2016年11月30日水曜日

脳で炎症をコントロールする方法 
How to Control Inflammation with Your Brain

前回、迷走神経についての記事があったので、関連情報を。
UPLIFTからの科学的な記事です。
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迷走神経のパワーを解き放って治癒力を



昨日、ある記事を読んで私は大変興奮した。ガイア・ヴィンスによる「迷走神経をハッキング」というものだ。その記事は、深刻な消耗性のリウマチ性関節炎に罹っている女性についてであり、彼女が最終的に行き着いた炎症を最小化した治療法というのが迷走神経をただ刺激するというものだった。

つまり、副交感神経系で機能する迷走神経を活性化させることで炎症や免疫系に多大な影響を与えることができるのだ。脳の身体の炎症に対する働きはおそらくかなり深いのものだ。消化不良、高血圧、鬱など、炎症系の症状に悩まされているならばぜひ読み続けてほしい。段階を追って説明しよう。


迷走神経とは?


まず、迷走神経とは体内で最長の神経であり、脳神経から始まり、首から消化器、肝臓、脾臓、すい臓、心臓、肺を通っている。、この神経は副交感神経系で大きな役目を負っており、「休息して消化する」部分を担っている。(反対に交感神経は「戦うか逃げるか」の部分である)

迷走神経は脳から消化器官までを走る


迷走神経の調子


迷走神経の調子は副交感神経系を活性化するカギとなる。迷走神経の状態は、心拍数と呼吸数で測ることができる。息を吸うと心拍はやや早くなり、息を吐くと少し遅くなる。呼気と吸気の心拍数の差が大きければ大きいほど迷走神経の調子がいい。迷走神経の調子がいいということは、ストレスのあとすぐに身体がリラックス状態になれることを意味する。


迷走神経の調整がもたらすもの


迷走神経が調整されていると、身体機能の多くが向上し、血糖を調整し卒中や心疾患の危険を減少させ、血圧を下げ、消化液の生成を促し消化力が向上、偏頭痛を緩和する。また、よい心的状態に関連し、不安が減少してストレスに強くなる。迷走神経の最も興味深い働きのひとつは、基本的に内臓の微生物を見分け、病原性か非病原性かを感知して炎症を調整する反応を起こすことである。このように、内臓の微生物は気分やストレス、炎症全体へ影響を及ぼすのである。


迷走神経が低調であるということ


迷走神経が低調であれば、心疾患や発作、鬱、糖尿病、慢性疲労症候群、認識機能障害、そして高い確率で炎症性疾患につながる。炎症性疾患には、すべての自己免疫疾患(リウマチ性関節炎、炎症性大腸炎、子宮内膜症、自己免疫甲状腺疾患、狼瘡など)を含む。


呼吸法は迷走神経を調整するよい方法である


迷走神経を調整する方法


上記の記事では、迷走神経を刺激する方法を使ってその調子をよくしていた。幸いなことに、これは自分でも行えるが、定期的な練習が必要である。迷走神経の状態には、ある程度遺伝的傾向があるが、変えることができないというわけではない。迷走神経を調整する方法が以下である。

  1. ゆっくりとしたリズミカルな横隔膜呼吸(複式呼吸)を行う。肺の上部から浅い呼吸をするのではなく横隔膜から呼吸をすれば、迷走神経を刺激して調整することができる。
  2. ハミング(鼻歌)する。迷走神経は声帯につながっているので、ハミングすれば機械的に刺激することができる。鼻歌を歌うのもいいし、「オーム」と言い続けるのもいい。
  3. 話す。同様に、声帯がつながっているので話すこともよい。
  4. 冷たい水で顔を洗う。このメカニズムは知られていないが、顔への冷たい水は迷走神経を刺激する。
  5. 瞑想をする。特に親愛の瞑想が自分自身や他者への善意を促進する。バーバラ・フレドリクソンとベサニー・キクによる2010年の研究で、肯定的な感情を強化すると他者との親密さを増加させ迷走神経の状態を改善する。
  6. 内臓の微生物のバランスを整える。内臓内の健康的なバクテリアの存在は迷走神経を通してよいフィードバック・ループを作り上げる。

脳で炎症をコントロールする


身体の炎症反応を管理する

このような単純で基本的な健康対する実践の結果は、特に炎症に関しては、広範囲にわたる。炎症性疾患、消化不良、高血圧や鬱に悩むならば、迷走神経にもっと注目することは大変よいことであると思う。

