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2025年8月29日金曜日

キルタン・クリヤ:ヨガとアルツハイマー予防としてのメディカルメディテーション Vol.2 
Yoga and Medical Meditation As Alzheimer's Prevention Medicine


キルタン・クリヤの実践法


キルタン・クリヤは何千年も実践されてきた12分間の歌うエクササイズです。呼吸、歌やチャンティング、指の動き(ムードラ)、心に思い浮かべるなどいくつかの動きが組み合わされています。ですので、多面性のある多感覚のエクササイズで、脳全体を使って脳内血流を増加します。


姿勢:椅子に心地よく座り、両足をぴったりと床につける
または、足を組んで床に座っても良いですが、高齢者は床に座りたがらないかもしれません。重要なのは心地よいこと、背骨が自然な湾曲のみを残してまっすぐにして座ることです。

両目:目は閉じます

チャントやマントラ:「さぁ」「たぁ」「なぁ」「まぁ」の音を使います。続けて言うと古代の言葉で「真我」あるいは「最高の自己」という意味になります。
メロディーは、みんなよく知っている「メリーさんの羊」の最初の4音で歌います。つまり「メーリさんの♪」までです。

指の動き、ムードラ:親指で他の指に順番に触れます。両手で同時に同じ形を作ります。
• 「さぁ」の時は、親指と人差し指をつけます
• 「たぁ」の時は、親指と中指をつけます
• 「なぁ」の時は、親指と薬指をつけます
• 「まぁ」の時は、親指と小指をつけます
常に人差し指から始めて、中指、薬指、小指と続けて逆行しません。





心に思い浮かべる:エネルギーが頭上から頭頂の中心に降りてきてくるのを思い浮かべます。そして、頭の中に真っ直ぐおりたら、方向が垂直に変わって眉間の鼻のちょうど上の一点(いわゆる第3の目)へと進むのをイメージします。つまり、エネルギーはL字にたどっていくのを思い浮かべるのです。まるでほうきのようにすうっと流れるのをイメージできるかもしれません。




順序:「さぁ」「たぁ」「なぁ」「まぁ」と歌いながら、両手の指でそれぞれムードラを作りましょう。同時に、その音が頭頂から流れてL字に額の中心から出ていくのを思い浮かべます。

1. 2分間、声を出して歌います

2. 次の2分間、ささやき声で歌います

3. 次の4分間、心の中で歌います

4. そしてささやき声で2分間、声を出して2分間、合計12分間歌いましょう

エクササイズを終えるには、とても深く息を吸って、両手を頭の上に伸ばし、弧を描くようにゆっくりとおろしながら息を吐きます。




脳全体を活性化


ヨギ・バジャンによるクンダリニ・ヨガの伝統では、キルタン・クリヤが持つ効果にはいくつかのメカニズムがあります。キルタン・クリヤのチャンティングで舌を使うことは、口蓋の84のツボを一定の順序と組み合わせで刺激し、視床下部や松果体、脳そのものに信号を送っていると考えられています。また、アセチルコリンやノルエピネフリン、ドーパミンなど脳の重要な化学物質が増加することで脳のシナプスを若返らせる可能性もあります。


また、指先や唇、舌にある密集した神経末端は、脳の運動野、感覚野での高レベルの表現に関連しています。ですから、音を組み合わせて指先を使うと、脳の特定の部分が活性化します。私たちの最新の発表では、キルタン・クリヤの各面で脳の異なる部分が刺激されていることがわかりました。キルタン・クリヤで思い描くことがどのような効果をもたらすのかが謎でした。今では、この思い浮かべるテクニックで、身体的レベルでもより大きな面においても、脳の後頭葉が実際に活性化していることがわかっています。そしてまた、目的を持つことがアルツハイマー病予防効果を持つことも示されてきているのです。



(出典)www.alzheimersprevention.org

キルタン・クリヤ:ヨガとアルツハイマー予防としてのメディカルメディテーション Vol.1 
Yoga and Medical Meditation As Alzheimer's Prevention Medicine


アルツハイマー病と予防財団(Alzheimer’s Research and Prevention Foundation (ARPF))が発表した白書からの抜粋です。
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アルツハイマー病予防の4つの柱


これまでのところ、アルツハイマー病に効果のある薬を発見するのは困難だと考えられています。そのため、ARPFの予防プログラムにある4つの柱が極めて重要となります。

4つの柱とは以下の4つで、それぞれが認知機能低下のリスクを下げるとされています。

(1)野菜中心の地中海ダイエット
(2)ストレスの管理、特にヨガや瞑想
(3)心身のエクササイズ
(4)精神的な健康


ここでは、「キルタン・クリヤ」という手法に注目していきます。



アルツハイマー病予防の新しい側面


我々のヨガ瞑想は、アルツハイマー病予防として素晴らしく「キルタン・クリヤ」という歌うエクササイズ、シンプルな12分間のヨガ瞑想は以下のような効果を持ちます。

• 記憶障害を逆転させる
• エネルギーレベルを上げる
• 睡眠の質を向上する
• 有益な遺伝子を上方調整する
• 炎症性の遺伝子を下方調整する
• 患者と介護者のストレスを軽減する
• 心理的、精神的な幸福感を向上する
• 脳の構造上重要な部分を活性化する
• 細胞老化を遅らせる若返り酵素であるテロメラーゼを43%増加させる(これまでの記録では最大)
• 副作用がなく費用もかからない




キルタン・クリヤで脳内血流が改善


キルタン・クリヤの正式な研究は2003年に始まりました。
当時、私たちはキルタン・クリヤの脳への影響を調べるため、脳のスキャン研究の準備をしました。


左:実践前、 右:実践後


上図はキルタン・クリヤの前後の脳画像です。左の脳は、容量が小さく上部に凹みがあるのが見えるでしょうか。この凹みは血流不足を意味します。健康な脳の画像とは言えません。ご覧の通り、実践後の画像の脳は左右対称で若々しく、エネルギーや血液が左右対称に流れています(血流増加は、脳内の関係性がより強いことを意味し、新しい脳細胞生産の可能性があります)。これは健康な脳です。


下の画像は、後帯状回(PCG)で、エピソード記憶検索に重要な構造です。PCGはアルツハイマー病が進行するなかで最初に機能低下が起こる場所です。キルタン・クリヤによってPCGへの血流が促されていること、それがリスク低下という議論では非常に重要な要素なのです。





研究によって、脳の改善、脳細胞間の連結の向上、そして新しい脳細胞の成長さえも可能であると示されてきました(神経可塑性、神経細胞形成)。では、キルタン・クリヤを毎日行えば、アルツハイマー病になるリスクは劇的に減らせるのでしょうか?


ヨガや瞑想は、精巧な身体運動や精神的刺激ですので、こうした効果を持つと考えるのは疑いなく無理なことではありません。


また、アルツハイマー病のリスクとその進行の速さの両方に、脳血流減少との関係があるという堅固なエビデンスがあります。






記憶障害を改善


次の研究群は、ペンシルベニア医科大学で行われました。
まずは、コントロールグループと比較し、8週間後の被験者に記憶障害の改善が見られました。この結果は2010年のアルツハイマー病ジャーナルで発表されています。
下のスキャン画像では、劇的な向上が見られます。


プログラム前後における前頭葉の変化
(実践前:左図および上図、実践後:右図および下図)



患者が初めてキルタンクリヤを行った時と比較して、8週間後には前頭葉の矢印部分の活動に大きな増加があり、注意力や集中力などに著しい向上がありました。

他に著しい変化が見られたのが前帯状回(ACG)で、ストレスのバランスをとるのに重要な脳の部分です。

このスキャンで前頭葉の強化が見られた部分は、前頭葉前野皮質(PFC)です。こうした向上は早期の記憶障害、または軽度認知障害(MCI)からアルツハイマー病への進行をくいとめる効果が期待されます。





気分や幸福感を高める


私たちの研究では、キルタン・クリヤの実践をした被験者において、以下のプラスの結果が見られました。

• 鬱の減少:鬱スケールにおいて65%の被験者に向上が見られた。鬱は認知機能低下のリスク要因の可能性があります。

• また、私たちの公表した研究では、気分やエネルギー、精神的な幸福感の上昇が示されました。

他の瞑想や精神的な幸福感の研究では、大幅なトレーニングと長い瞑想時間が必要としているため、これはとても重要と言えます。私たちの研究では、毎日たった12分間のキルタン・クリヤをするだけでよいからです。





脳や身体、遺伝子にアンチ・エイジングの効果


以上の研究だけでなく、キルタン・クリヤを長期間実践すれば、脳への深いアンチ・エイジング効果があるという研究もあります。



ストレス軽減、テロメラーゼ増加、鬱の軽減


ARPFはまた、UCLAにて認知症の家族の世話でストレスを抱えている39人を対象に、リラクゼーションのテープを使った12週間のキルタン・クリヤの効果において、コントロール・グループとの比較研究を終了しています。この研究の革新的な結果は以下のグラフで見て取れます。





私たちの研究では、キルタン・クリヤは以下の効果があると示されています。

• 記憶力を改善
• 炎症を軽減
• ストレスレベルを下げる
• 心理的、精神的な幸福感が深まる
• 鬱を軽減
• エネルギーを増加
• テロメラーゼを活性化

テロメラーゼの活動を劇的に増加


キルタン・クリヤを実践した被験者でみられたテロメラーゼの43%増加幅は、どの研究と比較しても最大でした。テロメラーゼが短いことは、アルツハイマー病(および寿命の短さ)と関連があります。





炎症性遺伝子を下方制御


キルタン・クリヤの12週間の実践後の被験者において、疾病の原因となる炎症遺伝子の下方制御、炎症誘発性核因子(NF)-kB の活動減少が見られました。慢性の炎症というのは、アルツハイマー病やその他の認知症、また記憶障害のリスク因子である循環器病など主な疾病でよく見られます。

19の健康促進遺伝子を上方調整


この有益な上方調整効果には、免疫グロブリン関係の転写が含まれ、それによって免疫機能が強化され、病気と戦う天然型インターフェロンが活性化されます。

この研究は、ライフスタイルで悪い遺伝子を打ち負かすことが可能だと私たちに伝えています。これは「エピジェネチックス、後成的遺伝学」と呼ばれています。「エピ」とは外部の意味で、ライフスタイルによって「悪い遺伝子」を書き換えることができ、つまりあなたのDNAに囚われているわけでないという事実を指摘しています。ライフスタイルで遺伝的な傾向を阻止することが可能なのです。



キルタン・クリヤによるストレス軽減が非常に重要


研究によれば、認知機能低下は急性・慢性両方のストレスによって引き起こされ、その結果、海馬の脳細胞を死滅するホルモンであるコルチゾールのレベルが上昇します。これまで見てきた通り、キルタン・クリヤはストレスを軽減しコルチゾールレベルを下げます。

認知機能低下においてあまり評価されていない原因のひとつは、「幼少期有害体験」とも言われる幼少期のストレスであり、中年期の記憶障害や不安症、鬱を増加させることがわかってきています。


極めて重要な神経伝達物質や脳内化学物質を補う


シナプスでの神経伝達機能の減少は、アルツハイマー病の特徴です。ヨガや瞑想、キルタン・クリヤは、明らかに神経伝達物質を自然に強化する方法であり、私たちの研究で見られた良い結果の多くで重要な役割を担っています。



睡眠を改善


睡眠障害はアルツハイマー病の危険因子です。キルタン・クリヤで、より深くより良質な眠りに入りやすくなります。





心理的、精神的な健康を高める


キルタン・クリヤは、精神的、心理的に健康な状態を促進し、それによって脳が健康になります。精神的に健康な状態とは、自立、個人の成長、良好な人間関係、人生の目的、などより良い質の生活に関係しています。



目的を明確にする


人生に目的を持つことは、アルツハイマー病予防につながります。瞑想者は、よりはっきりとした目的、そして心理的、精神的な健康という局面を喜んで探します。



精神的な健康が重要なわけ


精神的な健康は、心の平穏を得るための4つの特徴を持っています。

1.忍耐力は、習慣的なヨガや瞑想を根気強く実践することに繋がり、それによって個人の能力を養うことができます。忍耐力を養えば、自身が「流れ」の中にいて自身を世界に委ねることができるようになり、スピードを落としてより人生を楽しむことができます。

2.受容は、自己認知と自己賛美をもたらします。また、寛容さをももたらし、自身や他人の失敗を目にしながらも、そうした失敗の向こう側を見てそのままを受け入れることができます。これが許しにつながって、脳や免疫、細胞機能に毒となる怒りを解き放ちます。また、精神的な気付きをより高い状態へと引き上げます。

3. 哀れみは思いやりをもたらし、それが共感へとつながって、健康的な感情やコミュニケーションを促します。哀れみはまた、明確さや責任感、恐れることなく自身でいる勇気を養い、精神的な成長の次の段階である「身を委ねる」ための道筋となります。

4.身を委ねる:「ストレッチに身を委ねましょう」とヨガの練習で言われます。この場合、身を委ねているストレッチは私たちの魂であり精神です。自身の魂に身を委ねた時、自分への報酬など考えることなく、他者の役に立つため犠牲になれる強さを得ます。これはヨガでは「セーヴァ」といい、真の幸福と静穏をもたらします。静穏は心の平穏と、「それ(神)」はどこにでもあるという普遍の愛の感覚を与えてくれます。これは、脳寿命に究極に重要であり、多くの人が「悟り」と呼ぶものです。精神的な健康は、つまりは、命の最も純粋な局面であり、多くの場合初めて、心の平穏を見つけさせてくれるものなのです。






2024年7月26日金曜日

熱さをしのぐ呼吸:シタリとシトカリ 
Beat the Heat: Sitali and Sitkari


夏の暑さにイライラしていませんか?怒りに顔が赤くなったり、ホットフラッシュに悩まれていませんか?昔々のヨギは、コップ1杯の水を飲む間に体を落ち着かせることができる、涼しくするプラナヤマ(調気法)を見つけました。


ヒマラヤの山奥で古代の聖人たちは、体や呼吸、精神を制御しようという壮大な試みのため、周りの世界を観察して模倣しました。鳥の曲がったクチバシ、新芽が伸びる様子、コブラのシューっという声に気づき、こうした形状と音を真似てシタリという実践(涼しくなる呼吸)を行いました。このプラナヤマでは、吸気は丸めた舌を通って湿り気を帯び(鳥のクチバシと新芽)、水分で飽和した空気を「飲む」ことになります。


この実践は、呼吸への気づきを確立する以外にも空腹感や喉の渇きを落ち着かせ、一人で過ごす時間への愛を養うと言われています。また、シタリは体を冷やすとともに水分を与え、そしてそれはアーユルヴェーダ的に言えば夏によくみられるピッタバランスの崩れを落ちつかせます。さらに、この呼吸法は、疲労感、口臭、熱、高血圧を軽減します。







シタリの実践法


  • 頭と首、背骨をまっすぐにして心地よい姿勢で座ります。

  • 目を閉じて数分間、腹式で呼吸してから、口を開けて口元を「O」の形にします。

  • 舌を縦に丸めて口から突き出します(約2cmほど)。

  • ストローで飲む時のように、舌から口の中へと深く息を吸います。

  • お腹と胸の下が膨らむと同時に、呼吸の涼やかな感覚に注意を向けます。

  • 舌を引き込んで口を閉じ、鼻腔から息を吐き切りましょう。

  • シタリを2、3分間続けたら、腹式呼吸に戻ってまた数分、そしてまたシタリを2、3分間長く繰り返します。そうやって徐々に10分間まで延ばしていきましょう。



舌を丸められない?シトカリを試しましょう


  • 目を閉じて心地よく座ります。

  • 上下の歯を優しくくっつけて、心地よい範囲で唇を開き、歯が空気に触れるようにします。

  • 歯の隙間から息をゆっくりと吸い込み、呼吸のシューっという音に意識を向けます。

  • 口を閉じて息を鼻からゆっくりと吐きましょう。

  • 20回まで繰り返します。この実践をシトカリと呼びます。ハタヨガ・プラディピカによれば、シトカリには冷やす効果に加えて内分泌系のバランスを取り活力を高めます。



シタリとシトカリの注意点


シタリやシトカリは体温を下げるため、暑い季節や力強いアサナの後、または熱をつくるプラナヤマ(バストリカなど)の後に行うのが最適です。


ヴァータやカパの体質の人にとっては、冬季のシタリやシトカリは適切ではないかもしれません。また、いつ練習するかにかかわらず、体温に近い温度の空気を吸い込むようにしましょう。息が鼻腔で温められないため、冷たい空気は肺を害する可能性があるからです。






2023年3月11日土曜日

健康のための断食 Vol.2
Fasting for Health: What Are the Benefits?

