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2026年6月21日日曜日

国際ヨガデイ2026
International Day of Yoga 2026

今年も夏至がやってきました。
夏至といえば、国連国際ヨガデイです。

今回は、国連が発表している情報をご紹介します。

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2026年のテーマ:健康的に歳を重ねるためのヨガ


今年12回目を迎えた国際ヨガデイのテーマは、全て年代でのヨガの重要性を強調する「健康的に歳を重ねるためのヨガ」です。ヨガは健康的に歳を重ねるための価値のある実践法であり、それは、高齢になっても活動的で、自立し、社会性を保ち続けるための能力の多くを養うことができるからです。やさしい動きやストレッチ、呼吸法、エクササイズ、そしてマインドフルネスを組み合わせることで、ヨガはバランスや柔軟性、体力、可動性を向上させる一方、精神的なウェルビーイングやストレス管理にも役立ちます。ヨガは、様々な体調や健康状態に適応させられるため、高齢者の多くにとって心身の健康を維持するための行いやすい方法となります。これらの効果は、自立性を促進すること、転倒リスクを下げること、QOLを高めること、人を中心においた健康やウェルビーイングへのアプローチを促進することなど、WHOの「健康長寿の一年」(2021ー2030)の目標のいくつかに役立ちます。




ヨガとは何か、なぜ祝うのか?


ヨガは、インドを起源とする古代からの身体的、精神的、霊的な実践です。「ヨガ」という言葉は、「つなぐ」あるいは「結合する」という意味のサンスクリット語から来ており、身体と意識の結びつきを象徴しています。

現在、世界中で様々なかたちで実践されており、ますます人気が高まり続けています。

その世界的人気を鑑みて、2014年12月11日、国連では6月21日を国際ヨガデイと宣言しました(決議69/131)。

国際ヨガデイは、ヨガを実践することの効果の多くに対する世界中の意識を高めることを目指しています。

国際ヨガデイの制定決議案はインドによって提案され、記録的にも加盟国175カ国から承認されました。当初、第69回総会開会の挨拶の中でナレンドラ・モディ首相によって提案されました。首相の発言はこうでした。「ヨガは私たちの古代からの伝統による非常に貴重な贈り物です。ヨガは、心身の結合、思考と行動の結合を包含し、そのホリスティックなアプローチは健康やウェルビーイングに有益です。ヨガは単なるエクササイズではありません。自身が世界、自然とひとつであるという感覚を見つける方法です」

決議書には「人々が健康的な選択をとり、健康を養うライフスタイルのパターンに従う重要性」が言及されています。この件についてWHOはまた、加盟国に対し市民の運動不足を解消するよう促しています。運動不足は、世界での死因の10位でもトップであり、循環器病やガン、糖尿病などの非伝染性疾病の主なリスク要因となっています。

しかし、ヨガは単なる身体的な活動ではありません。ヨガの最も有名な実践者の一人であるB.K.S.アイアンガー氏の言葉にあるように「ヨガは、日々の生活の中で、バランスの取れた姿勢を維持する方法を養い、行動の質を高めるスキルを与えてくれます」






(出典)https://www.un.org/en/observances/yoga-day

2026年1月9日金曜日

ヨガと認知症 Vol.2 
Yoga and Dementia

前回からの続きです。

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認知症の方にヨガを指導する際の秘訣


SPECALの黄金律


1. 直接的な質問をしない


「認知症の方の対応でひとつだけ覚えておくとすれば、直接的な質問をしない、ということです」とペニーさんは言います。ヨガティーチャーもそうでない人も、「今朝はどうですか?」から「今、三角のポーズをしたいですか?」まで、情報を得ようとしたり、思いやりを示したり、関係性を築き始めようとして質問をします。けれど、認知症の人は質問されると、それに応えるために必要な事実情報がわからないことで、急に苦痛を感じてしまいます。


「その人のアルバムにある今日のページには多くの事実が欠けていて、そのため簡単な質問であっても答えるのが難しいのです。結局は、三角のポーズをしたいかどうかは、三角のポーズとは何なのかなどアルバムの中の事実情報に依存します。さらに複雑なのは、今した質問が保存されないことです」その場合、答えを待っているというあなたの期待した表情そのものもより深い混乱の原因となり得ます。「どちらにとってもあっという間に困難な日になってしまう可能性があります」ペニーさんはそう認めました。


しかしながら、認知症の生徒と会話するのは不可欠であるため、例えばあなたが言ったことをすぐに理解できる方法で普通に会話するとか、もし会話を始めたら相槌を打つなど他の方法を試しましょう。「まるで釣り人が擬似餌を変えるように」ペニーさんは勧めました。「魅力を感じたら魚は来ます」また彼女の「質問のない質問テクニック」を試すこともできます。例えば「今、三角のポーズをするのはいい感じかしら?」といった感じです。「多分」とか「・・かしら」とか、「・・するのもいいかも」など生徒を困らせない方法で参加を促しましょう。



2. 専門家(つまり認知症の生徒)の声を聞いて学ぶ


「生徒の声を聞いてそこから学ぶ必要があります。彼らが話し始めたらすぐ、自分は話すのをやめてその話や質問を聞けば、それは金の粒のようなもので、どんな言葉を使うべきなのか、彼らは何が知りたいのか、何を話したがっているのかなど、とても価値のあるヒントが得られます」ペニーさんは述べました。


また、認知症患者の介護者から、ペニーさんが言う「最高の出来事」を聞くことができるかもしれません。彼らが最も話したがる体験であり、彼らのアルバムの一番好きなページです。(もし介護者からは何も聞いたことがなければ、そうした記憶を質問のない質問テクニックで聞き出してみましょう)


こうした話をするときは、あなたの生徒は馴染みのあるしっかりとした土台の上にいます。あなたの生徒が不安そうだったり自信をなくしたように見えたとき、また彼らとただ繋がりを強くしたいと思ったときはいつでも、大好きな話の中でよく使うキーワードを言ってそのお話に導きましょう。






例えば、あなたが「ずっとインドに行きたいと思っています」と言ったら、インドに旅行した時の大好きな話しを急に始めるかもしれません。(しかし、『あなたが以前したインド旅行は楽しそうでしたね』など直接的な旅行の話には注意しましょう。あなたにその話をした事実は記憶していないかもしれず、どうして個人的な情報を知っているのか不思議に思って困ることになる可能性があります。『だれでも自分のことを知られすぎている感じたり、アルバムの中にあなたの情報が見つけられないと不安に思うものです!』ペニーさんは注意を促しました。)



3. 否定しない


認知症の生徒は、時々事実に反する内容を言うこともあります。ペニーさんによれば、それを正さない方がいいです。「『それは正しいか間違いか』という質問でなく、『誰のアルバムについて話しているか』です。話している時は自分のアルバム、自分の体験に基づいています。だから彼らが選んだ写真について議論しないでください。注意深く聞いてそこから始めます」


例えば今やったばかりなのに、生徒が「まだ肩回しをしていない」と言ったら、否定しないで彼女の言う通りまた肩回しをしましょう。


(もし、例えば『逆立ち(あるいは体の能力を超えたポーズ)をしましょう』などと生徒に不適切だったりかなり危険なことを提案されたら、彼らではなく自分自身の能力不足のせいにして一旦休憩を促すことをペニーさんは勧めました。「本心から、先に進む前に少し休憩しようと言うことに全く問題はありません。逆立ちをする提案などはきっと時系列的に記憶されていないことをふまえて、休憩のあとは全く新しい章が始められます。このように認知症患者の障害に前向きに対応しましょう」)





さらに・・


4. 複雑な言葉による指示ではなく、実演やジェスチャーを最大限に活用


私たち指導者が実演をするのは大抵はほんのちょっとだけで、多くを長く細かい指示を言葉で伝えます。「足指の付け根とかかとに向かって根付かせて、膝関節は2番目の足指先に向けて。今度は背骨を伸ばして頭頂へと持ち上げて。肩は後ろへ回します・・」いうように。


直近の事実情報の記憶がどんどん不確かになっていく困難認知症の生徒には、もっと単純な方法が必要です。たくさんの指示を与える代わりに、「足で下に押して」など動きを身振りで伝えながらできるだけ簡単なフレーズを使います。


可能なときはいつも実演し、連帯感を作るための視線を合わせることを優先し、ジェスチャーを使いましょう。「ジェスチャーは1000の言葉を伝えます」とペニーさんは言いました。
「ジェスチャーは気もちを伝え、それが新しい写真すべてに保存されますが、言葉は事実であり言った後からすぐに消えてしまいがちです」おそらく「胸を引き上げて」とか「頭頂へ持ち上げて」という意味の言葉の指示に代わるエネルギーにあふれたジェスチャーがあるでしょう。


もし、より細かいアライメントを整えなければ安全とはいえないポーズがあれば、そのポーズは省きましょう。



5. 良いニュースだけ伝える


あなたの認知症の生徒が通常通りに事実情報を記憶できないと感じたなら、否定的な情報を伝えれば落ち着いて見えても不安にさせるかもしれないことは理解できるでしょう。ペニーさんは例を挙げました。「あなたがクラスに遅れて、事故渋滞のために時間がかかったと説明します。まあ、認知症でない人は理解します。『ああ、渋滞ね、あなたが無事に来れてよかった』と思うでしょう。けれど認知症の人は事故のところだけ記憶して、後で不安が引き起こされて『誰が事故にあった?何があった?誰が?何をするべき?』と自問するかもしれません。これは良い写真ではありません。あなたが到着したら心から笑顔で『ああ着いてよかった!』とただ言って練習を始める方がずっといいのです」


あなたの生徒はやる気があるふりに気づくかもしれないので、状況の中で肯定的な面を見るようにするのが大切で、それが自然にあなたの感情に影響します。否定的なニュースや沈んだ感情で認知症の人を困らせないでください。「結局のところ、あなたが遅刻してひどい事故を見たとしても、無事に到着して生徒と会えたら嬉しいでしょう?」


悪いニュースを伝えないのは事実と違う話を作っていると思うかもしれませんが、ぺニーさんが言うには「彼らはもう一生分も悪いニュースを聞いてきたんです!」認知症であるためにすでに耐えている困難のことを忘れないでください。余計なストレスを避ける理由がわかるでしょう。あなたが見た自動車事故やニュースで見た大災害のことは話さないでください。クラスの間ずっと、今練習している部屋の中も外の広い世界も、全ては大丈夫だというサインを出してください。「『大丈夫』という信頼感は記憶されて説明のない不安よりもずっと役に立ちます」ペニーさんは確認しました。


6. 惜しみなく賞賛を送る


ヨガの間はずっと「これ上手ですね!」などと褒め言葉を散りばめましょう。2、3種類の褒め言葉があればより良いです。「完璧!すごい!最高!」


「認知症の診断は、生徒のウェルビーイングを左右します。記憶力の変化に直面しているという明白な兆候があり、それは不安に感じさせるものです」ペニーさんは言います。「自信が低いとき、認知症の人はアルバムの中を探るのが特に難しくなります。自信の低さが、認知症前のアルバムから役に立つ組み合わせを見つける能力が下がることに繋がります」あなたにはヨガティーチャーとして、生徒にうまくやっていると感じさせることで、彼らの自信や自尊心を引き上げる力があります。


ペニーさんが指摘したのは、良いニュースだけを伝えるのと同様に「親切にするのと上に立った態度をとるのとの間には小さな違いがあります」重要なのは本心からということ。信じられないほど困難な状況であなたの生徒はよくやっているということに気づき、何度も心から賞賛を与えてください。ペニーさんは言います「いつも筋の通った事実が記憶されるわけではありませんが、ずっと感情は記憶し続けていて、新しい事実の記憶が小さくなるにつれて感情のスペースが大きくなります。事実よりも感情により依存しているので、そのためあなたの不誠実さにはすぐ気づくのです」



7. 言葉とジェスチャーで生徒との関係を築く


ペニーさんは彼女の言うところの「私たち」関係を築くことを推奨しています。「あなたと生徒はここで一緒にいて、二人ともヨガクラブのメンバーだという印象を作ってください」この連帯感を、「私たち」「一緒にしましょう」などの言葉やフレーズを使って、そしてしっかり目を見て、彼らのジェスチャーやポーズを真似て、彼らの発言や提案に熱心に耳を傾けましょう。


もし生徒がポーズをしたがったら、ポーズをやめたいと思ったら、水を飲むために休みたがったら、賛成してください。「私もそう思っていたところです!」



8. 生徒を専門家として扱う


「ふさわしい話し方をする必要があります。彼らよりもいくらか能力が低いと考えてください。可能な限り、生徒をティーチャーだとしてください」ペニーさんは助言します。


自尊心を上げるために、生徒から受ける指示や確認は快く受け入れましょう。例えば、「三角のポーズはこんな感じかしら」と言ったらきっと「そう!」「その通り!」などコメントが帰ってくるでしょう。


「側から見たら誰が教えていて誰が教わっているのかわからないかもしれません」ペニーさんは言います。もしやろうとしているポーズを生徒がやろうとしなかったら、そんなときは、忘れましょう。彼女のやっている形を真似して、そのリードについて行きましょう。それもまた生徒の肯定感や二人の連帯感を築くのに役立つかもしれません。「そこから、その良い感情を踏み台にして、まるで独り言を言うかように変えることをさりげなく提案します」例えば、指示したり質問するのではなく、「それはいいポーズですね。肩をもうちょっと後ろに回したらどうなるかしら」と言えるかもしれません。


9. 異なる言葉、ジェスチャー、戦略を試して何がベストかを探る


会話や練習の間、いろいろ試して何に効果があって何にないかに気をつけましょう。会話を始めるのに良い天気の話は効果がない?あなたのお母さんや夫がヨガをしてくれたらいいのにという話は?会話は続きましたか?一歩下がるのは効果がありませんか?もう一方の足を前に出すとポーズに入れますか?生徒がシャヴァサナでじっとしていられませんか?肩に手をおいたら少しは長く休んでいられそうですか?質問をするのでなく、どんなときどんなことがうまくいってうまくいかないのかを観察してください。「できるだけ早く見つけられたら、最悪を最小限に最高を最大限にすることができます」ペニーさんは勧めます。