何年も前から呼吸法や瞑想が健康によいと知られているが、そのメカニズムを知ることも素晴らしいことだ。この短い記事が刺激となって瞑想を始める機会となり、私がそうであるように、身体の炎症反応をコントロールする方法を探してほしい。






(出典)http://upliftconnect.com/control-inflammation/

2016年11月28日月曜日

ヨガはどのような働きをするのか:科学的研究 
Scientific Research: How Yoga Works

ヨガが身体や精神によいということはわかっている。が、近年まで、鬱や不安症、糖尿病、慢性疝痛やてんかんといった症状を和らげるのはなぜか、どのような仕組みがあるのかは誰にもはっきりとはわかっていなかった。

さて、ボストン大学医学部の研究者らが、ヨガの秘密を発見したと考えている。クリス・ストリーター博士と彼女のチーム、2012年5月のMedical Hypotheses journal にありえないほど長い題名の論文を発表、神経系を調整することでヨガが機能していると仮定した。それはどのようなものだろうか?それは、ストレスにうまく対応できる身体機能である迷走神経を強めることである。

その研究とは、「てんかん、鬱、心的外傷後ストレス障害における自律神経系、ガンマアミノ酪酸、及びストレス反応のヨガの効力(原題:The Effects of Yoga on the Autonomic Nervous System, Gamma-aminobutyric-acid, and Allostasis in Epilepsy, Depression, and Post-traumatic Stress Disorder)」である。


迷走神経とは?


調整が必要である迷走神経があることすら我々のほとんどは知らないが、間違いなく体内に存在する。体内の最も大きな脳神経である迷走神経は、頭骨の基部から始まり身体全体を通っており、呼吸、消化、神経系に影響を及ぼす。身体の「管制塔」と考えられておる、身体の主な機能を調整するのに役立っている。呼吸や心拍、消化など、そして体験を理解して処理し意味をなすことなども、迷走神経に直接関係しているのだ。

異なったレベルでそれを感じることができるので、迷走神経が調整させてうまく機能していること自分で感じることができる。消化力が高まり、心臓は最適に機能し、気分が落ち着く。活動的であったりストレスのある状態からもっとリラックスしたものに移行するのが容易になる。そういうことがうまく機能すると、人生の困難に正しいエネルギーと努力で簡単に対応できるようになる。つまり、常に柔軟性を保っているとき、われわれは「迷走神経の調子がよい」状態にあるといえるのだ。

一方「瞑想神経の低調」は、疲弊感をもたらす。消化力が落ち、心拍数が上がり、気分がころころ変わって対応できなくなる。当然のことながら、迷走神経がうまく調整されていない状態は、鬱やPTSD、慢性疝痛やてんかんなどの病気と関連性がある。それは、ヨガの実践で著しい効果を示す症状と同じである。研究者らは、ヨガが瞑想神経を刺激してそれらの症状を緩和すると仮定しているのだ。

その理論を試すため、迷走神経を調整すると考えているヨガの練習について詳しく調べた。例えば、ウジャイ・プラナヤマなどの抵抗力を加えた呼吸が弛緩反応の増加と心拍変動(回復力の指標)を観察した。また予備研究では、長い経験を持つヨガ実践者が「オーム」と声を出して唱えると、心の中で唱えるよりも迷走神経がより調整されてより弛緩反応がみられた。こうした研究が、様々なヨガの実践が、いかに人間の生理に様々な形で影響を与えているのかを明らかにし始めているのである。


https://yogainternational.com/article/view/scientific-research-how-yoga-works

2016年11月21日月曜日

極楽?

