2017年2月28日火曜日

パーキンソンのためのヨガセラピー Vol.1
Yoga Therapy and Parkinson’s Disease

シンガポールでセラピーの実習をし始めた頃、パーキンソン病で悩むアーチストの方のセッションに同席する機会がありました。とてもユーモアがあり陽気な方でしたが、日々重くなる症状をなんとか改善するべくドクターのクリニックにいらしたのです。
症状が少し改善されて、Dr. Nagendraがインドから出席されたセレモニーで素敵なギターを奏でられた彼の姿は一生忘れられません。
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米国パーキンソン病協会(ADPA)によれば、ヨガセラピーは身体の震えを目に見えるほど減少させたり歩行の安定を改善することができます。
ヨガはパーキンソン病にとって大変効果のある補完療法であり、柔軟性を高め、姿勢を改善、緊張や筋肉の痛みを解き、自信を取り戻すとともに、こうした効果を通してクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を高めます。

パーキンソン病は、身体の動きに影響を与えます。発症するのは、脳にある脳幹神経節や中脳黒室と呼ばれる神経細胞に「問題」が起こるためです。通常、これらの神経細胞は、ドーパミンをいう重要な化学物質を作ります。ドーパミンは、動きをコントロールする脳の部分である一次運動野(M1)に信号を送ります。この病は主に中年以降にみられますが、マイケル・J・フォックスのように早くから診断される人もいます。

パーキンソン病の兆候や症状は以下の通りです。
  • 通常は手足の震えから始まり、手や手の指からが多い
  • 動作緩慢
  • 筋肉のこわばり(顔面を含む)
  • 姿勢やバランスの崩れ
  • 反射運動の喪失
  • 話し方の変化
  • 筆跡の変化
パーキンソン治療の研究や試験において、代替あるいは補完医療は医療界において大きな関心を集めています。食餌法がこの病の進行を遅らせることはできませんが、全体的に健康的な食事やライフスタイルがアクティブであろうとする気持ちや欲求を作り出してくれます。運動や音、そして特に音楽は行動機能や運動機能の改善に効果があるようです。この立証されている関連性を考えると、ヨガの音、呼吸、シーケンスの中でのリズミックな練習が、パーキンソン患者に楽な動ける感覚を感じさせることができるのでしょう。

パーキンソン病に最も効果的なヨガとは?

動きが制限されていたり不安定だと感じる人たちにとっては、座位や補助のあるポーズがよいでしょう。

音を使った練習(チャンティング、聞く、楽器を鳴らす、音楽に合わせて動く、歌う、太鼓をたたく、キルタンなど)。安定したリズムを与えてくれる音楽療法は、歩行訓練に効果的です。部屋の中での単純なリズミカルな動き、椅子に座って片足ずつ体重を移動させたり両手を交互に振ることは、パーキンソン病のためのヨガでは基本です。音楽に合わせた運動はまた、持久力や可動域、体力、手の動きの向上に効果があります。こうした効果は、動きが身体の中心線を交差する(鷲のポーズの腕や、自分をハグする、反対側の耳を触る、座って反対側の膝を触るなど)とより強調されます。こうした動きには脳半球の調整が必要だからです。

リズムに集中する(呼吸とともに動く、決められたテンポで繰り返し行うヨガの動き)。これは3:3:3(吸気3、止める3、呼気3)の片鼻呼吸や、4で腕を挙げ4で腕を開き4で下すなどがあります。

朝のこわばりがあれば、床やベッドで運動を行うこともできます。体側のストレッチ(傾いた三日月のポーズのように片方に曲げる)や優しいハムストリングのウォームアップ(アパナサナ(膝を胸に近づけるポーズ)やスプタパダングシュタサナ(上向きの足の親指を持つポーズ)など)は、一日を始めるのによい方法です。快適さや安全のためにうまく変更しましょう。安定させるため壁や椅子を使う、身体のこわばった個所の衝撃を和らげるためヨガ・プロップスを使うとよいでしょう。例えば、パーキンソン病患者にとってバランスを取ることが困難なため、壁を使うか、床に近い場所にいられるよう調整しましょう。

ウトカタサナ(椅子のポーズ)、ナヴァサナ(船のポーズ)の変形、サラバーサナ(バッタ)の変形などコアや姿勢を強化するアサナは、パーキンソン病患者にありがちな猫背や頭の前傾を改善するのに役立ちます。

