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2026年6月2日火曜日

プラナを理解する Vol.2 
Understanding Prana


前回の続きです。

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プラナと心


精神エネルギーは、食物や呼吸、外界から受け取る印象から派生します。プラナは印象の取り込みを司り、サマナは精神的な消化を調整、ヴィヤナは精神的循環を管理します。アパナは有害な思考やマイナスの感情を排出します。ウダナはプラスの精神エネルギー、力、熱意をもたらします。


精神レベルでは、プラナは栄養や感情のプラスの源、そして心や感覚を通した知識の感受性を司ります。混乱すると、不健康な欲望や底なしの強い欲求が起こり、わたしたちは間違った方向へ導かれ進み、一般的にはバランスを崩します。


アパナは、負の志向や感情を取り除く能力を支配します。これが混乱すると、鬱状態を起こし、重荷となる未消化の体験でいっぱいになり不安で抑圧され脆くなっていきます。


サマナは栄養や満足感、そしてバランスの取れた心を与えてくれます。混乱すると、執着や貪欲さに繋がります。物に固執し、狭量で沈滞した独占欲の強い行動を起こすようになります。


ヴィヤナは心の動きや独立性を与えてくれます。混乱すると、孤独感や嫌悪感、疎外感を生み出します。他社と結束することができなくなり、自分がしていることだけに繋がり続けます。


ウダナは、喜びと熱意を与えてくれ、より高次の精神や創造的な可能性を覚醒するのを助けます。混乱すると、プライドや傲慢さを引き起こし、不安定で高すぎる目標に向かおうとしたり、自身の根源へのつながりを失います。






プラナの精神的な観点


ヨガの実践において、プラナは多くの特別な機能を持ちます。精神的なレベルでは、サマナが心臓の中の空間を調整し、そこには真我が7つの炎をもつ火として存在しています。サマナは、むらなく燃えなくてはならない内なる火を調整します。サマナが作り出す平和やバランスがなければ、自身の中心部に戻ることも心を集中することもできません。
 

ヴィヤナは、ナディを開き、その機能においても澱みないきれいな状態に保つことを通してプラナの動きを司ります。アパナは負の霊的影響や架空の体験から私たちを守っています。プラナ・ヴァーユは、精神を開発するために必要な正しい欲望をあたえてくれます。
 

ウダナは、意識の成長を司り、心を夢を見ている深い眠りの状態へ、そして死後の世界へと連れて行ってくれます。ウダナはまた、シュシュムナの上方へ動きも調整しています。精神はウダナ・ヴァーユとともに動くため、精神的な成長には最も重要なプラナだと言われます。


ヨガを実践していると、こうしたプラナの微細な面が覚醒し、クリヤと呼ばれる無意識に起こる様々な動きなどの普通ではない心身エネルギーの動きを引き起こすことがあります。エネルギーの新しい広がり(微細なヴィヤナ)を感じるかもしれませんし、大きな平穏(微細なサマナ)、空中に浮くような軽さ(微細なウダナ)、深い根付きや安定性(微細なアパナ)、あるいは活力や感受性(微細なプラナ)が高まったと感じるかもしれません。




プラナに働きかける


物質レベルでは、正しい栄養がプラナを増やします。正しい排出もまたそうです。アーユルヴェーダ的な考えにおいては、食物からのプラナは大腸、特に最初の3分の1の部分で吸収されます。そのため、体の健康のためにはアパナが最も重要なプラナです。


ヴェーダによれば、この世の人間は食物をアパナで食べますが、神はプラナで食べます。人間は物理的な組織の集まりで正しい食物によって維持されます。神は感覚で、感覚印象という形でプラナそのものを通して食物を取り込みまやす。プラナを強めるには、儀式や視覚化などの実践とともに、色や音、香りに関した感覚の癒しや自然との接触が重要です。


プラナに働きかける主な方法はプラナヤマで、特にヨガの呼吸法という形になります。ヨガは自己実現の手段として心身どちらもの浄化を重要視し、そのためプラナが豊富なベジタリアンの食事(つまり生命力に満ちた食べ物)、精神修練や誠実や非暴力などの倫理観に根ざした心を重要視しています。不純で有害、乱れた心身は高次の自己を実現することはできません。心身を浄化する鍵はプラナで、この2つに繋がっています。主な方法はプラナが流れているナディを浄化することです。


この面においてヨガの呼吸法は有用で、最も重要なのはナディ・ショーダナ(片鼻交互の呼吸)で、左右のプラナの流れのバランスを取ることができます。ヨガのシステムによれば、体や経絡は左右どちらかが優勢です。右は太陽の性質を持ちます。消化や労働、意識の集中などの行動を助け、ピッタ、火のような性質を持ちます。左側は月の性質で、ナディはカファ的、水の性質が優勢です。休養や睡眠、リラクゼーションなどの行動を促進します。


プラナやエネルギーのバランスを維持するためには習慣的な肩鼻呼吸が最も重要ですが、他にも方法があり、プラナとアパナを繋げることです。アパナ・ヴァーユは重力に沿っていて通常は下向きに動きますが、そのため病気や死だけでなく意識の下降にも繋がります。一方でプラナ・ヴァーユは精神や感覚を通して上方へ分散する傾向があり、上方へのエネルギーの道筋でもあります。ヨガの実践はアパナを上方へプラナを下方へ動かして2つをつなげることが求められますが、これがプラナすべてのバランスをとるのに役立ちます。そうすれば、うちなる火であるクンダリニがおへそのあたりで燃え立つようになります。ムーラ・バンダ(根の鍵)はこの面において重要な実践です。


マントラと瞑想


精神のプラナへは直接働きかけることができます。心や感覚に働きかけるプラナヤマのテクニックがありますが、それらは呼吸に限られていません。色や音(音楽)は、エネルギーを心に向ける重要な方法ですが、最良のテクニックは特に「オーム」など一音節のマントラで、プラスのエネルギーを無意識に向けるのを促す振動が作られます。心に空間を作り上げる瞑想そのものはより多くのプラナを作り、精神が空の広がりのように穏やかで受け入れる状態になった時、新しいエネルギーが現れて偉大なる変容に向かわせてくれます。


ヨガで進む道は、プラナをコントロールすることが基本となっています。献身のヨガであるバクティ・ヨガは、聖なるプラナとつながることでプラナの変容をもたらします。奉仕のカルマ・ヨガは聖なる意志に従うことで、外に向いた行動だけでなく精神の成長を含むより多くのプラナを与えてくれます。
 

伝統的ヨガであるラジャ・ヨガは、精神活動のコントロール(チッタ・ヴリッティ)が基本となっています。心の振動(チッタ・スパンダ)はプラナの振動(プラナ・スパンダ)に従うため、心を制御するのにプラナヤマが役立ちます。また、五感から離れて内側の気づきへと引き入れられるため、五感の調整(プラティヤハラ)にも役立ちます。ハタヨガそのものが主にプラナに関することであり、ヨガのポーズはプラナの動きの現れであり、多くの偉大なヨギたちは、機械的な練習を通してではなく、覚醒したプラナの力を通してをヨガポーズ学んできました。


知識のヨガであるジナナ・ヨガは、強い意思と集中を要します。このヨガでは、精神的なものだけでなく日々の活動すべてにおいて、私たちが得ることのできない発達したウダナ・ヴァーユなしで、プラナへの問いかけ、すなわち真我に対する問いかけが必要です。


まさにヴェーダが語る通り、私たちはみなプラナのコントロール下にあります。プラナは太陽であり、命や光をみなに分け与え、生きとし生けるものすべての真我として心の中に存在しています。私たちのなかにあるプラナは、命を与えてくれ、行動させてくれます。このより大きな力に心を開き迎え入れることを学び、より多くを人生や行動に取り入れるよう求めなければなりません。これこそがヨガの最も偉大な秘伝のひとつなのです。



2026年5月19日火曜日

プラナを理解する Vol.1 
Understanding Prana

ヨガやアーユルヴェーダでよく出てくる「プラナ」
生命力だったり呼吸だったり「気」だったり。
今回はそんなプラナについてです。

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この3つの世界に存在するもの全てはプラナのコントロール下にある。母親が子どもを守るが如く、おおプラナよ、我らを守り、輝きと知恵を与えたまえ

ープラシュナ・ウパニシャッド 2.13

私たちが生まれ持つ5つの主な能力である精神、呼吸(プラナ)、話す力、聞く力、見る力は、どれが最も重要なのかについて議論していた。その争いを解決するため、欠けた時に最も困ることになるのはどれかを見ようと、彼らはそれぞれ体を離れることにした。まず話す力が離れたものの、無言にはなってしまったが体は元気なままだった。次に目が去ったが、盲目ながらも体は元気だった。そして耳が離れたが、聞こえないものの体は成長し続けた。ついに精神が去り、今度は無意識になったが体は生き続けた。しかしプラナが離れ始めると、体は死に向かい始めた。他の力はすぐに生命力を失っていったのでプラナのもとへ急ぎ、プラナの優位性を認めてとどまる様に懇願した。



これは古いヴェーダの物語で、少しずつ違うバージョンがさまざまなウパニシャッドの中で見られます。最初の議論が意味するのは、私たちの能力が統合されず意識をコントロールしようとそれぞれが競い合うというよくある人間の状態です。プラナが離れる時、全ての能力にエネルギーを与えているのがプラナであり、プラナがなければ何も機能できないということが明確になります。この物語の教訓は、これらの能力をコントロールするにはプラナをコントロールしなければならないということです。


心身に良い変容をもたらすためには、エネルギーの働きを理解しなければなりません。この力をサンスクリット語で「第一のエネルギー」の意味でプラナと呼び、「呼吸」や「生命力」とも訳されることがありますが、実際にはそれ以上の意味を持ちます。プラナそのものが表すさまざまな形について、西洋のヨガ文献ではあまり語られないため、その広大で深淵なプラナの科学が理解されることは稀です。


プラナには、体の呼吸から意識そのもののエネルギーに至るまで多くのレベルの意味があります。プラナは単なる基本的な生命力ではなく、原始の創造力です。私たちの存在のすべてのレベルで働く全てのエネルギーを支配しています。この全世界はまさにプラナの現れです。意識を変容させるうちなるエネルギーである大蛇の力、クンダリニ・シャクティでさえ、プラナが覚醒することで起こります。


宇宙のレベルでは、プラナには2つの局面があります。ひとつは出現していない純粋意識のエネルギーであり、全ての創造物を超越しています。ふたつめは出現したプラナで、意識そのもののエネルギーであり、デヴァトマ・シャクティやチティ・シャクティと呼ばれます。出現していない純粋意識のプラナから、全宇宙が存在物へと成り、創造のプラナの出現となります。


自然そのものは3つのグナ(質)から成ります。サットヴァ(調和)は精神を生じさせ、ラジャス(動)はプラナを生じ、タマス(不活発)は身体を生じさせます。自然は動的、ラジャス的なエネルギーです。高次の自己、純粋意識の引力に応えて、このエネルギーはサットヴァ的となります。無知の不活発さによって、この同じエネルギーはタマス的になります。


身体の存在と比較すると、生命力であるプラナは呼吸する酸素から主に起こる「風」要素の変容したものです。微細なレベルでは、空要素は触覚に対応し、触覚を通じて私たちは生きていると感じ、生命力を他の人に伝えることができます。



コーシャ

人間の存在は5つのコーシャ(鞘)から成る

  • アンナマヤ・コーシャ(食物でできた鞘)。これは物質であり、私たちが摂取する5つの要素(地、水、風、火、空)で作られています。

  • プラナマヤ・コーシャ(呼吸でできた鞘)。これは生命力である、ヴァーユという5つのプラナから作られています。

  • マノマヤ・コーシャ(印象の鞘)。これは外側にある低次の精神で五感の印象で満たされています。

  • ヴィジュナーナマヤ・コーシャ(概念の鞘)。これは知性そのもので、方向性を持った精神活動です。

  • アーナンダマヤ・コーシャ(体験の鞘)。これはより深い精神で、記憶、潜在意識、超意識の精神を含みます。



プラナマヤ・コーシャは生命エネルギーの領域です。この鞘は、物理的な体と、3つの精神的な鞘(外側の精神、知性、内側の精神)を媒介しています。また、5つの粗い要素と5つの感覚印象の媒介をも行なっています。
  

プラナマヤ・コーシャは、5つの運動器官(外分泌、泌尿生殖、足、手、発声器官)を繋げており、生存、生殖、運動、自己表現の欲求を含みます。行動への熱意や動機をもたらします。


ほとんどの人は、物理的な身体とそれに深く存在する欲求に支配されており、それは生き続けるためには不可欠なことです。身体は無意識のエゴが存在する場所であり、様々な恐怖や欲望、執着がとどまるところです。私たちの多くが、このコーシャを通して、感覚的な楽しみや形ある物質を得ることといった形で喜びを得ようとして人生を過ごします。
 

強い身体を持つ人には個性を世界に認めさせる能力があって、傑出した人生を歩む人が多いです。身体が弱い人は、多くを成し遂げるエネルギーが少なく、多くの場合は従属的な地位に留まります。一般的には、体力があり自我の強い性質を持った人が世界を動かします。しかし、この性質は精神的な道のりでは最大の障害のひとつとなります。というのも、彼らにとっては、自身の欲望に基づいた衝動に疑問を持つために必要なより大きな力に身を委ねることが困難だからです。


そのため、精神的な人生はプラナを押さえ込まなければならないと考える人もいますが、プラナマヤ・コーシャが強いということは、利己的あるいは欲望志向の活力とは全く異なります。それは個人の力から得られる強さではなく、聖なるエネルギーへの降伏から得られるものです。霊化された強いプラナマヤ・コーシャがなければ、持続的な集中した実践を行うエネルギーを持つことはできません。


ヒンズーの神話では、このより高次のプラナは風の子である猿の神様ハヌマンに象徴され、古代神話ラーマーヤナの中で語られています。ハヌマンは神の生まれ変わりであるラーマとその妻シータに仕えており、それによって望む通りの大きさになり、あらゆる敵や障害を乗り越え、奇跡を成し遂げる能力を得るのです。そうした精神的な方向へ向かう性質によりエネルギーや好奇心、熱意を持つことができ、五感や身体的な衝動(低次から高次まで全ての意思や野望)をコントロールする能力をも得るのです。



ヨガにおける5つのプラナ


プラナマヤ・コーシャは、ヴァーユまたは「風の力」とも呼ばれる5つのプラナから成っています。これら5つのプラナは、動きと方向によって分類されます。これは、アーユルヴェーダ医学でもヨガの実践においても重要なテーマです。


プラナ・ヴァーユ

プラナ・ヴァーユは文字通り「前進する風」という意味で、内向きに動き、食べることから、飲むこと、息を吸うこと、感覚を得ること、精神的な体験に至るまでの体の中に受け入れるあらゆる種類のものを調整しています。もともと推進力があり、物事を動かして導き、日々の中で私たちを動かす基本的なエネルギーを与えてくれます。
 

