2022年8月31日水曜日

ブレスワークで脳を落ち着かせる 
Calming Your Brain Through Breathwork

今回は Psychology Today の記事から。
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激しく動き回る思考。考えすぎ。固執。これらは全て、あまりに考えてしまうことからくる心の困難な状態だ。このことは認識して受け入れることが重要なのだが、どうすればあまり考えないようにできるのだろうか?


武術やヨガ、瞑想など、こうした心の状態をもたらすのに役立つ実践法はたくさん存在する。これらのスキルが身に付くまでには時間がかかるが、とても効果がある。しかし、もっと簡単に今すぐ頭の中を配線し直す方法はあるのだろうか?



落ち着かせる鍵は、ゆっくりと安定した呼吸


思考をゆっくりにして心を落ち着かせることが、もちろん、多くのマインドフルネス法の究極の目標だ(最も明らかな例は瞑想)。けれど、これは多くの人にとって、そして特に始めたばかりの人にとっては、難しいかもしれない。思考そのものを使って思考を変えようとするなら、それは痒い皮膚を皮膚自身で掻こうとするようなものだ。変えようとしてるもの(思考)と考えているもの(心の中の自分)、そして変えたいと思っている基となるもの(思考へと戻すもの)との間には深く密接な関係がある。






その方法のひとつは、ゆっくりと考えてみること。そしてこれは、体の動きからの感覚反応が脳活動に与えている影響を遮断できるかどうかによる。息を吸ったり吐いたりすることで脳の配線を変えてみよう。


では、次の段階にいくための脳の繋ぎ直しだ。たくさんの練習をしなければ(マインドフルネスだ)脳活動を直接、期待通りに調整することはできない一方で、脳の外にある体の他の部分は直接コントロールすることができる。体の動きや呼吸だ。


人も動物だ。この世界の動物であるということの大部分は、動き回ることだ。そして動き回るには全ての細胞に酸素が必要で、呼吸から二酸化炭素を取り除かなければならない。つまり、動いて呼吸することが、この世界の生きた動物の基本的特徴ということだ。



落ち着かせる鍵は、鼻から吸い込むこと


鍵となるのは、直接影響を与えることのできないことをコントロールしようとするのを止めて、コントロールできることのスピードを落とすこと。落ち着くためには、呼吸を調整するのが鍵だ。動きをゆっくりにして、慌てず、鼻から息を吸い込む。やりたければ口から息を吐き出してもいいが、吸い込む時は鼻からというのが必須だ。一回ごとの息をゆっくりにして、吸う息と吐く息の間で少し息を止める。こうした努力が、脳に一定のリズミカルな体性感覚信号を送り、心を落ち着かせていくのに役立つのだ。


こんなふうに考えていると(あるいは「考えずに」と言った方がいいかもしれない)、呼吸が、心の石庭の混沌に平穏を取り戻してくれる熊手のようになってくれる。これは本当に効き目があるし、今すぐ簡単に始められる。人という動物は大きな素晴らしい脳に恵まれているが、だからといって脳に自分を引き摺り回させなくてはならないというわけではない。そんなことを心に留めながら、何回かただ呼吸してみよう。そして、マインドフルネスを毎日の習慣として続けることをちょっと考えてみよう。

2022年8月29日月曜日

毒素にうんざり?おうちでのデトックス法 
Tired of Toxins? How to Detox (at Home)




このところずっと怠く眠く感じて少し憂鬱なのですが、なぜだかわかりません。どこが悪いのでしょうか?


アーユルヴェーダによれば、倦怠感や眠気、憂鬱はアグニが低いことの表れです。アグニとはサンスクリット語の「火」という意味の言葉です。一般的には、太陽神経叢つまりみぞおちにある消化力を表します。アグニの仕事は、消化を助け、食べ物の栄養を吸収し、皮膚や肝臓、腎臓などの浄化の臓器が老廃物を体外に排出するのを助けます。しかし、アグニはそれだけではありません。私は、小さなだるまストーブに例えるのが好きです。私たちの住処(体)の中心です。消化は、免疫や活力、精神の明晰さなどと同じく、それに依存しているのです。


アグニが強い時は、健康的な食欲や、寒い天候への強い耐性、豊かなエネルギー、風邪やインフルエンザや他の病気に対する抵抗力を持つことができます。しかしアグニが弱いと、膨満感や消化不良、便秘や下痢、内臓の冷え、免疫低下、疲労感や全身の活力低下などが起こります。また、アグニが低い時には、食べ物を効率的に代謝することができず、消化不良からアーマ(未消化の残余物、あるいは毒素)が作られてしまいます。アーユルヴェーダの視点では、これが問題のもとになると考えられています。




体をデトックスして活性化させるにはどうすればいいの?