ほぼ毎週来てくださっている生徒さんたち、
かなり身体ができてきたので今日は少し難しいポーズにチャレンジしました。
その名も「Bird of Paradise」 直訳したら極楽鳥ですね。
「極楽」をどう感じるかがミソですね、なんて。

腿や肩や体側をじっくり伸ばし、脚で地面をとらえて重心と身体の軸を感じ
内にまとめてから外に向かって伸びる感覚をつかめないとなかなか難しいバランスポーズです。
今日は、膝を曲げた状態までいきましたが、いずれは伸ばせるようになるはずです。

ワイワイ言いながら、教える側も楽しいクラスでした。

Yoga Journal

毎日12分のヨガが骨の健康を促進する可能性 
New Research on Yoga and Bone Health

毎日12分のヨガが骨の健康を促進する可能性

カルシウムやビタミンDをたくさん摂取していますか?そしてヨガは?
骨粗しょう症や骨減少症の治療や予防に関して、こうしたアドバイスがされているのを聞いたことがあるかもしれません。これは一部には、2015年11月にTopics of Geriatric Rehabilitation (高齢者リハビリのトピック)誌に発表されたローレン・フィッシャーマン博士による10年にわたる研究での研究結果のせいなのです。

フィッシャーマン博士らは、木のポーズ(ヴルクシャサナ)、三角のポーズ(トリコナサナ)、戦士のポーズII(ヴィラバドラサナII)、体側を伸ばすポーズ(パルシュヴァコナサナ)、ねじった三角のポーズ(パリヴリッタトリコナサナ)、バッタのポーズ(シャラバーサナ)、橋のポーズ(セツバンダサナ)、仰向けの足を持つポーズ(シュプタ・パダングシュタサナ)のバリエーション2種、座位のねじりポーズ2種、屍のポーズ(シャヴァサナ)の12ポーズを研究しました。全体で12分の練習のDVDが被験者に与えられ、それで練習を行いました。

インターネットで募集した741人の被験者のうち、227人が毎日あるいは2日に1回のヨガを行う者を抽出し、それぞれ「完全適応」と「中程度適応」とラべルつけしました。その他の被験者の89%は女性で平均68歳でした。80%以上の被験者が骨粗しょう症か骨減少症と診断されていた人たちです。

被験者の骨ミネラル濃度(BMD)のデータを、研究の最初と10年後に収集しました。

その結果は?驚きです!227人の「完全適応」「中程度適応」の被験者の脊椎、腰、大腿骨の骨ミネラル濃度に改善がみられました。研究者らによれば、「ヨガに関係した深刻な怪我は、一切みられなかった。ヨガを実践者に、質的な骨質の改善が現れた

もちろん、さらなる研究は必要ではありますが、この結果は有望であり、ヨガの実践者らが毎日マットの上に立つ理由のひとつとなることでしょう。



(出典)https://yogainternational.com/article/view/new-research-on-yoga-and-bone-health

2016年11月14日月曜日

月とヨガの関係 
What Does Yoga Have To Do With The Moon?

今夜は68年ぶりに地球に月が大接近する Supermoon です。
太陽と反対に来た月(満月)が、地球と太陽の引力に引かれて近づくのですから
その力は潮の干満という形で現れるように、とてつもなく大きなものです。
私たちがそれを感じないわけがないと思いませんか?

残念ながら今日の空は曇っていて見えませんが、少し月に思いをはせてみましょう。
DoyouYogaの記事です。
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ヨガと月の関係とはどんなものでしょう?満月の日にヨガをしてはいけないとか、新月にヨギが断食をするとか聞いたことはありませんか?

そしてなぜ、夏至や当時に108ポーズを行うのでしょう?
いったい、月はヨガにどんな関連があるのかをここでお答えしましょう。


ハタ


「ハタ」とは、一般的にエクササイズの形をとったヨガのことを意味しています。「ハタ」という言葉は「意図的」「力強い」という意味があります。サンスクリット語では「ハ」は太陽、「タ」は月を表します。

これは、私たちの中にある男性性と女性性のバランスを指します。男性性は太陽で、熱く行動的。女性性は月で、冷たく受動的です。ハタヨガのアサナ(伝統的なヨガのエクササイズ)は、身体のバランスを整え両極にあるものを一体化させるためのものです。ヨガの練習を通して、強さと柔軟性、努力と委ねることを各ポーズの中で作っていくのです。

ハタヨガは力強い練習です。自己の変革と心を穏やかにするための道具です。ハタヨガの練習の中で、精神を「今」に調和させていくために心の揺らぎを穏やかにしていくことができます。



108


おそらく、新年に108回の太陽礼拝をする話を聞いたことがあるでしょう。その意味は何なのでしょうか?なぜ108回?

