2023年10月18日水曜日

心臓病の原因は高コレステロールでなく炎症かも Vol.2
Inflammation, Not High Cholesterol, May Cause Heart Disease

前回からの続きです。

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心臓発作の警告サイン


心臓発作は突然で強いものもあります。「映画の心臓発作」と呼ばれ、誰の目にも明らかなものです。しかし、ほとんどの心臓発作はゆっくりと始まり、軽い痛みや不快感を伴います。発作に見舞われた人は多くの場合、何があったのかわからず、長い間助けを呼びません。心臓発作が起きていることを示すサインは以下です。


胸の痛み
ほとんどの心臓発作で、胸の中心に痛みを感じ数分間続きます。あるいは、痛みが消えたり戻ってきたりします。不快な圧迫感、締め付け、膨満感、痛みとして感じられます。


上半身の他の部分の痛み
腕や背中、首、顎、胃の痛みや不快感という症状もあります。


胸の痛みを伴うまたは伴わない息切れ


その他サインの可能性として、冷や汗やめまい、立ちくらみなどがあります。男性に比べて女性はやや、息切れやめまい、吐き気、背中痛や顎の痛みを感じる場合が多いです。



より複雑なことに・・・


もしあなたが中年男性で、高コレステロールというリスク要素があるなら、あるいはLDL値が高いことを知っているなら、注目してください。最近、「悪玉」コレステロールには、パターンAとパターンBの二つの味があることが発見されました。軽く、ふわふわして完全に大丈夫なLDL-Aは心臓疾患に全く危険を及ぼさないが、小さく硬いBは「悪い奴」だと、心臓科の専門であるジョニー・ボウデン博士は言います。パターンBのLDLは、内皮に留まって酸化し動脈プラークとなります。ですから、AとBの割合を知ることが心臓疾患のリスクを明らかにすることに役立ち、パターンBのLDLを減らす必要があるシグナルかもしれません。もちろん、LDL酸化に繋がり、動脈プラーク形成を起こす炎症を促すリスク要素を最低限にする必要はあります。




何ができるのか


医師や研究者らが心臓疾患の複雑な原因について明らかにできることは今後もないかもしれませんが、あなたの心臓を守るために今すぐ行動するのを止めるべきではありません。それが大きな変化を伴う人もいるでしょうが、すでに健康的なライフスタイルを送っている私たちにとっては少しだけ付け加えるだけで良いでしょう。



リスク要因を減らす


私たちの健康を損ねる慢性疾患と同様、心臓病は食事や運動の良くない選択、喫煙や過度な飲酒など疑問のある習慣などが原因で発症します。ほとんどの人はそれを既に知っているというでしょうが、この知識に基づいて食事を改善し、心臓病のリスク要因を減らすために行動するのがまず第一歩です。そして、あなたの心臓に闘うチャンスを与えるあまり知られていない手段に講じることも考えてみましょう。


1. インシュリン・レベルを下げる
医師らは糖尿病予防のためこれをしろと言いますが、高インシュリンはまた、動脈の炎症に繋がる生化学的連鎖反応を引き起こし心臓疾患の原因にもなり得ます。高インシュリンはまた、腹部の脂肪蓄積を(例のスペア・タイヤですね)促します。インシュリンを下げるには、食べる糖分を制限します。栄養士のボウデンが「脂肪よりもっと大きなダメージを与え炎症させる物質」と呼ぶところの、精製粉のパン、パスタ、短粒米、じゃがいも、インスタントのオートミールなど高血糖の炭水化物を避けなければなりません。


2. 口内環境を整える
習慣的な歯磨きやフロスは単に歯を守ったり息をきれいにするだけではありません。数多くの研究で、不健康な歯茎と心臓疾患の関係性がわかってきています。もっとも深刻な歯茎の疾患である歯周炎は、循環器疾患のリスクを30%以上も増加させます。



3. ストレスレベルを下げる
体内の慢性的なストレスが、自然な闘争逃走症候群として副腎からのコルチゾールを絶え間なく分泌させます。このコルチゾールや他の関連したホルモンが、動脈を収縮させ血圧を上げ、心拍を上げ、血中の凝固を促します。研究では、瞑想や祈り、ヨガ、バイオフィードバックなど心身のテクニックがストレスレベルを下げ心臓発作リスクを軽減すると示しています。

 

サプリメントを使う


心臓に良くない炎症性の食べ物や、フリーラジカルを誘発する環境的な毒素、汚染物質などに対抗するため、抗酸化物質のビタミンや抗炎症性のサプリを取り入れましょう。


ビタミンC、E
これらの強力な抗酸化物質はまた、動脈硬化を軽減しプラーク形成を防ぎます。


CoQ10
すべての細胞に存在する油性の栄養素コエンザイムQ10は、フリーラジカルを強力に排除し、LDL酸化を防ぎます。


NAC
正式な名前は「NアセチルLシステイン」です。NACはシステインの一種で、体内で最も重要な抗酸化物質のひとつであるグルタチオンを増加させます。


ALA
ALA(アルファ脂肪酸)は、それ自体が抗酸化物質であるだけなく、体内のビタミンCやE、グルタチオンをリサイクルするのに役立ちます。ALAはまた、亜麻仁や亜麻仁油にも含まれます。


