2018年3月23日金曜日

マインドフルネス:「思考を考える」ちから 
Mindfulness: The Power of “Thinking About Your Thinking”

Psychology Today (ニューヨーク)から2015年の記事です。
マインドフルネスとは何なのか、その簡単な実践法が書かれています。
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マインドフルネスと瞑想は次の大きな健康革命なのか?


数年前、マインドフルネスと瞑想のパワーについて議論するため、突然ABCニュースのダン・ハリスが私にコンタクトしてきた。ニューヨークタイムスのNo.1ベストセラーになった彼の著書「10% Happier」では、瞑想(メディテーション)をわかりやすく解き、毎日数分間「思考を考える」ことでなぜ劇的に人生を向上できるのかを解説している。

NPR(公共ラジオ局)での最近のインタビューでハリスは、「10年前に私が瞑想の伝道者になることになると言われたら、鼻からビールを噴き出していたよ。つまり、こんなことになるなんて全く考えていなかった 」ハリスの卑下するユーモアのセンスと世俗的なアプローチによって、彼はマンドフルネスと瞑想のパワーのメッセンジャーとして思いがけなく完璧なものとなっている。また、とても明瞭、シンプルでわかりやすい言葉によって「どうやって」瞑想して日々のマンドフルネスを実践するのかをうまく説明している。

ジョン・カバット・ジンやハーバート・ベンソンのような開拓者によって行われた1970年代のマインド・ボディ・アウェアネスにおいても、「瞑想」や「マンドフルネス」はPRの問題に悩まされ続けていた。瞑想は実践するのが容易に見えていながら、一般のオーディエンスにとって伝統的にわかりにくいものだった。

ハリスは、自分で言う「瞑想の伝道者」になることで、世間に大きな公益を果たした。ハリスは健康的な皮肉をユーモアのセンスを組み合わせ、どんなニューエージの決まり文句や自己満足な難解語をも避けたアプローチをしている。彼の発見は科学的であり、そのアドバイスは何のレベルをも下げることなく簡潔だ。


瞑想 初級編:息を吸う、吐くに注目する


瞑想は、仏僧や修行所に住む人たちのものに見えるかもしれない。瞑想の実践者になるには、香を焚きながら「ナム」と唱え、蓮華座で何時間も座ることに一生を捧げなければならないと思うかもしれない。だが、そうではないのだ。

ハリスの日々の瞑想は1、2の3といったように簡単だ。ダンの説明によれば「ただ椅子にまっすぐ5分くらい座って、息を吸う・吐く感覚に全神経を集中することだけ。心が乱れたら、ただ呼吸に注意を戻すだけでいい」



ハリスによる瞑想への3ステップ


1. 快適に、背中をまっすぐにして座る
2. 呼吸の吸う・吐くの感覚に全神経を集中する
3. 呼吸に注意を向ける。心を空にする必要はない。迷ったら帰ってくるだけだ。

多くの人と同じく、私は瞑想があまり「得意」ではないといつも感じていた。というのも瞑想の時、心は散漫になり「心を空に」して禅的な境地に至るなどまったくもどかしいほどに無理だと感じるからだ。心を無にするのでなく呼吸に注意を戻すのが実際のところ全てなのだというハリスの説明を聞いた時、でかい「アハ」体験をした。
ハリスの瞑想の解釈は、「失敗」という判断や感情を取り除いてくれる。呼吸に注意を向けるという認識プロセスによって、実際に精神力を働かせ文字通り脳と繋がり、そして神経生物学的レベルで「思考を考える」ことにシフトしていくことを彼は明確にしている。


マインドフルネス 初級編:思考を考える


マンドフルネスとは概して「1. 何かに意識し気づいている状態や性質、2. 穏やかに自らの感情や思考、体の感覚を感じ受け入れながら、現在に気づきを集中させることで得られる精神的な状態」だと表される。

ハリスはマンドフルネスを簡潔で関連性のある表現をする。「それによって失われることなく、常に頭の中で何が起こっているのかを知るスキル」だという。

ハリスは、心の中の思考はほとんどが「私、私、私」の想いに占められている滝のようなものだと例える。この暗喩をつかえば、マインドフルネスとは、勢いよく流れる滝の流れから一歩離れて滝の中の思考の中身を遠くから判断せずに観察させてくれるものだ。

瞑想やマインドフルネスは、おそらくニルヴァーナ(涅槃)の状態を永遠に作ってくれるものではない。しかし、どのように、またなぜ瞑想やマインドフルネスが外的要素が究極的に幸福度を押し上げるという信念を超えるのを助けるダイナミックな組み合わせなのかを、「10% Happier(10%より幸福に)」は、明確に示している。

マインドフルネスは、あらゆる状況において、コップが半分満たされているのか半分しか入っていないのかを見る能力を与えてくれる。何も、全く反応しないボケや極端な楽天家になるためにマインドフルネスや瞑想をやれというわけではなく、現実的な楽観主義のためであり、マインドフルネスを使って「心の中の猿」にどのように応えるのかを決断することがコントロールの要だ。



結論:我々は「考え、そして考えることを知っている」ホモ・サピエンス・サピエンスである


ハリスは、人間は厳密に言うと「ホモ・サピエンス・サピエンス」に分類され、「考え、また考えるということを知っている男女」という意味だと指摘する。(サピエンスとは「知恵」と言う意味) 残念ながら、二番目の「サピエンス」は時間とともに私たちの名前からなくなってしまった。つまり、自分自身から離れて穏やかに判断なしで「思考を考える」能力は、人間特有のものなのだ。

あなたの思考について考える能力を働かせ、毎日少しの間瞑想することは健康によく、精神的にも肉体的にも数えきれない効能がある。ハリスはマインドフルネスのパワーを強く信じ、また瞑想が次の公衆衛生革命になるはずと信じている。私もそう思う。

マインドフルネスは、いつでもどこでも実践できる。瞑想は1日5分でいい。もしマインドフルネスも瞑想もしたことがないというのなら、今日始めてみてはどうだろう? 「10% Happier」が明確にしているように、それは1、2の3くらい簡単なのだ。





(出展)https://www.psychologytoday.com/blog/the-athletes-way/201504/mindfulness-the-power-thinking-about-your-thinking

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