始めに大きな動きをすると、筋肉が暖まって緩むため、硬くなった筋肉に特によいです。ウォームアップや立位のポーズで、時折、音楽をかけると、音楽とドーパミンレベル(パーキンソンでは下がる)には強い関連性があるため、ストレスの減少に繋がります。自然の音や音楽がリラックスによいのと同じように、チャンティングを取り入れると呼吸や姿勢に改善があるでしょう。

(次回に続く)

(出典) https://yogainternational.com/article/view/yoga-therapy-and-parkinsons-disease

2017年2月27日月曜日

インドに行って来ました

チャンスというのは、突然降りてくるもので
今回のインド行きも、たまたま上京した時にたまたま再会した友人に誘われ
ふっと行くことになったのです。2014年にバンガロールに行ってから約3年、そろそろ行ってみたいなあとも思っていたところでした。

現地集合現地解散のケララの旅、初めましての仲間はみんな個性的で素敵な人たちで
一人で過ごす何倍も楽しく過ごすことができました。

宿泊は、多くの観光関係の賞を取っている Somatheeram というリゾートで、
医師の指導のもとアーユルヴェーダのトリートメントが受けられます。

可愛いコテージ

食事は医師から勧められる体質に合わせた食事をビュッフェスタイルで。
南インドはお米料理が多くココナツを多用したさっぱりした味が特徴です。
トーストやシリアルなど普通の食事も用意されていたり、ルームサービスでお肉なども頼めますが基本的にはヴェジタリアンです。



毎日2時間のトリートメントのほか、メディテーションやヨガのクラスが自由に受けられました。3週間かけてゆっくりデトックス(パンチャカルマ)していくのが理想ですが、今回は8日間。子供のころからアトピーの私は、肌のコンディションを集中的に落ち着かせるトリートメントをしてもらいました。オイルマッサージやハーブのパック、目や耳のデトックスに額に液体(オイルやミルク)を垂らすシロダーラ、ハーブを使った腸洗浄などなど。

海にほど近いロケーションの自然の中、テレビもなく、フレンドリーなスタッフに囲まれて、朝は夜明けとともに起床し、夜はさっさと寝る。
健康的な食事に適度の運動、徐々にこころが穏やかになってくるのがわかります。
身体の中がきれいになっていくと、心もきれいになっていくことが実感でき、
素直に周囲の環境や自らの状況に感謝する気持ちを感じ、小さなことにとらわれなくなってきます。

夜明け
見渡す限りの砂浜では朝の漁が始まる

たった一週間でもこれほどの効果を感じられるのだから
きっと3週間のパンチャカルマをフルで受けたら、もしかしたら人生変わるかもと思った今回の旅でした。



2017年2月10日金曜日

12000人の死をみとってきた男から学ぶ12の人生の教訓 
12 Life Lessons from a Man Who’s Seen 12000 Deaths

Uplift からの記事です。
死から学ぶなんて重く感じてしまいますが、実は人はみな、いつかそういう運命であるのはわかっていて気付かないふりをしているものではないでしょうか。
ヒンズーの人々のお話ではありますが、この記事に書かれていることは全人類に共通することのように思えます。
「死は生の一部」なんですね。
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我々は死から何を学ぶのか?




息を引き取るのがカシ(ヴェラナシ)なら、「カシ・ラブ(カシの果実)」と広く知られていること、つまり「カルマに縛られた輪廻からの解脱」が達成できると多くのヒンズー教徒から信じられている。
ヴェラナシのカシ・ラブ・ムクティ・バワンは、街に3か所ある人々が死ぬためにやってくるゲストハウスのひとつだ。他の2つはムムクシュ・バワンとガンガ・ラブ・バワンだ。1908年に設立されたムクティ・バワンは町の内外でよく知られている。
バイラヴ・ナス・シュクラはムクティ・バワンのマネージャーを44年やっている。平安を求めて死を待つ人々が、豊かな者も貧しい者もこのゲストハウスに最後の日々を過ごすためやってくるのを見てきた。シュクラは彼らとともに彼らのために祈る。赤いブロック壁の前で庭の木のベンチに腰掛けた彼は、ムクティ・バワンのマネージャ―としてみとってきた12000の死から学んだ12の教訓を私に教えてくれた。