オメガ3 
これらの重要な脂肪酸は炎症を抑え、血栓の防ぎ、心臓発作の死亡率をも下げるとされています。


ヨガを続ける
オハイオとジョージアの州立大学での研究で、ヨガで、慢性炎症のマーカーとなるサイトカイン・インターロイキン6のレベルが下がることがわかりました。また数多くの研究で、ヨガが主にコルチゾールを下げ中枢神経のバランスをとることにより、血圧(心臓疾患のもう一つのリスク要素)を下げることが示されています。



もちろんヨガの専門家が信じるのは、心臓疾患とは検査結果だけではありません。自分の体、心、精神とのつながりが切れた状態だとみなしています。そして、心臓によい環境を作るには、アサナ、プラナヤマ、瞑想、無私の奉仕といった実践要素をすべてを組み合わせるべきだとしています。その方法が以下です。



体の全可動域まで動かす様々なポーズを含んだ継続的な練習に取り組みましょう。後屈は胸郭を開いて心配機能を高め、立位ポーズは脚を強化し全身をストレッチします。前屈では安定感を得られエネルギーを取り戻し自律神経を落ち着かせます。ツイストは内臓をマッサージし全身の血流を高めます。


感情や心の状態をよく観察しましょう。血圧は、当然ながら勝手に上がるものではありません。20年以上前、ディーン・オーニッシュ医学博士と彼の研究チームが、感情的なストレスや孤立感、敵対心、自己批判などが、高コレステロールや酸化LDL、トリグリセリドレベルやニコチンと同様に心臓疾患に関係があると世界に証明しました。彼らはまた、ヨガや瞑想、グループサポートなどのライフスタイルの変化が病気を緩和することを示し、医療関係者を驚かせました。


ウッジャイ呼吸(勝利の呼吸)やナディ・ショーダナ(片鼻呼吸)などのプラナヤマを日課に取り入れて不安や動揺を減らしましょう。ただし、高血圧の人はクンバカ(呼吸を止めること)はやめておきましょう。


高血圧の緩和になるレストラティブヨガやチャンティング、マントラ瞑想などを実践しましょう。肉体としての心臓を落ち着かせ、感情的な心も落ち着かせられます。



心臓の健康に良いレストラティブヨガ


神経を落ち着かせ平衡状態を取り戻すため、以下のポーズを日課に取り入れましょう。高血圧のばあいは、頭立ちなど支持のない逆転ポーズは避けましょう。もし時間がなくてひとつのポーズだけをするなら、シャヴァアーサナ(屍のポーズ)やヴィパリタカラニ(両脚を壁に立てかけるポーズ)で、最大の効果を得ることができます。

  1. 頭を支えたアドムカ・シュヴァナーサナ(ダウンドッグ)
  2. 支えに体を沈み込ませるバラアサナ(子供のポーズ)
  3. たくさんの支えを使ったスプタ・バッダコナアサナ(仰向きの合蹠のポーズ)
  4. 仙骨を上げたヴィパリタ・カラニ(両足を壁に立てかけるポーズ)



必須脂肪酸を摂る3つの方法


ヴェジタリアン(あるいは単に水銀汚染や持続可能性を懸念する人)は、植物からだけでも必須脂肪酸を摂ることができます。


  • 大麻油や亜麻仁油にはアルファ・リノレン酸(ALA)が含まれており、体内で魚油にある必須脂肪酸に変化します。大麻油は亜麻仁油よりも味が良く、オメガ6とオメガ3の比率が3対1と理想的です。また、大麻油にはガンマ・リノレン酸(GLA)も含まれており、炎症を抑え肌の健康を向上させます。どちらのオイルも熱が加わると分解されてすぐに異臭がするので、開封後は冷蔵し1-3ヶ月内に消費しましょう。

  • くるみは、オメガ3に加えて心臓によい一価不飽和脂肪、また特に心臓によい小麦由来でないビタミンEを含んでいます。くるみの薄皮にも重要なフェノール酸、タンニン、フラボノイドが含まれているので、やや苦味はありますが一緒に食べましょう。

  • 微細藻類には、ALAとともにDHAやEPAが豊富に含まれており、オメガ3の必須脂肪酸が摂れます。魚は藻類を食べて脂肪内にオメガ3を蓄えます。微細藻類は今、魚油と同様に心臓に効果(英国栄養ジャーナルより)のあるサプリとして販売されています。




