前回の続きです。
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バランスを取り戻す
癒しの基本は自分の特性を理解することなので、アーユルヴェーダによれば、健康を取り戻すためには正確な属性や生まれ持った特質、病気の構造などを理解しなければなりません。体内のバランスを作る知性が身体そのものにあり、アーユルヴェーダはそのプロセスを助けるのです。アーユルヴェーダの治療は全て、ヴァータ、ピッタ、カパのバランスを築くように考えられています。そしてそれは、毒素の排出と中和の2通りの方法で行われ、どちらの方法も肉体レベルと同様に感情レベルにおいても効果的です。
感情を解放する
怒りや恐れ、不安、いらいら、嫉妬、所有欲、貪欲は人間誰もがもつ感情です。私たちの文化においてそれらは良くないものとされるため、多くの人はそうした感情を表に出さないことを子供のころ身につけます。その結果、そうした感情を自然な表現を幼い頃から抑え始めます。アーユルヴェーダでは、こうした感情は解放すべきだとされています。なぜなら、抑えることでバランスの崩れが生じ、それが結果として病気を生む毒となるからです。
否定的なものに対処するアーユルヴェーダのテクニックは、観察と解放です。例えば、怒りが起こる時、そのことにしっかりと気づき、初めから最後までその感情がどう展開するかを見つめます。この観察で、怒りの本質を知り、そして解放します。手放すのです。全ての感情に対してこのように対処することができます。
恐怖はヴァータに、怒りはピッタに、そして貪欲、嫉妬、所有欲はカパに関連があります。恐怖が押さえつけられると腎臓が乱されます。怒りは肝臓、貪欲や嫉妬、所有欲は心臓や膵臓に影響します。
浄化
毒素はまた、悪化したドーシャが生物学的な炎(アグニ)に影響を与えた時に作られます。そしてその結果、消化や代謝、吸収に影響を与えます。つまり、消化、吸収、同化されなかった食べ物がアーマとして体内に残り、不均質で不健全な粘りのある物質として組織に癒着し、経路に詰まり、毒性をつくります。それが血液に入り毒血を作り、病気の根本原因となります。このアーマの根本原因は、アグニを攻撃する悪化したドーシャであり、消化や代謝の力を下げます。
毒素の中和
体のドーシャのバランスを整え落ち着かせる中和法(シャマン)には7タイプあり、火を燃え立たせる(ディパン)、毒性のあるアーマを燃やす(パチャン)、断食(クスッド・ニグラハ)、脱水を保つ(トゥルット・ニグラハ)、ヨガのストレッチ(ヴィヤヤマ)、日光浴(アタップ・セーヴァ)、そして呼吸です。シャマンは主に精神的な浄化法で、パンチャカルマを行うには体力が弱い人、そして感情的な問題のある人などに適しています。免疫やアグニに影響する慢性的な乱れはピッタ、ヴァータ、カパにかかわらずシャマンが良いでしょう。シャマンは、治療にも予防にもなるので健康な人にも向いています。
- シャマンの初めは、蓄積された毒素を燃やすために体内の火をおこすことです。これはカパやヴァータの乱れに、特に消化の火が落ちている人には必ず必要です。特定の薬草を特別な割合で蜂蜜とともに内服します。中でもピッパリ、生姜、シナモン、黒胡椒、チトラックなどは火をおこすのに役立ちます。みぞおちに集中することでもアグニを燃やすことができ、肉体や微細な因果体の毒素を燃やします。このテクニックはカパやヴァータタイプに特に効果的ですが、ピッタの人が行うには十分な注意が必要です。
- 毒素は、トリカトゥ、チトラック、シナモン、生姜、クミン、コリアンダー、フェンネルなどの薬草を特定の割合で作ったお茶を摂ることで燃やす(パチャン)ことができます。これらのお茶は、食べ物が適切に吸収できる様に食事の後に飲まなければいけません。集中や瞑想、熟考もまたパチャンを高めます。
- 急な発熱や消化不良、赤痢、下痢の場合、アーユルヴェーダでは断食(クシュド・ニグラハ)を勧めています。通常の断食では、ギーで煮たリンゴ、バスマティライスとムング豆とギー、あるいはヨーグルトとお米だけを少量だけ食べます。しかし、急な発熱や下痢、赤痢などの場合は、数日間何も食べない方が良いです。これがアグニを燃え立たせ毒素を燃やします。
