2020年2月27日木曜日

ヨガが免疫システムを高めるという研究 
New Research On How Yoga Boosts Your Immune System

少し古くなりますが、2018年2月の記事です。
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Journal of Behavioral Medicine に発表された新しい研究
ヨガが免疫システムを高め体の炎症を減少すると示唆



精神的なストレスは、免疫システムを弱め慢性的な炎症を増加させるなど、体の多くのシステムに影響を及ぼす恐れがあります。炎症とは免疫反応の一部であり、短期的には傷や怪我、感染を治癒するのに役立ちますが、慢性の炎症はむしろ害になりかねません。


研究者らは、定期的なヨガポーズの練習が免疫システムを強化し慢性炎症を減少させるかどうかを調べた15の任意コントロール試験をまとめて再検討しました。各試験のサンプル数の平均は70で、被験者が11のものから140のものまでありました。それらの研究のほとんどは、ポーズを含むタイプのものを示す一般的な用語としてハタヨガを使用していました。


これらヨガの試験では、免疫システムの反応を調べるため血液や唾液のサイトカインやCRPというタンパク質など炎症促進性マーカーのレベルが測定され、また、免疫細胞数や抗体、免疫細胞内の遺伝子発現マーカーが調べられました。


その結果、IL-1ベータをいうサイトカインの減少の確かな証拠を発見し、ヨガが炎症促進性マーカーを下げる総合的なパターンを見つけました。それらは混在してはいたのものの、他の炎症促進性マーカーに関しては期待の持てる結果となりました。ある研究では、 IL-10など抗炎症サイトカインのレベルがヨガで上昇しています。また、炎症促進サイトカイン遺伝子のDNA転写をコントロールするタンパク質のレベルが変化するという、ゲノムレベルの炎症に対するヨガの効果を発見した試験もあります。



これらの研究で、相対的にヨガには体内の期待できる抗炎症効果があることを示しています。


この効果を得るにはどれほどの頻度と期間が必要なのでしょうか?現在のところ決定的な答えは見つかっていませんが、これらの研究では、毎日から週に一回の間の頻度で、8ー12週間ヨガが続けられています。研究でのヨガクラスは、30分から90分の範囲でした。ほとんどの精神と体の鍛錬と同様、定期的で継続的な実践がよりよい結果を生んでいるのです。

2020年2月21日金曜日

ヨガの脳への効能 アルツハイマーのリスク軽減の可能性
Yoga Benefits the Brain and May Reduce Risk of Alzheimer’s



有酸素的に健康であり続けること、ランニングなどの運動を続けることは脳と総合的な健康によいことです。しかしアルツハイマーから脳を守りたい人にとって、そしてもう少し穏やかな運動を楽しみたい人には、ヨガが選択肢となることを新しい研究が示しています。

ストレッチや柔軟、強化とマインドフルネスを含むインドを起源とする古代の実践法であるヨガは、11の研究の最近の見直しにより、脳の健康を保持し記憶力を高め、アルツハイマーなどの神経変性疾患のリスクを下げる可能性がわかりました。


ヨガの脳への効能は結論を得ないままの研究が多い中、より決定的な結論に到ることを目指しヨガと脳の関係性を深く調べるために見直しが行われました。




有酸素運動と脳


ランニングや水泳など心拍数を上げる有酸素運動は、脳や体の健康のためにとても重要なことのひとつであるというのは既に常識となっています。運動は、ニューロンを刺激し、認知症リスクを下げ、老化さえも遅らせるとわかっています。

ニューヨーク大学の神経科学者、ウェンディ鈴木氏によれば、軽度から中程度の運動であっても認知症リスクを30%下げることができるといいます。過去のBeing Patient のインタビューで鈴木氏は、とても活動的である女性達は認知症の発症率が最も低いという結果が出た研究について言及しています。

「とても丈夫であれば、認知症を発症する可能性は90%も低くなる」鈴木氏は言います。「つまり、できる範囲の運動をすること、(これはオリンピック選手の話ではありません)ウォーキングでは30%、そしてとても健康で丈夫であり続けることで90%という確率で認知症リスクを変えることができるのです」


ヨガのアルツハイマーへの効果

神経変性疾病という分野において、有酸素運動やフィットネスがこれまで大変多くの研究が行われてきた一方で、ヨガに特化してこれほど研究されたことはありませんでした。この最新の分析では、ヨガには脳に記憶を維持させるという効果もあるというさらなる証拠も示されています。

