2019年2月25日月曜日

脊柱側湾症のためのヨガ・シーケンス Vol.3
A Yoga Sequence for Scoliosis Vol.3


では、シーケンスの後半です。

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9. ゆっくりとしたキャット&カウ


背骨を柔軟にするこのお馴染みの動きをここではゆっくりと行い、最大限の横隔膜呼吸によって背骨周りの緊張をほぐします。

立位から前屈してマットの方へ下り(快適なら膝を曲げて)、両手が床に着くまで膝を曲げます。両足を片方ずつ下げて床に膝を下ろしましょう。

手のひらをマットに肩幅くらいに開いて置きます。両肩を両手首の真上に、股関節が両膝の真上に来るようにしましょう。

息を吸いながら背中を丸め、その猫のポーズで2呼吸ホールドします。次に息を吐きながらやや背骨をそらして牛のポーズになり、この優しい後屈をしながらゆっくりと2呼吸しましょう。



少なくとも5回は繰り返します。



10. 四つ這いの側屈


この四つ這いからの側屈は凹面を伸ばします。

四つ這いから、左手を約15cm前に、マットの中心あたりに置き直します。頭を右に回し右の腰の方を見ましょう。次に右肘を曲げて、右の腰を右の肩の方向に動かし腰の右側を縮めて(左を伸ばして)みましょう。



ここで5呼吸します。

四つ這いに戻って反対側も行います。どちらかやりにくい方でもう一度繰り返しましょう。



11. 四つ這いからプランクへ


「非対称を修正する方法がわかったら、それを続けるためにコア・マッスルを強化し始めるといいです」とリーフは言います。「コア・マッスルは胴体の正しい形を保つのに必要で、腰痛の解消にも繋がります。ここでは、腹斜筋、腹直筋、腹横筋、背中側の多裂筋、脊柱起立筋などを強化します」

四つ這いになり、ポーズ1で行った自己修正での最もニュートラルな背骨を作ってみましょう。伸ばし、腰と肩の高さを揃え、頭は中心に、そして回転を戻します。


ここで5回呼吸しましょう。

あるいは・・・より強度を高めたい時は、片足ずつ下がってプランク・ポーズになります。ここで、一呼吸ごとに吐き切ったところで腹部を引き込みながら5、6回深く呼吸し、最後に両膝を下ろしましょう。






12. 針に糸を通すポーズ、子供のポーズのバリエーション


捻りに関しては、リーフは脊柱側彎症の人には「針に糸を通すポーズ」がいいと言います。というのは、他のツイスト・ポーズよりも伸展を促しながら胸郭が快適に感じられるからです、「上半身の重みという下向きの圧力が、背骨の圧迫された部分を伸ばすのに役立つのですが、これは垂直の座位や立位では得られないものです」


四つ這いから両足を揃え、快適な範囲で臀部をかかとの上に下ろし、伸ばした子供のポーズになります。

右腕を左肩の下から通し、頭の右側をマット(かブロック)の上に下ろしましょう。ここで少なくとも5回横隔膜呼吸をしながら、右手の指先は遠くに伸ばし左手で床を押して胸をやや左へ回しましょう。




捻りを解放したら、伸ばした子供のポーズに戻り、反対側も行います。よりやりにくい方で繰り返しましょう。



13. 前腕のサイド・プランク


サイド・プランクは、側弯症の曲線を緩和するのに効果的だと言われるポーズのひとつです。プランク・ポーズを長時間行うと手首に負担がかかるため、ここでは前腕を使ったポーズを勧めています。

四つ這いから、前腕を下ろしましょう。片足ずつ後ろに下げて前腕のプランクになります。右の前腕をマットの前のラインに平行になるよう、そして指先が左の肘に触れるように置き直しましょう。同時に、左の足首を右の足首の上に載せ、力強く両かかとに向かって伸ばします。

強度を下げるには、左脚はまっすぐにしたまま左足を右足のすぐ後ろ側におろしましょう。

左手を左の腰に置くか天井に向かって腕を伸ばしましょう。腰をマットから高く持ち上げます。



ここで5呼吸し、吐く息ごとに腹部を引き込みます。そして前腕のプランク(あるいは前腕をついた四つ這い、子供のポーズ)に下りたら反対側も行いましょう。
よりやりにくい方で繰り返します。



