2020年11月15日日曜日

ブラマリ(マルバチの呼吸)で心を鎮める
Calm Your Mind with Brahmari (Bee Breath)

今回はプラナヤマのひとつ、ブラマリという呼吸法についてです。
口を閉じて蜂の羽音のような音を出す呼吸です。
この記事ではただ両目を閉じていますが、両手で両目と両耳を塞いで視界と外の音を遮断してやる方法もあります(閉所恐怖症の方には辛いかもしれませんね)。

コロナが出てから、対面のクラスでは呼吸法を練習するのを控えていますが、ヨガの本質は呼吸にあるといってもいいくらいです。アサナだけでなく、ぜひプラナヤマの練習も取り入れてみてください。

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ブラマリは、喉にある生命中枢であるヴィシュッダ・チャクラに直接の効果があり、これはヨガの高度な実践では必要不可欠の局面を持ちます。また、口蓋にあるタル・チャクラも刺激します。タントラの書物によれば、タル・チャクラは松果体と脳下垂体の活動をコントロールし、つまり体の微細な生化学をコントロールしています。


このテクニックで作られるバイブレーションは、この部分の神経末端を活気づけ、体全体や精神に深い効能をもたらします。





マルバチの呼吸の練習


心地よい姿勢で座り、両目を閉じ、鼻から深い横隔膜呼吸を行いましょう。普段の声の高さでハミング(鼻歌)してみましょう。そして舌の奥を口蓋に押し当てます。あまり強く舌を押し付けると喉の気道が完全に閉ざされてしまい、空気が流れず音が出ません。舌を少し引き揚げて喉から鼻腔へと移動する音を聞きましょう。ブラマリの蜂のようなハミングが鼻腔の中で振動するのを感じましょう。


この練習を始めた最初は、ハミング音が出るのは息を吐いた時だけでしょう。舌と喉をリラックスさせて普通に息を吸いましょう。上達とともに、吐く息ごとに安定してハミング音を鳴らしてみましょう。



毎日、空腹の状態で2、3分間ブラマリを練習しましょう。そして、快適で心地よいと感じられる範囲で徐々に5分間へと延ばしていきます。もし、めまいや痺れ(特に唇や指先など)または不安感など、ハイパーベンチレーションの症状を少しでも感じたらシンプルに横隔膜呼吸に戻し、その日の練習はやめましょう。



この練習の効果を最大にするには、音を出すのをやめた後、目を閉じて静かに座ることです。ブラマリのあとは、心と体の静寂をはっきりと感じるでしょう。この静寂は、呼吸への気付きや瞑想などでより長く感じ続けることができます。





2020年11月12日木曜日

ストレス反応を変える方法 Vol.2 
How to Change Your Stress Response

横隔膜呼吸


赤ちゃんや幼い子供は、肺の空気を出し入れするための胸腔と腹腔を隔てたドーム型の横隔膜を使って、深くたっぷり呼吸しています。お腹はリラックスしていて呼吸とともに動きます。これが自然で健康的な呼吸の方法です。しかし、成長するにしたがい、お腹を引き締めるように教えられ(お腹を引いてまっすぐ立ちなさい!)、そしてストレスを感じると腹部を無意識に緊張させる癖がつき、自然な呼吸の流れを邪魔するようになります。腹部を引き込むと呼吸は肺の上部でのみ行われます(乳首より上)。そのため、体はその呼吸パターンをストレス反応と理解し、ますます闘争逃走反応が強まります。





その一方で横隔膜呼吸は、副交感神経の主要な調整者である迷走神経を刺激して、休息消化反応を活性化させます。迷走神経は脳から胸部腹部のほぼ全ての内臓を通り、鎮静効果の連続を誘引します。ほとんどの場合、私たちは何か心地よいものやたまたま起こる効果によって活性化されることを待っている状態なのですが、この神経(つまり副交感神経全体)は横隔膜呼吸によってスイッチが入ることを気づかずにいます。