アグニを強化には4つの簡単な方法があります。有酸素運動、アグニを対象としたハタヨガの練習、健康的な食事、そして解毒のハーブです。


➢ ヨガと有酸素運動


理想的には、毎日運動する方が良いでしょう。けれど、30分間の運動を週に5、6回以上行うことがおすすめです。水泳や自転車、ダンスなど、心拍が上がるような、楽しめるものを選びましょう。また、アグニ・サラ(腹部の締め付けや引き上げ)、捻りのポーズ、前屈後屈、脚上げ、腹筋運動など太陽神経叢や消化の火を強化するハタヨガをしましょう。しかし、ハタヨガの練習を、毎日の義務のひとつにしてしまわないようにしましょう。ハタヨガは、呼吸と共に動くものであり、今に存在して身を委ねるものです。精神的な修養の準備であるべきで、他のエクササイズとは異なります。


自分の能力や使える時間の量に合わせて、持続可能な運動のスケジュールを立てましょう。例えば、私は平日の朝は10ー15分間のヨガをして、昼食時に45分間散歩、そして就寝前に落ち着いて瞑想できるようなヨガを少し行います。あなたには、あなた自身に合った練習法が必要となるでしょう。



➢ 健康的な食事


三つ目に、全粒の穀物や果物、豆類、または少量のオリーブ油やバター、ギー(精製バター)で調理した野菜(生野菜は消化しにくい)などの、新鮮で栄養のあるものを食べましょう。消化の火を燃やすため、食事の時にジンジャーティーを啜ったり、生姜やニンニク、シナモン、クローブ、バジル、オレガノ、胡椒、唐辛子など温める辛味のハーブで味付けをしましょう。


目的は、気分が良くなるような食べ方をする事です。ですから、食べる時に食べ物があなたにどんな影響を与えているかに気づきましょう。満足して元気になりますか?それとも疲れた感じがしますか?


もし怠さを感じたら、消化の火の能力を超えないように食事を少なくしてみましょう。ため息をつきながら「ああ疲れた、ひと眠りしなくちゃ!」と言ってしまうような食事はやめましょう。


思い出してみてください、アグニは火です。火に薪をくべすぎたり、大きな重く湿った薪を入れれば、火はくすぶって消えてしまうかもしれません。同様に、食べすぎたり、間違った食べ方をすれば消化の火はくすぶってしまいます。グルテンのある穀物(小麦など)、肉、乳製品、脂っこいものには、強い消化の火が必要です。こうした食べ物はとても栄養があるかもしれませんが、アグニが弱い時はすぐにアーマを作り出します。アーマはクリームチーズのような質を持っています。重く、濃厚で、粘性があります。アーマは体の弱い部分に蓄積されますが、それは人によって異なります。例えば、膝関節に溜まる(こわばりとなります)人もいれば、心臓まわりの血管を詰まらせる(心臓病になります)人もいます。簡単に言えば、どこであれアーマがあれば、すぐに病気や不健康な状態になるのです。


これを予防するには、2、3週間、小麦や乳製品を減らし(あるいは完全に避ける)、脂っこいものや揚げ物を止め、代わりにキノアや黍などの軽い穀物を食べましょう。そして、1、2週間、どう感じるかを観察します。私の患者の多くは、より軽く、明晰で精力的になったと言っています。彼らのアグニの負担が減って、より明るく燃えるようになったからです。



➢ 解毒のハーブ


最後のヒントは、腸を浄化する事ですが、これはちょっとした食事の変更や解毒のハーブの助けがあれば簡単に行えます。もし、定期的なお通じがない、あるいはあまり質の良くないものをたくさん食べているとしたら、その結果生じたアーマが腸の壁にくっついているかもしれません。これが栄養の吸収を妨げ、老廃物の排泄をも妨げます。この状態が自家中毒と呼ばれる健康状態を起こす事もあります。つまり、腸に溜まった毒素が体内組織に溶け出し始めている状態です。これが、頭痛や疲労感、ニキビや蕁麻疹、吹き出物といった発疹など不快な副作用の原因となります。


