2018年5月24日木曜日

ゆっくりした呼吸と落ち着きの関係性 研究で明らかに 
Study shows how slow breathing induces tranquility

今回はスタンフォード大学の研究からです。
なんだか小難しいことが書かれていますが、呼吸をゆっくりにすると精神的に落ち着くメカ二ズムが科学的に証明されてきているということです。今まで、経験的に理解されてきていることも実際にどのような働きをしているのかを探求するその努力には驚かされます。きっとこうした研究が、病気を直したり予防したりすることに役だっていくのでしょう。
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スタンフォードの科学者らが、脳の呼吸中枢内にある脳全体の興奮を引き起こしている組織と行動の伝達を行なっているニューロンの小さなグループを特定した。

試してみよう。ゆっくり滑らかに呼吸しよう。穏やかな感覚が広がるはずだ。次は早く慌ただしく呼吸してみよう。緊張感が高まってくる。なぜだろう?

これまでは、科学では答えることのできなかった問題だ。

スタンフォード大学医学部の新しい研究では、呼吸を心の状態に繋げる一塊りの神経細胞が脳幹で確認された。

この発見を伝える論文は3月31日のサイエンス誌で公表された。生化学教授であるマーク・クラスノウ医学博士(PhD)が責任者である。主著者は、スタンフォード大学院を卒業し現在カルフォルニア大学サンフランシスコ校の学部員であるケヴィン・ヤックル医学博士(PhD)である。

医師らは、ストレス障害の患者に呼吸コントロールのエクササイズを処方することがある。同様に、プラナヤマ、つまり興奮して自制心を失った状態から意識をより瞑想的なものへと変えるために呼吸をコントロールすることの練習は、事実上全てのヨガの中心的なものだ。

「この研究のおもしろいところは、それがどう機能しているのかを細胞レベル、分子レベルで理解することができることだ」クラスノウは言う。


ニューロンの微小な塊


呼吸を弛緩、注意、興奮、不安などと繋げるニューロンの微小な塊が脳幹の深部に存在する。クラスノウが呼吸のペースメーカーと呼ぶエリアにあるこの塊は、UCLAの神経生物学教授であるジャック。フェルドマン博士らの研究によりマウスで発見され、その発見は1991年に発表されている。それ以降、同じような組織が人間にも確認されてきた。

「呼吸のペースメーカーは、ある意味で、心臓のペースメーカーよりもタフな仕事をしている」ハワード・ヒュー医学研究所の研究者でもあるクラスノウは述べている。「心臓の一元的で緩急の連続とは異なり、呼吸には多くの全く異なったタイプがある。規則的なもの、興奮、ため息、あくび、息を飲む、眠る、笑う、泣くなど。私たちは、呼吸中枢の異なったニューロンがこれらの異なる呼吸を作り出しているのではないかと考えた」

その直感で、ヤックルは呼吸中枢があるマウスの脳幹の一部を特定的に活性化させる遺伝子のリストを集めるため、公のデータベースを詳しく調べた。この中枢の専門用語は、プレベツィンガーコンプレックス、あるいはプレベットCという。

彼は、こうした遺伝子の多くを正確に捉え、60種以上の異なるニューロンのサブタイプを特定することに成功、遺伝子の特徴によって物理的に特定した。これらの遺伝子とそのレシピであるタンパク質を、様々なサブタイプに照準をあてるマーカーとして使用できたのだ。


ニューロンの破壊


今や、科学者は実験マウスで各ニューロンの役割を体系的に評価できる。技術の進歩によって、活性遺伝子の特徴を元にこれらのサブタイプを選別的にひとつだけ壊すことも可能だ。そしてこうしたサブタイプの欠如が動物の呼吸にどう影響するのかを観察した。2016年、フェルドマンとのコラボレーションで、「ため息」というある呼吸だけをコントロールしているプレベットCのニューロンを取り出すことに成功した。これを破壊することでため息が消滅したがその他の呼吸には影響がなかった。この発見は2016年のNature誌に発表された。



(出典)https://med.stanford.edu/news/all-news/2017/03/study-discovers-how-slow-breathing-induces-tranquility.html

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