10. 生徒のウェルビーイングを高めるものは何でも喜んで繰り返すことを学ぶ


ヨガティーチャーは、新しいクラスを作ろうと大抵の場合は考えますが、認知症の生徒を教えるなら新しいものを考える重荷から解放されます。新しいポーズを教えるのではなく、よく知っているものを尊重します。


“One of the joys of working with individuals with dementia is that they will never tire of the repetition of what they enjoy,” assured Penny. The shoulder rolls they enjoy will delight them 「認知症の人に対応する際の喜びのひとつは、彼らが楽しんでいることを何度繰り返しても決して飽きないところです」楽しんでいる肩回しに何度でも何度でも大喜びします。ハッピーベイビーのポーズを「死んだ虫」と呼んで彼らが大笑いしたら、毎回大笑いします。生徒から肯定的なリアクションを引き出す言葉を見つけたら、繰り返し同じものを使い続けましょう。


11. 可能性を信じる


本当に効果があることは何かといえば、生徒の手を握ることです。手を握りましょう。好きなポーズがシャヴァサナだけだったら、ヨガクラスはそれに集中させましょう。もし生徒が本当にやりたいことは、お茶を飲みながら好きな話しすることなら、一緒にお茶を飲んで興味をもって喜んで話を聞きましょう。できる限り、ヨガクラスとは何かというあなたの概念を広げることになるにしても、彼らに寄り添いましょう。ペニーさんが言うように「SPECALのヨガは、SPECALを知らないひとにとっては『伝統的な』ヨガには見えないかもしれません。けれど、それは無駄なセッションというわけではありません。反対に、SPECALの基準で測れば、生徒のウェルビーイングを高めるものであるので成功なのです」


認知症の生徒とのヨガクラスの終わりには、新しいポーズも覚えていないし、膝とつま先の向きを合わせるのがうまくなりもしていないかもしれません。汗をかいたかどうか、最後のシャヴァサナでリラックスできたかどうかもわかりません。けれど、生徒の自己肯定感、自立性、社会的快適性、安心感に対して、価値のある貢献ができるはずです。「彼らの声を聞いて、『私たち』関係性の中で一緒に練習することを探ることで、持続的な方法で彼らの生活の質を高められるのです」ペニーさんはそう締めくくりました。「それが値段のつけられない非常に価値のあるもので、SPECALのすべてのケアが目指すところなのです」








2025年12月29日月曜日

ヨガと認知症 Vol.1 
Yoga and Dementia



現在アメリカ人の500万人がアルツハイマー病を患っており、高齢者の三分の一が亡くなる際にアルツハイマーなどの認知症にかかっています。近年、認知症は全体的に減少しましたが、アメリカの人口でこの障害に最もかかりやすい世代である90歳以上の数が最も急速に伸びているため、今後の罹患数は増えることが予想されます。


近年の研究では、ストレスを軽減し記憶機能を向上させるヨガの可能性が、老人ホームで暮らす人々の認知機能を改善することを示唆しています。瞑想とヨガを使ったある多面的プログラムでは、記憶機能をいくらか取り戻すことに成功しています。また、英国の小規模試験プログラムでは、認知症患者が優しいヨガを介護人と一緒に行うことで、より行いやすくまた参加者に受け入れられやすいことが分かりました。


ヨガの効果を考えれば、ヨガは認知症の家族や友人、患者に良いのではと考える人もいるでしょう。


「そうかもしれないし、そうでないかもしれません」と電話インタビューでペニー・ガーナー氏は言いました。ペニーさんは、英国バーフォードの中核的研究拠点にあるコンテンテッド・デメンシア・トラストの創設者であり医療ディレクターです。


この施設は、統合されて開発改良されたペニーさんの「SPECAL(スペックル)法」を用いており、現在ロンドンのキングスカレッジで科学的に研究されています。SPECALという頭字語が初めて使用されたのは約27年前で、ペニーさんがアルツハイマー病と関連する認知症のための特別な早期ケアを開発し始めたころです。ヨガが認知症患者に良いかもしれないしそうでないかもしれない、というペニーさんの言葉を理解するには、この手法の中核にある類似点をまず理解する必要があります。それは、「SPECALフォトアルバム」というものであり、通常の記憶がどのように機能しているかの概念、歳をとると何が起こるのかということ、そして認知症によって起こるある変化についてです。



SPECALフォトアルバム ー 記憶の象徴


この進行性の障害の、基本的に記憶システムに新しい出来事を保存する際の問題だというペニーさんの洞察は、1970年代にアルツハイマー病を患った母親の介護を通して得られました。「私たちは記憶システムを持って生まれます。それがフォトアルバムで、体験したものは全て写真として自身のアルバムに無意識に保存されます。このアルバムは、私たちの基準点であり大切な資産です。今何をしていたかが全て保存され続け、事実やそれに関する感情が含まれます。「ええっと」という度に、私たちは「アルバムを見てみよう」としているのだとペニーさんは説明しました。


「いつも自身のアルバムを参照して、光速でこの簡単に繋がれるデータベースから情報を取り出して、今何を、誰と、どこで、いつ、なぜしているのかの意味を理解するのです。そうやって今ここで何が起きているかのスピードについて行っている訳です。歳をとると、アルバムの写真を無意識に取り出したり保管するプロセスは変わりませんが、必要な時にアクセスする速さが遅くなります。遅くなることは普通のことで認知症とは関係がありません」そうペニーさんは指摘しました。「しかし認知症患者には、新しいタイプの写真が現れるのです。この新しい写真は、日常生活で今起きたことに関係のある現実は含まれないのですが、それに関連する感情だけは感じます。この認知症に関連した写真を『ブランク』と呼んでいます。まず、ブランクは現実の情報が途切れたほんの数秒に現れますが、ランダムで散発的に、そしてより頻繁にブランクが起こるようになり、やがて認知症と診断され、アルバムの半分が感情だけの写真となり、ブランクの長いリボンとなっていきます」


認知症患者は理性を失っているわけでもなく、少し前の現実を判断する能力を失っているわけでもないと、ペニーさんは強調しました。「アルバムのずっと昔のページは、現実もその時の感情もとても理性的に開くことができて、今日見たことをちゃんと説明することができます」


SPECAL法は、この対処手法でプラスに効果を出すことを探っています。その人にとってどの古い写真が最も卓に立つのかに注目し、そうした古い写真と毎日の日課との間に有用なリンクを作るのです。SPECALが尊重するのは、その人の過去の活動や体験を試すことであり、新しい活動には挑戦しません。「私たちのモットーのひとつは『新しいことは何も無い!』」だとペニーさんは言います。「新しい活動をするには順序立った新しい現実が必要ですが、認知症患者の新しい現実の保存機能はどんどん損なわれて行くことがわかっています」


何か新しいことを日課に取り入れると、自分のアルバムに役立つものをあまり見つけられないことの多い認知症患者は、自問して不安になってしまう傾向があります。「答えのない自問は疲弊しますし恐怖です」認知症の人は苦痛が起こる前にこう感じているのだろうとペニーさんは述べました。「ええっと、自分のアルバムを見てみよう、確かめなきゃ、私はどこにいる?どれくらいここにいる?どうやってここに来た?おやまあ、今していることの情報があまりない、本当に不安になってしまう、知ってるはずだけど・・?」






「鳩の群れに猫を投げ入れるようなことはしていないと願います」ペニーさんは続けました。「けれど、認知症患者が初めてヨガをしようとしたら、ヨガクラスですることは彼らのアルバムに筋が通るものは何一つないのです。今日の現実という情報のいくつかは今日のページにばらばらの順番で保存されます。認知症が進行するに従ってそれも少なくなっていきます。そして、少し時間が経って確認しても意味が通らなくなってしまいます。今の体験の内容が明確とは程遠いものになるのです」


「認知症にもかかわらずヨガの体験を楽しめる人を見つけることはできないという意味ではありません。けれど、ヨガをしたいという気持ちは、認知症患者自身から出てこなければなりません。楽しめたかどうかがはっきりとわかっていなくても、ヨガをした後も『あれをもっとやりたいからあの場所に戻りたい』と言うようであるべきです。患者からしか知ることができないこと、つまり患者と患者が記憶している感情に導かれない限り、うまく行うためにはあるべきでない余計なプレッシャーを与えてしまうことになります」


ヨガに効果がると介護人が確信していたら?「そうですね、ヨガをすべきなのは介護人のほうでしょう。けれどヨガは、認知症になる前にヨガをしていた人にとってはとても良い考えかもしれません。つまり、ヨガの写真がすでにアルバムに入っていたら、認知症以前の場所にあるものを参照することができるからです」


当初ベビーブーマー世代のアメリカ人に広く行われていたヨガは、それ以降ますます人気となり認知症になる可能性のある人の写真アルバムの大切な部分となっているかもしれません。ペニーさんによれば、そうした生徒たちにとって、特にウェルビーイングを高める技術に精通している指導者や仲間がいれば、人生を通してヨガを練習することには価値があるでしょう。



認知症の生徒のためのヨガへのアプローチ


もし長期間ヨガを実践してきた認知症の人から、もう一度練習をしたいと言われたらどこから始めればいいでしょう?


最初のステップは目標を明らかにすることです。「認知症を克服するという目標はありえません」ペニーさんは助言しました。「認知症はすでにそこにあります。それよりも、どのように寄り添えるかです。何がプラスで何がマイナスか。私たちの目標は、彼らの状況にかかわらず、生涯を通して24時間週7日間ウェルビーイングを維持することです。そしてそれは可能です」


SPECAL法が目指すところは、オリバー・ジェームズ氏によって Contented Dementia という本の中でより明らかにされていますが、ペニーさんが考えているウェルビーイングの要素、すなわち全ての人間に不可欠であり認知症患者の介護者がとても注意深く認識する必要があることを養うことです。価値があるという感覚(自己肯定感)、自立性(決断能力とそれが行われるのを目撃する)、社会的快適性(他者とのつながり)、そして安心感(基本的に全ては大丈夫だという信頼感)です。


「これらウェルビーイングの4要素がきっちりとあるべき場所にあれば、人は自信を持つことができます。その自信によって最大の能力が引き出されます」とペニーさんは述べました。(注:この4要素は、患者中心の認知症ケア分野の先駆者であるトム・キットウッドさんとの1990年代初期に行われた対話に基づいています)


以下のSPECAL法にから得られる助言は、認知症患者個人や患者グループに対応するヨガインストラクターに対応するためのものです。ペニーさんは、全参加者がSPECALの方針に馴染みがあるのでなければ、認知症患者が通常のグループに参加すること、またその生徒のために作った練習に介護者が参加することもお勧めはできないと言います。


というのは、認知症はさまざまな身体的要求を伴い、アプローチよりも内容が懸念されるからです。身体的に兼好でハタヨガの立位ポーズをたくさんすることができる人もいるでしょう。また運動により制限があったり空間的関係性に困難がある人もいるでしょう。そうした人にはリストラティブヨガやチェアヨガの方が良いかもしれません。以下の8番で説明しているように、「ヨガ」という概念を広げるような、認知症患者らの提案に敏感にオープンでありながら、彼らの能力を尊重した練習を作り、彼らが導いていくようにすることが重要です。


ペニーさんは、SPECALの基本原理である(以下の)3つの黄金律は、直感に反したものかもしれないと認めています。彼女の言うように「『根底を覆せと言われている!』と思うかもしれません。しかし、私たちには認知症患者の言葉を学ぶ必要があります。その人を変えようというわけではありません。彼らとどう関わるかを変えることができ、それこそが私たちが人のためにただすべきことです」



認知症患者に対応できるヨガティーチャーとは?


ペニーさんによれば、より高度なヨガの訓練を受ける必要はありませんが、SPACAL写真アルバムや3つの黄金律、以下のコツなどに精通した人であり、Contented Dementia Trust などによるコースを使ってSPECAL基本原理の理解をより深めた人が適していると言えるでしょう。また、認知症患者とのさまざまな交流のなかでその理解を練習に活かしていける経験を持つ必要もあります。



「SPECALのアプローチを基本理念を理解するには、ヨガの範疇外で開発し実践する必要があります。そうすることでのみ、ヨガティーチャーはそうした基本原理を、長期間慣れ親しんだヨガの練習を続けたいと思っている認知症患者に、最もうまく適用する方法を考慮できるのです」



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次回に続きます

2025年11月27日木曜日

股関節のためのヨガ Vol.2 
Help for the Hips


前回の続きです。他のアサナを見ていきましょう。

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ランジ・ポーズのバリエーション(バナラサナ)




ランジやそのバリエーションは、骨盤の位置を正したり腰痛などに良いポーズです。股関節を屈曲するための腸腰筋は、背骨の下方と骨盤をつなぎ腿の骨まで続いています。多くの場合この筋肉は硬くなっていて、左右の一方がより弱かったり柔軟であったりして、骨盤や両脚、背骨の位置関係を乱します。ランジのバリエーションでは、腸腰筋とともに大腿四頭筋も伸ばすことができます。


椅子から90㎝ほど離れて立ち、左足を椅子の座面にのせます。左膝を曲げて体重を両脚の間にかけながら背骨を垂直に保ちます。両手を左膝に置きます。右膝は伸ばしたまま踵を床におろし、足先は前に向けておきます
ゆっくりと股関節の屈曲を深め、床の方へ骨盤を下げます。そのままリラックスして呼吸します。そして反対側でも行います。





次に、まずは四つ這いになり、左足を前に両手の間に出して足指が手指と並行になるようにおきます。右脚は体の後ろへと伸ばし、膝と足の甲は床に下ろします。左膝は床に垂直になるよう足首と脛の真上に保ちます。骨盤を下げて両腿を反対方向へと伸ばし、胸を前斜め上へと押します。次は、右つまさきを立てましょう。右膝を持ち上げて伸ばし、かかとは体から離すように押します。右膝を持ち上げて、骨盤を床に下げながら左腿を前に、右腿は後ろへと押します。そのまま呼吸をしたら、反対側で繰り返します。



