2019年12月2日月曜日

ダウンドッグに関する7つの勘違い 
7 COMMON MISCONCEPTIONS ABOUT DOWN DOG

ヨガをやっていたら一度は必ず行うであろうダウンドッグのポーズ。
いつまでたってもうまくできない、脚が伸びないと悩む方の少なくはないでしょう。
今回はYoga International の記事から、ダウンドッグに関する誤解についてです。
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私がヨガスタジオに初めて足を踏み入れる前のこと、大学にいつもウォームアップで「ダウンワード・フェイシング。ドッグ」と叫んでいたダンスの先生がいました。そのダンスクラスにヨガを実践している人はほとんどいなかったにもかかわらず、先生が何を言っているのかは理解していました。義務的にプランクポーズや四つ這いから後ろに下がり、かかとを床へ胸を腿に押し込んでいました。ダンスの先生が実際ダウンドッグを教えていたのかは覚えていません。必要もありませんでした、それはダイナミックな、流れるようなウォームアップだったのです。そして、ヨガや様々なメディアでもこのヨガポーズがよく知られているおかげで、先生がそう言った時に何を言っているのかを誰もがわかっていたのです。


それから10年、ダウンドッグはもっと広く知られるようになりました。しかしダウンドッグが広まるにつれ、理想的なアド・ムカ・シュヴァナーサナがどう見えるべきかについていくつかの俗説も広まりました。残念ながらこれらの多くは、実際的に安全で機能的、個々人の体それぞれに合ったものというよりは、「ヨガの体型」がどんな風で何ができるかというような不健康で排他的なステレオタイプに根付いています。


ダンスをしていた時から、私はとても多くのダウンドッグを行ってきましたし、私のヨガの生徒がダウンドッグをしているのもたくさん見てきました。そして気づいたのは、このポーズを練習する「理想的な」方法はないということ。そうです、多くの場合に多くの人にとって、より安全で効果的、快適なダウンドッグを行えるような一般的な指示やアライメントの指導はあります。しかし、これは体のための理想というより、よくある誤解の仮面をはぐのに焦点が合わせられています。しかし、私が以前出していた指示、自分の練習を他人に当て嵌めようとしていたものは、理想的なダウンドッグという誤解に基づいています。これは、安全面や練習の楽しさを犠牲にして、不可能な「完全性」を探すことになりかねません。


私の意識が変わったのは、ポーズのためにポーズがあるのではないと気づいてからです。理想的なダウンドッグをマスターするためにダウンドッグをしているわけではないのです。そうではなく、ポーズは私たちの体の中で快適に感じられるように使えるツールであり、ヨガの実践を通して到達できるのではないかと願っている状態への道筋を与えてくれるものです。明確さ、平和、自分を受け入れること、自己啓発、霊的繋がり、または単に運動の楽しさ、呼吸、今にいることなど。私たちの練習の理由は、結局のところ、ダウンドッグのように十人十色なのです。


こうした俗説や誤解に気付くことで、このポーズの実際の効果を得る方法を見つけ出すかもしれません。間違った理想形で行おうとして感じている本当は失敗ではない失敗の感覚を手放し、私たちの美しい特異性の一部であるそれぞれのダウンドッグの違いに感謝しましょう。



よくある勘違い



1. できるだけ手の指を広げるべき



「ばかみたいに指を伸ばして!」というのは、私が聞いて納得して、けっこう長い間自身の生徒たちにも言い続けていた合図。でも、(おそらく多くの人が自分で気づいたように)ずっと指をできるだけ伸ばし続けるというのは、いらない緊張や不快感を作り出すことがわかったのです。今では、振り切るくらい元気いっぱいな手というより、「軽く」「優しく」そして均等に指を広げることを提唱しています。


指を揃えるのが好きな先生もいます。ヨガインターナショナルのライターで解剖学マニアのアンバー・バークによる最近の「ダウンドッグ3つのやり方」という記事の中では、「指を全部揃えたり、親指さえも人差し指に揃えたときの感覚を感じてみましょう」と書いています。そしてこう解説しています。「この手のポジションでは、特に手根間の正中神経のための空間が必要となる手首側で、てのひらが開きやすくなるでしょう」



私は、ハンドスタンドの準備としてのダウンドッグでは使わない手指のポジションを、いろいろ試しています。(ハンドスタンドなど逆転の準備をする際、私は指を軽く伸ばして均等に広げ、親指と他の指同士で抵抗し「床を掴む」ときが最も安定していると今でも感じます。けれどいつまでもそうとも限りません)どれが一番自分にとってよいのかを知る唯一の方法は、いろんなことを試すことです!