14.「スーパーマン」エクササイズ


「多裂筋などの強い背筋は、安定性と姿勢に重要で、腕や脚の動きのしっかりした土台となります。このスーパーマンのポーズの特に捻ったバージョンは、多裂筋を強化してくれます」

1. お腹を下に楽に横たわり両腕を体の前に肩幅で伸ばし、手のひらは内に向け、両足は腰幅でつま先を伸ばします。鼻は床から少しあげておきましょう。

2. 息を吐き、背骨に向かってお腹を引き込み頭を持ち上げ、左腕と右脚をあげましょう。そこで5回呼吸します。

3. 下に降りて反対側も行います。



4. 下に降りて、それからやりにくい方で繰り返します。

5. 下におり、両足を持ち上げたまま3〜5回呼吸をしましょう。



6. 下におり、両足はマットの上に置いたまま両腕を持ち上げそこで3
〜5回呼吸します。

7. また下におり両足を下げたままもう一度両腕を持ち上げます。今回は、まるで右側にいる人にパスする大きなボールを持っているかのように上半身をやや右にねじります。ここで3〜5回呼吸します。



8. 下におり、反対側も行います。

9. 下に下りて、やりにくい側を繰り返します。


10. 下におり、両腕、頭、胸、両脚をあげ3回呼吸をします。





15. 伸ばした子供のポーズでの側屈


このバージョンの伸ばした子供のポーズは、背骨の凹面を伸ばし、今行った後屈のカウンターポーズです。

腹ばいから四つ這いに戻りましょう。両手を右に歩かせて、両腕をのばしたまま左手を右手の上に載せます。快適なところまで、かかとの方向に臀部を下ろします。


(ストレスなく)より遠くへより右へ伸ばしてみて、そこで5呼吸しましょう。

両手を中央に戻したら、左へも同様に行いましょう。
よりやり辛い方で繰り返します。



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次回はこのシーケンスの最終回です。



(出典)https://yogainternational.com/article/view/a-yoga-sequence-for-scoliosis

2019年2月21日木曜日

脊柱側湾症のためのヨガ・シーケンス Vol.2
A Yoga Sequence for Scoliosis Vol.2

前回からの続きです。

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5. 立位の横滑り


この「横滑り」は、背骨と胴の凹面を伸展させ続けるのに役立ちます。


手の指が前に来るよう、左手を左腰に置き右手を右胸郭の下部に置きます。頭と両肩を水平に保ちながら(そして両足をしっかり床に着けて)、腰がやや右へ胸郭がやや左に動くように、両手を身体の中心線に向かって押しましょう。



ここで5回、できるだけ深く呼吸しましょう。それから反対側に移ります。動かしにくい側で繰り返します。



6. 立位の側屈とブロックを使ったツイスト


このポーズは、よりニュートラルな背骨を実現するための、伸展させ回転を無くし骨盤を水平にする道筋を教えてくれます。


1. 両足を骨盤幅にして山のポーズで鏡の前に立ち、左足の30cm程後ろにブロックを一番低い高さで(階段のように)置きます。

2. 左腕を頭上に挙げ、右に曲げましょう。そこで2呼吸ホールドします。

3. 側屈したまま、すぐ左側にいる人と握手しようとするかのように右腕を胸前から伸ばします。胸郭も少し左に回しましょう。そこでさらに2呼吸します・

4. ゆっくりと頭を前後に10回振ってから、中央に戻ります。

5. 次に、両腕の位置はそのまま、左足指の付け根を後ろのブロック上に乗せ、骨盤の位置に変化があるか観察しましょう。そこで5回ほど、ゆっくりと深い呼吸をします。

6. 両腕を下ろして山のポーズに戻ります。



ブロックを右かかとの後ろ30cm程度の場所に動かして反対側を行います。やりにくい側で繰り返しましょう。



7. 壁登り


この練習は、湾曲の凹面を伸ばすのに役立ちます。「湾曲が大きいほど、壁に手を歩かせた時に指先が同じ高さになりにくくなります」とリーフは言います。「が、気長に構えましょう。あまりに急いで伸ばそうとすると、脊椎湾曲による制限を無理させる可能性があります」