人々は死ぬためにやってくる

1. 旅立つ前にすべての対立を解決せよ

シュクラは、サンスクリットの学者であったスリ・ラム・サガール・ミシュルの物語をした。ミシュルは6人兄弟の長男で末っ子と仲が良かった。数年前、2人がけんかをして家族の間に壁ができてしまった。
最後の日々、ミシュルは小さなタバコのケースを携えて現れ、予約した3番の部屋を頼んだ。彼は到着後16日目に死ぬとわかっていた。14日目、彼はこう言った「40年間疎遠になった兄弟に会いに来るよう頼んでくれ。この苦しみのせいで心が重いんだ。すべての対立を解決したい」
手紙を送った。16日目に一番下の弟が到着すると、ミシュルは彼の手を取り家族を分断している壁を壊してくれと頼んだ。そして弟に許しを請うた。2人は泣き、ミシュルは話の途中で止まってしまった。彼の顔は穏やかになっていた。その瞬間に彼は逝ったのだ。
シュクラは、何年もの間同じようなシーンに出会ってきた。「人はあまりにもたくさんのものをいたずらに抱えすぎている。旅の最後の最後にそれを手放したいとずっと願いながら。コツは、対立しないようにすることではなく、できるだけ早く解決するってことだよ」シュクラは言う。

対立しないようにすることではなく
できるだけ早く解決するってことだよ

2. 人生の真実は簡素である

「人は、死ぬことがわかったとたん贅沢な食事をしなくなる。多くの人は最後になって、簡素な暮らしをするべきだったと理解する。それを最も後悔するんだ」シュクラは言う。
彼のいう簡素な暮らしは、節約することで得られる。我々はもっと貯めようとさらに費やし、それがさらなる欠乏を作る。少ないところに満足を得ることが、豊かさの秘訣である。

3. 人の悪い特徴を取り除け

シュクラは、すべての人が良いところと悪いところがあると主張する。しかし、「悪い」人を徹底的にはねつけるのではなく、彼らの良いところを探すべきである。憎しみを心に抱くのは、彼らの短所に集中しすぎているからだ。しかし長所に焦点を合わせれば、その時間を彼らをよく知ること、それ以上に愛することに費やすことができるかもしれない。

4. 助けを求めよ

自分ひとりで学んだり行うのは自信がつくかもしれないが、他の人が学んだことを吸収することができない。シュクラが言うには、われわれは助け合わなければならないが、もっと大事なのは必要な時には助けを求める勇気を持つことだ。
世界中の人はみな、自分より何かしらよく知っている。われわれが受け入れるなら、彼らの知識が我々の助けになることもある。

シュクラは、80年代の雨の日に連れてこられた老女の事件を物語った。老女を連れて来た者たちは、質問票に何も記入せずに行ってしまった。数時間後、警察が来て、老女の身内が逃亡したナクサル党員だといいその足取りを尋ねた。シュクラは何も知らないふりをした。そして警察は去った。翌朝老女の身内が戻ってきたとき、シュクラはためらわずそのリーダーにこう尋ねた。「なぜ5-8人も人を殺せるのに、ナーニをただ撃って自分で火葬してやらなかったんだ?なぜ私に嘘をつかせたり辱めたりしたんだ?」老女の孫は跪いて許しを請い、信心深い祖母に救済を与えることのできるものが誰も居なかったのだと言った。それを重く取ったから、ムクティ・バワンに連れて来たのだった。

われわれは助け合わなければならないが
もっと大事なのは必要な時には助けを求める勇気を持つことだ

5. 単純な事柄に美点をみつけよ

ムクティ・バワンでは魂のこもったバジャン(礼拝)と讃美歌を一日三回行う。「聞いたことがあるとしても、まるで今まで聞いたことがないかのように楽器の音色に立ち止まり賞賛する人がいる」シュクラは言う。「鑑賞するために立ち止まり、その中に美を見ているんだ」
しかし、誰もがそうというわけではない、と彼は付け加える。批判的で高慢な人は、「外面上もっと重要な事柄」で頭がいっぱいだから、小さな事柄に喜びは見つけることが難しいのだ。

楽器の音色に立ち止まり賞賛する人がいる

6. 受容は解放である

ほとんどの人は自分が経験していることを受け入れようとしない。この絶え間ない否定がとても危険な感情を抱かせることになる。一旦自分の境遇を受け入れると、それについてどうするか決める自由が得られる。受容がなければ、常に灰色の場所にいることになる。問題を拒否しなければ、解決策を見つける強さが得られる。
真実に対する無関心、回避、否認は不安を引き起こすとシュクラは信じている。それが恐怖を作っていく。逆に、状況を受け入れると、それについて何をどのようにするか考える自由が得られる。受容は人を解放し力を与えるのだ。