前回からの続きです。
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2型糖尿病、癌、アルツハイマー病、自己免疫疾患のための断食の効果


2型糖尿病は、高い血糖値によって起こります。血糖値が長い間、高レベルにありすぎると体がインシュリンを過剰に生成し、それがインシュリン耐性の原因となります。インシュリン耐性とは、過剰なインシュリンに長い間さらされることで、体がインシュリンへの反応をやめてしまうことです。


2型糖尿病が世界で最も急激に増えている病気である理由は明白です。私たちが、あまりに頻繁にあまりに多く食べて血糖値とインシュリンのレベルがいつも高い状態にあるからです。2型糖尿病患者にとって、食事を変えることが最も効果のある治療です。


絶食すると自然にインシュリンレベルが下がり、すぐに2型糖尿病は回復します。2型糖尿病や糖尿病予備軍の方には、こうした症状を断食で治療する専門家であるファン博士の本がお勧めです。2型糖尿病の場合は、断食は医師の監視下において行うようにしてください。


断食は癌患者の方へ様々な効果があります。
まずは、オートファジーによって、癌化する可能性のある細胞が自然に体から取り除かれ癌を予防します。

次に、断食によって、ブドウ糖に依存する腫瘍の成長が制限されます。トーマス・シーフライド博士やヴァルター・ロンゴ博士など一流の科学者らは、癌予防として誰もが定期的に断食すべきだと勧めています。

3つ目には、断食にはがん治療の副作用を防ぐ効果があることがわかっています。断食も「断食のような食事」のどちらも、正常な細胞の化学療法への耐性を高めますが、がん細胞の耐性はそうではありません。断食後、正常で健康な細胞がより強くなり、がん治療の影響を受けにくくなる一方で、断食に適応できないがん細胞は弱まり、化学療法で壊れやすくなります。


アルツハイマー病においては、オートファジーが弱まることがわかっています。通常、オートファジーのプロセスで、脳内に蓄積されアルツハイマー病の原因となるアミロイド・ベータ・タンパク質を取り除きます。オートファジーが弱まると、こうしたタンパクが、記憶や認知に関わる脳の部分における神経結合を最終的には破壊してしまいます。動物実験では、断続的な絶食がアルツハイマー病を防ぐことが示されています。


また、断食によってインシュリンレベルを下げることでも、アルツハイマー病を防ぐことができます。アルツハイマー病は、今では3型糖尿病だと呼ぶ医師や科学者もいますが、それは脳内でのインシュリン耐性に関係があるからです。2型糖尿病は、アルツハイマー病を発症する主な危険因子のひとつだということが研究で示されています。


断食が免疫を強めることを考えると、自己免疫疾患の予防や治療の助けとなることは理にかなっているでしょう。これについての研究は初期段階で、まだ100以上の自己免疫疾患を調査する必要があります。断食は、腸管内菌叢に複数の効果を示していますが、腸管内菌叢は、多くの場合自己免疫疾患で影響を受ける免疫システムの重要な部分です。現在、多発性硬化症やリューマチ性関節炎に断食が効くという可能性が示唆されています。橋本病やクローン病、潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患の治療に断食を取り入れている人もいますが、これらへの断食の効果に対する研究はほとんどありません。



                                                 




アスリートのトレーニングのための断食の効果


アスリートの皆さんは、断食には効果があるのか、そして安全なのだろうかと思っているでしょう。実際、周期的な断食によって体はより効果的に脂肪を燃焼させるように訓練されるため、アスリートには大きな利点です。アスリートが「壁にぶつかった」と感じる時というのは、エネルギーとして貯蔵されたグリコーゲンを使い切っていて、体が貯めた脂肪を素早く使えていないということです。



『断食状態の運動は、脂肪を燃焼させるよう筋肉が訓練されます。限られた貯蔵グリコーゲンに頼る代わりに、貯蔵脂肪からほとんど制限のないエネルギーを使うことができます。筋肉は、可能なエネルギー源なら何にでも適応します。断食でグリコーゲンが枯渇した時、筋肉はより効率的に脂肪を燃焼するようになります。脂肪燃焼に特化したタンパク質の量が増え、エネルギーのための脂肪分解が高まります。断食状態のトレーニング後には、筋肉繊維に利用可能な脂肪の増加が見られます。これらすべては、筋肉が 糖ではなく脂肪を燃焼するようになったサインです』 
ー ジェイソン・ファン博士(The Complete Guide to Fasting, Page 244 )


断食を始めるにあたり、体が脂肪燃焼に適応していく間はパフォーマンスが下がることにアスリート達は気づくでしょう。これは「脂肪適応」と呼ばれるものです。ファン博士によれば、このパフォーマンス低下期間は約2週間続きますが、それは現在の食事法や断食や運動の種類など人によって異なります。


蓄積された脂肪の燃焼に加え、アスリートの断食には他に二つの大きな利点があります。まずは、断食はアドレナリンを増やすため、断食中にはより激しいトレーニングをすることができます。第二に、断食が成長ホルモンを刺激するので、よりリカバリーが早くなり筋肉増強が高まります。例えば、ある研究ではたった二日間の断食で成長ホルモンが5倍になったことが示され、また、たった24時間の断食でも成長ホルモンレベルが基準値の2000%に上がったという研究もあります。



出産期女性の断食への良い点と悪い点


ほとんど全ての断続的な断食に関する臨床研究が、男性や更年期以降の女性を対象に行われてきました。一般的に、ホルモンバランスや月経周期に対する悪い影響への懸念のため、更年期の前の女性は研究の対象から外されています。


更年期前の女性でも体重減少のために断食をする人もいて、成功しています。インターネット上で多くの「ビフォアフター」画像を見ることができます。けれど、断食によってホルモンバランスや月経周期に著しい悪影響があったことを報告する女性たちもまた同様に多く存在します。更年期前の女性に対する管理された研究がこれまで行われていないため、なぜ安全に断食できる人もいればできない人もいるのかの原因については推測するしかありません。おそらく、全体的な健康状態や、減らす必要のある過剰な体重がどれくらいなのか、毎日の絶食時間、全体的なカロリー摂取量などが含まれると考えられます。


私の推測では、全体的なカロリー摂取量が大きな要因だと思います。断食とカロリー制限は、実際のところ別ものです。毎日の絶食をしながらも、食べる時間に通常のカロリー量を摂ることができます。これによって、体重の劇的な減少なしにインシュリンの減少や脂肪燃焼へと体を慣らすことなどの絶食の効果が得られます。長期間カロリー制限を行うと、体は「飢餓モード」になりホルモンバランスや月経周期を乱す可能性があります。


反対に、妊娠率という面で、更年期前の女性の絶食の効果もあります。まず、断続的絶食は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性の中で、その症状であるインシュリンレベルを下げ、体重を減らし、炎症を鎮静し、ストレス削減、そして不安症や鬱を緩和する方法のひとつとして広まってきています。これらの効果は、現在では研究によって証明されているものもあります。


次に、断続的絶食で体重を減らすことができます。体重過多や肥満は、さまざまな面において妊娠への悪影響を及ぼします。インシュリンレベルや血糖値の上昇、PCOSのリスク、妊娠に必要な性ホルモンの減少、無排卵(卵巣からの排卵がないこと)のリスク上昇などです。


三つ目には、高年齢の女性の妊娠率を高める可能性があります。2008年のハーバード医科大学での研究で、メスのマウスの妊娠率がカロリー制限によって著しく上がることが示されました。生後12か月を超えるマウス(マウスの妊娠という面では末期)にカロリー制限をしたところ、普通に食事させていたマウスよりも卵子の異常染色体が減少していました。また、
カロリー制限したマウスは通常のマウスよりも、人工的に卵巣を刺激して時により多くの卵子を生成していて、そのマウスたちの卵子は受精の際に胎芽へとより発達しやすくなり、子供たちの生存率が劇的に高くなったのです。


また、ミミズなどの虫は飢餓状態では繁殖を止める(驚くにはあたりません)という研究もあります。しかし虫の体は、飢餓の間に存在している卵を破壊してしまい、もう一度食べ始めると幹細胞から健康な卵を再生するのです。その研究では、飢餓によって、虫は通常よりも15倍長く繁殖できるようになりました。また、飢餓の虫はそうでないもの達よりも3倍長くいきました。


この結果により今、熱く議論されているのは、ヒトに卵巣幹細胞は存在するのか?ということです。


1951年以降、女性は、その後の卵子をすべて持って生まれたてくると信じてきました。しかし身体の成長研究では、ヒトを含む哺乳類が、年をとるとともに新しい卵子を作ることのできる卵巣幹細胞を持っていることが示唆されています。もしこれが本当なら、成熟、あるいは未熟な卵子を破壊してしまう放射線治療や骨髄移植などを経た女性達でも、なぜその後の妊娠が可能ののかを説明することができます。


絶食が免疫システムを新しくするのと同様に、女性の卵子供給も新しくするのかもしれません。断食がオートファジーを誘発するなら、古く壊れた卵子も再生するよう体にスイッチが入るのかもしれません。そしてまた食事を再開すると卵巣幹細胞が刺激されて新しく健康な卵子が作られるのかもしれません。それが、虫の研究で起こったことです。人間にも同様のプロセスが起こるのでしょうか。それはまだわかりません。


常識が示すように、もし妊娠率を高めるために断食をしようとしているなら、妊娠する前に試すべきだと専門家は薦めています。カロリー不足時は体が妊娠しないように働く可能性が高いため、妊娠しようとしながらの断食は非生産的だからです。




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またまた、次回に続きます。





2023年3月4日土曜日

健康のための断食 Vol.1
Fasting for Health: What Are the Benefits?

今回はファスティング(断食)についての記事です。
多くの断食の合宿やワークショップがありますが、どんな効果があるのでしょう?
デメリットはないのでしょうか?

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1月のとある水曜日の朝、気分が悪くて目が覚めました。喉が痛く、いつもと違って疲れていて、体が何かと戦っているのが感じられました。それまで3年間も病気なんかしなかったのに!どうして風邪ひいてしまったんだろう、と思いました。

自宅でCOVIDのテストをしてみましたが、幸いなことに陰性でした。けれど、4日経っても風邪の症状は良くなりませんでした。あきらめて彼にん風邪薬を買ってきてと頼みました。彼は眉を上げながらこう言いました「3年間病気なんかしてないわと自慢してるからこうなったんだよ」はい、あなたの言う通りです。



斬新な案:健康のための断食


その日遅くに Facebook をスクロールしていたら、あるポストが目につきました。「3日間の
断食で全免疫再生が可能」そのとき気弱になっていた私は、見出しにすっかり魅了されました。3日間何にも食べないということさえ考えるほど、気分がよくなるならなんでもやるという気分だったのです。


それまで断食などしたことはなかったし、食事を抜いたこともありませんでした。忙し過ぎて食事を忘れるタイプの人間でもありません。そんな人たちを理解することなんてなかったのです。


けれど、その確かな研究に基づいた記事はとても興味深く、ここでご紹介するに至ったのです。1日中 Google した結果、取り憑かれたように栄養について読んでいたのに、この研究には今まで出会ったことがないことに驚きました!(おそらくだれも3日間の絶食なんてしたくないからでしょうね?)





健康のための絶食について知る


5日目の朝、ずいぶん気分が良くなっていました。その午後、前の週にCOVIDが陰性だった親しい友人の一人が陽性になりました。もう一度、自宅でテストしてみたところ・・・なんと陽性。結局ずっと COVID だったのです。ワクチンのブースト接種までしていてものすごく感謝しました。もし接種していなかったらもっともっと大変だったでしょうから。

それでもまだ断食についてもっと知りたいと思い、まずはジェイソン・ファン博士の「断食の完全ガイド」を読み始めました。読み始めると止められなくなりました。数日間の断食をどうやって行うかについてのもっとシンプルなガイドだと思っていたのですが、それ以上のことが書かれていました。一番心に残ったのは、何を食べるかと同様に食べる時間が重要だということです。

ここでお伝えしたいのは、
  • 断食がなぜ食事と同様に自然なことなのか
  • 断食中には体で何が起こるのか
  • 2型糖尿病、癌、アルツハイマーへの断食の効果
  • 断食のアスリートへの効果
  • 出産可能年齢の女性の絶食に対する賛否
  • 絶食の証明されている健康への効果
  • 絶食を取り入れる方法


絶食は食事と同様に自然なこと


以前、断続的な絶食についての研究を読んだことがあり、2型糖尿病の人や体重を減らしたい人に大きな健康効果があることを理解していました。断続的な絶食はインシュリン・レベルを素早く自然に下げるのです。けれど、私個人がそれから恩恵を受けるとは考えたことがなく、またやりたいとも思っていませんでした。空腹でいることが大嫌いだし、お腹が好きすぎると頭が少しくらくらして不安に感じることが多いのです。


断続的絶食になじみのない人にとっては、他の健康への効果の中でもインシュリンを下げたり体重を減らすためには、食事のタイミングを変えることです。食べない時間を、例えば午後7時から午前7時まで、1日12時間、あるいは14、16、18、20時間作るのです。あなたの全てのカロリーは日中の「摂取時間帯」に使われます。12時間絶食なんて簡単に聞こえるかもしれませんが、夜間のおやつを控えたり朝のコーヒーに砂糖を入れないなど結構大変なのです!



