2026年1月30日金曜日

ヨガセラピー:今も生きる癒しの伝統
Yoga Therapy: A Living Healing Tradition

ヨガセラピーの背景にある哲学、考え方についての記事です。
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ヨガセラピーは現代社会の新しい新興の職業ではありますが、その起源はヴェーダの教えや科学など数千年前にさかのぼります。古人は自らの深い精神の旅から、人の健康状態の本質への深淵な洞察を生み出し、またその理解や全てのレベルにおける苦痛を変換することについての広範囲の教えや力強い実践法をも生み出しました。



この伝統によればヨガセラピーとは、ヨガとアーユルヴェーダを合成したヨガの一種であり、多くの場合、ジョティシュ(ヴェーダの占星術)やさまざまな派閥の信仰から派生した儀式慣習の概念を含みます。この療法におけるヨガの手法やテクニックの応用はヨガ・チキッサと呼ばれていました。新興の職業としてのヨガ・チキッサは伝統的な治療法であり、体調や感情、考え方、食事、行動パターン、ライフスタイルや人間関係、生活し働く環境など全てが密接に関係し合っており私たちの健康にも関係しているいう認識のもとに成り立っています。



ヨガセラピーは、現代の西洋医学における問題のいくつかを改善するためにきわめて重要な役割を持っています。その役割とは、ひとつには、病気や医師中心の枠組みから、ウェルネスやホリスティックなセルフケアに基づいた枠組みへの移行を促すことです。ヨガのコミュニティは、こうした教えを信頼できる合法的な方法で伝えていくという素晴らしい機会と責任の両方を担っています。その責任を果たすには、こうした教えを研究し続けること、伝統の深い洞察を熟慮すること、そして変換の可能性を実践を通して経験することなどによって可能になります。ヨガセラピーの幅広さ深さ、ヨガ哲学との本質的な関連性を解明するために、基本的な見識や中心にある教え、ヨガセラピーの真の伝統のための基礎を築いている元となる実践法を、私はよく垣間見ています。






ヨガの起源は、シュルティと総称されているインド亜大陸に発生した古代文化の文献ヴェーダの中にあります。ヴェーダから、文化や文脈に関係なく全ての人間に永遠に関連すると考えられ発展した、現存する一連の教えが生まれました。こうした教えは、人生のあらゆる場面での体験すべての局面を網羅する深い洞察と実践法を与えてくれます。



ヴェーダの文献は、論証的な哲学様式で編纂されてはいません。詩的であり非直線的で、つまり理解するには複雑で困難です。それらを説明するために偉大な指導者らが解説しました。こうした解説文は哲学的な散文形式をとり、総じてシュルティを呼ばれる口頭で伝えられ、そのように記憶されました。こうしたシステムの最古のものがサンキャで、偉大なる聖カピラによって作られました。サンキャのシステムは、ヨガスートラに記録されたパタンジャリのヨガ哲学の形而上の基礎を形作りました。このように、ヨガは実用的なサンキャ哲学だと考えられるでしょう。



ヨガの観点を伝えるヴェーダ文献にある最も基本となる洞察のいくつかは、アートマン(純粋意識)とブラフマン(絶対的真実)の概念を含みます。ドゥーカ(苦痛)の真実、苦痛を乗り越えるためのヴィディヤ(知識)の探究、そして人間の多次元的モデルなどです。
ヴェーダの哲学的解説の中には、万物の基本要素の法則を列挙するサンキャによる形而上の宇宙論があります。このシステムの中にカピラが示すのは二元性であり、見る者プルシャ、そして見られる者プラクリティです。基本的な前提は、見る者と見られる者を識別することで私たちは苦痛から解放されるということです。



