2023年3月4日土曜日

健康のための断食 Vol.1
Fasting for Health: What Are the Benefits?

今回はファスティング(断食)についての記事です。
多くの断食の合宿やワークショップがありますが、どんな効果があるのでしょう?
デメリットはないのでしょうか?

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1月のとある水曜日の朝、気分が悪くて目が覚めました。喉が痛く、いつもと違って疲れていて、体が何かと戦っているのが感じられました。それまで3年間も病気なんかしなかったのに!どうして風邪ひいてしまったんだろう、と思いました。

自宅でCOVIDのテストをしてみましたが、幸いなことに陰性でした。けれど、4日経っても風邪の症状は良くなりませんでした。あきらめて彼にん風邪薬を買ってきてと頼みました。彼は眉を上げながらこう言いました「3年間病気なんかしてないわと自慢してるからこうなったんだよ」はい、あなたの言う通りです。



斬新な案:健康のための断食


その日遅くに Facebook をスクロールしていたら、あるポストが目につきました。「3日間の
断食で全免疫再生が可能」そのとき気弱になっていた私は、見出しにすっかり魅了されました。3日間何にも食べないということさえ考えるほど、気分がよくなるならなんでもやるという気分だったのです。


それまで断食などしたことはなかったし、食事を抜いたこともありませんでした。忙し過ぎて食事を忘れるタイプの人間でもありません。そんな人たちを理解することなんてなかったのです。


けれど、その確かな研究に基づいた記事はとても興味深く、ここでご紹介するに至ったのです。1日中 Google した結果、取り憑かれたように栄養について読んでいたのに、この研究には今まで出会ったことがないことに驚きました!(おそらくだれも3日間の絶食なんてしたくないからでしょうね?)





健康のための絶食について知る


5日目の朝、ずいぶん気分が良くなっていました。その午後、前の週にCOVIDが陰性だった親しい友人の一人が陽性になりました。もう一度、自宅でテストしてみたところ・・・なんと陽性。結局ずっと COVID だったのです。ワクチンのブースト接種までしていてものすごく感謝しました。もし接種していなかったらもっともっと大変だったでしょうから。

それでもまだ断食についてもっと知りたいと思い、まずはジェイソン・ファン博士の「断食の完全ガイド」を読み始めました。読み始めると止められなくなりました。数日間の断食をどうやって行うかについてのもっとシンプルなガイドだと思っていたのですが、それ以上のことが書かれていました。一番心に残ったのは、何を食べるかと同様に食べる時間が重要だということです。

ここでお伝えしたいのは、
  • 断食がなぜ食事と同様に自然なことなのか
  • 断食中には体で何が起こるのか
  • 2型糖尿病、癌、アルツハイマーへの断食の効果
  • 断食のアスリートへの効果
  • 出産可能年齢の女性の絶食に対する賛否
  • 絶食の証明されている健康への効果
  • 絶食を取り入れる方法


絶食は食事と同様に自然なこと


以前、断続的な絶食についての研究を読んだことがあり、2型糖尿病の人や体重を減らしたい人に大きな健康効果があることを理解していました。断続的な絶食はインシュリン・レベルを素早く自然に下げるのです。けれど、私個人がそれから恩恵を受けるとは考えたことがなく、またやりたいとも思っていませんでした。空腹でいることが大嫌いだし、お腹が好きすぎると頭が少しくらくらして不安に感じることが多いのです。


断続的絶食になじみのない人にとっては、他の健康への効果の中でもインシュリンを下げたり体重を減らすためには、食事のタイミングを変えることです。食べない時間を、例えば午後7時から午前7時まで、1日12時間、あるいは14、16、18、20時間作るのです。あなたの全てのカロリーは日中の「摂取時間帯」に使われます。12時間絶食なんて簡単に聞こえるかもしれませんが、夜間のおやつを控えたり朝のコーヒーに砂糖を入れないなど結構大変なのです!



食べることがより食べることを招く


ファン博士の本を読んですぐに理解したのですが、私が頻繁に食べたくなる理由は頻繁に食べていたからだということです。頻繁なカロリーのインプットに体が依存するよう慣らしていため、食べない時間が長くなったとき、体はどうしていいのかわからなくなってしまっていました。体が、本来そうであるべき脂肪燃焼モードにうまくシフトしないのです。私は「代謝的に柔軟」ではありませんでした。


後でご説明しますが、各食事の間の食べない時間をより長くすると、体は効率良く貯めた脂肪のエネルギー変換するようになります。多くの人とって、この変換はすぐには起こりません。脂肪燃焼が効率良くなる体になるには数週間かかります。そしてそれは、断続的な絶食のタイミングや、食べる食べ物の種類などによって様々に変わります。