食べるべきもの


伝統的に、地中海周辺国であるスペインやギリシャ、イタリアの人々、特に中国や日本のアジア圏の人々は、欧米よりも心臓疾患の数が少なく、また寿命も長い傾向にあります。なぜでしょう?それは、伝統的な食事にあります。マリナーラソースに大豆は入っていませんし、中華鍋にオリーブ油は使われませんが、どちらの食事にも飽和脂肪や硬化脂肪が少なく健康的なオイルが多く含まれており、魚や野菜が中心です。心臓疾患の予防前線の共同著者である心臓病学者スティーブン・T・シナトラ医学博士とジェームス・C・ロバーツ医学博士は、アジア圏と地中海圏の食事を組み合わせた食事法(PAM diet)を提案しています。




抗酸化物質が豊富な果物や野菜

これらは、LDLコレステロール分子を酸化させ体内の炎症を引き起こすフリーラジカルと戦います。ここでのヒントは、自分の好きなものを食べるということです。


食べるべきもの:ブルベリーやブラックベリー、チェリー、赤い葡萄、いちごなど鮮やかな色の果物、ケールやほうれん草、芽キャベツ、ブロッコリーなどの緑の濃い野菜、ビーツや赤パプリカなどイキイキとした赤い野菜は抗酸化物質が高濃度で含んでいます。また玉ねぎは、LDLを酸化を防ぐケルセチンという特別なフラボノイドが豊富です。抗酸化飲料はないのかって?適量の赤ワイン(レスベラトールを含みます)や、炎症に関係する酵素をブロックする緑茶はどうでしょうか?



ナッツや種など

良質の必須脂肪酸、タンパク質、食物繊維が豊富で、狩猟採集時代の主食であったこれらには、吸収した食物コレステロールを減少させるのに役立つ植物ステロール(植物油)も含まれています。

食べるべきもの:生のアーモンド、くるみ、ピーカンナッツ、ブラジルナッツ、ひまわりの種。



低GIの穀物

これらの食物には、高GIの穀物に比べて多くの食物繊維が含まれおり、消化に時間がかかるため、血糖値を安定させインシュリンの劇的な増加を起こしにくくします。食物繊維はまた、消化器官を浄化し過剰なコレステロールを吸い取ります。実際に、1日に食物繊維を10g多く摂取すると心臓病リスクが29%下がるという研究があります。


食べるべきもの:黒パンやスペルと麦のパン、バルガー(トルコの麦料理)、玄米やワイルドライス、大麦、オーツ麦、キノア、ひえ、そば。



オメガ3脂肪酸

コーン油、サフラワー油、サンフラワー油での加工食品には炎症の原因となるオメガ6脂肪酸が過剰に含まれており、こうした商品を好んで摂取することで体内のオメガ6とオメガ3の比率が悪くなります。健康となる3対1から、20対1にまでなることもあります。オメガ6の多いポリ不飽和植物油や加工食品を避け、オメガ3を増やしましょう。


食べるべきもの:冷たい海にいる魚(サーモン、サバ、鰯など)、大麻油や亜麻仁油、大豆、海藻など。



ビールや乳製品を飲むのなら少しに

この食品が含む不飽和脂肪は、毎日消費するには多すぎます。また、動脈の損傷を促すホモシステインとなるメチオニンが多く含まれています。

食べるべきもの:代わりに魚を摂取することで脂肪の少ないタンパク質が得られ、炎症を抑えるオメガ3を摂取、また動物性の食物を全く摂らないことで問題を排除することができます。



にんにく

地中海料理やアジア料理で多く使われるニンニクには、長い薬効の歴史があります。植物栄養素の中でも、LDLを下げて良いコレステロールを増やすアリシンを含んでいます。また血圧を下げ血小板の粘性を下げます。


使い方:生のニンニクをみじん切りにして15分置き、栄養分を放出させます。最大の効果を得るには、1日に5房ほど食べる必要があります。



オリーブ油をたくさん

古代ギリシャでは、オリーブの木は素晴らしい癒しの力があると考えられており、オリーブの実から採れるオメガ9脂肪酸が豊富な一課不飽和油は、心臓発作リスクを減らし血圧を下げます。


使い方:エキストラ・バージンオイルを使いましょう。加工が最低限で、精製されておらず、酸化していません。



大豆

どんな形状であっても、大豆はHDLを増やしてLDLや血圧を下げます。

食べるべきもの:枝豆など丸大豆や、テンペなど発酵した大豆、たまり醤油、豆乳、豆乳ヨーグルト。









2023年10月16日月曜日

心臓病の原因は高コレステロールでなく炎症かも Vol.1
Inflammation, Not High Cholesterol, May Cause Heart Disease


今回の記事は、コレステロールと心臓疾患についてです。
予防のために何を理解すべきなのか、何ができるのかをみていきましょう。
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一般的に、ヨガの実践者は心臓が健康なグループに入ります。ヨガは、体への習慣的な運動と心へのストレス緩和のテクニックを与えてくれます。喫煙する人は少なく、アルコールを飲む人でもその量は適度です。そしてほとんどの人は、マイケル・ポランが彼の著書「食べ物が守る力」で述べている率直なアドバイスに従っているでしょう。「食べ物を食べよう。食べ過ぎないで。主に植物を」


