2021年10月25日月曜日

心の健康のためのヨガ 
Yoga for better mental health

ハーバード大学のサイトからです。
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心を落ち着かせ集中させる呼吸の練習や瞑想に重点をおいてるヨガに、不安や鬱の緩和など精神的な効果があるのは驚くことではない。もっと驚くべきことは、実際に脳の働きをよくするということだろう。



脳を活発に


ウェイト・リフティングをすると、筋肉は強く大きくなる。ヨガをすると、脳細胞は新たな繋がりを作り、機能だけでなく脳の構造をも変化させ、その結果として学習や記憶などの認知機能が向上する。ヨガは、記憶や注意、認識、思考、言語などで重要な役割をする脳の部分を強化する。脳がウェイト・リフティングをしていると想像してみるといい。


MRIのスキャンや脳のイメージング・テクノロジーを使った複数の研究では、ヨガを習慣的に行っている人の大脳皮質(情報処理を司る脳領域)と海馬(学習と記憶に関わる脳領域)は、ヨガをしない人と比較すると、より厚いことが示された。脳のこうした領域は年を取ると一般的に収縮するものだが、ヨガをしない人よりヨガの高齢の実践者はその収縮が少ない。これは、ヨガが老化に伴う記憶やその他の認知機能の低下を防止する可能性があることを示唆している。


また研究によれば、ヨガと瞑想によって、論理的思考や決断力、学習、反応時間、知的鋭敏さのテストでの正確さなど実行機能が向上する可能性があると示されている。



気分が向上


どんなエクササイズでも、行うことで、ストレスホルモンのレベルが下がり、エンドルフィンなど気持ちの良くなる物質の生成が増え、より酸素を含んだ血液が脳に送られて気分が向上する。しかし、ヨガにはそれ以上の効果があるかもしれない。不安の減少や気分の向上に関係するガンマ・アミノ酪酸(GABA)という脳内物質のレベルを上げることで気分がよくなるのだ。


瞑想もまた、感情をコントロールする脳の部分である辺縁系の活動を減少させる。感情的な反応が下がると、ストレスの多い状況に直面した時の反応が和らげることができる。


鬱や不安の治療の中心は、長い間、薬や話し合い療法である。しかし、ヨガのような補完的アプローチにも効果があり、また、ヨガはその他の補完治療に匹敵している。


「Aging and Mental Health」誌で発表された15の研究の再調査では、高齢者の鬱や不安に対する様々なリラクゼーションのテクニックの効果を調べた。ヨガに加えて、マッサージ療法、漸進的筋弛緩法、ストレス管理、音楽鑑賞などが行われた。これら全てにいくらかの効果があった一方で、ヨガと音楽が鬱、不安のどちらにも最も効果的だった。またヨガの効果は長期に持続するようであった。


ヨガがPTSD(心的外傷後ストレス障害)の緩和に役立つことが、多くの小規模研究でわかっている。ヨガだけで用いられることはないが、侵入性記憶や感情喚起を緩和し、穏やかで安定した呼吸をもたらすのに役立つ付加的な治療として使用される。深くゆっくりとした呼吸は、副交感神経を活性化するのに役立つので、より落ち着いた状態になるのだ。










出典)https://www.health.harvard.edu/staying-healthy/yoga-for-better-mental-health

2021年10月21日木曜日

ヨガで姿勢を正せるか? 
Can yoga fix your posture?

柔軟性と体のアライメントに焦点をあてるヨガは、姿勢を正すことができるのでしょうか?



ヨガには様々な効果があると知られていますが、柔軟性やマインドフルネスを高めながら、姿勢を直すことができるのでしょうか?その場凌ぎのホームオフィスで長時間の作業をしていたり、ずっとスマホを見ていて首が痛くなったりしたことのある人は、おそらく姿勢を正したいと思っているのではないでしょうか?


クリーブランド・クリニックでは、立っている時、座っている時、横たわっている時に保っている体の位置を姿勢と定義しています。私たちの毎日の動きや活動が、体のアライメントに影響し、関節や筋肉にストレスを与え、時には痛みの原因になります。ありがたいことに、体のアライメントの問題の解決や凝り固まった体をほぐすのに、全てのタイプのヨガが役に立つ可能性を持っています。


腰痛を持っているなら、姿勢を正すことが痛みの根本原因をなくすことはできないかもしれませんが、筋肉の緊張をやわらげることはできるでしょう。腰痛が数週間続いている、あるいは怪我が深刻であったら、エクササイズを始める前に医師に相談してください。



ヨガで姿勢を正せるか?