108という数は、ヨガ、仏教、ヒンズー教で意味のある数字です。古代インドの占星術師らは、太陽と月、地球間の距離の平均値が各直径の108倍であると考えていました。すなわち全体的な存在の数字をされていたのです。伝統的なマラ(数珠)は108個のビーズから成り、それらは太陽の周りを惑星がまわるようにグル・ビーズを囲っています。

1、0、8という数字は、唯一のもの、無、全て(無限)を意味し、宇宙の究極の真実という信仰を表しています。この聖なる数字の伝統において、特に春分と秋分という季節の変化を讃えるために108回の太陽礼拝が行われるのです。春分、秋分には、世界中で昼と夜の時間がほとんど同じになります。ラテン語ではEquinox(昼夜分岐点)は「等しい夜」という意味をもちます。ヨギたちは、この聖なる宇宙の変化を讃えるために108回の太陽礼拝を行うことで新しい始まりである季節の変化を祝うのです。



エーカダシ


「エーカダシ」とは「11」を表し、ヒンズーの太陰暦では満月と新月の後11日目を意味します。霊的にとても大切な日だと考えられています。ヴェーダ(古代インドの文献)では、エーカダシの日に断食をすると全ての罪から解放され、霊的に向上できると書かれています。

つまり、いつもは食事の準備や食べることに向けられている焦点を、神聖なるものへの信仰と愛へ向けるということです。このように、解脱へと近づくのです。西洋医学やアーユルヴェーダにおいても健康を維持促進するための断食は推奨されています。水やジュースでのデトックスは、汚れた身体を清め、堆積した老廃物を排除して消化機能を刺激ます。また、未消化の食事や老廃物による神経系の刺激がなくなるので精神的な集中力が高まります。このように、断食に関連した身体の浄化はこの日の縁起に関係しているのです。



満月と新月


地球は、太陽と月の引力に影響されています。こうした位置関係によってつくられるエネルギーは呼吸の周期に例えることができます。

満月のエネルギーは、プラナが最大になる吸気の最後にあたります。大きく息を吸って、止めて、身体のエネルギー(プラナ)を感じましょう。広がった上向きの力が私たちを力強く感情的に感じさせますが、落ち着きがなくなります。満月の間は自分勝手になりがちなのです。

新月のエネルギーはアパナの力が最大になる呼気の最後にあたります。完全に吐ききり、エネルギーが呼吸とともに流れていくのを感じましょう。アパナは収縮した下向きの力で、私たちに落ち着いた感覚を与えますが、身体の動きは重く抵抗感を感じるでしょう。



ヨガと月の周期


アシュタンガヨガの伝統では、この月の周期を尊重するために満月と新月の練習はやめるべきだと言われています。

月が満ちたり欠けたりすれば、心は影響を受けます。硬い地球がこの影響を受けているのは見えにくいですが、液体である海が受ける影響は眼に見えます。

月は地球全体に影響を及ぼしますが、潮の満ち引きを見ることでそれを感じることができます。太陽が月に影響を与え、月が地球に影響を与えます。その影響が自然に起こり、私たちは母なる自然の手の内にいるということになります。無意識にその時々であちこち引っ張られるか、それとも意識的に歩くこともできるのです。

意識の気付きの中で人生を歩くとき、ヨガを練習しているのだと言えるのです。






2016年11月7日月曜日

<日記>方法はひとつではない

今日のクラスは、数か月ぶりにヘッドスタンドの練習を入れてみました。

前回やってみた時には、肩が充分開いていなかったり、ハムストリングスが伸びなくて前に進めなかったり、はたまたコアマッスルが弱すぎたりして危なっかしい感じがする方がほとんどでした。
が、数か月間ヘッドスタンドの練習は一切しなかったのですが他のいろんな練習をしてきて、今日突然やってみたら、なんと皆さん(まだまだ補助は必要ですが)しっかりと肘を使って頭立ちができるようになっていたのです。

Yoga Journal


同じポーズを練習してもしても、うまくいかないときはできないものです。
ちょっと横に置いておいて、違うアプローチをしてみると意外とできてしまうことがあります。
今回もそうでした。
肩や腕まわり、ハムストリングスのストレッチ、コアの強化などなど、地道に練習を続けてきた結果、長い間やってもみなかったポーズがスッとできるようになってきたのです。
ヨガのポーズは数えきれないほどたくさんありますが、基本的には同じことをしていることが多いので、見た目や気分は違っていても重力のかかる場所を変えているだけで同じ練習を続けていたりしています。つまり、異なったアプローチで同じゴールを目指しているのです。

