瞑想をするアメリカ人は3倍に、ヨガは55%アップ
ヨガと瞑想という2つの古代の実践は、今やアメリカで最も人気のある代替健康法で350万人の成人が行っている。
「Centers for Disease Control and Prevention(疾病管理予防センター)」によるヨガと瞑想、カイロプラクターの2012年から2017年までの変化をみた2つのレポートの言葉である。
2017年、CDCの国立健康統計センターによるアメリカの成人の調査では、過去12ヶ月で約14.3%がヨガを行ったと答え、14.2%が瞑想をしたと報告されている。2012年にはのヨガをしていたのは9%、瞑想は4%と増加している。
そしてそれは成人だけではない。ヨガや瞑想をする子供達も増えている。2012年には瞑想をしたことのある子供は0.5%にも満たなかったが、今では5%だ。子供のヨガは2012年の3%から昨年は8%まで増加した。
またレポートでは、アメリカ人のカイロプラクターの利用のやや小さい増加も示しており、2012年の9.1%から2017年の10.3%へと増えている。
ヨガや瞑想の大きな増加は、スタジオやクラス、無料オンラインアプリなどの急増によって明らかに行いやすくなったことにある。
しかし、不安症や注意散漫などの精神的問題や慢性疼痛などの肉体的問題に悩む人々が増えるにつれ、彼らは薬に頼らない治療法を探しているのだ。
「私たちの文化には、不安やストレスを増加させる力がある。恐怖に関するメディア内の大量のメッセージなどがそのひとつだ。そしてこれは人々を不安させる」ウィスコンシン・マジソン大学の神経科学者で、健康精神センターの創設者であるリチャード・デヴィッドソンは話した。「現代の状況に人々が折り合いをつけるのに役立つヨガや瞑想などへの関心が増えてきたのだと思う」その一方で、デヴィッドソンなどの科学者らは、ヨガや瞑想が少ない副作用で広い範囲の健康問題に少なくとも何らかの効果があることを見出している。では、健康のためにヨガと瞑想が もたらすであろう効能について簡単にまとめてみよう。
ヨガに期待される健康への効能
ヨガの健康効果を研究してきた研究者らは、おそらく様々なエクササイズと同じように健康によいと言う。しかし、特に腰痛の緩和、そして病気を寄せ付けなくさせる体内炎症の劇的な緩和に有望であるようだ。
また、いくつかの任意の実験では、ヨガは糖尿病患者のQOLを向上し、循環器疾病のリスク要因を下げ、高血圧の管理にまで役立つと示している。
どうしてこれが可能なのか?ひとつの可能性は炎症に関係がある。
炎症は2通りに考えられる。有用な炎症は、細菌が入ってきた時体の免疫システムが反応したものだ。有害な炎症もある。ストレスを受けると、体の炎症反応が過剰になってウィルスや病気と戦うのを妨害するのだ。運動不足や肥満、不健康な食事をしている人には高レベルの有害な炎症がある。そして、癌や循環器病、糖尿病などの様々な慢性疾病と炎症には関係があるということがわかっている。
太極拳や瞑想など他の心身エクササイズと同じく、ヨガは有害な炎症を減少させるのに特に有益であるようである。2014年の心身療法の免疫に対する影響についてのメタ分析では、ヨガが炎症ベースの血液マーカーを減少さえることがわかった。乳がん患者と乳がん生存者の女性に対する任意のコントロール実験でも同様であった。
UCLA医学部のマイケル・アーウィンは、炎症と心身エクササイズの2015年の記述報告の著者のひとりであるが、「炎症を減少させるために必要な有酸素運動を考えるとすれば、それはかなり強度を高く維持しなければならない」しかしヨガは、と彼は続ける。「(アイアンガーのストレッチのように)最小レベルの運動で大きな効果が得られる」その理由はまだわからないが、ヨガや太極拳、瞑想の瞑想するという要素が何か関係があると研究者らは考えている。
ヨガはまた、短期的にも長期的にも腰痛を緩和するのに役立つ。2017年に発表されたヨガと慢性腰痛に関する「コクラン・システマティック・レビュー」は、特にアイアンガー、ハタ、ヴィニヨガに注目した研究結果を総括している。