自立神経によって調整されている全ての作用(心拍数、血圧、消化液分泌、蠕動、体温など)のうち、意識的にコントロールできるのは呼吸だけです。呼吸で、横隔膜(迷走神経の他の部分や脳にメッセージを送る)に刺激を与える迷走神経の一部を刺激し、休息消化反応の全体を活性化することができます。ですから、慢性的なストレス反応を逆転させる第一歩は、生まれつきしていたはずの呼吸の方法をもう一度覚えることなのです。


もし横隔膜呼吸の訓練をしたことがないのなら、経験豊富な先生を見つけてそれがまた習慣になるまで毎日練習しましょう。そして、毎日の活動を通して横隔膜から呼吸するスキルができれば、自身の呼吸が神経システムのバロメーターだということを体験するでしょう。横隔膜から深く呼吸している限り、もし不快な状況に立ち向かったとしても、落ち着いてバランスの取れた感覚になれると気づくはずです。そしてまた、呼吸を胸で浅く行うと不安が忍び寄って筋肉が緊張し、心も焦って廻りはじめることに気づくでしょう。この動揺した呼吸が長く続くと、毎日が落ち着きのない防御的なものになるでしょう。一旦これを体験から学ぶことができれば、違う選択ができるはずです。



体系的なリラクゼーション


副交感神経を活性化するためには、横隔膜呼吸からはじめると良いでしょう。しかし、特に何年間も無意識に虎のオリを開けっぱなしにしている時には、さらに必要でしょう。毎日、リラクゼーションの時間をとることが必然です。私がこう言うと、患者たちは皆「テレビをみながら」「本を読みながら」「編み物をしながら」「みんなと過ごしながら」リラックスしていると言います。問題は、こうした活動は常にそこにある不安から気を逸らす(そのためいくららの解決にはなります)ことができる一方で、筋肉の収縮や緊張として持っているストレスを解消することはほとんどできないと言うことです。


体に緊張感を持ち続ける癖を直すには、ヨギが「プラナマヤ・コーシャ(エネルギー鞘)」と呼ぶものに働きかける必要があります。頭から爪先へと順番に緊張を解く体系的なリラクゼーションの練習です。他のヨガの練習と同じようにこのテクニックもたくさんありますが、最も良い方法は経験豊かな指導者から学び、磨きあげていくことです。その種類は、簡単な緊張・弛緩の練習や点から点への呼吸の練習から、エネルギー鞘の様々な点をはっきりと区別することが必要となるテクニックにまで及びます。しかし全ては、順序だって身体中に注意を移動させていくもので、大抵の場合はシャバサナで休みながら行います。そして日常の出来事から注意をそらしていくことも必要となります。練習の間は、記憶や予定や不安、空想などをやめ、今ここで行っていることに集中し、気付きを静かにやさしく体の一点から他の一点へと移動させていきます。



横隔膜で呼吸し、体系的に体のある部分から他の部分へと全ての注意を向ける事は、注意の向いている場所の緊張や疲労を解消するだけでなく、それらの点の間のエネルギーの流れを増大させます。これが、癒しと浄化を促進します。さらに、体系的なリラクゼーションの練習に全ての集中を集めるには、心を明快にし今という瞬間に完全に注意を払う必要があるため、瞑想への扉を開く技術を磨くこともできます。



瞑想


ストレスが私たちの生命(あるいは少なくとも私たちの幸福感)が危険だと認識することで始まるため、この認識を変えるよう心に働きかけることがストレス反応を鎮める最もパワフルなテクニックなのです。闘争逃走反応を活性化するもののほとんどは、生きるか死ぬかと言うものではありません。ある課題を達成するプレッシャーを感じたり、明日のミーティングで何が起こるのか心配したりしますが、その結果私たちの生命がどうなるわけでもありません。レアケースを除いて、ストレスを作り出す思考パターンは大抵の場合日常の出来事への過剰反応です。体中にアドレナリンを流すような反応ではなく、ストレスを少なくするだけでなく実際に起こっていることを正しく認識するよう(「渋滞に巻き込まれただけで、死にかけているわけではない」「この人を喜ばせたいけれど、もしできなくてもクビになることはない」)組み直すことができます。これが闘争逃走反応を徐々に鎮めていき、瞑想で得られる体験とともに得られるスキルです。