この基本の上に築かれたヨガの伝統が主張するのは、私たちは本質的には変化し続ける多元的な宇宙の中に存在する純粋な意識の変化しない源だということです。純粋意識の中心はヴェーダではアートマンと呼ばれ、サンキャ哲学やヨガではプルシャと呼ばれます。文字通り「街に住む者」であるプルシャは多元的宇宙に住んでいますが、その宇宙とは、思考や感情、身体など自分自身の一部だと通常思っているもの、そして家族や社会ネットワーク、自然界など自分自身の外側にあると思っているものという観念を含みます。この視点から見ると、この見える存在全ては変わり続ける広大さの中のはかない収束現象としてのみ存在しています。基本的にヨガは、私たちはこうした変化するものではなく、間違って自分を認識しそれに執着することで苦痛が起こるのだといいます。



実際的レベルでは、プルシャから生じる知性の応用を通して、そして正しい方法で行うことで、これらの次元すべての変化の方向に影響を与えることができるとヨガは教えてくれます。それぞれの次元での関係性を向上すれば、誤った識別をし続け苦痛を感じ続けるよりも、自分が何なのかを明らかに見られるようになるのです。






2026年1月23日金曜日

マラーサナ(スクワット)でわかる体のこと 
What Your Malasana (Squat) Can Tell You About Your Body


マラーサナ:ポーズ


「花輪のポーズ」ともいわれる深いスクワットであるマラーサナは、苦手な人とそうでない人がどうしているのでしょう?その答えはシンプルで、人は、関節の構造や強さ、弱さ、硬い場所、動きやすい場所などそれぞれ異なる体つきをしているからです。多くの関節や筋肉群を使う複雑なポーズであるマラーサナでは、ポーズでどう見えるかどう感じるかには多くの要因があるのです。ありがたいことに、マラーサナをよく観察することで自身の体の制限や強さを知ることができ、そして練習やポーズを深めるためにその情報を使うことができるということです。


考えてみてください、毎日スクワットをする文化のある場所に住んでいなければ、最初マラーサナはとても変に感じることでしょう。心地よく感じるまでには長い時間がかかるかもしれません。けれど、毎日スクワットの動き(椅子から立ち上がる、車に乗り込む、床の何かを拾う)をしていたら、このポーズは極めて重要です。残念なことに、西洋(そして東洋でもますます)社会では椅子に依存していて、それが悪い姿勢の癖とともにマラーサナをますます難しくさせています。赤ちゃんたちがいかに完璧にスクワット(マラーサナ)しているかに気づいたことがありますか?私たちはその能力をいつ失ってしまったのでしょう?どうしたら取り戻せるのでしょう?


まずは、このポーズでは何が必要かを検討してみましょう。マラーサナでは、足首、膝、腰、股関節、背骨の可動性と安定性などが必要で、全身の構造が試されます。深いスクワットをするには、適切な閉鎖性運動連鎖(荷重)、つまり足首の背屈、膝と股関節の屈曲、腰椎と骨盤の協働した動き、背骨の軸上伸展、肩のわずかな屈曲が必要なのです。
 

この複雑性ゆえに、マラーサナはとても有効でもあります。このポーズをよく見ることで、股関節や膝関節、足首、肩、背骨の左右の対称な機能的運動性を評価できます。体つきによって、このポーズが比較的簡単であったりより困難でありえることを覚えておいてください。マラーサナは、胴体が長く脚が短い人にはよりやりやすい傾向があり、胴体が短く長い脚の人にとっては長い練習が必要となるかもしれません。




マラーサナをやってみましょう


最初に、鏡の前でマラーサナをしてみましょう。まずは股関節よりやや広めに足を開き、つま先を少しだけ外に向けます(位置は後でいつでも調整が可能です)。では、心地よい範囲でできるだけ腰を下げましょう。かかとが少し持ち上がるかもしれませんが、構いません。下げ続けてみてください。けれど無理は禁物です。両肘を膝の内側に入れて、両手を合わせ、肘を使って膝を開き、できる限り背骨を伸ばします。胴体の長さによって、ひじは内腿の上か下に来るでしょう。後ろに倒れそうに感じるかもしれませんし、実際倒れたかもしれません。大丈夫です、後でこれがどういう意味かを探りましょう。