つまり?手の位置も他のことも、ヨガとは自分の体をよりよく知るということであり、どれが一番自分に合っているかを見つけ、それをポーズに取り入れるということ。いつもそうしてきたからやるんだ、ということではないのです。特に、いつもやっている方法があなたの体にとって気持ちよく感じていない場合は。




2. かかとは床に着くべき


必要ではありません。ダウンドッグで踵が床に着く人もいれば、つかない人もいます。そしてそれは柔軟性に関係するとも限らないのです。そう、ハムストリングスやふくらはぎが硬いと床にかかとをつけるのがより困難になるかもしれないけれど(ふくらはぎが超かたい私はこのことをよくわかってる!)でも、ダウンドッグでかかとが地面につかないのは、アキレス腱の長さに関係している可能性もあり、これをストレッチしない方がいい。腱というのは安定させるのが仕事であり、伸ばしすぎるとなかなか治らないこともあります。


かかとが浮くのは骨の構造のせいかもしれません。足首の可動域が小さい人は、どんなにふくらはぎやハムストリングスをストレッチしてもかかとが床につかない可能性があります。


さらに、かかとはダウンドッグで床に着く必要がないのです。ポーズでの特定の指示に従うかどうかを決める時には、常に「なぜか」を考えるべきです。どうしてかかとを着けたいのか?雑誌の写真みたいに見えるようになるから?つまり、もしかかとと床の距離が超遠くてふうらはぎが悲鳴をあげていたら、それは多分セラピーボールを使う時でしょう。でもポーズを「間違って」行っているわけではないのです。私たちみんなにとって重要なのは「そのポーズをどのように感じるか」「それが何を意味しているか」であって、「『正しく』見えているかどうかではないのです。




3. 耳は上腕二頭筋に並ぶべき


私がダウンドッグを練習し始めた頃、ポーズのポイントは深く入ることだと思っていました。額が床に着くのが成功のサインだと。定期的にクラスに出てダウンドッグを何度も直されているうちに、それは違う、そうじゃないとやっと気付きました。胸を腿の方に押し込んで額を床に近づけると、実際は、腕を最適に回転させることができず肩周りに「崩れ落ちて」首と肩に大きな緊張を作ってしまうのです。


一方で「耳を上腕二頭筋に並べて」という指示は、私にとってはより安全で持続可能なダウンドッグを見つけるのに役立ちました。しかし、その指示が私に合った理由のひとつは、そもそも床に額を着けれらるほど私の肩が十分に「開いて」いたからです。私の肩がとても「開いて」いるからこそ、耳を上腕に並べると後頭部が骨盤後部や尾骨と並び、ダウンドッグで自然な形におさまることができるのです。しかし肩の可動域が狭い人にとっては、「耳を上腕に」というのは意味がなく最適なアライメントを見失うことになりかねません。


究極的には、頭と腕の位置よりも、骨盤と頭の位置関係の方がより正しいアライメントの基準となるのです。




4. ダウンドッグは常に同じ長さであるべき


ダウンドッグのよい長さを見つける良い方法は、プランクポーズから始めることです。両肩が手首の上に、両かかとが足のくるぶしの上に来るようにするのです。そこから手足を動かさずにダウンドッグへと押し下げます。まさにそこです!


ヴィンヤサのフローをやるときは、このようにダウンドッグに入るのが好きです。足を調整することなくプランクに入ったりプランクから動き始められ、考え直したりもじもじしたりせずスムーズで平均的、滞りのない移行ができるのです。しかし、これが常にみんなの理想的なダウンドッグの長さ、とは言えないのです。例えば、ハンドスタンドにキックで入る準備をしているとき、短めのダウンドッグにします。あるいは、ダウンドッグ・ツイストやスコーピオン・ダウンドッグ(反対の手で反対の足を掴む)などバランスの難しいバリエーションの場合では、短めのスタンスの方がより安定して感じられます。そして最後に、多くの人が気づいているように、超滑りやすいマットのときも短めのダウンドッグが必要になるでしょう!


