2018年2月12日月曜日

脚を活性させてミスアライメントを修正しよう Vol.1 
A Leg-Activating Sequence to Address Common Misalignments

人間の体というのは全体でうまく機能していて、ひとつの動作を行うにもいろんな筋肉や組織が一緒になって動いてくれるのですが、逆にその一部が不具合を起こすと全体に響いたりもします。今回は下半身の痛みに関する記事です。
長いので3回に分けました。実践方法はvol.2、vol.3をご覧ください。
----------------------------------------------

外反母趾、膝痛、腰の痛みは関連しているのか?


注意:以下の助言はヨガの実践者や指導者への一般的な勧めです。医師の個人的な助言の替わりにはになりません。


Q: 以下は体のあちこちの全く別の症状に見えるけれど、共通点は?

1. 腱膜瘤:足の親指の付け根の骨が大きくなり、他の指の方に曲がる。
2. 足底筋膜炎:足の土踏まずにある組織、足底筋膜の炎症、あるいは微小な裂傷。
3. 膝蓋大腿疼痛症候群: 痛みや音を伴う膝蓋下の軟骨の損傷。
4. 股関節滑液包炎: 球窩関節の衝撃を緩衝している液包の炎症。

A: 「これらの症状は、同じ姿勢のアンバランスが原因です。」
The Back Pain Secret: The Real Cause of Women's Back Pain and How to Treat It, の著者である理学療法士のビル・リーフは言います。「例えば、骨盤の過度の前傾、腿の内旋、膝の過伸展、トラッキングの不具合、足の過回内(足首が内に倒れ土踏まずが平らになる)などです。こうしたパターンによって、腰、膝、足に症状が現れ、同時に何箇所も起こることも少なくありません」

一般的な言葉ではこの姿勢は「X脚」と言われますが、外反膝という膝が近づく症状はくる病など深刻な問題からくることが多く、理学療法やヨガが対応できる範囲を超えているためリーフは使いません。理学療法士が、このパターンの一部である軽いX脚らしいものと呼ぶのは、膝蓋(膝頭)の引きを測定する「Q角度」、つまり大腿四頭筋の角度が大きくなることでより正確にわかります。下図のように、このQ角度はASIS(上前腸骨棘)から膝蓋の中心の線で測ります。






もし、自分の膝がXっぽいと気づいたら、つまり中指ではなく親指の方向を向いていたら、比較的大きなQ角度だということです。ヨガのポーズの特にスクワットのように膝を大きく開くものは、あなたにとって膝を中指に向けるのが難しいかもしれません。


大きいQ角度の問題点


「Q角度が大きいと、内転筋が硬くなり、それが腰を引っ張って腸脛靭帯あたりの緊張と股関節滑液包炎を起こす可能性があります」リーフは、こうした緊張によって膝頭が異常な向きになりがちだと説明しています。「内転筋が緊張すると膝で腿が内に引っ張られ、内側広筋斜頭(VMO)が弱いと他の四頭筋によって膝蓋が外に動きます。これが膝関節の前を通る膝蓋下の軟骨の微小外傷を引き起こし、ランナーズ・ニー、膝蓋軟骨軟化症、膝前部痛、膝蓋大腿関節症候群などと呼ばれる膝蓋大腿疼痛症候群(PFPS)に繋がります」

このパターンに関連する痛みは、膝の前に起こり、時には異音がします。「捻髪音」とよばれるコツコツという異音は、時間とともに、膝蓋裏面がでこぼこになることで、膝を動かすたびに起こることもあります」

「また、Q角度が大きいと、足の過回内になりやすくなります」この正常以上に大きなQ角度は、運動連鎖や筋動作に影響したりします。特に広い骨盤が過剰に前傾していると、腿の内旋を促し、脛骨の内旋、そして足の過回内を起こします。「足首が内に傾いてアーチがなくなると、足の母指球に過剰な荷重がかかり、 腱膜瘤を起こします。土踏まずがなくなるとまた、足底筋膜の過伸展と微小外傷を起こします」(注意:足の外側に体重がかかり足首が外向きに傾く過回外もまた足底筋膜炎につながります)

けれど、リーフによれば、ミスアライメントのドミノのような連続は逆にもなります。「連鎖のどこからでも問題は起こります。例えば、過回外が脛骨を内旋し、そして大腿骨、そしてQ角度を大きくするというように」