腿の付け根を開くポーズ


以下は、誰にとってもきついストレッチです。全てのバリエーションにおいて、重力と両脚の重みを使って内腿と腿の付け根をストレッチし、リラックスしながら骨盤の重みを床へと手放します。





うつ伏せに寝て顎を床につけます(あるいは額を組んだ腕に休ませます)。両膝を曲げてできるだけ開きましょう。そして足の裏どうしをつけます。骨盤を持ち上げたり膝の位置を替えたりしないよう、内腿と股関節まわりの筋肉をリッラクスさせます。両足を床の方へ下ろしますが、足の裏はつけたままにしておきます。ポーズをしながら深くリラックスして呼吸し、脚の重みで内腿と腿の付け根を優しく開きましょう。


次に、膝をもう少し曲げて足首を交差させます。もう一度、股関節や腿の付け根、骨盤の緊張を解きましょう。ストレッチが強くなったことに気づきましょう。それから足首の交差を変えます。左右どちらも準備ができたと感じるまでポーズを保ちましょう。





バタフライのポーズ(バッダコナサナ)




バタフライのポーズは、苦手とする生徒が多いのですが、それは内腿が固いためです。この筋肉をストレッチするには、背中を壁に預けて床に座るのが良い方法です。骨盤の後ろと背骨の根本をできるだけ壁に近づけておき、頭頂に向かって伸びます。膝を曲げて足先のあたりを手で掴み、床に向かって膝を下ろしましょう。それから手のひらを使って、鼠蹊部から膝までの内腿をしっかりとマッサージします。最後に腿と膝を、できる範囲で、もう少し床に向かって両手で注意深く押しましょう。このポーズを保ちながら、息が全身に流れるように、滑らかで均等に呼吸をしましょう。よければ、股関節から前屈してよりストレッチを深めることもできます。



壁際での腿のストレッチ


このストレッチは、座位の開脚ポーズに似ていますが、腰や内腿が硬い人や、開脚する際に垂直に座るのが困難な人に特に良いポーズです。背骨と腰を床で支えながら、重力で両脚を開いて内転筋群を優しくストレッチします。


まずは、片方のお尻の外側を壁につけて床に座り、両手を後方の床におきます。




ポーズに入るには、後ろにもたれて両膝を胸に引いて両足を上げます。そして体を回して、尾骨が壁の近くに頭頂が壁から遠くなるように横たわりましょう。両脚を壁で垂直に伸ばし、背中は床に休ませます。頭の後ろで両手を組んで頭と首を支え、肘は開きます。そして両脚を横方向に開き、壁に預けておきます。リラックスして両脚が重力に引かれるままにし、内腿をストレッチします。膝裏が辛くならないようにし、不快感を感じたら少し膝を曲げましょう。よりストレッチするには、背骨を伸ばし尾骨を壁に押し、両脚の後ろ全体を伸ばして骨盤から離すように踵で蹴り、脚を回転させずに膝と踵をしっかりと壁につけておきます。おポーズに集中しながら呼吸し、回数を重ねるに従って徐々にポーズを保つ時間を伸ばし、より深くリラックスしましょう。


ポーズから出るには、両脚を壁で揃え、膝を曲げて胸に近づけ、足の裏を壁ですべらせて下ろします。リラックスし、両脚と背中を休ませて、膝の内側に緊張を解きます。最後に、片方に寝返りをうってポーズを終えましょう。








2025年11月17日月曜日

股関節のためのヨガ Vol.1 
Help for the Hips

アサナの練習をすることで、理想的には心身のバランスと心の穏やかさを得られ、健康で幸せでいられるようなります。しかし練習を重ねていくと、体のある部分に「行き詰まり」を感じることもあります。そうした症状がよく現れるのが、特に瞑想やプラナヤマの座位の姿勢を練習する人にとっては、股関節や骨盤の辺りです。また股関節は、体重を支え全身を構造的に安定させている一方で、歩く、走る、ジャンプする、前屈みになる、座るを同時に可能にしていますが、それを考えればそこに問題が生じるのも不思議ではありません。骨盤は上半身全体の基盤であり、体内全てが健康的に機能するには骨盤を調整することが不可欠です。現状を評価して、股関節や骨盤周りのバランスと柔軟性を得られるよう練習を調整するために、少し解剖学を見てみましょう。






骨盤、脊椎下部、股関節は上半身の重みを支えており、胴体と両脚の関係を安定させ、歩く、走る、ねじる、あらゆる方向へ曲げるために必要な体系を形作っています。骨盤と脊椎下部は仙骨の左右にある仙腸関節で繋がっていて、比較的あまり動きません。この半固定された構造により、背骨の下端をしっかりと支え、多くの場合は脊椎下部と骨盤は一体で機能しています。


それに比べ、腿は骨盤と球関節で繋がっており、体の中で最も動く関節です。これによって股関節での広範囲の動きが可能になっています。腿は、前後左右に動かせることができ、また内外に回転させることもできます。そうした異なる機能を包含するこの場所に想像できるように、柔軟性と強度に多くの筋肉群が関係しています。腿裏のハムストリングス、前の大腿四頭筋、内腿の内転筋、後ろと横にある外転筋、回転筋、そして股関節屈筋(腸腰筋)、これらは骨盤の奥深くにあり、骨盤との関連で腿を動かせます。最後に、腹筋が体の前を支えて骨盤と脊椎下部の正しい位置関係を保っています。


股関節はあらゆる方向に定期的なエクササイズをしなければ、大抵は、凝り、痛み、慢性的な筋肉の短縮が起こります。以下のエクササイズは、この部分を強化して開くよう考えられています。股関節の動きにくさとともに、ハムストリングスや腰の凝りがある場合は、その辺りも一緒に動かす必要があるでしょう。筋肉が硬くなるのは多くの場合は弱い筋肉を補っていることを覚えておいてください。強化エクササイズを含んだ包括的なプログラムの方が、特定の一部分をストレッチするよりも、より早く筋肉バランスをとり戻し正常な可動域を得ることができます。


以下のポーズは、股関節の柔軟性制限への対処法です(ハムストリングス以外)。流れに沿う場所があるならば、これらのポーズのいくつか、あるいは全てを、毎日のアサナのどこかに取り入れてみてください。例えば、立位ポーズに体側を伸ばすポーズをする、あるいは三角形のポーズ(トリコナサナ)の代わりにするなど。腿の付け根のストレッチをうつ伏せのポーズに取り入れるなどです。いつも同様、定期的な練習は不可欠です。




体側を伸ばすポーズ (パールシュヴァコナサナ)


立位ポーズは、股関節や骨盤に良いポーズです。強さや柔軟性を養い、意識がポーズでの動きと統合するからです。このポーズでは、股関節の深い場所の可動域が高まり、四頭筋など脚や骨盤の筋肉が強化、体側全体に沿った筋肉がストレッチされ、胸が開きます。






両足を脚の長さ程度に開いて立ちます。右足を外に90度開き、左足はやや内側へ、股関節と胸は前に向けます。息を吸い込んで、両腕を手のひらを下にして肩からまっすぐ外に伸ばし、両肩を広げたまま耳から遠ざけるよう下げます。息を吐き出して、右膝をちょうど足首の真上にくるまで曲げます。ポーズを安定させて、呼吸をリラックスさせましょう。


胴部は前に向けたまま、息を吐き出し、背筋を伸ばして右へ曲げ、右前腕を膝にのせて、左手のひらを上に向けながら左腕を頭と並行に挙げます。そして、尾骨を少し引き込み肩甲骨を内側に引くことで胸と腹部をより開きます。両足をしっかりと床に押し付け、左かかとから左指先まで伸ばします。安定させるため、右膝は足首の真上に置き、左足の外側で床を押しましょう。


ポーズを深めるには、内腿どうしを遠ざけるように伸ばします。それから右腕を膝から離して、手を右足の外側の床に置きます。左腰を伸ばした脚や腕と一直線になるまで下げて、左側全体のストレッチを深めましょう。右腕と右脚を近づけたまま、胸郭と腹部を回して開き、胸を骨盤から離れるよう持ち上げます。左腕を伸ばし、左肩を開き、首を長く、まっすぐ前を見るか頭を回して上を見ます。そして、ポーズをしながら集中して安定した呼吸をし、そのまま3-5回呼吸するか、準備ができたと思ったらポーズを終えます。右足の指の付け根を押し、胴体を持ち上げ、脚を伸ばします。左右の足の位置を替えて、反対側で繰り返しましょう。



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次回に続きます。


2025年11月13日木曜日

2分で骨盤底筋を整える 
Tone Your Pelvic Floor (in 2 Minutes)



骨盤底筋は解剖学の中でも軽視されやすい場所です。調子よく活性されている時は、恥骨と尾骨の間を薄く覆っているこの筋肉は、おどろくほど様々な面で健康を支えています。膀胱機能の向上、規則正しい大腸の動き、痔の予防や緩和、生殖機能のバランスを整える、交感神経を鎮めるなどです。しかし、骨盤底筋が弱くなると、時と重力に負けて、次第に多くの問題が起こるようになります。





シンプルなエクササイズ



骨盤底の筋肉は、他の筋肉と同様、定期的に繰り返し使いながら、強化したり整える必要があります。以下のエクササイズはそうしたものです。

  1. 仰向きに横たわって、骨盤の近くに両足を置きます。身体と呼吸をリラックスさせて目を閉じます。

  2. 骨盤底に意識を向けます。恥骨と鼻骨の間にある筋肉を、尿道と肛門の括約筋、その間にある会陰も含めて全て収縮させます。(男性は会陰の中心を収縮、女性は子宮頸部も収縮しましょう)息を吸い込んでリラックスします。

  3. 息を吐き出し、エクササイズを繰り返します。できるだけ深く強く締めましょう。息を吸い込んで解放します。25回繰り返しましょう。呼吸が途切れないよう、そして顎や腹部、内腿など体の他の部分はリラックスし続けるよう確認します。

  4. できるだけ長く収縮を保ったまま普通の呼吸を続けて、終わります。

  5. もし疲れを感じたら可能な範囲で練習し、25回の収縮が楽にできるまで徐々に回数を増やしていきましょう。



練習する時間


筋力を維持するため、週に4回は練習しましょう。一度テクニックをマスターしたら、歯医者の待合室や、信号待ちの間、つまらない会議の間など、空いた時間に練習できます。やがては、ヨガポーズや呼吸法、瞑想を深めるために骨盤底筋を使うことができるようになるでしょう。



次の段階へ


強靭で柔軟な骨盤底は、霊的、精神的、肉体的にも生命力の貯蔵庫を支える基盤です。ヨガを練習している人は、このエクササイズがムーラ・バンダ(根元の鍵)の準備だと気づくでしょう。ムーラ・バンダはアーパナ(心身にある生命力の下向きの流れ)をコントロールするための微細な実践です。マスターすれば、心の安定が得られ直感や創造性が目覚めます。







https://yogainternational.com/article/view/tone-your-pelvic-floor-in-2-minutes/

2025年7月14日月曜日

高齢者のためのヨガ:ヨガで転倒リスクが減少 
Yoga for Seniors: How Practice Can Reduce the Risk of Falling

今回は、医師でありヨガティーチャーである著者が指導者に向けて書いた記事です。
いくつかの研究結果についても書かれていますので、指導者でなくても、こんな効果があるんだ!ヨガって役立つんだ!という風に感じていただければ嬉しいです。

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「外傷病室1に患者、外傷病室1に患者、急行せよ!」私の仕事ではこんな緊急の知らせがいつでも起こります。


救急医として対応する患者は様々ですが、高齢の患者でとても多いのが転倒で怪我をしてくる人です。65歳を過ぎた3分の1以上の人が一年に一回以上転倒しています。


転倒は、筋力や姿勢への意識の低下、薬の副作用、認知力低下、鬱など様々なリスク要因よって起こります。


こうした患者らは、腰や長骨の骨折、脳の負傷による急激な精神状態の変化、皮膚の裂傷、その他命を脅かす怪我などをしてやってきます。


こうした転倒は多くの場合、患者らの体力や体の安定性、可動性、そして全体的な健康状態を維持するための基本的な介入がいくつかあれば防止できたであろうものです。


悲しいことに、骨折や頭の出血は転倒後にしばしば起こる症状の単なる始まりに過ぎません。転倒の結果、体の固定やストレス、転倒による心理的影響などが多くの場合、高齢者に数多くの問題をもたらすことになります。肺炎や創傷感染などの二次感染で治癒が遅れ、脳損傷や身体障害は患者の自立性の多くを失うことにつながります。この全体的な機能低下によって、何度も転倒を繰り返し、続く怪我、生活の質の低下、そして時には死をもたらすこともあります。


私たちはヨガの専門家として、あまりにもよく起こる高齢者の転倒の根本原因のいくつかに取り組むという類稀なポジションにあります。体力やバランスのトレーニングの効果は、もちろん、医学文献の中でも頻繁に言及されています。ヨガに特有の呼吸法やリラクゼーションにこうしたトレーニングを加えれば、身体的強さや安定性、また健康で幸福であるという感覚を与え、生活の質を高める方法を提供することが可能です。
  

特定の症状のある患者を治療する時、同職者たちが見つけた同様の患者に効果的な治療法を知るために最新の医学論文を調べることがしばしば役立っています。論文を吟味することは良いことだと考えてはいますが、研究によって効力や妥当性がとても様々で、医学論文を注意深く読むことに慣れていなければ、お粗末な研究方法で導かれた見せかけの「良い」結果に簡単に迷わされてしまうことになります。医師もヨガの指導者も、患者の治療プランを決める前に医療専門家が信頼する同様のエビデンスを利用して欲しいと思っています。


 

高齢者のためのヨガの効果


高齢者の転倒の防止法についての研究はかなり多く存在します。特にヨガを対象にした研究は比較的数が少なく、ざっと見たところ現段階では研究対象の人数がとても少ないという批判が大きいことがわかりました。それでも、高齢者にヨガを勧めるには、下記の論文がやくだつのではないかと思います。少なくとも、提供しているのはただのヨガクラス以上のものだということに気づいてください。実際に、次の転倒を防止する仲間に加わっているかもしれないのですから!