アパナ・ヴァーユ

「立ちさる風」であるアパナ・ヴァーユは、下方そして外側へ動き、あらゆる形の排泄や生殖(下方への動きもある)を司っています。便や尿の排泄、射精、月経液や胎児の放出、そして呼吸を通した二酸化炭素の排出を制御しています。より深いレベルでは、負の感覚、感情、精神的な体験などのを排除を支配します。私たちの免疫機能の基礎となります。


ウダナ・ヴァーユ

「上へ動く風」のウダナ・ヴァーユは、上方へ動き生命エネルギーの質的、変容的動きをもたらします。体の成長を司り、立つ能力や話す能力、努力や熱意、意思を調整します。主なプラスのエネルギーで、さまざまな鞘での成長や意識の発達を助けます。


サマナ・ヴァーユ

「バランスをとる風」であるサマナ・ヴァーユは、攪拌や識別を通して周囲から中心へと動きます。すべてのレベルでの消化を助け、消化管では食べ物を消化し、肺では空気を消化あるいは酸素を吸収し、精神では感覚、感情、精神の体験を消化します。


ヴィヤナ・ヴァーユ

「外に向かう風」のヴィヤナ・ヴァーユは中心から周囲へと動き、すべてのレベルでの循環を制御します。食物、水、酸素を身体中に運び、精神の中で感情や思考を循環させ続け、勢いを授け強さを与えます。







5つのプラナはまた、体の場所という観点でも見られます。プラナ・ヴァーユは、頭から、身体のプラナの中心であるおへそへのエネルギーの動きを制御します。アパナ・ヴァーユは、おへそから背骨の先端である根のチャクラまでのエネルギーの動きを制御します。サマナ・ヴァーユが司るのは、おへそから全身へのエネルギーの動きです。ウダナ・ヴァーユは、おへそから頭へのエネルギーの動きをコントロールします。


簡単に言えば、プラナ・ヴァーユは物質の取り込み、サマナはその消化、そしてヴィヤナは栄養の循環を司っています。ウダナはプラスのエネルギーの解放、そしてアパナは老廃物の排泄を調整します。これは効率的な機械の働きにとても似ています。プラナは燃料をもたらし、サマナがその燃料をエネルギーに換え、ヴィヤナがそのエネルギーを様々な現場に循環させます。アパナは変換プロセスでできた廃棄物を処理します。ウダナはこうして造られたエネルギーを管理し、機械が効率的に機能させます。


健康の秘訣は、プラナを調和し続けることです。ひとつのプラナのバランスが崩れると、すべて繋がっているため、他も均衡を崩しやすくなります。大抵の場合、プラナとウダナはアパナのバランスを取っていますが、それはエネルギーを作る力が排泄のバランスをとるためです。同様にヴィヤナとサマナは、拡張や収縮という側面でお互いに調整し合っています。




プラナはどのように物理的な体を作り上げているのか


プラナがなければ、体はただの泥人形に過ぎません。プラナが、様々な微細の神経経路(ナディ)を造って、それ通して操作してエネルギーを与えて粗い物質を様々な組織や臓器の形に変え、このゼラチン質の塊りから手足や様々な内臓などを形作っています。


プラナ・ヴァーユは、頭部や脳から心臓までの開口部や経路を作っています。頭には、2つの目、2つの耳、2つの鼻の穴、そして口と7つの開口部があります。ウダナ・ヴァーユは、上半身の開口部、特に口と発声器官を作るプラナを補助します。口は、頭だけでなく全身のための開口部だからです。実際、ある意味では、身体は食べたり自己表現の主な臓器である口の延長なのです。


アパナ・ヴァーユは、尿生殖器と排泄など下半身の開口部を造ります。サマナ・ヴァーユは身体の中央部にある開口部、おへそを中心とした消化器をつくります。肝臓、膵臓などの臓器と腸との経路を開けています。ヴィヤナ・ヴァーユは身体の周囲を走る腕や脚などの経路を作ります。静脈や動脈、そして筋肉、腱、関節、骨などを形作ります。


おへそは、主に消化器官からなっている物理的な身体、つまりアンナマナヤ・コーシャの主なプラナの中心です。粗いプラナが食物として、小腸を中心とした消化プロセスに取り入れられ、主に筋肉などより重い組織に保持されます。しかし、プラナにはより微細なレベルでの機能に基づいた中心もあります。心臓はプラナマヤ・コーシャのエネルギーの主な中心です。呼吸で取り込まれたプラナは、心臓の機能で血液にのって運ばれていきます。頭は精神的な鞘であるマノヤマ・コーシャの中心で、主に目や耳からの感覚受容によってエネルギーがもたらされます。


呼吸は、体内のプラナ活動の主な形です。プラナ・ヴァーユが吸気を調整しサマナが酸素の吸収を司りますが、それは主に呼吸を止めている間に起こります。ヴィヤナはその循環を調整します。アパナは、
特に二酸化炭素の排出を管理しします。ウダナは会話や歌など呼吸を通したプラスのエネルギーを解放することで呼気を調整します。






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2026年1月9日金曜日

ヨガと認知症 Vol.2 
Yoga and Dementia

前回からの続きです。

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認知症の方にヨガを指導する際の秘訣


SPECALの黄金律


1. 直接的な質問をしない


「認知症の方の対応でひとつだけ覚えておくとすれば、直接的な質問をしない、ということです」とペニーさんは言います。ヨガティーチャーもそうでない人も、「今朝はどうですか?」から「今、三角のポーズをしたいですか?」まで、情報を得ようとしたり、思いやりを示したり、関係性を築き始めようとして質問をします。けれど、認知症の人は質問されると、それに応えるために必要な事実情報がわからないことで、急に苦痛を感じてしまいます。


「その人のアルバムにある今日のページには多くの事実が欠けていて、そのため簡単な質問であっても答えるのが難しいのです。結局は、三角のポーズをしたいかどうかは、三角のポーズとは何なのかなどアルバムの中の事実情報に依存します。さらに複雑なのは、今した質問が保存されないことです」その場合、答えを待っているというあなたの期待した表情そのものもより深い混乱の原因となり得ます。「どちらにとってもあっという間に困難な日になってしまう可能性があります」ペニーさんはそう認めました。


しかしながら、認知症の生徒と会話するのは不可欠であるため、例えばあなたが言ったことをすぐに理解できる方法で普通に会話するとか、もし会話を始めたら相槌を打つなど他の方法を試しましょう。「まるで釣り人が擬似餌を変えるように」ペニーさんは勧めました。「魅力を感じたら魚は来ます」また彼女の「質問のない質問テクニック」を試すこともできます。例えば「今、三角のポーズをするのはいい感じかしら?」といった感じです。「多分」とか「・・かしら」とか、「・・するのもいいかも」など生徒を困らせない方法で参加を促しましょう。



2. 専門家(つまり認知症の生徒)の声を聞いて学ぶ


「生徒の声を聞いてそこから学ぶ必要があります。彼らが話し始めたらすぐ、自分は話すのをやめてその話や質問を聞けば、それは金の粒のようなもので、どんな言葉を使うべきなのか、彼らは何が知りたいのか、何を話したがっているのかなど、とても価値のあるヒントが得られます」ペニーさんは述べました。


また、認知症患者の介護者から、ペニーさんが言う「最高の出来事」を聞くことができるかもしれません。彼らが最も話したがる体験であり、彼らのアルバムの一番好きなページです。(もし介護者からは何も聞いたことがなければ、そうした記憶を質問のない質問テクニックで聞き出してみましょう)


こうした話をするときは、あなたの生徒は馴染みのあるしっかりとした土台の上にいます。あなたの生徒が不安そうだったり自信をなくしたように見えたとき、また彼らとただ繋がりを強くしたいと思ったときはいつでも、大好きな話の中でよく使うキーワードを言ってそのお話に導きましょう。






例えば、あなたが「ずっとインドに行きたいと思っています」と言ったら、インドに旅行した時の大好きな話しを急に始めるかもしれません。(しかし、『あなたが以前したインド旅行は楽しそうでしたね』など直接的な旅行の話には注意しましょう。あなたにその話をした事実は記憶していないかもしれず、どうして個人的な情報を知っているのか不思議に思って困ることになる可能性があります。『だれでも自分のことを知られすぎている感じたり、アルバムの中にあなたの情報が見つけられないと不安に思うものです!』ペニーさんは注意を促しました。)



3. 否定しない


認知症の生徒は、時々事実に反する内容を言うこともあります。ペニーさんによれば、それを正さない方がいいです。「『それは正しいか間違いか』という質問でなく、『誰のアルバムについて話しているか』です。話している時は自分のアルバム、自分の体験に基づいています。だから彼らが選んだ写真について議論しないでください。注意深く聞いてそこから始めます」


例えば今やったばかりなのに、生徒が「まだ肩回しをしていない」と言ったら、否定しないで彼女の言う通りまた肩回しをしましょう。


(もし、例えば『逆立ち(あるいは体の能力を超えたポーズ)をしましょう』などと生徒に不適切だったりかなり危険なことを提案されたら、彼らではなく自分自身の能力不足のせいにして一旦休憩を促すことをペニーさんは勧めました。「本心から、先に進む前に少し休憩しようと言うことに全く問題はありません。逆立ちをする提案などはきっと時系列的に記憶されていないことをふまえて、休憩のあとは全く新しい章が始められます。このように認知症患者の障害に前向きに対応しましょう」)





さらに・・


4. 複雑な言葉による指示ではなく、実演やジェスチャーを最大限に活用


私たち指導者が実演をするのは大抵はほんのちょっとだけで、多くを長く細かい指示を言葉で伝えます。「足指の付け根とかかとに向かって根付かせて、膝関節は2番目の足指先に向けて。今度は背骨を伸ばして頭頂へと持ち上げて。肩は後ろへ回します・・」いうように。


直近の事実情報の記憶がどんどん不確かになっていく困難認知症の生徒には、もっと単純な方法が必要です。たくさんの指示を与える代わりに、「足で下に押して」など動きを身振りで伝えながらできるだけ簡単なフレーズを使います。


可能なときはいつも実演し、連帯感を作るための視線を合わせることを優先し、ジェスチャーを使いましょう。「ジェスチャーは1000の言葉を伝えます」とペニーさんは言いました。
「ジェスチャーは気もちを伝え、それが新しい写真すべてに保存されますが、言葉は事実であり言った後からすぐに消えてしまいがちです」おそらく「胸を引き上げて」とか「頭頂へ持ち上げて」という意味の言葉の指示に代わるエネルギーにあふれたジェスチャーがあるでしょう。


もし、より細かいアライメントを整えなければ安全とはいえないポーズがあれば、そのポーズは省きましょう。



5. 良いニュースだけ伝える


あなたの認知症の生徒が通常通りに事実情報を記憶できないと感じたなら、否定的な情報を伝えれば落ち着いて見えても不安にさせるかもしれないことは理解できるでしょう。ペニーさんは例を挙げました。「あなたがクラスに遅れて、事故渋滞のために時間がかかったと説明します。まあ、認知症でない人は理解します。『ああ、渋滞ね、あなたが無事に来れてよかった』と思うでしょう。けれど認知症の人は事故のところだけ記憶して、後で不安が引き起こされて『誰が事故にあった?何があった?誰が?何をするべき?』と自問するかもしれません。これは良い写真ではありません。あなたが到着したら心から笑顔で『ああ着いてよかった!』とただ言って練習を始める方がずっといいのです」


あなたの生徒はやる気があるふりに気づくかもしれないので、状況の中で肯定的な面を見るようにするのが大切で、それが自然にあなたの感情に影響します。否定的なニュースや沈んだ感情で認知症の人を困らせないでください。「結局のところ、あなたが遅刻してひどい事故を見たとしても、無事に到着して生徒と会えたら嬉しいでしょう?」


悪いニュースを伝えないのは事実と違う話を作っていると思うかもしれませんが、ぺニーさんが言うには「彼らはもう一生分も悪いニュースを聞いてきたんです!」認知症であるためにすでに耐えている困難のことを忘れないでください。余計なストレスを避ける理由がわかるでしょう。あなたが見た自動車事故やニュースで見た大災害のことは話さないでください。クラスの間ずっと、今練習している部屋の中も外の広い世界も、全ては大丈夫だというサインを出してください。「『大丈夫』という信頼感は記憶されて説明のない不安よりもずっと役に立ちます」ペニーさんは確認しました。


6. 惜しみなく賞賛を送る


ヨガの間はずっと「これ上手ですね!」などと褒め言葉を散りばめましょう。2、3種類の褒め言葉があればより良いです。「完璧!すごい!最高!」


「認知症の診断は、生徒のウェルビーイングを左右します。記憶力の変化に直面しているという明白な兆候があり、それは不安に感じさせるものです」ペニーさんは言います。「自信が低いとき、認知症の人はアルバムの中を探るのが特に難しくなります。自信の低さが、認知症前のアルバムから役に立つ組み合わせを見つける能力が下がることに繋がります」あなたにはヨガティーチャーとして、生徒にうまくやっていると感じさせることで、彼らの自信や自尊心を引き上げる力があります。


ペニーさんが指摘したのは、良いニュースだけを伝えるのと同様に「親切にするのと上に立った態度をとるのとの間には小さな違いがあります」重要なのは本心からということ。信じられないほど困難な状況であなたの生徒はよくやっているということに気づき、何度も心から賞賛を与えてください。ペニーさんは言います「いつも筋の通った事実が記憶されるわけではありませんが、ずっと感情は記憶し続けていて、新しい事実の記憶が小さくなるにつれて感情のスペースが大きくなります。事実よりも感情により依存しているので、そのためあなたの不誠実さにはすぐ気づくのです」



7. 言葉とジェスチャーで生徒との関係を築く


ペニーさんは彼女の言うところの「私たち」関係を築くことを推奨しています。「あなたと生徒はここで一緒にいて、二人ともヨガクラブのメンバーだという印象を作ってください」この連帯感を、「私たち」「一緒にしましょう」などの言葉やフレーズを使って、そしてしっかり目を見て、彼らのジェスチャーやポーズを真似て、彼らの発言や提案に熱心に耳を傾けましょう。


もし生徒がポーズをしたがったら、ポーズをやめたいと思ったら、水を飲むために休みたがったら、賛成してください。「私もそう思っていたところです!」



8. 生徒を専門家として扱う


「ふさわしい話し方をする必要があります。彼らよりもいくらか能力が低いと考えてください。可能な限り、生徒をティーチャーだとしてください」ペニーさんは助言します。


自尊心を上げるために、生徒から受ける指示や確認は快く受け入れましょう。例えば、「三角のポーズはこんな感じかしら」と言ったらきっと「そう!」「その通り!」などコメントが帰ってくるでしょう。


「側から見たら誰が教えていて誰が教わっているのかわからないかもしれません」ペニーさんは言います。もしやろうとしているポーズを生徒がやろうとしなかったら、そんなときは、忘れましょう。彼女のやっている形を真似して、そのリードについて行きましょう。それもまた生徒の肯定感や二人の連帯感を築くのに役立つかもしれません。「そこから、その良い感情を踏み台にして、まるで独り言を言うかように変えることをさりげなく提案します」例えば、指示したり質問するのではなく、「それはいいポーズですね。肩をもうちょっと後ろに回したらどうなるかしら」と言えるかもしれません。