毎日のお通じのため、より多くの食物繊維と水を取り入れましょう。サイリウムというハーブ(水溶性で小さなタワシのように働く)をお勧めします。腸壁に溜まったアーマを取り除くのに役立ちます。トリファラというアーユルヴェーダのハーブ・ミックスも良いでしょう。トリファラを便秘薬と考える人もいますが、実際には腸の強壮剤です。腸壁を整え、腸の働きを最適な状態にします。便秘や下痢なら、トリファラで排泄器官を正常に戻すことができます。アーユルヴェーダの文献では、トリファラのことを「アーマを取り除くコテ」と表現しています。腸から毒素を引き出して体の外へ流し出す助けとなります。


こうしたハーブは誰でも摂ることができます。複数を同時に摂取するように、患者さんに指示することもあります。春や秋の健康維持のため、6-8週間、夜にトリファラを朝にサイリウムを、などです。


朝のサイリウムは、ティースプーンに一杯だけ(もっと多く摂る指示が瓶に書いてあったとしても)使います。2カップ以上の水やジュースに混ぜてすぐに(どろっとする前に)飲みます。サイリウムの殻は、その重さの100倍の水を吸収します。ですから、たくさん水を一緒に飲むことが重要となります。そうでないと、特に便秘気味の人は、繊維が体の水を吸い取ってしまうでしょう。ティースプーン一杯のサイリウムで、快適だけれどあまり効果がない時は、量を倍にしてみましょう。けれど、お腹が張ったり便秘になったら、分量を減らすかもっと水の量を増やしましょう。(注意:サイリウムと一緒に薬やビタミン剤を飲まないでください。繊維で包まれてしまうと吸収されなくなります)


夜のハーブとしては、ティースプーン一杯のトリファラの粉を、カップ一杯の沸騰したお湯に溶かして6ー8時間以上置きます。正確に時間を測るため、正午、あるいは朝出かける前に準備しましょう。このお茶を、固形物をカップの底に沈めたまま、就寝時に空腹状態で飲みます。アーユルヴェーダの理想では、ハーブは味わわなければなりません。味にもかすかな薬効があるからです。けれど、トリファラの味が好きではないなら、かわりにカプセルやタブレットを、パッケージの指示通りに飲んでもいいでしょう(通常、1日2回2錠、空腹時にお白湯で飲みます)。


もし、体内に多くのアーマがある場合は、発疹や頭痛、お通じなどトリファラの解毒反応が起こるかもしれません。その場合は、量を半分に減らします。でも心配しないでください。解毒反応は悪い兆候ではありません。体が蓄積したアーマを取り除くのを助けているのです。穏やかに少しずつ解毒するのが良いでしょう。






では、最初の質問の答えです。
体内のアーマを浄化し、エクササイズやハタヨガ、食事やハーブで代謝を活性化させることで、アグニを強化し、より明晰で活発、生命力に溢れていると感じられるでしょう。


2022年8月24日水曜日

ホットフラッシュ?更年期の症状を緩和するヨガ Vol.2
Feeling a Hot Flash? How Yoga for Menopause Might Help Your Symptoms



更年期症状のためのヨガポーズ

以下が、更年期によくある症状とそれらを緩和するおすすめのポーズです。



ホットフラッシュのためのヨガ




最もよくみられ(そして不思議な)症状のひとつホットフラッシュは、おおよそ80%の女性が閉経周辺期に体験します。体の中心部温度上昇に伴う心拍上昇、これらの「パワー・サージ」は、顔のほてりから始まって首や腕にまで至ります。ホットフラッシュは、現れた時と同様にすっと消え、多くの場合、体が体温変動を正常に戻そうとして、湿って肌寒く感じます。


ホットフラッシュの本当の原因は何なのかは知られていませんが、学説はさまざまあります。視床下部が重要な役割を担っているという人もいます。その他、体内のホルモン変動が血管や神経末端を刺激し、血管を過剰に拡張させて熱くほてった感覚を作り出しているという可能性もあります。ほとんどの研究者(そして多くの更年期女性)は、ストレスや疲労、集中した活動などがこれらの症状を増大させることを認めています。


