2019年3月18日月曜日

ヨガの怪我についての10のウソ vol.2 
10 Myths About Yoga Injuries


前回からの続きです。

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ウソ その6 : 手でアジャスメントをする時、指導者は生徒の身体の抵抗によって安全でない領域まで無理をさせているという警告を受け取るはず


これは、ティーチャー・トレーニングで私が教えられたことですが、ヨガ・スクールで間違って学んだものの1つとして付け加えることができます。


これには2つの欠陥のせいだとリーフは指摘します。抵抗は常に問題の兆候というわけではなく、抵抗がなければ全て良好という明らかな印でもありません。実際、とても柔軟で全く抵抗のない人を押したり手で導いたりするのは、どちらかといえば硬い生徒を押すよりも危険である可能性があります。「非常に柔軟な生徒に圧力を加えると、関節の生理学的に正常な可動域を超える恐れがあり、それによって不安定になり痛みを生じることがあります」


彼は、下向きの犬のポーズで、生徒の腰を斜め上後方に引く時を例にあげています。「ここでの抵抗は、骨盤の前傾がなく腰椎が前弯しているあまり柔軟でない大形の男性などなら、丸まった背中を伸ばすのに有効かもしれませんし、どの方向に骨盤を動かせばいいのか彼にヒントを与えることができるでしょう」この圧力を感じないような抵抗がない生徒の場合は、すでに過剰に柔軟な関節の動きをより大きくしてしまうかもしれません。「過剰に柔軟な生徒の場合は、この良いと思われているアシストに対して身体が全く抵抗しません。この場合の圧力は適切とは言えません。もっと前傾して、過剰に腰椎を前弯させてしまう恐れがあります」

柔軟な身体へのアジャストには最大の注意を払うべきだとリーフは助言しています。限界まで深めるようなアジャスメントより、深みを制限するためにアジャスメントする方がおそらく良いでしょう。こうした柔軟な生徒には、すでに過剰に柔軟な関節を安定させることが不可欠なので、柔軟性を高めるアジャスメントよりは、弱めたバージョンのポーズで強化を促す動きをさせる口頭での指導がより効果的でしょう。



ウソ その7: 押したり引いたりしない生徒自身の努力を促すアジャスメントはいつも安全


生徒に指導者の手の中で「持ち上げ」たり「押し」たりを促すアジャスメント(大抵は筋肉を使わせるため)は、多くの場合、押したり引いたりするよりは安全です。「生徒は、インストラクターができない動きの内面の効果を感じます。しかし、アライメントがよくない状態で動きを促すと、よくない位置で筋肉収縮を行うよう指導しているかもしれません。間違ったアライメントで力を加えると怪我をする可能性があります」


そうしたよくない力は、外からもあり得ますし(指導者のせいかもしれません)、生徒自身の身体から来る内側からもあり得ます。例えば、三角のポーズで、肩が前に巻いた状態で上の手を指導者の手のひらに押すと肩を痛めることもあります。


力を入れるよう促す前に、生徒に骨を正しい位置に収めさせるには、口頭で指示してみてくださいとリーフは勧めています。例えば、肩が前に巻いていたら、肩を上にそして後ろに動かして肩甲骨を背中に引くよう指示する。(最適な肩の位置を自分の体で)デモンストレーションをする。肩がどこにあるのかわかりやすくするため壁などの補助を使う(「肩を壁まで引いて」)など。それから押すように指導しましょう。



ウソ その8: クラスで誰かが怪我をしたら指導者はいつもわかる


「私のクラスには怪我をしたことがあル人はいません」とか「私のクラスで怪我をしたことがあるのはたった1人だけです」などと確信を持って言えれば素晴らしいことです。しかし、実際には生徒の怪我を全て知ることはできません。単純に、生徒がそう言わないからです。


私の場合は、怪我をしてしまったアジャスメントを受けても黙っていました。先生の気分を害したくなかったし、どんな方法でも非難したくなかったからです(左臀部の痛み以外は全ての面でクラスは最高だったのですから)。しかし、リーフが「その4」で指摘したように、多くの怪我はすぐには感じず、私も怪我をしたかどうか完全には確信を持てなかったのです。鳩のポーズで先生がたった一回腰を押したとき突然鋭い痛みを感じ他にも関わらず、クラスの終わりにはかすかな熱しか感じませんでした。怪我をしたとわかったのは、実に1日後のことだったのです。


私のように、先生の気分を悪くしないよう、怪我かどうか確信できないから、問題を口にするのをためらう人はいます。おそらく、行動で示して単純に二度とクラスに戻らない人もいるでしょう。どちらの場合も、指導者は知らないままです。


指導者に怪我のことを伝えるのは大切だとリーフは強く言います。「怪我を指導者に伝えることで、何が起こったのか探ることもできるし、おそらく同じことが起きるのを防ぐこともできます」指導者側は「どう感じますか(感じましたか)?」と尋ねていつもコミュニケーションを取ることができるでしょう。神経質な雰囲気を作らず生徒の行動に批判的にならず、何かよくないと感じたら伝えて欲しいと伝え、怪我をしたと言われたら受け入れましょう。(「伝えてくれてありがとう。怪我をさせてごめんなさい。その怪我に気をつけておきましょう」)



ウソ その9: ゆっくり動けばいつも安全


ゆるやかな動きをリーフは尊重します。「ヨガ・クラスで最も大きな不満を感じるのは、みんながポーズに入れる十分な時間をインストラクターが与えない時です。誰か怪我をするのではないかと不安になります」