瞑想は、心の癖を中庸な視点から観察する機会をもたらすことでその癖を理解するのに役立ちます。ですから、私はストレス管理の方法として瞑想を処方するのです。私は瞑想を霊的な変移の手段として軽視したくはありません。が、その初期の段階においては、瞑想の最も素晴らしい高価のひとつは心のおしゃべりの狂乱や揶揄に引き込まれていくのを回避することができることです。瞑想はそうした揶揄の最中へ激突しないで、公平な目で観察することを可能にしてくれます。それはまるで、暖かく乾いた部屋から豪雨を見ているようなものです。思考とともに動くより心を見つめることで感じる平穏は、私たちの中心にある平穏なのです。


瞑想を始めたばかりの間は、瞑想の対象から心があちこち動いて他の思考に止まったりするでしょう。これは何度も何度も起こります。あなたがするべきことは、優しくそして何度も注意を瞑想の対象へと戻し、善悪の判断なしに辛抱強く行うことです。時に、この邪魔をする思考が心のスクリーンにうつされた映画のように見えるかもしれません。変だったり激しかったりするかもしれません。しかし、あなたは休息消化モードにあって、面白いことにその心の映像は闘争逃走反応を起こさないのです。ただそれらを観察できるということは、それがあなたでないという証拠です。そしてあなたの内にいる観察者と心の混沌を区別できるということは、あなたは体いっぱいのストレス・ホルモンで反応しているのではなく、冷静に反応しているということを意味します。



瞑想を練習すればするほど、どれが現実でどれがそうでないかを区別できるようになります。つまり、どれが生命を危険にさらすものでどれが過剰反応なのか。そして、交感神経を活性化させるほとんどのことはただの習慣的な過剰反応であるとわかってくれば、違った選択ができるようになります。不快な出来事に反応するのではなく、意識的に横隔膜から呼吸し、そして瞑想で心のおしゃべりを観察するのと同じ方法で観察することで、神経に触る影響を緩やかにすることができるのです。



最初は難しいかもしれません。パートナーや同僚があなたに怒鳴ったら、おそらくあなたも怒鳴り返そうとして胸で呼吸しているのに気づくかもしれません。そうしたら、横隔膜から呼吸し中庸の視点から見るのだと思い出しましょう。でも時間とともにそのスキルが身についていくでしょう。特に習慣的に瞑想の練習をしたり、横隔膜で呼吸したり、毎日リラクゼーションの練習をしていれば。そして、休息消化反応を意識的に続けて活性化させることを選択すれば、闘争逃走反応が起こるのは、運転している車が氷の上でスリップしたり、猫がキャンドルを倒してカーテンに火がついたときくらいになっているのに気づくはずです。健康になって、毎日も楽しくなるでしょう。正しい扉を選ぶことを学んだのです。

2020年11月8日日曜日

ストレス反応を変える方法 Vol.1
How to Change Your Stress Response

今回は、自律神経と心身ともに健康でいるためのヒントについてです。
私が学んだヴィヴェカナンダ・ヨガ研究所のヨガセラピーは、基本的にいかに意識的にリラックスし心を穏やかにするかに注目したものです。難しく考える必要はありません。簡単な方法でできるのです。

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「女か虎か?」というお話を知っていますか?その最後には、ヒーローは2つのそっくりな扉の前に立ちます。ひとつは美女が隠されていて、もう一方は恐ろしい虎がいます。ヒーローはこのどちらかを開けなければならないのですが(選択権は彼にあります)、どちらに美女がいてどちらから虎が飛び出してくるかを知るすべはありません。


患者が慢性ストレスの症状を訴える時、私は時々この話を思い出すのです。頭痛や消化不良、潰瘍、筋肉のこわばり、高血圧、あるいはこれらの組み合わせ。私がそれはストレスが原因だと指摘すると、患者は諦めたように見えます。ストレスはこんなにも多くの人たちの生活に常に存在し、全ての扉の向こうに虎が潜んでいるかのようです。逃走闘争反応が神経に深く繋がっていると私のオフィスにくる人々のほとんどは知っていて、その多くは絶え間ない緊張の感覚を正常のものあるいは避けようのないものだと受け入れています。


