2019年10月23日水曜日

アーユルヴェーダで自然に血流を改善する方法 Vol.2
How to Increase Circulation Naturally With Ayurveda


前回からの続きです。

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8. 毎日のオイルマッサージ (アビヤンガ)


定期的なマッサージは、エネルギーや熱、血流を促すとともに、緊張を解いてその場所の経路を開きます。毎日のオイルを使ったセルフ・マッサージをするだけでそれが可能になります。温めた薬用オイルを使うと、より効果が高まりよりよい結果を得られます。

毎日あるいは毎晩寝る前に、気になる場所を(左右対称に)温めた薬用オイルでマッサージしましょう。最低5分間は患部をマッサージし、指でツボを押しましょう。例えば、手首や腕の場合、肩や首もマッサージします。さらに、週に一度全身をマッサージし、全身の緊張を解き、体全体の健康的な血流を促しましょう。



9. サウナやスチームバス


温かいお風呂と同様、サウナやスチームバスは、熱を作りストレスを軽減、経路を開いて健康的な血流を促すのにとても効果的です。可能なら、近所のサウナやスチームバスに週に1-3回(もっと多くでも!)行って最低15分間入りましょう。より深刻な場合は、症状が軽減されるまで毎日行ってもよいでしょう。


メモ:サウナなどの直前にオイルマッサージを行うと、それぞれが補完しあうのでどちらの治療効果も高まります。


10. トリカトゥ・チュルナ


トリカトゥ(訳注:スパイスミックス)は熱を作り刺激を与えるもので、血流や消化、代謝を高める効果があります。これを血流の悪い時に摂ると、他の治療法の補完になり効果を促進します。


毎食30分前、1日3回、このトリカトゥ・チュルナ小さじ1/2を小さじ1の蜂蜜とともにとりましょう。そのあと、お白湯を少し飲みます。



11. 壁に足をあげるポーズ


ヨガの回復させる逆転のポーズ「ヴィパリタカラニ」は、就寝前に健康的な血流を促進する素晴らしい方法です。立位が多いか座位が多いかに関わらず、1日の終わりには血液は足先に集まって停滞しています。このシンプルなポーズを毎晩行うと、古くなった血液が足や脚から流され、ポーズの後には新しい血液の流れが起こります。このポーズは、脳への血流を増やし、疲れをとり、記憶力や集中力を高める良い方法です。


腰を臀部の下に枕を置き、横たわって毎晩寝る前に最低5分間壁に足をあげましょう。床に寝るのが困難ならベッドの上でも構いません。これもできなければ、ベッドに横たわって毎晩15分以上両足を何個かの枕の上にあげましょう。


12. 暖かくする


寒さは血管を収縮させ、暖かさは拡張させます。すでに血流の問題があるのなら、症状を進ませないためには昼夜通して暖かくすることが必要です。体の中心部、頭、首、手足を快適に覆いましょう!


13. 毎日の運動


誰にとっても毎日の運動は推奨されるものですが、健康問題に対処するときは特に重要になります。運動は全身の血流をすぐに作り出す自然の方法で、定期的に行うことで血流がよくなり、エネルギーレベルが高まり、記憶力や集中力が向上することは間違いありません。散歩でもジムでも、少なくとも毎日30分の意図的な動き(つまり運動)が、健康的な血流と総体的な健康に不可欠です。



14. 血流によい食事


医食同源!血流を促すのに効果的な食品が以下です。あなたのドーシャ(体質)に合った食事をとるように気をつけましょう。

  • ビーツ
  • ざくろ
  • にんにく
  • たまねぎ
  • 鮭といくら
  • 亜麻仁、南瓜のタネ、くるみ、ヘンプシード
  • ケール、コラードの葉、ほうれん草
  • カカオ
  • 柑橘系
  • 緑茶
  • チャイ

    15. 血流によいハーブ


    血液を送り出すハーブはたくさんあります。サプリとしても、蜂蜜と一緒に、お茶にしても、または食事に足してもよいでしょう。血流を高める最も強いものが以下です。あなたに最適なハーブは、ドーシャ(プラクリティ)と今のバランスの崩れた状態(ヴィクリティ)、そして血流に関係するであろう根底にある状況などを考慮して決定します。
    • 生姜
    • うこん
    • シナモン
    • 黒胡椒
    • カイエン・ペッパー
    • マンジシュタ
    • グッグル
    • トリカトゥ
    • グドゥチ
    • フランキンセンス
    • シラジット
    • アマラキ
    • スピルリナ

    その他重要なヒント:
    季節や自分の体質に沿って健康的な食事をとること
    ジャンクフード、加工食品、過剰な糖分、塩分を避けること
    体の閉塞を取り除くため、毎年あるいは2年に一回は浄化をすること
    精神と感情のバランスを保つこと




