編集註:下記はヨガの実践者や指導者のための一般的な助言を目的としています。医療従事者による個別の助言の代替ではありません。ヨガの指導者は自身の役割の範囲にとどまるべきであり、生徒に対して診断や治療、医学的アドバイスを行わないようにしてください。
腰部脊椎管狭窄症は、脊椎や神経根が圧迫される腰椎の狭窄ですが、ますます増加の傾向にあり2025年までには米国の高齢者6500万人に起こるだろうとされています。無症状の方もいる一方で、その症状には臀部の痛み、針を刺したような感覚、けいれん、脚の弱まりなどがあります。最も多い症状は腰痛です。狭窄症でない人と比べて3倍多いとされています。
ヨガで腰痛が緩和することがよく知られているため、腰椎管狭窄症の人はヨガが安全で効果的だろうと思うでしょう。
「The Back Pain Secret: The Real Cause of Women's Back Pain and How to Treat It」の著者である理学療法士のビル・リーフ氏によれば、狭窄症を持つ人は医師からヨガをしてもいいと許可を得る方が良いかもしれません。
「ヨガは理学療法のように、 圧迫の影響を最小限にしながら、コアの強化や脊柱湾曲の制御向上を図ることができます」とリーフ氏は言います。同時に「ヨガは、症状が穏やかで断続的あるいはしばしば起こる人に向いています。頻繁な痛みのある中程度から深刻な狭窄症の人は、激しい動きのあるヨガには耐えられないので、脊柱湾曲維持のために補助具を使うようなより穏やかな練習法を探すと良いでしょう」
よくある動きやポーズがどのように狭窄症に影響するか、つまり症状を緩和したり悪化させる動きやポーズのことを指導者や生徒がよく理解している限りにおいて、狭窄症の人の多くがヨガの恩恵を得られるでしょう。
すべきこと、してはいけないこと
下記の「べき・べからず集」は、多くの狭窄症の方に関係するでしょう。よくある大勢で行うクラスや自宅での練習で役に立ちます。
しかし、腰椎管狭窄症には多くの原因があります。「脊柱狭窄症は、感染や腫瘍、靭帯肥厚、骨棘の肥大、椎間板の問題から起こることもあります」とリーフ氏は言います。米国関節炎財団によれば、若年層の狭窄症は脊柱側湾症や生まれつきの椎管狭窄で起こりますが、最も多いのは50歳以上で、骨関節炎やリューマチ性関節炎、転倒など脊椎の怪我の後遺症などが原因となります。また腰椎管狭窄症は椎骨の間、椎骨の内側、神経根が出る椎骨の隙間など脊柱の様々な部分で起こり得ます。
腰椎菅狭窄症の位置はさまざまで圧迫もさまざまであるため、それぞれの生徒にはそれぞれのアプローチが必要で、全ての生徒が医師に避けるべき動きやどこに焦点をあてるべきかを医師に相談した方がよいでしょう。
すべきこと
以下のタイプのポーズや動きは、腰椎管狭窄症を持つ多くのヨギに効果があるでしょう。ご提案のポーズでをしていて、もし痛みや痺れが始まったり強くなったときは、自分のリストから削除しましょう。リーフ氏はこう言います、「気持ちがいいと感じれば、大抵の場合それは『すべきヨガポーズ』です」
1. 優しい前屈を練習する
脊椎の屈曲、つまり前屈で、多くの場合は狭窄症の症状が一時的に驚くほど軽くなります。狭窄症の人は、「ショッピング・カートに掴まって前方に寄りかかると楽になる」ことが多く、習慣的に前屈みの姿勢になっていく、とリーフ氏は言います。これは、屈曲によって「脊柱管の容積が大きくなり、神経や椎骨の圧迫が取り除かれる」からです。
狭窄症の人に推奨される優しい前屈というのは、他の腰痛診断で一般的に推奨される姿勢とは真逆になります。骨粗鬆症や後湾症の人に推奨されることが多いのは、伸展、つまり後屈ですが、狭窄症の人にとって進展はより圧迫を強めてしまいます。(記事の後半で考察しましょう)