そうではないのです。物語のヒーローのように私たちには選択することができます。もうひとつの扉があって、そちらも神経に深く繋がった毎日の困難への反応があるのです。そしてこの運命が運次第であるヒーローと違って、私たちはどちらの扉がどちらなのかを見つけることができます。神経の一般的な理解とストレスに対する反応、そして基本的なヨガの3つのテクニックを訓練すれば、扉を見分けることができるようになります。こうしたテクニックを練習することが、虎を放してしまう扉を硬く閉ざしたまま美女を選ぶ力を与えてくれます。



虎を放つ


自律神経は、体の無意識の処理全てをコントロールしています。呼吸の速さ、心拍数、血圧、消化液の分泌や消化器の蠕動、体温などです。自律神経にはふたつの大きな要素、部分があります。交感神経と副交感神経です。私たちがストレスを感じると、脳が交感神経を活性させ闘争逃走反応と呼ばれています。これが副腎髄質からアドレナリン(エピネフリン)を分泌させ、このホルモンが血流を廻りほとんど全ての臓器に影響します。アドレナリンは、生命や手足の脅威を切り抜けるよう体を勢いづけます。心臓は速く強く打ち、血圧を急上昇させ、呼吸数が上がって胸へ空気が送り込まれ、気管が広がってより多くの酸素を体に取り込み、血糖が上がって燃料供給を準備し、肌と体の中心の血液を制限するよう血管が収縮、脳や手足には血流を送るため他の血管が膨張します。するとどうなるでしょう?体は闘うか走るかのために緊張し、心は極度まで警戒します。


この反応は生命を脅かすような時には重要な反応です。もしアメリカライオンとばったり出会ってしまったらこのストレス反応が私たちの生存の可能性を劇的に大きくします。この素晴らしい反応の話を聞いたことがあるでしょう。子供助けるために自動車を持ち上げた母親や、燃え盛る建物から自分の2倍もある男性を担ぎ出した消防士。これはすべて交感神経のおかげです。生命の危機に晒された時に素早く断固としていつでも反応する、感謝すべき神経システムです。


闘争逃走反応は、本当に危険が迫った稀な時だけに作動するようになっています。理想的には、次の危機一髪がやってくるまでは(何週間、何ヶ月、あるいは何年も先)休眠状態です。しかし、私たちの多くは毎日のように、毎時間のように反応しています。戦士や綱渡り曲芸師、SWATチームの人たちなどは、頻繁に生きるか死ぬかの状況にいることでしょう。が、ほとんどの人にとっては、強盗や交通事故、山の中で熊に出会うなど稀なことです。いったんそうした脅威が収まれば、ホルモン信号はストレス反応を止め、恒常性が取り戻されるのです。


私たちの多くにとっての問題は、闘争逃走反応はなかなかスイッチが切れることがなく、ストレスホルモンが継続的に体の中を廻り続けることです。







知らないものへの恐怖、周りの状況の大きな変化、将来への不安、消極的な態度など、これらは全てストレスの原因です。今日私たちは、野生動物と闘うこと以上に、仕事や人間関係、交通渋滞に巻き込まれることなどに不安を感じていますが、それが精神的なものであってもいまだ古代からの生存反応のスイッチが入ってしまうのです。


その結果、私たちの体はいつも緊張状態で、闘うか逃げるかの準備をしていて、これが身体的な問題を引き起こします。体内をアドレナリンがめぐる時に何が起こるかを見れば、こうしたことがわかるはずです。血圧上昇、速くて浅い呼吸、高血糖、そして消化不良です。さらに、アドレナリンは怪我をした時にすぐ血液が固まるよう血小板の粘度を上げます。これによって怪我からの生存率を高めますが、慢性的な高粘度の血小板は、血液がより固まりやすくなり動脈が詰まりやすくます。そしてこれが心臓発作や脳梗塞へと繋がっていきます。