下記のステップ5では、腰を水平にしなければなりません。これは鏡がなければ難しいとリーフは認めますが、これにより自分の両手をよく見ることになります。「指先がより均等な高さになってきたと気づいたら、それは脊椎の湾曲がよくなってきたと考えられる肯定的なフィードバックです」指導者が、腰の水平を見極める手助けをすることもできるでしょう。


1. つま先と鼻を壁にかなり近づけて山のポーズで立ち、垂直バージョンのコブラのポーズを作るかのように、両の手のひらを胸の横で壁に平らに置きましょう。

2. 壁においた左手を上方に5、6cm滑らせます。そこで数呼吸しましょう。

3. 次に右手も5、6cm上げ、数呼吸止まります。

4. 左右交互に行い、脊椎にそって少しでも伸展の感覚があるかを観察しながら、快適な範囲でできるだけ高く手を歩かせましょう。

注意:両手は同じ高さになっていますか?低くなってしまっている方を少し高くできるかどうか見てみましょう。

5. 低くなっている方のかかとを上げたら、腰の両側(両肩、両手も)がほぼ水平になるまで、足指の付け根を下に押し、低い側の骨盤を両肩に向かって少し持ち上げましょう。

そこで約5回横隔膜呼吸をします。


6. 次に、上げていたかかとを下ろし、両肩をできるだけ水平に保ったままゆっくり両手をもとの胸の高さまで下ろしましょう。




8. 壁落下


この練習を通して the Scientific Exercises Approach to Scoliosis にある腕立て伏せのような動きで、よりニュートラルな位置を保つ訓練をすることで脊椎湾曲の凸側を強化します。これはかなり難しい動きなので、前述の練習やプランク・ポーズが容易にできる強さがある人だけが行うようにしてください。

この「落下」を練習する前に鏡でアライメントを確かめたくなるでしょうが、理想的には、よりニュートラルなアライメントの感覚を徐々に記憶し、鏡の助けを借りずにその位置に近づけるようなるでしょう。


1. 壁に向かって腕の長さよりやや遠い位置で立ち、最初のポーズで確かめたよりニュートラルな山のポーズで姿勢を修正しましょう。(あなたの目標は、この脊椎のアライメントを次の動きの中でずっと保つことです。)体の前で両腕を伸ばし、手のひらは壁に向けて指先が肩の高さになるようにします。ここで息を吸います。

2. 息を吐いてゆっくりと壁に向かって「落下」していき、両ひじを曲げて手のひらを壁に着け、両手は胸の脇にして自分の体を受け止めます。(最初は、かかとが床についたままになるように壁近くに立つようにしてください。この動きがかなり簡単だとわかったら、壁から一歩下がりましょう。前方に落ちた時にかかとはやや上がるでしょう。)ここで息を吸います。

3. 息を吐き、壁から体を離すように手を押し、腕を前に伸ばした山のポーズに戻りましょう。ここで息を吸います。



10回、または疲れるまで繰り返しましょう。


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次回に続きます。




(出典)https://yogainternational.com/article/view/a-yoga-sequence-for-scoliosis

2019年2月20日水曜日

脊柱側湾症のためのヨガ・シーケンス Vol.1
A Yoga Sequence for Scoliosis Vol.1



編集注:以下はヨガ実践者や指導者向けの一般的な推奨です。医療専門家の個人的な助言の替わりにはなりません。



脊柱側彎症で医師の許可があり湾曲症の理解を援助してもらっているのなら、マインドフルなアサナが腰痛や呼吸困難といった一般的な症状の予防や治療に効果のある役割を務めることが可能かもしれません。


腰痛の秘密:女性の腰痛の本当の理由と治療法」の著者である理学療法士のビル・リーフによれば、脊柱側彎症のあるヨギと彼らの指導者がいくつかの事柄を頭に入れておけば、ヨガの力が増大する可能性もあります。この記事では、どんな種類のヨガでも脊柱側彎症にとってどうすれば最適に行えるかについて一般的なヒントを提供します。以下は、ヨガと理学療法から選んだ動きで、多くのヒントを含んでいます。