前屈は、脊椎の脆弱な部分を保護するため、徐々に行うべきだとリーフ氏は付け加えています。「前屈の理想的な深さを見つけるために、ゆっくり動くこと、そして降りる動きをコントロールするために補助具を使うと良いです」例えば、半分の前屈(アルダウッターナサナ)から前屈(ウッターナサナ)に入る時、狭窄症の人は、まずは両手をひざに置いておき、そこでより深い前屈も大丈夫と感じるなら、両手をすねやブロックに移動させるとよいでしょう。
狭窄症のある人がどの程度前屈していいのかは人によります。症状が強くなったり弱くなったりするまで曲げるべきでしょう。パスチモッターナサナやウッターナサナのような深い前屈で、症状が軽くなる人もいるでしょう。半分の前屈や杖のポーズでいるのが最も心地よい人もいるかもしれません。また、仰向きで横たわる際に片膝あるいは両膝を胸に近づけると楽になる人もいるでしょう。
2. 背骨が(おおよそ)ニュートラルなポーズ重点的に行う
腰椎管狭窄症の痛みが、前屈では短時間しか緩和されない場合は、ヨガクラス中でもそれ以外でも、背骨をニュートラルにしていくことがより強い圧迫を避ける長期間の解決法です。
「ニュートラルな背骨は、側面や椎間板、椎体などヨギが必要とする全てのものの悪化を防ぎます」
リーフ氏によれば、ニュートラルな背骨とは、背骨の自然な湾曲を維持できている、そして背骨を伸ばす方向に働いている状態です。
壁を使うと、ニュートラルとはどんなものかを体験するのに役立ちます。また、
支えになるだけでなく、「壁は固有受容のフィードバックを返してくれます」
狭窄症のある人もない人も、壁にもたれると肩の上に耳、腰の上に肩を上下に並べやすくなるはずです。壁から前に数センチ離れて立ち、骨盤、背中や背中上部、肩甲骨、そして後頭部を壁につけ、同時に首と腰を少し壁から離して曲線を作ります。(もし少し曲げた方が快適なら、壁ぎわで椅子のポーズを練習してもいいでしょう。壁から数センチ離れるまで歩き、腰が平らに壁につくまで膝を曲げます)
壁際で作ったニュートラルなアライメントは、座位ポーズにも、テーブルトップやプランクなどのポーズにも応用できます。
習慣的に前屈みの姿勢をするようになった狭窄症の人たちも、ニュートラルな背骨に徐々に戻っていくと良いでしょう。「ポーズが快適にできるように、ほんの少し前屈みになっておく必要がある人もいるでしょう。それで構いません。あまりにも急いで完璧にニュートラルな背骨にしようとすると痛みにつながるかもしれません。「ポーズの伝統的な形に焦点を当てすぎるよりは、症状が緩和されるアライメントを見つけてください」とリーフ氏は助言しています。言い換えれば、狭窄症のヨギが必要なのは、痛みなく完全に垂直になれるまで、ランジやウォリアーIで前方に倒れたり腰を丸くしたりすることなのです。
習慣的に前屈みの姿勢をするようになった狭窄症の人たちも、ニュートラルな背骨に徐々に戻っていくと良いでしょう。「ポーズが快適にできるように、ほんの少し前屈みになっておく必要がある人もいるでしょう。それで構いません。あまりにも急いで完璧にニュートラルな背骨にしようとすると痛みにつながるかもしれません。「ポーズの伝統的な形に焦点を当てすぎるよりは、症状が緩和されるアライメントを見つけてください」とリーフ氏は助言しています。言い換えれば、狭窄症のヨギが必要なのは、痛みなく完全に垂直になれるまで、ランジやウォリアーIで前方に倒れたり腰を丸くしたりすることなのです。
3. 心と体のつながりを深められるようにゆっくりと動く