これは、日々の生活の中でも同じことが言えるかもしれません。
一所懸命がんばってもうまくいかないこともありますが、ちょっと横においておいて他の角度からやってみると意外とできてしまうこともあるのではないでしょうか。

こんな風に、ヨガは自分の身体だけでなく人生についてもいろいろ教えてくれます。
そこがヨガの面白いところです。



2016年11月3日木曜日

膝のヨガセラピー 
Yoga Therapy for Your Knees

今日はYogaInternationalから、よくある膝の痛みに関してです。
誰しも特に年齢を重ねると膝の痛みに悩む人が多いですが、それは年齢に関係なく起こる場合もあります。その原因と対処法を見てみましょう。
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慢性膝痛があったり、膝を曲げ伸ばしするとぽきぽき音がなったり、膝が過伸展する癖があったするならば、動きが変だったり膝頭が脱臼している可能性があります。こうしたアンバランスは、慢性膝痛や膝関節損傷の主な原因で、それはゆっくりと徐々に発症します。


では、簡単な解剖学を説明しましょう。膝頭は、大腿骨の溝に沿ってスライドするようにできていて、うまく動くためにはその溝の間をスムーズに動かなければなりません。もしそれがずれてしまったら(よく起こることですが)、その下にある軟骨をすり減らし、膝が不安定になります。結果として起こる損傷は、膝の代替手術をする主な原因ですが、多くの人は軟骨が「なくなった」から手術をしなければならないと信じています。しかし実際は、時間がかかるにせよ軟骨はまた成長します。問題は、バランスの悪い膝頭廻りの筋肉の引っ張りを直さない限り、身体が補修するよりも早く軟骨をすり減らし続けるということです。


では、なぜ膝頭がずれてしまうのでしょう?その原因は、膝のすぐ上で四頭筋腱に繋がる4つの筋肉である大腿四頭筋にあります。この腱は膝頭を囲んで付着しており、膝蓋靭帯として膝頭の下につながり、そこで脛骨に付着しています。膝頭はとても重要な力学的機能を司っています。大腿腱は、滑車にかかるロープのように膝頭の上を通り、膝頭は(滑車のように)大腿四頭筋の脚を伸ばす力を30パーセント引きあげています。大腿四頭筋と膝頭が脚を伸ばすための「伸筋機構」を形成しています。膝のアンバランスは、大腿四頭筋の「ロープ」が膝頭の滑車を横方向に引っ張り、機構の摩擦を引き起こしているのです。


ハタヨガはこのアンバランスを修正するのにとても役立ち、立位のポーズは特に効果的です。しかし注意してください。様々なポーズにおいて膝のアンバランスは、さらなるアンバランスとなり、直すどころか症状を悪化させたり怪我につながることもあります。ただよいことに、どこに注意すればいいかわかれば、良いアラインメントで正しい位置に膝を置くことは簡単にできます。


自然な立位のポジションでは股関節が両膝の幅よりも広いため、私たちの身体は「伸筋機構」の怪我をしやすくなっています。脚の骨に対する自然なY字型の配置は、大腿四頭筋の収縮をアンバランスにし、膝の過伸展などの問題がこのもともとあるアンバランスを余計に悪くさせます。その結果、脚を伸ばそうと大腿四頭筋を収縮させると、一番外側にある四頭筋(外側広筋)が強く引っ張られて膝頭が外側に引っ張られがちになります。


一番内側にある四頭筋(内側広筋)が、最もこの引っ張りに対抗する筋肉です。この筋肉はあまり使われず弱い傾向があり、一方で腿の外側の筋肉は使いすぎで強くなっていることが多いのです。なので、膝を健康的に保つためには、内側広筋の強化法を知る必要があります。実際、理学療法士は、膝の故障のリハビリおいてこのなおざりにされている筋肉を強化するエクササイズを取り入れています。




内側広筋の運動


ヨガのクラスでは、脚を延ばすポーズで膝が過伸展にならないように、(表面上は)大腿四頭筋を使うよう「膝頭を持ち上げて」と言われることがあります。しかし、膝頭を正しく持ち上げるには、膝に問題がある場合は特に、注意が必要です。