「脊柱側彎症のヨギは、見てわかるように鏡を使って脊柱をニュートラルなアライメントに近づけるとよいでしょう。よりニュートラルな位置に保つには筋肉を働かせる必要がありますが、動きを徐々に強くしていくことで脊椎の凸側を強化でき、側屈のようなポーズは凹側を伸展させてくれるでしょう」とリーフは要約します。


特に2段階あるいはS字の湾曲がある場合、どちらが凹(短く内に曲がっている)でどちらが凸(で長く外に曲がっている)なのかを覚えておくのは、生徒だけでなく指導者にもわかりづらいものと彼は認めています。生徒や指導者が湾曲とその影響についてよくわかっていないこともあれば、他の合図を出した時にそういった湾曲をずっと心に留めておくことが困難な場合もあります。こうした理由から、左側一方や右側一方のポーズではなく、両側に非対称のポーズを行い、より困難な方にもう一度繰り返すようにするとよいことをリーフは気づいたのです。


この方式は以下の練習のポーズの多くで使われていますが、どちら側がより困難なのかが一度わかれば、再度その方向に繰り返さないで、強く柔軟になるよう単純にそこにさらに5呼吸止まりましょう。


各ポーズで何呼吸ホールドするか、何回繰り返すか、何回休むかによりますが、以下の全てのシーケンスを行うにはおよそ1時間かかります。


脊椎側湾症の人がこうした練習から効果を得るためにはどれくらいの頻度がよいのでしょう?リーフによれば、多くの要素に依存するといいます。
「座ったり立ったり、また肉体労働をする人、痛みや呼吸困難などの症状がある人は、こういったかなり長時間の練習を毎日行うと効果があるでしょう。
より活動的だが重いものはあまり持たない、症状が軽いなどの人は、長時間の練習は週に2回程度でよいでしょう。しかし何らかの練習を毎日行うことが重要です。
痛みのない生徒であっても、彼らに最善だと思われるポーズを少なくとも1、2種類毎日行うことを推奨します。
長期の側弯症の場合は、トレーニングする脊椎の場所を常に「覚えておく」ことが必要です。そうでなければ、古い異常な湾曲を身体が「記憶」していてより慣れ親しんだ非対称へと戻る可能性があるからです」


全てというわけではありませんが、胸椎の右へのC字曲線、または胸椎の右と腰椎の左というS字曲線が最も多くみられるため、脊椎側弯症の人は左側の伸展と右側の強化からより効果を得られると感じるでしょう。
以下の非対称ポーズはこの曲線を考慮していることに注意してください。まず左側を伸展(あるいは右を強化)、そして反対側を行ったあとより困難な側で繰り返します。おそらくこれが主流でしょう。もし湾曲が逆だとわかっていたら、指示の逆に、困難な方から始めて次に簡単な方、そして困難な方で繰り返すようにしてください。自分の湾曲がわからないときは、理学療法士や医師に評価してもらいニュートラルな位置に戻すにはどういった調整が必要なのかを知ることは、大変役にたつはずです。


必要なものは、鏡(練習している自分がよく見えるように置く)、ブロック(ポーズ6で使用)、そしてストラップ(ポーズ16と17で)。最後のポーズ19では、ボルスターやブランケット、タオルが必要となります。


このシーケンスの強度を上げたいときは、スピードをあげるのではなくポーズの時間を長くするかポーズを繰り返してください(常にやりにくい方を長くするように)。強度を下げるには、ポーズ1から5では椅子を使い、次にポーズ9、10、12、15を四つ這いで行った後たっぷりとシャヴァサナで休みましょう。




シーケンス

1. 鏡の前での山のポーズ探求で自己修正


「鏡の前で立ったり座ったりすることが第一で、自分の状態を理解するのに最もよい方法です」

両足を骨盤幅に平行にして鏡の前に立ちます。両足を地面にしっかり着け頭頂に向かって引き上げることで背骨を伸ばします。どれくらい伸びましたか?骨盤、両肩、頭の位置を鏡で確かめます。腰や肩をどれくらい水平にできますか?頭が左右に傾かず中央にできますか?胸郭の左右が均等に前を向いていますか?胴をやや左右にわざと回転させると何が起こるかを観察します。片方に捻ると実際には「ねじ戻す」ように見えますか?(そして多分両肩も水平にしやすくなっていませんか?)