11の研究のうち5研究では、ヨガを全く経験したことのない被験者が10〜24週間の期間、毎週ヨガ・セッションを受けました。ヨガセッションの10〜24週間の前後で、彼らの脳の状態が比較されました。他の研究では、定期的にヨガをしている人とそうでない人の脳の変化を測定しています。

総体的な結果、脳の中で記憶に結びつく海馬と感情を司る扁桃体によい効果をヨガがもたらすことが明らかだと結論づけられました。その研究ではまた、ヨガが前頭前野、帯状回皮質、デフォルトモードネットワークを大きく保つことも示しました。


「これら11の研究から私たちは、恒常的に現れる脳のいくつかの部分を特定しましたが、驚くべきことにこれまでの運動の研究の結果とあまり変わらない結果でした」研究の責任者であるイリノイ大学の運動生理学と公衆衛生の教授であるネハ・ゲーテ氏はニュース・リリースでそう語りました。


「例えば、ヨガの実践により海馬の体積が増えました」続いてゲーテ氏は、脳のこの部分は記憶に関連しており「認知症やアルツハイマーの研究では最初に影響が現れる」ところだと特に言及しています。

人が老化すると、海馬や扁桃体は縮小する傾向にあります。ヨガがこれらの部位を大きく保つのならばそれ以降の認知低下を防ぐ可能性があります。


ゲーテ氏は、どのようにヨガが脳に影響を与えているのかを理解しようとしています。「本来ヨガは有酸素運動ではないので、こうした脳の変化につながる他のメカニズムがあるはずです。現在のところ、このメカニズムが何なのかを特定する証拠はありません」


しかしひとつの可能性として、ヨガはストレスを減少させることができるので、それが脳の健康にプラスの効果を持つと考えられます。ゲーテ氏の前回の研究では、8週間ヨガを行った人たちは、ストレスに対するコルチゾールの反応が低く、意思決定や注意テストにおいてよりよい結果を出しました。

「ヨガの実践は、感情のコントロールを高め、ストレスや不安、鬱を減少させるのに役立ちます。そしてそれが脳の機能を高めているようなのです」とゲーテ氏。

研究者らの目標は、ヨガの脳への影響をより深く調査することです。しかし、現段階で、日々の運動にヨガを組み合わせると脳にも体にも効能があると言っても過言ではないでしょう。

2020年2月18日火曜日

ヨガの精神的な効果 
Mental Benefits of Yoga

ダンスやエアロビのスタジオと異なり、多くのヨガスタジオには鏡がありません。
それは、ヨガが身体だけでなく精神的な活動であるためです。鏡に写った自分と隣人を見てエゴを抑えるのは思っている以上に大変なことです。では、ヨガの精神的な効果とはいったいどういうことなのでしょう?

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ヨガの精神的な健康への効果を裏付ける分析結果が増加している。ヨガは体の気づきを高め、ストレスを解消、筋肉の緊張や疲労、腫れを緩和、注意力や集中力を高め、神経を鎮静強化する。


ヨガの精神的な効能は、緊急の心理療法ツールとなっている(米国心理療法協会)。他者との関係性を通して人の幸福を強め、鬱や注意欠損、過動、不眠の症状を改善することがわかっている。また、ヨガは、投薬とともに行うと統合失調症の症状を改善する可能性もある(ヨガと精神衛生、ハフィントンポスト2013)。



さらにヨガは、神経活動のコントロールを助ける脳内化学物質 γアミノ酪酸またはGABAのレベルを高めることがわかっている。これは特にGABAの活動が弱い不安機能障害を持つ人に関係する(Yoga and Your Mood, the Ultimate Yogi)。



ヨガはまた、高校生において、体育だけを履修した生徒より体育とヨガセッションを取った方の生徒の気分や行動、マインドフルネスを高める (yoga classes help highschool students)。 また職場での幸福感や回復力も高めることがわかっている(The Effectiveness of Yoga for Well Being in the Workplace)。ヨガは腰の筋肉をストレッチし、柔軟性を高めて痛みを緩和する。


しかし、ここで少し立ち止まってみよう。人生の満足度が低い、鬱状態、ストレス下にある、または炎症マーカーレベルが高い成人の介護者にも、ヨガの効果は届く。ある研究では、毎日12分間のヨガを8週間続けると、アルツハイマーや他の認知症の家族を世話している成人の炎症マーカーが下がった (UCLA’s Late-Life Depress, Stress, and Wellness Research Program)。


ヨガのような心身のワークアウトや瞑想、深い呼吸、祈りは、ストレスを下げ、ストレスに関係する神経系のムラを向上させるのに役立つ(Psychological Benefits of Yoga)。しかしどのようにしてなのだろうか?主となるメカニズムがあるのだろうか?