ウォールデンは、落ち着かせるレストラティブなポーズをより多く取り入れることを勧めています。体内のどんな握りしめや緊張もホットフラッシュを悪化させる可能性があるため、ボルスターやブランケット、ブロックなどのプロップスを使用して全身を支えると良いでしょう。例えば、前屈の時に頭をボルスターや椅子に置くと、脳を落ち着かせて神経をリラックスさせるのに役立ちます。支えのある横たわったポーズはまた、完全なリラクゼーションを促すことができます。例えば、横たわった合蹠のポーズ横たわった英雄のポーズなどは、下腹部を柔らかくして、胸やお腹の強張りを解き放ちます。椅子に両脚を置いたアルダ・ハラサナ(半分の鋤のポーズ)は不安定になった神経を鎮めます。



記憶のためのヨガ



更年期の間は、突然思考の流れを見失って整理することができなくなる人がいます。この頭のぼんやりは、ホルモン変動が大きい時に起こります。思春期の少女や妊娠中の女性、産後の女性は、同様の頭のぼんやり感を訴えることが多々あります。ヨガは、特に睡眠不足や感情の揺れによって症状が悪化している時に、この混乱を取り除いてくれます。後屈や胸を開くポーズ、逆転のポーズなど鬱を抑制するのと同じポーズが、ばらばらになった思考をまとめるのに役立つとウォールデンは言います。


また、アドムカ・シュヴァナサナ(下向きの犬のポーズ)は、血液を脳に送って深く集中した呼吸を促し、精神の集中を向上させます。そしてシャヴァサナ(屍のポーズ)は神経を落ち着かせ、心を鎮めて、体を休息状態へと導きます。


こうしたアサナは、更年期やその後を進む時に、女性が身につけておけるツールの一例です。今までにヨガをしたことがないのなら、体が手に負えないと感じる時に素晴らしい救いとなってくれるでしょう。ヨガが連れ合いとなって長いなら、体が必要としているものへと練習を変えていく良いタイミングかもしれません。結局のところ、ヨガの価値は生涯なのですから。アリソンが言うように「特に人生のこの時期で、私はヨガからとてつもない多くの恩恵を得ました。肉体的に体の状態も良くなったし、精神的な浮き沈みを助けてくれました」




疲労のためのヨガ




閉経周辺期で女性が訴える症状の中でも、ホットフラッシュに次ぐのは疲労感です。特に疲労感が鬱や倦怠感を伴う場合は、プロゲステロンの急減がその原因かもしれません。数日や数週間続く説明がつかないほどの疲労感を感じるなら、副腎の消耗が一因かもしれません。


どちらにしても、支えのある優しい後屈をウォールデンは勧めています。そうしたポーズは、胸や心臓の辺りを開き、大抵はエネルギーや決断力、喜びを与えてくれるからです。その中で彼女のお気に入りのひとつはこのスプタ・バッダコナサです。この深いレストラティブのポーズは、平穏と滋養の感覚を教えてくれます。また、胸を開いて呼吸や血流を促し、体を完全に支えながら気分を高めます。



不安、イライラ、不眠のためのヨガ




閉経周辺期の間は、エストロゲンが急増し(あるいはプロゲステロンが急減)、不安や神経過敏、イライラが起こります。副腎が酷使されて疲弊すると、それもまた不安や強いイライラを引き起こす可能性もあります。(多くの代替治療では、ストレス、質の悪い食事、睡眠不足などに常に対処し続けることで、副腎が疲弊すると考えられています)


人がストレス下にあると、ストレッサーと戦うため交感神経が反応して心拍数が上がり、消化管の筋肉の動きが遅くなり、脳への血流が増加します。


ストレスがなくなると、副交感神経が反応して、その逆のことを行います。つまり、心拍数がゆっくりと正常に戻り、消化管の滑らかな筋肉が刺激され、体内組織のバランスが戻ります。


身体が絶え間ないストレス下にあれば、交感神経系や副腎(ストレスに対抗するホルモンや、エストロゲンに変換される男性ホルモンを作ります)がフル回転して動けなくなってしまいます。


ウォールデンによれば、ウッターナサナ(立位の前屈)やプラサリタ・パドッタナサナ(開脚した立位の前屈)などの前屈で、ボルスターやブランケットの上に頭を休ませませると、イライラや精神的な緊張を減らすのに役立ちます。なぜなら、前屈で注意散漫にさせる外界の刺激を締め出すことで、心を落ち着かせストレスの影響を減らすことができるからです。そうして神経系が万事OKという信号を受け取り、副腎や交感神経系が必死に働くのを止めるのです。