7. 誰もが同じだと受け入れると奉仕が楽になる

シュクラの彼の厳しい仕事に対する臆しない献身と決意の秘密は、この教訓から理解することができる。カーストや宗教、人種や社会的経済的地位に従ってムクティ・バワンにやってくる人々をそれぞれ違うように待遇していたとしていたら、彼の人生は全く違うものになっていただろう。カテゴリー化は複雑な状態を作りだし、誰に対してもよく仕えることができない。
「誰をも同じように待遇していれば、呼吸も楽だし、誰が気を悪くしたなどという心配も少ない。仕事が楽になるんだ」

8. 目標を見つければ、それをすればいい

天職がわかるのは素晴らしいことだが、それはそれに対して何かしているときだけだ。シュクラによれば、多くの人は目標がわかっているがそれが実現するように何かをしている人は少ない。そこに座っているだけというのは、そもそも天職を持っていないよりも悪いことだ。目標の全体像を持っていれば、離れられないまたは手放せないと思っている何かにとらわれている間、目標に至るまでの必要な時間や努力を計るのに役立つ。本当に重要なものに行動を起こせ。

9. 習慣は価値になる

よい価値をもつためによい習慣を持つことをシュクラは勧めている。よい習慣を作り上げるのには訓練が必要である。「筋肉を作るのと一緒だ。毎日続けなければならない」
困難な時にも、公正で親切で誠実、正直、情け深くあるように絶え間なくそれに立ち向かわなければ、その資質を得ることはできない。

10. 学びたいものを選べ

我々に与えられる無限大の知識は、すぐに忘れられ混乱していくものだ。「ここで大事なのは、自分に価値があると深く感じるものを選択するのに注意することだ」シュクラは言う。自分に興味があることや哲学を人に押し付けようとする人がいるかもしれないが、彼らの勧めを取り入れながらも己の心や頭を楽しませるものを深く掘り下げることが賢明である。
ほほえみを浮かべながらシュクラは言う。「最後の日には、かつて簡単であったようには話したり歩いたり他の人とコミュニケーションしたりできる人は少ない。だから、内にこもってしまう。そして、かつて彼らの心を弾ませたことや、もっと学びたいと思っていたことを思い出すんだ。それが彼らの人生を豊かにしている」

11. 人との関係を切るのではなく、その人の考えとの関係を切る

本当に愛している人や繋がっている人とは、距離をおくことはなかなかできないことだ。しかし、どんな関係でも、一定の観念の不一致がコミュニケーションを取らなくなるきっかけになる。その人と関係を切るという意味ではない。ただ、その人が持っている考えと関係しないだけで、対立を防ぐためだ。シュクラはこう認める、離婚は「考え」とするのであって「人」とするのではない。それを理解することが苦しみや復讐の重荷から解放してくれる。

12. 稼いだ1割はダルマ(徳)のために置いておけ

ダルマが何なのか、シュクラは宗教的、霊的には説明しない。それは他人に対してする良い行いであり、それについて責任感をもつことだという。彼による簡単な計算法は、所得の1割を善意のために置いておくことだ。
死はとても辛いものなので、人生の終わりに献金したり寄付する人は多い。苦悩することで、他人の苦悩に共感し始める。彼によれば、愛する人と一緒にいたり、知らない人からの恩恵があったり、限定しない人々への善意を持つ人は、穏やかで優雅にこの世を去れる。自分の所有するすべてに固執せず他人のためにそのいくらかを残すことで、それが可能になるのだ。



(出典) http://upliftconnect.com/12-life-lessons/

2017年2月7日火曜日

腰痛のためのヨガセラピー #2 
Lower Back Blues?

腰痛のためのヨガ


腰筋に働きかける

腰筋はとても深いところにあるので、正確な位置や機能を感じるのは難しいかもしれません。二の腕を曲げるかのように腰筋を曲げられたり、ハムストリングスが伸びるように腰筋がストレッチするのを感じられる人は少ないのです。腰筋はこうした筋肉と異なった組織を持っており、その筋膜や結合組織はとても柔らかいのです。ハムストリングスのように硬くはならないので、そんなにストレッチする必要もないのです。

硬くなった腰筋のもうひとつの珍しい局面は、理想的な長さに戻す前に調整したり強化したりする必要があるということです。通常は、筋肉が硬くなるのは発達しすぎたか使いすぎたと考えます。が、弱い筋肉もまた硬くなることがあり、腰筋もまたそうなのです。例えば、何時間も椅子に座ったり庭にしゃがんだりするとその間ずっと腰筋は収縮したままですが、強くはならないのです。それどころが、こうした姿勢は腰筋を短く弱くさせます。では、腰筋が硬く弱いとどうして言えるのか、そしてそれにどう対処すればいいのでしょう?