9. 異なる言葉、ジェスチャー、戦略を試して何がベストかを探る


会話や練習の間、いろいろ試して何に効果があって何にないかに気をつけましょう。会話を始めるのに良い天気の話は効果がない?あなたのお母さんや夫がヨガをしてくれたらいいのにという話は?会話は続きましたか?一歩下がるのは効果がありませんか?もう一方の足を前に出すとポーズに入れますか?生徒がシャヴァサナでじっとしていられませんか?肩に手をおいたら少しは長く休んでいられそうですか?質問をするのでなく、どんなときどんなことがうまくいってうまくいかないのかを観察してください。「できるだけ早く見つけられたら、最悪を最小限に最高を最大限にすることができます」ペニーさんは勧めます。


10. 生徒のウェルビーイングを高めるものは何でも喜んで繰り返すことを学ぶ


ヨガティーチャーは、新しいクラスを作ろうと大抵の場合は考えますが、認知症の生徒を教えるなら新しいものを考える重荷から解放されます。新しいポーズを教えるのではなく、よく知っているものを尊重します。


“One of the joys of working with individuals with dementia is that they will never tire of the repetition of what they enjoy,” assured Penny. The shoulder rolls they enjoy will delight them 「認知症の人に対応する際の喜びのひとつは、彼らが楽しんでいることを何度繰り返しても決して飽きないところです」楽しんでいる肩回しに何度でも何度でも大喜びします。ハッピーベイビーのポーズを「死んだ虫」と呼んで彼らが大笑いしたら、毎回大笑いします。生徒から肯定的なリアクションを引き出す言葉を見つけたら、繰り返し同じものを使い続けましょう。


11. 可能性を信じる


本当に効果があることは何かといえば、生徒の手を握ることです。手を握りましょう。好きなポーズがシャヴァサナだけだったら、ヨガクラスはそれに集中させましょう。もし生徒が本当にやりたいことは、お茶を飲みながら好きな話しすることなら、一緒にお茶を飲んで興味をもって喜んで話を聞きましょう。できる限り、ヨガクラスとは何かというあなたの概念を広げることになるにしても、彼らに寄り添いましょう。ペニーさんが言うように「SPECALのヨガは、SPECALを知らないひとにとっては『伝統的な』ヨガには見えないかもしれません。けれど、それは無駄なセッションというわけではありません。反対に、SPECALの基準で測れば、生徒のウェルビーイングを高めるものであるので成功なのです」


認知症の生徒とのヨガクラスの終わりには、新しいポーズも覚えていないし、膝とつま先の向きを合わせるのがうまくなりもしていないかもしれません。汗をかいたかどうか、最後のシャヴァサナでリラックスできたかどうかもわかりません。けれど、生徒の自己肯定感、自立性、社会的快適性、安心感に対して、価値のある貢献ができるはずです。「彼らの声を聞いて、『私たち』関係性の中で一緒に練習することを探ることで、持続的な方法で彼らの生活の質を高められるのです」ペニーさんはそう締めくくりました。「それが値段のつけられない非常に価値のあるもので、SPECALのすべてのケアが目指すところなのです」








2025年12月29日月曜日

ヨガと認知症 Vol.1 
Yoga and Dementia



現在アメリカ人の500万人がアルツハイマー病を患っており、高齢者の三分の一が亡くなる際にアルツハイマーなどの認知症にかかっています。近年、認知症は全体的に減少しましたが、アメリカの人口でこの障害に最もかかりやすい世代である90歳以上の数が最も急速に伸びているため、今後の罹患数は増えることが予想されます。


近年の研究では、ストレスを軽減し記憶機能を向上させるヨガの可能性が、老人ホームで暮らす人々の認知機能を改善することを示唆しています。瞑想とヨガを使ったある多面的プログラムでは、記憶機能をいくらか取り戻すことに成功しています。また、英国の小規模試験プログラムでは、認知症患者が優しいヨガを介護人と一緒に行うことで、より行いやすくまた参加者に受け入れられやすいことが分かりました。


ヨガの効果を考えれば、ヨガは認知症の家族や友人、患者に良いのではと考える人もいるでしょう。


「そうかもしれないし、そうでないかもしれません」と電話インタビューでペニー・ガーナー氏は言いました。ペニーさんは、英国バーフォードの中核的研究拠点にあるコンテンテッド・デメンシア・トラストの創設者であり医療ディレクターです。


この施設は、統合されて開発改良されたペニーさんの「SPECAL(スペックル)法」を用いており、現在ロンドンのキングスカレッジで科学的に研究されています。SPECALという頭字語が初めて使用されたのは約27年前で、ペニーさんがアルツハイマー病と関連する認知症のための特別な早期ケアを開発し始めたころです。ヨガが認知症患者に良いかもしれないしそうでないかもしれない、というペニーさんの言葉を理解するには、この手法の中核にある類似点をまず理解する必要があります。それは、「SPECALフォトアルバム」というものであり、通常の記憶がどのように機能しているかの概念、歳をとると何が起こるのかということ、そして認知症によって起こるある変化についてです。



SPECALフォトアルバム ー 記憶の象徴


この進行性の障害の、基本的に記憶システムに新しい出来事を保存する際の問題だというペニーさんの洞察は、1970年代にアルツハイマー病を患った母親の介護を通して得られました。「私たちは記憶システムを持って生まれます。それがフォトアルバムで、体験したものは全て写真として自身のアルバムに無意識に保存されます。このアルバムは、私たちの基準点であり大切な資産です。今何をしていたかが全て保存され続け、事実やそれに関する感情が含まれます。「ええっと」という度に、私たちは「アルバムを見てみよう」としているのだとペニーさんは説明しました。


「いつも自身のアルバムを参照して、光速でこの簡単に繋がれるデータベースから情報を取り出して、今何を、誰と、どこで、いつ、なぜしているのかの意味を理解するのです。そうやって今ここで何が起きているかのスピードについて行っている訳です。歳をとると、アルバムの写真を無意識に取り出したり保管するプロセスは変わりませんが、必要な時にアクセスする速さが遅くなります。遅くなることは普通のことで認知症とは関係がありません」そうペニーさんは指摘しました。「しかし認知症患者には、新しいタイプの写真が現れるのです。この新しい写真は、日常生活で今起きたことに関係のある現実は含まれないのですが、それに関連する感情だけは感じます。この認知症に関連した写真を『ブランク』と呼んでいます。まず、ブランクは現実の情報が途切れたほんの数秒に現れますが、ランダムで散発的に、そしてより頻繁にブランクが起こるようになり、やがて認知症と診断され、アルバムの半分が感情だけの写真となり、ブランクの長いリボンとなっていきます」


認知症患者は理性を失っているわけでもなく、少し前の現実を判断する能力を失っているわけでもないと、ペニーさんは強調しました。「アルバムのずっと昔のページは、現実もその時の感情もとても理性的に開くことができて、今日見たことをちゃんと説明することができます」


SPECAL法は、この対処手法でプラスに効果を出すことを探っています。その人にとってどの古い写真が最も卓に立つのかに注目し、そうした古い写真と毎日の日課との間に有用なリンクを作るのです。SPECALが尊重するのは、その人の過去の活動や体験を試すことであり、新しい活動には挑戦しません。「私たちのモットーのひとつは『新しいことは何も無い!』」だとペニーさんは言います。「新しい活動をするには順序立った新しい現実が必要ですが、認知症患者の新しい現実の保存機能はどんどん損なわれて行くことがわかっています」


何か新しいことを日課に取り入れると、自分のアルバムに役立つものをあまり見つけられないことの多い認知症患者は、自問して不安になってしまう傾向があります。「答えのない自問は疲弊しますし恐怖です」認知症の人は苦痛が起こる前にこう感じているのだろうとペニーさんは述べました。「ええっと、自分のアルバムを見てみよう、確かめなきゃ、私はどこにいる?どれくらいここにいる?どうやってここに来た?おやまあ、今していることの情報があまりない、本当に不安になってしまう、知ってるはずだけど・・?」






「鳩の群れに猫を投げ入れるようなことはしていないと願います」ペニーさんは続けました。「けれど、認知症患者が初めてヨガをしようとしたら、ヨガクラスですることは彼らのアルバムに筋が通るものは何一つないのです。今日の現実という情報のいくつかは今日のページにばらばらの順番で保存されます。認知症が進行するに従ってそれも少なくなっていきます。そして、少し時間が経って確認しても意味が通らなくなってしまいます。今の体験の内容が明確とは程遠いものになるのです」


「認知症にもかかわらずヨガの体験を楽しめる人を見つけることはできないという意味ではありません。けれど、ヨガをしたいという気持ちは、認知症患者自身から出てこなければなりません。楽しめたかどうかがはっきりとわかっていなくても、ヨガをした後も『あれをもっとやりたいからあの場所に戻りたい』と言うようであるべきです。患者からしか知ることができないこと、つまり患者と患者が記憶している感情に導かれない限り、うまく行うためにはあるべきでない余計なプレッシャーを与えてしまうことになります」


ヨガに効果がると介護人が確信していたら?「そうですね、ヨガをすべきなのは介護人のほうでしょう。けれどヨガは、認知症になる前にヨガをしていた人にとってはとても良い考えかもしれません。つまり、ヨガの写真がすでにアルバムに入っていたら、認知症以前の場所にあるものを参照することができるからです」


当初ベビーブーマー世代のアメリカ人に広く行われていたヨガは、それ以降ますます人気となり認知症になる可能性のある人の写真アルバムの大切な部分となっているかもしれません。ペニーさんによれば、そうした生徒たちにとって、特にウェルビーイングを高める技術に精通している指導者や仲間がいれば、人生を通してヨガを練習することには価値があるでしょう。



認知症の生徒のためのヨガへのアプローチ


もし長期間ヨガを実践してきた認知症の人から、もう一度練習をしたいと言われたらどこから始めればいいでしょう?


最初のステップは目標を明らかにすることです。「認知症を克服するという目標はありえません」ペニーさんは助言しました。「認知症はすでにそこにあります。それよりも、どのように寄り添えるかです。何がプラスで何がマイナスか。私たちの目標は、彼らの状況にかかわらず、生涯を通して24時間週7日間ウェルビーイングを維持することです。そしてそれは可能です」


SPECAL法が目指すところは、オリバー・ジェームズ氏によって Contented Dementia という本の中でより明らかにされていますが、ペニーさんが考えているウェルビーイングの要素、すなわち全ての人間に不可欠であり認知症患者の介護者がとても注意深く認識する必要があることを養うことです。価値があるという感覚(自己肯定感)、自立性(決断能力とそれが行われるのを目撃する)、社会的快適性(他者とのつながり)、そして安心感(基本的に全ては大丈夫だという信頼感)です。


「これらウェルビーイングの4要素がきっちりとあるべき場所にあれば、人は自信を持つことができます。その自信によって最大の能力が引き出されます」とペニーさんは述べました。(注:この4要素は、患者中心の認知症ケア分野の先駆者であるトム・キットウッドさんとの1990年代初期に行われた対話に基づいています)


以下のSPECAL法にから得られる助言は、認知症患者個人や患者グループに対応するヨガインストラクターに対応するためのものです。ペニーさんは、全参加者がSPECALの方針に馴染みがあるのでなければ、認知症患者が通常のグループに参加すること、またその生徒のために作った練習に介護者が参加することもお勧めはできないと言います。


というのは、認知症はさまざまな身体的要求を伴い、アプローチよりも内容が懸念されるからです。身体的に兼好でハタヨガの立位ポーズをたくさんすることができる人もいるでしょう。また運動により制限があったり空間的関係性に困難がある人もいるでしょう。そうした人にはリストラティブヨガやチェアヨガの方が良いかもしれません。以下の8番で説明しているように、「ヨガ」という概念を広げるような、認知症患者らの提案に敏感にオープンでありながら、彼らの能力を尊重した練習を作り、彼らが導いていくようにすることが重要です。


ペニーさんは、SPECALの基本原理である(以下の)3つの黄金律は、直感に反したものかもしれないと認めています。彼女の言うように「『根底を覆せと言われている!』と思うかもしれません。しかし、私たちには認知症患者の言葉を学ぶ必要があります。その人を変えようというわけではありません。彼らとどう関わるかを変えることができ、それこそが私たちが人のためにただすべきことです」



認知症患者に対応できるヨガティーチャーとは?


ペニーさんによれば、より高度なヨガの訓練を受ける必要はありませんが、SPACAL写真アルバムや3つの黄金律、以下のコツなどに精通した人であり、Contented Dementia Trust などによるコースを使ってSPECAL基本原理の理解をより深めた人が適していると言えるでしょう。また、認知症患者とのさまざまな交流のなかでその理解を練習に活かしていける経験を持つ必要もあります。



「SPECALのアプローチを基本理念を理解するには、ヨガの範疇外で開発し実践する必要があります。そうすることでのみ、ヨガティーチャーはそうした基本原理を、長期間慣れ親しんだヨガの練習を続けたいと思っている認知症患者に、最もうまく適用する方法を考慮できるのです」



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次回に続きます

2025年8月29日金曜日

キルタン・クリヤ:ヨガとアルツハイマー予防としてのメディカルメディテーション Vol.2 
Yoga and Medical Meditation As Alzheimer's Prevention Medicine


キルタン・クリヤの実践法


キルタン・クリヤは何千年も実践されてきた12分間の歌うエクササイズです。呼吸、歌やチャンティング、指の動き(ムードラ)、心に思い浮かべるなどいくつかの動きが組み合わされています。ですので、多面性のある多感覚のエクササイズで、脳全体を使って脳内血流を増加します。


姿勢:椅子に心地よく座り、両足をぴったりと床につける
または、足を組んで床に座っても良いですが、高齢者は床に座りたがらないかもしれません。重要なのは心地よいこと、背骨が自然な湾曲のみを残してまっすぐにして座ることです。

両目:目は閉じます

チャントやマントラ:「さぁ」「たぁ」「なぁ」「まぁ」の音を使います。続けて言うと古代の言葉で「真我」あるいは「最高の自己」という意味になります。
メロディーは、みんなよく知っている「メリーさんの羊」の最初の4音で歌います。つまり「メーリさんの♪」までです。

指の動き、ムードラ:親指で他の指に順番に触れます。両手で同時に同じ形を作ります。
• 「さぁ」の時は、親指と人差し指をつけます
• 「たぁ」の時は、親指と中指をつけます
• 「なぁ」の時は、親指と薬指をつけます
• 「まぁ」の時は、親指と小指をつけます
常に人差し指から始めて、中指、薬指、小指と続けて逆行しません。





心に思い浮かべる:エネルギーが頭上から頭頂の中心に降りてきてくるのを思い浮かべます。そして、頭の中に真っ直ぐおりたら、方向が垂直に変わって眉間の鼻のちょうど上の一点(いわゆる第3の目)へと進むのをイメージします。つまり、エネルギーはL字にたどっていくのを思い浮かべるのです。まるでほうきのようにすうっと流れるのをイメージできるかもしれません。