もし不眠に悩んでいるなら、体のエネルギーを根付かせ過剰な不安を燃焼してくれる逆転のポーズが役立つこともあります。リストラティブなポーズは、深い休息の状態を促します。




鬱や気分変動のためのヨガ



更年期は出産可能時期の終わりのサインで、多くの女性にとって、青年期が終わるのを悲しむ時です。長く続く疲労とともに、憂鬱で、今までの人生が終わったという感覚によって、鬱を引き起こすこともあります。過剰なプロゲステロン(あるいはエストロゲンの急減)がまた、ひどい憂鬱感から深刻な鬱病に至るまでの全ての原因となりえます。


けれど、ヨガの実践者らは昔から、身体を使って行うことは心や考え方に影響するとわかっていました。時には、ポーズを少し変えるといった微細なことでも、暗い気分を明るくしてくれるのです。女性が尊厳を持ち胸を開きながら背筋を伸ばして立っている時、そして自信を持って歩いている時、私は安定して幸福で周りの環境と調和しているのだと、世界に向かって(そして最も大切なのは、自分に向かって)告げているのです。


ウォールデンは、心に肯定的な効果を与える精神状態を特定のポーズが作り出すことを発見しました。「後屈をすると、特にサポートされている状態では、体の中に軽い感覚が起こります。後屈ポーズは副腎を刺激して、マッサージで活発にします。また、心臓や肺が開いてより多くの酸素を取り込みます」様々な胸を開くポーズは、呼吸や血流を向上して体に活力を与えるので、鬱積した感情を抑制します。そしてショルダースタンドなどの逆転のポーズは、暗い気分を緩和するのに役立つことを、多くのヨギが気づいています。「全てを上下逆さにすることで、逆転ポーズは、感情の肯定的な方向へと作用するのです」

2022年8月22日月曜日

ホットフラッシュ?更年期の症状を緩和するヨガ Vol.1
Feeling a Hot Flash? How Yoga for Menopause Might Help Your Symptoms

今回は、女性が必ず通る更年期に関連する症状とその対処法などについてです。
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48歳のアリソンにひどいホットフラッシュが起こり始めた頃、それはたいてい夜に起こりあまり眠れませんでした。彼女の閉経周辺期の症状というのは、概して、「我慢できない」以上のものでした。そして生理周期は全く手に負えなくなったのです。「突然、出血量がものすごく増えて、以前の2倍ほど長く続きました。生理期間がいつまでも終わらないのです」かかりつけの婦人科医師は、アリソンにホルモン補充療法、つまり更年期症状を抑えるための処方薬を薦めました。「症状が本当に酷いのなら考えてみてと言われましたが、とにかく乗り切るために何でも試そうという感じでした」とアリソンは言います。


彼女には、ホルモン補充療法をやめたい思う正当な理由もありました。その治療法は、人工的にエストロゲンとプロゲステロンのレベルを上げるもので、近年では問題とされてきています。多くの研究によって関係付けられているのは、乳癌や心臓疾患、卒中など命に関わる症状のリスクが上がることです。


アリソンの生理周期が不定期になってすぐ、いつも通っているヨガスタジオで、生理周期に関連する肉体的な不快に対処するのに役立つよう作られたアイアンガーのアサナ・シーケンスを習いました。ポーズの多くはリストラティブなもので、スプタ・ヴィラサナ(横たわった英雄のポーズ)、スプタ・バッダコナサナ(横たわった合蹠ポーズ)、ジャヌシルシャアサナ(頭を膝につけるポーズ)など頭をサポートして行うものでした。次の生理が始まって、アリソンは毎日そのシーケンスを練習していたら、経血量が普通に戻ったことに気づきました。その結果に勇気づけられ、ホルモン補充療法をしなくても症状をコントロールできるのではと考え始めました。彼女が探していた緩和法は、多分、ヨガなのだと彼女は思ったのです。そして、その直感が正しかったことが証明されました。多くの女性が、ヨガによって、ホットフラッシュなどの更年期の不快な症状を緩和されることに気づいています。



