様々な呼吸法がありますが、ヨガではプラナヤマと呼ばれプラナ(生命力)を調整する効果があるといわれています。
今回は英国の inews の記事からです。
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呼吸をコントロールすることで本当に脳が変わるのか?
私は人生において間違ったことをたくさんしてきた。歯医者によれば、私はフロスを間違って使っているらしいし。近藤マリエさんによれば、洋服の畳み方も間違っている。
けれど、呼吸の仕方が間違っているかもしれないなんて考えたこともない。それは、瞬きの仕方が間違っているというくらい馬鹿げている。しかし、呼吸を正しくすることを覚えれば、よく眠れて、不安が減り、創造性が高まって脳の老化さえ遅らせることができる、と言われた。
それは「ブレスワーク」と呼ばれ、一連の呼吸テクニックからなっている。ヴォーグ紙が「ニュー・ヨガ」と呼ぶ今時のヤツだ。この話題を調べ始めてちょっと尻込みしている。ちょっとくらい健康になるかと思って疑わしいドリンクやお茶を今まで飲んできたが、本当に咳払いして新鮮な空気を吸う必要があるのだろうか?
息を吸うことを学ぶ
さて、パウロ・パチフィチと薄暗いスタジオに座り、基本的な呼吸テクニックを教わっている。まずボックス・ブリージング(4カウント吸って、4カウント止め、4カウント吐き、4カウント止める)から、他の組み合わせへと進むのだが、全ては体と精神を落ち着かせてエネルギーを与えるよう考えられている。
パチフィチは、私が慣れているより呼吸を長くして、胸の方へ上方に呼吸するのではなく横隔膜を下げてお腹が膨らむよう指導する。
ブラジルのデローゼ法の支持者であるパチフィチは、西洋でヨガと言えばみんなが思い描くアサナやポーズよりも呼吸コントロール、プラナヤマのほうがおそらく重要だと主張する。
私は深い腹式呼吸(または横隔膜呼吸として知られるが、胸を動かさずお腹が膨らむように息を吸う方法)をちゃんと理解するほどはヨガのクラスを受けてきたつもりだが、実際の暮らしの中では、ストレスの多い状況で呼吸が浅くなる傾向があり、時には完全に呼吸を止めていることもある。
「呼吸は無意識だから、ストレスを感じていると脳がちゃんと呼吸をしてくれない」パチフィチは言う。「けれど呼吸をコントロールすることでストレスもまたコントロールできるんだ。古代の呼吸法の最終的な目的は、心の不安定を止めること。呼吸をコントロールすることで、原始的な脳から離れてもっと人間らしくなることができる」
神秘から医療へ
これが主流になり始めているのは、ウィム・ホフなどの先駆者のおかげだ。このエキセントリックなオランダ人は、氷点下で呼吸を9分間も止めてしまうという彼の極度の妙技によりアイスマンとして知られる。彼のテクニックは、チベットの伝統であるトゥンモ瞑想に影響を受けており、体を癒して再生すると言われている。
'パワフルなツール'
「ヴィーガンである必要もない、ジムに行く必要もないし瞑想できなくてもいい。ただちょっとした情報があれば、意識的に呼吸をする方法を覚えて体や感情、精神的な活動の質を大きく変えることができる」
そして現在、コントロールされた呼吸は脳の中で大きな変化をもたらすということが証明されている。たった一回の深呼吸が自分は安全だ、時間があるという信号を脳に送るのだと依存症や慢性ストレスを研究してきた米国の神経科学者で精神科医のデイヴィッド・ラビン博士は言う。
「それは、回復のための副交感神経と「闘争か逃走」のための交感神経のバランスをとるということ」
「環境のなかで脅威を感じると副交感神経が閉ざされる。回復や創造や再生や消化のことなど森の中で熊から逃げているときには心配する必要がないからだ。進化的に、その状況から逃げるには血液を直接筋肉に送ることが必要なのだ」
「闘争闘争モードにあるときは、意識的に呼吸を感じる時間などない。コントロールされた呼吸というのは、心と体の繋がりを強くする神経心理学的な方法だ。このプロセスを繰り返すたび、ストレスレベルが下がり体のバランスが戻る」
脳のための呼吸
トリニティ・カレッジ・ダブリンの研究者による2018年の呼吸のコントロールと瞑想の研究では、呼吸は直接脳内のノルアドレナリンのレベルに影響を及ぼすことを示している。ノルアドレナリンは、脳内で新しい結合を作るのに役立つ化学的なメッセンジャー物質で、一般的に私たちが集中したり、興味を持ったり、知的な刺激をうけた時に放出される。彼らは、コントロールした呼吸が集中力を高めるだけでなく脳の健康を高める可能性を示唆している。
「呼吸に焦点をあてた練習と心の安定性には強い関連性がある」トリニティのグローバル脳健康研究所の共同責任者であり、この研究の主要研究者のイアン・ロバートソンはレポートの中でこう書いている。
「我々成果は、脳老化の研究に特に影響を与えるだろう。脳は一般的に加齢とともにその重量が減るが、長期的な瞑想実践者の重量変化は少ない。より「若い」脳は認知症のリスクを下げ、マインドフルネス瞑想のテクニックは実際に脳のネットワークを強化する」
「何世紀も知られてきた古代の伝統を研究が支持している。つまり、呼吸の方法が私たちの生活の質に著しく影響を与える」ボストックは言う。「研究によれば、呼吸が体内の炎症反応を減少させ、体の休息や回復の活動を助けている」
パチフィチとの30分間の呼吸エクササイズの後、私はとても深い穏やかさを感じていることを否定できない。再び外の世界の混沌と雑音、往来にさらされた驚き、そしてすぐに両肩が耳の後方へ引かれているのを感じた。
しかし数時間、数日後、通勤で急いでいるとき、緊急のEメールに対処しているとき、もう一度(比較的)平穏に戻れるよう覚えたテクニックのいくつかをやってみようとする。おそらく、ボストックの言うように、答えはいつも私の目の前にあるのだ。
午後5時 法
このテクニックはストレスを受けた時に神経を鎮めます。この名前をつけたのは、午後5っ時はみんなが仕事を終えてリラックスしカクテルなんかを飲んでいる楽しい時間だと思われるからです。また、1分間に5回の呼吸という意味も含んでおり、体内を穏やかにストレスから開放するために作られています。
- 座るか横たわりましょう。片手か両手をお臍の辺りに置いてお腹の動きを感じられるようにします。
- 4秒間鼻から息を吸い、手が持ち上がって数センチ外に動くのを感じます。
- 鼻から6秒間息を吐き、手が内側へ数センチ動くのを感じます。肺を完全に空にする必要はありません。ただ快適に肺が空になったなと感じるまでとてもゆっくりと吐きましょう。
- 2秒間息を止めます。
- これで1回になります。この呼吸を少なくとも10回繰り返します。望ましいと思うリラックスした状態になるまで続けてもよいでしょう。
(出典) https://inews.co.uk/inews-lifestyle/wellbeing/breathwork-controlled-breathing-brain-health-820599