では最後に、下位交差症候群を正すエクササイズに入っていきましょう。下位交差症候群の傾向は上位交差症候群の傾向を持続させる可能性があり、その逆もあり得ることを覚えていてください。全ては繋がっています!下位交差症候群のバランスを覚えていますか?弱くなった臀筋と腹筋そして固まった股関節屈筋と腰の筋肉。これを正すには、腰や股関節屈筋、腸腰筋を伸ばして、腹筋下部と臀筋を強化しなければなりません。まずは、悪い癖や間違った固有受容性感覚を防ぐため、可動性を高めてから強化していきましょう。
可動性
腰とハムストリングスのストレッチ、ツイストのシークエンス
臀筋:ブリッジのバリエーション
パヴァナムクタサナ(膝を胸につけるポーズ、風抜きのポーズ)、スプタ・パダングスタサナ(仰向きの足親指を掴むポーズ)、スプタ・マツエンドラサナ(横たわった魚神のポーズ)は、硬くなった腰や股関節の筋肉をほぐし下位交差症候群の傾向のある人にとってバランスの取れた可動性を養うための素晴らしいポーズです。
両脚を伸ばして上向きに横たわり、右膝を胸に引き込みましょう。脛の前で指を組みます。頭と肩をリラックスさせ、左脚の後ろ側を床に押しつけます。これが、腰と左股関節屈筋の距離を広げます。上交差症候群のエクササイズでやったように首を頷かせても良いでしょう。首の後ろを優しく床に押して顎を引き、首の後ろをストレッチします。ここで5〜7呼吸しましょう。
固いハムストリングスは腰の緊張にも関係するので、右足の土踏まずにストラップをかけて右脚を伸ばすハムストリングスのストレッチを行いましょう。必要なら力を抜いて構いません。左脚の後ろを床の方へ根付かせたまま、左右の腰の位置を揃えましょう(右胴部が短くなってしまわないように)。ここでまた5〜7回呼吸しましょう。
ツイストをするため、右脚を胸に再度引き込み、左手で優しく右膝を体の左側へ移動させましょう。右膝が床につかない場合は膝の下にブロックを置きます。骨盤は上下に重ねるようにしましょう。右肩が床から持ち上がっていても構いません。お腹や胸、肩を柔らかくして優しく呼吸しましょう。反対側で繰り返します。
腰と股関節が開いたので、次は四頭筋と股関節屈筋をランジのバリエーションで開いていきましょう。
ソファや重い椅子、壁などの前で、右脚を前にして(膝は90度)左膝をソファなどのすぐ前の床に下ろしたロー・ランジになりましょう(必要なら後ろの膝下にブランケットを置いて保護しましょう)。では、左足をソファなどに向かって持ち上げます。両手でサポートした右腿を下方へ押し、胴部を持ち上げます。これが難しい場合は、両足をソファなどにつけた四つん這いから左足を持ち上げて、徐々に膝を下げて行っても良いでしょう。最終的には、右足をランジの位置まで前に歩かせますが、これは任意で行いましょう(右膝をついたままでも構いません)。
左の腰を前に引き、腰が丸まってしまわないよう下腹部に力を入れ続けましょう。尾骨を床の方へ伸ばします。左股関節の前が左腿の前面(四頭筋)に向かってストレッチされるのを感じるでしょう。このストレッチを深めるには、左膝を床と垂直になるまで家具や壁に近づけていきます。ストレッチを緩めるには、左膝を家具や壁から遠ざけ右足は立てたまま両手を床に下ろします。腰をリラックスさせ、ハッピーに、そして反らさないように再度確認しましょう!
これはとても強度の高い四頭筋ストレッチですので、呼吸を忘れないでください!ポーズから出る時は気をつけて、両手を床に下ろし、左膝を壁などから離して前に戻し足の裏を床につけましょう。ばねのように急にポーズから出ないようにマインドフルに動きましょう。反対の脚で繰り返します。
強化
下腹部:プランク(クンバカサナナ)
クンバカサナはプランク・ポーズとして知られています。しかし、語源のクンバカには「鍋」や「船」の意味があり、呼気吸気の最後に息を止めることを指します。プランクを練習する際に安定した呼吸を保つには、腹筋、背筋、横隔膜、そして骨盤底筋群で強い「船」を胴体の中に作るイメージをしましょう。
プランクは、背骨周りの筋肉全てを強化する素晴らしいポーズです。腕立て伏せの形になりましょう。これが辛い場合は、両膝を床に下ろします。手首に問題がある時は前腕を下ろします。どのバリエーションであっても、膝、股関節、肩はまっすぐにキープするようにしてください。腰が崩れないよう下腹部を引き、おへそを背骨の方向に引いて、尾骨をかかと方向に向けます。両手(あるいは前腕)を通して強い土台を保ちましょう。両肩のハッピーな中間点を見つけましょう。つまり、肩が落ちて向けが床の方へ下がってしまわないよう、そして上背部を丸めすぎて胸が縮まらないように。実際、間違って練習し続けると上位・下位交差症候群の傾向を正すことができません。マインドフルに行いましょう。ここで5〜7呼吸キープするか、長くできるなら良いフォームのまま疲れるまでホールドしましょう。
臀筋:ブリッジのバリエーション
後屈といえばブリッジ・ポーズ(セツバンダ・サルヴァンガサナ)を思い浮かベルかもしれませんが、このバリエーションは後屈ではなく臀筋の活性化と強化が目的です。
ヨガブロックを近くに置いて上むきに横たわり、両膝を曲げて足の裏を床に、かかとは坐骨に近づけましょう。ブロックを腿の間で強く挟みます。両腕を手のひらを下にして体の脇に
置き、足と腕を下に押しながら腰を持ち上げます。セツバンダ・サルヴァンガサナのように後屈はしません。臀筋を使って、膝と腰と肩が一直線になる位置まで腰を持ち上げましょう。臀筋をより使うため、爪先を持ち上げてかかとで床を押します。これが簡単すぎたら、片脚を上げてみましょう。5〜7呼吸キープするか、腰の上げ下げを10〜20回繰り返します。
このシーケンスは、下位交差症候群が原因の悪いバランスを正すのに役立ち、姿勢を向上させ、体全体の運動連鎖に効果をもたらします。これらの動きを試してみて、体のバランスが作られていく感覚に気づいてください。体の強さと緩さ、スティラとスッカのバランスを訓練すると、どこか足りない場所の埋め合わせをする必要がなくなります。スティラとスッカのバランスを育むことで、体全体とこの運動連鎖に沿った調和を見つけることができます。スティラとスッカのよいバランスがもたらす効果は、他にあなたの人生のどの部分に現れるのでしょうか?