順序:「さぁ」「たぁ」「なぁ」「まぁ」と歌いながら、両手の指でそれぞれムードラを作りましょう。同時に、その音が頭頂から流れてL字に額の中心から出ていくのを思い浮かべます。

1. 2分間、声を出して歌います

2. 次の2分間、ささやき声で歌います

3. 次の4分間、心の中で歌います

4. そしてささやき声で2分間、声を出して2分間、合計12分間歌いましょう

エクササイズを終えるには、とても深く息を吸って、両手を頭の上に伸ばし、弧を描くようにゆっくりとおろしながら息を吐きます。




脳全体を活性化


ヨギ・バジャンによるクンダリニ・ヨガの伝統では、キルタン・クリヤが持つ効果にはいくつかのメカニズムがあります。キルタン・クリヤのチャンティングで舌を使うことは、口蓋の84のツボを一定の順序と組み合わせで刺激し、視床下部や松果体、脳そのものに信号を送っていると考えられています。また、アセチルコリンやノルエピネフリン、ドーパミンなど脳の重要な化学物質が増加することで脳のシナプスを若返らせる可能性もあります。


また、指先や唇、舌にある密集した神経末端は、脳の運動野、感覚野での高レベルの表現に関連しています。ですから、音を組み合わせて指先を使うと、脳の特定の部分が活性化します。私たちの最新の発表では、キルタン・クリヤの各面で脳の異なる部分が刺激されていることがわかりました。キルタン・クリヤで思い描くことがどのような効果をもたらすのかが謎でした。今では、この思い浮かべるテクニックで、身体的レベルでもより大きな面においても、脳の後頭葉が実際に活性化していることがわかっています。そしてまた、目的を持つことがアルツハイマー病予防効果を持つことも示されてきているのです。



(出典)www.alzheimersprevention.org

キルタン・クリヤ:ヨガとアルツハイマー予防としてのメディカルメディテーション Vol.1 
Yoga and Medical Meditation As Alzheimer's Prevention Medicine


アルツハイマー病と予防財団(Alzheimer’s Research and Prevention Foundation (ARPF))が発表した白書からの抜粋です。
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アルツハイマー病予防の4つの柱


これまでのところ、アルツハイマー病に効果のある薬を発見するのは困難だと考えられています。そのため、ARPFの予防プログラムにある4つの柱が極めて重要となります。

4つの柱とは以下の4つで、それぞれが認知機能低下のリスクを下げるとされています。

(1)野菜中心の地中海ダイエット
(2)ストレスの管理、特にヨガや瞑想
(3)心身のエクササイズ
(4)精神的な健康


ここでは、「キルタン・クリヤ」という手法に注目していきます。



アルツハイマー病予防の新しい側面


我々のヨガ瞑想は、アルツハイマー病予防として素晴らしく「キルタン・クリヤ」という歌うエクササイズ、シンプルな12分間のヨガ瞑想は以下のような効果を持ちます。

• 記憶障害を逆転させる
• エネルギーレベルを上げる
• 睡眠の質を向上する
• 有益な遺伝子を上方調整する
• 炎症性の遺伝子を下方調整する
• 患者と介護者のストレスを軽減する
• 心理的、精神的な幸福感を向上する
• 脳の構造上重要な部分を活性化する
• 細胞老化を遅らせる若返り酵素であるテロメラーゼを43%増加させる(これまでの記録では最大)
• 副作用がなく費用もかからない




キルタン・クリヤで脳内血流が改善


キルタン・クリヤの正式な研究は2003年に始まりました。
当時、私たちはキルタン・クリヤの脳への影響を調べるため、脳のスキャン研究の準備をしました。


左:実践前、 右:実践後


上図はキルタン・クリヤの前後の脳画像です。左の脳は、容量が小さく上部に凹みがあるのが見えるでしょうか。この凹みは血流不足を意味します。健康な脳の画像とは言えません。ご覧の通り、実践後の画像の脳は左右対称で若々しく、エネルギーや血液が左右対称に流れています(血流増加は、脳内の関係性がより強いことを意味し、新しい脳細胞生産の可能性があります)。これは健康な脳です。


下の画像は、後帯状回(PCG)で、エピソード記憶検索に重要な構造です。PCGはアルツハイマー病が進行するなかで最初に機能低下が起こる場所です。キルタン・クリヤによってPCGへの血流が促されていること、それがリスク低下という議論では非常に重要な要素なのです。





研究によって、脳の改善、脳細胞間の連結の向上、そして新しい脳細胞の成長さえも可能であると示されてきました(神経可塑性、神経細胞形成)。では、キルタン・クリヤを毎日行えば、アルツハイマー病になるリスクは劇的に減らせるのでしょうか?


ヨガや瞑想は、精巧な身体運動や精神的刺激ですので、こうした効果を持つと考えるのは疑いなく無理なことではありません。


また、アルツハイマー病のリスクとその進行の速さの両方に、脳血流減少との関係があるという堅固なエビデンスがあります。






記憶障害を改善


次の研究群は、ペンシルベニア医科大学で行われました。
まずは、コントロールグループと比較し、8週間後の被験者に記憶障害の改善が見られました。この結果は2010年のアルツハイマー病ジャーナルで発表されています。
下のスキャン画像では、劇的な向上が見られます。


プログラム前後における前頭葉の変化
(実践前:左図および上図、実践後:右図および下図)



患者が初めてキルタンクリヤを行った時と比較して、8週間後には前頭葉の矢印部分の活動に大きな増加があり、注意力や集中力などに著しい向上がありました。

他に著しい変化が見られたのが前帯状回(ACG)で、ストレスのバランスをとるのに重要な脳の部分です。

このスキャンで前頭葉の強化が見られた部分は、前頭葉前野皮質(PFC)です。こうした向上は早期の記憶障害、または軽度認知障害(MCI)からアルツハイマー病への進行をくいとめる効果が期待されます。





気分や幸福感を高める


私たちの研究では、キルタン・クリヤの実践をした被験者において、以下のプラスの結果が見られました。

• 鬱の減少:鬱スケールにおいて65%の被験者に向上が見られた。鬱は認知機能低下のリスク要因の可能性があります。

• また、私たちの公表した研究では、気分やエネルギー、精神的な幸福感の上昇が示されました。

他の瞑想や精神的な幸福感の研究では、大幅なトレーニングと長い瞑想時間が必要としているため、これはとても重要と言えます。私たちの研究では、毎日たった12分間のキルタン・クリヤをするだけでよいからです。





脳や身体、遺伝子にアンチ・エイジングの効果


以上の研究だけでなく、キルタン・クリヤを長期間実践すれば、脳への深いアンチ・エイジング効果があるという研究もあります。



ストレス軽減、テロメラーゼ増加、鬱の軽減


ARPFはまた、UCLAにて認知症の家族の世話でストレスを抱えている39人を対象に、リラクゼーションのテープを使った12週間のキルタン・クリヤの効果において、コントロール・グループとの比較研究を終了しています。この研究の革新的な結果は以下のグラフで見て取れます。





私たちの研究では、キルタン・クリヤは以下の効果があると示されています。

• 記憶力を改善
• 炎症を軽減
• ストレスレベルを下げる
• 心理的、精神的な幸福感が深まる
• 鬱を軽減
• エネルギーを増加
• テロメラーゼを活性化

テロメラーゼの活動を劇的に増加


キルタン・クリヤを実践した被験者でみられたテロメラーゼの43%増加幅は、どの研究と比較しても最大でした。テロメラーゼが短いことは、アルツハイマー病(および寿命の短さ)と関連があります。





炎症性遺伝子を下方制御


キルタン・クリヤの12週間の実践後の被験者において、疾病の原因となる炎症遺伝子の下方制御、炎症誘発性核因子(NF)-kB の活動減少が見られました。慢性の炎症というのは、アルツハイマー病やその他の認知症、また記憶障害のリスク因子である循環器病など主な疾病でよく見られます。

19の健康促進遺伝子を上方調整


この有益な上方調整効果には、免疫グロブリン関係の転写が含まれ、それによって免疫機能が強化され、病気と戦う天然型インターフェロンが活性化されます。

この研究は、ライフスタイルで悪い遺伝子を打ち負かすことが可能だと私たちに伝えています。これは「エピジェネチックス、後成的遺伝学」と呼ばれています。「エピ」とは外部の意味で、ライフスタイルによって「悪い遺伝子」を書き換えることができ、つまりあなたのDNAに囚われているわけでないという事実を指摘しています。ライフスタイルで遺伝的な傾向を阻止することが可能なのです。



キルタン・クリヤによるストレス軽減が非常に重要


研究によれば、認知機能低下は急性・慢性両方のストレスによって引き起こされ、その結果、海馬の脳細胞を死滅するホルモンであるコルチゾールのレベルが上昇します。これまで見てきた通り、キルタン・クリヤはストレスを軽減しコルチゾールレベルを下げます。

認知機能低下においてあまり評価されていない原因のひとつは、「幼少期有害体験」とも言われる幼少期のストレスであり、中年期の記憶障害や不安症、鬱を増加させることがわかってきています。


極めて重要な神経伝達物質や脳内化学物質を補う


シナプスでの神経伝達機能の減少は、アルツハイマー病の特徴です。ヨガや瞑想、キルタン・クリヤは、明らかに神経伝達物質を自然に強化する方法であり、私たちの研究で見られた良い結果の多くで重要な役割を担っています。



睡眠を改善


睡眠障害はアルツハイマー病の危険因子です。キルタン・クリヤで、より深くより良質な眠りに入りやすくなります。





心理的、精神的な健康を高める


キルタン・クリヤは、精神的、心理的に健康な状態を促進し、それによって脳が健康になります。精神的に健康な状態とは、自立、個人の成長、良好な人間関係、人生の目的、などより良い質の生活に関係しています。



目的を明確にする


人生に目的を持つことは、アルツハイマー病予防につながります。瞑想者は、よりはっきりとした目的、そして心理的、精神的な健康という局面を喜んで探します。



精神的な健康が重要なわけ


精神的な健康は、心の平穏を得るための4つの特徴を持っています。

1.忍耐力は、習慣的なヨガや瞑想を根気強く実践することに繋がり、それによって個人の能力を養うことができます。忍耐力を養えば、自身が「流れ」の中にいて自身を世界に委ねることができるようになり、スピードを落としてより人生を楽しむことができます。

2.受容は、自己認知と自己賛美をもたらします。また、寛容さをももたらし、自身や他人の失敗を目にしながらも、そうした失敗の向こう側を見てそのままを受け入れることができます。これが許しにつながって、脳や免疫、細胞機能に毒となる怒りを解き放ちます。また、精神的な気付きをより高い状態へと引き上げます。

3. 哀れみは思いやりをもたらし、それが共感へとつながって、健康的な感情やコミュニケーションを促します。哀れみはまた、明確さや責任感、恐れることなく自身でいる勇気を養い、精神的な成長の次の段階である「身を委ねる」ための道筋となります。

4.身を委ねる:「ストレッチに身を委ねましょう」とヨガの練習で言われます。この場合、身を委ねているストレッチは私たちの魂であり精神です。自身の魂に身を委ねた時、自分への報酬など考えることなく、他者の役に立つため犠牲になれる強さを得ます。これはヨガでは「セーヴァ」といい、真の幸福と静穏をもたらします。静穏は心の平穏と、「それ(神)」はどこにでもあるという普遍の愛の感覚を与えてくれます。これは、脳寿命に究極に重要であり、多くの人が「悟り」と呼ぶものです。精神的な健康は、つまりは、命の最も純粋な局面であり、多くの場合初めて、心の平穏を見つけさせてくれるものなのです。






2024年12月20日金曜日

ガヤトリ・マントラ:歴史、意味、効果について 
Gayatri Mantra: History, Meaning, & Benefits


薄明かりの朝や夕暮れは、私たちを自身の内側へと呼び戻してくれる時間です。「おお、夜と夜明けという2つの聖なる力よ、2隻の船のように我らを向こう岸まで連れて行っておくれ」とヴェーダが唄うのはそのためです。古代、熱心な探究者らは朝早く起きて沐浴し、儀式を行い、マントラを唱え、瞑想のため座りました。そして夕方には、また瞑想の時間をとって1日の疲れを洗い流したのです。今日においてもヨガの実践者の間では、朝夕の移り変わりの時間は今も伝統的な瞑想の時間です。


この昼間と夜の移り代わりに行われる瞑想は、サンディヤ瞑想と呼ばれます(サンスクリット語でサンディヤとは繋ぎ目のことです)。ヴェーダの時代から始まったサンディヤ瞑想は、今も世界中で見ることができます。これらの瞑想は、何百万人の日常生活に信仰や内省を与えています。早朝の光が風景を照らし暗闇を一掃するように、サンディヤ瞑想は精神を浄化し、啓蒙し、養うのです。







ヴェーダの象徴性


サンディヤの霊的なテーマは、ヴェーダのシンボルを通して伝えられています。ヴェーダは聖歌を通して、実態のない真実を疑う余地のない宇宙としてあがめています。太陽や月、風、火、雨を称賛し、それらを人間の母や、娘、姉妹、兄弟、父として普遍的に表し、鍋や扉、車輪などの人による発明品を宇宙の真実の現れだと認識しています。


言い換えれば、私たちの住む宇宙は最高度の真実そのものであるが、人生の出来事や夢によって覆い隠されているのだと、ヴェーダは語ります。私たちが見ているのは全体の、つまり1日の周期、季節の移り変わり、生と死、種まきと収穫のうちのほんの一部です。これは、現れていない全体の一部が表れている姿であり、見えないものの見える一部分なのです。


しかし、海を見たとたん、地球の海の明らかな果てしなさに驚嘆する感覚が現れるのと同様に、夜明けごと夕暮れごと、生と死が訪れるたび、私たちは見えない全体への脅威の念にしばし心が溢れてしまうものです。そうして、見えるものの中の見えないものの広範性、現れているものの中の現れていないものは、リグ・ヴェーダにこう記されているのです。


リグ・ヴェーダ:
聖者の4分の3は天に上り、4分の1はここにまた現れる。その後は、すべての場所に広がる。命あるもの命なきものどちらの世界にも。(Rig Veda 10.90.4)



こうした節は道標であり、この宇宙の広大さの中に現れる時、無限の真実が啓示されます。しかし、ヴェーダではそれほど単純には考えてはいません。真実のシンボルは常に変化し続け重なり合うと認識しています。例えば、昼間の光はアディティア(太陽)の産物である一方、夜の光はアグニ(火)の産物です。ですからアディティアとアグニは兄弟と表現されます。同様に、光の強さは、宇宙の光と人間の人格にある知性のどちらにも象徴されます。ですから、言葉の光とは、太陽の光あるいは知性の力のどちらの意味ともなるでしょう。


ですから、最高の真実はひとつの象徴には制限されず、またどのような自然の力にも具現されません。ヴェーダで根源的に崇められる太陽神でも月神でも雷神でもありません。これらは宇宙の儀式の単なる「司祭」であり、人生の普遍のリズムという形で私たちの眼前でくり広げられる儀式に過ぎないのです。私たちはみな、神も人も、この儀式の一部であり果たすべき役割があるのです。




