2021年2月12日金曜日

平均以上の可動域が必要な5つのポーズ 
5 Common Poses That Require Greater Than Average Mobility


人の顔がひとりひとり違うのと一緒で、同じ体の人は一人としていません。大きさも長さも重さも角度も違えば、その部分部分を使って出来上がる形や動きもみんな違います。陸上競技に向いている人や器械体操に向いている人、重量挙げやレスリングに向いている人など、いろんなものの好みが人によって違うのと同じくらい、体の構造も違います。では、ヨガに向いている人と向いていない人がいるのでしょうか?いいえ、ヨガは誰にでもできるものです。では、みんなが同じポーズをしなければいけないのでしょうか?
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この記事では、Yoga Medicine®の指導者であるレイチェル・ランドが、お馴染みの5つのポーズを深く掘り下げ、アサナに対してよりオープンマインドなアプローチをする重要性について説明しています。




もし、生徒たちにやめさせたいことが一つあるとしたら、それは、「忍耐と努力で誰もが成し遂げられるポーズの形というのはたったひとつしかない、その理想形でないものは全て間違いだ」と信じることです。そういった誤解が多いのは、生徒たちから受ける多くの質問やコメントからわかります。「ダウンドッグでどうすればかかとが地面につくようになりますか?」とか「いつになったら、足を組んで座る時に両膝が床につくほど股関節が開くようになるでしょう?」とか「私のハムストリングスは硬いから、このポーズは苦手です」というような。


けれど、問題は生徒自身にあるのではなく、そのポーズやそのポーズが「どう見えるべきか」という期待にあるとしたら?というのも、基本的なヨガポーズでも必要とされる可動域を分析すれば、その多くが平均的な可動域を超えていることがわかるからです。


私たちのどんな関節の可動域も平均より大きい小さいがあり、つまり、ヨガポーズの理想形は可能かもしれないし不可能かもしれないということです。ありがたいことに、練習の恩恵を得るのに理想的である必要はなく、そこには、体力、安定性、バランス、集中力などが含まれます。そして、特定の形にポーズを取る必要性を手放した時、自身の個性的な身体の構造を尊重しながら、ポーズの恩恵を受けるためのスペースを作ることができるのです。




では「平均的な」可動域とは?


さらに進む前に、「平均的な」可動域とは何かを見ていきましょう。理学療法士や運動の専門家などが通常用いる可動域チャートは、大勢のサンプルにわたる特定の方向に対する関節の限界価を測定したものです。ですから、平均というのはそれらのサンプルから算出されていて、最も柔軟な人と最も柔軟でない人のおおよそ中間に当たります。


もちろん、可動域が平均よりも大きな人もいれば小さな人もいますが、平均値を理解することで練習の中で可能なことに対する期待をコントロールするのに役立ちます。




可動域は大きくできるのか?


端的に言えば、柔軟性とは、筋肉と筋膜の弾性、そして骨の形状と比率による強力な限界のあらわれです。限界を作っているのは、筋肉張力なのか骨の圧迫なのかはどのように知ることができるのでしょう?軟組織の張力は、関節の、動こうとしている方向と反対側にあることがほとんどです。例えば、前屈ではハムストリングスに引っぱりを感じます。骨の圧迫は関節の同じ側に感じます。前屈では、関節がぶつかっている前面の深い組織を感じ、それ以上の深い屈曲を妨げています。


ヨガによって、時間とともに軟組織の柔軟性が高まる可能性があるので、特定のヨガポーズでそれ以上深く動いていくのを妨げているのが筋肉張力であれば、そこに関連する筋肉をストレッチすることで可動域を大きくすることは可能でしょう。しかし、人の骨格というのはそれぞれ異なっており、変化しないので、全ての関節の可動域の限界は人それぞれだというわけです。


もし骨の圧迫がヨガポーズに限界を作っているのなら、骨による制限を避けるために位置を変えてアライメントを調整する方法があります。けれど、それをするには、教科書通りのポーズへの執着を手放し、よりオープンマインドなアプローチをする必要があります。


では、このアプローチによって改良される可能性のあるポーズをいくつか見ていきましょう。全てのレベルのクラスでよく行われ、平均以上の可動域が必要となるポーズです。




1. 下向きの犬のポーズ(ダウンドッグ)


股関節屈曲 90° (平均70〜90°)
肩屈曲 180° (平均165〜180°)
足首の背屈 45° (平均12〜14°)


