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ヨガは関節内の滑液を循環させるが、滑液が多すぎるのは炎症の兆候
ヨガが関節の炎症をどのように防ぎ、また治すのか
膝関節 各骨膜関節は繊維膜で覆われており、靭帯や腱とともに骨と骨を繋げる働きをしている。 関節包の内側は、滑液を作る滑膜でできている。 |
クラスが終わって生徒たちが気持ちよく温まってハッピーな時、私はチューンアップしてオイル交換したような気分かと冗談っぽく尋ねます。実際には、ヨガでそれ自体は変わらないのですが、液体を身体中で動かすという素晴らしい働きをします。血液は動脈・静脈を循環し、リンパは細胞の周りを流れます。どちらの液体からも代謝副産物が除去され,
血液には酸素と栄養が補充されます。ヨガはまた関節内の滑液を循環させますが、一般の認識とは異なり、この重要な物質の生成を刺激したり温めたりはしません。
では滑液とは何でしょう?ヨガで滑液が流れるなら、それによって私たちの健康や柔軟性にどんな効果があるのでしょうか?
滑液を理解する
滑液とは、ほとんどの関節を満たしている滑らかな液体です。別々の骨が交わり重なる場所が関節ですが、椎間板や骨盤の後ろにある仙腸関節など滑液を持たずとても限られた動きしかしないものあります。その他は滑膜関節で、自由に動くことができ、摩擦なく滑るように動けるよう骨の末端を保護する仕組みが必要となります。この仕組みは、骨の末端を覆う滑らかで白っぽい硝子軟骨、そして軟骨表面の空間を満たして骨の間のスムーズで痛みのない動きを促進する滑液からなっています。このやや粘性のある液体はまた、他の体組織と異なりそれ自体に血流のない硝子軟骨に栄養や酸素を送るため大変重要なものです。どんな関節の動きでも、滑液の流れを助け軟骨に栄養を与えます。ですからヨガポーズは軟骨に栄養を与えるのを助けるというわけです。
各骨膜関節は繊維膜で覆われており、靭帯(骨と骨を繋ぐ)や腱(筋肉と骨を繋ぐ)とともに骨と骨を繋げる働きをしています。関節包の内側は滑液を作る滑膜でできています。身体は自動的に、この滑りをよくする液体を必要な分だけ作っています。ヨガが滑液生成を刺激すると聞くと素晴らしいことに思えますが、実際にはその湧き出る泉が乾いたらいつでも、というわけではないのです。
炎症:滑液が過剰に
実際、滑液の量が問題になるのは多すぎる時だけです。これは炎症の一部で、腫れや痛み、赤み、熱などが現れます。炎症は損傷への身体の反応で、硝子軟骨の摩耗など関節炎のプロセスの一部でもあります。(骨関節症や自分の関節組織を攻撃する自己免疫疾患であるリューマチ性関節炎が進むと、滑膜も痛く炎症し骨が直接骨に当たるまで軟骨が摩耗することもあります。摩耗で起こる関節炎は通常高齢者に多く見られます。)
滑液生成が増えるのは(腫れることでわかります)損傷や炎症が起こっているので、ヨガで生成を刺激しようとは思わないでしょう。実際、私たち指導者は、何ヶ月も何年もストレスや怪我を防ぎながら関節をより健康に強くする方法で練習するよう生徒に勧めるべきです。関節のダメージを防ぐ最良の方法のひとつは、関節やその周りの痛みに気をつける、またそうした痛みを失くすためにポーズのアライメントを修正したり変更したりするよう教えることです。関節やその周りの痛みは次のどちらかに当たります。(関節を安定させるよう作られており過伸展の際に関節が過可動を引き起こす)靭帯や腱などの結合組織を過伸展している。あるいは、関節炎の原因となる関節面を圧迫している。ですから「関節の痛みは無い」のがルールです。関節への運動は、軟骨や周囲を損傷することなく関節の可動性をよくする方法を正確に知っている訓練された医療専門家に任せるべきです。
一方で、すでに炎症した関節のある生徒がいたら指導者はどうするべきでしょう?例えばよくあるのが足首の捻挫ですが、痛みがあり腫れていて、熱く、赤いかもしれません。足首の靭帯は、穴に足を突っ込んだりハイヒールで滑ったりして強く伸展してしまうことがありますが、どんな関節も靭帯や腱の損傷で炎症します。よくある例は、関節の状態以上にオーバーワークしたり、事故や運動などで起こる断裂です。ヨガ中で関節を炎症するまで働かせすぎるのは、おそらく間違ったアライメントで繰り返しポーズを取ることで靭帯や腱にストレスを与えている場合です。また、例えばかなり弱ってしまって萎縮してしまっている肩の筋肉は、たった数回の太陽礼拝でもすぐ使いすぎになりかねません。そしてもちろん、関節炎の関節はすぐ炎症を引きおこしてしまいます。
ヨガはどう滑液を循環させるか
ここでの結論は、炎症した関節は、その炎症を強くしたり長引かせたりするリスクが大きいため、決して痛みを感じるところまで押したり伸ばしたり、強く動かしたりしてはいけないということです。健康促進する方法で炎症に対応するようにすべきです。足首の捻挫を例にして問題解決を計りましょう。足首の捻挫は、一般的に包帯や固定具、ひどい時にはギプスで安定させます。これらにより動きを制限し、邪魔されることなく組織が治癒していきます。でももし替わりに、炎症した関節を動かしたり伸ばしたりしたら、なんども微小外傷を起こし治癒を遅らせ、もっとひどい怪我になるかもしれません。
ですから、炎症に対処する時は、強く動かすのは身体の別の場所にして、きちんと痛みや腫れが引いてしまうまで炎症した関節は比較的安静にするようにしましょう。関節を全く動かしてはいけないということではありません。優しいおだやかな動きは、靭帯や腱、筋肉への血流を促し、硝子軟骨へ滑液を循環させることで治癒を助けます。しかし、炎症や痛みが深刻な時、また改善がみられなかったり悪化した場合は、医療専門家に相談し、必要な検査を受け治療プランの指示を受けるようにしましょう。
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