どんなエクササイズも姿勢を向上するのに役立つ可能性がありますが、ヨガのようなエクササイズは特に有効かもしれません。「Journal of Physical Therapy Science」に掲載された研究では、50ー79歳の女性80人に、毎週の集中的なヨガポーズ・プログラムを行ったところ、その他の従来のエクササイズよりも背骨の柔軟性向上に役立つことがわかりました。


シカゴにある Bloom Yoga Studio のオーナーでありヨガアライアンスの役員であるケリー・マイヨルカは、ヨガだけでは姿勢は直らないが、確実に役に立つだろうと考えています。彼女によれば「ヨガは、姿勢を向上したい人誰にでも効果があります。というのも、健康的な背骨のアライメントを見出すのに不可欠な体幹の強化に役立つとても多くのポーズがあるからです。また、ヨガのマインドフルネスの練習によって、自己認識が高まり、椅子の上で猫背になっていたり、デバイスを使っている時に頭を前に突き出していることに気づきやすくなるでしょう」



あなたの姿勢にはどのタイプのヨガが最適?


Yoga and breath–work teacher Geraldine Joaquim told Live Science that body alignment is integral to all yoga poses but cites some specific yoga for back pain poses that can help the shoulders and upper back specifically:ヨガとブレスワークの指導者であるジェラルディン・ホアキムによれば、体のアライメントにはすべてのヨガポーズが欠かせないけれど、特に肩や上半身のためのポーズが腰痛に効果があると言います。


  • 猫のポーズでは、胸を前後に動かして、上半身の柔軟性を高め、背骨をストレッチし伸ばします。
  • 橋のポーズは、背骨を支えている筋肉を強化するのに役立ちます。
  • 下向きの犬のポーズは、腰痛を緩和することができ、胸と肩を開くことで筋肉を強化し、それによって椎骨をまっすぐに脊柱を整えることができます。
  • 両脚を前に伸ばし、足首を曲げ背中を伸ばして床に座る杖のポーズなどの座位のポーズでは、胸や背中の筋肉を強化し、同時に脚をストレッチ、腹部を強化します。

ホアキムによれば、「陰ヨガは特に姿勢のために良いです。ゆっくりと動くヨガで、他のヨガが注目するような筋肉ではなく、深部にある結合組織(靭帯、関節、筋膜)に焦点を当てています。陰ヨガは、ポーズをより長く維持し、呼吸を使ってリラックスすることを通して、柔軟性や血流を高め、筋肉の再生を助けます。けれど、実際、ヨガの練習のほとんどは、自然に姿勢を向上させるでしょう」



姿勢をよくするためにどう寝ればいいの?


人生の3分の1は、寝ている(あるいは寝ようとしている)ので、日中の座り方や動き方と同様に、寝る姿勢は重要です。けれど、完璧な眠る姿勢というのはあるのでしょうか?Acorn Health 臨床部長であり British Chiropractic Association (BCA)のメンバーであるカイロプラクターのフィリッパ・オークリーによれば、「最も理想的な睡眠時の姿勢のひとつは、首を支える枕と膝の間の枕を使って横向きに寝ることです。通常、首や上半身の伊民に繋がるのでお腹を下にして寝ないようにと言いますが、この姿勢で眠らないとしっかりと熟睡できない人も多くいます。そういう場合は、この姿勢でいられるように、より多くの枕や異なる枕が必要かもしれません」


「私の一番のアドバイスは、どう寝ているかについてあまり心配しすぎないことです。一晩中、寝返りし続けていますから。私たちが眠るのは回復し癒すためであり、眠り方を心配していると、深く良い眠りができなかったり、元気を取り戻す効果を得られなくなる可能性があります」


腰痛やコリで目が覚めるなら、いろんな姿勢を試してみましょう。



長年の悪い姿勢は直せる?


姿勢の「良い」「悪い」には、医学的な統一見解が存在しないと聞くと驚く人もいるでしょう。National Library of Medicine の2012年の研究では、欧州4カ国の理学療法士295人がもつ座位の認識について調査しました。


猫背から垂直まで9つの選択肢から、回答者に完璧な姿勢を選択してもらいました。85%が、2つのうちの1姿勢を選びましたが、この2つはかなり異なっていて、ひとつは腰椎の曲線が他方より小さく、上背部がよりまっすぐでした。総合的に、「正しい」背骨の位置は何なのか、最良の座位の姿勢とは何なのかについて、意見の相違がありました。