ガヤトリ・マントラ


では、この考えを個人としてどのようにシェアできるでしょうか?その答えは、ヴェーダの啓示全体の総合的な知恵を包括しているガヤトリ・マントラです。リグヴェーダ(3.62.10)で、ガヤトリ・マントラはガヤトリ韻律(24音節を8音節ずつ3行に分ける)で書かれており、それにちなんで名付けられています。しかし、ガヤトリとはまた「歌い手を守る女性(gaiが「歌う」、traiが「守る」)」という意味もあります。ですから、ガヤトリは神聖なる母の名前であり、子どもを守り自己実現へと導く存在なのです。
ガヤトリ・マントラは次のように書かれています。


Tat savitur varenyam
bhargo devasya dhimahi
dhiyo yo nah prachodayat


しかし、マントラを瞑想で唱える時は、初めに1行追加します。この行は Om の音で始まり、maha vyahritis(「偉大なる言葉」;bhur, bhuvah, svah)という3つの短い音が続きます。ですから、瞑想で使われる完全なマントラは以下です。


Om bhur, bhuvah, svah
tat savitur varenyam
bhargo devasya dhimahi
dhiyo yo nah prachodayat



チャーンドーギヤ・ウパニシャッドでは、最初の行の重要性が説明されています。それによれば、かつて宇宙の神であるプラジャパティが、地と空と天という三つの世界でできた自然を考えていました。そして深い集中によりそれらを導く基本的な力 ー 地を制する火(アグニ)、空を制するヴァーユ(生命力)、そして天空を制するアディティア(太陽)ー を見つけることができました。


プラジャパティは再度深い集中をその3つの「種」である音、導く力に向けて、それらの真髄を得ました。火からはリグ・ヴェーダの節を、生命力からヤジュール・ヴェーダを、そして太陽からはサーマ・ヴェーダを得たのです。


彼はまた集中を、今度は3つのヴェーダに向け、リグ・ヴェーダからは bhuh の音節を、ヤジュール・ヴェーダからは bhuvah の音節を、そしてサーマ・ヴェーダからは svah の音節を得ました。したがって、3つの maha vyahritis は、ヴェーダの真髄であり、火と生命力と太陽の種であり、また地と空と天の種の音なのです。


最後にプラジャパティは3つの vyahritis にまとめて集中し、深い集中を通してひとつの純粋な音である Om の音節を得ました。Om とは「全てはこれである」という意味です。


ガヤトリ・マントラの次の2行は、太陽光、エネルギー、純潔、超越、啓蒙、哀れみ(全てのための太陽光)という概念を崇めています。


tat savitur varenyam 
bhargo devasya dhimahi


これは「私たちは自身の中に呼び起こし、聖なる太陽の存在というその驚くべき真実に瞑想する」と訳されます。


最後の行(dhiyo yo nah prachodayat)では調子が変わります。ここは請願であり、精神の明晰さと直感的な気づきを求めています。マントラは「お導きください」と求めています。この最終行の本質は、最初と最後の言葉に含まれています。最後の言葉 prachodayat の意味は「お導きください、ご誘導ください、道を示してください」。最初の言葉 dhiyah (dhiyo) の意味は単に「思考」ですが、より重要なのは、精神のより高みにある直感的な見通す力を意味していることです。マントラは、精神の最も素晴らしい力である直感的な能力が「聖なる太陽の存在というその驚くべき真実」で導かれるよう求めています。ですから、ガヤトリ・マントラの完全な訳は以下となります。


オウム
万物の3つそれぞれの面において
我らは自身の中に呼び起こし、
聖なる太陽の存在というその驚くべき真実に瞑想する。
我らの内なる見通す力を導きたまえ


ガヤトリは祈りでありマントラでもあります。マントラとしては、太陽に象徴されるより高みにある意識を実現するため、一連の音として瞑想者によって使われます。祈りとしては、神に導きを請うものです。「我が精神に道を示したまえ」と嘆願するのです。この祈りのなかには、霊的な哲学が精巧に説明されています。bhargah (太陽の精神)が、サヴィトリ(太陽の存在)であり、またスーリヤ(太陽)の内なる存在であると示します。祈りとしてのガヤトリは、純粋意識の無限の光である tat を求めるものなのです。


しかし、この純粋意識とは何なのでしょうか?ヴェーダは、純粋意識はより高い天にあり(それによって万物に行き渡っている)、また全ての人間にも存在します。意識は気づきの光です。


さあ、天に上に輝く光は、全ての場所に満ち、どこにも行き渡り、
下にも世界の最も遠い場所にまでも届く。
これは人の中に輝いている光と全く同じ光である。 
(チャーアンドーギャ・ウパニシャッド 3.13.7)


マントラと祈りという二つの役割により、ガヤトリは心を浄化し気づくという素晴らしい力を招いてれくるのです。




サンディヤ瞑想


ガヤトリ・マントラを練習したいなら、朝か夕方、あるいは朝夕に時間をとりましょう。(日の出や日の入りと全く同時に瞑想する必要はありません)。簡単に練習する方法は次のとおりです。


心地よい姿勢で座ります。リラックスした呼吸で、少しの間、鼻腔に流れる呼吸を感じます。心が落ち着いて集中してくるでしょう。


今度は、金色の太陽のような球体をイメージし、その金色の光を自分の中に移していきます。眉間から中へ、そしてその光を胸の中心のあたりへとゆっくりと下ろしていきます。そこで、太陽の金色の光線が身体中に心の中へと広がっていくのを感じましょう。


少し時間をとって、ヴェーダの予言者らに感謝します。そして、胸の中心であるアナハタ・チャクラにある金色の球体の中心で、ガヤトリ・マントラを心の中で繰り返し始めます。胸にある意識が内側にある太陽と溶け合うように、そしてその声が太陽の核から流れ出るかのように暗唱します。そこから、音節の音を自身のすべてに反響させましょう。


マントラを自然だと思われるだけ回数を繰り返します。長時間の練習にはマーラ(マントラの繰り返しを数えるための108個のビーズの数珠)を使うこともできます。自身の中に音を響き渡らせましょう。内なる存在のすべてに満たしましょう。


練習を重ねるにつれ、毎日のガヤトリのリズムが静かな喜びと共にあなたの朝と夕を明るくするでしょう。マントラによって、苦しみの場所から立ち上がり、精神的な確信を取り戻すことができます。毎日の穏やかな練習と気分の高揚、それこそ精神が必要としていることです。そのどちらもをガヤトリ・マントラで得ることができるでしょう。






2024年9月12日木曜日

ストレッチの本当の意味とは? 
Stretching: What Does It Really Mean?


バーベルを頭の上に持ち上げるのに必要なのは何かと尋ねたら、ほとんどの人が筋肉と骨、関節だと答えるでしょう。マラソンを走るのには何が必要かと尋ねたら、心臓と肺、脚だと答えるでしょう。そしてダンスや体操に求められるのは何かと尋ねたら、強さと優雅さ、そして敏捷性と答えます。けれど、柔軟性を高めるのにもっとも大切なのは何かと尋ねると、おそらくキョトンとするだけかもしれません。それでも、ハタヨガを練習している私たちは柔軟性を高めることが最大の挑戦のひとつだとわかっています。体が固まっていればどんなに簡単なポーズでも難しく、そのためインストラクターは常にストレッチをするよう勧めるのです。けれど、ストレッチとは正確にはどういうことでしょうか?


まずストレッチとは、柔軟性を高めようとして、軟骨の制限や、関節包、腱や靭帯を緩めたり、骨格の制限を解放することではありません。軟骨の制限とはゴム製のパッキンのようなものでほんの少ししか動きません。関節包は骨膜関節のツルツルした表面を覆って防御していて、それを緩めようとすると不安定になる危険性があります。骨と骨を繋いでいる靱帯はたった4%伸びただけで裂け始めます。固定されたため異常に短くなっているのでなければ、伸ばすことは到底良い考えではありません。筋肉の腹と骨を繋いでいる腱は、知られているでしょうが、靱帯を同様の構造をしていてあまり伸びません。


私たちができるのは、神経と筋肉の腹、つまり関節を通り越し手足を縦方向に走る二種類の柔らかな解剖学的組織を伸ばすことです。そしてこれらはまさに、ハタヨガで十分な柔軟性を得るために伸ばすべき二つの組織なのです。




筋肉群


筋肉は関節の可動域を必要なだけ改善するためほんの少し伸ばす必要があり、そしてこれが適切な変化の機会を与えてくれます。しかし、筋肉をストレッチする時は各筋繊維を対応しているのでしょうか、それとも結合組織繊維に対応しているのでしょうか?対応しているのは両方です。


実験結果で示されているのは、ギプスで筋肉がストレッチされた位置で固定されていると、その筋繊維は、ルコメアという小さな収縮単位を追加することで長くなっていきます。同様に、収縮状態でギプスで固定されると、サルコメアがなくなって筋繊維は短くなります。


柔軟性を高めるためには、筋繊維の長さを伸ばすだけでは不十分です。その筋肉内部や周りの結合組織の調和した広がりもまた必要で、それには表面の筋膜(一束の筋繊維を覆う結合組織)や個々の繊維を包んでいるものも含まれます。そしてこれが、時間をかけたストレッチで起こっていることです。結合組織は徐々に筋繊維につられていき、筋肉全体が伸ばされ、柔軟性が高まります。ハタヨガのストレッチは、これを引き起こす安全で効果的な方法です。そしてもし何もかもを硬く締めたい時にするべきことは、ストレッチをやめることだけです。筋繊維は短くなり、結合組織は後に続きます。



神経


抹消神経はまた別の話です。神経はストレッチには敏感ですが、ストレッチを制限するための十分な強さをも持っています。神経がストレッチに順応できるのは、ただ周りの組織を通る曲がりくねった経路をとっているからです。そして、各神経繊維は神経そのものを包含する結合組織の中をあちこちと走っているからです。体のストレッチをしている間、周りの組織を通る神経経路全体がまずまっすぐになり、ストレッチが続くにつれて曲がりくねった神経内の個々の繊維もまたまっすぐになります(周りにある結合組織には、神経繊維を傷つけずさらなる約10-15%のストレッチに対応できるほどの弾性があります)。


そうした神経鞘に包まれない神経は全くもって傷つきやすく、ストレッチだけでなくトラウマや緊張した筋肉、骨、靱帯の間の圧迫にも弱いのです。その防御力は完全ではないにしても、神経繊維が安全である10-15%以上のストレッチという極端な場合にもこうした神経鞘は適応が可能です。初期の警告サインは痺れ、過敏、チクチクした痛みなどで、それを無視すると感覚や運動の欠陥が生じることがあります。怪我から守るのにもっともよいのは、気づきと忍耐、つまり神経ストレッチが問題となりうる理由への気づきと、小さな症状が現れてもゆっくりと取り組む忍耐です。



実践しよう


では、筋肉がストレッチにどのように反応するかを見るために、片足首を曲げた座位の前屈をしてみましょう。まず、床に座って片方の脚を前に伸ばし、もう一方の脚を会陰の方向に引きます。腿はお互いが約90度になるようにし、両脚の真ん中あたりに向いておきましょう。次に、型通りにこのポーズに入るため、背骨を45度捻って伸ばした脚の方に向き、両手を頭上にあげたり股関節から曲げようとせずに前屈します。伸ばした脚の腿や足の方へ柔軟性に合わせて両手を下ろします。このポーズを約30秒したあと、ゆっくりと股関節から腰へと起き上がります。最後に、頭と首を持ち上げます。反対の脚で繰り返しましょう。






この片足への前屈はいくつかの意味で有益です。一つ目は、片方の膝を曲げることで片方のハムストリングスだけをストレッチできます。二つ目は、両側の内転筋をある程度ストレッチしていますが、前屈した方は膝が伸びているのでより強いストレッチになります。これは片側の内転筋に働きかけることのできる最良のポーズのひとつです。最後に、骨盤が45度に傾いた前屈は背中のストレッチよりも股関節や腰への負担が小さく、ビギナーにとってより効果の高いポーズとなります。



このポーズに慣れてきたら、バリエーションを試しましょう。また最初の姿勢になって右膝を伸ばします。今度は右足の方に手を伸ばさないで左の肘で左膝を押します。(ほとんどの生徒はここで右臀部が床から浮きますが、それで構いません)次に手を伸ばして両腿の真ん中の床へと右手をスライドします。そして内転筋の伸長をいくらか解くために左側へ3分の2のところへ手を伸ばします。そして最後に、右側から3分の1の場所でストレッチを深めます。






最後に、このポーズを探求したのち、もとのポーズまでもどってまっすぐ右足の方へと手を伸ばしましょう。より深く前に行けるのに気づくでしょう。ハムストリングスの抵抗は先ほどと同じくらいですが、伸ばした膝からずらしたストレッチがそちら側の内転筋を伸ばしたのです。より深く手が届いた距離が、最初のポーズにおけるあなたの限界に内転筋がどれほど貢献していた大体の長さです。





これらのポーズを1分間ほどホールドすると、主に神経系に働きかけていることになり、筋肉が弛緩していきます。しかし全身の力を緩めて忍耐強くより長時間ホールドすると、やがてサクロメアが徐々に内転筋やハムストリングスに増えていき、そのあとから結合組織が続き、そして長くなった筋肉と結合組織がより深い前屈を可能にしていくのです。末梢神経に関してはチクチクした痛みがなければ問題がないと考えられますが、もしそんな症状があるなら長くなった筋肉に順応するまでもう少し時間がかかるかもしれません。



注意:柔軟性を高めるには、受動的なストレッチに加えて立位ポーズなど強化エクササイズを含んだバランスの取れたポーズを常に心がけて下さい。妥協点を見つけてください。1、2箇所の筋肉だけ(例えば内転筋とかハムストリングスとか)を伸ばそうとしたら、体のバランスは崩れ、変えてしまった新しい状況に馴染むことができずすぐに怪我をすることになる恐れがあります。体全体をみて取り組み、全体的により強くより柔軟になることが大切です。




最終的な分析


研究では、筋肉の長さが長時間のストレッチで伸びること、長引く収縮で短くなることを確実に示しています。また、筋肉、神経どちらも包んでいる結合組織は過度にストレッチされていまうこともはっきりとしています。しかし、この方程式にはもうひとつの要素があります。神経系は筋肉の弛緩と緊張のどちらに対しても中心的な役割を果たしており、それによってストレッチや制限を促進しています。では、結局動きを制限しているのは、神経系の能動的な役割と結合組織の受動的な役割どちらなのでしょうか?普段の動きの中では神経刺激が筋細胞を刺激し続けるため、確かなことは一方からしかわかりません。深い麻酔にかかっている時、つまり骨格筋細胞全て(呼吸に必要なもの以外)を神経系が刺激していない時の可動域を調べることです。