では、どうして心臓病について心配しなければならないのでしょう?第一には、病気にならない人は誰もいないし、米国で多い死因は心臓病だからです。第二に、健康診断に行ってコレステロールが高いとスタチンを処方されてしまった知り合いが誰にでも一人はいるからです。そして最後に、コレステロールが心臓病の主な原因ではないかもしれない(現在、研究者らは炎症が原因としている)ことを知る必要があるからです。つまり、私たちは長い間間違ったボールに目を向けていたということです。


コレステロールに注目し始めたのは約60年前、米国心臓協会が冠動脈疾患の原因が「バターとラード、牛肉、卵」だと宣言した時です。医療界が、血液のコレステロール・レベルを上げる食べ物に含まれる高レベルの飽和脂肪であり、過剰なコレステロールが動脈を閉塞させるという考え方を取り入れたのは間も無くでした。低脂肪の食事とコレステロールを低下させる投薬が劇的に増加した50年がすぎた現在、その概念は、ほとんどの医療関係者や消費者の頭の中にしっかりと確立されたのです。


そろそろ、それを見直す時期ではないでしょうか?「コレステロールの重大な俗説:コレステロール値低下が心臓病を予防できない訳(スタチンフリーに効果)」の共同著者(スティーブン・シナトラ医学博士著)で栄養士のジョニー・ボウデン博士は、「コレステロール値を下げて心臓病を予防しようとするのは、マクドナルドの巨大な食事からピクルスを取り除いてカロリーを減らそうとしているようなものだ」と述べています。65歳以上の男性、そして全年齢の女性で、冠動脈疾患を判断するのにコレステロール値を見るのは事実上意味がありません。そして、おかしなことに、ちょっと下がって大局をみれば、低いコレステロールは、予防どころかより病気の原因となる可能性があります。



敵を知る


医師らはめったに認めないのですが、高コレステロールの人は実のところ長生きです。少なくとも6つの研究で、コレステロール値が低いほど死亡率が高いことがわかっています。実際、米国の死因の全てを見ると、コレステロール値の高い人には癌が少なく、消化器官や呼吸器官の疾患で亡くなるリスクが低く、自動車事故や自殺も少ないのです。驚くことに、コレステロールによる防御は、深刻な心臓病にまで及びます。米国と欧州での研究では、心臓病患者でコレステロールレベルが高い人は、低レベルの人たちよりも長寿でした。


私たちの体がコレステロールを必要としているのは、脳細胞生成という何よりも重要な役割があるからであり、研究では低すぎる値(160以下)が鬱や攻撃性、脳出血、認知障害などと関係があるとされており、これらは全て事故や自殺の死亡率が高いことを説明しているのではないでしょうか。



高コレステロールの悪評


コレステロールを議論するには、まず肝臓が1日に約800ー1000mgのコレステロールを生成していることを知ることから始めるべきでしょう。これらは体が健康を保つために必要な量です。しかし、食べるものからコレステロールを追加摂取すると(動物由来の食物には全てコレステロールが含まれます)、体はその余分に対処するまで生成を抑えます。また、脂肪を消化し、細胞粘膜を強化・修復し、神経を隔離し、ビタミンDを合成し、性生活を制御するものの含めたホルモンを生成するのを助けるため体はこの柔らかでドロッとしたステロールを必要としています。


コレステロールは脂肪のような物質なので、水性の血液に溶けたり細胞に直接流れ込んだりはできません。そのかわりに、リポタンパク質という特別な乗り物に乗せてもらう必要があります。おそらく私たちが良く聞くのはLDL(低比重リポタンパク)とHDL(高比重リポタンパク)の2つでしょう。科学者らが発見しているのは、LDLが必要な場所にコレステロールを運び、より重いHDLが動脈壁をもすくい取って余分なコレステロールの掃除係として働き、それらを処理し排出するため肝臓に戻すということです。


この文脈からみれば、HDLもLDLも体の日々の活動で重要な機能を果たしているため、どちらも「善玉」コレステロールと呼べます。しかしながら、コレステロールが心臓疾患の原因だという議論の初期では、HDLだけが血中コレステロール・レベルを下げるため善玉だという扱いを受けました。一方LDLは、フラミンガム心臓研究の研究者らが心臓疾患の「限界危険要素」だと位置付けたため「悪玉」と烙印を押されました。


体が作る極めて重要な物質が死をもたらす可能性があるというのは想像し難いのですが、「悪玉コレステロール」という烙印はそう言及しており、LDLレベルをできるだけ下げる意図でのLDLコレステロール薬の全面戦争が勃発しました。この前提は、体がLDLを不可欠としていることを見落としているだけでなく(LDL無しでは細胞は必要なコレステロールを得られない)、重要な事実を見ぬふりをしています。LDLが「悪玉」になるのは、電子のひとつが放たれることでフリーラジカルが酸化(本質的に不安定化)した時だけです。それは動脈壁にくっついて炎症連鎖を起こし心臓発作の原因となる血栓につながるのです。



