2023年6月27日火曜日

コーシャとは:人の存在の5層 Vol.1
The Koshas: 5 Layers of Being


健康を意識している人なら、今日もおそらくエクササイズをしたのではないでしょうか。ウォーキングやテニス、ジムのワークアウトなど、体の調子を維持する大切さを理解していることでしょう。それでは、微細な部分のエクササイズはしましたか?また因果的な部分は?ヨガの伝統では、私たちはみんな5つの層を持って、それぞれがより純度の高いエネルギーから作られているとされていてます。完全に調和のとれた健康的な生き方をするなら、全ての部分がよい状態に保たれなければなりません。


この段階的に微細になっていく5つの部分は私たちの個性を作っていると、タイッティリヤ・ウパニシャッドというヨガの古典に書かれています。


「人間は、食べる食べ物から作られる物質的な体で成っている。この体を大事に扱うのもは宇宙そのものから栄養を授かる」

「これの内側には性目力でできたもうひとつの体がある。それは肉体的な体を満たし、具現化する。この生命力を聖なる体験と扱うものは、素晴らしい健康と長寿を得る。なぜならこのエネルギーは肉体的な命の源であるからだ」

「この生命力の内側にはもうひとつの体があり、これは思考エネルギーからできている。これは2つのより高密度な体を満たし、同じ形をしている。この精神的な体を理解しコントロールするものは、もはや恐怖に苦しむことはない」

「その奥には、知性で成るもうひとつの体が存在する。それはより高密度な3つの体に充満し、同じ形を取る。ここに意識を確立するものは、健康的で無い思考や行動から自由となり、自身の目標を達成するのに必要な自己制御を養う」

「その内側には、純粋な喜びで成る微細な体が隠れている。それは他のその他の体に充満し同じ形を共有する。それは幸福、歓喜、至福として体験される」


これらの5つの体はサンスクリット語で「コーシャ」または「鞘」と呼ばれます。刀が鞘に収まるようにそれぞれが次のものに収まっているからです。私たちが知っている物質でできているのは最も高密度のものだけで、他の4つは目では見えない状態ですが、意識して注意深く内側を意識すればその存在を容易に感じることができます。内側の体は生きている間の健康の源であり、死後に旅するための乗り物なので、インドの古代のヨギたちは、それぞれを強化して整える特別な実践を順に行う方法を作り上げました。





第二の体


肉体的な体についてはもうよくご存知でしょう。ヨガでは「アンナマヤ・コーシャ」(アンナは『食べ物』あるいは『物理的物質』、マヤは『〜で作られた』という意味)と呼ばれます。ヨガでは、第二の体、つまり物質的な体を一つにまとめている統括領域を意識させてくれます。これは、呼吸から消化、血流まで生物学的なプロセスを統括する生命力です。これを中医学では「気」、ヨガでは「プラナ」と呼びます。古代エジプト人たちは「カ」と呼びました。


鍼療法やホメオパシーは、肉体的な体に直接行うものではありません。生命力に働きかけて活性化し持続させるのです。西洋において、19世紀まで従来の医師は、生命力を上げる十四世を認識していましたが、サルファ剤や抗生物質の開発にともない、人間の生物学の基本となるエネルギー状態から肉体そのものだけに意識が移りました。


エネルギー体は、ヨガでは「プラナマヤ・コーシャ」と呼ばれます。これが機能しなくなると、肉体も機能できなくなります。心臓や肺がその働きを止めて細胞が崩壊し始めます。西洋文化では肉体を強く意識しますが、プラナの支えと働きがなければ私たちは数分さえも生きられないのです。


ヨガには、プラナマヤ・コーシャの生命力を補充するためのプラナヤマという練習だけをするクラスがあります。腹式呼吸や、ヨガ呼吸、片鼻ごとの呼吸などは、第二の鞘を正しく機能させるために特別に作られたものです。


また、生命力の健康を維持するには、新鮮な空気と日光をたくさん得ることが不可欠です。ヨガの書物では、太陽はプラナの究極の源であり、太陽から降り注ぐプラナを吸収するだけで何も食べずに何年も生きる上級のヨギも居たと伝えています。けれど、私たちのほとんどにとってのプラナの主な源は、新鮮な自然食品です。