これは簡単にチェックできます。両脚をまっすぐにして足を平行に座るか立つかして、膝頭を「持ち上げる」か骨盤側に引くように腿の筋肉に力を入れます。あなたの膝頭は真っすぐ上に動きましたか?それとも外側に向かって斜めに上がったでしょうか?もし斜めならば、内側広筋を強化して正しく使う方法を知る必要があります。


これは少し困難をともないます。まず、内側広筋は膝の伸展の最後の10-20度の間だけ引き締まる感覚を感じられるため、この筋肉がどれなのかを見つけにくいからです。なので、この筋肉が動いているのを感じ理解するよう集中しなければなりません。



外側広筋       内側広筋



次に、変えられない構造的なアンバランス(X脚やO脚)は、内側広筋の正しい機能を制限し、他の四頭筋比べて弱くなることがあるので、余計に難しくなります。


最後に、内側広筋に力を入れて膝の過伸展を防げたとしても、膝がすでに過伸展していたら意味がなくなります。つまり、筋肉を強化するよりも、まず過伸展を意識的に回避することが重要なのです。過伸展の癖があれば、いくら内側広筋を強化してもまたもとの膝のアンバランスな伸展にもどってしまうからです。





膝頭を正しく配置するために行うべきことは以下です。
  1. 内側広筋をみつける
  2. 伸展のエクササイズで内側広筋を強化する
  3. 膝を曲げた戦士のポーズで強化を続ける
  4. 脚を伸ばしたポーズの中に組み込む



内側広筋の強化法
 




内側広筋をみつけるには、アイソメトリックの(長さを変えない)伸展が役立ちます。脚を前に伸ばしてダンダーサナ(杖のポーズ)で座ります。背中を壁につけてもいいでしょう。過伸展を防ぐため、ブランケットかマットを丸めて膝の下に置いておきます。次に、右脚を10-15度(足裏を時計として1時の方向)に回します。内側広筋をみつけるため、膝頭の内側の角から2.5センチ上に指を置き、腿の内側に向かって4センチ歩かせてみましょう。脚をゆっくり伸ばして大腿四頭筋が働くのを感じます。涙型の筋肉が指の下で硬くなるのを感じましょう。これが内側広筋です。膝を完全に伸ばすとこの筋肉がもっと働くのを感じます。8-10秒そのまま収縮させて、そのあと解放します。膝が固定されたり締め付けられるほど強く伸ばさないようにして、これをもう2回繰り返します。このエクササイズを左脚にも行います。



次に、脚を外に回さずに同じエクササイズを行います。天井にまっすぐ膝頭が向くようにしておきます。脚を完全に伸ばし、四頭筋の内側(指で触っている個所)が四頭筋の外側と同じくらい収縮しているかを確かめます。外に回した時と比べ、バランスよく四頭筋を働かせたときは膝頭が膝関節に対してまっすぐ動くのを観察しましょう。反対の脚も行います。あまりやりすぎて筋肉が疲労してしまわない程度に、1日に数回このエクササイズを行いましょう。







戦士のポーズ



伝統的なアサナの中でも、前の脚を曲げて後ろの脚を伸ばした戦士のポーズI、IIは、正しいアラインメントと動きができれば内側広筋を強化するのに特に効果的です。この筋肉の動きを分離させるのは脚が完全に伸展しているときが最も容易ですが、膝が踵の上に垂直に配置され踵の内側が床についている限り、膝が90度に曲がり脚が体重を支えている時には力が入って強化されます。





このポーズをとるには、両足を大きく離して両腕をそれぞれ伸ばします。足はだいたい手首の下くらいにきます。左足を30度くらい、右足を90度に回します。胴部をまっすぐに保ったまま右足を曲げます。膝が足首やつま先より飛び出ないようにします。脛は垂直にして、腿を床と平行にし脚が直角に曲がるようにしましょう。もし膝が足首より出て体重がつま先に移動したら、足幅を広くしましょう。頭を回して右手の指先を見ます。






スタンスが正しく膝が直角であっても、よくある危険な間違いは腿が内側に回って膝が脚の親指側に向いてしまうことです。これは土踏まずのアーチがつぶれることで起こり、膝の内側にストレスがかかって大腿四頭筋をバランスよく強化できなくなってしまいます。また、体重が足の外側に移動して膝が足の小指側に回ってしまうこともあります。この場合、腿の外側の筋肉が硬くなり膝の外側にストレスがかかります。この場合もまた、内側広筋は正しく機能しません。






