2022年6月8日水曜日

パーキンソン病のためのヨガ Vol.3
Yoga for Parkinson's Disease

前回からの続き、最終回です。

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12. 鷲のポーズで揺れる、捻る


このポーズでは、四肢を交差させたまま様々な方向へ動いて、コーディネーションとバランスの向上に効果があります。

椅子の端に座って、右脚を左脚の上へ、右腕を左腕の下へと交差させて鷲のポーズになります。右足首を左足の後ろに組む必要はありませんし(右足をぶらぶらさせたり右足指を床につけても構いません)、手のひらを合わせたりする必要もありません(代わりに前腕でV字を作ってもいいでしょう)。



両肘を、肩甲骨の間にストレッチが感じられる程度に高く上げて前へ伸ばしましょう。ただし、首の後ろは長く保ちます。

両脚は絡み合っていますが、開いていくようにイメージします。つまり、右脚は右へ、左脚は左へ。

呼吸と共に、ゆっくりと左から右へ揺れましょう。やや体側を曲げながら、息を吸って一方向へ揺れ、そして吐きながら逆の方向へ揺れます。この左右に揺れる動きを数回繰り返します。


そして、ゆっくりと前後に揺れます。息を吸いながら胸を持ち上げて体を前に傾け、吐きながら背中をやや丸くして体を後ろに傾けます。この前後に揺れる動きを数回繰り返します。




今度は、体重を坐骨から坐骨へ移動します。胴体と上半身を時計回りに何回か回しながら呼吸を1、2回行い、そして数回ゆっくりと反時計回りに回します。



そして、両脚と腰を安定させたまま、右へ捻ってそのまま数呼吸し、その後左に捻ります。両方向に数回ずつ繰り返しましょう。


一旦休んで腕と脚を解いてリラックスしてから、左脚を右脚の上に、左腕を右腕の下に交差させてこのシーケンスを繰り返します。




13. ゆっくりとした行進で体幹を強化


強い体幹で、バランスと安定性が向上します。この行進は、体幹下部、つまり腹直筋下部と腹横筋を強化します。この行進の難易度を上げるには、両手を肩におき、肘を開いたり、捻りを加えても良いでしょう(左脚を上げる時に上半身を左へ捻ります。右脚を上げる時には上半身を右へ捻ります)。

椅子の端に座って、両足を床に押しつけ、坐骨をしっかり根付かせながら背筋を伸ばします。両手で椅子の座面下を掴みましょう。

右足を床につけたまま左膝を曲げ、左脚を数センチ持ち上げ、左の坐骨にかかる重みを軽くしてみましょう。左脚を持ち上げたまま数呼吸します。そして、左足を床に戻します。一休みします。


今度は、左足を床につけたまま右脚を持ち上げ、右坐骨の重みを軽くしてみます。右脚を上げたまま数呼吸して、そして下ろして、両足を床につけて休みます。左右それぞれ数回繰り返しましょう。




14. 椅子の上の「腹筋運動」


この部分的な腹筋運動は、体幹の上部、つまり安定性に大切な腹直筋上部や腹横筋を強化します。難易度を上げるには、両手を頭の後ろに置きます。


1. 椅子の端に座って両足を床に下ろし、背筋を伸ばします。

2. 息を吐き出しながら、体をやや後方に倒し、両足を床につけたまま背骨を長く伸ばしてみましょう。

3. 息を吸い込みながら、元の座位まで戻ります。数回繰り返します。






15. 船のポーズ


船のポーズで体幹と脚を強化します。

椅子の端に座って背すじを伸ばし、椅子の座面下を掴みます。背筋を伸ばしたまま、後ろに倒れて両足を床から浮かせてみましょう。ここまでで十分かもしれません。ここで数呼吸します。



