私たちの社会で蔓延している、土踏まずの衰えや扁平足によって、矯正装具業界は安定した収入を得ています。しかし、サポーターやインソールを使ってもたいしてよくならない痛みに悩む人は依然多いのです。たとえば、朝ベッドから立ち上がった時、足の痛みやふくらはぎの張りに驚かされることはありませんか?まさにこれが、足の土踏まずの内側を引き上げている筋肉の慢性疲労からくる痛みのひとつなのです。落ち込んだ土踏まずによって、腱炎につながる可能性があり、また腱膜流や脛骨過労性骨膜炎、膝痛や股関節痛を引き起こす原因となりえ、また腰や首、肩にまでも影響を及ぼす可能性もあります。
土踏まずの強さは、両足の骨を閉じるのに使われる靭帯の張りや硬さ、そして支えている筋肉の強さという二つの要素によります。靭帯が緩い、あるいは時間とともに緩むと、支えている筋肉をより強くしなければならなくなります。
土踏まずの強さは、両足の骨を閉じるのに使われる靭帯の張りや硬さ、そして支えている筋肉の強さという二つの要素によります。靭帯が緩い、あるいは時間とともに緩むと、支えている筋肉をより強くしなければならなくなります。
靭帯の緩みにより土踏まずが扁平になった時に即影響を受ける筋肉は後脛骨筋で、脛骨の後ろから土踏まずの内側へと走っており、土踏まずを引き上げる働きをしています。
この筋肉の腱は、内かかとの骨(内くるぶし)の後ろと下から、土踏まずの内側の骨、ちょうどくるぶしの前へと走っています。この先端では、鳥の羽の形をしています。この網のような形状のおかげで、内くるぶしで土踏まずの内側を強く引き上げることができます。この筋肉は、とても小さな可動域内において最も強く、そして土踏まずをほんの少しだけ引き上げます。この筋肉を強く保てる範囲を超えて土踏まずが扁平になれば、この筋肉と腱(通常は小さな腱が足の裏にある)は無理をすることになります。結果として、踵の内側、後ろ、あるいは土踏まずに痛みが出ます。また、脛骨筋の筋腹(ふくらんだ箇所)のあるふくらはぎの痛みや張り、触感の強さを感じることもあります。後脛骨筋の腱は、土踏まずを引き上げるエクササイズが効果的です。また、この筋肉自体にもストレッチが必要となります。後脛骨筋に働きかけるには、このどちらも可能な方法を見つける必要があります。
後脛骨筋は、内踵で足の甲を持ち上げるだけでなく、足をめくって(足の内側を体に引き上げる)足を内側に回転させます(体の中心線に向ける)。後脛骨筋がとても短く硬い場合は、内股になっていて、体重が足の外側に乗っています。この正しくない脚のアライメントで(膝と足が内に向いている)この筋肉を長時間働かせることにより、よりこわばりが増します。
短く硬くなった後脛骨筋はまた、逆の状態の原因となることもあり、その場合は土踏まずが潰れて足が外に向きます。この場合、土踏まずが構造的に弱く後脛骨筋が一緒に引き下がります。そして、硬い後脛骨筋がその周りの全てを引き下げて、膝や腰に影響を与え、足の裏の腱も疲弊させます。
足の甲が高すぎても低すぎても表裏一体となります。どちらの場合も後脛骨筋が(それぞれ上下に)強く引きます。そしてどちらの場合も膝は内に向いているが、両脚の向きは異なることになります。内股の人はよりO脚になり、扁平足の人はよりX脚になります。
後脛骨筋を強化することで土踏まずを強くするだけのプログラムでは、扁平足を直したり足の痛みや引き攣りを治すことはできません。正しい方法は、足のバランスの良い基盤を維持しながら、筋肉を強化し伸ばすエクササイズを行うことです。
ハタヨガはまさにそうしたものです。ハタヨガで行うものの多くは筋肉の「偏心」の働き、つまり、いくらか筋肉を働かせながらもゆっくりと収縮を緩めていく、収縮させながらも同時に伸ばす動きです。これは、土踏まずを維持しながら。後脛骨筋の強さとしなやかさを必要とするものです。