おそらくは、まだ他にも


高コレステロール論理(脂質仮説と呼ばれます)への最も的を得た乖離は、おそらく心臓発作を起こした人すべてのうち半分になる人のコレステロールが正常値だという不都合な真実です。ほとんどの人は、50%というその数字に注目し、コレステロール以外の何かがこの明らかな矛盾の原因となるのではないかと思うでしょう。


数えきれない研究によって、脂肪仮説が心臓疾患を深刻に単純化しすぎていること、心臓疾患の予防には抗酸化物質の果す役割を完全に軽視していることがわかっています。1990年代のリヨン食事心臓研究では、心臓発作で回復した人1グループを米国心臓協会認定の低脂肪、高炭水化物、抗コレステロールの食環境におき、他のグループを野菜、果物、ナッツ類、魚、オリーブ油を主にしたいわゆる地中海ダイエットとよばれる食環境に置きました。研究の結果、どちらのグループも同等のコレステロール値でしたが、地中海ダイエットのグループは2度目の心臓発作を起こした人が大幅に少なく、胸の痛み(不安定性狭心症)や心臓疾患を起こした人もかなり少数でした。どうしてでしょうか?果物や野菜に見られる抗酸化物質や魚に含まれるオメガ3脂肪酸の抗酸化作用に関係があるのではないかと研究者らは考えています。


そして、フランスのパラドックスがあります。フランス人はリッチで高コレステロールの食事を大胆に奔放に食べている様子ですが平均的な全コレステロールのレベルはおよそ250のあたりにとどまり、先進国では最も心臓疾患の件数が少ない国だという不思議な事実のことです。このパラドックスを研究している研究者たちはまた、新鮮な野菜や果物の摂取、そして特にレスヴェラトロールなど赤ワインの強力な抗酸化物質に注意を向けています。


それでは、抗酸化物質は体内でどんな役割をしているのでしょう?抗酸化物質は炎症を抑えます。そして、最近の研究などでは、炎症が心臓疾患の発症や心臓発作に重要な役割を果たしていることが確認されたようです。それはどのようにでしょうか?では動脈の中を覗いてみましょう。高血圧や高血糖の食事からくる血糖スパイク、喫煙の毒素、環境汚染や殺虫剤などの何らかが、動脈の表面を覆う細胞一枚の厚さである内皮を傷つけます。LDLは、おそらくは傷ついた細胞を修復しようとその傷にとどまり、そして血中のフリーラジカルによって酸化します。免疫細胞が傷を治そうと集まり、炎症はさらに悪化します。指を切った場所の周りが赤くなるのを考えてみてください。体は大きくなる「汚染」を止めようと、硬く繊維質の蓋をしますが、この蓋が動脈プラークです。このプラークが安定している時、炎症は治まって蓋はそのまま残りますが、このプラークが悪さをするのは動脈を狭めることだけです。一方で、不安定なプラークは、破裂して血栓を作り出すことがあり、結果的に狭まった動脈を堰き止めて心臓発作を引き起こすのです。


炎症のある心臓障害なのかを調べるため、医師らは数多くの血液検査に頼ります。こうした安価の検査は、症状が起こる前であっても心臓疾患の見つけるのに重要な役割を果たしています。


では、こぞって検査に行くべきなのでしょうか?おそらく、心臓疾患のリスク要因をいくつか持っていない限りは必要ないでしょう。特にストレスの多いライフスタイルや、過剰な体重、高血糖などです。簡単に言えば、炎症を引き起こすライフスタイルを送っているなら必要でしょう。しかし、まずは気持ちを新たにして、心臓の健康のために何をするべきか、何を食べるべきかをみていきましょう。






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次回に続きます。


2023年10月12日木曜日

スーリヤ・ナマスカラの古い起源:太陽礼拝 
The Ancient Origins of Surya Namaskar: Sun Salutation

では前回に続き、ハヌマンのお話です。
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先生と生徒の関係性は、ヨガの中心にあります。心の解放、解脱の道は先生を通して学ぶものです。ヴェーダの時代、グルとシシャ(先生と生徒)の関係はとても近く、まるで家族のようでした。生徒がオンラインでトレーニングの申し込みができたり、ペイパルやクレジットカードで支払ったり、決められた時間でトレーニングを終えたりできる現代とは全く異なります。その昔は、選んだ先生に受け入れられた幸運な生徒は、修了したと言われるまで先生のアシュラムに住み込みました。その間、生徒は実際の生活でも先生に仕えなければなりませんでした。木を切ったり、水を汲んだり、先生の動物や穀物の世話をしたりと、基本的に頼まれたことは何でもしました。先生と生徒の関係性は文字通りお金で買えるものではありませんでしたが、修行が終わる時、生徒は謝礼(グル・ダクシナ)をする必要がありました。それはお金でもいいのですが、大抵はそうではありません。多くの場合それは奉仕であり、先生が頼んだものは何でもするものでした。