難易度を上げるためには、両脚を体の前で、できるだけまっすぐに伸ばします。



バランスが安定しているなら、両腕を前に伸ばしましょう。ここで数呼吸します。


上げていた両腕を下ろし、両手を椅子の下に戻し、そして両足を床に下ろしましょう。もう一度背筋を伸ばして、一休みしてから、船のポーズを数回繰り返します。




16. 体の後ろの片側ストレッチ


このバージョンのパスチモッターナサナでは、ハムストリングスを伸ばします。ストラップを使います。

椅子の端に座って両足を床に下ろし、ストラップを持ちます。右足にストラップをかけ、快適なところまで、右脚を体の前に伸ばします。右脚の裏にストレッチが感じられるように、必要なら、ストラップを長く持って少し後ろに倒れましょう。背骨は出来るだけ長く保ちます。


思っているように脚がまっすぐに伸びているかを鏡で確認して、このストレッチを数呼吸の間続けましょう。そして、ストラップを外し右足を床に下ろして、それから左足にストラップをかけます。左側でこのポーズを繰り返し、そこで数呼吸しましょう。




17. 脚を椅子に上に置いてボルスターでリラックス


このポーズでは、床に降りたり起き上がるのが容易なら、床に横たわって膝を曲げ、膝下を椅子の上に休ませてリラックスしても良いでしょう。

パンチしていたボルスターを背中側の椅子の上に立てて置き、もうひとつの椅子を座面を前にして近くに置きます。

椅子に座ってボルスターの方に体を倒し、両脚をもう一方の椅子に載せます。両手は、腿の上か、一番心地よいと感じる場所に置いておきます。



このまま5ー10分間リラックスします。両目を閉じて、呼吸とともに動くお腹の動きに集中しましょう。









(出典)https://yogainternational.com/article/view/yoga-for-parkinsons-disease



2022年6月2日木曜日

パーキンソン病のためのヨガ Vol.2
Yoga for Parkinson's Disease

前回の続きです。

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6. 座位で揺れる


揺れるには、バランスがやや必要です。このエクササイズの難易度を上げるには、体の前や頭上でブロックを持って揺れてみましょう。

椅子の端に座り、両手を膝や腿の上に置いて背筋を伸ばたまま、息を吸い込む時に体を左へ揺らし、右のお尻を少しだけ椅子から持ち上げます。息を吐き出しながら、体を右へ揺らし、左のお尻を少しだけ持ち上げます、この動きを数回繰り返しましょう。





今度は、息を吸い込みながら体を前に揺らし、胸を持ち上げて背骨を伸ばして座位の牛のポーズになります。そして、息を吐きながら体重を骨盤の後方に動かし、背骨を丸めて座位の猫のポーズになります。数回繰り返しましょう。




そして、呼吸を1、2回する間、ゆっくりと体重を片方の坐骨からもう一方へと移動させながら胴部と上半身を一方向へと回します。この回転運動を何度か繰り返しましょう。反対回りを何度か繰り返したあと、真ん中に戻ります。







7. 立ち上がって座る


パーキンソン病の方の転倒を防ぐため、また、椅子から立ち上がって座るような日々の動きが困難で不安定だと感じる方のためのエクササイズです。座位から立位へ、立位から座位への動きの練習は、体力と安定性を作り日常生活に直接的に役立ちます。この練習の難易度を上げるには、体の前や頭上でブロックを持ちましょう。



1. 椅子の端に座り、背骨を立てて伸ばし、両足は骨盤幅に並行に開いて、両膝は足指の上で足の中央の方向に向けて置きます。

2. 出来るだけ背筋を伸ばし、体を少し前に倒して重心を膝に乗せ、そして両足を押し下げて立ち上がる準備をします。

3. 地面と繋がりながら息を吸いこみ、両足を根付かせて、頭頂から体を起こします。

4. ゆっくりとコントロールしながら、椅子の上に降ります。両足を地面にしっかりと着け、椅子にできるだけ軽く着地するようにしましょう。

5. 1、2回呼吸して、両方の坐骨を根付かせながら垂直の姿勢に戻ります。続けて何度か繰り返しましょう。





8. 山のポーズから立位で揺れる


「足首を揺らす」など、ヨガの練習に取り入れやすい太極拳は、パーキンソン病の人々のバランスや歩き方を正すのに有効であるようです。下記のように椅子に捕まって行うことをお勧めしますが、バランスがしっかりと取れるようであれば、きっと椅子なしでも大丈夫でしょう。





椅子の後ろ側に立って、椅子の背を掴みます、両足を根付かせて頭頂へと引き上げて山のポーズになります。

息を吸いながらゆっくりと身を右に傾け、そして吐きながら左へ、数回繰り返しながらどこまで安定していられるかを探っていきます。どれくらい傾けられるか、どれくらいバランスをコントロールし続けられるでしょうか?