膝を守るために
足の人差し指の上に膝が来るようにし、膝と指と脛が一直線に並ぶようにします。内側広筋が正しく働いていないと膝は内側に倒れます。外側広筋が膝頭を外向けに引っ張って膝の内側にストレスを与えます。体重が踵の下の方に移動すると膝は小指側に向き膝の内側にストレスを与えます。


戦士のポーズでの正しいアラインメントによって、膝の伸筋機構を調整強化するため内側広筋がほかの四頭筋と調和して働くことができます。一方でアンバランスによって内側広筋が働かなくなり筋肉のバランスが崩れ膝の損傷につながります。戦士のポーズでの以下の3つのルールに従って内側広筋を強化し膝を守りましょう。


第一に、体重が踵の中心にくるように膝を正しく直角に曲げること。つま先が曲がっていたら、それは膝が踵を超えている兆候です。


第二に、土踏まずのアーチを壊さないように。これは膝が内側に倒れているサインです。足の外側に体重を移動することでこの釣り合いをとろうとしますが、踵の内側が持ち上がります。しかし、これが膝の外側にストレスを与えポーズの目的が失われます。踵の内側と足の親指を床に着けながら土踏まずを持ち上げます。この2つの動き(着地と持ち上げ)によって膝が内側あるいは外側に回りすぎないようにすることができます。足指と土踏まずを持ち上げ、膝を曲げてエネルギーを土踏まずからふくらはぎを通って膝の内側へと引き上げ、膝が内側にまわらず踵の真上にくるようにしましょう。


第三に、腰を少し回して曲げている足の踵、膝頭、股関節が一直線になるように。(壁際でやると、右の足首の外側、膝、腰が壁に当たるはず)そのためには、膝を曲げる際に(お尻のポケットに何か重いものを入れているかのように)腰の外側を床に向かって下げ、エネルギーを土踏まずから膝の内側に引き上げます。膝を曲げると脚がらせん状に動いて、踵と膝頭と股関節が一直線になるでしょう。


この3つの動きの目的は、4つの四頭筋全てが調和して働き膝を安定させることです。結果として、内側広筋の動きが必要となり他の四頭筋とのバランスがとれるようになります。これを確認するには、膝の少し上の腿の内側を軽くつねってこの内側広筋が膝の外側にある腿の筋肉と同じくらい硬くなっているかを確認します。




三角のポーズ


戦士のポーズでの正しい膝のアラインメントは、自動的に内側広筋によい運動をさせます。さて、この同じ動きを三角のポーズのような脚を伸ばしたポーズに適用しましょう。意識的に内側広筋を使うことがもっと難しくなります。








足幅を広くして立ち、マットの端に対して左足を45度右足を90度にします。右脚を少しまげて踵と膝、腰を戦士のポーズのように一直線にします。そして、脚をていねいに伸ばし、特に最後の20度のところで内側広筋を働かせます。脚を伸ばす際にこの筋肉が正しく使われ脚が正しい位置にあれば、膝頭が脚に向かってまっすぐ引きあがり、膝を固定するのがほとんど無理だということがわかります。しかし、内側広筋を解放したとたんに膝が過伸展してその位置に固定されていまします。


股関節から右に屈曲し三角のポーズに入ります。内側広筋を安定させて腿の内側に沿って引き上げ、膝を固定せずに足を延ばします。膝関節に圧迫を感じたら、おそらく内側広筋が弛緩して膝が過伸展しているはずです。ポーズをやめてもう一度試しましょう。正しいアラインメントにあると、腿の内側に沿って、膝の内側から座骨まで、より強いストレッチを感じます。ストレッチしすぎないように注意しましょう。必要なら手の下にブロックをおいて支えにしましょう。




結論


ハタヨガの立位のポーズは、膝の慢性的な損傷(痛み)につながる構造的なアンバランスを克服するための膝を強化し安定させるパワフルで効果的な方法です。脚の使い方やアラインメントにもう少しのマインドフルネスを用いることで、こうしたポーズがもたらす自然な治癒的効果が高まるのです。


(出典)https://yogainternational.com/article/view/yoga-therapy-for-your-knees1