腰筋運動の3要素

  • 腰筋を感じその動きを観察する
  • 筋肉へ意識を集中し深く呼吸して腰筋の緊張を解く
  • 他の筋肉と調和できるよう腰筋を調整、強化する

腰筋の感覚と解放

腰筋を感じ緊張を解く一番簡単な方法は、仰向けに寝るところから始めることです。顎を緩め、口を少し開けて快適に呼吸します。息を吐くときは「ハアァァ・・」と静かにささやくように優しく温かく吐きます。骨盤の奥から息を吐くようにイメージします。横隔膜と胸筋が受動的に解放されて息が出ていき、あなたが手放せば、腰筋もまた解放されます。尾骨が少し踵の方向に傾き、腰のアーチが緩くなるのを感じるでしょう。これは腰筋がゆるんだ証拠です。床に背中をぴったりつけるのが目的ではないですが、背骨が完全に受動的で自然なカーブを描いているこの解放感をただ感じましょう(図1)。背骨より顎が解放されるのを感じる人もいるでしょう。これもまた骨盤の奥がゆるんだ証拠です。どちらにせよ、これを最大10分行いましょう。

図1

腰がこのリラックした自然な位置に落ち着いたら、このアーチを次のエクササイズでも保ちます。右かかとを床にそって少し足首を曲げながらスライドさせます。膝とつま先は天井に向けたままにしながら、脚をゆっくりとスムーズに伸ばします(図2)。骨盤の奥深くから解放され、寛骨(訳註:恥骨、腸骨座骨が一体化した骨)の内側から腿の上部内側まで楽になります。もし、骨盤が前方に引っ張られて腰椎が大きく曲がって浮くようであればそこで止まって戻ります。この感覚は腰筋が硬くなって引っ張っているためで、緊張を解いて脚を伸ばしているのではなく腰を緊張させて腿を持ち上げているからなのです。骨盤の奥深くを解放し脚のスライドを続けます。呼吸の流れに意識を向け、身体の中心から深い解放感を感じましょう。

図2

腰筋を調整

次のエクササイズは、腰筋の場所を感じるためのものです。ほかの筋肉と異なり、脚を挙げるために腰筋を使いコアから動きます。腰筋そのものから動かしましょう。最初のエクササイズで作った自然なアーチを保ったまま、足の親指が天井を向くように脚を回転させておきます。

脚を強く伸ばし、息を吐きながら10cmくらいまで踵を床から持ち上げましょう(図3)。そのまま3呼吸したら踵をおろし、それを3回繰り返します。脚をまっすぐにするために、踵の内側に小さな重りをイメージし、腿の内側、骨盤の深く内側から持ち上げるようにしましょう。どこか深い床に近い内側から脚が持ち上げられているのを感じましょう。このエクササイズは、腰筋を緊張させずに強化し優しく調整します。

反対に、次はもっと外側の筋肉から脚を挙げるバリエーションを行います。感覚を比較し、不均衡なストレスの多いパターンをよりよいものに変えていきましょう。

図3

ひとつめのバリエーションは、脚を外に回したまま数回挙げたり下げたりします。動きが足と腰の違う場所(内転筋)から始まっており、脚を挙げるために股関節の内側が硬くなるのを感じます。これは、脚や足が外に向いたまま歩く際に起こっていることです。腿の内側に沿って内転筋から脚が前に動き、腰や臀部が徐々に硬くなります。あなたの靴をチェックしてみましょう。かかとの外側が極度にすり減っていれば、こういう風に歩いているということで、腰や臀部に問題を引き起こします。

最初のポジションに戻りましょう。次に、腰を床にぺたっとつけて脚を上げ下げしましょう。鼠径部が硬くなります。これは、骨盤を後傾にして(猫背、前に説明した疲れた感じの姿勢)動いている際に起こり、腰筋が慢性的に収縮されます。この姿勢は腰痛のレシピといえるでしょう。これを治すには、腰筋を解放して正しい長さに戻し、脊椎の自然なカーブを取り戻すことが必要です。