BCAのフィリッパ・オークリーは、正しいと考えている姿勢にしようと悪い姿勢になるのが
、実は痛みの原因だと言います。「『良い姿勢』を保とうと心配して、腹筋を引いて腰を反らし、体に力を入れると、実は、より痛みが増します。悪いと考えられている姿勢をやめることに心配しすぎないこと、よく動かすことに集中することが必要です。特に、多くの人が、1日の多くの時間を同じ姿勢で作業していますから」


「痛みを軽減・緩和するために、毎日の習慣的な運動を取り入れることが重要です。長時間デスクに座って働いているなら、定期的に立ち上がって動き回ったり深呼吸したりしましょう。カイロプラクターは、セルフケアの一貫として、運動しやすくすっきりできるよう、痛みを緩和したり関節や筋肉の可動性を向上をお手伝いします」


2021年10月15日金曜日

陰ヨガが柔軟な人にも良い理由 
Why Flexible People Can Still Benefit from Yin Yoga



陰ヨガは一般的に、受動的なストレッチだとみなされますが、おそらくはそのためにより柔軟な人には効果のないヨガだと考える人もいます。陰ヨガの目的が、可動域を広げるためだとするなら、そうかもしれません。けれど、幸いなことに、陰ヨガは柔軟性を高めるだけではありません。


その他にも、陰ヨガには、とても柔らかい人でも得られる4つの利点があります。



1. コラーゲン合成


陰ヨガの対象となるのは結合組織や筋膜で、骨や筋肉、臓器、神経、血管、リンパ管などを囲んで包み込み、繋ぎ、互いに浸透しあっています。筋膜は適応性が高く、その場所の状態で必要となることへ常に反応しています。


ですから、陰ヨガのポーズは、筋膜をストレッチするというよりは、微細だけれど持続的な「ストレス」(圧迫や捻り、回転力なども含む)をも筋膜に与えています。これは、筋膜内の繊維芽細胞と呼ばれる特別な細胞を刺激し、ストレスの方向にコラーゲン繊維を新しく築いているようです。コラーゲン繊維は、軟組織の構造や強度を支え、体の各部分をひとつに繋いでいます。


この適応性は、筋膜だけに特有というではありません。筋トレで筋肉が強化されたり、カーディオトレーニングで心肺機能が高まったりすることはご存知でしょう。ですから、柔軟な人には、すでに柔らかい組織を弱めるのではなく、筋膜を強化し弾力性を高めることが陰ヨガには可能です。その鍵となるのは、深いストレッチではなく、感覚が持続するような優しい陰ポーズを行うことです。


柔軟な人が、深いストレッチではなく微細で持続する「ストレス」
を優先したバタフライポーズをするためには、膝の下にブロックを
置き、両手を床に置いて腕を伸ばし背骨を支える。



2. 水和反応


筋膜へのかすかなストレスには、筋膜層の液体を一時的に絞り出すなどの複数のフローオン効果があります。上記のように線維芽細胞をも刺激した結果コラーゲン合成が起こり、ヒアルロン酸という化学物質が作られます。保水力の高いヒアルロン酸は、周囲の組織から水分子を集めて筋膜へと戻し、陰ヨガを終えても数時間続く加水(再水和)を始めます。


スポンジを水中に浸けるのを思い描いてください。スポンジを絞ったり、捻ったり、引っ張ると残留した液体が出ていき、再度スポンジを満たしていく新しい水のスペースが作られます。


筋膜の健康的な機能に、良い水和(加水)が不可欠なのには、次の主な理由があります。

• 水和によって、筋膜層間がより滑らかに動くようになり、体表と体組織の間にある動きや血流が活発になり、炎症や癒着の可能性を下げます。


• 水には、圧迫に対する素晴らしい耐性があるため、しっかり水和している体組織は、日々の動きに対してより強くより弾力性を持ちます。水分に満たされたシステムの構造的な強さを思い描くには、水の足りていない植物を想像するとわかりやすいでしょう。葉の重さで茎がうなだれているところに、水をやるとすぐにまたピンと立ち上がります。


ツイストの優しい圧力で、陰ヨガの後も何時間も続く再水和の
プロセスが始まる。





3. リラクゼーション反応


生理学的には、陰ヨガは、心拍数や呼吸、瞳孔の拡張、筋肉の緊張など無意識あるいは付随意の体のプロセスを制御している自律神経のバランスを整える効果があります。自律神経には2種類あります。交感神経は、闘争逃走反応を刺激し、感じ取った脅威に対して素早く明確に行動を促します。副交感神経はリラクゼーション反応を司り、日々の生活ではこちらが優勢であることが理想的です。血液を筋肉から消化器官、生殖器官、そして免疫系の臓器へと流す働きをします。