気づく


はじめに、どう感じましたか?どこでそれを感じましたか?では、鏡に映った自分のポーズを時て、もう少し気づいてみましょう。踵は持ち上がっていますか?踵が上がっていても大丈夫ですがいずれは降ろす方向へ練習しましょう。足首は内側に回転していますか?土踏まずは潰れていませんか?つま先が過度に外側に向いて(向こうとして)いませんか?次に、膝はどう見えて感じていますか?内側に倒れていますか?片方がもう一方よりも内側に入っていますか?片方の股関節の方が地面に近いですか?片方に傾いていますか?そして体を横から見てみます。背骨はまっすぐか、反っているか、あるいは前に丸まっていますか?尾骨が過度に巻いていませんか?これら全てに気づいてみましょう。


 

どういう意味なのか?


足:
最初から始めましょう。足はどうなっていますか?かかとが上がっていたら、大抵の場合はアキレス腱やふくらはぎ、特にヒラメ筋(ふくらはぎ下部の深層筋)の制限を意味します。マラーサナでは膝が屈曲していて、ヒラメ筋は膝関節を超えていないからです。(ふくらはぎのより表層の筋肉である腓腹筋は膝関節を超えているため、ヒラメ筋のように伸びてはいません)


かかとを下ろすために足首の関節で補うことがあり、土踏まずの内側が下がったりつま先が過度に外側へ向きます。これらは、(股関節の)ハムストリングスや、梨状筋(股関節を回線する深層筋で時に坐骨神経痛の原因となります)が硬い、あるいは中臀筋が弱いことを示しています。あるいは、稀ではありますが、過去の怪我や手術などで足首関節自体に制限があることもあります。



膝:
膝が内側に入る(股関節が内側に回転している)場合、臀筋が弱い、内転筋(内腿)が弱い、あるいは腸脛靭帯(股関節から膝にかけて脚の外側に沿っている筋膜)が硬いのかもしれません。過度に腰が反っているなら(特に腰を下げたとき)、弱い体幹を補うための股関節屈筋が硬いのかもしれません。背骨が前かがみになっているなら、脊柱起立筋が弱い、胸椎やハムストリングスが硬いのかもしれません。


対称性:
左右の片方に傾いている(あるいは股関節の片方がより高い、片方の膝がより内側に倒れている)ときは、痛みを防ぐ保護機構や足首、膝、股関節の可動域の左右対称性など、安定性に問題があることを示している可能性があります。これは下半身に怪我をしたことのある人に特によくみられます。また、片方の肩が高くなることも稀ではありません。通常は利き腕の方が硬く、あまり動きません。



これらの組織にどう対処すればいいか?


このポーズをよりやりやすくする最も簡単な方法は、踵の下にサポート(丸めたタオルやブランケットなど)を置くことです。かかとが地面に本当に近いなら、足をもう少し開いたり少しだけつま先を外に向けてみて、踵が下りるかみてみましょう。ただし無理はせず、かかとを上げたままにしても構いません。ここでも股関節の実際の構造が関係しているので、スタンスを広げたり狭めたりして、自身に理想的なマラーサナを見出しましょう。みんなにぴったり合うサイズはありません。けれど、つま先は外に向きすぎないようにしましょう。足の土踏まずが落ち込んだり膝が内側に入る原因になるからです。膝が足首の中心線に並び続けるよう目指してください。



その他マラーサナで気をつけること


踵が下りたら、足の内側にある土踏まずが落ち込まないように、臀筋を使って両足の外側により体重をかけます。これによって以下を確実にすることに役立ちます。

1)足首や足がより安全な位置に

2)膝がつま先を同じ方向に向いている(捻れていない)