第三の体


第3の鞘である精神的な体は、五感や運動、あるいは「自動的に」機能する毎日の意識の働きを担う部分です。五感からの情報を処理し反射的に反応します。周囲の環境を積極的に形作るのでなく、環境に反応して消極的に人生を歩む時、意識はここに集中します。多くの人、そしてほとんどの動物は、このレベルで習慣的に反応します。


この部分は「マノマヤ・コーシャ」(『思考プロセスで成る体』という意味)と呼ばれます。西洋では習慣的な精神状態は脳に関連付けますが、ヨガでは脳を含む全ての神経系はマノマヤ・コーシャの活動の影響を受けているだけであり、このより高いエネルギー状態の指令を肉体を通して表れていると考えられています。


昏睡状態の患者を観察すると、精神的な体が何なのかを掴めるかもしれません。昏睡者の第二鞘はまだ機能しているので、心臓は打ち続け肺は拡縮しています。しかし、外の世界に意識はなく動くことはできません。精神体の活動が停止しているからです。プラナマヤ・コーシャは生まれてから最後まで働き続けますが、マノマヤ・コーシャは日々一時的に停止することがあり、深い睡眠の中で再生します。


マノマヤ・コーシャの健康は、マントラ瞑想の実践を通して非常に強化されます。この内なる
体を鎮めてバランスをとり、心の否定的な観念や脅迫的な思考に縛られたエネルギーの「もつれ」を解くのに役立ちます。瞑想を長時間行ってきたヨギがあまり睡眠を必要としないのは、ひとつには、調整し終わったばかりの自動車のように理想的に機能する心の乗り物のおかげなのです。


精神体は、感覚印象をエネルギー源とします。たとえば、この第三の鞘に絶え間なく暴力的なテレビ番組やビデオゲームを与え続けると、より攻撃的な刺激を欲するようになり、取り乱しやすくなったり他者の苦しみを感じにくくなるかもしれません。仕事や遊びをあまりにも多く詰め込みすぎると心の「消化不良」を起こして、焦燥感や疲労感を感じるかもしれません。調和の取れた環境、興味深い仕事のチャレンジ、楽しく協力的な人間関係などは、心のための理想的な食事となるでしょう。プラティヤハラ(五感の抑制)の毎日の瞑想で、すばらしく心が調います。



第四の体


より微細なのが「ヴィジュナーナマヤ・コーシャ」(『判断力、洞察力』)です。多くの場合「知性」と訳されますが、実際の意味はもっと広く、良心や意志などより高度な心の機能全てを含みます。第三鞘である精神体と第四鞘の知性体の違いは、ヴィジュナーナマヤ・コーシャがまだ身についていない人を見ると容易に理解できるでしょう。


そういったタイプの人は、人生をコントロールできていないと見える人で、決意したり前向きに反応するというよりは、常に周りの出来事に反応している人です。こういう人は決心したり、自分のことを考えたり、創造的になることが苦手です。意志力がほとんどなく、いつも自分の誤った判断の被害者です。


不完全な第4鞘のもう一つの例は、強い個人の倫理に欠けた人です。宗教的な集会に参加して倫理の価値を敬虔に語っていても、他者を犠牲にしながら利益を得られるという機会が訪れたときには躊躇なく行動します。善悪の区別をする能力が弱く、その人にとっての良心とは生きた経験というより陳腐な言葉に過ぎません。


第4鞘が目覚めると、人間は動物とは異なっていきます。人生を思うままに生きることができるのは人間だけで、その場の本能から自由に倫理的選択をすることができます。聖者らは、健康的なヴィジュナーナマヤ・コーシャを身につけることをとても重要だと考えていたため、そのための練習をヨガというシステムの始まりから組み入れてきました。これらはヤマとニヤマと呼ばれ、全てのヨガの生徒たちに取り組むことを求めています。暴力をしない、嘘をつかない、盗まない、快楽に溺れない、必要以上に求めないこと。そうではなく、足ることを知る、清くある、自己鍛錬する、勉強する、献身すること。