エクササイズをしなかったコントロールグループと比較したヨガによる腰機能の3ヶ月、6ヶ月後の軽〜中程度の向上には、低〜中程度の根拠がある。ヨガはおそらく3、6ヶ月で痛みにやや効果的であるが、その効果は決められている臨床的重要性の最低限を満たしてはいない。
つまり、これで全て終わるという治療ではないが、効果があるという証拠はあるということだ。したがって、2017年2月、米国内科医師会は医師と患者に、エクササイズや鍼、太極拳、ヨガ、カイロプラクティックなどの「薬物以外の治療」を勧めており、可能ならば薬の処方や外科的選択を避けるようにも促している。
精神鍛錬のために人間がもつ最高のツールのひとつが瞑想
マインドフルネス瞑想は、2600年前ブッダの教えから東および東南アジアで行われてきている。ビルマのS.N,ゴエンカが言うように、ブッダが教えたのは偏狭な宗教ではなく、むしろ生き方であり、明晰さ、心の平和、苦からの解放のためのツールである。過去数10年間で、ティク・ナット・ハーン、ジョン・コバット・ジン、チョギャム・トゥルンパ・リンポチェ、タラ・ブラック、ジャック・コーンフィールドらにによって西洋にもたらされた。
瞑想の目的は、時に心を無にすることだと誤解されている。しかし、デヴィッドソンが言うように「実際は、私たちの心の本質を発見すること。むしろ探求、究明、開拓であり、私たちが誰なのか究極的に向き合うこと」
乱れた心と体を安定させるその力は、神経科学者、心理学者、そして医師らが魅了されるものとなっている。「瞑想は自己統制で、感情の支配から解放してくれるもの」『Why Buddhism Is True』の著者である革命的心理学者のロバート・ライトはインタビューでそう答えた。「不安から自責までそういったものを実際の身体的苦痛ととらえ、それらの支配から自分をある程度解放する視点を持つテクニックだ」
最近、臨床で科学研究者らがマインドフルネス瞑想が不安や鬱、痛みも減少させることを示している。
任意に管理された瞑想と精神衛生に関する実験は少ないが、アメリカ医療研究品質局のジョーンズ・ホプキンスによる2014年のメタ分析では、特にマインドフルネスの瞑想は、成人の鬱や不安症、痛みに対し投薬と同様の効果が副作用なく期待できることを発見している。瞑想はまた、精神的苦痛をより低いレベルにまで下げることがわかっている。
また瞑想は循環器病を防ぐ効果がある可能性がある証拠がいくつかはあるが、米国心臓協会が2017年に述べたように「全体的な質、また研究データの量が多くない場合もある」
子供に関しては、より多くの学校がマインドフルネス瞑想を取り入れ始めている。子供の瞑想に関する研究はまだ初期段階だが、 Journal of Child Psychology and Psychiatry (子供の心理学と精神医学ジャーナル)に10月に発表された任意管理実験のメタ分析では、マインドフルネスを基に児童と青年に対して行われたが、実行機能、注意、鬱、不安、ストレス、好ましくない行動などに明らかに好影響があった。
ヨガや瞑想はかなり注目されてはいるが、CDCのデータではこれらに接する機会は均等ではない。ヒスパニックや黒人の成人と比べて白人成人の方がよりヨガや瞑想を行なっている。
そしてヨガや瞑想をビジネスチャンスだと見る人が増えるにつれ「信頼性を維持し誠実さをもって教えるようにするのは難しい課題」とデヴィットソンは言う。つまり、歴史の長いこれらのに敬意を払いながら厳密に広く伝えていくことだ。
CDCの新しいデータの重要なことは、これらの実践を試してみる選択を私たちが持っていることだ。チベット仏教の瞑想テクニックでもアイアンガー・ヨガでも、アプリやビデオ、対面のクラスなど。「誰にでも合うというものはない」デヴィッドソンは言う。「アプリで効果がでる人もいるし、そうでない人もいる。でも、デジタル製品にますます注意を払わされている今、精神を鍛えることがすぐにでも必要とされているんだ」
(出典)https://www.vox.com/2018/11/8/18073422/yoga-meditation-apps-health-anxiety-cdc?fbclid=IwAR03Ph-1Rzx2lcqq4waF-r_9GWQoOgYNnT2hWzWMPIXcl-Lk73KZcXxrIyU
0 件のコメント:
コメントを投稿