もう一度もとの位置に戻ります。今度は、バレリーナのようにつま先を伸ばします。このように脚を上げ下げすると動きが楽に感じるはずです。しかし、腿がほとんどの働きを担っているのに気付きましょう。これは、腰のカーブが強いときに起こり、つま先で歩いているように見えるでしょう。また、腰は緊張してカーブしたまま、足を腿から持ち上げることになります。ここでまた、コアとのつながりが薄くなり、腰筋の代わりになるはずのない他の筋肉に依存して、腰に大きな負担をかけます。この場合は、腰筋が骨盤を引っ張って前傾し、動きに正しく調和しようと下腹部からの大きな支持が必要になります。

もう一度足を内側に回し、よい姿勢に戻ってから、左脚で全部の動きを行い中心を探します。そして、次のアサナを練習して腰筋のストレッチで伸ばしましょう。正しい姿勢で腰筋を使うため、踵の内側にむかって伸ばして床を蹴りコアから動くのを忘れないようにしましょう。

戦士のポーズ ヴィラバドラサナ

立位のポーズの中でもヴィラバドラサナI(戦士のポーズI)は、最も効果的で難しい腰筋のストレッチのひとつです。重要な筋肉を伸ばすのに加え、ふくらはぎを伸ばし、腿の強さが求められます。最もむずかしいのは、柔軟性を保ったままコアを伸ばすことです。このポーズは臀部や脊椎を伸ばすのが必要な後屈です。それによって腰筋が解放され伸展し、廻りの筋肉に支えられながら「ストレッチ」します。腰筋が収縮すると、腰椎が引っ張られ骨盤が前傾し腰が詰まります。

まず、左脚を大きく後ろへ下げ、右ひざを曲げながら両手を前に出して前傾します。両足は左脚がまっすぐ伸ばせる距離に開き、右の脛は床に対して直角になるようにしておきます。膝が踵より前になってはいけません。後ろの足を30-45度の角度にし踵を床に下ろします。右踵から後方に伸びるラインをイメージしましょう。バランスを保つため、左足を調整して左かかとが交差するか、そのラインの左側に置くようにします。左腿に力を入れて脚をまっすぐに保ち、踵の内側に向かって下ろしましょう。これで左の腿が少し内側に向きますが、同時に左の骨盤の外側が前に動いて左右の骨盤の先(骨盤前部の骨ばってとがった点)が平行になって前を向きます。後ろ脚の位置が正しく収まれば、先ほどのエクササイズで感じたコア(腰筋)とのつながりを探しましょう。脚を挙げるのに使った筋肉が、今、戦士のポーズIでストレッチしています。




左足を床にべたっとつけないようにします。腰の内側や内転が硬くなるからです。内側のアーチを持ち上げたままにし、脚のエネルギーを骨盤へと引き上げましょう。腰筋に向かってもっと上方へ伸びるため、下腹部を引き込んで骨盤の上部か持ちあげます。大きく息を吸いながら下腹が落ちないようにします。腕を横に開き、手のひらを上に向け、頭上に持ち上げます。踵を床に伸ばし続けながらアーチから、腿の内側を通り、下腹部、手の指先へとエネルギーを引き上げます。

腹部の動きをさらによくするため、骨盤の中心にあるオレンジ大のエネルギーのボールをイメージします。ボールの前面を上に回転させてエネルギーを下腹部から引きあげながら、ボールの背面を仙骨の前から尾骨にかけて下方へと向け、後ろ脚をまっすぐに保ちながら踵に向かって踏むこみます。この感覚は、下腹筋の引き上げと調整によって腰筋が伸びることで感じられます。ポーズから抜けるためには、反対の動きをしていきます。息を吐きながら、おなかが落ちないように腕を下げます。両手を腰に下ろしてやや前傾し、前足を伸ばします。前に歩いてタダーサナ(山のポーズ)になり、数呼吸して心を落ち着かせ、反対の足でポーズを繰り返します。

戦士のポーズIは、腰痛のよくある原因のひとつである腰筋を解放し伸ばす特によいポーズです。しかし、実際は、ハタヨガの立位の全ポーズが、腰筋と周りの筋肉の調和を促進し、腰を健康的で強く保つように作られています。こうした基本的なポーズは、意識的な呼吸と組み合わせることで、腰痛を軽減し、さらにバランスのとれた有意義なヨガの実践への道を開いてくれるのです。



(出典) https://yogainternational.com/article/view/lower-back-blues

2017年2月4日土曜日

腰痛のためのヨガセラピー #1 
Lower Back Blues?