ヨガ・スートラ(第1章24-26節)においてパタンジャリは、古代から指導者の指導者、根元的グルとしてイシュワラについて言及しています。イシュワラとはもちろん一個人ではなく、高い状態の意識であり、普通の、抑制された、エゴに基づいた状態の私たちを、超越した無限の状態へと変容させるものです。


古代から、人間はそうした究極の指導者に象徴を用いてきました。最も長く用いられてきたものの一つが太陽、スーリヤです。ガヤトリ・マントラという美しいヴェーダのお祈りでは、太陽は「私たちの心を照らす」と唱えられています。


ラーマーヤナの偉大なる猿のヒーロー、ハヌマンは、生まれてまもなくスーリヤに魅了されました。赤ん坊の彼は、空の太陽を見て大きく育った甘いマンゴーだと勘違いしたのです。その力強い猿の脚で地面を蹴り、長い猿の腕を伸ばし、高く跳び上がって太陽を・・掴んでしまったのです(ハヌマンには赤ん坊の頃から超自然の強さがありました)。ハヌマンが太陽を口にポンと入れて食べ始めると、世界は暗くなり、何か悪いことが起こったことにもちろん神々も気づきます。太陽はハヌマンの口を焦がしましたが、強情な猿は離しません。とうとうインドラ神がダイアモンドの雷電(ヴァジュラ)をハヌマンの顎にまっすぐ放ちました。


そこでやっとハヌマンは口を開けて太陽を吐き出し、世界の光は元に戻りました。けれど、彼はヴァジュラで怪我をしてしまいました。実際、彼の顎(ハヌ)は潰れてしまい、今日知られる名前「つぶれた顎を持った者」が付けられたのです。神々はハヌマンの力を一時的に取り上げましたが、あまりにも顎がかわいそうだったので(太陽を助けるためではなく)特別な力を与えることにしました。強さ、速さ、姿を変える能力、禁欲する能力、並外れた記憶力、そして神を真に愛することのできる能力を。それらは全て、その後ラーマ王に出会い仕える時に取り戻すことになるのです。






それまでの間、ハヌマンには教えが必要でした。「スーリヤにお願いしてはどうですか?」彼の母親であるアンジャナは提案しました。「彼は毎日馬車で世界中を駆け、全てのものすべての場所を見ています。全ての聖典を知り、あなたよりも高く遠くまで跳びます。あなたが赤ん坊の頃の果物のささいな事件のことなど忘れておられるに違いない」


そこでハヌマンはスーリヤに先生になって欲しいとお願いしますが、スーリヤは断ります。ハヌマンが彼を食べようとしたことは許しているのですが、こう言いました。「予定が詰まっていて、全く空いた時間がないのだ。動き続けねばならぬ。立ち止まってお前に教えを与えることはできない。そもそも私が動き続けているのにどうやって学べるというのだ」


「一緒に動いたらどうでしょう?」ハヌマンは訊ねました。「そうしたら生徒にしてくれますか?」
「お前には無理であろう。だがそれなら構わない」スーリヤは答えました。


ハヌマンは跳び上がりスーリヤの方に向かって位置を定めました。そしてスーリヤは、この生徒の粘り強さを認め、空を駆け始めながら聖典を説きました。これで当然、ハヌマンは常に後ろ向きに動くことになりましたが、そうする以外にあったでしょうか?先生に背中を向けるなど失礼です。


このハヌマンが後ろ向きに動く道筋が、スーリヤナマスカラ、太陽礼拝の始まりだと言う人もいます。考えてみれば、太陽礼拝の動きをすると、マットの後ろの方で終わるので続けて動くためにはまた前に戻らなければならないことに気づくでしょう。



ハヌマンはとても熱心な生徒だったので、ヴェーダを1週間でマスターしました。そして、スーリヤへの謝礼は何だったのでしょう?おそらくハヌマンが去って少しホッとしたであろうスーリヤは、全てを断りました。「熱心な生徒が学ぶのを見ていたのが、私への報酬であった」



「それでは」ハヌマンは言いました。「私の感謝とナマスカラ(敬意を表す挨拶)のみを捧げましょう」そうして、ハヌマンのグル・ダクシナとして太陽礼拝が生まれたのです。





練習法



歴史的に見ると、スーリヤナマスカラとしてしられる一連のポーズは、世界のエネルギーと光の源であるスーリヤを讃えて早朝の日の出に行なわれた実践から発展したと考えられます。1920年台、アウンドの王が彼の小さな王国(現在のマハラシュトラの一部)の学校に、全ての男女や子供が心身の健康のためにこの実践を取り入れてほしいと、決められた太陽礼拝の動きを導入し、小さな本を出版しました。


現在、ほとんどのヨガの生徒が、いずれかのバージョンのこの実践を早い段階で学びます(動きに合わせてマントラを唱える場合も)。この実践にははっきりとした「正しい」方法はなく、おおよそ12ポーズの流れから成ります。左右対照の立位のポーズ(タダアサナ)、両腕を挙げ、前屈して地面に触れ、ランジになり、下向きの犬のポーズでよく知られるV字のアサナ(他の名前もあります)、うつむきから胸を引き上げる上向きの犬へと流れ、下向きの犬へと戻り、もう一度ランジ、そしてまた地面に触れて前屈、両腕をあげ、そして最初の立位ポーズに戻ります。それぞれの流れを通して、後ろ向きに動き、そして前に戻ります。
  

