ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヨガは慢性疼痛と逆の効果を脳に与える
慢性疼痛は脳の構造の変化させるきっかけとなり、鬱や不安、認知機能障害などに繋がる。ヨガは逆の効果を脳に与え、慢性疼痛を解消する可能性があるという新しい研究がある。
慢性疼痛は脳の構造を変えてしまう。脳画像診断の研究では、脳の灰白質の量そして白質の相互関係を変えてしまうことを示している。灰白質には特定の脳領域ニューロンが集まっており、白室は様々な脳領域間の伝達ラインを形成している。
2015年5月にパームスプリングスで行われた「American Pain Society」年次会議で、「慢性疼痛の長期的結果に対する環境の影響」という講義が行われ、国立衛生研究所のM・キャサリン・ブッシュネルが慢性疼痛を緩和するヨガの効能についての最新研究レポートを発表した。
米国立衛生研究所(NIH)にある国立代替統合医療センター(NCCIH)の科学責任者であるキャサリン・ブッシュネル博士は、痛みを知覚、緩和、管理する脳の役割についてのプログラムを監督している。プレスリリースでは、「ヨガは慢性疼痛と逆の影響を脳に与える」と研究結果をまとめている。
ブッシュウェルと彼女の同僚たちは、薬物以外の痛みの治療法の発見を目的とした研究を行なっている。慢性疼痛は「精神と体の訓練」を通して防止、後退させることができることを彼らは発見している。ヨガの練習や瞑想などのライフスタイルが、痛覚を減少させ、加齢による灰白質量の減少を抑える効果を示す一方で、白質の質を保つのに役立つこともわかっている。
灰白質量の減少は、記憶障害、感情の問題、認知機能減少などを引き起こす。否定的感情や痛覚に関連する脳領域間の白質束が極度に結合することによって、対応する精神状態に物理的に結合してしまう可能性があるのだ。
研究者らは、拡散テンソル画像を使用し脳の灰白質量と白質束結合を分析した。ブッシュネルは、人の脳の痛みに対する耐性と限界の変化について最重要要素なのはおそらく島皮質の増加量と結合だろうと仮定している。
ヨガは、神経発生を通した灰白質の増加させ、神経可塑性を通した白質結合を強化するようである。痛み減少の脳への影響を評価し、島皮質や大脳皮質の内部組織での灰白質の変化が慢性疼痛に対し最も重要な役割を果たしているとブッシュネルは考えている。
「島皮質の灰白質のサイズは痛み耐性に関係しており、島皮質灰白質の増加はヨガの実践によって得ることができる」とブッシュネルは言う。彼女によれば、痛みの調整に関連するものなど複数の脳領域で、ヨガの実践者にはコントロール・グループよりも多くの灰白質があるという。
脳形態の変化は、気分障害や慢性疼痛の他の感情に関する認識共存疾患と関連する可能性がある。慢性疼痛の人々にとって朗報なのは、「精神と肉体」の訓練に灰白質を保護する効果があり、それが慢性疼痛の神経解剖学的影響を中和するかもしれないということだ。あるヨギたちの灰白質の増加がヨガの経験の長さに比例していることは、ヨガと灰白質増加の間に因果関係があることを示唆している。齧歯類の研究では、ストレスレベルが増加すると疼痛顕示行為に変化がみられ、反対に社会的および身体的によい環境が痛みに関連する脳の変化を減少させることがわかっている。これらの動物と人間両方に見られる結果が示すのは、慢性疼痛は、脳内の痛み調整システムを向上する環境要素の変更やライフスタイルにより緩和し防止することができるということだ。
ヨガは灰白質量を増加し白質を結合する
ブッシュネルはシャンタル・ヴィルムルとともにヨガの慢性疼痛への効果を研究してきた。彼らの最近の研究では、少なくとも6年ヨガを日常的に実践しているヨギたちと、ヨガはしてないが年齢、性別、学歴、他の運動など同じ条件の健康な人々と比較した。
ブッシュネルとヴィルムルは、一般の人とヨガ実践者たちの間に灰白質と白質に大きな違いがあることを発見した。ブッシュネルはこう説明する。
「脳解剖学研究からヨガの実践者は多くの領域で灰白質が多いことがわかりました。年をとると灰白質は減少しますが、ヨガ実践者にはそれが見られず、ヨガに神経保護効果があることを示唆しています。ヨガ実践者には痛み耐性に著しい増加がみられ、そして痛みの閾値にも変化がありました」
ヴィルムルの理論では、ヨガの効果の多くは、慢性疼痛に関係のある自律神経とストレス軽減に関連している可能性がある。自律神経には、交感神経系と副交感神経系の2つがある。ヴィルムルはまた、ヨガ実践者がどのように痛みの予兆に対処する異なった方法を持つのかについて詳しく調べている。
痛みを感じている時は、大抵の場合、交感神経系の「戦うか逃げるか」の反応を引き起こしコルチゾールのレベルが急上昇する。反対に、ヨギが痛みを予感した時には副交感神経系が活性化することをヴィルムルは観察している。これが、「戦うか逃げるか」反応とは反対の「優しく接する」「休んで消化する」反応を作り出すのだ。
結論:ヨガは慢性疼痛のための薬を使わない治療として有効な選択である
慢性疼痛の薬物療法の多くは、オピオイド系であり中毒性が高い。幸運なことに、ヨガや瞑想などの薬物以外の方法が、痛みの緩和という面で脳に対して効果があることがわかってきた。長期的に見れば、ヨガなど痛みの代替療法は、慢性疼痛にとって薬物治療よりも効果的である可能性があるのだ。
(出典)https://www.psychologytoday.com/intl/blog/the-athletes-way/201505/how-does-yoga-relieve-chronic-pain
0 件のコメント:
コメントを投稿