腰痛は、怪我や神経圧迫などのように明確に原因がわからないものがほとんだそうです。
ヨガセラピーで緩和できる方法、腰痛の種類はどんなものなのでしょう。

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腰筋のストレッチと調整



なぜこんなにも多くの人が腰痛を訴えるのでしょう?大抵は、一日の大半を座って過ごしているからで、これは健康的なことではありません。一日中座っていると、腰筋が短くなることがあり、これが脊柱を引っ張って(ねじることさえも)腰痛を引き起こします。この普段注目されない筋肉に働きかけることで、不快感の主な原因を無くすことができます。それにはヨガが適しているのですが、方法に行く前に、腰筋がどこにあって何なのか、硬くなるとどうなるのかを見ていきましょう。



腰筋は、腰椎の横から始まり、下腹部の内臓の下を通って、股関節の前にある恥骨の上で交差し、腿の内側で終わります。股関節屈筋のひとつです。腰筋が収縮すると腿が前に動きます。歩くときに毎歩このように動きます。脊髄の軸から垂れている腰筋は、姿勢を保つ重要な筋肉であり様々な動きの調整や安定性を司ります。腰筋が正しく機能していると、動きは滑らかで痛みもありません。しかし、慢性的に短く硬くなると、絶え間ない緊張が股関節の動作範囲を小さくし腰椎を引っ張り、脊椎を圧迫、周りの筋肉を疲労させます。

腰筋が硬くなるのは、ガーデニングなどしゃがんだり前屈することの多い活動など、長時間座るなど腰を曲げる姿勢が原因です。反対に、歩いたり脊柱を立てて行う活動は、腰の前や脊椎を伸ばしストレッチするためしばしば痛みを和らげます。

腰痛を理解する

腰痛を克服するには横隔膜を使った呼吸をすることが重要です。それはなぜでしょう?
それは、腰筋が腰椎で横隔膜腱と重なっているからです。なので、これらの筋肉は深く関係しあいそれぞれの正しい機能に影響しあっています。例えば、硬い腰筋による腰痛はストレスや痛みの悪循環のきっかけとなります。それが横隔膜呼吸を妨げるため、浅い胸式呼吸につながります。この呼吸は非効率的なだけでなく、労力が必要で神経系にストレス信号を送り、筋肉全体の緊張を高めます。呼吸を変えてこのプロセスを逆にしましょう。呼吸がリラックスすると腰筋がリラックスし、そうして神経系もリラックスします。同じように腰筋から緊張が解けると呼吸が楽になります。

精神的なストレスもまた腰筋の状態に直接影響します。筋肉のなかでも、感情反応性においては心臓の次にきます。恐怖を感じると身体が屈むよう腰筋が引っ張られ、恐怖や脅威、失敗、敗北を感じて背中を丸めるように、臓器の反応が姿勢の変化という形で現れます。また、腰筋は、感情的反応や記憶(特に否定的なもの)を細胞レベルでため込みます。否定的な経験はすぐに腰筋を収縮させるだけでなく、それが過ぎた後も長い間収縮したままにしてしまいます。ですから、感情的な緊張状態にあるときはよく腰痛が起こるのは驚くに値しません。感情が腰筋を通して腰痛の原因となるのと同じように、姿勢を矯正するハタヨガの動きは、腰筋の緊張を解くことで深く根付いた感情の悪循環を終わらせることができます。

腰筋は脊椎の両サイドにあるので、腰筋の緊張は様々な形で現れます。片方がもう一方より硬い、脊椎が硬い方に少し曲がる、それがねじりを起こす、それが他の筋肉のけいれんをさせる、そして、椎間板を締め付けて膨張させたり、ヘルニアになったり、椎間板破裂につながることもあります。硬くなった腰筋はまた、骨盤帯の骨を引っ張り仙腸関節のストレスや痛みを起こす可能性があります。

では、ヨガはどのように効くのでしょう?腰筋に集中して行うアサナや呼吸は、この重要な筋肉の緊張を解き、強度や柔軟性のバランスをとることで腰の健康を取り戻します。ヨガはまた、感情的にも身体的にも手放す能力を促し、身体的に頑張っているときでさえ、腰痛を引き起こしている多くの姿勢筋を解放させることができます。

(次回に続きます)

(出典) https://yogainternational.com/article/view/lower-back-blues

2017年2月1日水曜日

グルテンフリーダイエットの危険性 
The Dangers Of A Gluten-Free Diet

Ayurveda Next Door に掲載された記事です。
巷で流行しているグルテンフリーダイエットに対する警鐘が書かれています。
私も日頃グルテンフリーにはなんとなく違和感を感じていたので
こういう研究が発表されるとほっとします。