ジュナーナ・ヨガもまた、このコーシャに働きかけています。これは霊的な真実を学び、深く考察し、最後には自身の個性のまさに中心へと組み入れることを勧められる思考的過程です。この過程においては、霊的な理解が自身の知性を養う「栄養」となります。


何ヶ月、何年と瞑想を深めていくと、内なる導きに繋がる能力が強まります。人生の出来事、それが辛いものであっても、穏やかに客観的に捉え始めます。ヨガ的なライフスタイル、深い考察そして瞑想によって、明快な判断へ、より良い直感、そして強い意志力へと導かれていき、ヴィジュナーナマヤ・コーシャがより強くより調和の取れたものになっていくのです。


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次回に続きます。

2023年6月21日水曜日

夏のピッタを下げるレシピ Vol.2


ルッコラとスイカ、アボカドの夏サラダ
Arugula, Watermelon and Avocado Summer Salad





スイカが大好きな私は、夏になると食べ方を毎日見つけるのが好きです。サクサクして甘く、爽やかなスイカ。古代エジプトでは、始まる長い旅路で水分を補給するためお墓にスイカを入れており、ツタンカーメンに至っては死後もスイカが供えられたそうです!スイカは、干魃のために水筒のように使われてきました。私たちが知っているこの夏の果物の甘さは、実はそう改良されたからです。古代の科学者たちはこの植物の苦味を取り除き、マーク・トウェインが言うところの「スイカを味わうことは天使の食べ物を味わうこと」となるまで改良したのです。
 

アボカドの歴史は一万年前の中南米の海岸に遡ります。アボカドは、マンモスやナマケモノなどの生物に食べられていました。彼らは種ごと飲み込んではそのまま排泄したため、種は全く異なる土地で木に育ちました。現代ではアボカドの樹木はたくさんあって、私たちはその恩恵を授かっています。私たちはトラックほどの大きさの動物では無いので、皮や種は取り除かなければなりませんが。







以下のレシピは、サクサクしたスイカにクリーミーなアボカド、ピリッとしたルッコラ、みずみずしいトマト、甘いチェリー、そしてほんの少しのハバネロなど、色も食感も異なるものの組み合わせです。暑い時期に食べたい私のお気に入りです。




ルッコラ、スイカ、アボカドのサラダ


  • ルッコラ 100g
  • スイカ半分、刻む(約4カップ)
  • 熟したアボカド2個、皮を剥いて種を取りスライス
  • エアルームトマト1個、スライスする
  • 生のチェリー1 カップ、種をとって刻む
  • フェタチーズ60g
  • ミント大さじ1、細かく刻む
  • ライム2個分の果汁と皮
  • オリーブオイル大さじ2
  • ハバネロパウダー少々
    (6-8人分、あなたがどれだけ食べるかによりますが!)


このサラダは、ケーキのように本当に綺麗な層になります。まずルッコラを敷きましょう。その上にスイカ、そしてアボカドと並べていきます。トマト、チェリー、フェタ、ミント。ライムジュースと皮、オリーブオイルとハバネロをブレンダーに入れて、乳化するまで回します。サラダにドレッシングをかけていただきましょう。
 

色彩が鮮やかでコントラストがあるので、このサラダは絵のようだと思うかも知れません。
あなたの芸術感性を目覚まして思いつくままに創作しましょう。縦に並べても横に並べても、抽象画のように散らしても、目を楽しませながら美味しくいただけます。






2023年6月19日月曜日

夏のピッタを下げるレシピ

ライムエード:暑さを落ち着かせるアーユルヴェーダレシピ

A Cooling Ayurvedic Limeade Recipe for Summer







夏は、火と水の要素から成るピッタ・ドーシャが優位に立つ季節です。バランスを取り夏の火を涼しくする方法を知れば、夏を通して季節を楽しめるでしょう。


アーユルヴェーダでは、夏にオーバーヒートしてしまうと、突然感情が昂ったり、怒りや軽率な行動、炎症などを引き起こすことがあります。また、仕事に集中し過ぎたり、そこにいることよりも行動することに意識を向けやすくなります。けれど、夏の暖かさや熱を味方につけられている時は、周りの花々と同じように満開になっている自分に気づくでしょう。消化力や判断力や集中力など、夏の暑さの中では過剰になりがちな私たちの内なる火のバランスを取ることで、夏の力を育むことができます。


