2019年4月2日火曜日

多忙すぎる?自分の生き方を創造するヒント Vol.2
Crazy Busy? Tips to Create the Life You Want


前回からの続きです。
著者のおかしな造語が続きます。
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ゲメルマーチ(Gemmelsmerch)


1981年から、僕は精神科医として注意欠陥障害を治療してきた。90年代半ばには、慢性的に不注意で、秩序を欠き、予定を入れすぎていると言ってやって来る人の数が急激に増えた。遺伝的な注意欠陥障害症状のある人も確かにいたが、ほとんどはそうではなかった。環境によって現れたものにすぎない。 「ゲメルマーチ(訳注:ゲメルは米国の白人の中で最多の苗字)」と僕が名付けたのは、心を乱したり、やりたいことややらなければならない事から気をそらさせたりする力のことだ。それは重力のようにどこにでもありパワフルだ。


高速道路の事故はゲメルマーチの宝庫だ、速度を落としてぼおっとするしかない。窓の外の掘削機もゲメルマーチだらけ。税務署から監査が入るという知らせもゲメルマーチ。ラジオから聞こえる怒りの喚き声もそうだ。テレビ番組(画面に映るもののほとんど)がゲメルマーチにあふれている。


ヒント:周囲からゲメルマーチを減らし、その引き寄せにどうやって抵抗すればいいのかを身につけるのはとても重要な現代のサバイバル技術だ。以下は、日々の原因の例とそれをどうコントロールしたり消したりできるかだ。

先延ばしにしたいと思っている重要な仕事があるが、故障したコンピューターの修理にこれから3時間をかける。まず重要な仕事をやろう。今やる事を書いたカードを目につくところに置いておくといい。ゲメルマーチは、綺麗なビーチの沖にある強い波のようなものだ。注意していないと、そっちに泳いでいってしまって帰って来られなくなる。

開けてくれと待っているメール。メールを開ける時間を決めてそれに従おう。開封前のメールはゲメルマーチにあふれているので、他の部屋でした方がいいかもしれない。

電話や携帯電話。電源を切ろう。電話を取る時間を制限する。例えば、僕らの小児科医は毎朝電話を受ける時間を作っている。その他の時間は、緊急のものしか取らない。本当にいつもいつも電話を取りたいのか考えてみよう。ドアが開いていると人は入って来るものだ。邪魔をされたくない時はドアを閉めよう。「仕事中。○時に戻ります」と張り紙をしておこう。

今やっていることが困難になったり退屈になった時に手招きして来る「タスク一覧」の項目。休憩を取る時間だと考えよう。立ち上がり、ちょっとした短時間の体操をし、コップ一杯の水を飲み、3分間瞑想し、そしてやっていたことに戻るのだ。やっていたことを止めてしまわないようにしよう。

仕事中に浮かんでくる新しいアイデア。メモをいつも近くに置いておこう。素晴らしいアイデアや忘れなくないちょっとしたこと(帰りに牛乳を買うとか)をメモしておいて、仕事に戻ろう。

メール、とジャンクな時間。期限のある重要な連絡書をさあ書こうと机に向かう。コンピューターを起動したら、ワープロのプログラムを立ち上げないでまずメールをチェックするのだが、結局そのまま45分間。このジャンクな時間(大事な仕事を放ったらかしでドリトスを口に掻き込むのに匹敵するような無駄な時間)を最小限にしたいなら、(前回の)「スクリーン・サッキング」のヒントを見てみよう。




モーニング爆発(Morning Burst)


1日の内、気分が最も爽やかで、最も集中し明瞭に考えられて、面倒なことも新しい仕事も一番気にならなくて、ひとつの仕事に全てを集中できる時間だ。ほとんどの人にとってそれは朝なので、この名前をつけた。それ以外の人にとっては、昼間だったり夕方だったりするかもしれない。


ヒント:自分の「モーニング爆発」がいつやってくるかを知り、その時間を有効に使って最も重要で最も困難なことをやろう。




情報中毒(Info-Addict)


いつの時代も情報に飢えている人はいるものだが、今ほど情報があふれていることはない。CNNやインターネット、新聞にラジオ、書籍と呼ばれる遺物などなど、情報が途切れたとたん僕らは飢えを感じる。

新しいことは何なのか、最近何があったのか、今は何なのかを知りたくて、人は毎秒何が起こっているのかを追うのに中毒になり、面白いものを選択する判断を完全に他人に頼っている。しばらくすると、情報中毒者の人生には、他人が決めて起こっていること以外は世の中に何も起こらなくなる。

現代社会の矛盾は他にもあり、情報中毒者は、他の人の最新情報を追うのに忙しすぎて、自分の力を発揮する能力を失う可能性がある。



フラジング(Frazzing)


非効率な複数作業(マルチタスク)のこと。マルチタスクという言葉はそもそも、タイピングをしているキーストローク間のマイクロ秒にコンピューターがすることを表現したものだ。ほとんどの人にとって、マルチタスクは楽しいし必要な時もある。しかし、ひとつのことに専念している時ほど効率的で効果的なことはほとんどない。

フラジングは僕らがよくすることだ。慌ててマルチタスクし、大事な情報を逃し、無礼になり、最良の仕事ができない。なぜなら、脳の活動は同時に起こっているように見えているが、実はその注意をあっちからこっちへと素早く移動させているからだ。


