。呼吸の周期は、ペガサスが天空を終わることなく回り続けるように、何度も何度も巡ります。しかし、ヨギたちは、自分の存在の動かない中心に意識を統合し、呼吸をゆっくりに、そして最後には呼吸を止める方法を知っています。これがサマディの状態で、瞑想の最も深いレベルです。


深い瞑想の中で、木に登り始めることができます。あなたの中にあるアシュワッタは背骨です。背骨の最下部にあるムーラダーラ・チャクラのことを根のチャクラと言いますが、超自然の根は実際には頭頂にあるサハスララ・チャクラにあり、そこが聖なる意識のある中心です。それが目覚めるのは、自身の外にある実を欲するのをやめ、内側に意識を向ける時です。そして、意識の力であるクンダリニの蛇が背骨に対応する微細な経路を頭頂へと上り始めます。インドからスカンジナビアに渡る世界の樹にまつわる伝説はどちらも、蛇が辿り着こうとする樹のてっぺんの近くに鷲がいると伝えています。鷲とはアジナ・チャクラで、眉間の後方にある意識の中心です。蛇が鷲を過ぎて超自然的な神経樹の最高地点に達した時、悟りが開かれると言われています。


バガヴァッドギータで、最上のヨギであるクリシュナは言います。全ての樹の中で聖なる意識が最も存在しているのはアシュワッタであると。もうひとつの聖典バガヴァータ・プルナでは、クリシュナは死の間際、意識を内なる存在へと引き入れアシュワッタの樹に沈思したと伝えています。死の時にすべての意識を内なるアシュワッタの天空の根に向けることができれば、ヨガの実践において何か素晴らしいことを成し遂げたといえるでしょう。






ところで、アシュワッタの木は実際に存在します。植物学者はそれをインド菩提樹と呼びます。その木の下に座って、ブッダは悟りを開きました。バニヤンツリーの一種で、最初は地面から生えますがその後たくさんの根を枝から下に伸ばします。その先が地面に到達すると、それがまた根となり新しい樹となります。このように、ひとつのアシュワッタがアシュワッタの森となります。そこで「どれが元の木なんだろう」と自問した時、森に生えている全ての木が実は元の木なのだということに気づくのです。見た目はたくさんの木が生えているようですが、本当はたったの一本なのです。古代のヨギが世界を象徴するためにアシュワッタを選んだのは、それを完璧に表すからです。この世の全ては別々のものに見えるけれど、真実は、全てのものは同じ永遠の源を共有しているのです。