ヨガの世界では、呼吸の方向性について議論があります。ヨガの呼吸法や技術はたくさんあり、生徒はこうよく尋ねます。「胸に吸うところから始めて次にお腹を膨らせるのか、お腹を先に膨らせてから胸を広げるのですか?」この一見無邪気な質問が、ヨガ・ティーチャーらに顔が青くなるまで議論させることになるのです。正しい答えはあるのでしょうか?あります、がその前に最初から始めましょう。
まず、事実を整理しましょう。お腹で呼吸はできません(お腹に空気が入ったとしたら、あなたはかなり深い問題に陥っています)。もちろん息を吸う時はお腹を広げないといけませんが、空気がそこに入るからではありません。
ヨガの呼吸:基本的な事実
ヨガでの複雑な呼吸のプロセスを理解するために、2つの重要な事実を知る必要があります。
事実 1: 空気は気圧の高い方から低い方へ流れる
事実 2: 肺に筋肉組織はなく、意思で肺は動かせません。その代わりに肺の外側が胸郭の内側と横隔膜の上部に着いています。それによって、肺はこれらの構造の動きに引っ張られて動きます。ですから肺を直接動かすことはできませんが、意図的に胸郭を広げたり、横隔膜の(これは筋肉なので)動きに影響を与えることができ、それが間接的に肺を動かすのです。
呼吸のしくみ
呼吸をする時、何が起こっているのかは以下です。空気が肺に入ってきたら、全体が一度に満たされます。先に肺の底をそして上部を満たすことはできません。酸素は液体ではなく気体です。ですから、液体のように容器(肺)に下から満たすことはできないのです。
The degree of movement of the diaphragm and the ribcage in breathing can vary.
呼吸における横隔膜と胸郭の動きの範囲は様々です。
- 横隔膜呼吸、深い呼吸では、動きを横隔膜に委ねています。通常、活動は最小レベルです。
- 胸呼吸、浅い呼吸の時は、形を変える胸郭に委ねています。激しい活動のときや、腹部の内容物が横隔膜の動きを制限している時(例えば胎児がいる時など)に多く見られます。
この画像から見られるように、腹腔はいろんなものが詰まっています。生命維持のための内臓、消化管などです。吸気で横隔膜が下がると、腹部の中身が押し下げられ前方以外に行き場所がなくなり、それでお腹が前に出ます。
ここまでは、自然な呼吸パターンを見てきました。息を吸うと、胸とお腹が同時に膨らみます。息を吐くとどちらも元の形に戻ります。
なお、このパターンは筋肉をコントロールして、意識的にも無意識的にも変えることができます。無意識な筋肉の妨害の例のひとつは、「リバース・ブリージング」のパターンで吸気でお腹を押し出さずに引き込む場合などです。
吸気でお腹を引き込み続けたら、腹部が前方に行くのを妨害し、腹部はそのまま止まり横隔膜の動きが制限されます。なので、代わりに胸郭に委ねることになります。もしこれをずっと長い間していると、横隔膜の柔軟性が失われ、呼吸が短く浅くなります(誰もそうなりたくありませんよね?)
ヨガの呼吸
ヨガでは、しばしば意識的に自然のパターンを変える練習を行います。例えば、腹部を先に膨らませ次に胸を膨らますことがあります。あるいは、胸が先でそれから腹部をふくらましたりもします。どちらも多くの理由のために自発的に行うものです。
吸気ーまず腹部をそして胸部を膨らませる
- 横隔膜の動きを強調するため
- 「リバース・ブリージング」パターンを克服するため
- 体のグラウンディング効果を作り出すため
吸気ーまず胸部をそして腹部を膨らませる
- 背骨を伸ばし姿勢を向上させるため
- 呼吸を徐々に深めるため
- 体へ高揚感をよりもたらすため
受動的な呼気では、吸気で収縮していた筋肉は弛緩し、元の場所に戻ります。
能動的な呼気では、腹部の筋肉を使って腹部を引き込み横隔膜を上へ動かします。息を吐きながら徐々に腹部を収縮させると腰を支持し安定させます。
ヨガの呼吸とプラナ
もっとも重要なのは、呼吸の持つエネルギー効果にヨギたちはとても関心を持っていたことです。呼吸は、身体中を巡る生命力、プラナの媒体です。バガヴァッド・ギータに寄れば、呼吸ごとに生命力の2つの主要な流れであるプラナ・ヴァーユとアパナ・ヴァーユに繋がることができるとされています。
アパナ・ヴァーユは、重力と平行しており下方に動き、老廃物や病、老化、死、意識の減少などをなど取り除きます。プラナ・ヴァーユは空と風の要素と平行しており、下方への動きをし、体に取り込んだ食べ物や水、経験、情報など全てに影響します。
しかし、アパナ・ヴァーユは精神や感覚を通して上方に分散し、特に感覚や上方が溢れた現代には顕著です。これが体力の衰えや肉体と精神の調和の乱れに繋がります。
プラナ・ヴァーユとアパナ・ヴァーユを1つにする
2つの主要なヴァーユを結合させると、私たちのエネルギーが強まりより高みへの目覚めへと繋がります。ヨガの練習は、アパナ・ヴァーユを引き上げてプラナ・ヴァーユと結合し、プラナ・ヴァーユを引き下げてアパナ・ヴァーユと結合させる働きをし、その結合は体のプラナの中心であるお臍のあたりで起こります。
プラナとアパナと結合させるために、吸気で意識的な筋肉の収縮を用いて息の象徴的な下方への動き(鼻ー喉ー胸ー腹)に集中します。また、呼気で象徴的な上方への動きに着目します(腹部を恥骨からお臍とゆっくりと収縮させ、胸郭を圧縮します)。
では、最初の質問に戻りましょう。
正しいヨガの呼吸とは、胸からお腹なのかお腹から胸なのか?
答えは:状況次第です!
ヨガの練習においてあなたが何を成し遂げようとしているかによるのです。
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