ダメージはここで終わりません。絶え間ない闘争逃走モードにいれば、副腎皮質がコルチゾールを分泌し始めます。このステロイドの仕事は、十分な燃料を確保することで長期間の非常事態に対応するのを助けることです。コルチゾールは、肝臓や筋肉組織に働きかけ、糖(グルコース)と脂肪を作って血流へと放たせます。身体自身から見れば、これは合理的反応です。脂肪や糖を血中へ送り出すことは、例えば沈む船で生存するために役立ちます。しかし、この燃料が長引く体の緊張の反応の中で代謝されなければ、結果的に病気になります。血流の過剰な糖は糖尿病、過剰な脂肪はコレステロールや中性脂肪のレベルを高くします。このどちらの状態も心臓病の危険を高めます。


コルチゾールやコルチゾンなどのステロイドは、自己免疫疾患や喘息の炎症を鎮めるので短期間の使用は有用ですが、血流に長期間存在すると免疫機能を抑制してしまいます。これが血液細胞(バクテリアやウィルス、癌細胞、カビなど有害な微生物からの勇敢な防御役)を不活性にさせます。そのため病気になりやすくなり、特にライム病、肝炎、EBウィルスの慢性感染症や癌にかかりやすくなるのです。


怖いですよね。そうです、これが虎なのです。交感神経が慢性的に活性化されていると体は常にプレッシャー下に置かれます。初期症状を無視すれば(肩こりや消化不良、繰り返す頭痛、怒り易い、気が動転しやすいなど)遅かれ早かれ虎が私たちを引き裂くでしょう。けれども私たちは違う選択をすることができます。自律神経ののうひとつの働き、副交感神経です。略奪の交感神経の暴君の元で生きるより、休息と消化の反応を起こす副交感神経のスイッチを入れることを学ぶのです。



脅威と危険によって自動的に起こる闘争逃走反応と同様に、休息消化反応もまた心の落ち着きによって自動的に起こります。副交感神経が活性すると、心拍数と血圧は下がり、呼吸はゆっくりと深くなります。血流が体の中心に集まってきて、消化を促し、免疫システムを支え、幸福感をもたらすのです。



私たちがこの休みの状態を無意識に作っているのは、心から笑っている時や深い睡眠状態の時です。心地よく、自身に課している忙しさからより必要となる休息を与えてくれます。しかし、ストレス状態を普通と受け止めて、ほんのたまにだけしかリラックスした幸福感を感じなければ、そうなってしまいます。いつももうひとつの扉があるのにもかかわらず、1日に何回も虎を解き放ってしまいます。意思を持って扉を開けることを身に付けられれば、休息消化の神経システムを活性化させてストレス反応を引き起こす悪い癖を直すことができます。




美女と出会う

私は治療の中で様々な自然両方を使いますが、ストレッチや呼吸、リラクゼーション、瞑想など、基本的にはヨガを用います。これらのテクニックは特にストレスマネージメントに効果的です。有酸素運動がストレスからきた緊張を解消するのに素晴らしい方法であり、砂糖やカフェイン、辛い食べ物が神経を昂らせ怒り易くすることは、個人的な経験から皆さんも気づいておられるでしょう。そして、緊張して疲れた体を動かしてストレッチし呼吸に集中することを教えてくれるヨガのポーズを練習することで得られるリラックス効果もよくご存知でしょう。しかし、このゆっくりした深い呼吸が休息消化のシステムを活性させる最も簡単な方法だとご存知でしたか?これがヨガがこんなにも人気である理由のひとつです。疲れた神経を鎮静し不安な心を穏やかにしてくれます。しかし、ヨガはまたより深いレベルにまで働きかけます。健康的な呼吸パターンを再構築し、意識的にそして体系的にリラックスすることを教えてくれ、瞑想を通して精神の内側を探求する機会を与えてくれます。これらのテクニックは(個別でも組み合わせても)、副交感神経を活性化して強化し、休息消化反応が私たちの通常モードになるようにします。そして闘争逃走反応は、自然がそのように作ったように、緊急のために置いておきましょう。では、2番目の扉を開ける方法のいくつかをみていきましょう。


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次回に続きます。

2020年11月1日日曜日

アレルギーの自然な治療法 
Natural Allergy Relief

春だけでなく、秋も花粉症が多い季節です。
辛い症状を自然に緩和する方法をみていきましょう。
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Q:花粉症なので春になるのが怖くなりました。花の季節が始まるとすぐにクシャミが出始めて目が赤く涙目になり、何週間も、時には何ヶ月も怠さが続きます。抗ヒスタミン剤を試しましたがとても乾燥します。なにか自然療法はないでしょうか?