- 脱水を保つ(トゥルット・ニグラハ)とは、水を飲まないことです。体内に過度の水分が保持されるカパの乱れの時にはとても大切です。アーユルヴェーダでは、例えば浮腫のように腎臓の不調、腹腔内に水分が溜まっている時、特定の尿の異常がある時は水を摂取してはいけないと伝えられています。トゥルット・ニグラハは、水のファスティング(水だけを飲む)ではありません。水を全く飲まないことです。
- 次に続くのはエクササイズ(ヴィヤヤマ)で、特にヨガのストレッチです。ここでのエクササイズとは、筋肉の特定の方向へのストレッチで、努力がなければできない目標を立てます。この努力が肉体的なストレスを生み、その結果火が起こります。アーユルヴェーダでは、エクササイズは血流を改善し、心拍を活性、カロリー燃焼を強め、代謝を刺激し、体温を調節、体重を維持すると言われます。また、感覚を鋭く注意深くさせ、心が研ぎ澄まされます。正しいエクササイズは素晴らしいシャマンの技術なのです。
アーユルヴェーダでは、それぞれ個人の体質に向けたエクササイズを推奨しています。例えば、ヴァータの人に重要なのが骨盤腔なので、骨盤の筋肉をストレッチするエクササイズが良いです。それゆえヴァータの人が落ち着くのを促してくれるのは、前屈、後屈、背骨の捻り、コブラのポーズ、ラクダのポーズ、肩立ち、鋤のポーズなどです。水泳はヴァータの人に向いていますがジョギングはそうではありません。
ピッタの人に重要なのがみぞおちで、そのあたりの筋肉をストレッチするエクササイズが効果的になります。魚のポーズ、舟のポーズ、ラクダ、バッタ、そして鋤のポーズがピッタを落ち着かせるのに役立ちます。ヴァータと同様にピッタにも水泳は良いです。
カパの人の重要な場所は胸ですので、胸まわりのストレッチをするエクササイズが効果的です。それには、肩立ちや耡のポーズ、バッタ、猫、牛、弓のポーズが含まれます。これらは全てカパの肺腔内循環を高めます。カパにはジョギングが良いですが、カパの人はジョギングを好みません。山登りやハイキングなどが良いでしょう、が、やはりあまり好きではないでしょう。 - 日光浴(アタップ・セーヴァ)は、もうひとつの伝統的なシャマンですが、熱と光、そして高レベルの意識の源は太陽だからです。ピッタ優位の人が日光浴をするには、日光照射を減らすためにオイル(日除け)を塗布する様にし、30分以内を目安にしましょう。ヴァータの人は1時間ほどの日光浴をします。カパの人は1時間以上日光の下で横たわっても構いません。カパとヴァータの人は、正しいケアができるなら日光の下に横たわってみぞおちに集中した瞑想をするのも素晴らしいシャマンになります。血流を改善し、ビタミンDの吸収を促し、骨を強くします。
しかしながら、電離層やオゾンが破壊されている今日では、望まれない過度の放射線(紫外線)が地面に届いているので、日光浴が危険な場合もあります。皮下のブラジャッ・ピッタを悪化させ皮膚がんを起こす危険があります。ほくろが多い人は日光浴をしない方が良いでしょう。月光浴はピッタを下げるのに良いです。 - 最後のシャマンは呼吸です。呼吸法(プラナヤマ)には数多くのタイプがあり、経験豊富な指導者から学べる全く異なる呼吸の科学もあります。しかし、誰しもが両方の鼻から正しい呼吸をいくつかしなければなりません。そのひとつは以下のような呼吸です。静かに座って片鼻から深く吸い込み、下腹部へ息を入れ、そしてゆっくりと反対の鼻から吐き出します。反対の鼻でこれを繰り返し、片鼻ずつの呼吸を続けます。これが交互の鼻腔のプラナヤマで、シャマンの全ての形と同様に、心と体、意識のバランスをもたらすのに役立ちます。
結果は・・
この様に、アーユルヴェーダは、健康と調和を日常にもたらす洞察を与えてくれます。また、長寿や精神的な平穏をもたらします。アーユルヴェーダは完全な癒しの技術であり、その基本的な原理を理解し、自分の体質を理解し、ドーシャの悪化の性格な性質と構造を理解することで、正しい指針に従って調和とバランスを得ることが可能となります。そのバランスから、最も平穏な状態が生まれるのです。
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