2013年の Journal of Gerontology (老人病学ジャーナル)掲載の Tiedemann らによる論文では、それまでヨガや太極拳をしたことのない平均年齢68歳「地域在住者(老人ホームなど施設に住んでいない人)」54人に任意のコントロールテストを行いました。対象者は、ポーズを説明した小冊子を受け取ったグループと、12週間週2回ヨガクラスに出席したグループとに分けられました。コントロールグループには教育用小冊子が配布されましたがクラスには参加しませんでした。12週間後の介入グループは、座位から立位への移動時に敏捷性がより上がり、片足のバランスがより良くなり、歩行もより速くより自信に満ちて歩けるようになりました。中心とされたヨガポーズは、タダアサナ(山のポーズ)、ヴィラバドラアサナ(戦士のポーズ)I、ヴィラバドラアサナ(戦士のポーズ)II、ヴィラバドラアサナ(戦士のポーズ)III、アルダチャンドラサナ(半月)、ヴルクシャサナ(木のポーズ)、アドムカシュヴァナサナ(下向きの犬のポーズ)、シャヴァサナ(尸のポーズ)です。


計画においてはややロバストではないものの同様の結果が出た研究は、2014年に Journal of Alternative and Complementary Medicine で発表されたケリー氏らによるもので、平均年齢72歳の地域在住者という同様の被験者の、週2回ハタヨガに参加させ12週間後の効果を分析しました。この研究は任意抽出でななく(従って前記のものよりはロバストではない)被験者グループの『ビフォアフター」効果を観察した事前事後テストスタイルの研究でした。ヨガポーズは、ウォームアップの肩回し、かかと上げ、そしてバッダコナサナ(合蹠のポーズ)です。結果は同様で、可動性、姿勢のコントロール、歩行速度が向上したと述べられています。


他のメタ分析(共通の結果を調べるために一連の同様の研究を評価するという研究)では、高齢者において特にヨガが他の身体活動関連の介入方法に比べ優れているという、より控えめな証拠を示しています。パテル氏らのメタ分析では、1950年から2010年までの研究を調べ、様々な状況における高齢者を対象した関連研究を18見つけ出しました。このメタ分析では、被験者の健康感、有酸素的な健康、体力などがヨガで向上したことが示唆されています。
 

ヨガの指導者の行動がこうした人々の転倒防止に役立っているのかを証明する完璧な研究はないと理解した上で、ヨガが高齢者の体力や安定性、調整力、そして幸福感を達成する助けとなるのではないかという論理的証拠がますます増えてきていると考えています。今まで聞いたことのあるどんな薬よりもいいと思っていますし、間違いなく、防止可能な転倒から起こる怪我や身体障害や死よりは良いと思っています。


この年齢層を対象にし続けて欲しいですし、高齢者に参加可能なヨガクラスを提供することで、高齢者の健康や幸福を向上させられることはとても重要な貢献であると気づいていて欲しいのです。最も意味のある変化をもたらすものは、新しい薬や即効性のある治療法ではなく、小さくても毎日の目的を持った誠意ある行動だと。これがヨガだと。



幸運を。ナマステ、美しきヨギたちよ!

2025年7月7日月曜日

腱膜瘤の予防・痛みを緩和する9つのポーズ Vol.2 
9 Poses to Prevent Bunions & Relieve Bunion Pain

前回の続きです。

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手術は必要?


特に前回やったような親指エクササイズをしている間、親指を持ち上げて伸ばす時にどんなふうに動くかを観察しましょう。左右の親指を持ち上げた時、おそらくそれぞれが反対の方向に向いているでしょう。親指を前に伸ばして下ろすと、母指内転筋が活性化してもっと並行になるはずです。左右の親指がどうしても離れる場合は、ゴムバンドで繋ぎ合わせて、持ち上げて伸ばします。腱膜瘤が痛まないよう親指の付け根の間に何か挟むと良いでしょう。


腱膜瘤が進行し、足指の屈筋と伸展筋がもはや交差するほど脇に引っ張られている場合は、エクササイズでゴムバンドを使っても、親指の反りが直せないこともあります。その結果、親指を持ち上げた時、こうした筋肉は弓矢を引くようにより横の方へとただ引かれるだけであまり効果がありません。その場合、特に足の筋肉を効果的にストレッチしたり働かせようとすると痛みが強くなる時は、手術が必要なのかもしれません。




立位ポーズを再認識する


足指エクササイズは、ハタヨガの立位ポーズの練習では特に効果的で重要です。ヴィラバドラサナ(戦士のポーズ)1、2やパールシュヴァコナサナ(体側を伸ばすポーズ)など前足の膝を曲げて足首をまっすぐにするアサナでは、効果的な動きをするとてもよい機会となります。





戦士のポーズのように前脚の膝を曲げた立位ポーズでは、前脚のすねを垂直に保ち(膝関節がかかとを通り越えない)、重心をかかとの中心に置いて、足の親指と小指をむかって伸ばしながら、引き上げて広げる練習をします。


これによって、足の内外の端でアーチが強化されて、足指が整います。膝をゆっくりと曲げたり伸ばしたりしながらこれを練習していると、足のこの動きによって膝が正しい軌道を通り、特に小指側に維持していると股関節の緊張が解放されるでしょう。


トリコナサナ(三角形のポーズ)やパールシュヴォッタナサナ(三角前屈)の前足など足首を伸展した立位ポーズでもまた、足指の付け根を地面に着けたまま親指に向かってより強く伸ばす必要があるため、親指を伸ばして床につけることが試されます。このポーズは、腱膜瘤への圧迫がかなり少なくなるので痛みが小さく、膝を曲げたポーズよりもかなり快適でしょう。そして、膝関節をロック(過伸展)しない限り、力強い動きが膝関節や足の親指の筋肉にも大きな効果があります。膝は小さな「マイクロベンド」を保ちながら、足を働かせましょう。





アルダ・チャンドラサナ(半月のポーズ)など片足でバランスを取るポーズは、最も難しいポーズです。腱膜瘤のある人にとって特別に難しいのは、膝をロックすることと土踏まずが潰れている傾向があるためです。腱膜瘤によって足の骨が安定しないため、足はとても不安定でぐらつき、ポーズを安定させようと膝をロックしてしまうことが多く必要な足の働きを妨げます。この癖に負けずに、膝関節を少しだけ曲げて、かかとに体重を移すために足指を持ち上げ続けるよう練習しましょう。これが土踏まずのアーチを強化して膝のロックを防ぎ、バランスを取るためにできるだけ足指を広げることにつながります。足の親指と小指を伸ばすエクササイズは特に難しいですが効果的です。片足でバランスを取る時、足をどう使うかが膝の健康にとても深く関わっているということに気づくでしょう。



ヨガポーズでの足の働かせ方


アドムカ・シュヴァアサナ(下向きの犬のポーズ)では、足指を指先に向かって伸ばしながらアーチを強く引き上げなければなりません。いつもの通り、膝がロックしないよう小さく曲げ続け、地面からかかとを浮かせておきます。これによって、ふくらはぎやハムストリングスをストレッチしたまま、足を強化することができます。





ウルドヴァムカ・シュヴァナアサナ(上向きの犬のポーズ)やブジャンガサナ(コブラのポーズ)などでは、特に足の親指に沿って後方へ伸ばし(鎌足にならないで、足の内側ラインを並行に)、床に向かって小指を下ろしをおろすことで、足首の前がストレッチされ足指の伸展筋が強化されます。足指の爪全てを(特に親指と小指)まっすぐそして軽く床に押し下げ足を側からせましょう。


セツバンダアサナ(橋のポーズ)は、腿と足を並行に保ったまま土踏まずを強く働かせるポーズです。ここに書かれた通り足を働かせた場合、ときおり生徒に指示されるように足を内側に回転させる必要はありません。土踏まずと足指を働かせながら足の内側を地面にしっかりつけていれば、足が外側に離れていくことはないからです。


最後に忘れてはいけないのは、座位の前屈が、腱膜瘤に体重がかかることで感じる痛みなしに足を働かせるよい機会であることです。ヨガブロックを足の裏につけてブロックのまわりにストラップをかけ、床に立っているように足が動かせるようにします。足指の付け根(特に親指)をブロックに押し付け、足指を働かせている間もブロックを並行に保ちます。









最後に、ハタヨガの基本的なポーズは、痛い腱膜瘤の進行を効果的に予防したり、遅くしたり、止めたりすることのできる、足の完全なワークアウトの機会を与えてくれます。それにはちょっとした努力や気づきが必要ですが、腱膜瘤の兆候が(まだ)現れていなくても、その練習には効果があります。ちょっとしたウォームアップと土踏まずと愛指のワークアウトによって、ヨガは足の健康と幸せを与えてくれるのです。







(出典)https://yogainternational.com/article/view/9-poses-to-prevent-bunions-relieve-bunion-pain/



2025年7月4日金曜日

腱膜瘤の予防・痛みを緩和する9つのポーズ Vol.1 
9 Poses to Prevent Bunions & Relieve Bunion Pain


腱膜瘤はよくみられる足の症状で、放置すると変形して痛みが生じることもあります。医療科学では、腱膜瘤を進行性の病気だと見做し、主な原因は遺伝にあるとしています。しかし、より大きな視点から見れば、窮屈な靴であったり、ストレッチやマッサージの不足、あるいは足を正しく使えていないことが原因です。幸いなことに、足のウォームアップやエクササイズ、適したヨガポーズなどにより、遺伝的要素で起こる腱膜瘤の進行を遅らせたり、放置したり合わない靴による腱膜瘤の形成を止めたり、その痛みの緩和を助けることは可能です。腱膜瘤が無い場合であっても、こうしのエクササイズにより痛みや疲労を減少させ、足を強く健康的に保つことができます。



腱膜瘤は どのように形成されるか


腱膜瘤(突き出た骨質のこぶ)の原因の多くは、母指球にある骨がジグザグになることです。親指が他の指の方向へ曲がる一方で、中足骨(足首と足指をつなぐ骨)が外へ向いて不快感が起こったり、中足骨頭が石灰化することもあります。これは多くの場合、足の土踏まずの崩れとともに起こります。それぞれの問題が他の問題をより増幅させます。土踏まずの崩れは腱膜瘤の形成を早めますし、腱膜瘤そのものも土踏まずを潰して中足骨をより変形させます。腱膜瘤は、歩くことでかかる圧迫による痛みや炎症を起こしたりと、より深刻な問題となりえます。


骨の形や足をひとつにまとめている靭帯の強さを決めるのは遺伝子であるため、原因のひとつは遺伝です。足の親指の中足骨頭が異常に丸まっていたり出っ張っていると、指がより内側に向きやすくなります。中足骨の反対側にはくさび状骨があり、中足骨が外側へ動く原因になるような形で付いていることもあります。


腱膜瘤が原因で、バランスポーズで足が不安定になったりぐらぐらしたりします。多くの場合、ポーズを安定させるために膝がロックされ、足の働きを阻害します。


しかし、遺伝だけが原因ではありません。きつい靴をはくと、足を外に回転させて歩く癖と相まって、親指の中足骨に圧迫がかかり土踏まずの靭帯が弱まる一方で、歩くたびに横へ押しやられた親指自体が内に向きます。その結果、足裏の内転筋(特に母指内転筋)が硬くなって親指が他の指の方へ引かれ、指がひとつにぶつかり合ってしまいます。引く力に抵抗して親指がまっすぐになるよう作られた母趾外転筋は弱くなって過伸展し、腱膜瘤がほとんど抑制されることなく進行していきます。


このように腱膜瘤(そして腱膜瘤形成を促す筋肉のアンバランス)で、親指が歪み足の構造が弱まって私たちを悩ませることになります。足の親指の力を支える役目を果たしている筋肉に注目し、親指をもとの場所に戻す方法を見ていきましょう。



土踏まずを働かせる


長母趾伸筋        前脛骨筋



前脛骨筋は、足の親指から土踏まずの前部分を通っています。この筋肉に運動をさせる方法のひとつは、足指をギュッと丸めて足でナプキンを摘み上げることです。ナプキンを持ち上げるために足首が屈曲し足が反転(横に返る)するとともに、親指の付け根にある筋肉が働くのを感じるでしょう。それが、前脛骨筋です。


また、親指の付け根を床につけたまま母指球の後ろから土踏まずを意図的に引き上げ、親指を持ち上げることで、前脛骨筋を働かせることができます。


土踏まずの引き上げは、足を反転させずに母趾急を床につけたまま、前脛骨筋からもたらされます。親指をもとに戻す筋肉を強化するためには、この筋肉を働かせたまま、母趾球を下ろしつづける必要があります。これをやり遂げるには、以下のエクササイズが役立つでしょう。



フットマッサージで自分にご褒美を


足裏の硬さは、腱膜瘤形成の一因であり足指がつる原因です。このようにくっついたままでは、土踏まずを強化したり足指を働かせたりするのは、不可能ではないにしても困難です。ですから、まずは内転筋を解くフット・マッサージから始めるべきです。







これらの筋肉を解くには、足指の付け根を手の親指を使ったり、テニスボールやゴルフボールを転がしましょう。足親指の付け根から始め、土踏まずの内側までマッサージします。足の小指側に沿って、そして足裏で硬さを感じる場所を全てマッサージしましょう。


次に、足指の可動性を取り戻すため、指の間にスペースを作る必要があります。足裏を手のひらで覆って、手の指を足指の間にできるだけ差し込んで、「ヨガの握手」で前後に動かし足指を緩めます。