食べることがより食べることを招く


ファン博士の本を読んですぐに理解したのですが、私が頻繁に食べたくなる理由は頻繁に食べていたからだということです。頻繁なカロリーのインプットに体が依存するよう慣らしていため、食べない時間が長くなったとき、体はどうしていいのかわからなくなってしまっていました。体が、本来そうであるべき脂肪燃焼モードにうまくシフトしないのです。私は「代謝的に柔軟」ではありませんでした。


後でご説明しますが、各食事の間の食べない時間をより長くすると、体は効率良く貯めた脂肪のエネルギー変換するようになります。多くの人とって、この変換はすぐには起こりません。脂肪燃焼が効率良くなる体になるには数週間かかります。そしてそれは、断続的な絶食のタイミングや、食べる食べ物の種類などによって様々に変わります。



祖先は健康のために絶食していた


健康に気を配る人の多くは、人類が進化してきた時とできるだけ同じ食生活を送りたいと思うでしょう。今の健康問題が現代的な食生活の結果からくるものが多いため、「旧石器時代」の原始的な食事をすればその問題は解決するはずだと考えるというわけです。


つまり、原始的な食事をするということは断続的な絶食を毎日の習慣にするということなのです。数時間、時には数日の絶食は常に私たち人類の一部でした。私たちの体は絶食の時間で、解毒したり、壊れた細胞を修復したり、インシュリンレベルを下げたり、貯めた脂肪を使ったりします。私たちの多く、そして私がしているように、ずっと食べ続けるというのは人間にとって普通ではないのです。



精神的な実践としての健康のための絶食


農耕の発展により絶食しなくてもよくなってからも、多くの文化や宗教では、健康のためや精神的な実践法として絶食を続けてきました。今日では、ギリシャ正教や仏教、イスラム教、ヒンズー教など、世界中の宗教の実践者らが定期的に断食をしています。ヒポクラテスやプルタルコス、プラトン、アリストテレスなど古代の医師や学者らもまた健康のための絶食を勧めています。パラケルススやベンジャミン・フランクリン、マーク・トウェインもそうでした。


ファン博士が指摘するのは、1970年台までほとんどの人は1日に12-14時間食べずに過ごし、食事の間のおやつも食べませんでした。けれど今のアメリカ人は、継続的に食べることが健康に一番良いという誤解のため、1日平均5-6回も食べています。



絶食すると体内で何が起こるのか?


私たちが食べると、膵臓がインシュリン・ホルモンを出します。インシュリンは、食べた食物をブドウ糖に変換してすぐにエネルギーとして使い、残りはグリコーゲンや脂肪として貯蔵します。


食べる回数が多いと、インシュリン・レベルは高いままで、血糖値レベルもずっと高くなります。インシュリン・レベルが高いままだと、エネルギーとして常にブドウ糖を使い続け、余剰のエネルギーをグリコーゲンや脂肪として貯蔵し続け、ためた脂肪は全く燃やさないままになります。


貯めた脂肪を燃やすためには、インシュリン・レベルを下げる必要があります。それは、しばらく食べないでいるときに起こります。体内に貯蔵したグリコーゲンは約24ー36時間止まり、その後でやっと体が貯めた脂肪をエネルギーとして燃やし始めるのです。



ケトダイエットと脂肪燃焼


流行りの「ケトダイエット」の仕組みは、こうです。1、2日の断食の後、私たちの体は完全にケトーシス状態に入ります。ケトーシス状態では、低いインシュリンレベルのためエネルギーになる脂肪の分解が刺激されます。貯め込まれた脂肪は脂肪酸に分解され、体のほとんどの組織でエネルギーとして使われます。体もまた、こうした脂肪酸でケトン体を作り、これが脳でエネルギーとして使われます。


絶食した時、体内では他にも有益なことが起こります。アドレナリンが増えて代謝が早まり、エネルギーが増えます。成長ホルモンの生成が増え、筋肉量が保たれて老化を緩やかにします。そして、脳由来神経栄養因子の生成が増えて、アルツハイマーやパーキンソン病、ハンチトン病などの神経変性病の進行を遅らせます。



オートファジーとは?


絶食時にはまたオートファジーが起こります。2016年、日本の細胞生物学者である大隅良典氏は、オートファジーの発見でノーベル賞を受賞しています。


オートファジーとは、傷ついたり病気になった細胞を体が再生することです。絶食すると、これらの傷ついたり病気になった細胞を維持するエネルギーが十分に入ってこないので、体はこうした細胞を分解して新しい細胞の成分としてリサイクルします。そうして作られた新しい細胞がリサイクルされた細胞と入れ替わっていくのです。


これには免疫細胞も含まれます。古くなって傷ついた白血球は絶食するとリサイクルされるので、絶食中には白血球の数は減少します。そしてまた食べ始めると、より効果的に病気から守ってくれるよう適切に機能できる新しい白血球を再生するよう幹細胞が刺激されます。このように、絶食の中で免疫が再生されていきます。





食べ続けるとオートファジーが働かなくなる


ブドウ糖やインシュリン、タンパク質のレベル上昇により、オートファジーのプロセスは止まります。ですから、常に食べ続けている時にオートファジーは起こりません。動物実験により、絶食後約24時間でオートファジーが始まり、約48時間後にピークに達し始めることがわかっています。


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次回に続きます。








2022年8月24日水曜日

ホットフラッシュ?更年期の症状を緩和するヨガ Vol.2
Feeling a Hot Flash? How Yoga for Menopause Might Help Your Symptoms



更年期症状のためのヨガポーズ

以下が、更年期によくある症状とそれらを緩和するおすすめのポーズです。



ホットフラッシュのためのヨガ




最もよくみられ(そして不思議な)症状のひとつホットフラッシュは、おおよそ80%の女性が閉経周辺期に体験します。体の中心部温度上昇に伴う心拍上昇、これらの「パワー・サージ」は、顔のほてりから始まって首や腕にまで至ります。ホットフラッシュは、現れた時と同様にすっと消え、多くの場合、体が体温変動を正常に戻そうとして、湿って肌寒く感じます。


ホットフラッシュの本当の原因は何なのかは知られていませんが、学説はさまざまあります。視床下部が重要な役割を担っているという人もいます。その他、体内のホルモン変動が血管や神経末端を刺激し、血管を過剰に拡張させて熱くほてった感覚を作り出しているという可能性もあります。ほとんどの研究者(そして多くの更年期女性)は、ストレスや疲労、集中した活動などがこれらの症状を増大させることを認めています。


ウォールデンは、落ち着かせるレストラティブなポーズをより多く取り入れることを勧めています。体内のどんな握りしめや緊張もホットフラッシュを悪化させる可能性があるため、ボルスターやブランケット、ブロックなどのプロップスを使用して全身を支えると良いでしょう。例えば、前屈の時に頭をボルスターや椅子に置くと、脳を落ち着かせて神経をリラックスさせるのに役立ちます。支えのある横たわったポーズはまた、完全なリラクゼーションを促すことができます。例えば、横たわった合蹠のポーズや横たわった英雄のポーズなどは、下腹部を柔らかくして、胸やお腹の強張りを解き放ちます。椅子に両脚を置いたアルダ・ハラサナ(半分の鋤のポーズ)は不安定になった神経を鎮めます。



記憶のためのヨガ



更年期の間は、突然思考の流れを見失って整理することができなくなる人がいます。この頭のぼんやりは、ホルモン変動が大きい時に起こります。思春期の少女や妊娠中の女性、産後の女性は、同様の頭のぼんやり感を訴えることが多々あります。ヨガは、特に睡眠不足や感情の揺れによって症状が悪化している時に、この混乱を取り除いてくれます。後屈や胸を開くポーズ、逆転のポーズなど鬱を抑制するのと同じポーズが、ばらばらになった思考をまとめるのに役立つとウォールデンは言います。


また、アドムカ・シュヴァナサナ(下向きの犬のポーズ)は、血液を脳に送って深く集中した呼吸を促し、精神の集中を向上させます。そしてシャヴァサナ(屍のポーズ)は神経を落ち着かせ、心を鎮めて、体を休息状態へと導きます。


こうしたアサナは、更年期やその後を進む時に、女性が身につけておけるツールの一例です。今までにヨガをしたことがないのなら、体が手に負えないと感じる時に素晴らしい救いとなってくれるでしょう。ヨガが連れ合いとなって長いなら、体が必要としているものへと練習を変えていく良いタイミングかもしれません。結局のところ、ヨガの価値は生涯なのですから。アリソンが言うように「特に人生のこの時期で、私はヨガからとてつもない多くの恩恵を得ました。肉体的に体の状態も良くなったし、精神的な浮き沈みを助けてくれました」




疲労のためのヨガ




閉経周辺期で女性が訴える症状の中でも、ホットフラッシュに次ぐのは疲労感です。特に疲労感が鬱や倦怠感を伴う場合は、プロゲステロンの急減がその原因かもしれません。数日や数週間続く説明がつかないほどの疲労感を感じるなら、副腎の消耗が一因かもしれません。


どちらにしても、支えのある優しい後屈をウォールデンは勧めています。そうしたポーズは、胸や心臓の辺りを開き、大抵はエネルギーや決断力、喜びを与えてくれるからです。その中で彼女のお気に入りのひとつはこのスプタ・バッダコナサです。この深いレストラティブのポーズは、平穏と滋養の感覚を教えてくれます。また、胸を開いて呼吸や血流を促し、体を完全に支えながら気分を高めます。



不安、イライラ、不眠のためのヨガ




閉経周辺期の間は、エストロゲンが急増し(あるいはプロゲステロンが急減)、不安や神経過敏、イライラが起こります。副腎が酷使されて疲弊すると、それもまた不安や強いイライラを引き起こす可能性もあります。(多くの代替治療では、ストレス、質の悪い食事、睡眠不足などに常に対処し続けることで、副腎が疲弊すると考えられています)


人がストレス下にあると、ストレッサーと戦うため交感神経が反応して心拍数が上がり、消化管の筋肉の動きが遅くなり、脳への血流が増加します。


ストレスがなくなると、副交感神経が反応して、その逆のことを行います。つまり、心拍数がゆっくりと正常に戻り、消化管の滑らかな筋肉が刺激され、体内組織のバランスが戻ります。


身体が絶え間ないストレス下にあれば、交感神経系や副腎(ストレスに対抗するホルモンや、エストロゲンに変換される男性ホルモンを作ります)がフル回転して動けなくなってしまいます。


ウォールデンによれば、ウッターナサナ(立位の前屈)やプラサリタ・パドッタナサナ(開脚した立位の前屈)などの前屈で、ボルスターやブランケットの上に頭を休ませませると、イライラや精神的な緊張を減らすのに役立ちます。なぜなら、前屈で注意散漫にさせる外界の刺激を締め出すことで、心を落ち着かせストレスの影響を減らすことができるからです。そうして神経系が万事OKという信号を受け取り、副腎や交感神経系が必死に働くのを止めるのです。


もし不眠に悩んでいるなら、体のエネルギーを根付かせ過剰な不安を燃焼してくれる逆転のポーズが役立つこともあります。リストラティブなポーズは、深い休息の状態を促します。




鬱や気分変動のためのヨガ



更年期は出産可能時期の終わりのサインで、多くの女性にとって、青年期が終わるのを悲しむ時です。長く続く疲労とともに、憂鬱で、今までの人生が終わったという感覚によって、鬱を引き起こすこともあります。過剰なプロゲステロン(あるいはエストロゲンの急減)がまた、ひどい憂鬱感から深刻な鬱病に至るまでの全ての原因となりえます。


けれど、ヨガの実践者らは昔から、身体を使って行うことは心や考え方に影響するとわかっていました。時には、ポーズを少し変えるといった微細なことでも、暗い気分を明るくしてくれるのです。女性が尊厳を持ち胸を開きながら背筋を伸ばして立っている時、そして自信を持って歩いている時、私は安定して幸福で周りの環境と調和しているのだと、世界に向かって(そして最も大切なのは、自分に向かって)告げているのです。


ウォールデンは、心に肯定的な効果を与える精神状態を特定のポーズが作り出すことを発見しました。「後屈をすると、特にサポートされている状態では、体の中に軽い感覚が起こります。後屈ポーズは副腎を刺激して、マッサージで活発にします。また、心臓や肺が開いてより多くの酸素を取り込みます」様々な胸を開くポーズは、呼吸や血流を向上して体に活力を与えるので、鬱積した感情を抑制します。そしてショルダースタンドなどの逆転のポーズは、暗い気分を緩和するのに役立つことを、多くのヨギが気づいています。「全てを上下逆さにすることで、逆転ポーズは、感情の肯定的な方向へと作用するのです」

2022年8月22日月曜日

ホットフラッシュ?更年期の症状を緩和するヨガ Vol.1
Feeling a Hot Flash? How Yoga for Menopause Might Help Your Symptoms

今回は、女性が必ず通る更年期に関連する症状とその対処法などについてです。
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48歳のアリソンにひどいホットフラッシュが起こり始めた頃、それはたいてい夜に起こりあまり眠れませんでした。彼女の閉経周辺期の症状というのは、概して、「我慢できない」以上のものでした。そして生理周期は全く手に負えなくなったのです。「突然、出血量がものすごく増えて、以前の2倍ほど長く続きました。生理期間がいつまでも終わらないのです」かかりつけの婦人科医師は、アリソンにホルモン補充療法、つまり更年期症状を抑えるための処方薬を薦めました。「症状が本当に酷いのなら考えてみてと言われましたが、とにかく乗り切るために何でも試そうという感じでした」とアリソンは言います。


彼女には、ホルモン補充療法をやめたい思う正当な理由もありました。その治療法は、人工的にエストロゲンとプロゲステロンのレベルを上げるもので、近年では問題とされてきています。多くの研究によって関係付けられているのは、乳癌や心臓疾患、卒中など命に関わる症状のリスクが上がることです。


アリソンの生理周期が不定期になってすぐ、いつも通っているヨガスタジオで、生理周期に関連する肉体的な不快に対処するのに役立つよう作られたアイアンガーのアサナ・シーケンスを習いました。ポーズの多くはリストラティブなもので、スプタ・ヴィラサナ(横たわった英雄のポーズ)、スプタ・バッダコナサナ(横たわった合蹠ポーズ)、ジャヌシルシャアサナ(頭を膝につけるポーズ)など頭をサポートして行うものでした。次の生理が始まって、アリソンは毎日そのシーケンスを練習していたら、経血量が普通に戻ったことに気づきました。その結果に勇気づけられ、ホルモン補充療法をしなくても症状をコントロールできるのではと考え始めました。彼女が探していた緩和法は、多分、ヨガなのだと彼女は思ったのです。そして、その直感が正しかったことが証明されました。多くの女性が、ヨガによって、ホットフラッシュなどの更年期の不快な症状を緩和されることに気づいています。