研究者によれば、こうした心身の活動によって心身の健康に様々な効果をもたらしてくれるのはリラックス反応だ。マサチューセッツ総合病院にある心身リラクゼーション法のためのボストン・ヘンリー研究所とベス・イスラエル助祭医療センターとで行われた新しい研究では、そうした実践がもたらす生理学的な深い休息状態は、免疫機能やエネルギー代謝、インシュリン分泌などに関係する遺伝子発現に直接的にプラスの変化を作り出すことがわかった(Genes and Physiological Pathways Altered in the Relaxation Response, Science Daily, May 2013)。



では生理学的な深いリラックス状態とは何なのか?神経生理学レベルで起こる平穏は楽しみとは異なる。友人や家族と外出して楽しい時間を過ごしたとしても、それは細胞レベルで体がリラックスしたことにはならない。笑うには脳や体を一定の強度で刺激しなければならないし、顔や体を快活に動かし、相手の言葉を聞いてうまく反応することが必要なのだ。そのためには、脳や心臓、筋肉に適度にアドレナリンを送る必要がある。だから、人と交わったり。テニスやゴルフを楽しんだり、友達を買い物に出かけたとしても、それは生化学的にはストレスとなる。神経や細胞レベルで体を休めるためには、生化学的な興奮と緊張の状態から鎮静した深い休息へと体の状態を変化させる必要がある。そしてこれができるのは、ヨガのような心身の活動の深い呼吸だけなのだ。





結論:


あなたの身体能力と精神的必要性に合ったヨガのクラスを選ぼう。ビギナー用もあれば中級者用のものもある。また妊娠中の女性や身体が不自由な人に特化したコースもある。










(出典)https://thriveglobal.com/stories/mental-benefits-of-yoga/

2020年2月13日木曜日

神経をストレッチ:ヨギのための4つの方法 vol.2 
Stretching the Nerves: 4 Neural Glides for Yogis




前回の続きです。
具体的なグライドの方法をみていきましょう。
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正中神経のための神経グライド


タイピングをたくさんする、マウスを使う、手首の柔らかい側に圧力がかかる活動をする、手首や前腕、肘に硬さを感じている人などは、正中神経のストレッチが必要です。


1. 体の右側を壁に向け腕の長さの距離で立ち、右肘を曲げ、指を上にして右手を肩の高さで壁におきます。頭を右に傾け、そこで数呼吸します。この位置では正中神経が短くなるのでストレッチは感じにくいでしょう。






2. ゆっくりと頭を中央に戻し、右手を壁に押しつけ腕を完全に伸ばし正中神経を伸ばします。





次に、伸ばした腕から遠ざけるように頭を左に傾け、左耳を左肩のほうに動かしましょう。これは正中神経をより伸ばすのでストレッチの感覚がするでしょう。そのまま2回呼吸しましょう。




3. ゆっくり頭を右に傾け、もう一度右肘を曲げもとの位置に戻ります。ここで2回呼吸します。






頭を左へ、肘を伸ばし、頭を右に、肘を曲げ・・・を数回行います。それぞれの位置で2回ずつ呼吸しましょう。この頭の左右の動きと肘の曲げ伸ばしを組み合わせが、必要な「フロス」効果を生み出します。


4. そこから、頭を右へ傾けながら右肘を曲げ、右手を壁につけたままゆっくりと指先が後ろに向くまで時計回りに回します。




疲労感なくもっとできそうなら、指先が下向きになるまで回しましょう。無理は禁物。ピンや針のような感覚を感じる前に止めましょう。(注意:この段階になると掌の付け根は壁から離れているでしょう)