これに慣れたら、上向きの握手(足指と手指を足裏から上向きに組ませる)と下向きの握手(足指と手指を足裏から下向きに組ませる)を交互に行なって、ストレッチの効果を高めましょう。


ウォームアップが終わったら、足指一本ずつ掴みかかとから優しく引き離します。足指をポキポキ言わせることが目的ではありませんが、ポキポキ音は解放されたことを示します。




鍵となる筋肉の強化


次に、床か椅子の上に両足を並行に膝を曲げて座ります。足指の付け根と内かかとを地面に付けたまま、すべての足指を持ち上げます。親指の付け根からだけでなく、かかとの前にある足裏の中心からも土踏まずがどの程度持ち上げられるかを見てみましょう。


もちろん、ただ足指を持ち上げること自体が大変だと気づくかもしれません。筋膜の覆いは、足首の前からすねの前へと上へ延びていて、足指をすねの方へ伸展する筋肉のための滑車のように働きます。足首が硬いと、筋膜がこうした伸展筋の動きを制限し、足指を持ち上げることを難しくしています。ヴァジュラサナ(稲妻のポーズ・正座)やヴィラーサナ(英雄のポーズ・くずした正座)などで、足首の前にあるこの筋膜をストレッチすることができ、伸展筋が解放され足指の可動性を取り戻すことができます。



足指が動くようになったら、こちらを試しましょう。全ての足指を持ち上げてから、小指を挙げたまま親指だけ伸ばして床に下ろします。この動きが最初のトレーニングとなり、腱膜瘤に対抗する鍵となります。そのためには・・・

  • 土踏まずを持ち上げ続けましょう。足の内側にある筋肉群を強化するのに必要な抵抗が得られます。親指の付け根と内かかとを床に下ろして土踏まずを強く保ち、足がめくれないようにしましょう。

  • 親指を前に伸ばしてボタンを押し下げるかのように、親指を伸ばしましょう。これは、つま先を丸めてただ床を押すのとは全く違います。何度か親指を持ち上げたり伸ばしたりすると、内かかとから土踏まずを通って親指に繋がる筋肉(母趾外転筋)が疲れ始めるのを感じるでしょう。そこが、対象となる筋肉です。




足全体を強化するためには、全ての足指を挙げてから、小指だけを伸ばして床に下ろします。


これによって、小指からすねの外そして腿の外側に沿って走る筋肉群に効き、足の小指側のアライメントを強化し、健康的な土踏まずを築き安定させることができます。小指側の足や足首が弱く硬いと、多くの場合、膝の過伸展、足の回内、土踏まずの崩れを伴います。足首やすねの外側をこうして強化することで、特に扁平足の人は、膝のために役立ちます。


最後のエクササイズとして、足指の中3本を持ち上げて広げ、親指と小指のみを伸ばして床に下ろします。




これによって、足の前にある横向きのアーチが作られ、また足の内外端が強く働き、内側と外側のアーチのバランスが取れて力強くなります。


この最後のエクササイズは、足の四隅(親指の付け根、小指の付け根、内かかと、外かかと)がしっかり元の位置に戻っていくように感じるかもしれません。かかとの骨と足指が四隅で正しく並んでいると、まるで四輪が正しく並んだ自動車を運転するように、歩くなど全身する動きにおいて足は正しく機能するのです。


こうした足指エクササイズは、ヨガポーズの多くに取り入れることができ、全身のアライメントをより良くし、足のアーチの弾性と土台の強さの両方を高めることができ、また膝や股関節にもさらに効果をもたらします。腱膜瘤のある人は、こうしたエクササイズによって進行を遅らせたり、止めることも可能です。腱膜瘤がなくても、これらの動きによって、足から膝、股関節へと全てをしっかりと使うことができ、関節の健康を高めることができます。


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2024年3月12日火曜日

心臓の健康へのヨガの5つの効果 
5 Heart-Health Benefits of Yoga

ヨガが高齢者の健康に大きな効果をもたらすことはすでに知られています。
そのひとつは、心臓にとても良いということです。






ヨガが心身に良いのは、柔軟性や体力増強、エネルギーや気分向上などの効果をもたらすからです。また、心臓にも良いというますます多くのエビデンスが出てきています。


何千年も前のインドに起源を持つヨガは、これまで数多くの臨床研究の対象となっており、太陽礼拝やダウンドッグなどに対するエビデンスは強固になってきています。一例を挙げれば、米国心臓学会の2023年アジア会議で発表された研究では、ヨガが心不全患者の循環器機能向上とともに、忍耐力、体力、バランス、そしてQOLを向上させることが認められました。


もし心臓に問題があるのなら、どのレベルのヨガがあなたに適しているのか医師に確認しましょう。もしヨガを始めようと思っている、あるいは健康に不安がある場合は、クラスの前にインストラクターに相談しましょう。インストラクターが、一緒にクラスが受けられるようにコツやバリエーションを教えてくれるはずです。



1. ヨガは体の運動を促す


CDC(米国疾病予防管理センター)によれば、運動不足は、米国の男女No.1の死因である心臓病の原因になります。


しかし、遅すぎることはありません。研究によれば、ヨガをする人はより活動的で健康的な食事をする傾向が高く、それが心臓を守ってくれています。2018年5月「International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity」で発表された研究では、ヨガを習慣的に実践している若年層はより健康的な食生活を送っており、より中高レベルの運動をより長時間行っているとわかりました。2020年8月の「International Journal of Environmental Research and Public Health」に発表された他の調査では、ストレッチをするエクササイズは、心臓や全身に血液を送り出す動脈硬化を著しく減少させ、中高年層における心機能を向上させることを示しています。


米国心臓協会(AHA)が薦めるのは、総合的な心臓の健康のためには中程度の有酸素運動を少なくとも30分、週に5日以上行うことです。中強程度の筋トレを週に2日以上行うと、より効果が得られるそうです。



2. ヨガがストレス解消に


ストレスがどれほど心臓病に関係しているのかを研究者もはっきりとは確定することはできない一方で、ストレスが心臓病のリスクを上げる習慣や要因を増加させる可能性があります。これには、喫煙や運動不足、過食、高血圧などが含まれます。


ヨガの実践者には、精神衛生の向上、リラックス感の増加、気分の向上などがみられると研究で示されています。心身の実践は、落ち着こうとする神経である副交感神経を調整するのに役立ちます。2020年8月「Stress & Health」で発表された研究では、呼吸法や瞑想をするヨガクラスの参加者のストレス受容減少とマインドフルネスの高まりが示されました。


「ほとんどのストレス解消テクニックでは、呼吸に意識を向けます」ミシガン州ビンガムファームスの「Kahn Center for Cardiac Longevity」の循環器医師ジョエル・カーン博士はそういいます。「全てのヨガで不可欠なもののひとつは、呼吸への気づきとよりマインドフルであることです。つまり、外から見てわかる、あるいはわからないストレス解消の意識付けが、ほとんど全てのヨガクラスに内在しているのです」



3. ヨガが高血圧リスクを下げる可能性も


2021年9月の「Scientific World Journal」で発表の系統的な再調査では、ヨガで高血圧をコントロールできる可能性を示しました。


瞑想や呼吸、ヨガの練習が、高血圧前症の患者における拡張期・収縮期血圧(血圧の最高と最低の値)を下げるとされる数多くの研究を再調査しました。再調査では、体系化されたヨガポーズや呼吸法の「服用量」は確認できなかったものの、高血圧や心臓病を起こす可能性をヨガが減らすことができると研究者らは結論づけました。


「ヨガの生理学的な効果は、神経系の福交換神経を高めることだということはわかっています」コロンビア州のミズーリ医科大学の産科医であり、ヨガの血圧に対する効果の研究を行っているシャミタ・ミスラ医師は述べています。「心拍を下げ、心臓の働きを抑えます。心拍が少なくなればなるほど、そのひとつひとつはより強くなります」



4. ヨガは不整脈を落ち着かせる可能性も


心房性細動は、早かったり不規則に打つ異常な心拍リズムのことで、心不全やその他合併症の原因となります。2022年の「European Society of Cardiology Congress」で発表された研究では、ヨガが心房性細動患者の症状を抑える可能性を示唆しました。研究は、2012年から2017年、538人に対して実施されました。被験者らは、12週間ヨガをしないで、その後16週間毎日、ポーズや呼吸を含めたヨガのセッションに30分参加しました。その16週間の間は、被験者たちの発作の回数が減少しました。


「心房性細動患者の治療の中で、発作回数を減らすのにヨガが役立つ可能性があるかもしれない」ニューヨークのブロンクスにある「Cardiac Wellness Program at Montefiore Medical Center」の創設者であり管理者のロバート・オストフェルド博士はそう述べています。



5. ヨガは共同体意識を促す


心不全など深刻な心臓疾患を経験した患者の多くは、社会からの孤立感を感じたり、うつ状態になったりすることがあります。「外出するのが安全ではない、外出するほど元気でないと感じるのです」オストフェルド博士は言います。「初めて自らの死に向き合っているからでしょう。あるいは、今まで可能だったこと全てができるわけではないという事実に直面したからかもしれません」


ヨガがそれに役立つかもしれないというエビデンスがあります。米国医学協会の機関誌に発表された研究では、メイン州の農村で、循環器リスク要因と行動変化を対象とした共同体プログラムに参加することが、死亡率や入院率の低下と関係があることがわかりました。


ヨガは共同体意識をもたらすことができ、それが鬱や孤独感を和らげます。「ヨガクラスでは、安全な環境の中で、他の人と一緒に流れるように動いて繋がることができます」カーン博士は述べてます。「社会的交流の効果を数値化することは困難ですが、もし健康問題のある人たちが自宅にいるような心地よい環境にいられれば、人はより健康的な選択ができるようになると考えています」


ヨガはまた、特に認知行動療法など通常の治療と組み合わせると鬱症状を緩和することができると、2019年5月に「American Family Physician」に掲載された研究が示しています。また2023年9月に「International Journal of Old People Nursing」で発表された再調査では、60才以上の成人で、鬱や不安症のレベルがヨガで向上することがわかりました。




自分に合ったヨガクラスを選ぶ方法


ヨガクラスを試したくなりましたか?ヨガには多くのスタイルがありますが、ひとつだけにこだわる必要はありません。また、難しい1時間のクラスに飛び込んでもすぐに効果があるというわけでもない、とミスラ博士は言います。
「そんなに長い時間は必要ありません。私の研究では、ただヨガの呼吸を15分行っただけで結果がみられたからです。しかし、有益な結果を得るために何分間のヨガが必要なのかというような情報はありません」


  • ハタヨガは、西洋社会で通常行われているヨガの流派で、身体的なポーズの練習のことを示します。ヴィンヤサ、アイアンガー、アシュタンガなどのヨガがありますが、これらすべてはハタヨガに分類されます。どんな運動でもm始める前に医師に確認しておきましょう。

  • ヴィンヤサ・ヨガは「フローヨガ」とも呼ばれ、呼吸と動きの組み合わせが中心となります。クラスは、パワーヨガやアシュタンガなどペースが速く強度の高いものから、スロー・フローやアライメントを重視したクラスなど健康状態や身体的な制限がある人やビギナーに適したより穏やかなものまであります。

  • ホットヨガは熱した室内で行われます。今は様々なタイプのホットヨガがありますが、最も人気があり最も熱いのがビクラムヨガで、40°Cにまで熱した室内で26のポーズと2つの呼吸法を行います。心臓に何か問題がある人や極度の暑さに敏感な人などは体調を悪化させる恐れがあるので、オストフェルド医師によれば、このヨガは避ける方が良いでしょう。

  • アイアンガーヨガは異なるポーズを通して体のアライメントに注目するタイプのヨガです。他のスタイルのヨガとは異なり、個々人のスキルレベルや体のタイプに適合するよう、椅子やブロック、ベルトなどのプロップスを使います。

  • 「トグロを巻いた蛇」という意味のクンダリニヨガは、呼吸法、チャンティング、音楽、瞑想、そして動きを組み合わせたものです。その目的は「蛇を解」き、背骨の基底部から頭頂までのエネルギーを解いて7つのチャクラ(体内のエネルギーがある場所)を目覚めさせることです。よりスピリチュアルなヨガであるクンダリニは、ストレスや不安を解消するのによい選択となるでしょう。

  • よりゆっくりとしたスタイルの陰ヨガは、同じポーズを5分以上保つので、ビギナーが始めるには難しいかもしれません。またこのスタイルは瞑想的な性格を持っているので、クンダリニヨガよりは少し身体を動かしたいけれどヴィンヤサヨガほど動かないクラスを探している人にはぴったりかもしれません。

  • ゆっくりと穏やかなリストラティブヨガは、呼吸に集中できるような長く保つストレッチで全身を開くことに重点を置いています。様々なポーズで全身をサポートするため、ブロックや枕、クッションなどプロップスが使われます。この安らぎを与えてくれるヨガは、痛みを緩和し精神的な幸福感を高めるのに良い方法です。






2024年2月29日木曜日

腰椎狭窄症のためのヨガ Vol.2
A Yoga Sequence for Lumbar Spinal Stenosis


前回からの続きです。

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6. 壁ぎわのマウンテンポーズ



プロップスを使うと自分自身をより認識することができ、ニュートラルな背骨がどうなのか明確に理解しやすくなります。


壁に背中を向けて、両足を壁から数センチ離し腰幅で立ちます。湾曲のある腰や首の後ろはそっと壁から離しておきますが、お尻、背中の真ん中や上方、肩甲骨、後頭部は全て壁につけておきましょう。


肩甲骨を壁につけるには、腕をロボットのように、肘を脇腹の横で直角に曲げて上腕の後ろを壁に押し付けます。両肩をすくめ、後ろへまわし、それから下方へそして寄せるように動かせます。