「狭窄症の人がヨガをする時は、今ここに意識を向けることが特に重要です」リーフ氏は言います。練習はゆっくりと行うようにし、それぞれのポーズでもたらされる感覚を腰椎管狭窄症の生徒が感じとり、痛みが増す前に止められるようにしなければなりません。また、ゆっくりとした練習なら、ニュートラルな背骨のアライメントに対する気づきを保ちやすくなるでしょう。
しかし、ゆっくりというのは、ニュートラルな背骨が(少しでも)崩れてしまうほど長くポーズをホールドするという意味ではありません。「ニュートラルでないポーズをあまり長く行わないでください。数呼吸したらニュートラルに戻りましょう」(もちろん、緩い後屈やねじり、前屈が症状を緩和することがわかっていれば良いでしょう)
ヨガを始めたばかりの人は、マインドフルネスを促すような、レストラティブ・ヨガや陰ヨガなど穏やかなヨガが良いでしょう。しかし、長くヨガをしてきた人には、より厳しいタイプのヨガでも、気づきを保ったり必要なポーズの変更をすることが可能かもしれません。
4. コアを強化する
「腰椎の圧迫を軽減して支持するためには、コアの強さが必要です」 腰椎管狭窄症の人は、背中を丸めて行う腹筋運動のような動きではなく、ニュートラルな背骨でコアを強化できるような四つ這いでの腕脚上げ、プランク・ポーズや立位のバランスポーズ、仰向けの脚上げなどを重点的に行いましょう。
ムーラバンダやウッディヤナバンダ(骨盤底や丹田の引き締め)の練習を、心地よい座位あるいは他のポーズで行うことで、内から背骨を支えられるようになるでしょう。これらの「バンダ=鍵」に働きかけるには、吐き出す息と共に骨盤底やお腹を引き込み、吸う息で解放します。
5. 腸腰筋をストレッチする
「腸腰筋が硬くて腰椎が大きく前弯している人は、腸腰筋をストレッチすると背骨がよりニュートラルに近づくかもしれません」とリーフ氏は言います。
腸腰筋は、多くのヨガポーズでストレッチできます。直立のランジや胸をしっかり上げた鳩のポーズ、踊り子のポーズ、戦士のポーズIなどですが、リーフ氏のおすすめは以下です。ベッドの端に横たわり、両膝を引き込み、それから片脚を伸ばして床まで下ろします。
「片膝を抱えておくことで、腰の反らしすぎを防ぎます」しかし、腸腰筋がかなり硬くなっている人は、ただ床に横たわって両膝を引き込み、それから片脚を伸ばして腿を床に下ろすだけで十分なストレッチになるでしょう。
狭窄症の人が腸腰筋をストレッチするときのリスクは、不注意に腰を反らしすぎて症状を悪化させることです。腰への意識を保ち、そこを広げるように息を吸って、ゆっくりとストレッチさせていき、腰椎のカーブが強くなる前にストレッチを止めるための時間をたっぷり取りましょう。
6. 必要なら座る
狭窄症の人で、立っていると症状が悪化し座ると緩和する人もいます。もし立位ポーズで不快感が増すなら自由に休憩しましょう。椅子に座るか、マットやボルスターの上で楽な座位になりましょう。座位でアクティブなポーズを行うチェアヨガや、ボルスターやブランケットを支えに横たわって行うリストラティブヨガなどを検討してみましょう。
7. 横向きに寝る、あるいは両脚を上げてみる
狭窄症の人は多くの場合、仰向きで真っ直ぐ横たわるよりも、横向きに寝て両膝を曲げ背骨を丸める胎児の姿勢になると症状が緩和します。クラスの最後に、両脚の間にボルスターやブランケットを挟んだ胎児の姿勢になってみましょう。あるいは、仰向けで横たわり、膝下をボルスターや椅子に載せて腰を解放しましょう。
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次回に続きます。
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