これについては研究が終わっています。手術室にいる人は誰でも、麻酔されている患者の筋肉はとても緩く関節が外れてしまわない様にする必要があることを知っています。そしてそれは、目覚めている時には極端に硬直している患者にも起こります。では、セラピストが関節周りの可動域を大きくするために麻酔を使って柔軟性高めることは可能でしょうか?答えは、神経系の防御がなければ、筋繊維や結合組織の繊維、そして神経などの組織は裂けてしまうということです。これは、結合組織が限界までストレッチすることがあるとしても、日常生活で実際的な制限をかけているのは神経系だということを証明しています。限界に達した時、神経系は痛みや震え、力が入らないことなどによってやりすぎだと警告をしてくれますが、もっとも重要なことは組織が裂かれてしまう前に警告が出されていることです。





脳と筋肉のつながり


脳の小さな部分である小脳は、筋肉の緊張や調整、バランスをコントロールしています。自己受容体からの神経繊維は大脳皮質(意識的な思考や感情に関連した脳の部分)に向かっています。ですから、脳には継続的に感覚の流れがあり、脳からは継続的に意識的、無意識的な運動インパルスが流れています。


柔軟であることの長期的な利益は、筋肉を締め付けている結合組織をストレッチする能力によりますが、その能力は防衛反応を緩めることができるかにかかっており、つまり精神的にリラックスする能力に関係があります。


あなたの心の状態と感情の強さの方が、筋肉の抵抗よりも克服することが難しいのだと気づいておくことが不可欠なのです。










(出典)https://yogainternational.com/article/view/stretching-what-does-it-really-mean/

2024年7月1日月曜日

マルハナバチの呼吸の練習 5つの方法 
5 Ways to Practice Bhramari


「息を吐きながら、雌ミツバチの音をだしましょう」バンガロール郊外にあるスワミ・ヴィヴェーカーナンダのアシュラムでのクラスに参加していた時、サリーに身を包んだインストラクターが優しく穏やかに言いました。同じ年の後半、ロッキー山脈の会議でもまたハチの羽音のプラナヤマをロッド・ストライカーと共に行う機会がありました。標高が高かったせいなのか、それともその日のストライカーの教え方が良かったのか、その日はこの古代のブラマリの練習はどういうわけか私の身に染み込んできました。穏やかさと明瞭さを感じ、クラスが終わっても長い間私の中でその音が共鳴し続けました。そうして毎日練習するようになり、今では数年になります。ブラマリによって音波の物理的な振動に敏感になり、全く思いがけないことに、それまであまりやろうとしなかったチャンティングをやりたいと思うようになったのです。



ブラマリの効果


ブラマリは安全で容易に習得できる実践で、とてつもない癒しの可能性を持っています。他のプラナヤマと同様、その力は自律神経(ANS)に対するいくらかの効果にあります。吸気よりも呼気を長くすることで、自律神経の鎮静の副交感神経が活性化されます。心配や不安(ラジャが強い)に伴う鬱に悩まされる人にとって、この実践は数呼吸のうちに心を落ち着かせ始めることができます。ブラマリの絶え間ないぶうんという音は、感情的な苦痛を増加させる頭の中の終わりのないループを消し去ってくれ、瞑想するには心が『忙しすぎる」人にとって有益な出発点となります。




始めましょう


床や椅子の上で心地よい姿勢で座ります。床に座る場合は、太腿が降りて腰椎が自然な曲線を保つのに必要な支えを骨盤の下におきます。椅子の方が良ければ、太腿が下向きになって両足が平らに床に付くよう、少し前に移動して座面の端に座りましょう。(足が床に付かなければ、2つのヨガブロックの上に載せます)


常に力とくつろぎとのバランスを取ります。穏やかな音量で羽音を出しますが、無理に出そうとはしません。顔の筋肉を緩め、上下の唇は軽く触れた状態で、顎の力を抜き、上下の歯は少し離しておきます。羽音の音を心地よい範囲で長く吐いて、息を切らさないようスムーズに息を吸います。不安を感じ始めたら、無理をせず普通の呼吸に戻りましょう。





基本のブラマリ


心地良く座りそっと目を閉じます。1、2回呼吸をして落ち着き、心の状態に気づきます。準備ができたら息を吸って、それから息を吐き切って喉から中低音でハミング音を出します。音の波が舌や歯、鼻腔を優しく振動するのに気づきます。音が頭全体に振動しているのをイメージしましょう(実際に振動しています)。この練習を6回繰り返してから、目を閉じたまま、普通の呼吸に戻りましょう。何か変化があったかに注意をむけます。




無音のブラマリ


もう一度、1、2回呼吸におちついて準備します。基本のブラマリを6回行います。6回終わったら、無音のブラマリにうつります。吐く息ごとに羽音を出していることをイメージします。6回行いましょう。顔や鼻腔に振動の感覚が感じられるかに注意を向けます。




シャンムキ・ムードラのブラマリ(バリエーション




ブラマリの効果を強める方法のひとつは、シャンムキ・ムードラです。ブラマリは、プラティヤハラを促し五感を内に向かわせるので、外的な五感へのインプットを指でいくらか遮断することでその効果を高めることができます。まずは簡単なバージョンを試しましょう。親指で耳珠(耳の入口の軟骨の出っ張り)を押し、外耳道を閉じます。中低音のブラマリを6回繰り返しましょう。終わったら、手を下ろして普通の呼吸をします。




シャンムキ・ムードラのブラマリ(伝統的)





背筋を伸ばして座り、両手を顔に、親指は耳珠、人差し指は目頭に軽く触れ、中指は鼻の横、薬指は唇の上方、そして小指はその下におきます。眼球にはほとんど圧力がかからないように気をつけましょう。中低音のブラマリをさらに6回行い、両手を下ろして効果に意識を向けます。もし不安や鬱、閉所恐怖症などがあれば、シャンムキ・ムードラでくつろぐことはできないでしょうから、やらない方が良いでしょう。





高音のブラマリ


音を出している時は、感じようと感じまいと、頭のてっぺんからつま先まで文字通り振動しています。異なる高さの音は異なる周波数で振動しています。ベースの音や低い音はゆっくりと振動し、高い音は1秒に何千回という速さで振動します。


リラックスして座る姿勢に戻ったら、目を閉じて数回普通に呼吸をします。次に、シャンムキ・ムードラをして、あるいはせずに高音のブラマリを6回行いましょう。どこに振動を感じるかに意識を向けます。おそらく、低音と比べて頭の高い位置に振動を感じるでしょう。高音のほうがより刺激を感じるでしょうか?さまざまな音程、音量の音を試して結果を比べてみましょう。







ブラマリの処方


ブラマリの治療に応用できる可能性を科学的に研究したものはとても少ないのですが、ヨガの伝統は、うまく選んだ音には力強く健康によい効果があることを教えてくれます。ブラマリの音波が甲状腺に直接的な効果はないとわかったとしても、その効果はより調和のとれた神経系、穏やかな心、気づきの高まりなどが含まれることでしょう。このように、今ブラマリを終えたばかりの状態で、また背筋をのばして座りオームなどよく知ったチャントを数回唱えてみて全く新しい様子で聞こえてくるかどうかを見てみましょう。


音が共鳴する場所と同様に、異なる音程や音量のエネルギー的効果もまた、特定の状況で最もどのブラマリに最も効果があるのかを示唆してくれることでしょう。
  • 不眠:静かで低い音を、シャンムキ・ムードラをしながら行うと神経や心を落ち着かせることが可能かもしれません。
  • 副鼻腔感染や鼻詰まり:より強力な中高音程の音が通路を開くのにより良い選択かもしれません。
  • 甲状腺の問題:中音程でジャランダーラ・ムードラ(顎で閉める)を使いながら喉に音波を送る。
  • ストレス:無音バージョンを試しましょう。仕事中や外出中などで周囲の誰もがもあなたが何をしているのかに気づきません。







2024年3月27日水曜日

足裏の英知:アーユルヴェーダの足マッサージの効能 
Sole Wisdom: The Benefits of Ayurvedic Foot Massage

今回は足のオイルマッサージについてです。
アーユルヴェーダでは、ハーブエキスの入ったオイルを使うことが多いのですが、手に入りやすい太白ごま油(透明のごま油)やココナツオイル(寒い時期、冷え性の人は避けましょう)などを使ってもいいでしょう。アレルギーの可能性のある人は、まずは少量を皮膚にのせてみて確認してみてください。

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多くの精神的伝統では心身はつながっていると信じられていますが、足裏もまたつながっていると考えられています。世界中の信者らが彼らの指導者の足に触れたり、洗ったり、キスをして愛や敬意を示します。ヴィシュヌ神の足跡は、アジアの至るところの寺院や聖地で崇拝されています。そして古代エジプトでは、死者の魂を肉体から解放するため、葬儀人がミイラにする時に死者の足裏を取り除いていました。



古代中国やインド、エジプトなどの伝統治療法でもまた、足裏は全身の健康を写す鏡の役割をすると考えられていました。今日では、米国足病学協会がこの知恵を踏襲し以下のように述べています。「関節炎や糖尿病、神経や血流障害などの初期症状は足に表れることがある。したがって足の病は、より深刻な医学的問題の最初の兆候である可能性がある」



扁平足だったり、単に1日の終わりに足裏の痛みや疲れがあったりする時は、5分間の時間を取ってアーユルヴェーダの足マッサージをしてみましょう。ストレスや疲労を緩和するだけでなく、免疫を活性化し、感情のや3つのドーシャのバランスを取ることができます。自分の足裏を意識しながらケアすることで、心身と魂の健康を基礎が作られます。アーユルヴェーダのエキスパートであるヴァンサント・ラド氏のご厚意による転載、シャノン・セクストン氏の Sleep Better Tonight! 6 Bedtime Rituals からの抜粋である以下の手順を参考にしてください。




  • 椅子やベッドに座り、温めたセサミオイルやブラフミオイル、ジャタマンシオイルなどを両手で擦り合わせます。手のひらや指先を交互に使い、頭皮に小さな円を描くように2分間マッサージします。それから、両足へと移りましょう。


  • さらにオイルを足して右足の足首から爪先まで、小さな丸い動きでマッサージします。そして、足首から踵へ、そして足裏へ。


  • 手の親指で足の甲のスネの付け根辺りを押します。優しくゆっくりと足の親指の方へ滑らせましょう。


  • スネの付け根まで戻り、手の親指を足の人差し指まで滑らせます。中指、薬指、小指にもこの動きを繰り返しましょう。


  • 右足首を左膝に乗せ、右手を右足の甲に置いて手足の指どうしを組み、足を内側、外側へ動かして、そして回しましょう。


  • 組んだ指を放し、右手の親指で足裏の内側を足の親指から踵まで押していきます。


  • 手の親指を足裏の外側にも、足の小指から踵まで滑らせます。


  • こぶしを作って足裏を小さな円でマッサージします。それぞれの足指を、関節を鳴らすかのようにゆっくりと外側に向かって引っ張りましょう。


  • この一連の手順を左足でも繰り返します。



マッサージが終わったら、温めた塩水をバケツに入れて両足を5分間浸し、ストレスや緩んだ毒素を引き出します。木綿のソックスを履き、枕にタオルを置いて眠りましょう。(朝は、長めのシャワーを浴びます。シャンプーで髪についたオイルを洗い流しましょう)













2024年3月12日火曜日

心臓の健康へのヨガの5つの効果 
5 Heart-Health Benefits of Yoga

ヨガが高齢者の健康に大きな効果をもたらすことはすでに知られています。
そのひとつは、心臓にとても良いということです。






ヨガが心身に良いのは、柔軟性や体力増強、エネルギーや気分向上などの効果をもたらすからです。また、心臓にも良いというますます多くのエビデンスが出てきています。


何千年も前のインドに起源を持つヨガは、これまで数多くの臨床研究の対象となっており、太陽礼拝やダウンドッグなどに対するエビデンスは強固になってきています。一例を挙げれば、米国心臓学会の2023年アジア会議で発表された研究では、ヨガが心不全患者の循環器機能向上とともに、忍耐力、体力、バランス、そしてQOLを向上させることが認められました。


もし心臓に問題があるのなら、どのレベルのヨガがあなたに適しているのか医師に確認しましょう。もしヨガを始めようと思っている、あるいは健康に不安がある場合は、クラスの前にインストラクターに相談しましょう。インストラクターが、一緒にクラスが受けられるようにコツやバリエーションを教えてくれるはずです。



1. ヨガは体の運動を促す


CDC(米国疾病予防管理センター)によれば、運動不足は、米国の男女No.1の死因である心臓病の原因になります。


しかし、遅すぎることはありません。研究によれば、ヨガをする人はより活動的で健康的な食事をする傾向が高く、それが心臓を守ってくれています。2018年5月「International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity」で発表された研究では、ヨガを習慣的に実践している若年層はより健康的な食生活を送っており、より中高レベルの運動をより長時間行っているとわかりました。2020年8月の「International Journal of Environmental Research and Public Health」に発表された他の調査では、ストレッチをするエクササイズは、心臓や全身に血液を送り出す動脈硬化を著しく減少させ、中高年層における心機能を向上させることを示しています。


米国心臓協会(AHA)が薦めるのは、総合的な心臓の健康のためには中程度の有酸素運動を少なくとも30分、週に5日以上行うことです。中強程度の筋トレを週に2日以上行うと、より効果が得られるそうです。



2. ヨガがストレス解消に


ストレスがどれほど心臓病に関係しているのかを研究者もはっきりとは確定することはできない一方で、ストレスが心臓病のリスクを上げる習慣や要因を増加させる可能性があります。これには、喫煙や運動不足、過食、高血圧などが含まれます。


ヨガの実践者には、精神衛生の向上、リラックス感の増加、気分の向上などがみられると研究で示されています。心身の実践は、落ち着こうとする神経である副交感神経を調整するのに役立ちます。2020年8月「Stress & Health」で発表された研究では、呼吸法や瞑想をするヨガクラスの参加者のストレス受容減少とマインドフルネスの高まりが示されました。


「ほとんどのストレス解消テクニックでは、呼吸に意識を向けます」ミシガン州ビンガムファームスの「Kahn Center for Cardiac Longevity」の循環器医師ジョエル・カーン博士はそういいます。「全てのヨガで不可欠なもののひとつは、呼吸への気づきとよりマインドフルであることです。つまり、外から見てわかる、あるいはわからないストレス解消の意識付けが、ほとんど全てのヨガクラスに内在しているのです」



3. ヨガが高血圧リスクを下げる可能性も


2021年9月の「Scientific World Journal」で発表の系統的な再調査では、ヨガで高血圧をコントロールできる可能性を示しました。


瞑想や呼吸、ヨガの練習が、高血圧前症の患者における拡張期・収縮期血圧(血圧の最高と最低の値)を下げるとされる数多くの研究を再調査しました。再調査では、体系化されたヨガポーズや呼吸法の「服用量」は確認できなかったものの、高血圧や心臓病を起こす可能性をヨガが減らすことができると研究者らは結論づけました。


「ヨガの生理学的な効果は、神経系の福交換神経を高めることだということはわかっています」コロンビア州のミズーリ医科大学の産科医であり、ヨガの血圧に対する効果の研究を行っているシャミタ・ミスラ医師は述べています。「心拍を下げ、心臓の働きを抑えます。心拍が少なくなればなるほど、そのひとつひとつはより強くなります」



