この夏、久しぶりにシンガポールに行った時、インディアン・ヘリテージ博物館や何箇所かのヒンズー寺院を訪れました。久しぶりに直接見るヒンズーの神様たちに、懐かしさとワクワクした刺激を感じました。
ヨガでは、ポーズの中で実は何度もヒンズーの神様に出会います。今回は、その中でも見た目の個性が強いハヌマンについてみていきましょう。
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ハヌマンは、猿族ヴァナラのスーパーヒーローで、風の神ヴァーユと猿族のアンジャナの息子だと言われています。この類稀な生まれから、ハヌマンには霊界と俗界のどちらにも特別なつながりがあります。南アジア文化全てにおいて、肉体的な強靭さ、勇敢さ、霊的な忠誠心といった特性を具現化しています。ハヌマンとヴァナラの人々は、古代インド叙事詩ラーマーヤナにおいて、王女シータと愛するラーマとを再会させるというきわめて重要な役割を果たしています。
風の神の息子であるハヌマンは、その力強い跳躍力で知られています。最も有名な跳躍のうち、2つはランカ島の戦いに関係しています。1度目にハヌマンは、囚われたシータを慰めるため、インドからランカ島まで海岸の間を100ヨージャナ(1ヨージャナは、伝統的に高地から呼び声が聞こえる最も遠い距離だと定義されています。諸説あり)の距離を跳びました。砂を巻き上げ波を後ろへ流す力で、彼の強い脚を伸ばしたのです。
その後、ラーマの弟ラクシュマナが戦に倒れ、瀕死の状態になります。その傷を治す薬草は遠いヒマラヤに生えています。「行け、ハヌマン!お前の跳躍がもう一度必要なのだ。薬草は、ヒマラヤの・・」とラーマが話し始めるとハヌマンはもう居ませんでした。ヴァナラのスーパーヒーローは、ラーマが言い終える前に薬草がいっぱいの山上に立っていました。ああ、どの草なんだ?ラーマはどこを探せと言った?ハヌマンは植物から植物へと走り回りましたが、すぐに気づきます。「わからない!俺は猿だ、医者じゃ無い!ああ、全部持って帰って先生に選んでもろおう」そして山を根こそぎ引き抜いた彼は、何も落とさないように注意深く頭にのせ、医者の待つ戦場まで跳んで帰ったのです。「ありがとう!」彼らはハヌマンに言いました。「今度は、山を元の場所に戻しておくれ」そうして、また並外れた距離を跳んでいる間に医者たちはラクシュマナの傷を治したのでした。
ハヌマナサナの完成形
猿のポーズのバリエーション
考察
猿のポーズで努力が要るのはどこですか?目?舌?首?呼吸?脚?楽な場所はどこですか?ポーズが完璧でなくてもかまいませんか?
この努力に自分自身を全て差し出して心を開くことができますか?バガヴァド・ギータは、最善の努力を尽くし、その結果は神に託すよう、私たちに伝えています(2.47)。ハヌマンは、薬草を探すのをやめて代わりに山全体を持って帰ることでこれを体現しています。彼はできることとできないことを認識し、その結果ラクシュマナを助けることができました。自分にできることをやり遂げた時、そして神の手に結果を委ねる時だとどうすれば知ることができるのでしょう?
ハヌマンはラーマのためなら何でもしますが、何でもできるわけではありません。「正しくやる」ことはどれくらい重要なのでしょうか?最善を尽くしたいという欲求が完璧主義になっていませんか?完璧主義モードの時は、おそらく自分に暴力を与えているのではないでしょうか?
ハヌマンが跳躍するのは、シータを慰めたり、ラクシュマナの薬を届けたり、誰かを助けるためです。彼は早まって山へと跳びますが、正しい薬草を誰かが見極められるよう山全体を取ってこなければなりませんでした。役に立とうと躍起になって、実際にはことを複雑にしてしまった経験はありませんか?
ハヌマンはスーパーヒーローですが、あがめられるのは彼の献身と奉仕のためです。ハヌマンを見習うとすれば、私たちの最大の努力と最高の才能を最高に理想的な奉仕に用いることです。ハヌマンの跳躍は、あなたの何に当たりますか?彼がラーマを愛したように、あなたは何を愛しますか?
(出典)https://yogainternational.com/article/view/the-mythology-behind-hanumanasana/
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