スーリヤナマスカラで動く時、先生、つまり他でもない世界を導き照らすスーリヤのようにあなたの人生を導き照らす理想の先生イシュワラと向き合っていることをイメージしましょう。動きに合わせて愛と感謝を捧げましょう。




考察


赤ん坊のハヌマンが太陽にしたように、あなたも状況や人に対して誤った判断をしたことはありますか?思い違っていたゴールに向かって衝動的に飛びついた時に何が起きましたか?大切な何かに進もうと決意した時のことを考えてみましょう。甘いマンゴーのように魅力的に見えた仕事や関係が、実は想像していたよりもっと大きく熱く受け入れ難いものだとわかったら。あなたの過ちを思いとどまらそうとしてくれた人はいましたか?それを聞き入れたでしょうか?あなたの想像の中で「果物」だったと思っていたものを手放すのに何が必要だったでしょう?その過程は辛いものでしたか?その結果何か期待していなかったご褒美があったでしょうか?あなたの過ちは霊的に重要なものだったと思いますか?










2023年10月6日金曜日

ハヌマナサナの神話 
The Mythology Behind Hanumanasana

この夏、久しぶりにシンガポールに行った時、インディアン・ヘリテージ博物館や何箇所かのヒンズー寺院を訪れました。久しぶりに直接見るヒンズーの神様たちに、懐かしさとワクワクした刺激を感じました。
ヨガでは、ポーズの中で実は何度もヒンズーの神様に出会います。今回は、その中でも見た目の個性が強いハヌマンについてみていきましょう。

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ハヌマンは、猿族ヴァナラのスーパーヒーローで、風の神ヴァーユと猿族のアンジャナの息子だと言われています。この類稀な生まれから、ハヌマンには霊界と俗界のどちらにも特別なつながりがあります。南アジア文化全てにおいて、肉体的な強靭さ、勇敢さ、霊的な忠誠心といった特性を具現化しています。ハヌマンとヴァナラの人々は、古代インド叙事詩ラーマーヤナにおいて、王女シータと愛するラーマとを再会させるというきわめて重要な役割を果たしています。


風の神の息子であるハヌマンは、その力強い跳躍力で知られています。最も有名な跳躍のうち、2つはランカ島の戦いに関係しています。1度目にハヌマンは、囚われたシータを慰めるため、インドからランカ島まで海岸の間を100ヨージャナ(1ヨージャナは、伝統的に高地から呼び声が聞こえる最も遠い距離だと定義されています。諸説あり)の距離を跳びました。砂を巻き上げ波を後ろへ流す力で、彼の強い脚を伸ばしたのです。


ハヌマンは、後ろの脚の力で空へ舞い上がり、前の脚で遠ぉーいランカ島の海岸へと降りたちました。お祈りのように胸の前で合掌した手には、ラーマの指輪を携えていました。シータが番兵たちに見張られた木の下で悲しそうに座っているのを見つけると、こっそり指輪を渡してラーマがこっちに向かっていることを伝えました。


その後、ラーマの弟ラクシュマナが戦に倒れ、瀕死の状態になります。その傷を治す薬草は遠いヒマラヤに生えています。「行け、ハヌマン!お前の跳躍がもう一度必要なのだ。薬草は、ヒマラヤの・・」とラーマが話し始めるとハヌマンはもう居ませんでした。ヴァナラのスーパーヒーローは、ラーマが言い終える前に薬草がいっぱいの山上に立っていました。ああ、どの草なんだ?ラーマはどこを探せと言った?ハヌマンは植物から植物へと走り回りましたが、すぐに気づきます。「わからない!俺は猿だ、医者じゃ無い!ああ、全部持って帰って先生に選んでもろおう」そして山を根こそぎ引き抜いた彼は、何も落とさないように注意深く頭にのせ、医者の待つ戦場まで跳んで帰ったのです。「ありがとう!」彼らはハヌマンに言いました。「今度は、山を元の場所に戻しておくれ」そうして、また並外れた距離を跳んでいる間に医者たちはラクシュマナの傷を治したのでした。






ハヌマナサナの完成形


ハヌマナサナ(猿のポーズ)は、前後開脚のポーズです。このポーズには練習が必要で、安定性を得るには何かサポートが必要かもしれません。(パタンジャリがヨガスートラで述べた「アサナは安定して快適であるべき、Sthira sukham asanam」という戒めを思い出しましょう)また、股関節や肩、鼠蹊部がしっかりと開くようになって初めてできるポーズです。