マットが滑るとかずれると感じたり、複雑なバリエーションのダウンドッグでバランスが取りづらいときは、足を少し前に動かす必要があるかもしれません。そうしてもいいのです!




5. 脚はまっすぐであるべき


多くの人がダウンドッグで膝を曲げて「緩和」できると気づいています。しかし、ポーズの「完成形」は脚をまっすぐ伸ばしてやるべきだと広く信じられていて、膝を曲げたダウンドッグは「簡単」で劣った形だからできるだけ早く上達すべきだというかのようです。結果的に、多くのヨガの生徒たちはちょっとだけ一瞬膝を曲げるのですが、すぐにまっすぐに伸ばし背中をまるくしてハムストリングスを酷使し、「完成形」をやろうとしてかかとを力づくで床へ着けようとします。


わかっていますか?ダウンドッグ(そしてどんなポーズも)の「完成形」というのは、どんな時もあなたとあなたの体に最も合っている形なのです。膝を曲げたダウンドッグも、脚まっすぐダウンドッグと同じダウンドッグです。どちらも、実践者や状況によって完成形です。例えば、ハムストリングスが硬く感じたり、脚を伸ばすと腰が丸まるという場合、かかとをあげて膝を曲げて腰とかかとを引きあげておく方が、脚を伸ばして練習するよりずっと最適なのです。



6. 肩甲骨は耳から遠ざけるべき


両腕を頭上にあげたとき、肩甲骨も一緒に上がります(肩甲上腕リズムと呼ばれ、肩の最適な機能にとても重要です)。最初はわからないですが(逆転しているので)、両腕はダウンドッグでも上方に伸びています。ですから、肩や肩甲骨を下げるというのは理想的ではないのです。


もし首や肩に緊張があったら、肩を下げるより他にスペースを作る方法があります。例えば、首や肩の緊張は胸を腿の方向へ押しすぎていたり、「深く」行きすぎたりしていることだ私は気付きます(3番を参照)。後頭部を尾骨のラインに下げることで、緊張を解くことができます。


肩を下げるという指示の代わりに、「肩甲骨上部を広げる」とか「上腕を外旋する」(前腕を内に抱え込みながら両手の内側を地面につける)、「脇の内側を上げる」などの方がわかりやすいという人もいます。残念ながら、このうちのどれも「両肩を耳から離す」(他のアサナの指示と同じく、誰にでもわかりやすいとか最適ということはありません)のように単純ではありません。しかし個人的には、これらは肩甲上腕リズムを尊重しながら首と肩の緊張を解くのに役立つと感じています。



7. 本当のダウンドッグは両手両足を床に着けなければならない


いいえ。ダウンドッグをあなたの体の好みにもっとクリエイティブに合わせられるようにする方法はたくさんあります。両手をブロックや椅子、壁についてもいいのです。(現在のニーズや状況にあわせて、ドルフィンやパピーなどよく似たポーズをダウンドッグのかわりにしてもいい)


「壁のドッグ」を時々やるのが私は大好きです。伝統的なダウンドッグより手首に優しいし、時間をかけてアライメントをよりよくすることができます。(そして床に手をあまりつきたくないというような状況でもこれは最適です)


先に言った通り、ダウンドッグだけでなくどんなアサナでも最も大切なのは「どうしてやっているのか」を問うことです。私にとってダウンドッグは、変化するものであり、シーケンスのどこでやるのか、そして何の準備のためのシーケンスなのかによるのです。幸い、自分のダウンドッグを必要に合わせて調整することができます。あなたもそうです。このポーズの「完璧」な外見の探究をやめ、どんな時も自分に最高に合った形を見つけ始められたら、ダウンドッグはヨギたちの最高の友となるでしょう。





(出典)https://yogainternational.com/article/view/7-common-misconceptions-about-down-dog

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