3)股関節が外旋し(股関節、膝、つま先全てが同じ方向を向くために)、膝が内側に倒れていない


両足を通っている強い土台が、骨盤底筋と下腹部(ウディヤナ・バンダとムーラ・バンダ)を引き上げるのに役立ちます。肘を使って、膝を開くのを促します。同時に、胸を上前に持ち上げて、背中の上部を引き上げ(胸椎の伸展)、背骨が伸びているのを感じながら尾骨を「伸ばし」ましょう。この動きによって、背骨の中心あたりが伸び、胸郭の底あたりと横隔膜(ウディヤナ・バンダ)が持ち上がっているのを感じます。


おまけ:あごを少し引いて首の後ろ(ジャランダーラ・バンダ)を伸ばし、より長く背骨を伸ばします。


このポーズを長く続けていてよくみられるのが、すねの前にある筋肉(前脛骨筋)が疲れ始めることで、特にかかとが床に下りているときです。というのもこの筋肉は、後ろに倒れないよう、ふくらはぎの緊張の反対方向へ引いているからです。心配は要りません。練習を続けていると、ふくらはぎが解放されて前脛骨筋が強くなり、長くこのポーズがとれるようになります。


それでも、かかとを床に下ろすと後ろに倒れてしまうなら、深くスクワットする時は何か(ドアノブやキッチンカウンターなど)を掴んでみましょう。これで、後ろに倒れるのを心配することなく、足首や膝、股関節、背骨、また肩が機能的に動くのを可能にしてくれるでしょう。または、ブロックの上に座ることもできますが、体重はできる限り両足に乗せ続けます。


マラーサナで左右が非対称な場合は、つまり体が傾いていたり水平でなかったら、必要なサポート(股関節の下にブロックやブランケット、小さな椅子)を使って、腰が床と並行になるまで、また、傾いた方が正しいアライメントになるまで股関節を持ち上げましょう。

 
マラーサナを練習することは気づきになります。感じていること、どこに感じているかに注意しましょう。今まで気づかなかった非対称性に気づくかもしれません。練習を続けていれば、マラーサナが新しい好きなポーズになっているかもしれません。ついには、ヨガの練習以外でも、1日の間により多くの回数このポーズをしていることに気づくかもしれません!








2026年1月9日金曜日

ヨガと認知症 Vol.2 
Yoga and Dementia

前回からの続きです。

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認知症の方にヨガを指導する際の秘訣


SPECALの黄金律


1. 直接的な質問をしない


「認知症の方の対応でひとつだけ覚えておくとすれば、直接的な質問をしない、ということです」とペニーさんは言います。ヨガティーチャーもそうでない人も、「今朝はどうですか?」から「今、三角のポーズをしたいですか?」まで、情報を得ようとしたり、思いやりを示したり、関係性を築き始めようとして質問をします。けれど、認知症の人は質問されると、それに応えるために必要な事実情報がわからないことで、急に苦痛を感じてしまいます。


「その人のアルバムにある今日のページには多くの事実が欠けていて、そのため簡単な質問であっても答えるのが難しいのです。結局は、三角のポーズをしたいかどうかは、三角のポーズとは何なのかなどアルバムの中の事実情報に依存します。さらに複雑なのは、今した質問が保存されないことです」その場合、答えを待っているというあなたの期待した表情そのものもより深い混乱の原因となり得ます。「どちらにとってもあっという間に困難な日になってしまう可能性があります」ペニーさんはそう認めました。


しかしながら、認知症の生徒と会話するのは不可欠であるため、例えばあなたが言ったことをすぐに理解できる方法で普通に会話するとか、もし会話を始めたら相槌を打つなど他の方法を試しましょう。「まるで釣り人が擬似餌を変えるように」ペニーさんは勧めました。「魅力を感じたら魚は来ます」また彼女の「質問のない質問テクニック」を試すこともできます。例えば「今、三角のポーズをするのはいい感じかしら?」といった感じです。「多分」とか「・・かしら」とか、「・・するのもいいかも」など生徒を困らせない方法で参加を促しましょう。