あります。自然の医療法は、アーユルヴェーダ、ホメオパシー、自然療法、ハーバリズムなど多数ありますが、その症状を緩和するだけでなく、ホリスティックな視点でアレルギーの根本原因に働き始められる多くのハーブやサプリメント、ライフスタイルの調整を勧めています。グズグズいわない春を過ごすための毎日の方策をお教えしましょう。でもその前に、アレルギーがどのように始まるのかをみていきましょう。


生理学的には、アレルギー反応は、あなたの免疫システムが無害な物質(花粉やほこり、鱗屑など)に過剰に反応してまるで危険な侵略者でるかのように攻撃することで起こります。この免疫の間違った反応は、体を守ると言うより病気のような症状を作り出してしまうのです。


アレルギー反応に多いのは、鼻詰まり、クシャミ、目の痒み、疲労感などです。その他、咳、喘息、頭痛、痒み、蕁麻疹もあります。こうした反応を引き起こす物質をアレルゲンと言います。春に最も多いアレルゲンは木や草などの植物から放たれた花粉です。アレルゲンは、ヒスタミン受容体と結びつくヒスタミン化合物を分泌する原因となり、アレルギー症状に繋がる免疫反応を刺激します。対処療法のほとんどは抗ヒスタミン剤(ベナドリルやクラリチン、アレグラ、ジルテックなど)で、アレルギー反応を作り出すヒスタミンをブロックします。こうした薬品は症状をコントロールしますが、眠気や頭痛、口の乾きや食欲減退、めまい、疲労感などの副作用があり、そしてアレルギー状態を治療するわけではありません。




問題の根本にはたらきかける


アーマを減らしアグニと免疫を強化する


いくつかのホリスティック医療では、アレルギーを起こす人には三つの要因があると言われています。免疫システム不全、弱い消化システム、毒素の過負荷です。結果として、自然療法は一般的にこうしたシステムを強化して毒素を取り除くことを中心に行われます。アーユルヴェーダ用語では、私たちのアグニ(消化の火)が免疫をサポートしています。しかしアグニが弱くなると、消化が不完全となり、処理仕切れなかった残留物(アーマ)が体の中で毒のゴミとなるのです。


ヨガやアーユルヴェーダは、太陽神経叢と腹筋を強く保ってアグニを燃え立たせ、アーマを減らして免疫を向上させるよう助言しています。私のお勧めは、脚上げ、腹筋運動、アグニ・サラと呼ばれるクリヤ・ヨガの浄化法(腹部の深層筋と骨盤底筋群を活性させる呼吸法)です。アグニ・サラの初心者バージョンでは、呼気でお臍を背骨へと引きながら腹壁を引き締め、吸気でスムーズにリラックスしましょう。




浄化するあるいは免疫をサポートするサプリメントを取ることも可能


チャワンプラシュ


この回復のためのアーユルヴェーダの調合はアムラ・ベリーから作られており、30種類以上のハーブや果物とッジャムを加熱したものです。ビタミンCが豊富でアグニと免疫を強化します。冬の間の免疫をサポートするために温かい飲み物(ミルクやハーブ・ティー)でティースプーン一杯を1日に1、2回摂りましょう。

レンゲ草(キバナオウギ)

この中国のハーブはアレルギーの季節が始まる前に摂るとよく、免疫を強化し健康を保ちます。粉末にした根をティースプーン一杯、あるいは500mgのタブレット1日に3回摂りましょう。