鏡の中でより「規則正しく並んで」いる位置を見つけたら、「胴体の筋肉を緊張させて、数呼吸その位置に留まります」このアライメントの感覚を忘れないように最善を尽くしましょう。この練習のいろんな場面で、鏡の助けがなくても戻ってくる位置なのです。



2. ディールガ・シュヴァサム


このプラナヤマは完全な横隔膜呼吸を促し、肺の容量が少なくなった脊椎側湾症には重要です。このバージョンでは、両手は腹部と上胸部に置きます。「上胸部は腹部のようには動きませんが、手をここに置くことで横隔膜呼吸の正しい動きに気づくことができます」

ポーズ1で作ったよりニュートラルなアライメントで立ち、片手をお腹にもう一方を胸に置きましょう。両目は開けたまま呼吸しながら鏡に作った自分の姿勢を見ましょう。

息を吸いながら、左右の肺が底から上まで満たされるのを想像します。お腹と胸郭下部を膨らまし、それから胸郭の中心あたり、最後に胸部の上部を膨らましましょう。息を吐くときは、左右の肺が上から下へと空になっていくよう想像します。上胸部を空にし、そして胸郭の中程、最後に肺の下部と腹部を空にします。呼気の最後には少し腹部を引き込みましょう。




窮屈に感じる場所に特に注意しながら、5〜10回繰り返します。肋骨同士がとても近付く箇所を膨らますようにしましょう。胸部曲線のくぼんだ箇所に起こることが多いです。息を吐くときも、そこが縮んでしまわないようにしましょう。疲れを感じたら、浅い呼吸を1、2回して休憩しましょう。


このプラナヤマに慣れたら、全てのポーズでディールガ・シュヴァサムのような呼吸をするようにしましょう。




3. 上方に手を伸ばす山のポーズ


このポーズは、背骨を伸ばすことができます。

鏡の前で山のポーズをとったまま、快適に行える範囲でできるだけ高くまっすぐに両腕を頭上に挙げましょう。鏡を見て片方の手がもう一方より低いことに気づいたら、その手を疲れない程度にさらに上げてみましょう。



左右の肺を底から上部まで呼吸で満たし、上部から下に向かって吐きながら、5呼吸ほどホールドします。



4. 立位の側屈


この優しい側屈は、背骨に沿った傍脊椎筋群と肋骨の間にある肋間筋をストレッチすることにより凹部に長さを作るのに役立ちます。

山のポーズで立ち、右手を右腰に置きましょう。左腕を挙げ、頭上から右へと伸ばして、安定が失われない程度に腰を左に動かします。視線は天井を見上げるか、右足の外側の床に向けます。(あるいは見上げるよう頭を回転させてから下を向く。)



ここで複式呼吸を5回行いましょう。そして山のポーズに戻り反対側も行います。より困難な側の方でこれを繰り返し、さらに5呼吸しましょう。



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次回に続きます。




(出典)https://yogainternational.com/article/view/a-yoga-sequence-for-scoliosis

2019年2月8日金曜日

ヨガセラピストの人間観:5つの鞘 
A yoga therapy perspective on the human system: The panchamaya model

IAYTのサイトからヨガセラピーについてです。
ヨガセラピーの基本的考え方について書かれています。
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ヨガセラピストが考える個人というもののヨガ哲学は、タイッティリーヤ・ウパニシャッドと呼ばれる書物からきています。その第二章には、それぞれ繋がりあった5つの「鞘」、パンチャマヤ・コーシャ(パンチャ=5)という人間というものの認識モデルが書かれています。


第一は「食べ物のバスケット」であるアンナマヤ・コーシャです。この鞘は、食べ物によって持続しのちに食べ物になる私たちの一部です。次は、プラナマヤ・コーシャで、気や身体の生命力で呼吸とともに移動すると言われています。この2つは5鞘のなかで最も明確なものです。より微細な鞘は、低いレベルにある精神や直感的な衝動であるマノマヤ、命を理解できる高度な精神であるヴィジナナマヤから始まります。5鞘で最も微細なものはアナンダマヤ・コーシャです。(アナンダマヤ・コーシャはよく「至福」体だと誤解されますが、「至福」という概念自体が、私たちには「畏怖」と繋がることを通して「全ての意識」と繋がることのできる能力があるというパラダイムを正しく伝えきれていない)