2. 専門家(つまり認知症の生徒)の声を聞いて学ぶ


「生徒の声を聞いてそこから学ぶ必要があります。彼らが話し始めたらすぐ、自分は話すのをやめてその話や質問を聞けば、それは金の粒のようなもので、どんな言葉を使うべきなのか、彼らは何が知りたいのか、何を話したがっているのかなど、とても価値のあるヒントが得られます」ペニーさんは述べました。


また、認知症患者の介護者から、ペニーさんが言う「最高の出来事」を聞くことができるかもしれません。彼らが最も話したがる体験であり、彼らのアルバムの一番好きなページです。(もし介護者からは何も聞いたことがなければ、そうした記憶を質問のない質問テクニックで聞き出してみましょう)


こうした話をするときは、あなたの生徒は馴染みのあるしっかりとした土台の上にいます。あなたの生徒が不安そうだったり自信をなくしたように見えたとき、また彼らとただ繋がりを強くしたいと思ったときはいつでも、大好きな話の中でよく使うキーワードを言ってそのお話に導きましょう。






例えば、あなたが「ずっとインドに行きたいと思っています」と言ったら、インドに旅行した時の大好きな話しを急に始めるかもしれません。(しかし、『あなたが以前したインド旅行は楽しそうでしたね』など直接的な旅行の話には注意しましょう。あなたにその話をした事実は記憶していないかもしれず、どうして個人的な情報を知っているのか不思議に思って困ることになる可能性があります。『だれでも自分のことを知られすぎている感じたり、アルバムの中にあなたの情報が見つけられないと不安に思うものです!』ペニーさんは注意を促しました。)



3. 否定しない


認知症の生徒は、時々事実に反する内容を言うこともあります。ペニーさんによれば、それを正さない方がいいです。「『それは正しいか間違いか』という質問でなく、『誰のアルバムについて話しているか』です。話している時は自分のアルバム、自分の体験に基づいています。だから彼らが選んだ写真について議論しないでください。注意深く聞いてそこから始めます」


例えば今やったばかりなのに、生徒が「まだ肩回しをしていない」と言ったら、否定しないで彼女の言う通りまた肩回しをしましょう。


(もし、例えば『逆立ち(あるいは体の能力を超えたポーズ)をしましょう』などと生徒に不適切だったりかなり危険なことを提案されたら、彼らではなく自分自身の能力不足のせいにして一旦休憩を促すことをペニーさんは勧めました。「本心から、先に進む前に少し休憩しようと言うことに全く問題はありません。逆立ちをする提案などはきっと時系列的に記憶されていないことをふまえて、休憩のあとは全く新しい章が始められます。このように認知症患者の障害に前向きに対応しましょう」)





さらに・・


4. 複雑な言葉による指示ではなく、実演やジェスチャーを最大限に活用


私たち指導者が実演をするのは大抵はほんのちょっとだけで、多くを長く細かい指示を言葉で伝えます。「足指の付け根とかかとに向かって根付かせて、膝関節は2番目の足指先に向けて。今度は背骨を伸ばして頭頂へと持ち上げて。肩は後ろへ回します・・」いうように。


直近の事実情報の記憶がどんどん不確かになっていく困難認知症の生徒には、もっと単純な方法が必要です。たくさんの指示を与える代わりに、「足で下に押して」など動きを身振りで伝えながらできるだけ簡単なフレーズを使います。


可能なときはいつも実演し、連帯感を作るための視線を合わせることを優先し、ジェスチャーを使いましょう。「ジェスチャーは1000の言葉を伝えます」とペニーさんは言いました。
「ジェスチャーは気もちを伝え、それが新しい写真すべてに保存されますが、言葉は事実であり言った後からすぐに消えてしまいがちです」おそらく「胸を引き上げて」とか「頭頂へ持ち上げて」という意味の言葉の指示に代わるエネルギーにあふれたジェスチャーがあるでしょう。