ホルモンバランスのためのヨガ


更年期そのものは、単に月経が止まる時期であり、一般的には数年間続きます。この段階を閉経周辺期といい、おおむね45ー55歳の女性に起こります。閉経周辺期には、エストロゲンとプロゲステロンのレベルの変動により、さまざまな不快な症状を引き起こすことがあります。その中でも多くみられるのがホットフラッシュ、不安やイライラ、不眠、疲労感、鬱症状、気分変動、記憶力低下、そして生理不順です。


これら全てを経験する女性は少ないですが、約55ー65%がいくつかの軽い症状を経験していると、カリフォルニア州トーランスにあるハーバーUCLA研究教育研究所のローワン・クレボースキー博士は言います。約25%がほとんど日常生活に支障がないと報告している一方で、約10-20%が深刻で、しばしば体が衰弱するほどの症状に悩まされています。


ホルモンの変動は、概して女性の生物学的な次段階への途中で起こります。思春期のニキビや気分変動、妊娠期のつわり、そして出産後の鬱などさまざまな不快が現れます。「更年期も例外ではありません」と、『A Woman’s Best Medicine for Menopause(更年期女性の最良の薬)』の著者であるナンシー・ロンスドルフ医師は言います。


閉経周辺期が始まるまで、女性の毎月の月経周期を働かせているのは、食欲や体温など多くの身体機能を調整している脳の基部にある視床下部です。視床下部は脳下垂体に重要な生殖ホルモンを分泌させる信号を送り、こうしたホルモンは次に卵巣のエストロゲンやプロゲステロンの分泌を刺激します。閉経周辺期には、卵巣と脳下垂体がいわば綱引きをします。卵巣がホルモン分泌を減らす一方で、ホルモンレベル低下を感知した脳下垂体は卵巣を刺激し続けます。この慌ただしい格闘によって不安定なホルモン変動が起こります。過剰なエストロゲンが体のエンジンの回転速度を上げたと思えば、プロゲステロンが急激に分泌されて体のスピードを落とすのです。


「ホルモンはとても強力です。体のまさに全ての組織に影響を与えます」ロンスドルフ氏は言います。「ですから、体がこうしたホルモン変化を調整しようとすれば、さまざまな状態が起こり得るのは無理もありません。例えば、不安定なホルモン・パターンに脳が影響を受ければ、睡眠や気分、記憶力など全てが影響を受けますし、不定期なホルモン・パターンで子宮が刺激されれば不正出血が起こる、などです」


一般的に女性がこのホルモン変動を始めて体験するのは、生理が止まる約6年前です。こうした症状は大抵の場合、生理が止まってホルモンレベルが徐々に安定する一年以上後まで続きます。更年期の後の卵巣は、女性ホルモンをあまり作らなくなります。けれど、体はまだ骨の健康を保ち、膣の乾燥などの症状を抑えるため、いくらかのエストロゲンを必要としています。腎臓の上にある副腎は、脂肪細胞をエストロゲンに変換する男性ホルモンを分泌してますが、その分泌が減ることでこうした変化の中で重要な要素となっています。それでも、体はホルモンレベルがかなり下がった新しい状態に適応していく必要があります。


こうした自然な生理学的変化や大混乱で多くの女性が悩まされていることを受けて、1960年台、研究者らによって、よく見られる更年期障害の治療法が探し始められました。最終的に勧められた治療がホルモン補充療法でした。その論拠は、ホルモンを体に戻せば、エストロゲン減少からくる諸々の問題は単純に消え去るというものでした。科学者らは、以前と同じレベルのホルモンを維持すれば治療できると信じていたのです。


ホルモン治療法は、更年期の症状を管理する簡単な解決法でした。けれど、いくつかの大掛かりな研究が、ホルモン補充療法によって女性が深刻な健康リスクに晒されることを示してから、より自然な治療法を多くの女性らが探し始めました。ヨガに解決法を求めた人々は、アサナが直接的にエストロゲン生成に影響を与えることはないけれど、不快な症状をコントロールするのに役立つポーズがあることに気づいたのです。特にリストラティブなポーズは、神経をリラックスさせ、内分泌系(特に視床下部、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺)の機能を向上させ、ホルモン変動へ適応するのに役立ちます。




更年期障害を緩和する


ヨガインストラクターのパトリシア・ウォールデン(57)は、ヨガがどのように更年期障害を緩和できるかを直に理解しています。多くの女性たちと同様、彼女の症状も雨のように現れました。最初は小雨のように、そして本格的な嵐となりました。最初にホットフラッシュが来て、次の年には、絶え間ない疲労感と不眠に悩まされました。しばしば夜中に目覚め、そのまま3時間起きたままということもありました。


