具体的にどんなポースがいいのか良くないのかについて見ていきましょう。
これらは、骨粗しょう症患者だけでなく、シニアヨガ全般に応用することができるでしょう。
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編集者より:下記のヨガ実践者や教師に向けた一般的な推奨事項です。医師の個人的な助言の代わりにはなりません。
ヨガは骨粗しょう症の治療の一端として効果的でしょう。近年のある研究では、毎日のたった8−10分のヨガで骨密度が増加することがわかっています。
やるべきこと
リーフは、骨粗しょう症のある人がヨガを行うとき、または骨粗しょう症の生徒を教える時は、以下のポーズや動きに注目するよう勧めています。
1. 自然な形の脊椎でのポーズ
骨粗しょう症の生徒は、山のポーズなど脊椎を自然な形にするポーズを中心にし、これらのポーズにおいて脊椎が最適な形をとるようにするべきである。「尾骨を後ろへ十分引いて腰にカーブを作り、頭は両肩の上に来るようにする。重りのついた糸が耳から両肩、腰、足首の方向にぶら下がっているのをイメージする。ほとんどのポーズや流れの中で、この最適な背骨の位置を保つ」
自然なカーブが作れない上背が丸まっている人はどうすればいい?「できるだけ自然にする」
例:山のポーズ、立位の前屈(ストラップを使う)、ロー・ランジ、戦士のポーズ、テーブルトップ、プランクなどは全て背骨が自然な形のポーズである。
2. 伸展を意識する
背骨を自然なあるいは自然に近い形にした後は、伸展をすると良い。というのも「骨粗しょう症では、弱った椎骨が時に骨折した場所で曲がってしまうから」だ。背骨を長くすることで椎骨間の空間を作り、その曲がりを防いだり直したりできる。例: バランスをとりながら、頭の上に乗せた本や水差しなどを上へ持ち上げるイメージをする。
3. 手に荷重をかけるポーズをする
マットに手をつけよう!前述の通り、他のエクササイズに比べヨガが優れている点は、荷重を手にかけることによって脚だけでなく腕の骨密度をも強化することができることだ。例:テーブルトップ、 プランク、上腕のプランク、チャトランガ、上向きのテーブルトップ、下向きの犬のポーズなど
注意:上背が丸い場合はあまり両手に荷重をかけるのは危険です。テーブルトップでは、肩甲骨の間のスペースを凹ませるようにし、可能ならばチャトランガやプランク、ダウンドッグなどのポーズだけに移行するようにする。クロウなど背中を丸めるアームバランスなどは避ける)
4. 優しい後屈をする
骨粗しょう症は多くの場合に胸椎後弯を伴うため、優しい後屈をすることが特に重要。胸椎を内側に戻して胸を持ち上げ、胸椎伸展を向上させる。こうした骨粗しょう症には、優しいものであっても前屈は勧められない(「避けること」の2項を参照)が、優しい後屈には良いものもある。「椎骨の皮質骨の強度により、屈曲よりも伸展の方が安全」とリーフは説く。
(注意:大きな後屈は圧縮するので禁忌である。後述の「避けること」参照)
例:橋、スフィンクス、ベビーコブラ、ラクダ(両手は腰に)、フォームローラーや巻いたブランケット(胸椎の下に水平におく)の上に横たわる、ゆるい後屈など。この後弯症のための練習は、骨粗しょう症患者の多くにとっても安全である。
5. 優しい側屈やツイストをする
「様々な背骨の動きは、椎骨の健康や強度を維持するのに重要だ」が、背中を丸めるポーズは避けるべきである。これらの様々な動きには優しい側屈やツイストを含み、「骨粗しょう症に関連した骨折の危険を避けながら脊椎の柔軟性を最大に維持することができる」
しかし、どのくらいまですればいいのか?「胴が可動域の限界に遠ければ遠いほど負担は軽くなる」リーフは、背骨の長さが変わらないところまでを勧めている。
側屈の場合、曲げている方の腰が倒れてしまわないところまでにしておく。ツイストでは、腰にやや内向きのカーブが残っているところまでにする。
例:立位からあるいはランジから数度だけ横に曲げる。リバース・ウォリアーや門のポーズ、横たわったバナナサナなど。両脚を横に振る「フロントガラスのワイパー」のように横たわって優しいツイストを楽しむ。そして、もっと強いツイストをする際は、背骨をまっすぐにしたまま(丸めない)ほんの少しだけツイストする。
6. ポーズの移行はゆっくりと
例:半分の前屈のような位置からはゆっくりと起き上がる(膝を曲げ、肘を膝において椅子のポーズのようにして山のポーズまで起き上がる)ようにし、頭が急に動いて転倒するリスクを下げる。ウォリアーIや三日月のポーズのように片足を下げるポーズの際は、前の足が必ずしっかり着地していることを確認する。7. 安定を保ったままバランスに挑戦する
骨粗しょう症の生徒にとって転倒は骨折を意味することになるので、ヨガクラスのバランスポーズは不可欠である。しかし、転倒を避けるため、まずはサポートをしっかり作ってからバランスに挑むべきである。例えば、立位のバランスポーズでは、手を壁について安定させるか、足を上げる前に安定できるまでつま先をマットにつけておく。「『完全な』ポーズをしなくても、バランスや調整力は向上することができる」
例:
• ウォリアーIIIでは、後ろのつま先(あるいは後ろ足の指の付け根)をまず地面につけ、立つ方の脚へと体重を移していく。(ここで無理だと思わなければ後ろのつま先を軽くする)