4. ヨガは不整脈を落ち着かせる可能性も


心房性細動は、早かったり不規則に打つ異常な心拍リズムのことで、心不全やその他合併症の原因となります。2022年の「European Society of Cardiology Congress」で発表された研究では、ヨガが心房性細動患者の症状を抑える可能性を示唆しました。研究は、2012年から2017年、538人に対して実施されました。被験者らは、12週間ヨガをしないで、その後16週間毎日、ポーズや呼吸を含めたヨガのセッションに30分参加しました。その16週間の間は、被験者たちの発作の回数が減少しました。


「心房性細動患者の治療の中で、発作回数を減らすのにヨガが役立つ可能性があるかもしれない」ニューヨークのブロンクスにある「Cardiac Wellness Program at Montefiore Medical Center」の創設者であり管理者のロバート・オストフェルド博士はそう述べています。



5. ヨガは共同体意識を促す


心不全など深刻な心臓疾患を経験した患者の多くは、社会からの孤立感を感じたり、うつ状態になったりすることがあります。「外出するのが安全ではない、外出するほど元気でないと感じるのです」オストフェルド博士は言います。「初めて自らの死に向き合っているからでしょう。あるいは、今まで可能だったこと全てができるわけではないという事実に直面したからかもしれません」


ヨガがそれに役立つかもしれないというエビデンスがあります。米国医学協会の機関誌に発表された研究では、メイン州の農村で、循環器リスク要因と行動変化を対象とした共同体プログラムに参加することが、死亡率や入院率の低下と関係があることがわかりました。


ヨガは共同体意識をもたらすことができ、それが鬱や孤独感を和らげます。「ヨガクラスでは、安全な環境の中で、他の人と一緒に流れるように動いて繋がることができます」カーン博士は述べてます。「社会的交流の効果を数値化することは困難ですが、もし健康問題のある人たちが自宅にいるような心地よい環境にいられれば、人はより健康的な選択ができるようになると考えています」


ヨガはまた、特に認知行動療法など通常の治療と組み合わせると鬱症状を緩和することができると、2019年5月に「American Family Physician」に掲載された研究が示しています。また2023年9月に「International Journal of Old People Nursing」で発表された再調査では、60才以上の成人で、鬱や不安症のレベルがヨガで向上することがわかりました。




自分に合ったヨガクラスを選ぶ方法


ヨガクラスを試したくなりましたか?ヨガには多くのスタイルがありますが、ひとつだけにこだわる必要はありません。また、難しい1時間のクラスに飛び込んでもすぐに効果があるというわけでもない、とミスラ博士は言います。
「そんなに長い時間は必要ありません。私の研究では、ただヨガの呼吸を15分行っただけで結果がみられたからです。しかし、有益な結果を得るために何分間のヨガが必要なのかというような情報はありません」


  • ハタヨガは、西洋社会で通常行われているヨガの流派で、身体的なポーズの練習のことを示します。ヴィンヤサ、アイアンガー、アシュタンガなどのヨガがありますが、これらすべてはハタヨガに分類されます。どんな運動でもm始める前に医師に確認しておきましょう。

  • ヴィンヤサ・ヨガは「フローヨガ」とも呼ばれ、呼吸と動きの組み合わせが中心となります。クラスは、パワーヨガやアシュタンガなどペースが速く強度の高いものから、スロー・フローやアライメントを重視したクラスなど健康状態や身体的な制限がある人やビギナーに適したより穏やかなものまであります。

  • ホットヨガは熱した室内で行われます。今は様々なタイプのホットヨガがありますが、最も人気があり最も熱いのがビクラムヨガで、40°Cにまで熱した室内で26のポーズと2つの呼吸法を行います。心臓に何か問題がある人や極度の暑さに敏感な人などは体調を悪化させる恐れがあるので、オストフェルド医師によれば、このヨガは避ける方が良いでしょう。

  • アイアンガーヨガは異なるポーズを通して体のアライメントに注目するタイプのヨガです。他のスタイルのヨガとは異なり、個々人のスキルレベルや体のタイプに適合するよう、椅子やブロック、ベルトなどのプロップスを使います。

  • 「トグロを巻いた蛇」という意味のクンダリニヨガは、呼吸法、チャンティング、音楽、瞑想、そして動きを組み合わせたものです。その目的は「蛇を解」き、背骨の基底部から頭頂までのエネルギーを解いて7つのチャクラ(体内のエネルギーがある場所)を目覚めさせることです。よりスピリチュアルなヨガであるクンダリニは、ストレスや不安を解消するのによい選択となるでしょう。

  • よりゆっくりとしたスタイルの陰ヨガは、同じポーズを5分以上保つので、ビギナーが始めるには難しいかもしれません。またこのスタイルは瞑想的な性格を持っているので、クンダリニヨガよりは少し身体を動かしたいけれどヴィンヤサヨガほど動かないクラスを探している人にはぴったりかもしれません。

  • ゆっくりと穏やかなリストラティブヨガは、呼吸に集中できるような長く保つストレッチで全身を開くことに重点を置いています。様々なポーズで全身をサポートするため、ブロックや枕、クッションなどプロップスが使われます。この安らぎを与えてくれるヨガは、痛みを緩和し精神的な幸福感を高めるのに良い方法です。






2024年1月15日月曜日

坐骨神経痛のための10のヨガポーズ Vol.1
10 Yoga Poses for Sciatica Pain Relief


坐骨神経痛とは?なぜヨガがいいのか?



坐骨神経は、腰から臀部の深いところを通り腿へ、そして脚の横を通っています。坐骨神経痛の原因は、圧迫や炎症、坐骨神経や腰椎の損傷です。また、固まったり、使いすぎたりして損傷した筋肉が原因で坐骨神経痛は起こることもあります。


坐骨神経痛の痛みは、ピリピリ、ズキズキ、また燃えるような感覚で、脚に沿って下方へと走ったり広がったりします。また、痺れやチクチク感、炎症を感じることもあります。大抵の場合、坐骨神経痛は体の片側だけに現れます。


坐骨神経痛は、多少の不快感を起こすようなちょっとしたやっかいごとにすぎないことも多いのですが、深刻な痛みを起こすこともあります。


2013年の小さな研究では、コブラのポーズやバッタのポーズなどのヨガポーズが、坐骨新の症状を和らげるのに効果的だとわかりました。2017年に始まった研究でも、ヨガには以下の効果があるとされています。
・慢性の腰痛を和らげる
・運動機能を向上させる
・鎮痛剤の使用を減らす



では、坐骨神経痛を予防、緩和、治癒させるためにヨガをどのように使用できるかを深く探ってみましょう。




1. こどものポーズ(バラアサナ)


こどものポーズは、体を感じ取りリラックスさせる素晴らしい方法です。背骨を長く伸ばし、股関節や腿、腰の柔軟性を促し開きます。



支えが必要なら、腿や胸、額の下にクッションやボルスターを置きましょう。
  1. 四つ這いから始めます。
  2. 両膝を揃えて踵の上に腰を下ろします。
  3. 両腕を前に伸ばすか、体の傍に休ませます。
  4. 上半身を完全にリラックスさせて、腿の上に重く下ろしましょう。
  5. 深い呼吸を意識し、体全体のこわばりを解いて気持ちをリラックスさせます。
  6. このポーズを5分間保ちます。


2. 下向きの犬のポーズ(アドムカ・シュヴァナサナ)


この前屈ポーズは、体のアライメントを整え、痛みやこわばりを解きます。下向きの犬のポーズは、全身を強化しながらバランスを整えるのに役立ちます。



  1. まずは、四つ這いになります。両手を押して腰を天井の方向へ持ち上げましょう。
  2. 上腕の横に耳がくるように頭を下げるか、顎を胸の方まで引き下げます。
  3. 両膝を曲げて骨盤をやや前に傾けます。
  4. 直感的に心地よいと感じられるよう体の位置を調整しましょう。
  5. このポーズを1分間保ちます。


3. 三日月のポーズ(アルダ・チャンドラサナ)


三日月のポーズは、体を強化、安定させバランスを養います。柔軟性を高め、緊張を解き、背骨や臀筋、腿をストレッチします。



このポーズは壁を使い安定させて行います。手の下にブロックを置いても良いでしょう。


  1. 右足を前にした立位のポーズ(三角のポーズなど)から始めます。
  2. 右膝をやや深く曲げて体重を右足にかけていきます。
  3. 左手を腰におきます。
  4. 左足を数センチ前にスライドさせながら、右手を右足から右前の床に伸ばしましょう。
  5. 床を並行になるまで左脚を持ち上げて、左のかかとに向かって蹴ります。
  6. 前を見たまま、上半身を回転さえて股関節を開きます。
  7. 深めるには、左手を天井の方へ持ち上げて、視線も上に向けましょう。
  8. このポーズを1分間続けます。
  9. 右脚を曲げながらゆっくりとポーズから出て、左脚を床に下して元の位置に戻りましょう。
  10. 左足前にして繰り返します。



4. コブラのポーズ(ブジャンガサナ)


この穏やかなポーズは、背骨を強化、ストレッチし、血流と柔軟性を高めます。



  1. うつ伏せになって、両手を肩の下におきましょう。
  2. 脇を締めます。
  3. 息を吸って頭、胸、肩を持ち上げます。
  4. ひじを少しだけ曲げたまま、胸を開き続けます。
  5. 腿、腰、腹部に力を入れておきます。
  6. 30秒間保ちましょう。
  7. ポーズから出たら休んで、1-3回繰り返します。


5. バッタのポーズ(シャラバアサナ)


このポーズは、背骨、臀筋、腿を強化します。コアと腰を安定させます。また、股関節の血流や柔軟性を高めます。




  1. うつ伏せに横たわり、背中側で両手を組んで骨盤におきます。
  2. ゆっくりと胸、頭、腕をできるだけ高く持ち上げましょう。
  3. 両腕を体から遠くへと離していきます。
  4. 深めるには、両脚を挙げるか、片脚ずつ挙げましょう。
  5. 臀筋や腰、腹筋を使います。
  6. 30秒間維持しましょう。
  7. ポーズから出て元の位置に戻ります。
  8. 優しく腰を左右に揺らしながらリラックスし、呼吸数回の間、休憩します。1-2回繰り返します。



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次回に続きます。

2023年7月20日木曜日

記憶力を自然に高める方法
Boost Your Memory Naturally


誰かと会う約束を忘れてしまっていた?鍵を無くした?顔は覚えているけれど名前は思い出せない?こうした物忘れは、特に40歳をすぎればよくあることです。けれど、そうである必要はありません。アーユルヴェーダによれば、何歳になっても記憶力を高めることはできます。以下のヒントが、あなたに合うかどうか試してみましょう。



活動的でいる


週に5回以上、新鮮な空気の中を30分歩くか、ハタヨガの太陽礼拝を12回繰り返しましょう。肩立ちや鋤のポーズなどの逆転ポーズで、脳への血流を増やしましょう。



呼吸する!


ヨガの実践である、片鼻ずつの呼吸や「アヌロマ・ヴィロマ」は、左右の脳を活性化し記憶力を高めます。あるいは以下を試してみましょう。前を見てまっすぐ立ちます。そっと息を吸い込んで、頭を後ろに倒しながら喉頭蓋(舌の根本のすぐ後ろにあります)を締め付けて、吸い込む息の最後で空を見上げましょう。息を吐き出しながら、喉を締めたままゆっくりを顎を胸に引いて、地面をみます。貝殻を耳に押し付けた時に聞こえる海のような音がしたら、正しくできています。これを7回繰り返しましょう。



学ぶ


記憶は筋肉のようなものです。使わなければ弱くなります。新しいマントラや詩、サンスクリットの書物などを練習して、そらで唱えられるまで毎朝繰り返し頭を鍛えましょう。そしてまた新しいものを覚えていきます。



脳に栄養を


アーユルヴェーダによれば、記憶力を上げる食べ物はサツマイモ、オクラ、ほうれん草、オレンジ、にんじん、牛乳、ギー、タピオカ、アーモンドなどです。



体と心を解毒する



アーユルヴェーダのお米と豆の料理であるキチャリだけを5日間食べると、記憶力を弱めたり病気の原因となるアーマ(毒素)が体から取り除かれます。
キチャリの作り方です。バスマティ米1カップと黄色のひいたムング豆1カップを2度洗いましょう。お米と豆に刻んだコリアンダーの葉を少し足して、6カップの水に入れ、時々かきまぜながら5分間煮ます。弱火にしたら蓋を少し開けたまま25ー30分火にかけましょう。生の刻んだコリアンダーの葉と小さじ1のギーをかけて、1日3回5日間キチャリを食べると心身ともに浄化されます。



ハーブ


アーユルヴェーダの書物の中には、「メディャ(記憶力を高めるという意味です)」と四バレル記憶力を高めるとされる特別なハーブ類が書かれています。これらの中で最良のものは、ブラフミ、ジャタマムシ、ブリンガラジ、シャンカ・プシュピで、オンラインやインド食品店などで購入できます。こうしたハーブの摂り方は以下です。


記憶力向上ハーブティーを作りましょう。上記の4つのハーブを足した小さじ一杯分を、1カップのお湯に10分間浸します。1日2回、濾したお茶を空腹時に飲みます。


鼻腔にオイルを塗布しましょう。アーユルヴェーダでは鼻は脳、つまり記憶の入口とされています。そのため、ある花の香りでニューヨークのセントラルパークを散歩した日を思い出したり、マリナラソースの香りで家族のパーティを思い出したりするのです。嗅球(嗅覚に関連する脳の神経中枢)を刺激するには、温めたブラフミのギーを両方の鼻に5滴(オンラインで購入できます)、就寝時に横たわって天井の方に頭を傾けて垂らします。そしてそっと数回吸い込んで副鼻腔のほうへオイルを吸い込みましょう。


ブラフミのミルクを飲みましょう。小さじ1/2のブラフミとサフラン少々を1カップの牛乳で煮ます。牛乳が3回沸いたら濾し、少し冷まして飲みましょう。

2022年8月24日水曜日

ホットフラッシュ?更年期の症状を緩和するヨガ Vol.2
Feeling a Hot Flash? How Yoga for Menopause Might Help Your Symptoms



更年期症状のためのヨガポーズ

以下が、更年期によくある症状とそれらを緩和するおすすめのポーズです。



ホットフラッシュのためのヨガ




最もよくみられ(そして不思議な)症状のひとつホットフラッシュは、おおよそ80%の女性が閉経周辺期に体験します。体の中心部温度上昇に伴う心拍上昇、これらの「パワー・サージ」は、顔のほてりから始まって首や腕にまで至ります。ホットフラッシュは、現れた時と同様にすっと消え、多くの場合、体が体温変動を正常に戻そうとして、湿って肌寒く感じます。


ホットフラッシュの本当の原因は何なのかは知られていませんが、学説はさまざまあります。視床下部が重要な役割を担っているという人もいます。その他、体内のホルモン変動が血管や神経末端を刺激し、血管を過剰に拡張させて熱くほてった感覚を作り出しているという可能性もあります。ほとんどの研究者(そして多くの更年期女性)は、ストレスや疲労、集中した活動などがこれらの症状を増大させることを認めています。