この筋肉を正しくエクササイズする鍵は、足の親指の付け根と内踵を床にしっかりと付けることで足のめくり上がりや回転に抵抗しつつ、土踏まずを引き上げることです。足の内側でこれらの2点に向けて伸ばしながら、後脛骨筋をしっかりと働かせながら長く伸ばすのです。
土踏まずを強化する
まずは、片足ずつ、縮めることなくこの筋肉を強化する負荷をかけたいくつかの運動から始めましょう。扁平足気味、あるいはX脚の傾向があるなら、EasyVigourの創始者であるブルース・トムソンが考案した以下のエクササイズを、ゴムバンドで負荷をかけて行ってみましょう。(ヨガ・ベルトやストッキングなど、負荷をかけられるものなら何でも良いでしょう。)扁平足ではなくても、足の正しい動きを練習するのにこのエクササイズが役立ちます。エクササイズの最も重要な点は、土踏まずを引き上げながら、踵の内側と親指の付け根をしっかりと床につけ続け、足の外側に体重をかけてしまわないようにする方法を身につけることです。
ハタヨガで行う筋トレは、筋肉を強化すると同時に筋肉を伸ばします。
バンドを片方の足首の外側にかけます。反対の足でバンドを踏み、足が回内する側へ(土ふまずの方へ)引っ張られるように調整します。バンドの抵抗に反発し、土踏まずを引き上げるよう、ちょうど良い具合に後脛骨筋を働かせます。膝関節は守るためにやや曲げておきます。働かせている脚の膝関節は、ややX脚の位置で脆弱になりがちだからです。膝の状態をしっかりみながら、膝の外側に手の指を置きましょう。
次に、土踏まずの内側を引き上げ、バンドに逆らって足首を外側へ押し出すように後脛骨筋を収縮させます。これは単に踵の外側に体重を移すのではなく、内かかとや母趾球を床につけたまま足首の内側から引き上げます。脛が外側に回転して内かかとから引き上がると、膝関節が捻れて怪我をします。膝関節に痛みを感じたり、ふくらはぎや足首の外側の筋肉がただ硬く引かれたように感じるだけかもしれません。
土踏まずを引き上げながら膝関節を守るには、内腿の筋肉を使って、骨に逆らって外に押すように引き上げます。そうすれば、大腿骨は横方向に移動するだけでなく、脛骨の外旋に沿ってやや外旋し、膝関節の捻れを防ぎます。これらは全て、後脛骨筋の引き上げから始まることに気づきましょう。そして、膝関節と股関節を守るために、大腿骨の動きとアライメントを調整するよう、内腿の筋肉がその引き上げとともに動く必要があります。
ステップ・バイ・ステップ:プラサリタ・パドッタナサナ
プラサリタ・パドッタナサナ(立位の開脚前屈)は、さきほどゴムバンドで探った動きを使って、後脛骨筋の強化と伸展を促します。このポーズでは、足首の外側の圧迫や引っ張りによる足首の痛みを訴える人もいます。これらの痛みは、足首が崩れている(扁平足のため)か、足首が過伸展している(内股である)証拠で、後脛骨筋を引き上げることでこの不快感は無くなります。
まずは、足を平行に開きます。よくみられる傾向ですが、腰が縮まってポーズでの可動域を制限するため、足先を外に開きすぎないようにします。膝関節を少しだけ曲げ(固定しないよう)、股関節で前屈し、可能なら背骨をまっすぐに保ったまま指先を床に付けます。経験ある人なら、(必要な足幅の調整をしつつ)背骨を少しだけ丸めただけで頭頂を床につけることも可能でしょう。
プラサリタ・パドッタナサナは、当然ながらハムストリングスのストレッチですが、ポーズに深く入るのを妨げているこわばりの大部分は、内転筋の強張りから来ています。この内腿の筋肉は、大腿骨同士を引き寄せ、股関節を縮めて固定もします。そして、内転筋の硬さと同時に、後脛骨筋が土踏まずを引き上げ続けられないことに気づくでしょう。土踏まずが下がると、足首の外側に圧迫を感じ始めることもあります。あるいは、体重を足の外側にかけすぎて、過剰に補おうとすると、足首外側が引っ張られ過ぎていると感じます。