しかし、ゆっくり動くことも万能の解決策というわけではないと彼は認めています。「動きが間違って行われていると、どんなにゆっくりでも痛めることはあります」骨が正しい方向へ向いていないこと(例えば、右膝が右足の中心線の方向に向いていないなど)で怪我が起こるとすれば、ゆっくり動いたとしても、右膝が自動的に右足の中心線方向に向くとは限りません。ゆっくりした動きが与えてくれるのは、膝の位置に気づいて正す時間をなのです。


生徒も指導者も、ゆっくり動いてどんなポーズもどんな移行もアライメントにマインドフルであり続けるべきだとリーフは勧めています。




ウソ その10: 昔の怪我は過去のもの!(心配無用で先生にも言わなくていい)

リーフによれば、小さな怪我は完全に治癒する可能性がありますが、そうでない可能性もあります。過去に怪我したり脆くなった体の部分は、現在もとても脆い可能性が高いのです。


「ヨガの指導者も含め、どんな活動的な大人にも、『アキレスの踵』と言われるような脆い箇所が体にあり、痛みや捻髪音(音)、動きや強さ、連携の制限があるものです。これは、昔の骨折や後遺症、運動経験、幼少期、スポーツの怪我などの結果なのです」


様々な理由により、そうした場所は再び怪我をしやすいのです。まず「傷ついた組織は柔軟にならないので、また怪我をしやすくなります」第二に、怪我が完全に治癒していても、怪我の元になった間違った動きのパターン、最適とは言えないアライメントをまだ行なっている可能性があります。(右膝は治っていても、いまだに右足の中心線の方向に向いていないかもれません。)第三に、その場所からの反応をあまり感じなくなっているかもしれません。「以前に怪我をした手足の自己受容の感覚は小さくなっていることが普通です。つまり、注意を向けていないと感じないこともあるのです」これは、痛みやチクチク感などの警告がはっきりとしないかもしれないことを意味します。この脆くなった箇所には(はっきりとした警告を出しているかどうかに関わらず)、全てのヨガクラスで気をつけなければならないのです。「例えば、同じ足首をなんども挫くなら、そこが気をつけなければならない「弱い結合部」で、特にバランスポーズや片足のダウンドッグなどで足に負荷をかける時には注意が必要です。仙腸関節の痛みや過度の柔軟性があったなら、常に非対称のポーズには注意するべきでしょう」


脆い部分への気づきを持ち続けることに加え、インストラクターに過去の怪我(現在の怪我だけでなく)について知らせることをリーフは勧めています。特に過去の後遺症が繰り返されたり深刻な場合には必要でしょう。そのように、その部分に注意するよう指導者が力になり、少なくともそこへの圧力を避け、そしておそらくは特定のポーズを変更したりしないようにしたり助言をしてくれるはずです。




危険を避ける

上記にあげた提案の多くは(正常でない感覚に気をつける、ゆっくり動く、アライメントだけでなく今の状態や制限に常に気をつける、生徒と指導者が明確にコミュニケーションする)、リスクを最小限にするために大変重要です。しかし、これらは決して確実というわけではありません。

「ヨガクラスでも生活のなかでも、怪我を予防する魔法の方法などありません」とリーフは締めくくります。しかし、これがヨガをしないという理由にはならないと彼は思っています。結局のところ「何をするにも想定されるリスクがつきものです」

体を強くし、柔軟性を高め、心肺機能の健康促進、依存症からの回復、ストレス解消、感情や痛みからの解放、一般的な幸福感などヨガのパワーを肯定する研究が多くあるので、リーフは彼の患者らにヨガクラスに出るよう勧めることが多いそうです。彼はまた、特定の怪我からの回復に対するヨガの役割を評価しています。「ヨガ・フローやポーズなど体の左右に繰り返すリズミカルで対称的な動きは、患者が正常な運動パターンを思い出すのに効果的です。例えば、均等な重力配分で片足で歩いてばかりいた患者にはヨガが役にたつでしょう」リーフは言います。


では、ヨガクラスで怪我してしまったら?コーチやヨガティーチャーから習った「RICE」はウソではありません。リーフによれば、遅すぎる「R」や「I」に反対する声もあるけれど RICE(rest=休む、ice=冷やす、compression=圧迫、elevation=持ち上げる)はよいアドバイスです。「この理論での大きな変化は、今では「休む」ことが何週間も完全に動かさないということではないと理解していることです。つまり怪我がどれくらい深刻かにより、外傷後24時間から48時間の間、その箇所の動作を止めるというわけです。例えば、激しい痛みと腫れ、青黒い変色のある足首の捻挫には、48時間の休みが必要です。しかし、軽い捻挫の場合は、その日のうちに足首を動かし始めた方が良いでしょう」中断なく血液を凝固させる時間をとることが重要だとリーフは説明しています。

冷やすことは、治癒には関係がありません。「痛みを感じなくする効果があります。怪我のあと、1、2日は4時間おきに約10分間、怪我を直接冷やさなければなりません」さらに、圧迫包や高くあげることはどちらも腫れを防ぎます。「腫れを防げなければリハビリが長引くかもしれません」1、2日のRICEのあと、腫れや痛みが治れば、徐々に活動を再開するべきでしょう。(もちろん、怪我をしたら医師に相談しましょう。怪我の状態により特別な処置が必要になる可能性もあります)





ヨガを練習したり指導したりするときは、安全に行うようにしていたとしても常にいくらか怪我の可能性があるということを忘れないでいることが大切です。

そのためには、この不確実性に向き合いながら冷静でなければならないことを受け入れ、この世界を全てをコントロールすることなどできないことを受け入れ、そして完全性とともに不完全性をも勇気をもって受け入れなければなりません。幸いなことに、これらはヨガが私たちに教えてくれるスキルなのです。




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