ホルモンバランスのためのヨガ


更年期そのものは、単に月経が止まる時期であり、一般的には数年間続きます。この段階を閉経周辺期といい、おおむね45ー55歳の女性に起こります。閉経周辺期には、エストロゲンとプロゲステロンのレベルの変動により、さまざまな不快な症状を引き起こすことがあります。その中でも多くみられるのがホットフラッシュ、不安やイライラ、不眠、疲労感、鬱症状、気分変動、記憶力低下、そして生理不順です。


これら全てを経験する女性は少ないですが、約55ー65%がいくつかの軽い症状を経験していると、カリフォルニア州トーランスにあるハーバーUCLA研究教育研究所のローワン・クレボースキー博士は言います。約25%がほとんど日常生活に支障がないと報告している一方で、約10-20%が深刻で、しばしば体が衰弱するほどの症状に悩まされています。


ホルモンの変動は、概して女性の生物学的な次段階への途中で起こります。思春期のニキビや気分変動、妊娠期のつわり、そして出産後の鬱などさまざまな不快が現れます。「更年期も例外ではありません」と、『A Woman’s Best Medicine for Menopause(更年期女性の最良の薬)』の著者であるナンシー・ロンスドルフ医師は言います。


閉経周辺期が始まるまで、女性の毎月の月経周期を働かせているのは、食欲や体温など多くの身体機能を調整している脳の基部にある視床下部です。視床下部は脳下垂体に重要な生殖ホルモンを分泌させる信号を送り、こうしたホルモンは次に卵巣のエストロゲンやプロゲステロンの分泌を刺激します。閉経周辺期には、卵巣と脳下垂体がいわば綱引きをします。卵巣がホルモン分泌を減らす一方で、ホルモンレベル低下を感知した脳下垂体は卵巣を刺激し続けます。この慌ただしい格闘によって不安定なホルモン変動が起こります。過剰なエストロゲンが体のエンジンの回転速度を上げたと思えば、プロゲステロンが急激に分泌されて体のスピードを落とすのです。


「ホルモンはとても強力です。体のまさに全ての組織に影響を与えます」ロンスドルフ氏は言います。「ですから、体がこうしたホルモン変化を調整しようとすれば、さまざまな状態が起こり得るのは無理もありません。例えば、不安定なホルモン・パターンに脳が影響を受ければ、睡眠や気分、記憶力など全てが影響を受けますし、不定期なホルモン・パターンで子宮が刺激されれば不正出血が起こる、などです」


一般的に女性がこのホルモン変動を始めて体験するのは、生理が止まる約6年前です。こうした症状は大抵の場合、生理が止まってホルモンレベルが徐々に安定する一年以上後まで続きます。更年期の後の卵巣は、女性ホルモンをあまり作らなくなります。けれど、体はまだ骨の健康を保ち、膣の乾燥などの症状を抑えるため、いくらかのエストロゲンを必要としています。腎臓の上にある副腎は、脂肪細胞をエストロゲンに変換する男性ホルモンを分泌してますが、その分泌が減ることでこうした変化の中で重要な要素となっています。それでも、体はホルモンレベルがかなり下がった新しい状態に適応していく必要があります。


こうした自然な生理学的変化や大混乱で多くの女性が悩まされていることを受けて、1960年台、研究者らによって、よく見られる更年期障害の治療法が探し始められました。最終的に勧められた治療がホルモン補充療法でした。その論拠は、ホルモンを体に戻せば、エストロゲン減少からくる諸々の問題は単純に消え去るというものでした。科学者らは、以前と同じレベルのホルモンを維持すれば治療できると信じていたのです。


ホルモン治療法は、更年期の症状を管理する簡単な解決法でした。けれど、いくつかの大掛かりな研究が、ホルモン補充療法によって女性が深刻な健康リスクに晒されることを示してから、より自然な治療法を多くの女性らが探し始めました。ヨガに解決法を求めた人々は、アサナが直接的にエストロゲン生成に影響を与えることはないけれど、不快な症状をコントロールするのに役立つポーズがあることに気づいたのです。特にリストラティブなポーズは、神経をリラックスさせ、内分泌系(特に視床下部、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺)の機能を向上させ、ホルモン変動へ適応するのに役立ちます。




更年期障害を緩和する


ヨガインストラクターのパトリシア・ウォールデン(57)は、ヨガがどのように更年期障害を緩和できるかを直に理解しています。多くの女性たちと同様、彼女の症状も雨のように現れました。最初は小雨のように、そして本格的な嵐となりました。最初にホットフラッシュが来て、次の年には、絶え間ない疲労感と不眠に悩まされました。しばしば夜中に目覚め、そのまま3時間起きたままということもありました。


症状が重くなった時、ヨガの練習方法を変える必要があると彼女は気づきました。彼女の毎日の練習は力強いものでしたが、サポートのない逆転ポーズや、激しいポーズ、後屈などが時に症状を悪化させることがわかったのです。そんな時は、サポートのあるリストラティブなポーズで神経を落ち着かせることにしました。逆転ポーズも続けましたが、ホットフラッシュをより引き起こしてしまうサポートのないシルシャアサナ(頭立ち)の代わりに、ボルスターを使ったセツ・バンダ・サルヴァンガサナ(橋のポーズ)や椅子を使ったサーランバ・サルヴァンガサナ(肩立ち)を行いました。そのように変えることで、体の熱を上げたり辛い症状なしに、不安やイライラを緩和するという逆転ポーズの効果を得ることができました。


症状が消えていくにつれ、ヨガが、ホルモン変動に伴う症状を緩和する強力なツールになりえるという確信を深めていきました。そして同様の症状を体験している他の女性と繋がり、更年期障害のある女性のためのヨガを考案し始めました。「以前から女性の健康問題に興味があったのです」ウォールデンは、リンダ・スパローの 『The Woman's Book of Yoga and Health: A Lifelong Guide to Wellness(女性のヨガと健康:生涯健康でいるために)』 の共同著者でもあります。「でも、自分が更年期を経験した後は、もっとずっと理解できるようになりました」


日常的なヨガの練習には、女性の更年期をがらりと変える力があります。そして、更年期の前にしっかりとした練習をすれば、その移行期が楽になると、『Yoga and the Wisdom of Menopause(ヨガと更年期の智慧)』 の著者であるスーザ・フランチーナは言います。「更年期の前にヨガを練習していれば、特に更年期障害に効果的なポーズの全てに既に慣れ親しんでいるので、長年の友人のようにポーズを行うことができます。リストラティブなポーズに慣れ親しんでいるなら、最高の更年期障害の緩和が意のままに使えるのです」

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2022年1月24日月曜日

甲状腺のためのヨガ:喉を刺激し不調を予防する5つのエクササイズ
Yoga for thyroid: 5 exercises to stimulate the throat, prevent disorders



1月は「甲状腺認知月間」で、世界中の甲状腺患者や甲状腺の研究治療に携わっている人に捧げられています。甲状腺は、体内全ての細胞、組織、内臓に影響を与えるホルモンを作り出している、つまり、体が正しく働くため大きな役割を果たしている首に存在する小さな腺です。

米国甲状腺協会によれば、甲状腺疾患を持つ人の60%がその症状に気づいていません。そのため、甲状腺に影響を与える様々な健康状態について啓蒙するため甲状腺認識月間が必要となっています。今日では高血圧や肥満から起こる誰もが知るものとなった甲状腺疾患を緩和する手段や解決法を知ってもらうことが必要なのです。

甲状腺障害は、男性よりも女性に多いと考えられています。甲状腺障害の主な要因のひとつはストレスの多いライフスタイルにあります。以下の5つのヨガポーズを甲状腺障害の補完治療として、喉を刺激し、障害を予防、そして自然に治療することで元気を取り戻しましょう。


どんなヨガも始める前に医師に相談することが大切です。以下のエクササイズは今あなたが受けているいかなる治療や投薬の代替ではありません。補完としてのみ行うようにしてください。






1. サルヴァンガサナ(肩立ちのポーズ)




方法:
仰向けで横たわります。両脚を上にゆっくりと90度まで持ち上げます。お尻を持ち上げて両脚を頭の方向に伸ばします。次に、両脚、お腹、胸を持ち上げて一直線にしてみましょう。

両手のひらを背中に置いて支えにし、顎は胸に引きます。心地よい範囲で、できるだけ長くこのポーズを保ってみましょう。15秒から1分間は保ってみましょう。。


効果:
このポーズには、肩や首のストレッチ、脚や臀部の引き締め、甲状腺や腹部の内臓の刺激など数えきれない効果があります。甲状腺機能低下症、亢進症の両方によいとされ、ストレスや更年期症状の緩和を助けます。




2. マツヤサナ(魚のポーズ)




方法: 
床に両脚を伸ばして仰向けに横たわり、両手は腿の傍に置きます。手のひらは肩の近くに置いておきます。息を吸って、手のひらで床を押し肩と頭を持ち上げ、頭頂を床に下ろします。

背中をそらして、合掌した手を上げておきます。両脚を45度の角度まで持ち上げます。このポーズを10秒保ってから下ろしましょう。


効果:
このエクササイズには、胸やお腹、股関節屈筋、首のストレッチなど多くの効果があります。また、コミュニケーションと自己表現に関連する喉のチャクラ、そして叡智や知識と結びついている頭頂のチャクラという体の重要な二つの部分を刺激します。


注意:
首や背中の怪我、頭痛のある時はこのポーズは避けましょう。





3. ウシュトラサナ(ラクダのポーズ)




方法:
ヨガマットの上に膝まずき、両膝と両足を揃えます。骨盤を前に押し出して後方に倒れます。

頭と背骨を、無理なくできるところまで後方に曲げていきます。両手を足に置き、体、背中の筋肉をリラックスさせ、数秒間保ってから元に戻りましょう。


効果:
肩や背中のストレッチと強化、股関節の伸展や股関節屈筋の深いストレッチなど、ウシュトラサナは、胸を開いて呼吸を促進させるだけでなく、腹部を広げて消化や排泄を促します。首をストレッチし甲状腺の血流を増加させることで甲状腺を刺激、脊椎を緩める、腰痛の緩和、姿勢の改善や腿の脂肪を減少させるなどの効果があります。




4. ブジャンガサナ(コブラのポーズ)



方法:
お腹を下にして横たわります。両手のひらを胸の横に置き、腕は体に寄せて肘を後ろに下げます。息を吸って額、首、両肩を持ち上げます。

両腕の力を使って胴体を引き上げます。自然に呼吸しながら前を見ましょう。お腹が床についているのを確認します。このポーズを5秒間保ちます。ゆっくりとうつ伏せに戻りましょう。両腕を体の脇に置いて、頭を横に向けて休みます。


効果: 
このブジャンガサナという横たわった後屈ポーズは、背骨、臀筋、胸、腹部、肩、肺を強化し、血流を促し、体内のストレスを解消します。甲状腺の機能を高め、首や喉をストレッチすることで甲状腺機能低下症に悩む人に良いとされます。




5. シャヴァアーサナ(屍のポーズ)





方法:
仰向けに横たわり、両脚を伸ばして両腕を体の横にリラックスさせておきます。そっと目を閉じて、両足の先を心地よい自然な幅に開いておき、両腕は体から少し離してに沿わし手のひらを上にして休ませます。

自然に呼吸し、全身を地面に重く下ろし、意識をつま先に集中します。それから、意識を、つま先から頭の頂点まで、体、臓器、細胞のそれぞれの部分へと解き放ち始めましょう。心が逸れてしまった時は、そっと体に戻します。

眠ってしまわないように気をつけながら、目が奥の方へ下りていき、顎が緩むのを感じます。意識を回りの音へと向け、最も遠くの音から最も近い音までを見つけてみます。

リラックスして感じられたら、意識をそっと体に戻し、目を閉じたまま指先や足先を細かく動かし、ポーズを終えましょう。両膝を引き込んでゆっくりと片側へ寝返り、安楽座(あぐら)で座ります。その心地よい座位でしばらく休んだ後、そっと目を開けて意識をゆっくりと外側へと向けます。



効果:
深い呼吸を伴うシャヴァアーサナは、どんなヨガポーズよりも神経をリラックスさせ、すぐに体温を下げます。甲状腺機能低下症、亢進症の両方にとてもよい効果があり、夜眠れない亢進症患者のための仮眠のような効果もあり、ストレスを解消、細胞を再生し、体をリラックスさせ、そして妊娠中の女性が薬を使うことなく自身を癒すのにも役立ちます。










(出典)https://www.hindustantimes.com/lifestyle/health/yoga-for-thyroid-5-exercises-to-stimulate-the-throat-prevent-disorders-101642059191365.html


2021年3月18日木曜日

ヨガの逆転ポーズ:逆転ポーズとその効果 Voi.1 
Yoga Inversion: A Guide to What It Is, and How You Can Benefit


ヨガの逆転ポーズにはさまざまなものがあり、サンスクリット語でも知られていますが、心臓や腰が頭より上になるポーズのことです。

怖いと思うかもしれませんが、大丈夫です。ヨガの逆転ポーズは、簡単なものから始められ徐々に難度を高めていきます。簡単に言えば、ヨガの逆転は前屈のようにシンプルなものもあります。熟練者にとっては、ハンドスタンドも含まれるでしょう。

ヨガの逆転の目的は、柔軟性や血流、エネルギー、自尊心をも向上させることです。そのいわゆる効能がどうであれ、逆転ポーズがあなたにとって安全で正しいことなのか不安に思うでしょう。

この記事では、ヨガの逆転ポーズの健康効果、考えられる危険、そしてビギナー向けのポーズを紹介していきます。



ヨガの逆転ポーズとは?