もしこのニュートラルなアライメントが不快に感じるなら、腰が平らに壁につくまで膝を曲げて前に歩きましょう。




腕はロボットまま、あるいは体の横で力を抜くかして数呼吸します。両足は地面に根付かせて、頭頂に向かって背すじを伸ばし、この姿勢を後でできるように相互関係を覚えておきましょう。
 


7. 戦士のポーズ1のバリエーション




戦士のポーズ1などで前屈みになって腰椎を屈曲すると、狭窄症の症状緩和になるかもしれませんが、より垂直の姿勢では腸腰筋をストレッチできます。LSSの症状の原因であることの多い腰椎の前弯は、腸腰筋を伸ばすことで予防したり緩和することができます。


マットの前方に戻ります。左足を根付かせて右足を後ろへ大きく一歩下げます。足の幅は腰幅にして、右足の親指はマットの右前角の方向に向けましょう。


左膝を曲げて腰が平らになるまで体を左脚の方へ倒し、両手を左腿の膝に近い場所におきます(心地よさを感じるためにもっと前に倒れなければならない時は、前腕を膝に乗せます)。


ここで数呼吸し、胸を前に開くか、あるいは両手を左腰の方に歩かせてより垂直な姿勢になってみましょう。
(もし背骨を垂直にして快適であれば、 伝統的な戦士のポーズ1をしても良いでしょう。両腕を前方に、そして快適な範囲で高く伸ばします。)ここで数呼吸、そして右足を前に揃えて左側も行います。



8. マハ・ムードラ(偉大なる封印)ポーズのバリエーション





3箇所全てのバンダ(体の鍵)を練習して、股関節を自由に動かせながらコアを優しく促しましょう。背中を丸めたツイストは、LSS患者にとって圧迫を感じるので、ストラップを使うこのバーションで背すじを伸ばして行いましょう。


両脚を前に伸ばして床に座ります。右膝を右の方に曲げて、右足の裏を左腿の内側に付けます。膝が不快感を感じる場合は、右腿の下にブロックやブランケットをおきましょう。


左足にストラップをかけて(あるいは両手を左腿の両側の床に置きます。どちらも背筋を伸ばすのに役立ちます)、背骨をまっすぐに起こしたまま胸をそっと左に回し、頭頂に向かって引き上げることに注目します。(もちろん、不快感を感じない程度までツイストするようにしましょう。ツイストを緩める必要がある時は、胸は右すねの方向に向けましょう。)


息を吐きながら、骨盤底筋とお腹を引き上げて、ムーラバンダとウッディヤナバンダを締めましょう。ジャランダーラバンダには、胸を上げ、顎は(心地よい範囲で)胸骨の方へ引きます。息を吸いながら力を抜いて、次の吐く息でまた引き締めます。これを数呼吸おこない、それから右脚を伸ばして左側に移りましょう。




9. 風抜きのポーズから半分の風抜きのポーズ
(アパナサナからアルダアパナサナ)




この膝を胸につけるポーズは腰椎の屈曲を優しく促します。片脚を伸ばすことで、腸腰筋を優しくストレッチできます。硬くなった腸腰筋が腰の前弯を強めて症状を悪化させることがあるため、LSS患者には大切なストレッチです。


仰向けに横たわって両膝を胸に引きます。両手は膝か脛の上に置いて、腰を平らにしましょう。ここで数呼吸します。


左膝を抱えたまま、ゆっくりと、右のかかとをマットに滑らせて右脚を前に伸ばします。腰に前弯アーチができない範囲で、右脚をできるだけまっすぐに伸ばしましょう。右腿を地面に向かって下ろしながら、数呼吸します。そして右脚を引いて、左に移りましょう。
 


10. ボルスターやブランケットを使った横向きのシャヴァサナ




LSSの人は、仰向きに寝るよりも横向きに寝た方が心地よいと気づくかもしれません。


ブランケットを途中まで巻いて、マットの真ん中におきます。平らな面の上に腰、巻いた面にウエストが乗るよう、横向きに寝ます。


胎児のように丸くなり、巻いたブランケットがウェストを支えて(腰椎が床に着かないように)最も快適な姿勢になるよう左右どちらかを向きます。ブランケットをもう一枚(あるいはブロック)下にある耳の下に、ボルスターをすねの間に挟みます。両腕は曲げて、上の腕を下の腕にのせてリラックスさせ、体の前におきましょう。


ここで数分休みます。腰のあたりのリラックスした感覚に意識を向けて、それから全身の感覚を感じ、心と体のつながりを深めましょう。


日常に戻る準備ができたら、徐々に体を覚醒させていき、ボルスターをよけて心地よい座位に起き上がります。広がりや穏やかさが大きくなったかどうか、自身の練習の効果に気づきます。そして意識を、今ここに存在するこの感覚にできるだけ長く向け続けましょう。

2024年2月26日月曜日

腰椎狭窄症のためのヨガ Vol.1
A Yoga Sequence for Lumbar Spinal Stenosis



編集註:下記はヨガの実践者や指導者のための一般的な助言を目的としています。医療従事者による個別の助言の代替ではありません。ヨガの指導者は自身の役割の範囲にとどまるべきであり、生徒に対して診断や治療、医学的アドバイスを行わないようにしてください。





以下の腰椎狭窄症(LSS、脊柱管の狭窄)のためのヨガは、症状のリスクを最小限にしつつ効果を最大限にするよう作られています。


The Back Pain Secret: The Real Cause of Women’s Back Pain and How to Treat It の著者である理学療法士のビル・リーフ氏は、狭窄症の人がヨガをするに当たって、コアの強化や前屈、腸腰筋のストレッチなどを、背骨をニュートラルな状態で優しく動かすことが効果的であると言います。背骨の極端な動きはできるだけ避けるべきであり、その他禁忌事項ややった方がいいことなどはこの記事をご参照ください。


しかしながら、狭窄症をもつ人は誰でも、医師にどんな動きが推奨されるのかを明確に指示してもらうことが大変重要です。「狭窄症は背骨の複数箇所で起こることもあるので、みんなが同じように反応するわけではありません。あなたの医師や理学療法士から情報を得ることが最も大切です」とリーフ氏は言います。


ポーズとのつながりを感じ、今体験している感覚を感じられるようにゆっくりと行いましょう。「痛みやピリピリ感、痺れを感じたらすぐに止めましょう」  





以下の練習では、壁やストラップ、ボルスター、ブランケット2枚を使います。またブロックがあると良いでしょう。



1. チャイルドポーズ




チャイルドポーズでは、腰椎は優しく屈曲していて、多くの人で狭窄症の緩和になる姿勢です。「制御された部分的な屈曲です」急に動く深い前屈よりも安全に行うことができます。


四つ這いから、膝を開いて足の親指同士をくっつけます。
心地よいところまでお尻を下ろしていき、両手は前に歩かせます。ここで数回深呼吸します。



2. キャット&カウのバリエーション




キャット&カウは、背骨の柔軟性を高め、骨盤を動かす筋肉を強化します。このバリエーションでは「心地よければやや猫のアーチを作り腰椎を丸めますが、牛の後屈ではなくニュートラルに保ちましょう」背骨の伸展がLSSの症状を悪化させることが多いからです。


四つ這いになります。息を吸いながら背骨をいつもの「牛」ではなくニュートラルな形にし、腰椎の曲線は優しく、そして頭頂から尾骨の先までを遠くへと伸ばします。
息を吸いながら背骨を丸め、腿の方向を見ます。

毎回背骨を後屈ではなくニュートラルに戻しながら、この動きを数呼吸繰り返します。



3. プランクポーズ




プランクはコアを強化し、それが腰椎を支えるのに役立ちます。


四つ這いから、背骨をニュートラルに保ち、肩は手首の上にして頭頂を前方へ伸ばして、右足を後ろまで下げます。  つまさきを立てて、右かかとに向かって伸ばしましょう。


ここで数呼吸します。強度が強すぎる場合はそこで方向を入れ替えます。右膝を下ろして左足を下げましょう。あるいはもっと強度をあげるために・・・


左足を右足の横に下げ、腰幅にして両踵を後ろへ、頭頂は前へと伸ばしましょう。プランクのまま数呼吸し、吐く息でお腹を上に内側に引き込み、あとはマットへ両膝を下ろします。



4. ダウンドッグのバリエーション





下向きの犬のポーズでは、四肢は背骨の伸展と連携しています。やや穏やかな屈曲がLSSの症状を緩和するので、尾骨を天井に引き上げて腰をそらすのではなく、このポーズで腰を平らにしておく方が良いでしょう。


四つ這いから腰を後方へ引き上げ、最初は膝を曲げて行い、そのあと踵をマットに近づけるように心地よい範囲で脚を伸ばしていきます。(通常のダウンドッグよりスタンスが短いほうー腰が平らかやや丸い状態ーが楽な場合はそのようにしましょう)ここで数呼吸します。


 
5. 前屈からマウンテンポーズ





制御した前屈は大抵の場合、LSSの症状を緩和しますし、両手を腿から歩かせて起き上がる移行は腰椎にストレスをかけません。


ダウンドッグから前に歩いて、両手をブロックやすねにあるいは腿に置き(自由に膝を曲げましょう)、ここがいいという安心感を感じる場所まで移動しましょう。


両足で地面を押し下げ、心地よい範囲で膝を曲げ、両手を腿から上へ歩かせて背骨を伸ばして立ちましょう。




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次回に続きます。








(出典)

2023年10月18日水曜日

心臓病の原因は高コレステロールでなく炎症かも Vol.2
Inflammation, Not High Cholesterol, May Cause Heart Disease

前回からの続きです。

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心臓発作の警告サイン


心臓発作は突然で強いものもあります。「映画の心臓発作」と呼ばれ、誰の目にも明らかなものです。しかし、ほとんどの心臓発作はゆっくりと始まり、軽い痛みや不快感を伴います。発作に見舞われた人は多くの場合、何があったのかわからず、長い間助けを呼びません。心臓発作が起きていることを示すサインは以下です。


胸の痛み
ほとんどの心臓発作で、胸の中心に痛みを感じ数分間続きます。あるいは、痛みが消えたり戻ってきたりします。不快な圧迫感、締め付け、膨満感、痛みとして感じられます。


上半身の他の部分の痛み
腕や背中、首、顎、胃の痛みや不快感という症状もあります。


胸の痛みを伴うまたは伴わない息切れ


その他サインの可能性として、冷や汗やめまい、立ちくらみなどがあります。男性に比べて女性はやや、息切れやめまい、吐き気、背中痛や顎の痛みを感じる場合が多いです。



より複雑なことに・・・


もしあなたが中年男性で、高コレステロールというリスク要素があるなら、あるいはLDL値が高いことを知っているなら、注目してください。最近、「悪玉」コレステロールには、パターンAとパターンBの二つの味があることが発見されました。軽く、ふわふわして完全に大丈夫なLDL-Aは心臓疾患に全く危険を及ぼさないが、小さく硬いBは「悪い奴」だと、心臓科の専門であるジョニー・ボウデン博士は言います。パターンBのLDLは、内皮に留まって酸化し動脈プラークとなります。ですから、AとBの割合を知ることが心臓疾患のリスクを明らかにすることに役立ち、パターンBのLDLを減らす必要があるシグナルかもしれません。もちろん、LDL酸化に繋がり、動脈プラーク形成を起こす炎症を促すリスク要素を最低限にする必要はあります。




何ができるのか


医師や研究者らが心臓疾患の複雑な原因について明らかにできることは今後もないかもしれませんが、あなたの心臓を守るために今すぐ行動するのを止めるべきではありません。それが大きな変化を伴う人もいるでしょうが、すでに健康的なライフスタイルを送っている私たちにとっては少しだけ付け加えるだけで良いでしょう。



リスク要因を減らす


私たちの健康を損ねる慢性疾患と同様、心臓病は食事や運動の良くない選択、喫煙や過度な飲酒など疑問のある習慣などが原因で発症します。ほとんどの人はそれを既に知っているというでしょうが、この知識に基づいて食事を改善し、心臓病のリスク要因を減らすために行動するのがまず第一歩です。そして、あなたの心臓に闘うチャンスを与えるあまり知られていない手段に講じることも考えてみましょう。


1. インシュリン・レベルを下げる
医師らは糖尿病予防のためこれをしろと言いますが、高インシュリンはまた、動脈の炎症に繋がる生化学的連鎖反応を引き起こし心臓疾患の原因にもなり得ます。高インシュリンはまた、腹部の脂肪蓄積を(例のスペア・タイヤですね)促します。インシュリンを下げるには、食べる糖分を制限します。栄養士のボウデンが「脂肪よりもっと大きなダメージを与え炎症させる物質」と呼ぶところの、精製粉のパン、パスタ、短粒米、じゃがいも、インスタントのオートミールなど高血糖の炭水化物を避けなければなりません。


2. 口内環境を整える
習慣的な歯磨きやフロスは単に歯を守ったり息をきれいにするだけではありません。数多くの研究で、不健康な歯茎と心臓疾患の関係性がわかってきています。もっとも深刻な歯茎の疾患である歯周炎は、循環器疾患のリスクを30%以上も増加させます。



3. ストレスレベルを下げる
体内の慢性的なストレスが、自然な闘争逃走症候群として副腎からのコルチゾールを絶え間なく分泌させます。このコルチゾールや他の関連したホルモンが、動脈を収縮させ血圧を上げ、心拍を上げ、血中の凝固を促します。研究では、瞑想や祈り、ヨガ、バイオフィードバックなど心身のテクニックがストレスレベルを下げ心臓発作リスクを軽減すると示しています。

 

サプリメントを使う


心臓に良くない炎症性の食べ物や、フリーラジカルを誘発する環境的な毒素、汚染物質などに対抗するため、抗酸化物質のビタミンや抗炎症性のサプリを取り入れましょう。


ビタミンC、E
これらの強力な抗酸化物質はまた、動脈硬化を軽減しプラーク形成を防ぎます。


CoQ10
すべての細胞に存在する油性の栄養素コエンザイムQ10は、フリーラジカルを強力に排除し、LDL酸化を防ぎます。


NAC
正式な名前は「NアセチルLシステイン」です。NACはシステインの一種で、体内で最も重要な抗酸化物質のひとつであるグルタチオンを増加させます。


ALA
ALA(アルファ脂肪酸)は、それ自体が抗酸化物質であるだけなく、体内のビタミンCやE、グルタチオンをリサイクルするのに役立ちます。ALAはまた、亜麻仁や亜麻仁油にも含まれます。