まずは、体重を片足から片足へとただ移動させ、少し体側を曲げながら、両足は地面につけて置きます。もしこの動きがうまくできたら、そしてバランスの調整し続けられるなら、片足に体重を移動させながら反対の足を持ち上げてみましょう。




今度は、息を吸いながらゆっくりと前に体を倒し、足指の付け根の方に体重をかけていきます。そして、息を吐きながらゆっくりと戻り、踵の方へ体重をかけましょう。




この動きが心地よく感じられるようになったら、胸を持ち上げてやさしい後屈をしながら体重を足先に向かって揺らし、そして背筋を少し丸めて体重を踵の方向へ移動させましょう。




これがうまくできたら、体重を足指の付け根に移動して胸を引き上げながら、少し踵を持ち上げたり、体重を踵に戻して背骨を丸めながら足指の付け根を持ち上げたりしてもいいでしょう。



そして、両足を地面に着けたまま、1、2回呼吸しながら体重を移動させて何回か右方向へ小さな円を描きます。最初はとても小さな円かもしれませんが、バランスが取れるようになったと自信がついたら、徐々に大きな円にしていきましょう。そして、呼吸1、2回分、左に小さな円を何回か描きます。回し終わったら、山のポーズに戻りましょう。






9. 横歩き


これらの動きは、硬直を緩和するために幅を大きく、無意識の「鏡像運動」の癖を直すために左右非対称に動きます。より難易度を上げるには、バランスが取れるなら、片手を腰に置きながらもう一方の腕を横に伸ばしましょう。


1. 両足を腰幅に開いて椅子の後方に立ち、両手で椅子の背に触れておきます。

2. 右手を椅子に置いたまま、両膝はやや曲げて、左足で左に一歩歩き、半分の「T」の字になるように、手のひらを前にして左腕を広げます。

3. 左足を右足の方へ戻し、左手で椅子の背を掴みます。(呼吸と動きを合わせるには、息を吸って外へ歩き、吐いて内側に戻ります。必要なら、それぞれの位置に移動する間、1、2回の呼吸をするのもいいでしょう)

4. 左を椅子に置いたまま、右足で右に歩き、右腕を広げます。

5. 足を戻し、両手で椅子を掴みます。このエクササイズを数回繰り返しましょう。









10. 椅子を使った立位の後屈


優しい後屈は、神経障害に度々みられる背骨の屈曲傾向を抑制します。もし、心地よく椅子の背に触れるには、身長が高すぎたり、椅子が低すぎたりする場合は、ただ膝を曲げましょう。

両手で椅子の背を掴んで、山のポーズで立ちます。

両足を根付かせ、両肩の方へ広げながら胸を持ち上げます。首の後ろを心地よく長くしたまま、天井を見上げましょう。ここで数回呼吸したら、山のポーズに戻ります。






11. ボルスターをパンチする


ボクシングのトレーニングは、パーキンソン病の方の足取りやバランスを向上させると言われています。このエクササイズでは、代わりに安定した友人や指導者などにボルスターを持ってもらい、座位あるいはバランスが取れるなら立位でパンチすることも可能です、


椅子を壁際に座面を手前にして置き、椅子の上にボルスターを立てます。座っている椅子を壁際の椅子に近づけます。ただし、ボルスターを「パンチ」できるよう腕がしっかりと伸ばせる距離を保っておきましょう。


椅子の前の方で、背筋を伸ばして座り、体のわきで肘を曲げて、親指側を上にして拳を作ります。



必要なだけ前に体を倒して、手のひらを下に向けながら右手、左手とジャブし、ボルスターをワンツーパンチします。



背骨を元の位置に戻して一息付き、両腕と両手をリラックスさせます。そしてまた、左手そして右手とボルスターにワンツーパンチします。このエクササイズを何度か繰り返しましょう。








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次回に続きます。