祖先は健康のために絶食していた


健康に気を配る人の多くは、人類が進化してきた時とできるだけ同じ食生活を送りたいと思うでしょう。今の健康問題が現代的な食生活の結果からくるものが多いため、「旧石器時代」の原始的な食事をすればその問題は解決するはずだと考えるというわけです。


つまり、原始的な食事をするということは断続的な絶食を毎日の習慣にするということなのです。数時間、時には数日の絶食は常に私たち人類の一部でした。私たちの体は絶食の時間で、解毒したり、壊れた細胞を修復したり、インシュリンレベルを下げたり、貯めた脂肪を使ったりします。私たちの多く、そして私がしているように、ずっと食べ続けるというのは人間にとって普通ではないのです。



精神的な実践としての健康のための絶食


農耕の発展により絶食しなくてもよくなってからも、多くの文化や宗教では、健康のためや精神的な実践法として絶食を続けてきました。今日では、ギリシャ正教や仏教、イスラム教、ヒンズー教など、世界中の宗教の実践者らが定期的に断食をしています。ヒポクラテスやプルタルコス、プラトン、アリストテレスなど古代の医師や学者らもまた健康のための絶食を勧めています。パラケルススやベンジャミン・フランクリン、マーク・トウェインもそうでした。


ファン博士が指摘するのは、1970年台までほとんどの人は1日に12-14時間食べずに過ごし、食事の間のおやつも食べませんでした。けれど今のアメリカ人は、継続的に食べることが健康に一番良いという誤解のため、1日平均5-6回も食べています。



絶食すると体内で何が起こるのか?


私たちが食べると、膵臓がインシュリン・ホルモンを出します。インシュリンは、食べた食物をブドウ糖に変換してすぐにエネルギーとして使い、残りはグリコーゲンや脂肪として貯蔵します。


食べる回数が多いと、インシュリン・レベルは高いままで、血糖値レベルもずっと高くなります。インシュリン・レベルが高いままだと、エネルギーとして常にブドウ糖を使い続け、余剰のエネルギーをグリコーゲンや脂肪として貯蔵し続け、ためた脂肪は全く燃やさないままになります。


貯めた脂肪を燃やすためには、インシュリン・レベルを下げる必要があります。それは、しばらく食べないでいるときに起こります。体内に貯蔵したグリコーゲンは約24ー36時間止まり、その後でやっと体が貯めた脂肪をエネルギーとして燃やし始めるのです。



ケトダイエットと脂肪燃焼


流行りの「ケトダイエット」の仕組みは、こうです。1、2日の断食の後、私たちの体は完全にケトーシス状態に入ります。ケトーシス状態では、低いインシュリンレベルのためエネルギーになる脂肪の分解が刺激されます。貯め込まれた脂肪は脂肪酸に分解され、体のほとんどの組織でエネルギーとして使われます。体もまた、こうした脂肪酸でケトン体を作り、これが脳でエネルギーとして使われます。


絶食した時、体内では他にも有益なことが起こります。アドレナリンが増えて代謝が早まり、エネルギーが増えます。成長ホルモンの生成が増え、筋肉量が保たれて老化を緩やかにします。そして、脳由来神経栄養因子の生成が増えて、アルツハイマーやパーキンソン病、ハンチトン病などの神経変性病の進行を遅らせます。



オートファジーとは?


絶食時にはまたオートファジーが起こります。2016年、日本の細胞生物学者である大隅良典氏は、オートファジーの発見でノーベル賞を受賞しています。


オートファジーとは、傷ついたり病気になった細胞を体が再生することです。絶食すると、これらの傷ついたり病気になった細胞を維持するエネルギーが十分に入ってこないので、体はこうした細胞を分解して新しい細胞の成分としてリサイクルします。そうして作られた新しい細胞がリサイクルされた細胞と入れ替わっていくのです。


これには免疫細胞も含まれます。古くなって傷ついた白血球は絶食するとリサイクルされるので、絶食中には白血球の数は減少します。そしてまた食べ始めると、より効果的に病気から守ってくれるよう適切に機能できる新しい白血球を再生するよう幹細胞が刺激されます。このように、絶食の中で免疫が再生されていきます。





食べ続けるとオートファジーが働かなくなる


ブドウ糖やインシュリン、タンパク質のレベル上昇により、オートファジーのプロセスは止まります。ですから、常に食べ続けている時にオートファジーは起こりません。動物実験により、絶食後約24時間でオートファジーが始まり、約48時間後にピークに達し始めることがわかっています。


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次回に続きます。








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