症状が重くなった時、ヨガの練習方法を変える必要があると彼女は気づきました。彼女の毎日の練習は力強いものでしたが、サポートのない逆転ポーズや、激しいポーズ、後屈などが時に症状を悪化させることがわかったのです。そんな時は、サポートのあるリストラティブなポーズで神経を落ち着かせることにしました。逆転ポーズも続けましたが、ホットフラッシュをより引き起こしてしまうサポートのないシルシャアサナ(頭立ち)の代わりに、ボルスターを使ったセツ・バンダ・サルヴァンガサナ(橋のポーズ)や椅子を使ったサーランバ・サルヴァンガサナ(肩立ち)を行いました。そのように変えることで、体の熱を上げたり辛い症状なしに、不安やイライラを緩和するという逆転ポーズの効果を得ることができました。


症状が消えていくにつれ、ヨガが、ホルモン変動に伴う症状を緩和する強力なツールになりえるという確信を深めていきました。そして同様の症状を体験している他の女性と繋がり、更年期障害のある女性のためのヨガを考案し始めました。「以前から女性の健康問題に興味があったのです」ウォールデンは、リンダ・スパローの 『The Woman's Book of Yoga and Health: A Lifelong Guide to Wellness(女性のヨガと健康:生涯健康でいるために)』 の共同著者でもあります。「でも、自分が更年期を経験した後は、もっとずっと理解できるようになりました」


日常的なヨガの練習には、女性の更年期をがらりと変える力があります。そして、更年期の前にしっかりとした練習をすれば、その移行期が楽になると、『Yoga and the Wisdom of Menopause(ヨガと更年期の智慧)』 の著者であるスーザ・フランチーナは言います。「更年期の前にヨガを練習していれば、特に更年期障害に効果的なポーズの全てに既に慣れ親しんでいるので、長年の友人のようにポーズを行うことができます。リストラティブなポーズに慣れ親しんでいるなら、最高の更年期障害の緩和が意のままに使えるのです」

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2022年8月5日金曜日

デトックス?浄化?アーユルヴェーダではどう考える? 
Detox? Cleansing? What's Ayurveda's Take?


昨日、私はスーパーマーケットで、3日間「肝臓をデトックスする」と書かれた商品を見つけました。くすっと笑ってしまいました。嘘の広告だとは言いませんが、「デトックス」という言葉はさまざまな意味を持っているので、デトックス商品がいうところのデトックスにどんな根拠があるのか私にはよくわかりません。私が言えるのは、こうしたデトックス・プログラムを始めて、結局、以前よりも気分が悪くなってしまう人が世の中にはたくさんいるということです。そして、こんな一体型のデトックス・キットを買い物かごに入れる前に、そもそも体の何を「デトックス」しようとしているのかを理解する方がいいでしょう。季節的なアレルギー?頭がぼんやりする?太り過ぎ?むくみ?シミや肌荒れ?関節のこわばり?頭痛?セルライト?取り除きたいもののリストはどこまでも長いでしょう。



ほとんどのアーユルヴェーダの浄化法は、体の系統(腺など)、内臓(肝臓など)、アーユルヴェーダで組織のひとつと考えられている血液などの組織を浄化したり、余分の水分を体から取り除くために作られています。そして、体が溜め込んでいる老廃物を無毒化すると、気分が良くなって、より効率的に機能し、全体的な健康や幸福感を支えます。アーユルヴェーダ医師のジョン・ドゥイヤールによれば、浄化においては、「消化力や体の自然な浄化の経路をリセットする方法を知る必要があります」ここでの問題は、私たちには、色々な健康問題を助けると謳う何にでも効くデトックス・プログラムや浄化の商品を買う傾向があり、大抵の場合それはサプリやジュースを摂取することになります。けれど、それ以外はいつもと同じように過ごしているのに、どうやってハーブや錠剤の箱が、内臓や組織や脂肪細胞を本当に浄化することができるのでしょう?炭酸飲料を飲んだり、チップスを食べたり、コンピューターの前に座り続けたり、睡眠習慣に気を配らなかったりし続けていたとしたら、そんなデトックス法など本当に効くのでしょうか?