バランスを取る方法のひとつは、食べ物です。私の家族は以前、マスター・インドゥ・アローラと彼女の母親ラニさんが、アーユルヴェーダの知恵をより広いコミュニティの家庭に広めるのをお手伝いをしたことがあります。こうしたアーユルヴェーダの料理教室では、もともとその食物が持っている質を知り、季節に沿った組み合わせ方といった知識を使えば、食べ物はまさに薬となると言うことを学びます。


以下は、伝統的なアーユルヴェーダのドリンクです。インドゥさんとラニさんが、夏の水分やミネラル、栄養を補給するために生徒さんに教えたものです。



アーユルヴェーダの夏の電解質ドリンク:240cc 4杯分


  • オーガニックのライム 2個(冷やす質と酸味。レモンも酸味がありますが温める性質をもつのでピッタを悪化させる可能性があります)
  • 濾過した水で満たした2リットルサイズの広口密閉ガラス瓶
  • オーガニックの粗糖か氷砂糖 小さじ2杯(冷やす質と甘味)
  • ピンク・ヒマラヤソルト 2つまみ (もちろん塩味、塩はミネラルと栄養が豊富)
  • お好みで:ミントやスライスしたライムなど


作り方:ライムを半分に切って濾過水の入った瓶に絞り入れます。砂糖、塩を加えます。かき混ぜましょう。お好みでミントやスライスしたライムを加えます。室温あるいは冷やしていただきます(冷蔵庫で冷やすか氷を入れる)。


この伝統的なアーユルヴェーダドリンクを現代風にアレンジして・・・アイスキャンディに!製氷皿やアイスキャンディの型に入れて凍らせたら、アイスキャンディの出来上がり!




夏の暑い日に涼しさを保つアーユルヴェーダの知恵


夏の突き刺すような日差しが連れてくる強烈さを冷やすには、水の要素のバランスをとって、強くなり過ぎたと感じる火に栄養を与えましょう。冷ましてくれるドリンクを飲むのに加えて、水の近くに行く、水に入るなど水の要素を取り込む心地よい方法を探しましょう。水泳など涼しさを保てるようなアクティビティを選んで、ピッタの強い午後は休憩してリラックスしましょう。


川や海などが近くに無い場合は、子供用のプールやバケツに水を入れて足を浸しましょう。または、月明かりの下で水のそばに座り、水に映る月影を見て月の穏やかなエネルギーで体を落ち着かせます。土や泥の冷たさを楽しんだり、植物を植えたりしましょう。何かを育てることは心を落ち着かせるのに役立ちます。


そして1日を終えたら、体を冷まして上記のアーユルヴェーダドリンクで栄養を取ります。リラックスして、栄養を取って、そして楽しみましょう!







2023年6月12日月曜日

腰部脊椎管狭窄症のためのヨガ Vol.2
Adapting Yoga for Lumbar Spinal Stenosis

前回からの続きです。 
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編集註:下記はヨガの実践者や指導者のための一般的な助言を目的としています。医療従事者による個別の助言の代替ではありません。ヨガの指導者は自身の役割の範囲にとどまるべきであり、生徒に対して診断や治療、医学的アドバイスを行わないようにしてください。


してはいけないこと


腰椎管狭窄症の人が最も気をつけていただきたいのは、症状が強くなっていくことに気づかないほどの速い動きでポーズを深めないようにすることです。


これまで見てきたように、狭窄症の多くは背骨の屈曲で緩和されることがあります。リーフ氏によれば、かなり軽症の人であれば、「これらの動きで症状が起きたり悪化しなければ」側屈や回旋、または緩やかな伸展でも可能なポーズがあるかもしれません。しかし、ニュートラル状態から大きく外れると、椎間板を圧迫されてより狭窄し神経繊維を損傷する可能性もあり、またこれらの動きで痛みを感じる人も多いでしょう。


リーフ氏のアドバイスは、痛みが強くなったり痺れを感じたらどんなポーズでもすぐにやめることです。「ポーズや動きで症状がでたり、強くなるなら、それは『してはいけないこと』なのです」
 

