2022年2月21日月曜日

アグニ・サラ入門 Vol.1
Guide to Agni Sara

今回はアグニ・サラの練習法についてです。
以下の注意事項を読んでから行ってください。

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禁忌


アグニ・サラは、生理中や妊娠中、あるいは、裂孔ヘルニア、潰瘍、心臓疾患、高血圧などの場合は避けてください。避妊リングを使用している方には不快感があるかもしれません。これは空腹時に、つまり通常の食事の後は3時間あけるようにしてください。


プラナ(体の微細なエネルギー)に働きかけるあらゆる実践と同様、あまりにも速すぎることは変化をもたらすのではなく負の傾向を強める可能性があります。行った後に、怒ったりイライラしたりぼんやりしてしまわないよう、穏やかで元気に感じられるようにしましょう。通常は熱を感じます。熱は体の中心奥深くから湧き上がり、内臓や微細エネルギーの経路を浄化します。ジョギングやテニスなどの有酸素運動で得られる熱とは全く異なる質を持っています。

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ヨガにはクラクラしそうなほど数多くの実践法があるので、こんな風に思うこともあるでしょう。一番大事なのは何?本当に必要な練習は何?少ない時間で一番効果を得るにはどうしたらいい?こうした質問への答えは一人ひとりで異なりますが、ハタヨガには欠かせない実践がいくつかあります。そのひとつがアグニ・サラです。プラナヤマの要素とアサナの訓練を組み合わせたアグニ・サラは、ハタヨガの真髄です。ハタの最終的な目的は、点在する本能的な生命エネルギーを集めて、それを自分の内面を旅するために利用することですが、アグニ・サラはまさにそれを可能にしてくれるものです。


アグニ・サラは、腹部と骨盤底の深い収縮で、腹部の内臓、そして体内の本能的な生命力を制御し活動させる意識の中心(チャクラ)を対象としています。つまり、身体的な健康だけでなく、生命力や感情にも影響を与えることができます。最終的には、精神的な成長と変化を促進します。言葉の意味としては、「アグニ」は火を意味し、消化や識別、変化を起こす要素的な質で、「サラ」は本質を意味します。


ヨガの秘教的な解剖学では、それぞれのチャクラは、全身の機能に特定の働きをすると考えられています。最も根底にあるチャクラは「地」要素の特徴を持ち安定性を象徴しており、身体的な存在の基礎となっています。「水」は、骨盤の中心にある第二チャクラの要素です。感情的な流動性、私たちの周囲の世界を味わう欲望を象徴しています。「火」であるアグニは、おへそのあたりに存在する要素で、体と心をつなげるエネルギーであるプラナの中心です。さまざまな種類のプラナを通して腹部の中心と共に働き、身体に栄養を与えて持続させます。


これらの3つのチャクラの活動を考えれば、アグニ・サラが、体の主な生理学的機能に素晴らしい効果をもたらすのは驚くことではありません。第一に、骨盤底や腹壁の筋肉組織を強化し、すなわち、腹部の内臓を正しい位置に維持します。それにより、内臓にかかる下向きの重力に抵抗することができ、誰にでも起こりうる腹部の筋肉や結合組織の緩みにも抵抗できます。体内では、アグニ・サラは、消化器官や排泄器官を整えて活性化し、浄化します。病気の多くが消化管の不調から起こるため、アグニ・サラを習慣的に行えば、その効果の範囲は広大です。


アグニ・サラは、その他の臓器が健全に機能するのにも役立ちます。下腹部の腹壁の収縮は膀胱をマッサージし、骨盤底の収縮が排尿を制御するのに使われる筋肉を強化します。腹部に蓄えられがちなリンパ液は腹壁の動きで上方へ圧迫され、それが健康的な免疫機能を活性化させます。アグニ・サラは、生殖器など腹部の臓器への血流を促進します。つまり、この重要な練習によって、腹部の生理学的機能の全てが強化されるのです。


アグニ・サラは、身体的な効果に加えて微細な変化をも伴います。アグニ・サラにより活力が高まると、感情的には不安が減り困難に直面しても安定したままでいることができます。習慣的に練習をすることで、より感情の苦悩にうまく対処できるようになり、やる気や精神的な自信が高まります。アグニ・サラは、身体的エネルギーだけでなく、精神的、感情的なエネルギーの枯渇を防ぎ、また、全ての面において私たち自身の活力を維持してくれます。


こうしたかすかな効果を感じる鍵は、実践に向ける気づきを次第に洗練させていくことです。最初は、ポーズの機能的仕組みに働きかけることで十分でしょう。それが、自身の体への理解のはっきりとした変化につながります。しかし徐々に、アグニ・サラは、エネルギーの上方への強い動きと意識の内面に向かう動きを、産みだします。肉体の強さがより活発なエネルギーにつながり、そうして、バランスの良い安定した精神が現れるのです。


この効果を得るためには、体系的に働きかけなければなりません。基本的な練習でも難しいかもしれませんが、それは、集中しなければ、下腹部の深層筋を分離したり使ったりするこはほとんどないからです。ですから、両脚上げや腹筋運動などに慣れてるとしても、対象としているのが弱く反応しにくい場所のため、アグニ・サラはやや難しいと思うかもしれません。そこで、まずは神経と心と筋肉組織を訓練する練習から始めましょう。この準備によって、下腹部の深層筋にアクセスすることができます。それから、実際のアグニ・サラへと進んでいきましょう。




横たわった骨盤底を傾ける


仰向けに横たわり、両足は数センチ離して床に置き、手のひらを下にして腕を床に置いておきます。両足で床を踏み込み、内腿が活性するのに気づきます。顔や顎、お腹をやわらげます。無理のない均等な呼吸をし、呼吸を深く体の中へ送ります。背中を和らげて床に下ろし、意識を骨盤やお腹に向けます。そして、深くゆっくりと吐き出して、あらゆる腹筋を収縮させます。たっぷりと息を吸い込みながらお腹をやわらげ、膨らませます。そしてまた、強く深く吐き出して、ゆっくりと下腹部やおへそを背骨に向かって引き込み、腰を床に押し付けて、お腹を空っぽにします。息を吸い込んで収縮をやめて、またお腹が空気で満たされるとともに腰が自然に床から離れるままにします。


繰り返しながら、深く呼吸して、ゆっくりと穏やかに行い、腿や脚を床に安定させます。骨盤は優しく前後させ、大腿骨の骨頭あたりで回転させるように気をつけてください。息を吐きながら、尾骨を両腿の間から持ち上げ、腰椎を床に下ろします。息を吸いながら、恥骨を腿の間に下ろし、尾骨を床に向かって下げて、腰椎を解放します。次は、筋肉と軟組織に意識を向けましょう。息を吐いて、収縮し、引き締めて、下腹部を引き上げます。恥骨と尾骨の間のスペースを感じて、そこを締めたり緩めたりします。これが骨盤底で、骨盤内にある臓器を支えています。


それでは、骨盤を動かさず安定させて、腹部と骨盤底だけを収縮し、より微細な練習を行いましょう。胸や顎、顔、をして腕をリラックスさせます。両脚を通して優しく地面とつながり、骨盤を安定させ続けます。5回繰り返しましょう。






この動きのエネルギーを感じながら、体の背中側に意識を向けましょう。気づきを内側に向かわせて、動きに少しだけ勢いを足しましょう。女性は、膣に沿って引き上げて、できるだけ深く行い、そしてできるだけリラックスしましょう。エネルギーを感じられるよう、少し強めに引き締めて収縮させましょう。







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次回に続きます。



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