現代の生活はとても「陽」だということに異議を唱える人は少ないでしょう。行動していることを重要視し、途切れのない刺激に晒されています。今日の猛烈なペースの生活では、私たちの生態が意図しているよりもずっとSNSの方が活発であり、この崩れたバランスが私たちの体や心の健康に反映されているのに多くの人が気づいています。


陰ヨガは、交感神経を鎮静させるのに必要な、健康を取り戻す静寂を見出すための時間と場所を与えてくれます。陰ヨガポーズで、本当に休めるように体を支えられれば、警戒心が解かれて心拍数、血圧が下がる一方で、免疫や消化、再生機能が向上するのを感じられるでしょう。


大きな可動域を持つ人は、どんなポーズでも筋膜へのストレスを感じることはないでしょう。けれど、ただ静寂の中へと落ち着いていくことで、神経系への鎮静効果を得ることができるのです。

とても柔軟な人がバナナサナの大きなストレッチを感じないとしても、
静寂の中で休むことで神経系の大きな効果を得ることができる。




4. エネルギーの流れ


同じ土地の道路地図と天気図が全く異なって見えるのと同様に、体の西洋的な見解と東洋的なエネルギー体モデルは、無理なく共存しています。陰ヨガでいうエネルギー体とは、中医学から来ていて、「経絡」という特別な経路を通ると考えられている生命力の「気」で成り立っています。


中医学では、陰ヨガポーズで作られた体のストレスは、経絡を通る気の流れを刺激すると考えられています。お腹を圧迫するポーズは、腹部の臓器を圧迫することで胃の経絡にエネルギーを与え、健康的な消化を支えると考えられます。背骨に沿って伸展するポーズは、胸腰筋膜やハムストリングスに優しいストレスをかけるだけでなく、膀胱の経絡の内省的な質を高めて落ち着かせます。


西洋世界では、物理的な体のようにエネルギー体のことを身近に感じられないかもしれません。けれど、照明のスイッチを点ける時に、その効果を得るために電気の流れを見たり理解する必要はありません。同じように、陰ヨガ後の感覚の違いを感じるために中医学をしっかり理解する必要もありません。とても柔軟な人であっても、気の流れをよくする陰ヨガの効果が十分に得られるでしょう。


プロップスを用いたキャタピラー・ポーズは、柔軟な人が内観し元気を
取り戻すことのできる素晴らしいポーズ。中医学によれば、このポーズは
膀胱の経絡の内省的質を高める。




特に可動域の広い人がこの効果を高める鍵は、それぞれのポーズで以下の3つの原則に従うことです。


• ポーズの深さを緩めます。いつもの深さまでいくのではなく、ゆっくりとそれぞれのポーズに入り、最初に感覚を感じるところで止まります。それは、いつものポーズの50%程度の深さになるかもしれません。リストラティブヨガと異なり、目的はいくらかの感覚を感じることですが、大切なのは「いくらかの」ということです。


• リラックスできる場所を見つけましょう。新しいバージョンのポーズを掴んだら、時間をかけて、筋肉ができるだけしっかりとリラックスできるような姿勢をとります。床と体の間の空間を埋めるためにプロップスを使ったり、腕や壁にもたれてもいいでしょう。あるいは、座位の前屈をする代わりに、床に横たわって壁に脚をあげるというような、違うバージョンのポーズになるかもしれません。


• 静寂の中に留まりましょう。陰ヨガで対象とする組織である筋膜には、とても適応性があります。置いた場所の必要性に絶え間なく反応します。けれど、その反応はゆっくりで段階的です。ゆっくりと反応する筋膜に働きかけるため、リラックスした同じ姿勢で、少なくとも2分間は留まる必要があります。





陰ヨガが、もう少し柔軟になりたいという人に役立つのは疑いようもありません。けれど、陰ヨガにはまた、しっかりと水和し、弾性と回復力のある軟組織を維持し、現代生活の絶え間ない刺激から神経のバランスを取り戻し、エネルギーの流れを調整する力があります。とても柔軟な人でも、陰ヨガを繊細に行うことでその効果を得ることが可能です。ポーズに深く入りすぎず、リラックスできる姿勢を見つけ、そこで辛抱強く静かに留まります。その鍵は、どんなヨガにもあてはまるように、何をするかではなく、どのようにするかということなのです。





(出典)https://yogainternational.com/article/view/why-flexible-people-can-still-benefit-from-yin-yoga