けれども、これらの「してはいけないこと」は、決して変わらないものではありません。「時間と共に、全ての機能を取り戻すことができるようになり、症状を悪化させることなく背骨をあらゆる方向に動かすことも可能になるかもしれません」
 


1. 完全な逆転ポーズは練習しない


「どの逆転のポーズも、より体重が重く上からかかって腰椎を圧迫するため、神経が自由に通らなければならないスペースがより狭くなってしまう可能性があります。また、逆転ポーズでは、ニュートラルの背骨を保つのが人によって難しくなってしまうこともあります」


頭立ち、肩立ち、上腕のバランスポーズやハンドスタンドは、こうした逆転ポーズでニュートラルな背骨を保つことができる、あるいは、ポーズに入ったりポーズから出るときにコントロールできるほどの長い経験のある実践者でない限りは避けるべきです。もっと穏やかな、ダウンワードフェイシングドッグや壁に脚を上げるポーズなどを試しましょう。  



2. 症状が悪化するなら、自然な曲線を越えた背骨の伸展をしない


「ここで言うのは、通常の前弯での伸展ではありません」リーフ氏は注意を促します。腰のゆるやかな前弯は、ニュートラルな背骨であるための重要な要素です。しかし、狭窄症の人にとっては、背骨のそのあたりの湾曲を大きくすることは良いこととは言えません。


「腰椎の伸展は、脊柱管を狭める可能性があり、腰椎狭窄の人が気持ちいいと感じることはほとんどありません」


彼は、上向きの犬や車輪、バッタ、ラクダなどのポーズは避けた方が良いと言います。症状が悪化しないのであれば、もっと穏やかな後屈、つまりスフィンクスや橋など、腕を使って背中の真ん中あたりから上部にかけての後屈の方が適しているでしょう。



3.心地が良くないなら、極端な捻りや、背中を丸めた捻りをしない


「捻りは大抵の場合、症状を引き起こすか悪化させます」リーフ氏は述べています。ジャヌシルシャアサナの深いバージョンや、捻った椅子のポーズ、また腰を丸めた捻りなどのツイストは、腰部に不快な圧迫を引き起こす可能性があるため、症状が悪化する場合は避けるべきです。


狭窄が軽い場合は、ある程度の捻りも可能だろうとリーフ氏も認めています。


「おすすめできる捻りポーズは、ニュートラルな腰椎で行えるものだけです」彼が推奨するのは、四つ這いからの「針に糸を通すツイスト(パリヴリッタ・バラサナ、捻った子供のポーズとも呼ばれます)」や、車のフロントガラスのワイパーのような両脚の動きです。戦士のポーズI や II もまた若干の捻りがありますが、狭窄のある人にも行える方も多いでしょう。


より深刻な症状の人は、 ほんの少しの捻りにしておくか、左右片側だけにしておいた方がいいかもしれません。狭窄が背骨の右側にある場合は左への回転が圧迫されている部分の圧迫を緩和する可能性があり、圧迫されている右への回転は症状を悪化させる可能性があります。もし痛みが起こるならそちら側に捻らないようにしましょう。


4. 症状が悪化するなら深い側屈をしない


穏やかな側屈は背骨を強化し圧迫を緩和することもありますが、「ここでも、極端な動きは症状を悪化させる恐れがあります」リーフ氏は言います。捻りと同じように、心地よいと感じる範囲でのみで行い、片側への側屈に圧迫を感じるようならやめておきましょう。
  

カンヌキのポーズや立位の側屈などでは、心地よくいられるようにできるだけ体を高く保ちましょう。


5. 立ち上がる時に体を丸めない


前屈で楽になることがある一方で、前屈から背中を丸くして立ち上がる時は違うメカニズムが関係するとリーフ氏は指摘しています。これは、急な症状が起こるか起こらないかに関わらず、狭窄症や背骨に問題のある人には絶対に避けるべき動きです。上半身の重みを重力に逆らって持ち上げるのは、既に脆弱な腰に大変な負荷を与えることになるからです。
  

「お尻やお腹の筋肉の助けを得ずに背中の筋肉だけに頼ると、腰椎の筋肉や多裂筋、脊柱直立筋、椎間板にストレスを与えます」


前屈から起き上がる時は、両手を腿に置いて背骨をできるだけ長くしたまま立ち上がりましょう。




毎日の生活


あなたが納得できた「すべきこと」と「してはいけないこと」に従うのと同時に、できる限りマインドフルなヨガの練習で培った自分への気づきに戻りましょう。日々のどのような動きでどのように感じるかに気づく。どんな動きが有益だとも終えるのか?どれがあまり有益でなさそうなのか?