オメガ3 
これらの重要な脂肪酸は炎症を抑え、血栓の防ぎ、心臓発作の死亡率をも下げるとされています。


ヨガを続ける
オハイオとジョージアの州立大学での研究で、ヨガで、慢性炎症のマーカーとなるサイトカイン・インターロイキン6のレベルが下がることがわかりました。また数多くの研究で、ヨガが主にコルチゾールを下げ中枢神経のバランスをとることにより、血圧(心臓疾患のもう一つのリスク要素)を下げることが示されています。



もちろんヨガの専門家が信じるのは、心臓疾患とは検査結果だけではありません。自分の体、心、精神とのつながりが切れた状態だとみなしています。そして、心臓によい環境を作るには、アサナ、プラナヤマ、瞑想、無私の奉仕といった実践要素をすべてを組み合わせるべきだとしています。その方法が以下です。



体の全可動域まで動かす様々なポーズを含んだ継続的な練習に取り組みましょう。後屈は胸郭を開いて心配機能を高め、立位ポーズは脚を強化し全身をストレッチします。前屈では安定感を得られエネルギーを取り戻し自律神経を落ち着かせます。ツイストは内臓をマッサージし全身の血流を高めます。


感情や心の状態をよく観察しましょう。血圧は、当然ながら勝手に上がるものではありません。20年以上前、ディーン・オーニッシュ医学博士と彼の研究チームが、感情的なストレスや孤立感、敵対心、自己批判などが、高コレステロールや酸化LDL、トリグリセリドレベルやニコチンと同様に心臓疾患に関係があると世界に証明しました。彼らはまた、ヨガや瞑想、グループサポートなどのライフスタイルの変化が病気を緩和することを示し、医療関係者を驚かせました。


ウッジャイ呼吸(勝利の呼吸)やナディ・ショーダナ(片鼻呼吸)などのプラナヤマを日課に取り入れて不安や動揺を減らしましょう。ただし、高血圧の人はクンバカ(呼吸を止めること)はやめておきましょう。


高血圧の緩和になるレストラティブヨガやチャンティング、マントラ瞑想などを実践しましょう。肉体としての心臓を落ち着かせ、感情的な心も落ち着かせられます。



心臓の健康に良いレストラティブヨガ


神経を落ち着かせ平衡状態を取り戻すため、以下のポーズを日課に取り入れましょう。高血圧のばあいは、頭立ちなど支持のない逆転ポーズは避けましょう。もし時間がなくてひとつのポーズだけをするなら、シャヴァアーサナ(屍のポーズ)やヴィパリタカラニ(両脚を壁に立てかけるポーズ)で、最大の効果を得ることができます。

  1. 頭を支えたアドムカ・シュヴァナーサナ(ダウンドッグ)
  2. 支えに体を沈み込ませるバラアサナ(子供のポーズ)
  3. たくさんの支えを使ったスプタ・バッダコナアサナ(仰向きの合蹠のポーズ)
  4. 仙骨を上げたヴィパリタ・カラニ(両足を壁に立てかけるポーズ)



必須脂肪酸を摂る3つの方法


ヴェジタリアン(あるいは単に水銀汚染や持続可能性を懸念する人)は、植物からだけでも必須脂肪酸を摂ることができます。


  • 大麻油や亜麻仁油にはアルファ・リノレン酸(ALA)が含まれており、体内で魚油にある必須脂肪酸に変化します。大麻油は亜麻仁油よりも味が良く、オメガ6とオメガ3の比率が3対1と理想的です。また、大麻油にはガンマ・リノレン酸(GLA)も含まれており、炎症を抑え肌の健康を向上させます。どちらのオイルも熱が加わると分解されてすぐに異臭がするので、開封後は冷蔵し1-3ヶ月内に消費しましょう。

  • くるみは、オメガ3に加えて心臓によい一価不飽和脂肪、また特に心臓によい小麦由来でないビタミンEを含んでいます。くるみの薄皮にも重要なフェノール酸、タンニン、フラボノイドが含まれているので、やや苦味はありますが一緒に食べましょう。

  • 微細藻類には、ALAとともにDHAやEPAが豊富に含まれており、オメガ3の必須脂肪酸が摂れます。魚は藻類を食べて脂肪内にオメガ3を蓄えます。微細藻類は今、魚油と同様に心臓に効果(英国栄養ジャーナルより)のあるサプリとして販売されています。




食べるべきもの


伝統的に、地中海周辺国であるスペインやギリシャ、イタリアの人々、特に中国や日本のアジア圏の人々は、欧米よりも心臓疾患の数が少なく、また寿命も長い傾向にあります。なぜでしょう?それは、伝統的な食事にあります。マリナーラソースに大豆は入っていませんし、中華鍋にオリーブ油は使われませんが、どちらの食事にも飽和脂肪や硬化脂肪が少なく健康的なオイルが多く含まれており、魚や野菜が中心です。心臓疾患の予防前線の共同著者である心臓病学者スティーブン・T・シナトラ医学博士とジェームス・C・ロバーツ医学博士は、アジア圏と地中海圏の食事を組み合わせた食事法(PAM diet)を提案しています。




抗酸化物質が豊富な果物や野菜

これらは、LDLコレステロール分子を酸化させ体内の炎症を引き起こすフリーラジカルと戦います。ここでのヒントは、自分の好きなものを食べるということです。


食べるべきもの:ブルベリーやブラックベリー、チェリー、赤い葡萄、いちごなど鮮やかな色の果物、ケールやほうれん草、芽キャベツ、ブロッコリーなどの緑の濃い野菜、ビーツや赤パプリカなどイキイキとした赤い野菜は抗酸化物質が高濃度で含んでいます。また玉ねぎは、LDLを酸化を防ぐケルセチンという特別なフラボノイドが豊富です。抗酸化飲料はないのかって?適量の赤ワイン(レスベラトールを含みます)や、炎症に関係する酵素をブロックする緑茶はどうでしょうか?



ナッツや種など

良質の必須脂肪酸、タンパク質、食物繊維が豊富で、狩猟採集時代の主食であったこれらには、吸収した食物コレステロールを減少させるのに役立つ植物ステロール(植物油)も含まれています。

食べるべきもの:生のアーモンド、くるみ、ピーカンナッツ、ブラジルナッツ、ひまわりの種。



低GIの穀物

これらの食物には、高GIの穀物に比べて多くの食物繊維が含まれおり、消化に時間がかかるため、血糖値を安定させインシュリンの劇的な増加を起こしにくくします。食物繊維はまた、消化器官を浄化し過剰なコレステロールを吸い取ります。実際に、1日に食物繊維を10g多く摂取すると心臓病リスクが29%下がるという研究があります。


食べるべきもの:黒パンやスペルと麦のパン、バルガー(トルコの麦料理)、玄米やワイルドライス、大麦、オーツ麦、キノア、ひえ、そば。



オメガ3脂肪酸

コーン油、サフラワー油、サンフラワー油での加工食品には炎症の原因となるオメガ6脂肪酸が過剰に含まれており、こうした商品を好んで摂取することで体内のオメガ6とオメガ3の比率が悪くなります。健康となる3対1から、20対1にまでなることもあります。オメガ6の多いポリ不飽和植物油や加工食品を避け、オメガ3を増やしましょう。


食べるべきもの:冷たい海にいる魚(サーモン、サバ、鰯など)、大麻油や亜麻仁油、大豆、海藻など。



ビールや乳製品を飲むのなら少しに

この食品が含む不飽和脂肪は、毎日消費するには多すぎます。また、動脈の損傷を促すホモシステインとなるメチオニンが多く含まれています。

食べるべきもの:代わりに魚を摂取することで脂肪の少ないタンパク質が得られ、炎症を抑えるオメガ3を摂取、また動物性の食物を全く摂らないことで問題を排除することができます。



にんにく

地中海料理やアジア料理で多く使われるニンニクには、長い薬効の歴史があります。植物栄養素の中でも、LDLを下げて良いコレステロールを増やすアリシンを含んでいます。また血圧を下げ血小板の粘性を下げます。


使い方:生のニンニクをみじん切りにして15分置き、栄養分を放出させます。最大の効果を得るには、1日に5房ほど食べる必要があります。



オリーブ油をたくさん

古代ギリシャでは、オリーブの木は素晴らしい癒しの力があると考えられており、オリーブの実から採れるオメガ9脂肪酸が豊富な一課不飽和油は、心臓発作リスクを減らし血圧を下げます。


使い方:エキストラ・バージンオイルを使いましょう。加工が最低限で、精製されておらず、酸化していません。



大豆

どんな形状であっても、大豆はHDLを増やしてLDLや血圧を下げます。

食べるべきもの:枝豆など丸大豆や、テンペなど発酵した大豆、たまり醤油、豆乳、豆乳ヨーグルト。









2023年10月16日月曜日

心臓病の原因は高コレステロールでなく炎症かも Vol.1
Inflammation, Not High Cholesterol, May Cause Heart Disease


今回の記事は、コレステロールと心臓疾患についてです。
予防のために何を理解すべきなのか、何ができるのかをみていきましょう。
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一般的に、ヨガの実践者は心臓が健康なグループに入ります。ヨガは、体への習慣的な運動と心へのストレス緩和のテクニックを与えてくれます。喫煙する人は少なく、アルコールを飲む人でもその量は適度です。そしてほとんどの人は、マイケル・ポランが彼の著書「食べ物が守る力」で述べている率直なアドバイスに従っているでしょう。「食べ物を食べよう。食べ過ぎないで。主に植物を」


では、どうして心臓病について心配しなければならないのでしょう?第一には、病気にならない人は誰もいないし、米国で多い死因は心臓病だからです。第二に、健康診断に行ってコレステロールが高いとスタチンを処方されてしまった知り合いが誰にでも一人はいるからです。そして最後に、コレステロールが心臓病の主な原因ではないかもしれない(現在、研究者らは炎症が原因としている)ことを知る必要があるからです。つまり、私たちは長い間間違ったボールに目を向けていたということです。


コレステロールに注目し始めたのは約60年前、米国心臓協会が冠動脈疾患の原因が「バターとラード、牛肉、卵」だと宣言した時です。医療界が、血液のコレステロール・レベルを上げる食べ物に含まれる高レベルの飽和脂肪であり、過剰なコレステロールが動脈を閉塞させるという考え方を取り入れたのは間も無くでした。低脂肪の食事とコレステロールを低下させる投薬が劇的に増加した50年がすぎた現在、その概念は、ほとんどの医療関係者や消費者の頭の中にしっかりと確立されたのです。


そろそろ、それを見直す時期ではないでしょうか?「コレステロールの重大な俗説:コレステロール値低下が心臓病を予防できない訳(スタチンフリーに効果)」の共同著者(スティーブン・シナトラ医学博士著)で栄養士のジョニー・ボウデン博士は、「コレステロール値を下げて心臓病を予防しようとするのは、マクドナルドの巨大な食事からピクルスを取り除いてカロリーを減らそうとしているようなものだ」と述べています。65歳以上の男性、そして全年齢の女性で、冠動脈疾患を判断するのにコレステロール値を見るのは事実上意味がありません。そして、おかしなことに、ちょっと下がって大局をみれば、低いコレステロールは、予防どころかより病気の原因となる可能性があります。



敵を知る


医師らはめったに認めないのですが、高コレステロールの人は実のところ長生きです。少なくとも6つの研究で、コレステロール値が低いほど死亡率が高いことがわかっています。実際、米国の死因の全てを見ると、コレステロール値の高い人には癌が少なく、消化器官や呼吸器官の疾患で亡くなるリスクが低く、自動車事故や自殺も少ないのです。驚くことに、コレステロールによる防御は、深刻な心臓病にまで及びます。米国と欧州での研究では、心臓病患者でコレステロールレベルが高い人は、低レベルの人たちよりも長寿でした。


私たちの体がコレステロールを必要としているのは、脳細胞生成という何よりも重要な役割があるからであり、研究では低すぎる値(160以下)が鬱や攻撃性、脳出血、認知障害などと関係があるとされており、これらは全て事故や自殺の死亡率が高いことを説明しているのではないでしょうか。



高コレステロールの悪評


コレステロールを議論するには、まず肝臓が1日に約800ー1000mgのコレステロールを生成していることを知ることから始めるべきでしょう。これらは体が健康を保つために必要な量です。しかし、食べるものからコレステロールを追加摂取すると(動物由来の食物には全てコレステロールが含まれます)、体はその余分に対処するまで生成を抑えます。また、脂肪を消化し、細胞粘膜を強化・修復し、神経を隔離し、ビタミンDを合成し、性生活を制御するものの含めたホルモンを生成するのを助けるため体はこの柔らかでドロッとしたステロールを必要としています。


コレステロールは脂肪のような物質なので、水性の血液に溶けたり細胞に直接流れ込んだりはできません。そのかわりに、リポタンパク質という特別な乗り物に乗せてもらう必要があります。おそらく私たちが良く聞くのはLDL(低比重リポタンパク)とHDL(高比重リポタンパク)の2つでしょう。科学者らが発見しているのは、LDLが必要な場所にコレステロールを運び、より重いHDLが動脈壁をもすくい取って余分なコレステロールの掃除係として働き、それらを処理し排出するため肝臓に戻すということです。


この文脈からみれば、HDLもLDLも体の日々の活動で重要な機能を果たしているため、どちらも「善玉」コレステロールと呼べます。しかしながら、コレステロールが心臓疾患の原因だという議論の初期では、HDLだけが血中コレステロール・レベルを下げるため善玉だという扱いを受けました。一方LDLは、フラミンガム心臓研究の研究者らが心臓疾患の「限界危険要素」だと位置付けたため「悪玉」と烙印を押されました。