ヨガの逆転ポーズは、ヨガポーズ(ヨガアサナ)の分類で、頭が心臓や腰より下になるもの、つまりは通常の垂直にたった姿勢から体を「逆転する」ものです。

地面から心臓の距離が頭よりも高いポーズは全て、逆転ポーズと考えられます。ダウンドッグ(アド・ムカ・シュヴァナサナ)、壁に脚を挙げるポーズ(ヴィパリタ・カラニ)、ヘッドスタンド(サーランバ・シルシャサナ)などよくみられるポーズも逆転に含まれます。

ヨガの逆転ポーズは、緊張を解き、血流やエネルギーレベルを上げ、筋肉を強化すると考えられています。また、感情的な成長を促し、精神や魂を鎮静化し、エネルギーを心臓へ送り、より地面とつながるのに役立つと言われています。

逆転アサナは簡単なものから難しいものまで幅広くあるので、経験や強さ、健康状態、過去の怪我などにしたがって選択する必要があります。

健康な人であっても、それぞれのアサナを安全に行い、怪我を防ぎながら最大の効能を得る方法を知ることが大切です。




ヨガの逆転ポーズの健康効果


ヨガの逆転ポーズには多くの効能があります。以下は、研究結果が示しているものです。(詳細は一番下のリンクからソースをご覧ください)

血流をよくする

ヨガの逆転ポーズは、血流やリンパの流れをよくし、酸素や栄養を体全体に運び老廃物を取り除くのに役立ちます。

逆転ポーズは、骨盤から心臓へ、そしてそこから酸素を受け取るために肺へ流れる静脈血の流れを刺激します。このポジションはまた、心拍数を下げることで血液がより多くの酸素を取り込むのを助けます。


エネルギーレベルを増加する可能性

ヨガの逆転ポーズは、敏捷性やエネルギーレベルをあげる可能性があります。

理論上は、体を逆転するポーズは、敏捷性をあげて疲労を回復する可能性があります。それは、細胞に取り込まれる酸素や栄養が増え、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニンなどのエンドルフィンが分泌され、注意力が増して気分が向上するからです。

さらに、上下が逆になることは集中力を要するため、徐々に、どんな状況に出くわした時も集中できる能力が向上するでしょう。


柔軟性と体力が向上する


全ての年代において、ヨガでバランスや柔軟性、体力を向上することができることが知られています。

逆転アサナは、心身への大きな気づきと、重力に逆らいながら伸展した位置で体を支えるための体力を必要とし、それによって筋力や忍耐力、柔軟性が徐々に向上していきます。

各ポーズは異なる筋肉群に効き、四肢全体の柔軟性や強さが高まり可動域が広くなります。

ヨガの逆転ポーズに特定した研究は存在しませんが、ある研究では、下向きの犬のポーズを週2回10週間行ったところ、膝と股関節の伸展に著しい向上がみられ、ハムストリングスや腰の柔軟性が高まったことを示唆しています。


自信が高まる


ヨガの実践は、自尊心や体のイメージ、全体的な自信を上昇させると考えられています。

特に、ヨガの逆転ポーズを正しく行うためには時間と練習が必要であるため、謙虚さや忍耐、不屈の意識をもたらすと多くのヨギが主張しています。

しかしこのようなポーズは、一旦できるようになれば、日々の生活の中で障害を克服することができるという大きな自信を与えてくれます。非執着の概念や不完全性を受け入れることを教えてくれるのです。


腫れや痛みを緩和する可能性


壁に両脚をあげるポーズなど特定の逆転のポーズは、リンパの流れを促し下半身の痛みや腫れを緩和する可能性があります。リンパ系は、体から老廃物や副産物を取り除き、体液平衡を保つのに役立ちます。

逆転アサナでは、重力と穏やかな動きによって、リンパと血液が四肢から心臓へと流れます。そのように、痛みや不快感、腫れなどを軽減することができるのです。



しかし、高血圧や脚や首に怪我のある人は、逆転ポーズは避けるべきです。


ヨガの逆転ポーズのリスク


多くの人にとって、逆転アサナは健康に大変効果があります。しかし、逆転ポーズがリスクとなる人もいて、ヨガに関係する怪我の主な原因です。

関節に問題のある人、首や背中の怪我、あるいは同様の問題のある人は、医師などの許可がない限り逆転ポーズを練習するべきではありません。

逆転ポーズでは心臓より頭が下になるため、血液が顔へと勢いよく流れます。緑内障、高血圧、血流に問題のある人は、こうした姿勢を避けることが望ましいでしょう。

妊娠期間は、ヘッドスタンドやショルダースタンドなどの体を完全に逆転する難しいポーズは避けるべきです。
4点が(両手両足が地面に)着いているダウンドッグなどの強度の低いポーズは、妊娠に関連する合併症や既往症がない健康な妊婦には安全だと考えられています。
つまり、妊娠期間は新しいエクササイズを試す前に医師などに必ず相談するということです。


最後に、ビギナーとして始める場合は、怪我のリスクを下げるため簡単で難度の低い動きから始めることが重要です。もしヨガが初めてならば、訓練を受けたインストラクターと直接会えるヨガクラスに参加し、安全に正しく行えることを確実にした方が良いでしょう。




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次回はポーズの紹介です。




2021年2月26日金曜日

ヨガは神経システムにどのように影響を与えるのか 
How Yoga Affects Our Nervous System


神経システムについて、その素晴らしさ、そしてどのようにヨガがよい影響を与えるのかについて耳にしたことがあるかもしれません。神経システムを落ち着かせ穏やかに調整するのに役立つヨガの特別なテクニックについて聞いたこともあるかもしれません。もしかすると、神経システムの詳細についても聞いたことがあるかもしれません。


しかし、この複雑なシステムとそれがもたらすことについて本当に理解しているでしょうか?実際のところ、神経科学者でさえ神経システムを完全には理解できてはいない一方で、基本的な局面についてわかっているところもあり、ヨガが、それを調整するのに役立つというエビデンスも増えてきています。



神経システムとは?


人間の神経システムは、並外れて複雑で、その大部分は未知の部分ですが、運動を起こすため電気的・化学的エネルギーを発し、脅威を察知し、消化を行い、心拍を調整し、呼吸を行い、思考する、など多くのことに関わっています。


神経システムは大きくふたつの分けられますが、多くの人が考えているのとは異なり、交感神経と副交感神経ではありません。 そうではなく、中枢神経系と末梢神経系です。


中枢神経系は脳と脊椎を含みます。末梢神経系は、中枢神経系意外の神経組織であり、神経繊維や神経節(ニューロン細胞の塊)を含みます。


末梢神経系はさらに、自律神経系(呼吸などの不随意機能をコントロールします)と、体神経系(歩くなどの随意機能をコントロール)に分けられます。



自律神経系とは?


不随意機能の中枢として、自律神経系はさらに、交感神経(「逃走闘争」部分)と副交感神経(「休息消化」部分)、そして腸神経系(内臓部分)に分けられます。


ヨガは全ての神経系に影響を与える可能性がありますが、ヨガの指導者や実践者はまず交感神経と副交感神経に注意を向けがちなのは、それらが実践によってより直接影響力のある部分だからです。



副交感神経とは?


交感神経系は、多くの場合「逃走闘争」反応に関連付けられます。これの部分は、体が危険の可能性に警戒する役割を持っています。


私たちが危険を察知すると、心拍が上がり、瞳孔が開き、呼吸数が上がって、新鮮な酸素の多い血液を脳に送ります。私たちの体はまた、呼吸や心拍、感情など全てを調整する神経伝達物質やエピネフリン、ノルエピネフリンなどのホルモンを送り出します。消化器官は、ほとんど働きをやめ、大切な酸素が豊富な血液を骨格筋に送ります。こうした様々なことが、ほとんど一瞬で起こります。こうした変化が、究極的には脅威と闘うかその場から逃げる準備をするのです。これが、交感神経反応が自動車のアクセルペダルと類似している理由です。アクセルをいっぱいまで踏み込むと、全力で前へ走り出すのです。


しかし、私たちの体はとても賢く、交感神経系も生活スタイルの変化に飲み込まれたりはしません。例えば、体は生死を分ける脅威へのストレスと大切な会議のストレスをうまく区別しません。つまり、うるさい上司という脅威を、私たちの体はライオンに襲われる脅威と同じように受け止めるのです。


さらに、こういったストレスは慢性化します。毎晩、帰宅した後にもしょっちゅう送られてくる仕事のメールで、交感神経状態のままになり、慢性的に心身にストレスを受け続け、やがてはストレスに関連した病気だらけになってしまうのです。さらに、慢性ストレスによって内分泌系に刺激ホルモンをもっと作るよう信号を送り、体内のストレス反応の周期が継続されていくことになります。


しかし、ヨガの世界での悪い評判にもかかわらず、交感神経系は、実は私たちが完全であるために不可欠な部分です。危険と直面した時に安全を確保するためだけではなく、体全体のバランスをとるという複雑な基盤の重要な一部なのです。


実際、ヨガの練習の時は、交感神経系が活性化しています。より動的でより速いペースのフローやより長いホールド(より困難な)は、交感神経反応を刺激します。チャトランガへジャンプバックする時、心拍数が上がります。逆立ちのポーズで止まると、血液を骨格筋へと流す準備をします。ウォリアー3でバランスを取ると、神経伝達物質が多量に分泌され、活力を与えるホルモンが血管の中を流れます。この神経系の活性化はまた、ランニングなどの激しい運動をする時にも起こります。


つまり、交感神経系を刺激することは、実際は、全く健康的で普通のことなのです。  



副交感神経系とは?


副交感神経系は、多くの場合、「休息と消化」反応と言われます。自律神経のこの部分は、交感神経反応を抑制します。


「ブレーキ」と呼ばれることの多い副交感神経系は、心拍数を下げ、消化を刺激し、呼吸速度を下げ、血流を四肢から生命維持に必要な内臓へと戻し、アセチルコリンなどの穏やかにする神経伝達物質を分泌させます。


この神経系はまた、ヨガの実践では崇められており、過剰にストレスを受けた体や心をリラックスするのに役立つためです。リストラティブヨガなどの実践を、特にリラックスのために、より穏やかな状態になるように行います。


しかし、この神経系がヨガの世界では一般的によいものだと見えると言って、常に副交感神経系を活性化させる必要があるというわけではありません。交感神経と副交感神経の両方の間を、ごく自然に揺れ動くことができるのが健康です。そして、この揺れ動きを心拍数の変化で計測することが可能です。



心拍数の変異性


健康な人が息を吸うと、自然に、交感神経系が刺激されて心拍数がやや上がります。息を吐くと、副交感神経系が刺激されて心拍数はやや下がります。この心拍数の変異性は、全体的な健康の目印となります。一般的に、交感神経系と副交感神経系の間を素早く簡単に変動できる方が、全体的に、より健康的な神経系であると考えられます。


慢性的にストレス反応から「抜け出せない」人は、心拍数変異性に乏しいため、心拍数はおそらく慢性的に高いままでしょう。反対に、自律神経の健康的なバランスを保っている人は、心拍数変異性が高いため、ストレスの多い状況の後でもすぐに下げる調整が行えます。


ストレスにすぐに反応することが大切です。しかし、ストレスが過ぎたら容易に落ち着けることも大切なのです。ここで、ヨガの出番です。




ヨガが自律神経系に与える影響とは?


ヨガを通して自律神経系に影響を与える方法はたくさんあります。以下は、ヨガが自律神経系の異なった部分を刺激するのに役立つ方法のうちのいくつかにすぎません。


ダイナミックなヨガ


アシュタンガやパワーヨガ、ヴィンヤサなどのダイナミックなスタイルのヨガやエクササイズは、すでに言った通り、交感神経系を刺激できます。  これは激しい動きへの健康的で普通の反応であり、免疫の強化、呼吸機能の改善、循環器の健康増強などに役立ちます。


リストラティブ・ヨガ


リストラティブ・ヨガには反対の効果があります。その名の通り、リストラティブ・ヨガは、心身ともにとても穏やかでリラックスさせるものです。いわゆるリラクゼーション反応を刺激し、神経を副交感神経モードに移し、穏やかさや安心感、心地よさ、健康的な消化などを促進します。


プラナヤマ


プラナヤマは、自律神経系に作用する実に早く効果的な方法です。実際、上記のように、毎回呼吸をするたびに自律神経に影響(心拍数変異)を与えています。

迷走神経の一部が、喉頭や呼吸横隔膜を通っているため、呼吸はまた瞑想神経緊張にも影響を与えます。瞑想神経の活動量が迷走神経緊張です。迷走神経には多くの副交感神経繊維があ流ため、迷走神経が受ける刺激が強いほど副交感神経系が活性化されます。

呼気を長くするなどの特定の呼吸法は、特に副交感神経系と関係が深く、体を「休息と消化」反応へと移すことができます。反対に、吸気を強めると反対の効果があります。


シャヴァサナ


シャヴァサナで練習を終えるのもまた、自律神経系に影響を与えます。このポーズは落ち着きや内省を促すため、心拍数や呼吸速度などをゆっくりにし、特に刺激のある動的な練習の後には効果的です。その簡単な外見にもかかわらず、副交感反応を開始し神経系を鎮めるために大変効果的な実践法です。


瞑想


瞑想は、鎮静効果のあるもうひとつの実践法です。心身が平穏な時、私たちは慢性的に抱えている緊張を手放し始め、副交感神経系を刺激します。




ヨガの練習と総合的な健康の鍵はバランス


私たちにの体内の全ては、常に、総合的なホメオスタシスのために適合と調和を得ようと働いています。

ストレスの多い世界に生きる私たちは、副交感神経系を刺激するような練習から効能を得ることができます。しかし、それは交感神経系を全く無視していいというわけではありません。忘れないでください、本当の健康の指標は、どちらの神経系が活性化しているかではなく、どれほど効率的、効果的に素早くそれぞれの間を移り変わることができるかです。

結局のところ、生きている中で前進するには、アクセルとブレーキの両方が必要なのです。全速力で壁にぶつからないよう、適切な道具を適切なタイミングで使うことがでければいけません。そして幸いなことに、その道を進むために役立つヨガが、私たちにはあるのです。







(出典)https://yogainternational.com/article/view/how-yoga-affects-our-nervous-system

2020年11月12日木曜日

ストレス反応を変える方法 Vol.2 
How to Change Your Stress Response

横隔膜呼吸


赤ちゃんや幼い子供は、肺の空気を出し入れするための胸腔と腹腔を隔てたドーム型の横隔膜を使って、深くたっぷり呼吸しています。お腹はリラックスしていて呼吸とともに動きます。これが自然で健康的な呼吸の方法です。しかし、成長するにしたがい、お腹を引き締めるように教えられ(お腹を引いてまっすぐ立ちなさい!)、そしてストレスを感じると腹部を無意識に緊張させる癖がつき、自然な呼吸の流れを邪魔するようになります。腹部を引き込むと呼吸は肺の上部でのみ行われます(乳首より上)。そのため、体はその呼吸パターンをストレス反応と理解し、ますます闘争逃走反応が強まります。





その一方で横隔膜呼吸は、副交感神経の主要な調整者である迷走神経を刺激して、休息消化反応を活性化させます。迷走神経は脳から胸部腹部のほぼ全ての内臓を通り、鎮静効果の連続を誘引します。ほとんどの場合、私たちは何か心地よいものやたまたま起こる効果によって活性化されることを待っている状態なのですが、この神経(つまり副交感神経全体)は横隔膜呼吸によってスイッチが入ることを気づかずにいます。


自立神経によって調整されている全ての作用(心拍数、血圧、消化液分泌、蠕動、体温など)のうち、意識的にコントロールできるのは呼吸だけです。呼吸で、横隔膜(迷走神経の他の部分や脳にメッセージを送る)に刺激を与える迷走神経の一部を刺激し、休息消化反応の全体を活性化することができます。ですから、慢性的なストレス反応を逆転させる第一歩は、生まれつきしていたはずの呼吸の方法をもう一度覚えることなのです。