答えは明らかです。そもそも、疲労感やだるさ、不安定さや膨満感などの原因となる問題を紐解いてはどうでしょう?アーユルヴェーダは、一年に2回の解毒を推奨しています。実践者として、私たちは季節に従い、積極的に体内をきれいに保つようにしています。その考え方は、半年に一週間、簡単で優しい浄化や活性化をすれば、一年中健康でいられるということです!半年に一度の浄化と解毒で、私たちの体は、老廃物の蓄積や疲労感、不活性に悩まされることがなくなります。


浄化とともに、体に滋養を与えたり活性させる実践法を一緒に行うと良いでしょう。深いリラクゼーションや瞑想、健康的な食事、そして疲れたり浄化後の病気にならないよう消耗した体を回復させるためのハーブを摂るなどの毎日の習慣です。時間や気づきは、デトックス・キットには含まれませんが、アーユルヴェーダの浄化プログラムにおいては大切な役割を担っています。アーユルヴェーダのスペシャリストや実践者に相談したり、アーユルヴェーダの原則を徐々に毎日の習慣に取り込んでいけば、何を浄化しているのか、そしてなぜなのかということが(一気に全てに取り組むのでなく)わかってくるでしょう。


では、デトックスと滋養のピログラムはいつ始めるのが良いのでしょう?アーユルヴェーダでは、最適の時期が年に2回あります。春と秋です。この季節が変わる時期には、心と体の状態を見極めてケアするための時間をとると、大いにその恩恵を授かることができます。


5日から3週間かけて、食事、睡眠、心の状態、そして日々どのように生活しているかに注意を向けることは極めて健康的です。一切合切をデトックスして、その効果を得られるのは間違いありません!日々あれこれのスピードを落として、毎日の習慣に浄化と滋養を取り入れましょう。ヨガや毎日のエクササイズをして、消化の火を調整し続け、内臓を機能させ、筋肉を活性し、老廃物の経路を整えます。季節の食べ物を薬として消化を支えましょう。例えば、春には浄化してくれる軽い芽野菜を、秋には6味を入れた栄養たっぷりのキチャリ(スパイスを入れたレンズ豆と米の粥)を食べます。毎日、自然の中で練習して、魂と繋がり続けましょう。自然の力は私たち自身よりもずっと大きいのです。起床、就寝、食事の時間を整えましょう。


秋のデトックスは、暑い季節から寒く乾いた辛い季節へと入っていくので、活性化の方により焦点を当てます。暑く軽い性質の夏は自然とデトックスされていきますので、浄化はあまり必要ありません。けれど、自然のヴァータ段階である冬になる前に、熱を下げて自身を落ち着かせなければなりません。クラウディア・ウェルチ博士によれば、「体からピッタを除去してヴァータを鎮めると良いです。秋のアーユルヴェーダ浄化はこれを促し、体のギア・チェンジをして消化のボタンをリセットしてくれます」


冬から春へ季節が変わる時のデトックスでは、より集中した食べ物の浄化を試みます。一年のうちで活力が溢れる季節に入っていきます。自然界の全てが春の再生のために浄化、活性します。それは私たちも同じです!春のクレンジングについては、アーディル・パルキヴァラが言うように「感じられる最も劇的な変化は、精神的な明晰さです。肌は輝き、ゆったりとした深い眠りを得られるでしょう」


そうです。これは箱に入ったデトックス製品とは全く異なります。アーユルヴェーダのデトックスに関係した浄化や活性化のハーブも存在しますが、これらは体の一部だけを分離してではなく、体を全体として浄化することを助ける穏やかな方法で使われます。アーユルヴェーダの原則は、生理学的な体が全て一緒になって働くことで私たちは生きているということを思い出させてくれます。ですから、その効果を存分に得るには、体の一部だけでなく、特に消化に焦点を当てながら全身を浄化することが必要なのです。


デトックス製品には全く意味がないとは言いません。ただ、1週間程度、意識をライフスタイルや食事、睡眠、精神的な気づきなどに向ければ、体や心にもっと有益な浄化の効果が得られるということをおすすめしたいのです。次に季節が移り変わる頃、自身に滋養を与えるために何が必要かを、今、確認してみましょう。箱に入ったデトックス製品の代わりに、季節のリセット、つまり心と体の浄化と滋養の実践で、バランスをとり戻し健康的な一年にしましょう。






(出典) https://yogainternational.com/article/view/detox-cleansing-whats-ayurvedas-take