ウォールデンは、落ち着かせるレストラティブなポーズをより多く取り入れることを勧めています。体内のどんな握りしめや緊張もホットフラッシュを悪化させる可能性があるため、ボルスターやブランケット、ブロックなどのプロップスを使用して全身を支えると良いでしょう。例えば、前屈の時に頭をボルスターや椅子に置くと、脳を落ち着かせて神経をリラックスさせるのに役立ちます。支えのある横たわったポーズはまた、完全なリラクゼーションを促すことができます。例えば、横たわった合蹠のポーズや横たわった英雄のポーズなどは、下腹部を柔らかくして、胸やお腹の強張りを解き放ちます。椅子に両脚を置いたアルダ・ハラサナ(半分の鋤のポーズ)は不安定になった神経を鎮めます。



記憶のためのヨガ



更年期の間は、突然思考の流れを見失って整理することができなくなる人がいます。この頭のぼんやりは、ホルモン変動が大きい時に起こります。思春期の少女や妊娠中の女性、産後の女性は、同様の頭のぼんやり感を訴えることが多々あります。ヨガは、特に睡眠不足や感情の揺れによって症状が悪化している時に、この混乱を取り除いてくれます。後屈や胸を開くポーズ、逆転のポーズなど鬱を抑制するのと同じポーズが、ばらばらになった思考をまとめるのに役立つとウォールデンは言います。


また、アドムカ・シュヴァナサナ(下向きの犬のポーズ)は、血液を脳に送って深く集中した呼吸を促し、精神の集中を向上させます。そしてシャヴァサナ(屍のポーズ)は神経を落ち着かせ、心を鎮めて、体を休息状態へと導きます。


こうしたアサナは、更年期やその後を進む時に、女性が身につけておけるツールの一例です。今までにヨガをしたことがないのなら、体が手に負えないと感じる時に素晴らしい救いとなってくれるでしょう。ヨガが連れ合いとなって長いなら、体が必要としているものへと練習を変えていく良いタイミングかもしれません。結局のところ、ヨガの価値は生涯なのですから。アリソンが言うように「特に人生のこの時期で、私はヨガからとてつもない多くの恩恵を得ました。肉体的に体の状態も良くなったし、精神的な浮き沈みを助けてくれました」




疲労のためのヨガ




閉経周辺期で女性が訴える症状の中でも、ホットフラッシュに次ぐのは疲労感です。特に疲労感が鬱や倦怠感を伴う場合は、プロゲステロンの急減がその原因かもしれません。数日や数週間続く説明がつかないほどの疲労感を感じるなら、副腎の消耗が一因かもしれません。


どちらにしても、支えのある優しい後屈をウォールデンは勧めています。そうしたポーズは、胸や心臓の辺りを開き、大抵はエネルギーや決断力、喜びを与えてくれるからです。その中で彼女のお気に入りのひとつはこのスプタ・バッダコナサです。この深いレストラティブのポーズは、平穏と滋養の感覚を教えてくれます。また、胸を開いて呼吸や血流を促し、体を完全に支えながら気分を高めます。



不安、イライラ、不眠のためのヨガ




閉経周辺期の間は、エストロゲンが急増し(あるいはプロゲステロンが急減)、不安や神経過敏、イライラが起こります。副腎が酷使されて疲弊すると、それもまた不安や強いイライラを引き起こす可能性もあります。(多くの代替治療では、ストレス、質の悪い食事、睡眠不足などに常に対処し続けることで、副腎が疲弊すると考えられています)


人がストレス下にあると、ストレッサーと戦うため交感神経が反応して心拍数が上がり、消化管の筋肉の動きが遅くなり、脳への血流が増加します。


ストレスがなくなると、副交感神経が反応して、その逆のことを行います。つまり、心拍数がゆっくりと正常に戻り、消化管の滑らかな筋肉が刺激され、体内組織のバランスが戻ります。


身体が絶え間ないストレス下にあれば、交感神経系や副腎(ストレスに対抗するホルモンや、エストロゲンに変換される男性ホルモンを作ります)がフル回転して動けなくなってしまいます。


ウォールデンによれば、ウッターナサナ(立位の前屈)やプラサリタ・パドッタナサナ(開脚した立位の前屈)などの前屈で、ボルスターやブランケットの上に頭を休ませませると、イライラや精神的な緊張を減らすのに役立ちます。なぜなら、前屈で注意散漫にさせる外界の刺激を締め出すことで、心を落ち着かせストレスの影響を減らすことができるからです。そうして神経系が万事OKという信号を受け取り、副腎や交感神経系が必死に働くのを止めるのです。


もし不眠に悩んでいるなら、体のエネルギーを根付かせ過剰な不安を燃焼してくれる逆転のポーズが役立つこともあります。リストラティブなポーズは、深い休息の状態を促します。




鬱や気分変動のためのヨガ



更年期は出産可能時期の終わりのサインで、多くの女性にとって、青年期が終わるのを悲しむ時です。長く続く疲労とともに、憂鬱で、今までの人生が終わったという感覚によって、鬱を引き起こすこともあります。過剰なプロゲステロン(あるいはエストロゲンの急減)がまた、ひどい憂鬱感から深刻な鬱病に至るまでの全ての原因となりえます。


けれど、ヨガの実践者らは昔から、身体を使って行うことは心や考え方に影響するとわかっていました。時には、ポーズを少し変えるといった微細なことでも、暗い気分を明るくしてくれるのです。女性が尊厳を持ち胸を開きながら背筋を伸ばして立っている時、そして自信を持って歩いている時、私は安定して幸福で周りの環境と調和しているのだと、世界に向かって(そして最も大切なのは、自分に向かって)告げているのです。


ウォールデンは、心に肯定的な効果を与える精神状態を特定のポーズが作り出すことを発見しました。「後屈をすると、特にサポートされている状態では、体の中に軽い感覚が起こります。後屈ポーズは副腎を刺激して、マッサージで活発にします。また、心臓や肺が開いてより多くの酸素を取り込みます」様々な胸を開くポーズは、呼吸や血流を向上して体に活力を与えるので、鬱積した感情を抑制します。そしてショルダースタンドなどの逆転のポーズは、暗い気分を緩和するのに役立つことを、多くのヨギが気づいています。「全てを上下逆さにすることで、逆転ポーズは、感情の肯定的な方向へと作用するのです」

2022年8月22日月曜日

ホットフラッシュ?更年期の症状を緩和するヨガ Vol.1
Feeling a Hot Flash? How Yoga for Menopause Might Help Your Symptoms

今回は、女性が必ず通る更年期に関連する症状とその対処法などについてです。
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48歳のアリソンにひどいホットフラッシュが起こり始めた頃、それはたいてい夜に起こりあまり眠れませんでした。彼女の閉経周辺期の症状というのは、概して、「我慢できない」以上のものでした。そして生理周期は全く手に負えなくなったのです。「突然、出血量がものすごく増えて、以前の2倍ほど長く続きました。生理期間がいつまでも終わらないのです」かかりつけの婦人科医師は、アリソンにホルモン補充療法、つまり更年期症状を抑えるための処方薬を薦めました。「症状が本当に酷いのなら考えてみてと言われましたが、とにかく乗り切るために何でも試そうという感じでした」とアリソンは言います。


彼女には、ホルモン補充療法をやめたい思う正当な理由もありました。その治療法は、人工的にエストロゲンとプロゲステロンのレベルを上げるもので、近年では問題とされてきています。多くの研究によって関係付けられているのは、乳癌や心臓疾患、卒中など命に関わる症状のリスクが上がることです。


アリソンの生理周期が不定期になってすぐ、いつも通っているヨガスタジオで、生理周期に関連する肉体的な不快に対処するのに役立つよう作られたアイアンガーのアサナ・シーケンスを習いました。ポーズの多くはリストラティブなもので、スプタ・ヴィラサナ(横たわった英雄のポーズ)、スプタ・バッダコナサナ(横たわった合蹠ポーズ)、ジャヌシルシャアサナ(頭を膝につけるポーズ)など頭をサポートして行うものでした。次の生理が始まって、アリソンは毎日そのシーケンスを練習していたら、経血量が普通に戻ったことに気づきました。その結果に勇気づけられ、ホルモン補充療法をしなくても症状をコントロールできるのではと考え始めました。彼女が探していた緩和法は、多分、ヨガなのだと彼女は思ったのです。そして、その直感が正しかったことが証明されました。多くの女性が、ヨガによって、ホットフラッシュなどの更年期の不快な症状を緩和されることに気づいています。



ホルモンバランスのためのヨガ


更年期そのものは、単に月経が止まる時期であり、一般的には数年間続きます。この段階を閉経周辺期といい、おおむね45ー55歳の女性に起こります。閉経周辺期には、エストロゲンとプロゲステロンのレベルの変動により、さまざまな不快な症状を引き起こすことがあります。その中でも多くみられるのがホットフラッシュ、不安やイライラ、不眠、疲労感、鬱症状、気分変動、記憶力低下、そして生理不順です。


これら全てを経験する女性は少ないですが、約55ー65%がいくつかの軽い症状を経験していると、カリフォルニア州トーランスにあるハーバーUCLA研究教育研究所のローワン・クレボースキー博士は言います。約25%がほとんど日常生活に支障がないと報告している一方で、約10-20%が深刻で、しばしば体が衰弱するほどの症状に悩まされています。


ホルモンの変動は、概して女性の生物学的な次段階への途中で起こります。思春期のニキビや気分変動、妊娠期のつわり、そして出産後の鬱などさまざまな不快が現れます。「更年期も例外ではありません」と、『A Woman’s Best Medicine for Menopause(更年期女性の最良の薬)』の著者であるナンシー・ロンスドルフ医師は言います。


閉経周辺期が始まるまで、女性の毎月の月経周期を働かせているのは、食欲や体温など多くの身体機能を調整している脳の基部にある視床下部です。視床下部は脳下垂体に重要な生殖ホルモンを分泌させる信号を送り、こうしたホルモンは次に卵巣のエストロゲンやプロゲステロンの分泌を刺激します。閉経周辺期には、卵巣と脳下垂体がいわば綱引きをします。卵巣がホルモン分泌を減らす一方で、ホルモンレベル低下を感知した脳下垂体は卵巣を刺激し続けます。この慌ただしい格闘によって不安定なホルモン変動が起こります。過剰なエストロゲンが体のエンジンの回転速度を上げたと思えば、プロゲステロンが急激に分泌されて体のスピードを落とすのです。


「ホルモンはとても強力です。体のまさに全ての組織に影響を与えます」ロンスドルフ氏は言います。「ですから、体がこうしたホルモン変化を調整しようとすれば、さまざまな状態が起こり得るのは無理もありません。例えば、不安定なホルモン・パターンに脳が影響を受ければ、睡眠や気分、記憶力など全てが影響を受けますし、不定期なホルモン・パターンで子宮が刺激されれば不正出血が起こる、などです」


一般的に女性がこのホルモン変動を始めて体験するのは、生理が止まる約6年前です。こうした症状は大抵の場合、生理が止まってホルモンレベルが徐々に安定する一年以上後まで続きます。更年期の後の卵巣は、女性ホルモンをあまり作らなくなります。けれど、体はまだ骨の健康を保ち、膣の乾燥などの症状を抑えるため、いくらかのエストロゲンを必要としています。腎臓の上にある副腎は、脂肪細胞をエストロゲンに変換する男性ホルモンを分泌してますが、その分泌が減ることでこうした変化の中で重要な要素となっています。それでも、体はホルモンレベルがかなり下がった新しい状態に適応していく必要があります。


こうした自然な生理学的変化や大混乱で多くの女性が悩まされていることを受けて、1960年台、研究者らによって、よく見られる更年期障害の治療法が探し始められました。最終的に勧められた治療がホルモン補充療法でした。その論拠は、ホルモンを体に戻せば、エストロゲン減少からくる諸々の問題は単純に消え去るというものでした。科学者らは、以前と同じレベルのホルモンを維持すれば治療できると信じていたのです。


ホルモン治療法は、更年期の症状を管理する簡単な解決法でした。けれど、いくつかの大掛かりな研究が、ホルモン補充療法によって女性が深刻な健康リスクに晒されることを示してから、より自然な治療法を多くの女性らが探し始めました。ヨガに解決法を求めた人々は、アサナが直接的にエストロゲン生成に影響を与えることはないけれど、不快な症状をコントロールするのに役立つポーズがあることに気づいたのです。特にリストラティブなポーズは、神経をリラックスさせ、内分泌系(特に視床下部、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺)の機能を向上させ、ホルモン変動へ適応するのに役立ちます。




更年期障害を緩和する


ヨガインストラクターのパトリシア・ウォールデン(57)は、ヨガがどのように更年期障害を緩和できるかを直に理解しています。多くの女性たちと同様、彼女の症状も雨のように現れました。最初は小雨のように、そして本格的な嵐となりました。最初にホットフラッシュが来て、次の年には、絶え間ない疲労感と不眠に悩まされました。しばしば夜中に目覚め、そのまま3時間起きたままということもありました。


症状が重くなった時、ヨガの練習方法を変える必要があると彼女は気づきました。彼女の毎日の練習は力強いものでしたが、サポートのない逆転ポーズや、激しいポーズ、後屈などが時に症状を悪化させることがわかったのです。そんな時は、サポートのあるリストラティブなポーズで神経を落ち着かせることにしました。逆転ポーズも続けましたが、ホットフラッシュをより引き起こしてしまうサポートのないシルシャアサナ(頭立ち)の代わりに、ボルスターを使ったセツ・バンダ・サルヴァンガサナ(橋のポーズ)や椅子を使ったサーランバ・サルヴァンガサナ(肩立ち)を行いました。そのように変えることで、体の熱を上げたり辛い症状なしに、不安やイライラを緩和するという逆転ポーズの効果を得ることができました。


症状が消えていくにつれ、ヨガが、ホルモン変動に伴う症状を緩和する強力なツールになりえるという確信を深めていきました。そして同様の症状を体験している他の女性と繋がり、更年期障害のある女性のためのヨガを考案し始めました。「以前から女性の健康問題に興味があったのです」ウォールデンは、リンダ・スパローの 『The Woman's Book of Yoga and Health: A Lifelong Guide to Wellness(女性のヨガと健康:生涯健康でいるために)』 の共同著者でもあります。「でも、自分が更年期を経験した後は、もっとずっと理解できるようになりました」


日常的なヨガの練習には、女性の更年期をがらりと変える力があります。そして、更年期の前にしっかりとした練習をすれば、その移行期が楽になると、『Yoga and the Wisdom of Menopause(ヨガと更年期の智慧)』 の著者であるスーザ・フランチーナは言います。「更年期の前にヨガを練習していれば、特に更年期障害に効果的なポーズの全てに既に慣れ親しんでいるので、長年の友人のようにポーズを行うことができます。リストラティブなポーズに慣れ親しんでいるなら、最高の更年期障害の緩和が意のままに使えるのです」

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