もし症状を悪化させる動きがあるなら、やり方そして体の位置を変えて、腰のストレスを少なくしましょう。あるいは、少し休みをとって座ったり、肘を腿に載せて前屈みになったりできそうですか?または、もっと呼吸を多くしてみる、その動きを慌てないで取り組めそうでしょうか?


毎日、そして夜間も、背骨の健康へ意識を向けることが徐々に容易になっていくのに気づくかもしれません。そして、動きそのものも楽に感じられるようになるかもしれません。








(出典)https://yogainternational.com/article/view/adapting-yoga-for-lumbar-spinal-stenosis/



2023年6月1日木曜日

腰部脊椎管狭窄症のためのヨガ Vol.1
Adapting Yoga for Lumbar Spinal Stenosis




編集註:下記はヨガの実践者や指導者のための一般的な助言を目的としています。医療従事者による個別の助言の代替ではありません。ヨガの指導者は自身の役割の範囲にとどまるべきであり、生徒に対して診断や治療、医学的アドバイスを行わないようにしてください。



腰部脊椎管狭窄症は、脊椎や神経根が圧迫される腰椎の狭窄ですが、ますます増加の傾向にあり2025年までには米国の高齢者6500万人に起こるだろうとされています。無症状の方もいる一方で、その症状には臀部の痛み、針を刺したような感覚、けいれん、脚の弱まりなどがあります。最も多い症状は腰痛です。狭窄症でない人と比べて3倍多いとされています。


ヨガで腰痛が緩和することがよく知られているため、腰椎管狭窄症の人はヨガが安全で効果的だろうと思うでしょう。


The Back Pain Secret: The Real Cause of Women's Back Pain and How to Treat It」の著者である理学療法士のビル・リーフ氏によれば、狭窄症を持つ人は医師からヨガをしてもいいと許可を得る方が良いかもしれません。
 

「ヨガは理学療法のように、  圧迫の影響を最小限にしながら、コアの強化や脊柱湾曲の制御向上を図ることができます」とリーフ氏は言います。同時に「ヨガは、症状が穏やかで断続的あるいはしばしば起こる人に向いています。頻繁な痛みのある中程度から深刻な狭窄症の人は、激しい動きのあるヨガには耐えられないので、脊柱湾曲維持のために補助具を使うようなより穏やかな練習法を探すと良いでしょう」


よくある動きやポーズがどのように狭窄症に影響するか、つまり症状を緩和したり悪化させる動きやポーズのことを指導者や生徒がよく理解している限りにおいて、狭窄症の人の多くがヨガの恩恵を得られるでしょう。





すべきこと、してはいけないこと


下記の「べき・べからず集」は、多くの狭窄症の方に関係するでしょう。よくある大勢で行うクラスや自宅での練習で役に立ちます。

 
しかし、腰椎管狭窄症には多くの原因があります。「脊柱狭窄症は、感染や腫瘍、靭帯肥厚、骨棘の肥大、椎間板の問題から起こることもあります」とリーフ氏は言います。米国関節炎財団によれば、若年層の狭窄症は脊柱側湾症や生まれつきの椎管狭窄で起こりますが、最も多いのは50歳以上で、骨関節炎やリューマチ性関節炎、転倒など脊椎の怪我の後遺症などが原因となります。また腰椎管狭窄症は椎骨の間、椎骨の内側、神経根が出る椎骨の隙間など脊柱の様々な部分で起こり得ます。