体が作る極めて重要な物質が死をもたらす可能性があるというのは想像し難いのですが、「悪玉コレステロール」という烙印はそう言及しており、LDLレベルをできるだけ下げる意図でのLDLコレステロール薬の全面戦争が勃発しました。この前提は、体がLDLを不可欠としていることを見落としているだけでなく(LDL無しでは細胞は必要なコレステロールを得られない)、重要な事実を見ぬふりをしています。LDLが「悪玉」になるのは、電子のひとつが放たれることでフリーラジカルが酸化(本質的に不安定化)した時だけです。それは動脈壁にくっついて炎症連鎖を起こし心臓発作の原因となる血栓につながるのです。



おそらくは、まだ他にも


高コレステロール論理(脂質仮説と呼ばれます)への最も的を得た乖離は、おそらく心臓発作を起こした人すべてのうち半分になる人のコレステロールが正常値だという不都合な真実です。ほとんどの人は、50%というその数字に注目し、コレステロール以外の何かがこの明らかな矛盾の原因となるのではないかと思うでしょう。


数えきれない研究によって、脂肪仮説が心臓疾患を深刻に単純化しすぎていること、心臓疾患の予防には抗酸化物質の果す役割を完全に軽視していることがわかっています。1990年代のリヨン食事心臓研究では、心臓発作で回復した人1グループを米国心臓協会認定の低脂肪、高炭水化物、抗コレステロールの食環境におき、他のグループを野菜、果物、ナッツ類、魚、オリーブ油を主にしたいわゆる地中海ダイエットとよばれる食環境に置きました。研究の結果、どちらのグループも同等のコレステロール値でしたが、地中海ダイエットのグループは2度目の心臓発作を起こした人が大幅に少なく、胸の痛み(不安定性狭心症)や心臓疾患を起こした人もかなり少数でした。どうしてでしょうか?果物や野菜に見られる抗酸化物質や魚に含まれるオメガ3脂肪酸の抗酸化作用に関係があるのではないかと研究者らは考えています。


そして、フランスのパラドックスがあります。フランス人はリッチで高コレステロールの食事を大胆に奔放に食べている様子ですが平均的な全コレステロールのレベルはおよそ250のあたりにとどまり、先進国では最も心臓疾患の件数が少ない国だという不思議な事実のことです。このパラドックスを研究している研究者たちはまた、新鮮な野菜や果物の摂取、そして特にレスヴェラトロールなど赤ワインの強力な抗酸化物質に注意を向けています。


それでは、抗酸化物質は体内でどんな役割をしているのでしょう?抗酸化物質は炎症を抑えます。そして、最近の研究などでは、炎症が心臓疾患の発症や心臓発作に重要な役割を果たしていることが確認されたようです。それはどのようにでしょうか?では動脈の中を覗いてみましょう。高血圧や高血糖の食事からくる血糖スパイク、喫煙の毒素、環境汚染や殺虫剤などの何らかが、動脈の表面を覆う細胞一枚の厚さである内皮を傷つけます。LDLは、おそらくは傷ついた細胞を修復しようとその傷にとどまり、そして血中のフリーラジカルによって酸化します。免疫細胞が傷を治そうと集まり、炎症はさらに悪化します。指を切った場所の周りが赤くなるのを考えてみてください。体は大きくなる「汚染」を止めようと、硬く繊維質の蓋をしますが、この蓋が動脈プラークです。このプラークが安定している時、炎症は治まって蓋はそのまま残りますが、このプラークが悪さをするのは動脈を狭めることだけです。一方で、不安定なプラークは、破裂して血栓を作り出すことがあり、結果的に狭まった動脈を堰き止めて心臓発作を引き起こすのです。


炎症のある心臓障害なのかを調べるため、医師らは数多くの血液検査に頼ります。こうした安価の検査は、症状が起こる前であっても心臓疾患の見つけるのに重要な役割を果たしています。


では、こぞって検査に行くべきなのでしょうか?おそらく、心臓疾患のリスク要因をいくつか持っていない限りは必要ないでしょう。特にストレスの多いライフスタイルや、過剰な体重、高血糖などです。簡単に言えば、炎症を引き起こすライフスタイルを送っているなら必要でしょう。しかし、まずは気持ちを新たにして、心臓の健康のために何をするべきか、何を食べるべきかをみていきましょう。






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次回に続きます。


2023年8月24日木曜日

歳をとるとなぜ背が低くなるのか 
Why We Get Shorter As We Age

ヨガのストレッチが背すじを伸ばして立つのに役立つ




40歳から始まる椎間板の変形




加齢と椎間板の変形


椎間板の水分や弾力性が失われるにつれ、脊柱の長さは3センチ以上も縮むことがあります。そのように、多くの人は歳をとると背が縮みます。この重力の圧力に抵抗するため、段階的なストレッチを行うと、反重力の筋肉を神経的に目覚めさせ縮んだ身長を元に戻すのに役立ちます。


テント状のテンセグレティ構造が
脊柱の主な緩衝材として働く



オックスフォード大学の研究者チームによる「椎間板の栄養状態」という研究では、栄養供給の減少が細胞の死につながり、基質の分解や椎間板の変形の増加も見られました。


椎間板は、人体の中でも、それ自身の独立した血液供給をもたないというあまりない組織です。歯や爪、髪の毛にさえ栄養供給の血管がそれぞれありますが、椎間板にはありません。環状繊維は生存するためにグルコースを必要とし、中心部は液体を取り込み、同化という複雑なプロセスを経て老廃物(主に乳酸)を排出します。通常の日中活動では、水分の同化が脊柱の個々の部分の収縮、伸展、回転、屈曲として起こります。


一般に受け入れられているのとは異なり、椎間板は、脊柱の主な緩衝材として作られてはいません。この役目は、素晴らしく設計された筋膜のバネ構造が担っています。上の画像では、筋肉や靭帯を示す柔軟性のあるカラーバンドがテント状のテンセグレティ配列になっています。健康であれば、椎間板が完全に取り除かれたとしても、これらの軟組織が椎骨の間隔を保つことができます。この事実を鑑みると、こうした質問が出てきます。反重力機能を取り戻すことが椎間板の老化を遅らせる鍵ならば、椎間板を鍛える最善の方法は何なのか?





胎児の姿勢と同化


椎間板と聞いてほとんどの人が思い浮かべるのは、ホイールキャップを支えるラジアル・タイヤのような、ジェルが詰まった中心部を支える丸くつながった輪の形の環状繊維かもしれません。しかし、椎間板の同心の年輪状繊維は繋がってもおらず、丸くもありません。







母なる自然は、如才なく前方と側方を厚くし、後方の薄い繊維が日中の活動中も寝ている間も滑りを良くする液体を吸収できるように作ったのです。この液体同化の80%は、就寝の最初の1時間に行われます。そのため、椎間板の水分補給には、ひざを曲げて顎をひき腰椎湾曲がない胎児の姿勢で横向きに寝るのが最も適していると研究者は考えているのです。この胴体と股関節を曲げた胎児の姿勢では、後ろ側が開くので、椎間板の薄い方が水分を吸収しやすくなります。


この椎間板の形状の短所は、後方の繊維構造が弱いためヘルニアの危険が高いことです。それでも、傷ついた椎間板にも希望があります。2017年の研究では、保守的な治療に突出部分の引き戻しを促進させることができ、坐骨神経の圧迫を解消するのに役立つ可能性があることがわかりました。穏やかな無痛の超伸展運動(たとえばブジャンガサナ、コブラのポーズなど)は、脊柱中心部を前方に動かすことで後方の圧迫を緩和するために用いられています。


2023年7月28日金曜日

視力のための7つのヒント 
7 Tips for Better Vision


メガネやコンタクトレンズ、そしてレーザー手術など、現代の科学によって視力低下に対するさまざまな治療が可能です。けれど、これまでの常識やヨギが持つヒントもまた効果がありのです。



以下のいくつか、あるいは全てをやってみて、視力が強化されたり視界が明瞭になるか試してみましょう。

1. 目の筋肉をリラックスさせる

見ることは無理なく行うものです。じっと見つめないで、画像が目に入ってくるままにしてみましょう。目と目の周りの筋肉を緩めます。緊張させないで、ただ見ましょう。


2. まばたきを多くする

見つめていることに気づいたら、何度か素早くリズミカルにまばたきしましょう。実際、特に読書している時やコンピューターで作業している時は、よくまばたきをしています。まばたきは目を休ませて潤いを与え、視線を和らげることを思い出させてくれます。


3.「手のひら」エクササイズを試す

1日に何度か、手のひらを素早く擦り合わせて、閉じた両目の上に被せます。数分の間、完全な闇の中で、手の暖かさが目に染み込んでいく感覚を味わいましょう。


4. 日光浴

日の当たる心地よい場所に座って目を閉じ、頭を優しく左右に動かしましょう。10分間、日光の暖かさをまぶたに染み込せます。特に暑い時期は、これを早朝か午後の早い時間に行うと良いです。


5. キャンドルをみつめる

暗い部屋に灯したキャンドルを、腕の長さ以上離れたところに置きます。キャンドルの炎をそっと見ながらリラックスした呼吸を100回数えましょう。見つめてしまう癖がある人は、キャンドルを2つ使います。30cm離して置き、吸う息と吐く息のリズムで2つのキャンドルを交互に見ましょう。


6. 夜明けに呼吸の練習をする

夜明け前に外に出て、東の地平線がよく見える場所を見つけます。舌を突き出して管のように丸めたら、地平線の少し上にある赤いラインを見ながら息を吸いましょう(鼻から吐きます)。息を吸うたびに、涼やかな夜明けの空気が赤い光と混ざり合って、目の上に流れるのをイメージしてみましょう。


7. 露ウォーキング

草が露に濡れる早朝に、裸足で草の中をお散歩しましょう。これが視力を強化するとは思えないかもしれませんが、ヨギはそうだと主張します。数ヶ月試して、確かめてみましょう。





(出典)https://yogainternational.com/article/view/7-tips-for-better-vision/

2023年7月20日木曜日

記憶力を自然に高める方法
Boost Your Memory Naturally


誰かと会う約束を忘れてしまっていた?鍵を無くした?顔は覚えているけれど名前は思い出せない?こうした物忘れは、特に40歳をすぎればよくあることです。けれど、そうである必要はありません。アーユルヴェーダによれば、何歳になっても記憶力を高めることはできます。以下のヒントが、あなたに合うかどうか試してみましょう。



活動的でいる


週に5回以上、新鮮な空気の中を30分歩くか、ハタヨガの太陽礼拝を12回繰り返しましょう。肩立ちや鋤のポーズなどの逆転ポーズで、脳への血流を増やしましょう。



呼吸する!


ヨガの実践である、片鼻ずつの呼吸や「アヌロマ・ヴィロマ」は、左右の脳を活性化し記憶力を高めます。あるいは以下を試してみましょう。前を見てまっすぐ立ちます。そっと息を吸い込んで、頭を後ろに倒しながら喉頭蓋(舌の根本のすぐ後ろにあります)を締め付けて、吸い込む息の最後で空を見上げましょう。息を吐き出しながら、喉を締めたままゆっくりを顎を胸に引いて、地面をみます。貝殻を耳に押し付けた時に聞こえる海のような音がしたら、正しくできています。これを7回繰り返しましょう。



学ぶ


記憶は筋肉のようなものです。使わなければ弱くなります。新しいマントラや詩、サンスクリットの書物などを練習して、そらで唱えられるまで毎朝繰り返し頭を鍛えましょう。そしてまた新しいものを覚えていきます。



脳に栄養を


アーユルヴェーダによれば、記憶力を上げる食べ物はサツマイモ、オクラ、ほうれん草、オレンジ、にんじん、牛乳、ギー、タピオカ、アーモンドなどです。



体と心を解毒する



アーユルヴェーダのお米と豆の料理であるキチャリだけを5日間食べると、記憶力を弱めたり病気の原因となるアーマ(毒素)が体から取り除かれます。
キチャリの作り方です。バスマティ米1カップと黄色のひいたムング豆1カップを2度洗いましょう。お米と豆に刻んだコリアンダーの葉を少し足して、6カップの水に入れ、時々かきまぜながら5分間煮ます。弱火にしたら蓋を少し開けたまま25ー30分火にかけましょう。生の刻んだコリアンダーの葉と小さじ1のギーをかけて、1日3回5日間キチャリを食べると心身ともに浄化されます。



ハーブ


アーユルヴェーダの書物の中には、「メディャ(記憶力を高めるという意味です)」と四バレル記憶力を高めるとされる特別なハーブ類が書かれています。これらの中で最良のものは、ブラフミ、ジャタマムシ、ブリンガラジ、シャンカ・プシュピで、オンラインやインド食品店などで購入できます。こうしたハーブの摂り方は以下です。


記憶力向上ハーブティーを作りましょう。上記の4つのハーブを足した小さじ一杯分を、1カップのお湯に10分間浸します。1日2回、濾したお茶を空腹時に飲みます。


鼻腔にオイルを塗布しましょう。アーユルヴェーダでは鼻は脳、つまり記憶の入口とされています。そのため、ある花の香りでニューヨークのセントラルパークを散歩した日を思い出したり、マリナラソースの香りで家族のパーティを思い出したりするのです。嗅球(嗅覚に関連する脳の神経中枢)を刺激するには、温めたブラフミのギーを両方の鼻に5滴(オンラインで購入できます)、就寝時に横たわって天井の方に頭を傾けて垂らします。そしてそっと数回吸い込んで副鼻腔のほうへオイルを吸い込みましょう。


ブラフミのミルクを飲みましょう。小さじ1/2のブラフミとサフラン少々を1カップの牛乳で煮ます。牛乳が3回沸いたら濾し、少し冷まして飲みましょう。