エキナセア、ヒドラチス、ゴボウ、ムラサキツメクサ

これらの血液浄化ハーブを、アレルギーの季節前後に1日に2、3回液体かカプセルのものを摂る。容器に書かれた服用量に従いましょう。




過剰なカパを取り除く


アーユルヴェーダでは、「地」と「水」のエネルギー要素であるカパは、冬から初春にかけて増えます。雪が溶け、雨が降り始め、地面が湿気で重たくなると、カパの冷たく湿った質を見ることができます。私たちの中のカパもまた液化し、無気力感や体重増加、鬱などのカパに関する問題とともに風邪やアレルギー、気管支炎などに悩まされます。カパを鎮める温め、乾燥させ、活動的なアーユルヴェーダのトリートメントで、カパの冷たく湿った思い質とのバランスをとります。



  • 1日30分背骨に沿ってと腕の下に汗をかくまで激しい運動をする。
  • サウナに入る 
  • キノアや雑穀などデンプンのない軽い穀類、たっぷりの野菜(根菜や瓜科を除く)、そして暖かく、火を通したスパイシーな乾いた食べ物を摂ってカパを鎮める。また、小麦や乳製品(特にアイスクリーム)などを避けることも効果がある。
  • ガジャ・カラニ(治癒的嘔吐のテクニック、訳注:ヴァマナ・ドゥティという名前で教わりました)と呼ばれるヨガの浄化法を覚える。抗カパの治療法としては大人気と言うわけではないが、アレルギーの治療には大変効果的。これは、朝の起床後に塩水を2リットルをガブガブと飲みその後すぐに吐き出すと言うもの。胃の過剰な粘液を洗い流し、鼻や気管支から粘液を導き出し、鼻詰まりを解消、熱を作り出し、そしてカパを鎮める。(この浄化法の禁忌:食道炸裂ヘルニア、逆流性食道炎、高血圧、心臓疾患)
  • カパラバティなど強いプラナヤマをして内なる火を強くする。それが、過剰なカパを溶かし粘液を溶かす。カパラバティは予防として行うのが最善。すでに鼻や鼻腔のつまりがある時は行わないこと。

 

こうしたカパを鎮めるセラピーを冬の間に行っておけば、花粉の季節が来た時にもいつもの症状を作り出すカパの蓄積を少なくすることができます。そしてアーマを取り除きアグニや免疫を強化する方法としてハーブやサプリメントを付け加えておけば、アレルギーの根本原因を取り除くことを始めることができ輝かしい春を謳歌できるでしょう。



自然のヒスタミン・ブロッカーを試す


もしどうしても抗ヒスタミン剤が必要だと思ったら、全て自然由来のバイオフラボノイド、ケルシチンを試してみましょう。予防作として使用するのが良いのですが(アレルギーの季節が始まる6-8週間前から始めます)、出てしまったアレルギー症状を緩和することもできます。1日に3回400-600mgを摂り、必要に応じて量を調整しましょう。


イラクサは何世紀にもわたって抗アレルギーのハーブとして使われてきています。薬草の分野で主要な国際的ジャーナル Planta Medica に発表された任意の偽薬コントロール研究では、60パーセントの被験者がイラクサがアレルギー症状の緩和に効果的であると報告、およそ半数(48パーセント)がアレルギー薬と少なくとも同様の効果があると言及しています。推奨される服用量は300-350mg、あるいはフリーズドライにしたエキスのカプセルをひとつ1日三回の摂取です。しかし、イラクサのハーブティーを毎日2-3杯を飲むだけで症状に著しい改善があったという私の患者もいます。


さらに、治験ではビタミンCが血中にヒスタミンをさげるという科学的研究が多くあり、臨床でも同様であるといういくつかの研究もあります。推奨される服用量は、1-3g を1日2、3回アレルギーの季節の間飲み続けます(春、夏、秋)。軟便になったら量を減らしましょう。






アレルギーのトリガーを最小に


花粉症になりがちであれば、乾燥して風の強い日は窓を閉めて室内にとどまること、シーツや服をこまめに洗うこと、花粉の粒子を排除するため家の中で空気清浄機を使ことなどをアレルギー専門医は推奨しています。塩分を含んだ液でネティ・ポットを使用し、鼻腔の汚れや菌、花粉、過剰な粘液を流し洗いましょう。最良の結果を得るためには、この鼻うがいを1日に数回繰り返しましょう。