腰椎菅狭窄症の位置はさまざまで圧迫もさまざまであるため、それぞれの生徒にはそれぞれのアプローチが必要で、全ての生徒が医師に避けるべき動きやどこに焦点をあてるべきかを医師に相談した方がよいでしょう。



すべきこと


以下のタイプのポーズや動きは、腰椎管狭窄症を持つ多くのヨギに効果があるでしょう。ご提案のポーズでをしていて、もし痛みや痺れが始まったり強くなったときは、自分のリストから削除しましょう。リーフ氏はこう言います、「気持ちがいいと感じれば、大抵の場合それは『すべきヨガポーズ』です」



1. 優しい前屈を練習する


脊椎の屈曲、つまり前屈で、多くの場合は狭窄症の症状が一時的に驚くほど軽くなります。狭窄症の人は、「ショッピング・カートに掴まって前方に寄りかかると楽になる」ことが多く、習慣的に前屈みの姿勢になっていく、とリーフ氏は言います。これは、屈曲によって「脊柱管の容積が大きくなり、神経や椎骨の圧迫が取り除かれる」からです。


狭窄症の人に推奨される優しい前屈というのは、他の腰痛診断で一般的に推奨される姿勢とは真逆になります。骨粗鬆症や後湾症の人に推奨されることが多いのは、伸展、つまり後屈ですが、狭窄症の人にとって進展はより圧迫を強めてしまいます。(記事の後半で考察しましょう)


前屈は、脊椎の脆弱な部分を保護するため、徐々に行うべきだとリーフ氏は付け加えています。「前屈の理想的な深さを見つけるために、ゆっくり動くこと、そして降りる動きをコントロールするために補助具を使うと良いです」例えば、半分の前屈(アルダウッターナサナ)から前屈(ウッターナサナ)に入る時、狭窄症の人は、まずは両手をひざに置いておき、そこでより深い前屈も大丈夫と感じるなら、両手をすねやブロックに移動させるとよいでしょう。


狭窄症のある人がどの程度前屈していいのかは人によります。症状が強くなったり弱くなったりするまで曲げるべきでしょう。パスチモッターナサナやウッターナサナのような深い前屈で、症状が軽くなる人もいるでしょう。半分の前屈や杖のポーズでいるのが最も心地よい人もいるかもしれません。また、仰向きで横たわる際に片膝あるいは両膝を胸に近づけると楽になる人もいるでしょう。



2. 背骨が(おおよそ)ニュートラルなポーズ重点的に行う


腰椎管狭窄症の痛みが、前屈では短時間しか緩和されない場合は、ヨガクラス中でもそれ以外でも、背骨をニュートラルにしていくことがより強い圧迫を避ける長期間の解決法です。


「ニュートラルな背骨は、側面や椎間板、椎体などヨギが必要とする全てのものの悪化を防ぎます」
リーフ氏によれば、ニュートラルな背骨とは、背骨の自然な湾曲を維持できている、そして背骨を伸ばす方向に働いている状態です。
壁を使うと、ニュートラルとはどんなものかを体験するのに役立ちます。また、
支えになるだけでなく、「壁は固有受容のフィードバックを返してくれます」


狭窄症のある人もない人も、壁にもたれると肩の上に耳、腰の上に肩を上下に並べやすくなるはずです。壁から前に数センチ離れて立ち、骨盤、背中や背中上部、肩甲骨、そして後頭部を壁につけ、同時に首と腰を少し壁から離して曲線を作ります。(もし少し曲げた方が快適なら、壁ぎわで椅子のポーズを練習してもいいでしょう。壁から数センチ離れるまで歩き、腰が平らに壁につくまで膝を曲げます)


壁際で作ったニュートラルなアライメントは、座位ポーズにも、テーブルトップやプランクなどのポーズにも応用できます。


習慣的に前屈みの姿勢をするようになった狭窄症の人たちも、ニュートラルな背骨に徐々に戻っていくと良いでしょう。「ポーズが快適にできるように、ほんの少し前屈みになっておく必要がある人もいるでしょう。それで構いません。あまりにも急いで完璧にニュートラルな背骨にしようとすると痛みにつながるかもしれません。「ポーズの伝統的な形に焦点を当てすぎるよりは、症状が緩和されるアライメントを見つけてください」とリーフ氏は助言しています。言い換えれば、狭窄症のヨギが必要なのは、痛みなく完全に垂直になれるまで、ランジやウォリアーIで前方に倒れたり腰を丸くしたりすることなのです。



