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編集注:以下はヨガ練習者と指導者のための一般的な推奨のためのものです。医療専門家の個々の助言の代替ではありません。ヨガの指導者は自身の実践範囲に留めるべきです。つまり、診断、治療、医学的助言を生徒に与えようとしないということです。
テニス肘は痛い。特徴的にずきずき痛みを感じますが、症状が進むと握ったり持ち上げたり、ドアノブを回すと、前腕から肘にかけて鋭い痛みを感じ、誰かと握手するのがいやになるでしょう。また、ヨガをしてもいいのかと悩むことでしょう。
しかし、The Back Pain Secret: The Real Cause of Women's Back Pain and How to Treat It の著者で理学療法士のビル・リーフによれば、「肘を悪化する可能性のあるストレスのあるものを避けるか緩和さえすれば、テニス肘の人でも問題なくヨガをすることができる」
また、テニス肘の人が避けるべきあるいは変更すべきポーズについて彼からのヒントが以下になりますが、伝統的なヨガのポーズは症状を緩和するとは限らないため、ヨガポーズに治療としてのストレッチを組み合わせるとよいと勧めています。
ヨガクラスや自宅での練習で何を避けて何をすべきかを理解するために、まずテニス肘が何なのか原因は何なのかを探りましょう。
テニス肘とは
テニス肘の医学名は「外側上顆炎」です。肘の外側にある外側上顆に繋がる腱、そして手の指、手首、肘を伸ばす前腕の外側についている筋肉(長・短橈側手根伸筋、総指伸筋、尺側手根伸筋)に影響します。同じように、ゴルファー肘とか投手肘と呼ばれる珍しい症状では、肘の内側の内側上顆に影響します。「テニスプレーヤーも、時にはフォアハンドのストロークで内側上顆炎を起こすこともある」とのことです。
テニス肘は、腱炎、腱症とも呼ばれます。腱炎では、肘、手首、手指伸展筋の小さい断裂が炎症を起こします。腱症では、炎症を繰り返した後、肘の伸展腱が変形します。腱炎は急性の怪我で数日から数週間で治癒しますが、腱症は「頑固」な慢性の怪我で数ヶ月かかります。「まるで体の組織が治る方法を忘れたようなものだ」とリーフは言います。
ある集団研究の結果を一般化できるとすれば、米国で毎年テニス肘の新しい患者が約百万人いることになります。同じ研究によれば、最もテニス肘になりやすいのは40歳から60歳です(女性の方がやや多い)。
リーフによれば、テニス肘はテニスのサーブやフォアハンド、バックハンドなど一般的に繰り返される動作によって引き起こり悪化します。こうしたストロークは、ラケットが硬すぎたり重すぎたり、ガットがきつすぎたりすると特に危険です。間違った使い方(肘でリードする、バックハンドの時手首を伸ばさず曲げて打つ、ボールがラケットに当たったあとすぐにグリップを緩めないなど)もまた、テニス肘に関係します。
テニス肘はテニスだけが原因ではない
「テニス肘」というのは少し呼び名が悪いかもしれません。テニス選手のおよそ50%が肘痛を訴えますがそのうちの75%は「本当の」テニス肘ではないので、この症状のある全ての人のうちテニス選手の比率はおよそ10%にすぎません。
こうした統計はリーフの経験と一致しています。「テニス肘患者のほとんどは、テニスでなったわけではない。身体の限界を越えて何度も組織を疲労させると、その組織が炎症を起こす」つまり症状は、バレーボールのサーブやギターやチェロ、ヴァイオリンなどの楽器演奏、バーコードのスキャン、ウェイト・リフティング、肉体労働(ハンマーを振る、チェインソーの操作など)料理、ガーデニング、組立てラインの作業などからも起こる可能性があります。テニス肘は、ゲームセンターのゲームやビデオゲームでも起こり得ます(数十年前に「パックマン肘」が流行したことを思い出します)。
これらの場合、テニス肘に繋がる可能性のある連続した動きは、荷重のかかった手首と肘の伸展です(「止まれ」の手をしたまま身体の前に腕をまっすぐに伸ばす)。
荷重のかかった手首と肘の伸展の例としては、先ほど述べたテニスのバックハンドのスウィングや腕立て伏せ、そしてヨガのチャトゥランガからアップワード・フェイシング・ドッグへの移行です。
繰り返される怪我のケースをみてみると、アライメントと筋肉の使い方が重要です。リーフはこう説明します。「両腕のアライメントが良いほど、肘に直接かかる疲労は少なくなる。だから、肩の内外旋が大きすぎると肘の内側外側を酷使することになる可能性がある」
場合によっては、連続的な動きの中での伸筋の酷使は、肩や胴部の筋肉が効果的に使えていないせいかもしれません。「肩や胴部に弱い部分があれば肘の不快感や怪我になる可能性がある。支持の土台となる肩やコアなしでは、ボールを打ったり、釘をハンマーで打ったりするのに必要な力を肘まわりの筋肉で作らなければならないからだ」
ヨガだけでテニス肘の原因にはならないがいくつかのポーズは一因とはなり得るとリーフは考えています。「午前中ずっとテニスやウェイトリフティングをしたり絵を描いていたという人がヨガクラスを受けるとする。いくつかのポーズは、特に繰り返すと状況を悪くすることもある」
テニス肘のためのヨガ
テニス肘(腱炎、腱症)の急性ステージでは著しい痛みと脆弱さを伴いますが、リーフによれば、ヨガで「やってはいけないこと」ひとつ大きくあります。「手首や肘を伸展させて両手に荷重がかかるポーズを練習しない」テーブルトップやプランク、アップドッグ、そしてダウンドッグなどが含まれます。「特に車輪ポーズは、両肘により体重がかかるので問題になる」テニス肘の痛みがいくらか弱まったら、下記のようにポーズの変更をすることもできます。
伸展した腕と手首に体重全てがかかるハンドスタンド、両膝が肘の真上にくるクロウ・ポーズや肩を押すポーズ(ブジャピダーサナ)などのアームバランスは、テニス肘の人は何にもまして避けるべきだとリーフは推奨します。「両肘の上で両膝のバランスを取ろうとすると肘に直接圧力をかけることになり、損傷しているまさにその構造の上に乗ることになる」
リーフによれば、伸展への、そして伸展からの移行(伸ばした肘を曲げる、曲げた肘を伸ばす)もまたテニス肘を悪化させます。「屈曲から伸展へ(曲げた肘を伸ばす)の繰り返しは肘に大きな負担をかける」つまり、例えば、チャトゥランガに入ったり出たりする方が、チャトゥランガでホールドするよりも腱や筋肉により負担をかけることになりえます。チャトゥランガからプランク、そしてチャトゥランガからアップドッグへの移行は、テニス肘のある人にとって最もお勧めできないもののひとつで、特に繰り返すヴィンヤサでの移行はよくありません。
テニス肘があって練習するときや、テニス肘を患っている生徒のためのシーケンスを考えるには、単純に両手に荷重のかかるポーズを全て避けて立位や座位、横たわったポーズにフォーカスしましょう。負荷のかかるポーズを緩和することもできます。
(出典)https://yogainternational.com/article/view/yoga-for-tennis-elbow?
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