2020年1月20日月曜日

チェア・ヨガ 重症認知症高齢者に音楽療法よりも効果的
Chair yoga more effective than music therapy in older adults with advanced dementia

2019年10月に掲載された SCIENCE DAILY の記事です。
(Florida Atlantic Universityの研究)

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認知症の症状が進むと、エクササイズでの能力が下がります。認知機能が衰え、運動機能の問題や怪我のリスクなどを考えると、エクササイズのプログラムに参加し続けることさえ困難になってくるでしょう。エクササイズの中には、単に複雑すぎたり身体的にもきついものさえあります。身体的活動が認知症に効果があることは研究によって示されていますが、認知症がより深刻な患者を含むもの、また優しい運動の効果について含むものは限られています。





フロリダ・アトランティック大学の研究者らは、認知機能の衰え、バランスの問題、転倒の恐れなどにより定期的なエクササイズや立って行うヨガに参加することのできない中程度から重度の認知症高齢者に対するチェア・ヨガの効果を調べるため無作為化比較対照の予備研究を行った。この研究の主たる目的は、これら個人の非薬理学的な行為に参加能力の可能性を評価するとともに、全レベルの認知症高齢者へのチェア・ヨガの安全性と効果を明らかにすることであった。


American Journal of Alzheimer's Disease & Other Dementias(全米アルツハイマー病およびその他認知症ジャーナル)に発表されたこの研究でチェア・ヨガと比較されたのは、椅子ベースのエクササイズ、音楽療法という2つの非薬理学的介入である。各3グループは、週に2回45分間のセッションの参加を12週間継続した。まず初め、そして6週間後、12週間後のデータが集められた。


結果によれば、中ー重度認知症の参加者らは安全に非理学的介入に遵守することができることを示した。97パーセント以上の参加者が各セッションに完全に参加した。チェア・ヨガのグループは QOL において音楽グループと比較して顕著な向上がみられた。チェア・ヨガと椅子エクササイズグループの両方において時間と共に向上が見られた一方、音楽グループでは低下がみられた。さらに、チェア・ヨガと椅子エクササイズグループ両方に3回全てのデータにおいて、音楽グループと比較して鬱の数がより少なかった。


椅子エクササイズや音楽療法の効果と比較した、バランスや可動性など身体機能に対するチェア・ヨガの効果が調べられた。また、不安症や鬱などの精神的症状、激越や攻撃行動などの行動症状の緩和効果、QOLについても調査された。また睡眠障害に対するチェア・ヨガの効果についても調査された。


チェア・ヨガは、椅子を使用することで転倒の危険を減少させる一方で、ストレッチや強化、柔軟性のための安全な環境を提供できる。また、様々な筋肉グループのアイソメトリック収縮とリラックスへの誘導を利用する静止ポーズで、重要な呼吸とリラクゼーション法をも提供する。


研究の筆頭者であり、FAU's College for Design and Social Inquiry 内にある Phyllis and Harvey Sandler School of Social Work の准教授である Juyoung Park, Ph.D はこう言う。
「チェア・ヨガと椅子エクササイズのグループで使用したポーズは、我々の研究の中でQOLを向上させる重要な要素だったと考えている。ヨガセッションの前に治療室におちて軽度の激越や徘徊を見せていた参加者らが、ヨガポーズのデモンストレーションを始めた途端に落ち着いて熱心に注意を向けたのが素晴らしかった。認知症が進んで認知機能の衰えのため言葉は理解できないにもかかわらず、インストラクターのポーズを真似していた」


身体機能について3つのグループで差異は認められなかったが、チェア・ヨガ・グループで音楽グループより握力が高かった。調査された身体機能はどのグループにおいても低下は認められなかった。


どの時点においても不安症の顕著な差異も認められなかった。鬱や不安症の変化にも差異は認められなかった。3回の全ての時点でどのグループにも睡眠の質に対する著しい差異は認められなかった。


「チェア・ヨガのグループでは、身体状態、気分、機能的能力、人間関係、有意活動の参加能力、最終的な状況などを含むQOLのスコアも高かったと報告されているが、激越が増加した。QOLというのは単なる激越の値ではなく、より総括的な生物学的・心理学的・社会的アプローチであり行動機能であるということが重要だ。この研究では、瞑想や心身の繋がりといったチェア・ヨガのプログラムが参加者のQOLを高めたのだろう。この発見は、目標を決めたアプローチが認知症患者のQOLを高めるのに役立つことがわかった我々の前回の研究と一致する」



研究の参加者は60才以上(平均84才)でアルツハイマー(最多)、レヴィ小体病、パーキンソン認知症を含む「認知症」と診断された者。各グループの構成に著しい差異はなかった。半数以上(67.7%)が認知症に関連した症状を抑えるための薬を服用していた。






(出典)https://www.sciencedaily.com/releases/2019/10/191002102800.htm?fbclid=IwAR2FG7ndm2GXj8iNCoOgKMIAntlnapqrKt6L-02BQD6QTQZlSWH_2etZQUs

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