ダウンドッグ(アド・ムカ・シュヴァナーサナ)がヨガクラスの定番なのには、正当な理由があります。ハムストリングスやふくらはぎ、大胸筋や広背筋をストレッチするポーズです。また、上半身と下半身のバランスを作るのに役立ち、両手でより楽に体重を支える準備となります。


下向きの犬のポーズは大抵休憩のポーズで使われますが、首の横を圧迫しないで両腕を挙げ、背中を丸めないで両脚を伸ばし、踵を床につけようとするのはとても休憩ではないと感じる人は多いはずです。こうした困難は、肩や股関節、足首に平均以上の可動域が必要だからだ、とは想像しないでしょう。


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2. 立位の前屈

股関節屈曲 160〜170° (平均70〜90°)



ヨガスタジオを見回して難なく二つ折りになっている生徒をみれば、立位の前屈(ウッターナサナ)は簡単なポーズだと思わざるをえません。けれど、ダウンドッグで平均以上の股関節可動域が必要だとわかった今、ウッターナサナはもっとずっと大変だということがわかるでしょう。


前屈はハムストリングをストレッチし、背骨と首を優しく牽引し、内側への集中を養う機会となります。けれども、胸と膝、あるいは頭とすねをくっつけるという目標は、ほとんどの人には単純に不可能なことです。股関節の平均可動域は、両脚を伸ばした状態では70〜90°で、前屈の半分にもなりません。このポーズにはある程度の変更が必要だという人がほとんどだということを示しています。


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3. 上向きの犬のポーズ(アップドッグ)


足首底屈 80°(平均20-50°)
背骨伸展 70-80°(平均35-55°)
手首伸展 90°(平均65-85°)



上向きの犬のポーズ(ウルドゥヴァ・ムカ・シュヴァナーサナ)は、一般的に、腹筋や股関節屈筋など、体前面の固まった筋肉をストレッチします。また、足の甲の筋肉を伸ばすという稀な機会を与えてもくれます。このポーズを含めた太陽礼拝はまた、より深い後屈に応用できるアライメントのレッスンにもなります。
しかし、手首や背骨、足首に驚くほど広い可動域が必要となるため、ヴィンヤサの練習の中で予想外に難しい部分となっています。


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4. 三角形のポーズ(トリコナサナ)


股関節外転 80-90°(平均40-50°)
股関節屈曲 90°(伸展した脚での平均70°)
股関節外旋 80-90°(平均40-50°)



開いた三角形のポーズ(ウッティタ・トリコナサナ)は、全レベルのクラスのシーケンスに取り入れることのできる素晴らしいポーズです。前脚のハムストリングスのストレッチ、中臀筋と体側上部の腰方形筋の偏心の強化、微細な開胸、そして両脚を床につけてバランスと安定性を築く機会を与えてくれます。けれども、このポーズがきついと思うのは、あなただけではありません。通常以上の前脚の可動域を必要としますし、特に手のひらを床に付けようとすると尚更です。


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5. 座位のツイスト(アルダ・マツエンドラサナ)


股関節内転 45-50°(平均20-30°)
腰椎・胸椎回転 90°(平均40-70°)
股関節外旋 80-90°(平均40-50°)



座位のツイスト(アルダ・マツエンドラサナ)は、ヴィンヤサクラスでよくみるポーズで、立位ポーズと床でのポーズの間の移行に使われることも多くあります。姿勢の癖を変えて、安定した土台から背骨を自由に動かすのに役立ち、私たちの観点も変える可能性もあります。また、股関節の外側や腿の筋肉を解放する素晴らしい機会を与えてくれます。しかし、このポーズを部分的な変更なしで行うには、背骨や股関節に平均以上のかなりの柔軟性が必要となります。



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私に透視能力はありません。生徒さんの骨や結合組織の構造は見えません。彼らの可動域が平均より上なのか下なのか、わかりません。ダウンドッグで踵が床につくことがあり得るのか、前屈で胸が腿につくことがあり得るのか、わかりません。幸いなことに、こうしたことをやるように伝えることが、指導者としての私の目標ではありません。効果のある結果をもたらすようなヨガの体験をしてほしいのです。




生徒さんたちをより現実的な可能性に向けて導くことで、イメージされるアライメントの概念から外れたものは間違いだという考え方から彼らを解放することができます。つまり、肉体だけの力づくの決意ではなく心を開いた好奇心を養うことができ、各ポーズの理想形ではなくポーズの効果を重要視することができるようになります。私について言えば、このアプローチは、ヨガの本質へとより近づく道になります。





(出典)https://yogainternational.com/article/view/5-common-poses-that-require-greater-than-average-mobility

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