もし横隔膜呼吸の訓練をしたことがないのなら、経験豊富な先生を見つけてそれがまた習慣になるまで毎日練習しましょう。そして、毎日の活動を通して横隔膜から呼吸するスキルができれば、自身の呼吸が神経システムのバロメーターだということを体験するでしょう。横隔膜から深く呼吸している限り、もし不快な状況に立ち向かったとしても、落ち着いてバランスの取れた感覚になれると気づくはずです。そしてまた、呼吸を胸で浅く行うと不安が忍び寄って筋肉が緊張し、心も焦って廻りはじめることに気づくでしょう。この動揺した呼吸が長く続くと、毎日が落ち着きのない防御的なものになるでしょう。一旦これを体験から学ぶことができれば、違う選択ができるはずです。



体系的なリラクゼーション


副交感神経を活性化するためには、横隔膜呼吸からはじめると良いでしょう。しかし、特に何年間も無意識に虎のオリを開けっぱなしにしている時には、さらに必要でしょう。毎日、リラクゼーションの時間をとることが必然です。私がこう言うと、患者たちは皆「テレビをみながら」「本を読みながら」「編み物をしながら」「みんなと過ごしながら」リラックスしていると言います。問題は、こうした活動は常にそこにある不安から気を逸らす(そのためいくららの解決にはなります)ことができる一方で、筋肉の収縮や緊張として持っているストレスを解消することはほとんどできないと言うことです。


体に緊張感を持ち続ける癖を直すには、ヨギが「プラナマヤ・コーシャ(エネルギー鞘)」と呼ぶものに働きかける必要があります。頭から爪先へと順番に緊張を解く体系的なリラクゼーションの練習です。他のヨガの練習と同じようにこのテクニックもたくさんありますが、最も良い方法は経験豊かな指導者から学び、磨きあげていくことです。その種類は、簡単な緊張・弛緩の練習や点から点への呼吸の練習から、エネルギー鞘の様々な点をはっきりと区別することが必要となるテクニックにまで及びます。しかし全ては、順序だって身体中に注意を移動させていくもので、大抵の場合はシャバサナで休みながら行います。そして日常の出来事から注意をそらしていくことも必要となります。練習の間は、記憶や予定や不安、空想などをやめ、今ここで行っていることに集中し、気付きを静かにやさしく体の一点から他の一点へと移動させていきます。



横隔膜で呼吸し、体系的に体のある部分から他の部分へと全ての注意を向ける事は、注意の向いている場所の緊張や疲労を解消するだけでなく、それらの点の間のエネルギーの流れを増大させます。これが、癒しと浄化を促進します。さらに、体系的なリラクゼーションの練習に全ての集中を集めるには、心を明快にし今という瞬間に完全に注意を払う必要があるため、瞑想への扉を開く技術を磨くこともできます。



瞑想


ストレスが私たちの生命(あるいは少なくとも私たちの幸福感)が危険だと認識することで始まるため、この認識を変えるよう心に働きかけることがストレス反応を鎮める最もパワフルなテクニックなのです。闘争逃走反応を活性化するもののほとんどは、生きるか死ぬかと言うものではありません。ある課題を達成するプレッシャーを感じたり、明日のミーティングで何が起こるのか心配したりしますが、その結果私たちの生命がどうなるわけでもありません。レアケースを除いて、ストレスを作り出す思考パターンは大抵の場合日常の出来事への過剰反応です。体中にアドレナリンを流すような反応ではなく、ストレスを少なくするだけでなく実際に起こっていることを正しく認識するよう(「渋滞に巻き込まれただけで、死にかけているわけではない」「この人を喜ばせたいけれど、もしできなくてもクビになることはない」)組み直すことができます。これが闘争逃走反応を徐々に鎮めていき、瞑想で得られる体験とともに得られるスキルです。


瞑想は、心の癖を中庸な視点から観察する機会をもたらすことでその癖を理解するのに役立ちます。ですから、私はストレス管理の方法として瞑想を処方するのです。私は瞑想を霊的な変移の手段として軽視したくはありません。が、その初期の段階においては、瞑想の最も素晴らしい高価のひとつは心のおしゃべりの狂乱や揶揄に引き込まれていくのを回避することができることです。瞑想はそうした揶揄の最中へ激突しないで、公平な目で観察することを可能にしてくれます。それはまるで、暖かく乾いた部屋から豪雨を見ているようなものです。思考とともに動くより心を見つめることで感じる平穏は、私たちの中心にある平穏なのです。


瞑想を始めたばかりの間は、瞑想の対象から心があちこち動いて他の思考に止まったりするでしょう。これは何度も何度も起こります。あなたがするべきことは、優しくそして何度も注意を瞑想の対象へと戻し、善悪の判断なしに辛抱強く行うことです。時に、この邪魔をする思考が心のスクリーンにうつされた映画のように見えるかもしれません。変だったり激しかったりするかもしれません。しかし、あなたは休息消化モードにあって、面白いことにその心の映像は闘争逃走反応を起こさないのです。ただそれらを観察できるということは、それがあなたでないという証拠です。そしてあなたの内にいる観察者と心の混沌を区別できるということは、あなたは体いっぱいのストレス・ホルモンで反応しているのではなく、冷静に反応しているということを意味します。



瞑想を練習すればするほど、どれが現実でどれがそうでないかを区別できるようになります。つまり、どれが生命を危険にさらすものでどれが過剰反応なのか。そして、交感神経を活性化させるほとんどのことはただの習慣的な過剰反応であるとわかってくれば、違った選択ができるようになります。不快な出来事に反応するのではなく、意識的に横隔膜から呼吸し、そして瞑想で心のおしゃべりを観察するのと同じ方法で観察することで、神経に触る影響を緩やかにすることができるのです。



最初は難しいかもしれません。パートナーや同僚があなたに怒鳴ったら、おそらくあなたも怒鳴り返そうとして胸で呼吸しているのに気づくかもしれません。そうしたら、横隔膜から呼吸し中庸の視点から見るのだと思い出しましょう。でも時間とともにそのスキルが身についていくでしょう。特に習慣的に瞑想の練習をしたり、横隔膜で呼吸したり、毎日リラクゼーションの練習をしていれば。そして、休息消化反応を意識的に続けて活性化させることを選択すれば、闘争逃走反応が起こるのは、運転している車が氷の上でスリップしたり、猫がキャンドルを倒してカーテンに火がついたときくらいになっているのに気づくはずです。健康になって、毎日も楽しくなるでしょう。正しい扉を選ぶことを学んだのです。

2020年11月8日日曜日

ストレス反応を変える方法 Vol.1
How to Change Your Stress Response

今回は、自律神経と心身ともに健康でいるためのヒントについてです。
私が学んだヴィヴェカナンダ・ヨガ研究所のヨガセラピーは、基本的にいかに意識的にリラックスし心を穏やかにするかに注目したものです。難しく考える必要はありません。簡単な方法でできるのです。

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「女か虎か?」というお話を知っていますか?その最後には、ヒーローは2つのそっくりな扉の前に立ちます。ひとつは美女が隠されていて、もう一方は恐ろしい虎がいます。ヒーローはこのどちらかを開けなければならないのですが(選択権は彼にあります)、どちらに美女がいてどちらから虎が飛び出してくるかを知るすべはありません。


患者が慢性ストレスの症状を訴える時、私は時々この話を思い出すのです。頭痛や消化不良、潰瘍、筋肉のこわばり、高血圧、あるいはこれらの組み合わせ。私がそれはストレスが原因だと指摘すると、患者は諦めたように見えます。ストレスはこんなにも多くの人たちの生活に常に存在し、全ての扉の向こうに虎が潜んでいるかのようです。逃走闘争反応が神経に深く繋がっていると私のオフィスにくる人々のほとんどは知っていて、その多くは絶え間ない緊張の感覚を正常のものあるいは避けようのないものだと受け入れています。


そうではないのです。物語のヒーローのように私たちには選択することができます。もうひとつの扉があって、そちらも神経に深く繋がった毎日の困難への反応があるのです。そしてこの運命が運次第であるヒーローと違って、私たちはどちらの扉がどちらなのかを見つけることができます。神経の一般的な理解とストレスに対する反応、そして基本的なヨガの3つのテクニックを訓練すれば、扉を見分けることができるようになります。こうしたテクニックを練習することが、虎を放してしまう扉を硬く閉ざしたまま美女を選ぶ力を与えてくれます。



虎を放つ


自律神経は、体の無意識の処理全てをコントロールしています。呼吸の速さ、心拍数、血圧、消化液の分泌や消化器の蠕動、体温などです。自律神経にはふたつの大きな要素、部分があります。交感神経と副交感神経です。私たちがストレスを感じると、脳が交感神経を活性させ闘争逃走反応と呼ばれています。これが副腎髄質からアドレナリン(エピネフリン)を分泌させ、このホルモンが血流を廻りほとんど全ての臓器に影響します。アドレナリンは、生命や手足の脅威を切り抜けるよう体を勢いづけます。心臓は速く強く打ち、血圧を急上昇させ、呼吸数が上がって胸へ空気が送り込まれ、気管が広がってより多くの酸素を体に取り込み、血糖が上がって燃料供給を準備し、肌と体の中心の血液を制限するよう血管が収縮、脳や手足には血流を送るため他の血管が膨張します。するとどうなるでしょう?体は闘うか走るかのために緊張し、心は極度まで警戒します。


この反応は生命を脅かすような時には重要な反応です。もしアメリカライオンとばったり出会ってしまったらこのストレス反応が私たちの生存の可能性を劇的に大きくします。この素晴らしい反応の話を聞いたことがあるでしょう。子供助けるために自動車を持ち上げた母親や、燃え盛る建物から自分の2倍もある男性を担ぎ出した消防士。これはすべて交感神経のおかげです。生命の危機に晒された時に素早く断固としていつでも反応する、感謝すべき神経システムです。


闘争逃走反応は、本当に危険が迫った稀な時だけに作動するようになっています。理想的には、次の危機一髪がやってくるまでは(何週間、何ヶ月、あるいは何年も先)休眠状態です。しかし、私たちの多くは毎日のように、毎時間のように反応しています。戦士や綱渡り曲芸師、SWATチームの人たちなどは、頻繁に生きるか死ぬかの状況にいることでしょう。が、ほとんどの人にとっては、強盗や交通事故、山の中で熊に出会うなど稀なことです。いったんそうした脅威が収まれば、ホルモン信号はストレス反応を止め、恒常性が取り戻されるのです。


私たちの多くにとっての問題は、闘争逃走反応はなかなかスイッチが切れることがなく、ストレスホルモンが継続的に体の中を廻り続けることです。







知らないものへの恐怖、周りの状況の大きな変化、将来への不安、消極的な態度など、これらは全てストレスの原因です。今日私たちは、野生動物と闘うこと以上に、仕事や人間関係、交通渋滞に巻き込まれることなどに不安を感じていますが、それが精神的なものであってもいまだ古代からの生存反応のスイッチが入ってしまうのです。


その結果、私たちの体はいつも緊張状態で、闘うか逃げるかの準備をしていて、これが身体的な問題を引き起こします。体内をアドレナリンがめぐる時に何が起こるかを見れば、こうしたことがわかるはずです。血圧上昇、速くて浅い呼吸、高血糖、そして消化不良です。さらに、アドレナリンは怪我をした時にすぐ血液が固まるよう血小板の粘度を上げます。これによって怪我からの生存率を高めますが、慢性的な高粘度の血小板は、血液がより固まりやすくなり動脈が詰まりやすくます。そしてこれが心臓発作や脳梗塞へと繋がっていきます。


ダメージはここで終わりません。絶え間ない闘争逃走モードにいれば、副腎皮質がコルチゾールを分泌し始めます。このステロイドの仕事は、十分な燃料を確保することで長期間の非常事態に対応するのを助けることです。コルチゾールは、肝臓や筋肉組織に働きかけ、糖(グルコース)と脂肪を作って血流へと放たせます。身体自身から見れば、これは合理的反応です。脂肪や糖を血中へ送り出すことは、例えば沈む船で生存するために役立ちます。しかし、この燃料が長引く体の緊張の反応の中で代謝されなければ、結果的に病気になります。血流の過剰な糖は糖尿病、過剰な脂肪はコレステロールや中性脂肪のレベルを高くします。このどちらの状態も心臓病の危険を高めます。


コルチゾールやコルチゾンなどのステロイドは、自己免疫疾患や喘息の炎症を鎮めるので短期間の使用は有用ですが、血流に長期間存在すると免疫機能を抑制してしまいます。これが血液細胞(バクテリアやウィルス、癌細胞、カビなど有害な微生物からの勇敢な防御役)を不活性にさせます。そのため病気になりやすくなり、特にライム病、肝炎、EBウィルスの慢性感染症や癌にかかりやすくなるのです。


怖いですよね。そうです、これが虎なのです。交感神経が慢性的に活性化されていると体は常にプレッシャー下に置かれます。初期症状を無視すれば(肩こりや消化不良、繰り返す頭痛、怒り易い、気が動転しやすいなど)遅かれ早かれ虎が私たちを引き裂くでしょう。けれども私たちは違う選択をすることができます。自律神経ののうひとつの働き、副交感神経です。略奪の交感神経の暴君の元で生きるより、休息と消化の反応を起こす副交感神経のスイッチを入れることを学ぶのです。



脅威と危険によって自動的に起こる闘争逃走反応と同様に、休息消化反応もまた心の落ち着きによって自動的に起こります。副交感神経が活性すると、心拍数と血圧は下がり、呼吸はゆっくりと深くなります。血流が体の中心に集まってきて、消化を促し、免疫システムを支え、幸福感をもたらすのです。



私たちがこの休みの状態を無意識に作っているのは、心から笑っている時や深い睡眠状態の時です。心地よく、自身に課している忙しさからより必要となる休息を与えてくれます。しかし、ストレス状態を普通と受け止めて、ほんのたまにだけしかリラックスした幸福感を感じなければ、そうなってしまいます。いつももうひとつの扉があるのにもかかわらず、1日に何回も虎を解き放ってしまいます。意思を持って扉を開けることを身に付けられれば、休息消化の神経システムを活性化させてストレス反応を引き起こす悪い癖を直すことができます。




美女と出会う

私は治療の中で様々な自然両方を使いますが、ストレッチや呼吸、リラクゼーション、瞑想など、基本的にはヨガを用います。これらのテクニックは特にストレスマネージメントに効果的です。有酸素運動がストレスからきた緊張を解消するのに素晴らしい方法であり、砂糖やカフェイン、辛い食べ物が神経を昂らせ怒り易くすることは、個人的な経験から皆さんも気づいておられるでしょう。そして、緊張して疲れた体を動かしてストレッチし呼吸に集中することを教えてくれるヨガのポーズを練習することで得られるリラックス効果もよくご存知でしょう。しかし、このゆっくりした深い呼吸が休息消化のシステムを活性させる最も簡単な方法だとご存知でしたか?これがヨガがこんなにも人気である理由のひとつです。疲れた神経を鎮静し不安な心を穏やかにしてくれます。しかし、ヨガはまたより深いレベルにまで働きかけます。健康的な呼吸パターンを再構築し、意識的にそして体系的にリラックスすることを教えてくれ、瞑想を通して精神の内側を探求する機会を与えてくれます。これらのテクニックは(個別でも組み合わせても)、副交感神経を活性化して強化し、休息消化反応が私たちの通常モードになるようにします。そして闘争逃走反応は、自然がそのように作ったように、緊急のために置いておきましょう。では、2番目の扉を開ける方法のいくつかをみていきましょう。


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次回に続きます。

2020年6月4日木曜日

呼吸の「失われた技術」が睡眠や回復に影響する 
How The 'Lost Art' Of Breathing Can Impact Sleep And Resilience


呼吸についての「Breath: The New Science of a Lost Art」の著者ジェームス・ネスター氏のインタビュー記事です。
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ヒトは一般的に毎日およそ25000回の呼吸をしている。大抵の場合はそれについて考えたこともない。しかしCOVIDー19のパンデミックで、呼吸器疾患とこれまで当たり前だと思ってきた呼吸が新たに注目を集めている。


ジャーナリストのジェームス・ネスターは数年前、彼がたびたび悩まされる肺炎と気管支炎を緩和するため呼吸のクラスを取ってはどうかと医師に勧められてから、呼吸器に興味を持つようになった。


著書「Breath: The New Science of a Lost Art(呼吸:失われた技術の新しい科学)」のために呼吸の科学や文化を調査していた時、ネスターはある研究に参加した。そこでは10日間完全に鼻に栓をされ口だけで呼吸することになった。それは心地のよい体験ではなかった。


「最初は夜間に数分いびきをかく程度だったが、3日たつといびきは4時間に及んだ」口呼吸を強制されたことについて彼は語る。「睡眠時無呼吸症になった。ストレスのレベルが異常になった。神経は無茶苦茶になった。最悪だった」


「こうやって身体は空気を取り込もうとするんだ」ネスターは言う。「正しく呼吸をすれば、そして本当に横隔膜を使えれば、心臓の負荷を減らすことができる」



インタビューのハイライト


なぜ鼻呼吸が口呼吸よりもいいのか?