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グルテン過敏症、セリアック病、小麦アレルギーと診断されていない人の98パーセントにとって、グルテンフリーの食事は実際にはいいどころが害があります。グルテンフリーを取り入れる前にこの記事を読んでください。

グルテンフリーの食事は、悪玉菌を増やし善玉菌を減らす


ある研究で、10人の30歳に一か月グルテンフリーの食事をさせたところ、基礎代謝や食事の摂取量の分析により被験者の内臓の善玉菌が減少していることが示されました。さらに驚くことに悪玉菌が増加していたのです。
その発見を基に、グルテンフリーの食事はそれがたった一か月であっても、体内細菌を変化させ免疫系を損う可能性があり、それは内臓だけでなく末梢血管にまで及ぶと研究者らは結論をだしました。

グルテンは免疫反応を活性化する


9人の健康な人を対象にした別の研究では、そのうち5人に6日間毎日3グラムの濃縮小麦グルテンを与え、4人にグルテンフリーの食事をさせました。グルテンを与えられたグループはNK細胞の活動に著しい増加がみられました。NK細胞(キラー細胞とも呼ばれます)は私たちの身体の前線で防衛システムを構成しているのは大きな意味を持ちます。NK細胞の活動はまた、自己免疫の状態や癌に対する人の重要な働きでもあります。グルテンフリーのグループにはNK細胞活動に活性化は見られませんでした。 


グルテンはコレステロールを下げる


全粒小麦の食事はコレステロール値をさげることを示す多くの研究がありますが、特に小麦の食物繊維がこの効果をもたらすと考えられています。しかしある研究では、食物繊維とグルテンが豊富な食事をしたものは、トリグリセリド値が、食物繊維だけを多く摂った物よりも下がりました。これは、コレステロールを下げ心臓に良いと思われている小麦の繊維ではなく、グルテンがトリグリセリド値を下げた主な原因である可能性を示しているのです。


グルテンフリーの食事は水銀レベルを上げる


最近のある研究では、以下の3つのグループで水銀のレベルを比較しました。
  1. セリアック病でグルテンフリーの食事をしている者
  2. セリアック病でまだグルテンフリーの食事をしていない者
  3. セリアック病でない者
セリアック病患者でグルテンフリーの食事をしているグループは、血液中の有毒な水銀レベルが他のグループよりも4倍も高かったのです。
おわかりのように、食事からグルテンを取り除くのは健康的に思われるでしょうが、思いもしない結果をもたらす可能性があります。
ヨーロッパ、スカンジナビア、オーストラリアなど14か国での1万人以上の成人を対象にした研究では、農場で育った者と郊外や街で育った者を比較しました。農場で育った者は、

  • 他のグループと比較して喘息や花粉症を発症する率が54パーセント低い
  • 鼻アレルギーの率が57パーセント低い
  • 喘息の率が50パーセント低い

農場で育った子供は、ほこりやダニ、呼吸刺激にさらされることが多く、都会の子供よりも白血球をたくさん持っていることを発見しました。免疫系がまさに刺激に反応しているということです。
食事からどちらかといえば消化しにくい食べ物を取り除き消化の刺激を無くしてしまうと、何千年も培ってきた免疫活性刺激をも取り除くことになり得るのです。私たちは、1万年などではなく400万年にわたって小麦や穀物を食べてきたのを覚えていてください。
私たちの総合的な健康や免疫は刺激物や一定の毒によって活性し決まるという理論は「衛生仮説」と呼ばれます。微生物系が発見されてから、この理論は勢いを増し、小麦のように消化に悪い食物は大切な免疫促進になり得るのです。


セリアック病患者のグルテンフリーでの栄養摂取の懸念


セリアック病患者にとって、グルテンフリーの食事は栄養失調や肥満につながります。グルテンフリーの食品はミネラル(鉄など)、ビタミン(葉酸、硝酸チアミンやリボフラビンなど)、食物繊維などが不足しています。
従って、グルテンフリーの食品の栄養価は懸念されてきています。セリアック病の未成年の研究では、グルテンフリー食品を食べていないグループと比較して、グルテンフリーの食事をしている者は栄養のアンバランスや肥満につながるとわかっています。


(出典)http://ayurvedanextdoor.com/dangers-gluten-free-diet/