上記の足、膝、腰の問題の多くは主に女性に起こりやすく、つまりQ角度も大きくなりやすいのですが、女性の方が骨盤が広いので膝が近づきやすいからなのです。

Q角度が「正常」か「異常」かには、医学界でも意見の相違があり、男性で14度以上なら異常とするものと、20度なら完全に異常だとするものがあります。しかし、様々な研究で10度から22度の範囲なら正常であるとする意見もあります。リーフによれば「男性で14度あたり、女性で17度くらい。大抵の場合、問題が起こるのは17度以上の場合で、それもランニングや階段昇降など繰り返す動きがなければ症状がでない場合が多いです。地面に足をつける回数が多いほど、その力が強いほど、症状がでやすいのです」

一般的なミスアライメントの連鎖


このミスアライメントのパターンは箇所ごとに対処されることが多いので、症状が出やすいのです。例えば、他の記事で、足底筋膜炎と腱膜瘤についての練習法を書きましたが、医師や理学療法士は、膝は膝で、腰痛は腰で対処することがほとんどです。これはリーフが「火をつける」というところの、すぐにわかる場所での症状に対応する方法論です。しかし、火が消されたところで、そもそも火をつけたもとと、その火が起こした広い範囲の影響を見る方が納得できます。大きなQ角度に原因があったり、角度を大きくしたりする筋肉のアンバランスに対応する総合的な練習であるべきです。これらは、火事防止と回復のアプローチなのです。

「もしQ角度が大きければ、ふくらはぎ(腓腹筋とヒラメ筋)が硬いかもしれません。それは足の過回内が膝を内側に引いているのが原因かもしれません。内腿にある腿の内転筋(腸骨筋、腰筋、大腿四頭筋)がおそらく硬く、それはQ角度が大きくそれらの筋肉が短くなっているからです。内転筋が硬いと膝が内に引かれ、それは特に脚を大きく開いた時に出ます。大腿四頭筋が全て弱く、Q角度が大きいという力学的に不利な状態にあると、膝の向きをコントロールするのは難しいでしょう」

それが全てではありません。大きいQ角度と臀筋、腰、コアとの関係性はおそらく「股関節を伸展させる大臀筋と中臀筋、股関節を外転、外旋させる腿の外側の筋肉である内外閉鎖筋、大腿方形筋、梨状筋、双子筋、小臀筋(骨盤の安定と膝蓋の正しい方向付けに重要な筋肉)が、おそらく弱く、大きいQ角度のせいで伸びてしまっています。骨盤の前傾を効果的に中和するはずのコアの筋肉もまた弱いのでしょう」



結論


「もっとも包括的にこの姿勢のアンバランスに対処するには、ふくらはぎと腿の内側をストレッチし、膝周りの筋肉や腿、臀筋、コアを強化しなければなりません」リーフはそう総括します。

以下の(次回)勢いのある練習はこうしたエリアを対象にしています。Q角度というのは、おそらくどんなエクササイズでも永久に変化しないであろう構造的なものであるため(少なくとも成人では。成長過程にある子供や青年の骨は変化する可能性は大いにある)、これらを一所懸命練習することでQ角度の悪化(筋肉のアンバランスに気づかなければそうなりえる)を防ぎ、このアンバランスから出る症状を緩和できるでしょう。

そうした練習で、膝を脆くするような動きでのQ角度を一時的に変えることも可能かもしれません。例えば、ヨガのポーズで膝を足の中線に向けるとか、そのアライメントをポーズの間維持するとか。ヨガでは動きの広い可動域が必要になるため、膝の向きを正しくすることが特に重要だとリーフは言います。「膝頭の動きが大きければ大きいほど、痛みと捻髪音は起きやすいでしょう。スクワットやウォリアーI 、ウォリアーIIなどのポーズをするときに必要な角度に膝を曲げる時は、膝蓋骨はかなり動きます」

リーフによれば、ヨガの強化や柔軟性の向上、マインドフルネスで膝蓋骨の向きをよくすることができれば、時間が経つにつれ、その気づきとコントロールを日々の生活の動きにも応用することができ、歩く、走る、階段を昇り降りする、跪くなどの活動の際にうまく膝の向きを正すことができるようになるでしょう。

(次回に続きます)


(出展)https://yogainternational.com/article/view/leg-sequence

0 件のコメント:

コメントを投稿