これらの鞘はそれぞれ結びつき合っており、依存しています。ヨガセラピストは、患者が最も不快に感じている場所から個別に始めます。協力し合い、回復し、症状を最小化し苦痛を減らすための力を患者に与えるための治療プランを、協力し合って作ります。


対症療法では、身体をもっと機械的に見ています。何かが壊れたら直すというものです。身体の部分ごとに専門家がいて、構造的な問題には理学療法を行い(そして各臓器にも専門医がいて)、呼吸とエネルギーの問題には呼吸器の療法があり、精神の問題には心理学者と精神分析医がいて、精神的(霊的)な危機にはありとあらゆるタイプの聖職者がいます。


ヨガセラピーは、個人をもっと総合的に見ており、ページごとに分けられる本のようではなく、輪ゴムで作ったボールのようなものだと考えています。そのようにヨガセラピストは、これらの鞘の断絶を見つけて効果的に統合する「多面的な知識を持つ人」として援助することができます。統合された治療プランを作ることは複雑なので、患者のニーズによっては何回かのセッションが必要なときもあります。


認定ヨガセラピストは、ヨガセラピーの範疇を超えるかもしれない特別なニーズに対処するため、西洋医学の専門家とも協力してあたります。専門的なツール(ヨガポーズ、呼吸法、心像誘導、瞑想、ヨガ倫理に基づくライフスタイル指導)でほとんどの人に適切なケアプランを作ることができますが、より深刻で深いニーズもあります。患者がそういった場合に専門的訓練を受けたヨガセラピストは、より個人のニーズに合うよう適切な医療専門家と相談して治療にあたるのです。

2019年2月2日土曜日

滑液を理解する:関節の炎症をヨガで予防 
Understanding Synovial Fluid: How Yoga Can Prevent Inflamed Joints

YogaJournalからの記事です。

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ヨガは関節内の滑液を循環させるが、滑液が多すぎるのは炎症の兆候
ヨガが関節の炎症をどのように防ぎ、また治すのか



膝関節
各骨膜関節は繊維膜で覆われており、靭帯や腱とともに骨と骨を繋げる働きをしている。
関節包の内側は、滑液を作る滑膜でできている。


クラスが終わって生徒たちが気持ちよく温まってハッピーな時、私はチューンアップしてオイル交換したような気分かと冗談っぽく尋ねます。実際には、ヨガでそれ自体は変わらないのですが、液体を身体中で動かすという素晴らしい働きをします。血液は動脈・静脈を循環し、リンパは細胞の周りを流れます。どちらの液体からも代謝副産物が除去され,
血液には酸素と栄養が補充されます。ヨガはまた関節内の滑液を循環させますが、一般の認識とは異なり、この重要な物質の生成を刺激したり温めたりはしません。

では滑液とは何でしょう?ヨガで滑液が流れるなら、それによって私たちの健康や柔軟性にどんな効果があるのでしょうか?



滑液を理解する


滑液とは、ほとんどの関節を満たしている滑らかな液体です。別々の骨が交わり重なる場所が関節ですが、椎間板や骨盤の後ろにある仙腸関節など滑液を持たずとても限られた動きしかしないものあります。その他は滑膜関節で、自由に動くことができ、摩擦なく滑るように動けるよう骨の末端を保護する仕組みが必要となります。この仕組みは、骨の末端を覆う滑らかで白っぽい硝子軟骨、そして軟骨表面の空間を満たして骨の間のスムーズで痛みのない動きを促進する滑液からなっています。このやや粘性のある液体はまた、他の体組織と異なりそれ自体に血流のない硝子軟骨に栄養や酸素を送るため大変重要なものです。どんな関節の動きでも、滑液の流れを助け軟骨に栄養を与えます。ですからヨガポーズは軟骨に栄養を与えるのを助けるというわけです。