まずは犬のポーズになる前のように四つ這いになります。両手は床かブロックに置きましょう。右足を両手の間に出して、一度止まります。右脚を前にのばして、左脚を後ろに下げます。両脚で床を押しながら、腕や両手で体重を支えましょう。ポーズの完成形は、右腿の後ろ(ハムストリングス付着部の上部)が床に着き、左脚の前部(鼠蹊の上部)が床に着いた状態です。後ろの足の甲を床に押し付け、前の足の指をしっかりと開き、両脚を均等に伸ばしましょう。胸郭を持ち上げます。息を吐いて、胸の前で「ナマステ(お祈り)」の手をします。


胸郭全体を引き上げ続けながら、両腕を頭上に上げます。肩甲骨の上部を広げましょう。鎖骨の外側を腕の内側の方へと伸ばし、みぞおちを引き上げます。腕を上へと伸ばし続けながら頭の上で合掌しましょう。


では、尻尾が背骨の下から伸びているのを想像してみましょう。(全ての猿に尻尾があるわけではありませんが、ハヌマンにはあります)跳躍の力で後ろにたなびかせるように、尻尾を長く尾骨を先の方へと伸ばしましょう。頭の頂点へと引き上げます、背骨をできるだけ長く伸ばしましょう。


ハヌマナサナは難しいポーズです。ヤマのアヒムサ(ヨガスートラ2.35 非暴力)、サティヤ(ヨガスートラ2.36 誠実)、アステヤ(ヨガスートラ2.37 不盗)を思い出しましょう。正直なところ、自分の股関節はどれくらい開いているのでしょうか?バガヴァド・ギータのクリシュナの助言を思い返しましょう。自分のダルマ(この場合は自分のアサナ)を不完全に行う方が、他の誰かのものをやろうとするよりも良い(バガヴァド・ギータ 18.47)。アイアンガーや前の列の誰かがやっているのが格好良く見えるからと言うだけで、サポートのない完成系を試そうとして自分を傷つけるのはやめましょう。




猿のポーズのバリエーション


床にマットを置き、マットに対し交差させてボルスターを横にして置きましょう。マットの前の床(マットの上でなく)に、二つに折ったブランケットを置きます。ボルスターの後ろに左膝をつきます。右足をボルスターの前のブランケットに乗せます。かかとはボルスターに接しているかもしれませんが、足の裏はブランケットの上です。このブランケットは、あとで右脚を前にスライドさせるのに役に立ちます。両手はボルスターのそれぞれの両端に。より高くしたい場合はブロックを使いましょう。


左脚を後ろへ伸ばし、膝頭をマットに近づけ(着けないで)ましょう。(後ろの膝はローランジと同様に曲がります)。左腿をボルスターの後ろ端に下ろします。では、右脚を前にスライドしましょう。動かしながら足指は顔に向かって引きます。脚がまっすぐになるまで踵をスライドさせるのに、ブランケットが役立つはずです。今度は、右腿の裏がボルスターの前端についています。左ひざは後ろ端につきます。両方の腿を下へ押し下げましょう。ナマステの形に合掌します。数呼吸ホールドしましょう。そして、両腕を頭の上へ挙げ、両手を離します。


両脚を均等に使いましょう。左腰を前に右腰を後ろに引いて骨盤を揃えます。胸郭と胸の中心を引き上げます。首の後ろを長く保ったまま上を見上げましょう。


ポーズから出るには、腕を下ろし、両手に体重を戻します。左右を替えて行いましょう。   





考察


猿のポーズで努力が要るのはどこですか?目?舌?首?呼吸?脚?楽な場所はどこですか?ポーズが完璧でなくてもかまいませんか?



この努力に自分自身を全て差し出して心を開くことができますか?バガヴァド・ギータは、最善の努力を尽くし、その結果は神に託すよう、私たちに伝えています(2.47)。ハヌマンは、薬草を探すのをやめて代わりに山全体を持って帰ることでこれを体現しています。彼はできることとできないことを認識し、その結果ラクシュマナを助けることができました。自分にできることをやり遂げた時、そして神の手に結果を委ねる時だとどうすれば知ることができるのでしょう?


ハヌマンはラーマのためなら何でもしますが、何でもできるわけではありません。「正しくやる」ことはどれくらい重要なのでしょうか?最善を尽くしたいという欲求が完璧主義になっていませんか?完璧主義モードの時は、おそらく自分に暴力を与えているのではないでしょうか?



ハヌマンが跳躍するのは、シータを慰めたり、ラクシュマナの薬を届けたり、誰かを助けるためです。彼は早まって山へと跳びますが、正しい薬草を誰かが見極められるよう山全体を取ってこなければなりませんでした。役に立とうと躍起になって、実際にはことを複雑にしてしまった経験はありませんか?



ハヌマンはスーパーヒーローですが、あがめられるのは彼の献身と奉仕のためです。ハヌマンを見習うとすれば、私たちの最大の努力と最高の才能を最高に理想的な奉仕に用いることです。ハヌマンの跳躍は、あなたの何に当たりますか?彼がラーマを愛したように、あなたは何を愛しますか?











(出典)https://yogainternational.com/article/view/the-mythology-behind-hanumanasana/