2016年12月21日水曜日

アーユルヴェーダで免疫を高める+6つの自然療法  Vol.2
Boost Your Immunity With Ayurveda + 6 Natural Remedies

前回からの ayurveda next door からの記事の続きです。

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普段の生活の免疫システムへの影響


人間は両親や家族に依存して生まれてきます。この依存は私たちの人生の大部分にわたって続きます。子供時代の極めて早い時期の社会的交流は、人生を通して人格形成と性格に深い影響を及ぼします。新生児の免疫システムは、妊娠中から変わらず揺るぎがないのですが、赤ん坊が生まれる時には病原体を認識する能力はほんの少ししかありません。生後18か月になるまで、乳児は母乳や家族とのふれあいの中で免疫を学んでいくのです。比較的無菌である子宮に比べ、乳児は様々なものにさらされます。母乳からのIgA抗体によって、乳児は見知らぬ新世界の意味を理解していくのです。

周期的な病原菌への感染によって、免疫システムが鍛えられ続けていきます。その一方で、過剰に無菌で管理された環境は、免疫がこの訓練を受ける機会をと取り上げてしまいます。これが免疫バランスの不調和を作り出すのですが、西洋諸国でアレルギーや自己免疫疾患が多い原因とされています。

身体は、外部の抗原から周期的に刺激されることで「自分」と「他者」という感覚を養っていく必要があります。それがなければ、免疫システムは、無知で自滅的な行動をとってしまう可能性があります。

人生を通しての社会的支援は、免疫活動を活性させると考えられています。家族や配偶者、友人からの社会的な援助についての研究では、こうした関係性を確認しています。家族や配偶者、また医師とでさえその強い社会的つながりが、重要な支援となります。これは「指導、信頼関係、自分の価値の確認、社会的一体感、愛情、心遣いの機会」などが含まれます。これら全てが、免疫活動を促進するのです。癌と闘う配偶者の世話をすることもまた、世話をする側の免疫を上げること観察されています。こうした結果は、社会的なつながりやケアが、全ての人の免疫機能を活性化させることを示しています。

健康的な社会的支援が欠如は、免疫システムへ悪い影響を及ぼします。虐待された経験のある女性や子供は、血流循環免疫細胞の数が普通の人に比べて多いことが研究でわかっています。この免疫細胞数は、トラウマに関係するPTSDを抱えた人達で特に多くみられました。同様に、PTSDを持つ男性の退役軍人にも過活性化した免疫システムが観察されています。その諸刃の剣という性質から、免疫細胞の異常な上昇は問題を引き起こす可能性があります。近年の研究では、PTSDに悩む患者はDNAの異常メチル化を起こしていることが発見されました。これは、異常な炎症のサイン(サイトカインIL-18)です。同様に、これが免疫システムの不必要な活性化がもたらす異常な炎症につながる可能性があります。

こうした結果は、免疫システムが単に「機械的なオン・オフ的」な仕組みではないことを示しています。免疫システムが意識と影響しあい反応するというアーユルヴェーダの概念を裏付けているといえるでしょう。極度の苦痛や虐待、トラウマ、孤独といった経験が免疫異常を引き起こす一方で、肯定的な経験、自己肯定、社会的支援、認知、容認、愛は免疫機能のバランスを維持する助けとなるのです。


免疫機能におけるストレスと慢性ストレスの作用


免疫システムはまた、内分泌系の活動によって制御されています。内分泌系の周期的な活動と同様に、免疫系の活動もまたあるリズムに従っています。視床下部、下垂体、副腎系(HPA)からストレスホルモンが放出されると、免疫システムが抑制されます。HPAから性ホルモンが放出されると免疫が刺激されます。ストレス経路が過剰に活性化すると過剰に抑制され、性経路が過剰に活性化すると過剰に活性化するのです。これらのシステムはお互いにバランスを取り合っています。

虐待が極端な例だとすれば、ストレスの研究は、免疫が私たちの日常生活とどのように関わっているかを教えてくれます。視床下部、下垂体、副腎系は免疫にとても深い影響を持っています。否定的な経験や感情は緊張を引き起こし、交感神経系(闘争逃走反応の機能)を活性化させます。そして免疫を抑制するストレスホルモン(コルチゾールなど)を放出させます。これが原因となり、ストレス要因にさらされると感染症に罹る危険が高まり、また感染が長引く危険も高まります。このストレスは、思考(疲れているなど)あるいは感情(対人関係など)かもしれません。

ストレスが免疫系の活動を抑制する一方で、組織の炎症という逆説的影響もあります。慢性のストレスは、免疫系のC反応性タンパクを生じさせる前炎症マーカーであるIL-6 からB細胞、T細胞に現れます。IL-6とC反応性タンパクが複合し、軽度の組織炎症を引き起こし、心疾患につながる可能性があります。

HPA系のほかに、免疫系は松果体と関係があります。松果体は、通常の睡眠を引きおこす重要な信号となるメラトニンというホルモンを作り出します。近年、メラトニンはまた免疫系にも調整機能を持っていることがわかってきました。メラトニンは、必要な免疫システムを刺激すると考えられています。また、免疫が過剰に活性化すると炎症を抑える働きをすることもわかっています。メラトニンはまた、免疫調整機能のひとつとして、いくつかの癌に対する効果的な治療としても知られています。昼夜のサイクルの自然なリズムを調整するホルモンは健康に大変重要なものです。メラトニンは、免疫系に対してストレスと逆の効果を持ちます。規則的な睡眠周期は、ストレス管理のためにはとても役立ちます。メラトニンの理想的に作り出すため、早寝早起きが必要です。最適な健康と免疫のためには、夜は10時までに就寝、朝は5-6時に起床するとよいでしょう。また、こうした免疫への効果はストレス解消する瞑想や呼吸、太極拳、気功などからも得ることができます。

人類の歴史の中で、今ほど常に接続した刺激過剰な時代はありませんでした。メディアやインターネットによって、様々な経験が一気にできるようになりました。世界中の驚きや美に触れられる一方で、戦争や虐待、政治的腐敗や災害など多くの人間の欠がメディアによって報道されています。エボラ出血熱やひどい天災、企業の拝金主義やファーガソンの事件など、世界はまるでひどいところに見えます。しかし、世界を知ったように思う一方で隣人は知らない人のままです。今までになく人口が増えているのに、人はもっと孤独になってしまったようです。

そういった苦悩や孤独、恐怖にさらされて、人の心は苦しむ運命にあります。アーユルヴェーダの観点では、こうした否定的な感情の共有は、社会全体の健康に影響すると考えられています。しかし、大きな規模での変化はすぐには起こりません。ひとり一人が始める必要があるのです。マハトマ・ガンジーは言いました、「この世界で見たいと願う変化に、あなた自身がなりなさい」




(次回につづきます)

(出典)http://ayurvedanextdoor.com/boost-your-immunity-with-ayurveda/

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