各骨膜関節は繊維膜で覆われており、靭帯(骨と骨を繋ぐ)や腱(筋肉と骨を繋ぐ)とともに骨と骨を繋げる働きをしています。関節包の内側は滑液を作る滑膜でできています。身体は自動的に、この滑りをよくする液体を必要な分だけ作っています。ヨガが滑液生成を刺激すると聞くと素晴らしいことに思えますが、実際にはその湧き出る泉が乾いたらいつでも、というわけではないのです。



炎症:滑液が過剰に


実際、滑液の量が問題になるのは多すぎる時だけです。これは炎症の一部で、腫れや痛み、赤み、熱などが現れます。炎症は損傷への身体の反応で、硝子軟骨の摩耗など関節炎のプロセスの一部でもあります。(骨関節症や自分の関節組織を攻撃する自己免疫疾患であるリューマチ性関節炎が進むと、滑膜も痛く炎症し骨が直接骨に当たるまで軟骨が摩耗することもあります。摩耗で起こる関節炎は通常高齢者に多く見られます。)

滑液生成が増えるのは(腫れることでわかります)損傷や炎症が起こっているので、ヨガで生成を刺激しようとは思わないでしょう。実際、私たち指導者は、何ヶ月も何年もストレスや怪我を防ぎながら関節をより健康に強くする方法で練習するよう生徒に勧めるべきです。関節のダメージを防ぐ最良の方法のひとつは、関節やその周りの痛みに気をつける、またそうした痛みを失くすためにポーズのアライメントを修正したり変更したりするよう教えることです。関節やその周りの痛みは次のどちらかに当たります。(関節を安定させるよう作られており過伸展の際に関節が過可動を引き起こす)靭帯や腱などの結合組織を過伸展している。あるいは、関節炎の原因となる関節面を圧迫している。ですから「関節の痛みは無い」のがルールです。関節への運動は、軟骨や周囲を損傷することなく関節の可動性をよくする方法を正確に知っている訓練された医療専門家に任せるべきです。

一方で、すでに炎症した関節のある生徒がいたら指導者はどうするべきでしょう?例えばよくあるのが足首の捻挫ですが、痛みがあり腫れていて、熱く、赤いかもしれません。足首の靭帯は、穴に足を突っ込んだりハイヒールで滑ったりして強く伸展してしまうことがありますが、どんな関節も靭帯や腱の損傷で炎症します。よくある例は、関節の状態以上にオーバーワークしたり、事故や運動などで起こる断裂です。ヨガ中で関節を炎症するまで働かせすぎるのは、おそらく間違ったアライメントで繰り返しポーズを取ることで靭帯や腱にストレスを与えている場合です。また、例えばかなり弱ってしまって萎縮してしまっている肩の筋肉は、たった数回の太陽礼拝でもすぐ使いすぎになりかねません。そしてもちろん、関節炎の関節はすぐ炎症を引きおこしてしまいます。



ヨガはどう滑液を循環させるか


ここでの結論は、炎症した関節は、その炎症を強くしたり長引かせたりするリスクが大きいため、決して痛みを感じるところまで押したり伸ばしたり、強く動かしたりしてはいけないということです。健康促進する方法で炎症に対応するようにすべきです。足首の捻挫を例にして問題解決を計りましょう。足首の捻挫は、一般的に包帯や固定具、ひどい時にはギプスで安定させます。これらにより動きを制限し、邪魔されることなく組織が治癒していきます。でももし替わりに、炎症した関節を動かしたり伸ばしたりしたら、なんども微小外傷を起こし治癒を遅らせ、もっとひどい怪我になるかもしれません。

ですから、炎症に対処する時は、強く動かすのは身体の別の場所にして、きちんと痛みや腫れが引いてしまうまで炎症した関節は比較的安静にするようにしましょう。関節を全く動かしてはいけないということではありません。優しいおだやかな動きは、靭帯や腱、筋肉への血流を促し、硝子軟骨へ滑液を循環させることで治癒を助けます。しかし、炎症や痛みが深刻な時、また改善がみられなかったり悪化した場合は、医療専門家に相談し、必要な検査を受け治療プランの指示を受けるようにしましょう。