もし、より細かいアライメントを整えなければ安全とはいえないポーズがあれば、そのポーズは省きましょう。



5. 良いニュースだけ伝える


あなたの認知症の生徒が通常通りに事実情報を記憶できないと感じたなら、否定的な情報を伝えれば落ち着いて見えても不安にさせるかもしれないことは理解できるでしょう。ペニーさんは例を挙げました。「あなたがクラスに遅れて、事故渋滞のために時間がかかったと説明します。まあ、認知症でない人は理解します。『ああ、渋滞ね、あなたが無事に来れてよかった』と思うでしょう。けれど認知症の人は事故のところだけ記憶して、後で不安が引き起こされて『誰が事故にあった?何があった?誰が?何をするべき?』と自問するかもしれません。これは良い写真ではありません。あなたが到着したら心から笑顔で『ああ着いてよかった!』とただ言って練習を始める方がずっといいのです」


あなたの生徒はやる気があるふりに気づくかもしれないので、状況の中で肯定的な面を見るようにするのが大切で、それが自然にあなたの感情に影響します。否定的なニュースや沈んだ感情で認知症の人を困らせないでください。「結局のところ、あなたが遅刻してひどい事故を見たとしても、無事に到着して生徒と会えたら嬉しいでしょう?」


悪いニュースを伝えないのは事実と違う話を作っていると思うかもしれませんが、ぺニーさんが言うには「彼らはもう一生分も悪いニュースを聞いてきたんです!」認知症であるためにすでに耐えている困難のことを忘れないでください。余計なストレスを避ける理由がわかるでしょう。あなたが見た自動車事故やニュースで見た大災害のことは話さないでください。クラスの間ずっと、今練習している部屋の中も外の広い世界も、全ては大丈夫だというサインを出してください。「『大丈夫』という信頼感は記憶されて説明のない不安よりもずっと役に立ちます」ペニーさんは確認しました。


6. 惜しみなく賞賛を送る


ヨガの間はずっと「これ上手ですね!」などと褒め言葉を散りばめましょう。2、3種類の褒め言葉があればより良いです。「完璧!すごい!最高!」


「認知症の診断は、生徒のウェルビーイングを左右します。記憶力の変化に直面しているという明白な兆候があり、それは不安に感じさせるものです」ペニーさんは言います。「自信が低いとき、認知症の人はアルバムの中を探るのが特に難しくなります。自信の低さが、認知症前のアルバムから役に立つ組み合わせを見つける能力が下がることに繋がります」あなたにはヨガティーチャーとして、生徒にうまくやっていると感じさせることで、彼らの自信や自尊心を引き上げる力があります。


ペニーさんが指摘したのは、良いニュースだけを伝えるのと同様に「親切にするのと上に立った態度をとるのとの間には小さな違いがあります」重要なのは本心からということ。信じられないほど困難な状況であなたの生徒はよくやっているということに気づき、何度も心から賞賛を与えてください。ペニーさんは言います「いつも筋の通った事実が記憶されるわけではありませんが、ずっと感情は記憶し続けていて、新しい事実の記憶が小さくなるにつれて感情のスペースが大きくなります。事実よりも感情により依存しているので、そのためあなたの不誠実さにはすぐ気づくのです」



7. 言葉とジェスチャーで生徒との関係を築く


ペニーさんは彼女の言うところの「私たち」関係を築くことを推奨しています。「あなたと生徒はここで一緒にいて、二人ともヨガクラブのメンバーだという印象を作ってください」この連帯感を、「私たち」「一緒にしましょう」などの言葉やフレーズを使って、そしてしっかり目を見て、彼らのジェスチャーやポーズを真似て、彼らの発言や提案に熱心に耳を傾けましょう。


もし生徒がポーズをしたがったら、ポーズをやめたいと思ったら、水を飲むために休みたがったら、賛成してください。「私もそう思っていたところです!」



8. 生徒を専門家として扱う


「ふさわしい話し方をする必要があります。彼らよりもいくらか能力が低いと考えてください。可能な限り、生徒をティーチャーだとしてください」ペニーさんは助言します。


自尊心を上げるために、生徒から受ける指示や確認は快く受け入れましょう。例えば、「三角のポーズはこんな感じかしら」と言ったらきっと「そう!」「その通り!」などコメントが帰ってくるでしょう。