5. 手を壁に押しつけ、腕を完全に伸ばし、頭を中央に戻します。




再度、頭を左に傾けて数呼吸します。




そして頭を右に傾け、肘を曲げ、手は壁につけたまま指先を上に戻します。ここで数呼吸休んだあと、繰り返しましょう。



6. 右側で4番と5番を5-10回繰り返し、反対側で1番から全てのシーケンスを行いましょう。



尺骨神経のための神経グライド


コンピューターのマウスを使ったり、手首を左右に繰り返す動きをする仕事をしている人、あるいは前腕に硬さを感じている人は、尺骨神経のストレッチが必要でしょう。


1. 両腕を左右に置いてひじを曲げ、掌を自分に向けて両手を胸の前に持ってきます。人差し指と親指をくっつけ(OKサイン、あるいはジナナ・ムードラを作ります)あとの指は伸ばしましょう。





2. 二呼吸しながら両手を持ち上げ、ゆっくり手首を小指の方向へ回しながら掌をまず天井にむけ、次に顔の方向へ向けましょうジナナ・ムードラを作ったままマスクを作るように、人差し指と親指の輪を目の周りに、他の指は顎の方向に伸ばしてを頬に載せましょう。。









(リーフからの注意事項「親指が顔につかなかったら無理にストレッチをしないで、快適な位置で留まりましょう。ストレッチは優しく行うことを忘れないで。可動域は時間と共に広がります」)




3. 「マスク」状態で数呼吸します。


4. 二呼吸しながら両手を元の胸の前の位置まで戻しましょう。


このスーケンスを最大10回行います。ストレッチを感じるのが片手だけの場合は、そちらの方だけ片手で上記の動きを繰り返し行いましょう。



橈骨神経の神経グライド


コンピューターをよく使う人(タイプをするとき手首を下ろす人)には、橈骨神経のストレッチが効果的かもしれません。


1. 右腕を掌を内側にして横に置いて立ちましょう。右手指は床の方向に伸ばして右肩を下げておきましょう




右肩を内に回転させ、右腕を内側に掌が外に向くようにします。掌は上向きに指は遠くを指すように右手首を曲げましょう。



2. 頭を左へ傾け、そこで二回呼吸します。



3. 次に、右腕の角度を数度右に動かしましょう。





4. 掌を腿に向けて右腕を体の横に戻し、頭を垂直に戻しましょう。

ここで1、2回呼吸したら、動きを繰り返します。


5. より強度を高めるには、上記のグライドを繰り返した後、頭を左に倒し右腕を体の少し後ろ側の右へと動かしましょう。



ここで二回呼吸し、腕を下げて頭を戻します。ここでもう数呼吸行ったら、繰り返しましょう。



このシーケンスを右側で最大10回行ったら、反対側に移ります。




坐骨神経のための神経グライド


デスクに座る、運転する、走る、自転車に乗るなどを長時間行う人、または腰や臀部、膝の後ろなどに緊張を感じる人は、坐骨神経のストレッチが必要かもしれません。


1. 仰向けに横たわり、膝を曲げて両足は床に着け(坐骨から数センチ離して骨盤幅に開きます)、両腕は体の脇におきましょう。右側で親指を掴むポーズの準備をするように、右膝を引き寄せます。背中に痛みがあるようなら左足はずっと床に着いておきます。




腰に痛みを感じなければ、左脚も床へ伸ばしましょう。




2. 右腿の後ろの膝に近いところ両手で掴み(届かなければストラップやベルトを使いましょう)、ゆっくりと右脚を伸ばします。足の裏が天井に向き爪先がまっすぐ後ろに向くよう足首を曲げましょう。腿を両手に向かって押し、両手で腿を押し返します。




3. ゆっくりと爪先を伸ばしましょう。ここで数呼吸します。そして足首を曲げ踵を上に引きあげながら数呼吸します。右足首の曲げ伸ばしを数回ずつ呼吸しながら繰り返します。



4. s神経グライドを強めるには、少し頭をあげ(脊柱神経を伸ばします)、3番のように足首の曲げ伸ばしを繰り返しましょう。





5. 何度か呼吸を繰り返したら、ゆっくりと頭と脚を下げて両腕も体の横に戻しましょう。


このシーケンスを右側で最高10回行ったあと、反対側にうつりましょう。


可能なら、こうした神経グライドを活動的に行ったあとは、受動的なシャヴァサナで神経を鎮めましょう。今開いた神経の経路を通って、脊椎から両手両足までリラックスしていくのをイメージしましょう。








(出典)https://yogainternational.com/article/view/nerve-stretching-for-yogis