鼻は、空気を濾過し、温め、処理する。みんなそれを知っている。しかし、あまりに多くの人が(少なくとも私は)鼻で息を吸うと身体の中に様々なホルモンを流す引き金になるということに気づいていない。そして、血圧を下げ、心拍数を調整し、記憶する手助けすらする。つまり、バランスを取るために体内の無数の機能を調整するという素晴らしい臓器なんだ。



鼻には勃起組織がある

鼻は他の臓器よりも生殖器と深い関係がある。同様の組織で覆われている。そのため、ある部分が刺激されると、鼻もまた刺激される。その関係が深すぎて、下の方が刺激されるとくしゃみが止まらなくなる人もいる。そしてこの状態は、ハネムーン鼻炎と呼ばれるほど一般的である。


また非常に興味深いことに、勃起組織はそれ自体で鼓動する。つまり、片方の鼻腔を閉じて他方の鼻腔から息を吸うようになったり、その鼻腔が閉じて息を吸ったりする。身体というのは勝手にそれをしている。


これを研究した多くの人は、このようにして私たちの身体はバランスを維持していると考えている。右の鼻腔で呼吸する時は血流が速くなって身体が熱を持ち、コルチゾールのレベルが上昇、血圧が上がる。そして左の鼻腔で呼吸するとよりリラックスするからだ。体は自然にこれを行っている。そして、口で呼吸すると身体のこの能力を使わせないということになるのだ。



呼吸が不安症に与える影響

神経心理学者と話をしたら、不安症や恐怖からくる症状などを持つ人は大抵の場合呼吸が多すぎるのだと説明してくれた。つまりそれほど多くの呼吸をするということは、自分を絶え間なくストレス状態へと置いていると言うことだ。つまり、神経の交感神経側を刺激しているのだ。そしてそれを変えるには、深く呼吸すること。考えてみて欲しい、虎が君に向かってやってくるとか、車に引かれそうだというストレスのある時は、できるだけたくさん呼吸して呼吸して呼吸するはずだ。しかしゆっくり呼吸すると、これがリラクゼーション反応と関係する。横隔膜が下がり、より多くの空が肺に入り、身体はすぐにリラックスの方へと切り替わる。



息を吐くとリラックスできるのはなぜ?

息を吐くことが副交感神経反応だからだ。今、心臓の上に手を置いてみて。ゆっくりと息を吸うと心臓が速くうつのを感じるだろう。息を吐くと、心拍も下がるはずだ。つまり息を吐くことは身体をリラックスさせる。そしてとても深く呼吸すると他のことが起こる。息を吸うと横隔膜が下がり、大量の血液 ー 夥しい量の血液だ ー を胸腔に吸い上げるんだ。息を吐くと、その血液は身体の方へと戻っていく。



浅い呼吸の問題とは

呼吸をボート漕ぎだと思えばいい。とても短くぎこちないストロークでたくさん漕いで、目的地へ向かウトする。いつかは着くだろうがとても時間がかかる。それとも、たくさんの水をかいて長いストロークで漕ぎ、もっと効率的にたどり着くか。空気を体内に取り込むために簡単な方がいいだろうし、特にそれが1日に25000回も行うことなら尚更だろう。だから、この呼気吸気をちょっと長くして、横隔膜をもう少しだけ上げ下げすれば、血圧や精神状態に大きな効果が得られる。



フリー・ダイバーは数分間息を止められるよう肺の容量を増やす

世界記録は12分半だ。ダイバーの多くは7、8分間も息を止められるが、それでも信じられないほどだ。それを見たのは数年前で、フリー・ダイビングの競技についてのレポートのために私は送り出された。この選手は、水面でひとつ大きく呼吸をすると海の中へと肝ぇんに消えてしまい5、6分間戻ってこなかった。私たちが何を持っていようと、何を持って生まれようと、それは生きている間ずっと続くもので、特に臓器に関してはそうだと言われてきた。けれど、肺の容量に関しては全くもって変化させることができる。こうしたダイバーたちの容量は14リットルで、普通の成人男性の約2倍だ。彼らもそんな肺を持って生まれてきたわけじゃない。彼らの身体に大きく影響を与えられるような方法で呼吸するよう自身を訓練したんだ。




(出典)https://www.npr.org/sections/health-shots/2020/05/27/862963172/how-the-lost-art-of-breathing-can-impact-sleep-and-resilience

2020年3月20日金曜日

もっと幸福感を:鬱と不安のためのポーズ Vol. 2
Feel Happier: Poses for Depression & Anxiety


鬱のためのヨガ


1. アド・ムカ・シュヴァナサナ(下向きの犬のポーズ)のバリエーション


効果:不安を取り除き体にエネルギーを与える

お腹を下にして横たわり、指をしっかり広げて胸の横に両掌を置きます。四つ這いになりましょう。膝は股関節の真下に、両手は少し肩の前に置きます。折ったブランケットを1、2枚胸骨と並ぶように置きます。ブランケットの高さは、頭を支えられるが首がまっすぐになるようにしましょう。もう一度四つ這いに戻ります。爪先を下に向けて、息を吐きながら臀部を高く上げ、腿を後ろに高く上げます。臀部を持ち上げながら肘は伸ばしたままにし、頭頂をブランケットの上に載せましょう。背骨を伸ばし頭を下ろすように腕と脚を使います。そこで30秒から1分、深く呼吸しながらホールドします。



2. パスチモッターナサナからハラーサナへ(座位の前屈から鋤のポーズへ)


効果:失望や不安を緩和、体全体にエネルギーを与える、より生き生きした気分になる


首の問題、高血圧、心臓病、生理中、妊娠中、下痢や吐き気のある時は行わないでください。


折りたたんだブランケット1、2枚の上に、両脚を前に伸ばして座ります。大きく深い呼吸をしましょう。息を吸いながら胸骨から頭へと持ち上げ、背骨を少しそらします。

息を吐き両脚の上方で胴部を伸ばします。頭は膝の真上に載せ、両手はできれば床におきます。臀部がブランケットから浮かないようにしましょう。

背中を丸めながら膝を引き揚げ、前屈から起き上がったら、後方へ丸く転がって鋤のポーズに入ります。両手を上げて両足に近づけましょう。首に疲れを感じたら両手で背中を支えます。この2つのポーズを10ー15回ほどいったりきたりしましょう。



3. アド・ムカ・シュヴァナサナ(下向きの犬のポーズ)のバリエーション


下向きの犬のポーズを繰り返しましょう。30秒から1分ホールドします。



4. プラサリタ・パドッタアサナ(角度の広い立位の前屈)のバリエーション


効果:不安な神経を落ち着かせ疲労をなくす


体の前に折りたたんだブランケットかボルスターを置きます。両足を広く開き(120cm程度)、足の外側を並行に保ちます。腿は引き揚げておきましょう。息を吐き股関節から前屈し、両手を両足の間の床に置きます。肩甲骨を耳から遠ざけるように引き揚げながら腰を天井に向かって持ち上げます。ハンドスタンドの時のように、頭は同じ場所に置いておいてください。見上げて胴体を前に伸ばし、尾骨から頭骨の付け根まで背中がやや反るように曲げましょう。このまま5-10秒保ちます。そして息を吐き、肘を曲げ、頭頂をサポートに下ろしましょう。ここで1分間深い呼吸をします。背中を反らした位置まで戻し、両手を腰に、胴体を起こしながらポーズから出ましょう。



中上級の方は、サーランバ・シルシャサナ(支えのあるヘッドスタンド)をしてもよいでしょう。エネルギーを与え、感情のバランスを整え、脳を若返らせます。




5. ドウィ・パダ・ヴィパリタ・ダンダサナ(2本脚の逆転の杖のポーズ)のバリエーション


効果:胸を開き気分を高め、身体を元気にする


硬く畳んだブランケットを椅子の上に置き、背の方を壁にして壁から60cmほど離しておきましょう。両足を椅子の背から通してお尻を座面の端に置き、壁に向かって後ろ向けに椅子に座ります。両脚を伸ばした時に足で壁を押せる程度の距離を保っておきます。椅子の背を握り、肩甲骨が座面の前端にくるように体を反らしていきます。膝は軽く曲げた状態で足を壁に付けて、両腕を椅子の脚の間から通して後脚かレールを持ちます。膝を伸ばして壁を蹴り、腿はくっつけて内に回します。首に問題がある場合は、頭をボルスターに載せましょう。最大で1分間そのまま静かに呼吸し、そのあとポーズから出ます。



6. ウルドヴァ・ダヌラサナ(上むきの弓のポーズ)のバリエーション


効果:血流を改善し、神経を刺激する、幸福感を作る


ブロック2個を、肩幅に離して壁に立てかけます。頭がブロックの間にくるように仰向けに横たわり、両足を股関節幅にして膝を曲げ、かかとを臀部に近づけましょう。肘を曲げ、指が足のほうに向くようにして頭の両脇に両手を付きます。

息を吐きながら、腰と胸を持ち上げ、腕を伸ばし、そして両脚も伸ばします。尾骨を引き揚げて、腿の裏を臀部の方に上げます。可能ならそこで5-10秒保ちます。無理ならそのまま戻り、2-3回繰り返しましょう。膝と肘を曲げ、体をゆっくり床におろしてポーズから出ます。



7. バラサナ(子供のポーズ)


効果:後屈後の脊柱筋を解放し神経を落ち着かせる


床に膝をつき、足の親指同士を付けて膝の距離は股関節よりやや広めにします。前屈して両腕と胴部を前に伸ばしましょう。頭は床かブランケットの上で休ませます。


8. サーランバ・サルヴァンガサナ(肩立ち)


効果:苛立ちを解く。神経を落ち着かせ栄養を与えて感情のバランスを取る。また内分泌系のバランスを取る


肩の問題、高血圧、生理中はこのポーズ(ハラサナも)をしないでください。


首と肩の下に二枚の畳んだブランケットを置いて横たわり、両腕は体の横に伸ばしておきます。息を吐いて膝を曲げ、両脚を胸に引き込みます。両手で床を押し、曲げた脚を頭上に揺らし上げます。そして、指を背骨側に向けながら両手で背中を支持しましょう。腰と腿をより高く上げ、脚が上がったらまっすぐ伸ばします。胸骨の上部は顎に向かって引き揚げます。肘は内側に寄せながら、できるだけ掌と指で押し、全身が長くまっすぐなのを感じましょう。肘が内に入りにくいときは、ストラップを肘のすぐ上の腕にかけておきます。ここで数分キープしましょう。


9. ハラサナ(鋤のポーズ)


効果:最も神経を鎮めるポーズのひとつ。苛立ちを解放する


背中を両手で支え続けながら、両脚を頭の上まで下げ、爪先を床に下ろしましょう。腿に力を入れて顔と両脚の間にスペースを作っておきましょう。ここで深くゆっくりと呼吸しながら、数分、あるいは快適な長さまでキープします。椎骨ひとつずつ下ろしながらゆっくりと丸くなっておりましょう。背中をまっすぐにして床に下ろし数呼吸します。



ハッピーエンド


ここで、どれかを選択しましょう。落ち着きを感じ休んでもいいと感じたら、シャヴァサナで10分以上横たわりましょう。まだ不安や鬱を感じていたら、ヴィパリタ・カラニなどの休むポーズを選ぶか、元気で前向きなまま終われるように活性化するポーズを選びまししょう。その場合は、2番の「パスチモッターサナからハラサナへ」を10-15回繰り返します。




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(出典)https://www.yogajournal.com/lifestyle/feel-happier

2020年3月16日月曜日

アーユルヴェーダ: 食事の方法 Vol.2 
GOOD FOOD- AYURVEDA CONCEPTS, DIRECTIONS, PREPARATIONS

つまりは、清潔な場所で、食い合わせを避けながら、体質に合ったものを規則正しく、出来立てを良く味わって、腹八分で食べましょう、ということでしょうか。

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食習慣の8つの要素


その人に合った食事を決める時に考慮すべきことが8項目あります。プラクリティ(性質)、カラナ(加工)、サムヨガ(組み合わせ)、ラシ(量)、デシャ(場所)、カラ(時間)、ウパヨガサンシュタ(用法)、そしてウパヨクタ(使う人)です。これらは、アシュタ・アハラ・ヴィディ・ヴィシェシャ・アヤタナと呼ばれます。


プラクリティ(性質):そのものの性質は遺伝によってもたらされます。例えば、本来、黒緑豆は重く緑豆は軽い性質があります。同様に豚肉は重く、鹿肉は軽いです。


カラナ(加工):加工とはそのものの性質を大幅に変化させるものです。撹拌や加熱、湿度や季節、場所、容器などの環境要因、そして保存期間などが性質に影響を与えます。例えば、水を加えたり火で加熱すると、固形物が柔らかくなったり液化したりします。凝乳やヨーグルトは本来浮腫を誘発しますが、撹拌するとバターミルク(Takra)になり浮腫を取り除きます。毒も、正しく浄化し加工したあとに薬として使われることもあります。