• 立位のつま先を持つポーズを練習するときは、上げる足を壁につけるか、膝を曲げて足を椅子の上におく。(ここで無理だと思わなければ足を軽くする)
• 壁に手をついてきのポーズを練習する。安定したと感じられたら壁の手を徐々に軽くしていく。
8. そして、少し荷重をかける
もっと強いポーズに挑戦するよりも、手や足首に軽いウェイトを使って簡単なポーズを続ける。バードドッグ(四つん這いから手足を伸ばす)のようなポーズが快適に行えるようになると、大きな後屈などのポーズをしたいと思うようになるかもしれない。(後ろの膝を曲げて足首を体の後ろで持ち上げるなど)
それよりも、前の手や後ろの足首にウェイトをつけて持ち上げる方が良い。「疲れずに10-12回続けられる程度の重さのウェイトにする。おそらく0.5-1kg程度だろう」
例:ウェイトを持った腕を椅子のポーズで頭上にあげる、またはウォリアーIIで横に開く。また、ウォリアーIIIなど片足のバランスポーズで、アンクル・ウェイトを持ち上げる方の足首に巻きつける。
避けるべきこと
リーフによれば、骨粗しょう症のヨガの生徒にとって必要なのは、過度に大きく動かすことだと言います。下記は彼が避けるべきだというポーズや練習です。
1. 腹筋運動はしない
腰を支持するのに強いコアは重要だが「これらのポーズは負荷のかかった腰の屈曲が必要だ。上半身の荷重を支えながら腰に大きな負担をかけると、胸や腰の椎骨が骨折する可能性がある」代替案: 背骨がまっすぐなポーズで吐く息と供に腹部を入れたり引き上げることでコアの安定性に働きかける。横たわり背骨を自然な状態にしたまま、上体でなく両脚をあげたり下げたりする。
2. 実は、脊柱屈曲(背中を丸める)のポーズは全てよくない
骨粗しょう症の生徒は、腹筋運動だけでなく脊柱屈曲が必要なポーズ全てが、腰にストレスを与えるので避けるべきだ。つまり、優しいものであっても前屈はしない。横たわって膝を抱えるのも、アパナサナやハッピーベイビーもだ。どんなに強いヨガの生徒でもうまくやるには難しい動きであるロールアップして立ち上がることは、骨粗しょう症の人は絶対に避けるべきだ。
代替案:ウッターナサナ(立位の前屈)をやめて アルダ・ウッターナサナ(半分の立位前屈)にする。この「背中をフラットにするポーズ」では、両手をブロックや椅子の座面、壁に置いたりして、背骨の最適な形を維持する。
パスチモッターナサナなどの前屈よりは、ダンダーサナのように垂直のポーズを選ぶこと(胸をあげ腰を腹部側にカーブさせるため必要なら横たわる)。
ハムストリングスをストレッチするには、前屈を深めるより、横たわり足にストラップをかけて足の親指を掴むポーズを練習しよう。これらのポーズでは、背骨をニュートラルにして伸ばし続けることに集中する。
3. 強い後屈は行わない
前述のように優しい後屈が骨粗しょう症の生徒にも可能な一方で、上むきの犬、車輪、弓、かかとに手をおくラクダなどの大きな後屈は圧迫し危険だ。リーフによれば、「骨粗しょう症が進んだ上体では、胸椎が椎骨の中で最も危険な場所だ。そこは背骨が曲がる際だけでなく伸展(後屈)においても最もストレスのかかる場所だからだ」代替案:「やるべきこと」のリストに勧められている優しい後屈を守る。
4.強い側屈やツイストはしない
「胴の回転は脊柱にねじりのストレスをかける。椎間板や椎骨が最もストレスを受けるのは、曲げた上体で大きく捻った時。泥や雪をショベルで掻き出す動きを想像してほしい。そういう時によく背骨は傷つきやすい」つまり、深い椅子のポーズでツイストしたり、マリチアサナで肘を腿の外側に置いたりするのはダメだということだ。強い側屈(例えばパリガサナやリバースウォリアーで手を脛へ伸ばす)では、ツイストの要素が加わり圧迫されることもある。
代替案:「やるべきこと」のリストに勧められている優しいツイストや側屈を守る。
5. 逆転の練習を始めない
骨密度が低いと診断されても、ずっと周期的に逆転を練習してきた人や、ポーズの中で背骨をまっすぐ保っていられる人ならば、ヘッドスタンドやショルダースタンド、ハンドスタンドなどの逆転の練習を安全に行うことができるかもしれないが、まず医師の判断を仰ぐ方が賢明だろう。もし逆転の練習の許可を得たとしても、骨粗しょう症ならば転倒の危険を最小限にするため壁の前で行うべきだ。
今までそうした練習をしてこなかった人が骨粗しょう症と診断されたのなら、それは練習を始めるタイミングではない。「弱って密度が低くなった椎骨は、逆転での圧迫に耐えられない。頚椎の湾曲が無くなっていたら尚更だ」
代替案:逆転で得られる循環やエネルギッシュな効果のためには、下向きの犬や橋、壁に両脚をあげるポーズなど優しい逆転を行う。
6. ペースの速い、競争的なクラスは出ない
何を急ぐと言うのですか?全てではないけれど、ビンヤサフローやパワーヨガのクラスはポーズの移行が速いことが多いのですが、骨粗しょう症の生徒にとって安定性が欠かせません。バランスを崩しかねないほど速く動くことを勧めるクラスや先生は避けましょう。代替案:ハタ、アイアンガー、優しいリストラティブや陰ヨガなど、アライメントを重視したクラスを選ぶ。
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