3. 心と体のつながりを深められるようにゆっくりと動く


「狭窄症の人がヨガをする時は、今ここに意識を向けることが特に重要です」リーフ氏は言います。練習はゆっくりと行うようにし、それぞれのポーズでもたらされる感覚を腰椎管狭窄症の生徒が感じとり、痛みが増す前に止められるようにしなければなりません。また、ゆっくりとした練習なら、ニュートラルな背骨のアライメントに対する気づきを保ちやすくなるでしょう。


しかし、ゆっくりというのは、ニュートラルな背骨が(少しでも)崩れてしまうほど長くポーズをホールドするという意味ではありません。「ニュートラルでないポーズをあまり長く行わないでください。数呼吸したらニュートラルに戻りましょう」(もちろん、緩い後屈やねじり、前屈が症状を緩和することがわかっていれば良いでしょう)


ヨガを始めたばかりの人は、マインドフルネスを促すような、レストラティブ・ヨガや陰ヨガなど穏やかなヨガが良いでしょう。しかし、長くヨガをしてきた人には、より厳しいタイプのヨガでも、気づきを保ったり必要なポーズの変更をすることが可能かもしれません。


4. コアを強化する


「腰椎の圧迫を軽減して支持するためには、コアの強さが必要です」 腰椎管狭窄症の人は、背中を丸めて行う腹筋運動のような動きではなく、ニュートラルな背骨でコアを強化できるような四つ這いでの腕脚上げ、プランク・ポーズや立位のバランスポーズ、仰向けの脚上げなどを重点的に行いましょう。


ムーラバンダやウッディヤナバンダ(骨盤底や丹田の引き締め)の練習を、心地よい座位あるいは他のポーズで行うことで、内から背骨を支えられるようになるでしょう。これらの「バンダ=鍵」に働きかけるには、吐き出す息と共に骨盤底やお腹を引き込み、吸う息で解放します。


5. 腸腰筋をストレッチする


「腸腰筋が硬くて腰椎が大きく前弯している人は、腸腰筋をストレッチすると背骨がよりニュートラルに近づくかもしれません」とリーフ氏は言います。


腸腰筋は、多くのヨガポーズでストレッチできます。直立のランジや胸をしっかり上げた鳩のポーズ、踊り子のポーズ、戦士のポーズIなどですが、リーフ氏のおすすめは以下です。ベッドの端に横たわり、両膝を引き込み、それから片脚を伸ばして床まで下ろします。
「片膝を抱えておくことで、腰の反らしすぎを防ぎます」しかし、腸腰筋がかなり硬くなっている人は、ただ床に横たわって両膝を引き込み、それから片脚を伸ばして腿を床に下ろすだけで十分なストレッチになるでしょう。


狭窄症の人が腸腰筋をストレッチするときのリスクは、不注意に腰を反らしすぎて症状を悪化させることです。腰への意識を保ち、そこを広げるように息を吸って、ゆっくりとストレッチさせていき、腰椎のカーブが強くなる前にストレッチを止めるための時間をたっぷり取りましょう。



6. 必要なら座る


狭窄症の人で、立っていると症状が悪化し座ると緩和する人もいます。もし立位ポーズで不快感が増すなら自由に休憩しましょう。椅子に座るか、マットやボルスターの上で楽な座位になりましょう。座位でアクティブなポーズを行うチェアヨガや、ボルスターやブランケットを支えに横たわって行うリストラティブヨガなどを検討してみましょう。



7. 横向きに寝る、あるいは両脚を上げてみる


狭窄症の人は多くの場合、仰向きで真っ直ぐ横たわるよりも、横向きに寝て両膝を曲げ背骨を丸める胎児の姿勢になると症状が緩和します。クラスの最後に、両脚の間にボルスターやブランケットを挟んだ胎児の姿勢になってみましょう。あるいは、仰向けで横たわり、膝下をボルスターや椅子に載せて腰を解放しましょう。


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次回に続きます。