時間をとって、プラサリタ・パドッタナサナでの足と膝を見てみましょう。土踏まずが崩れて膝が内転していませんか?または、前屈するために足先が外を向いていませんか?その場合は、足首の中心と人差し指を結んだ腺を平行に保ち、足がまっすぐ前を向くようにしましょう。土踏まずが崩れたり、膝頭で内転していたり、股関節が動かない、あるいは内腿がこわばっていると感じたら、もっと膝を曲げましょう。内腿を後ろに下げて、坐骨を後方へもっと開き、フットボールでスクラムを組んでいるように背中下部を反らします。
内かかとと母指球を床にしっかりと着けながら、ゴムバンドで抵抗したように両足の甲を引き上げます。体重はかかとの外側に移動し始めますが、内かかとを前にスライドしたり、足を回転したり、捻ったり、ひっくり返したり、鎌足(足の異常な三日月の形)にならないようにしましょう。
エネルギーを内かかとから膝や腿の内側を通して引き上げて、内腿の筋肉を硬く持ち上げて外側へ押します。膨らんでいく風船に上に座っているかのように、腿を外へ押し開きましょう。同時に、内腿の上部を後方へ下げ、腰が丸くならないようにします。もしあなたがかなり柔軟なら、踵の中心に向かって床を押して、臀筋の真ん中に力を入れましょう。これによって、四頭筋と内腿を使いながらハムストリングスを守ることができます。
土踏まずの引き上げと、少し外旋した脛と腿(膝関節のすぐ上と下)のお互い調和している動きの関係を観察しましょう。膝頭は、足の人差し指の方向へ向けなければなりません。これらの筋肉の動きを保ちつつ、ゆっくり滑らかに脚を伸ばします。膝関節を固定したり内転しないよう、腰が丸くならないようにします。恥骨のすぐ上にある下腹部に力を入れて引き上げると、ポーズでより深く前屈することができるでしょう。
土踏まずを持ち上げることに注意しながらこのポーズを練習すれば、後脛骨筋を強化でき、その腱の適切な張力を取り戻し、土踏まずの崩れからくる足の痛みを和らげることができます。プラサリタ・パドッタナサナには、膝のアライメントを整え、骨の回転による怪我から膝を守るというおまけもあります。ハタヨガの立位ポーズの全てには、両足の後脛骨筋に対する動揺の動きが関連します。土踏まずを引き上げるこの筋肉を働かせながら、内踵をしっかり地面につけておきましょう。筋肉が強くなればなるほど、足の痛みが緩和され、軽い足取りになるのに気づくでしょう。
土踏まずのサポートは必要?
整形外科界で大抵の場合、扁平足の解消に薦められのが(特にX脚の原因となる場合は)、靴の中に入れるサポート用装具です。人工的な土踏まずのアーチは、後脛骨筋の働きをし、長い1日のあと足が疲れた際にその価値がわかります。しかし、後脛骨筋が正しく働いていない場合は、すぐにさまざまに姿勢が崩れ、アーチのサポートでは正されないものもあります。アーチのサポートにより、脚の下部に変化が現れます。アーチが引き上がり、脛骨が足首の基部からあるべき通りに外旋します。
しかし、大腿骨には大きな変化は起こりません。 腿は内旋し、X脚の場合は、内転します。つまり、今度は脛が外旋し、内腿の筋肉が硬いまま体の中心線に向かって脛骨が引かれ、膝関節の捻れや擦り減りの原因となります。アーチを強化するだけでは十分ではないのです。ただ、問題が脚から膝に移動し、膝の捻れが腱や軟骨を損傷する可能性があります。解決法は、後脛骨筋から始めて、脚全体にかけて行う必要があります。
(出典)https://yogainternational.com/article/view/yoga-for-your-aching-feet
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