ヒント:脳というのは、複数作業としようとしていることのたったひとつに対しても、一度にひとつのことをしている時のようには能率的に働かないということを覚えておこう。




ザ・メガロクトパス(The Megaloctopus)


この獣は毎日あなたにつきまとう。どこに行っても、メガロクトパスはその触手を伸ばし、あなたを捕まえてやろうとしていることをさせてくれない。メガロクトパスの次のようなものでできている。あなたの時間を欲しがる全ての人たち、やることになっている全ての課題、行くことになっている全ての場所、逃すことのできない全ての機会、抗おうとしている全ての誘惑、今までになかったほどの全ての希望や恐怖。つまり、どこからともなく現れて、今、この時に終わらせようとしている課題からあなたを遠ざけようとしているもの全てだ。


ヒント:メガロクトパスをやっつける最良の方法は、そいつがそこにいることを知ることだ。あなたが頼まれたことを全てやらなければならないという考えの罠にハマっちゃいけない。メガロクトパスは、あなたのその考え次第なのだ。「やめろ!」とか「十分だ!」と言う練習をしよう。あなたが出来ることしか出来ないし、適切に出来る量よりもっともっと必死でそこに詰め込もうとしなければ、出来ることももっと効果的にすることができるはず。触手があなたをからめとろうとし始めたら、そいつらを切ってしまおう。




ピズり(Pizzled)


「ピズる」とは「いらつく(pissed-off)」と「困る(puzzled)」を組み合わせた言葉で、一緒に歩いているときや、一緒に食事をしているとき、会ったり、車に乗っているときとか、とにかく何かを一緒にしているときに、承諾を得るでもなく何か説明するでもなく携帯電話を持ち出し、電話をかけたり電話に出たりされた時の感情を表す。隣のテーブル、ブース、椅子にいる人が同じことをしていると同じような感情が湧き上がる。ピズりが重なってくるとすぐに怒りが爆発する。


ヒント:現代社会が発達すると、そんな状況へのエチケットというものを僕らは作り上げるが、まだどうするべきか明確ではない。誰かと一緒にいる時に携帯に答えるのは、教会でタバコに火を付けるくらい失礼にもなり得る。それとも、便利であることの方が重要で、電話が鳴って相手が大事な仕事を処理している間は、黙って待つのが礼儀になるのかもしれない。




忘れんぼ熱と失くしっぺ(Fuhgeddomania and Loseophilia)


人は常に、物忘れや物を失くしてしまう問題と闘っているものだが、最近は情報がどんどん溢れて流れ込んでくるので、みんな早期のアルツハイマーなんじゃないかと考えてしまうほど問題が増えてしまっている。覚えていたり処理したりしなければならない事柄やデータの量は、これまでにないほど膨れ上がっている。神経的な問題に起因する物忘れに見えているのは実は「忘れんぼ熱」であって、データが多すぎて起こる物忘れにすぎない。よく物を無くすように見えているのは、通常の人間が対処できるよりずっと多くのことから目を離さないでおく結果なのだ。


ヒント:ひとつの解決法としては、覚えておくことや整理することを、できることなら誰かにやってもらうこと、そしてリストやメモ、ファイル、コンピューターのプログラムなどを使う。使い終わったらいつもそれを同じ場所に置くことにすれば、失くしっぺ問題の解決に役立つだろう。そして、もう一度言う、覚えておくものや気にかけておくものの量に限界を決めておくというのはいいことだ。




人との繋がりを大事にする(Treasuring the Human Connection)


人との時間というのは、2人以上の人間が直接会ってお互いに繋がることだ。他の人にかこまれてショッピング・モールでうろつき回るのは、人との時間とは言えない。電子の時間は、電話や携帯、メールなどを通して会うものだ。過去10年で、人との時間は徐々に電子の時間にとって変わってきていて、他人の身体的な存在を感じる時間はとても少なく鳴った。

電子の時間は、データをやりとりするには効率的だし素晴らしい。けれど人との時間はもっと多くの情報を伝える。声のトーンやボディ・ランゲージ、顔の表情、そして言葉に出さないサインなんかは、人のコミュニケーションや繋がりに不可欠な部分をつくりあげている。感情がより現れるようになれば、人との時間をもつ方がよい。家族と夕飯を共にするとか、ライブ・ミーティングとか、直接顔を合わせる会話とか。


今の社会で充実して生きるには、結局のところシステムをよくすることではなく(それがとても役に立つとしても)、僕らが大切にしている物への繋がりが何なのかを理解し、そしてそれを大事にして守るという能力なのだ。人々や場所、活動、ペット、精神的な活動、音楽、そして僕らにとって大切に思う物。あまりにも多くの繋がりがありすぎると、どれも成り立たなくなる。大切なものを選んでそれを心から育もう。意識して慎重に時間を取り、家族との夕食や友達とのランチ、エクササイズや好きな楽器の演奏や、子供の発表会に行ったり、庭の草むしりをしたりする。そうすることで、前向きの感情を育むことができ、自分が望む人生を作り上げる方へとあなたの時間や関心やエネルギーを向けられるようになるのだ。







エドワード・M・ハローウェル:医師、精神科医、注意欠陥障害専門家、ベストセラー「Driven to Distraction」の共著者 (drhallowell.com)。

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