「側から見たら誰が教えていて誰が教わっているのかわからないかもしれません」ペニーさんは言います。もしやろうとしているポーズを生徒がやろうとしなかったら、そんなときは、忘れましょう。彼女のやっている形を真似して、そのリードについて行きましょう。それもまた生徒の肯定感や二人の連帯感を築くのに役立つかもしれません。「そこから、その良い感情を踏み台にして、まるで独り言を言うかように変えることをさりげなく提案します」例えば、指示したり質問するのではなく、「それはいいポーズですね。肩をもうちょっと後ろに回したらどうなるかしら」と言えるかもしれません。


9. 異なる言葉、ジェスチャー、戦略を試して何がベストかを探る


会話や練習の間、いろいろ試して何に効果があって何にないかに気をつけましょう。会話を始めるのに良い天気の話は効果がない?あなたのお母さんや夫がヨガをしてくれたらいいのにという話は?会話は続きましたか?一歩下がるのは効果がありませんか?もう一方の足を前に出すとポーズに入れますか?生徒がシャヴァサナでじっとしていられませんか?肩に手をおいたら少しは長く休んでいられそうですか?質問をするのでなく、どんなときどんなことがうまくいってうまくいかないのかを観察してください。「できるだけ早く見つけられたら、最悪を最小限に最高を最大限にすることができます」ペニーさんは勧めます。


10. 生徒のウェルビーイングを高めるものは何でも喜んで繰り返すことを学ぶ


ヨガティーチャーは、新しいクラスを作ろうと大抵の場合は考えますが、認知症の生徒を教えるなら新しいものを考える重荷から解放されます。新しいポーズを教えるのではなく、よく知っているものを尊重します。


“One of the joys of working with individuals with dementia is that they will never tire of the repetition of what they enjoy,” assured Penny. The shoulder rolls they enjoy will delight them 「認知症の人に対応する際の喜びのひとつは、彼らが楽しんでいることを何度繰り返しても決して飽きないところです」楽しんでいる肩回しに何度でも何度でも大喜びします。ハッピーベイビーのポーズを「死んだ虫」と呼んで彼らが大笑いしたら、毎回大笑いします。生徒から肯定的なリアクションを引き出す言葉を見つけたら、繰り返し同じものを使い続けましょう。


11. 可能性を信じる


本当に効果があることは何かといえば、生徒の手を握ることです。手を握りましょう。好きなポーズがシャヴァサナだけだったら、ヨガクラスはそれに集中させましょう。もし生徒が本当にやりたいことは、お茶を飲みながら好きな話しすることなら、一緒にお茶を飲んで興味をもって喜んで話を聞きましょう。できる限り、ヨガクラスとは何かというあなたの概念を広げることになるにしても、彼らに寄り添いましょう。ペニーさんが言うように「SPECALのヨガは、SPECALを知らないひとにとっては『伝統的な』ヨガには見えないかもしれません。けれど、それは無駄なセッションというわけではありません。反対に、SPECALの基準で測れば、生徒のウェルビーイングを高めるものであるので成功なのです」


認知症の生徒とのヨガクラスの終わりには、新しいポーズも覚えていないし、膝とつま先の向きを合わせるのがうまくなりもしていないかもしれません。汗をかいたかどうか、最後のシャヴァサナでリラックスできたかどうかもわかりません。けれど、生徒の自己肯定感、自立性、社会的快適性、安心感に対して、価値のある貢献ができるはずです。「彼らの声を聞いて、『私たち』関係性の中で一緒に練習することを探ることで、持続的な方法で彼らの生活の質を高められるのです」ペニーさんはそう締めくくりました。「それが値段のつけられない非常に価値のあるもので、SPECALのすべてのケアが目指すところなのです」