サムヨガ(組み合わせ):2つ以上の物質を組み合わせるとまた、それぞれの本来の性質を変えることがあります。例えば、蜂蜜やギーは健康にいいのですが、それぞれを同じ量で摂取すると害になります。同様に蜂蜜、牛乳、魚はどれも悪いものではないのですが、組み合わせて摂ると毒になります。このように、組み合わせると変わった性質を示す物質があるのですが、それぞれ別の間はそうした性質は見られません。


ラシ(量):摂取する食物の量はラシと呼ばれます。その人に合った食事量を決める際、材料それぞれの量(パリグラハ)と食事の総量(サルヴァグラハ)を考慮しなければなりません。これは、その人の消化力によります。食事量はまた、消化にも影響します。軽い食事でも多すぎれば消化するのには重くなってしまいます。


デシャ(場所): デシャとは国を示し、違う無所で生産された食物や薬の材料はその性質も異なります。自然植生で作られた物はよそで作られたものよりもよい質を持ち、またその地域の人にも合っています。


カラ(時間): 食事の中身は季節によって変えなければなりません。例えば、冬には消化力が高まるので重い食物が良いのですが、夏や雨季は消化力が下がるため一般的に軽いものがお勧めです。また、病気の時には、関係するドーシャと病気の段階によって食事の中身を選ぶ必要があります。例えば、発熱してから7日間ギーは禁忌となりますが、そのあとは患者の体力を高め熱による乾燥を緩和するためにギーが処方されます。


ウパヨガサンシュタ(用法): 食事の指針です。最も重要なルールは、前の食事が消化されてからというものです。摂った食事が正しく消化されていると、軽く、空腹感と喉の渇き、自然な食欲が時間通りに現れます。

相反しない物を避けて、温かい油分のある食事が勧められます。食物は前の食事が消化されてから良い場所で正しい量を摂るべきです。速すぎず遅すぎず、話したり笑ったりせず、集中して食べましょう。

良くない食習慣は多くの病気の原因となるため避けるべきです。健康に良いものと悪いものを同時に摂るのはサマシャナと言われ、不健康です。


前の食事が消化される前に食べることはアディヤシャナと言われます。アーマ(毒)が作られ多くの病気の原因となります。


不規則な時間に食べる、多く食べたり少なく食べたりすることはヴィシャマ・アシャナといいます。これはヴァータの悪化に繋がります。なので、同じ時間に適切な量を食べることが勧められます。


ウパヨクタ(使う人):食物を摂る人のことです。その人にとって何が特に健康的なのかそうでないのかを考慮すべきです。それによって食品を選んだり避けたりするとよいでしょう。




食習慣の指針 (アハラ・ヴィディ・ヴィダーナ)


アーユルヴェーダには、アハラ・ヴィディ・ヴィダーナと呼ばれる健康的な食習慣のための10のルールがあります。これは健康な人にも病気の人にもよいものです。いつの時も良い習慣というのは、性質が相反しない油分のあるものを、前に食べた物が消化されてから、全て良い物に囲まれた良い場所で、速くもなく遅くもなく、話したり笑ったりしないで集中し、自らを十分考慮して、温かい食事を食べることです。


ウシュナ(温かい食物): 温かく美味しい作り立ての食物は消化を促進し、消化器内のガスを取り除き、分泌粘液を減らします。


スニドガ(油分を含む):油分を含む食物は美味しく、また消化液を刺激し、消化を促進、ガスを減らし、体に栄養をもたらし、感覚を研ぎ澄まし、体力をつけ顔色を良くします。


マトラヴァータ(適切な量):正しい食事量はドーシャや消化の均衡を乱さず、消化を促して通りが良くなり、寿命を伸ばします。

チャラカ(アーユルヴェーダの始祖)は、頭の中で胃を3つの部分に分けよと言っていました。ある部分は固形物で満たし、次は液体で満たし、そして3つめは空にしておけと。この言葉を理解することにより正しい量かどうかを知ることができます。

食べ過ぎのサイン:食後、過剰な重さや腹部のつまり、脇腹の痛み、感覚の飽和感を感じたり、空腹感や喉の渇きがなくなってしまえば、それは食物を多く取りすぎたことを示しており、3つのドーシャを悪化させる原因となります。

適切な量を食べたサイン:上記の食べ過ぎの兆候は見られず、座っても立っても、横たわっての動き、呼吸、笑う、世間話をするのが楽だという感覚があり、夜や朝までにすぐ消化され、体力がつき顔色や生育もいい、それらが適切な量を摂ったことを示しています。

量が少なすぎるサイン:食事が少なすぎると満足感が得られず、体力、免疫が下がる、顔色や生育が悪くなる、ガスが上がってくる、寿命が短くなる、性的なエネルギーが下がる、体や精神、知力、感覚が弱まり。ヴァータの悪化となり80におよぶヴァータの異常に繋がります。


ジルニ(前の食事の消化):いつの時も前の食事が消化されてから食べるべきです。適切な量を食べていれば、食欲や喉の渇き、軽さ、ガスや腸、尿の動きを感じ、心や経絡が明晰になります。


この良い食習慣は食物をちょうど良い時間で素早く消化するのに役立ち、寿命を伸ばしダートゥ(体の構成要素)を悪化させません。



間違った食習慣


アディヤシャナ:前の食事がまだ消化されないうちに食べることを言います。これは間違った食べ方であり、ドーシャを即座に悪化させます。前の食事の消化の途中で食べると、どちらも未消化となり、消化されていないものと消化されたものが混在し、アーマ(毒素)の生成に繋がります。


ヴィシャマシャナ:不規則(ヴィシャマ)な食べ方は良くありません。決まった時間に食べないこと、食べすぎたり少なすぎたりすることはヴィシャマシャナといいます。これはヴァータの悪化を増加させます。


サマシャナ:健康に良いものと不健康な物どちらをも含む食べ物を食べることを言います。


ヴィリャ・アヴィルッダ(相反しない):一緒に摂る食物は相反しないものであるべきで、相反するものを一緒に摂るとヴィルッダ・アハラの原因となり病気になるため避けなければなりません。


イシュタ・デシャ・サルヴァ・ウパカルナ(適切な場所と環境):食物は適切な場所と良い環境で食べなければなりません(サルヴァ・ウパカルナ)。それによって精神的そして肉体的な障害を防ぎます。例えば、臭い匂いがしたり恐ろしい光景が見える場所、また良くない環境で食べると精神的に落ち着かず、食欲や消化に悪影響を及ぼします。


ナアティ・ドゥルタム(速く食べない):あまり速く食べてはいけません。食物が違う通り道に入ることもありますし、味わうことができず、健康も損ないかねません。


ナアティ・ヴィリムバタム(時間をかけすぎない):あまりにもゆっくり食事をすると満腹感が感じにくく、食物が冷めてたくさん食べてしまう可能性があります。ですから、食事はあまりに速くあまりにゆっくりとは食べてはいけないのです。


アジャルパナ・アハサナム(話したり笑ったりしない):食事の際は食べることに集中し、話したり笑ったりしてはいけません。速く食べるのと同様の問題がおこりかねません。


タンマナ・ブンジタ(完全に集中して食べる):食事は完全に集中して食べなければなりません。


アートマナマ・アビサミクシャヤ(自己の本質を考える):食品は、食べる人に合ったものを選ぶよう十分に考慮しなければなりません。





アーユルヴェーダは生命の科学で、その選択から最終段階まで食に関しての重要な要素を包括的んアプローチで提供しています。この注意深さによって人々の健康と幸福を維持することができ、理想とする幸福という目標に到達できるのです。






(出典)https://ayurvedapc.blog/2019/06/08/good-food-ayurveda-concepts-directions-preparations/

2019年8月28日水曜日

ピッパリ:インドの長胡椒とその強力な効能 
Pippali: Indian Long Pepper and its Powerful Health Benefits

この夏、久しぶりに沖縄へ行く機会がありました。
沖縄は、日本国内とはいえ亜熱帯で文化も食べ物も独特ですよね。
その中で、「島胡椒」あるいは「ピパーチ」などと呼ばれるスパイスがあります。
これはヒハツモドキという植物の実で、アーユルヴェーダではピッパリ(長胡椒。ペッパーの語源となったと言われています)という万能スパイスの仲間です。さてピッパリの効能は??

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ピッパリは、アーユルヴェーダ医学の世界では様々にとても重要なものです。その名前の「飲んで消化する」という意味のその名前は、主な効能の1つ、消化の増強と毒の燃焼を示しています。ハーブまたは調理スパイスとしてピッパリは通常、咳や風邪、鼻づまりから消化不良、不妊、精神バランスの崩れなど幅広い不調に使用されます。


ピッパリは一年を通して使える素晴らしいハーブです。しかしその肺を回復させる強い特性から、春にとると特に素晴らしいとされています。春は多くの美しさがある一方で、やっかいなアレルギーや鼻づまり、風邪や咳などの季節でもあります。アーユルヴェーダでは、春はカパ・ドーシャの季節なので、上記のようなカパの乱れが生じやすくなります。春によくある問題を防ぐため、ピッパリを春の習慣に足すと良いでしょう。


ピッパリは「トリドーシック」なハーブとして知られ、つまり全ての体質に向いています。近い親戚の黒胡椒とは異なり、ピッパリは、その消化後の冷やす効果からピッタにも多すぎなければ使用できます。ですから、ピッタ(火・熱)が体内に増えている時も含め、ほとんどの消化異常に安全に効果が期待できます。カパ・タイプには少し多くても大丈夫ですが、このハーブはとても強いものなので少しだけ使うよう気をつけてください。


アーユルヴェーダにおけるピッパリの特性

ピッパリの効能

  • 血液の浄化(変質)
  • 消化の増進
  • 弱い消化力(マンダ・アグニ)を治療
  • ガスや膨満感を減少
  • 体を解毒する
  • 回復 (特に肺)
  • 咳、喘息、しゃっくり
  • 呼吸器の感染や疾患
  • 熱を冷ます
  • 貧血
  • 皮膚疾患
  • 血色をよくする
  • 痔
  • 抗寄生虫
  • 抗病原菌
  • 肝臓、胆嚢、脾臓の問題に
  • 生理不順や月経困難など
  • ヴァータ系の神経症状(不安、恐怖、心配など)
  • 記憶力や理解力を高める
  • 関節炎に効く(特に痛風やリューマチ)
  • 血行促進
  • 精子運動促進
  • 精力増進(男女共)
  • 不妊(男女共)
  • 体重減少
  • 坐骨神経痛
  • 不眠症
  • てんかん
  • 腫瘍の形成を減少
  • 一緒にとると他のハーブの効果も上昇させる


ピッパリの使い方


ピッパリはとても幅広い健康効果があるので、摂り方にも幅広い方法があります。日常にピッパリを取り入れる簡単な方法は、料理に黒胡椒の代わり(足してもいい)に使うことです。より多く摂る場合(より強い効果を得る場合)、ピッパリをどのように家庭の治療として使えるかをお伝えしましょう。


1. アレルギー、咳、風邪、鼻づまり:

ターメリック小さじ1/4、生姜小さじ1/4、ピッパリ小さじ1/8 を
白湯1/4カップに、ロー・ハニー(非加熱蜂蜜)小さじ1と混ぜる。起床時と午後2-4時の間に摂る。

2. 発熱やインフルエンザ:

ピッパリ小さじ1/4を、トゥルシ、ターメリック、生姜のお茶1カップに混ぜる。蜂蜜を大さじ1杯入れる。発熱時、インフルエンザの時は日に3回摂る。

3. 痔:

ホームメードのヨーグルト1/2カップと一緒に、ピッパリ小さじ1/4とターメリックひとつまみを摂る。朝食後と夕食後に毎日摂る。

4. 生理不順:

オーガニックのアロエジュース大さじ2杯とピッパリ小さじ1/8を、白湯1/2カップに混ぜる。1日3回食前に摂る。

5. 美肌:

オーガニックのアロエジュース大さじ2、ターメリック小さじ1/4とピッパリ小さじ1/8を白湯1/2 カップに混ぜる。食事と一緒に1日3回。

6. 精力(男性):

ギー小さじ1、ピッパリ小さじ1/8、アシュワガンダ小さじ1/2 。白湯1/4カップに混ぜ、1日3回食前に。

7. 精力 (女性):

ギー小さじ1、ピッパリ小さじ1/8、シャタワリ小さじ1/2 。白湯1/4カップに混ぜ、1日3回食前に。

2019年4月8日月曜日

深い呼吸にまだよく理解されていない効果がある?
Deep Breathing Might Have Benefits We're Only Beginning to Understand


Discover Magagineからです。
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古代ヨガのテクニックによる細胞変化を探る研究者



細胞生物学者のサンダー・バラシュブラマニアンは、南インドの農村にある彼のルーツや、村のヒーラーだった叔父が教えてくれた伝統的な習慣を忘れることはない。現在、南カリフォルニア医科大学の調査員かつ助教授であるバラシュブラマニアンは、これらの起源、特に深い呼吸のリラクゼーション・テクニックであるプラナヤマに注目している。彼によれば、この古代のヨガの行為はリラックスだけではなく、細胞レベルで私たちを変化させる可能性があるとみられている。




Q: このテクニックを細胞生物学の視点から調べることになったきっかけは?

A: 2005年、私がプラナヤマを行なっていた時、大量の唾液が出てきてよだれを垂らしてしまいそうになっているのに気づきました。それがなぜなのか、またその相対的な影響とは何なのか不思議に感じたのです。この体験によって私と私のチームは唾液分泌の増加が通常の反応なのかを研究したのですが、ということがわかりました。



Q: 呼吸やリラックスに集中している時、唾液が出てくるなどあまり考えない人がほとんでしょう。しかしあなたのBMC補完・代替医療での2016年の研究では、この唾液の増加が注目されました。なぜでしょう?

A: 唾液には数えきれない抗体とタンパク質が含まれており、それらが腫瘍を抑制したり肝臓を再生するなど様々なことをします。例えば、唾液に含まれるイムノグロブリンは細菌と結合する抗体で、DMBT1は正常細胞がガン細胞に変わるのをブロックする腫瘍抑制物質です。



Q: 2015年の International Psychogeriatrics の研究では、プラナヤマは単に唾液を増加するだけではないと示されています。詳しく教えてください。

A: はい。プラナヤマは、神経成長因子(NGF)の量を増やし唾液の構造を変えます。NGFが作られるとそれが脳に運ばれ、脳内で細胞に成長したりより長く生存するよう信号を出します。NGFの増加は老化に大きな影響を与える可能性があります。特に今日のアルツハイマーやガンなどの変性疾患の方への影響は大きいでしょう。



Q: 現在そして今後、プラナヤマに関する研究プロジェクトはありますか?

A: 身体の結合組織が腫れて硬化する慢性病の強皮症の患者に対する研究を開始するところです。呼吸のテクニックがどのように炎症に影響を与えるか、これがどのように症状に関連するかをみていく予定です。また、ガン患者で深い呼吸が痛みを緩和するか、食欲や気分を向上させるかをみる研究の段階に入るところです。










(出典)http://discovermagazine.com/2019/apr/take-a-deep-breath