    結論


    その原因がとても多くあることを考えると、多くの人が血行不良で悩んでいるのは不思議ではありません。まず行うべきなのは、可能性のある原因を取り除くとともに、適切な食事とライフスタイルに変えることです。ハーブを摂ることはとても効果的ですが、それは他の必要な変化が見られたときだけです。血行不良は単純な問題に見えますが、時とともに多くの複雑な状況へと進んでしまう可能性のある深刻なことなのです。ですから、血流をよくすること(そして根本原因を治療すること)は、健康、エネルギー、幸福を維持するために大変重要なことなのです。






    2019年10月8日火曜日

    アーユルヴェーダで自然に血流を改善する方法 Vol.1
    How to Increase Circulation Naturally With Ayurveda


    徐々に朝晩が涼しくなってきました。
    いつも寒くて靴下や手袋が手離せないという方もいらっしゃるでしょう。その原因は血流かもしれません。
    血液は酸素や栄養を行き渡らせたり、毒素を排出したりするとても大切な媒体です。
    その働きの結果が充分に得られないとどうなってしまうのでしょうか?
    そしてそれをどうやって改善できるのでしょうか?
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    血液はピッタ・ドーシャに関係していますが、血流そのものはヴァータ・ドーシャ、より具体的にはプラナ(生命力)と繋がっています。どちらも体内の全ての動きを司っています。血流の悪化は、循環器系の重要な経路が、溜まった毒素や過剰なカパ(脂肪、コレステロールなど)で妨げられたり、ストレスやヴァータ(不安や乾燥など)、悪い生活習慣、よくない食生活などで収縮したりして起こります。


    血流が制限されて悪くなると、しびれやチクチクした痛み、慢性的な手足の冷え、抜け毛、消化不良、痛み、凝り、腫れ、浮腫み、皮膚潰瘍、神経損傷、組織損傷、静脈瘤など多くの症状が起こります。血流の悪化は外的な障害だけでなく、記憶や集中力、理解力や体力などにも悪影響を及ぼします。


    血流の悪化は深刻な問題で、より深刻な症状が起こる指標にもなります。治療しなければ、広範囲の合併症にも繋がるので、症状が現れ始めたらすぐに対処しなければなりません。もっとも多い症状は以下の通りです。


    血行不良の兆候と症状

    • しびれやチクチクした痛み
    • 常に寒い、特に手足が冷える
    • 顔色が悪い
    • 静脈瘤
    • 腫れ、むくみ
    • 筋肉のけいれん
    • 慢性疲労
    • 物忘れ
    • 目のかすみ
    • 集中力欠如
    • 充分寝ても起床時に眠い
    • 勃起不全
    • 抜け毛
    • 治らない皮膚の傷や潰瘍
    • 爪がもろい
    • 手足の皮膚の乾燥、ひび割れ


    血行不良が起こる原因は本当に様々で、複数の原因によることも多いのです。どのような原因が考えられるにせよ、この後ずっと解消するためにはその原因を取り除くことが必要です。以下は考えらる最もよくある原因です。


    血行不良の原因

    • ストレス
    • ヴァータが多い(不安、乾燥など)
    • カパが多い(過体重、代謝問題など)
    • 毒素過多
    • 脱水
    • 糖尿病 
    • レイノー病 (自己免疫疾患) 
    • 高コレステロール
    • 高血圧
    • 肥満
    • 座りがちの生活
    • 運動不足
    • 間違った食事
    • 長時間立ちっぱなし、あるいは座りっぱなし
    • コンピュータの長時間使用
    • 重いものをいつも持ち上げる (肉体労働や赤ん坊を抱えるなど)
    • 喫煙
    • 妊娠
    • 長期間の筋肉収縮 (ストレスや睡眠時の歯のくいしばり)


    私たちの血流により、組織や内臓が栄養や酸素を受け取り活性し健康でいられます。長い間血流が滞ると様々な問題が起こるのですが、症状が現れたらすぐに(理想的には)治療した方がよいでしょう。治療の第一歩は原因を取り除くとともに下記のアドバイスを取り入れましょう。




    *血行不良は糖尿病、高血圧、高コレステロールなど、より深刻な病気の兆候の可能性があり、治療をしないでいると卒中や心臓発作などの命に関わる問題に繋がる可能性があります。より深刻な病気が疑われる場合は、医師にご相談ください。




    自然に血流を増やす方法

    1. ストレスレベルを下げる


    ストレスは、血行不良の最もよくみられる原因の1つです。高レベルのストレスで、歯を食いしばったり全身が緊張したりしますが、ほとんどの場合、朝夕関係なく無意識のうちに起こります。ストレスレベルを下げ、緊張を解くことで、血管が開き始め、動きや空間、そして生命力が自由に流れ始めるのです。以下は、日常に取り入れられるストレス解消法です。
    • 瞑想
    • 深い呼吸
    • 左右の鼻腔で交互に行う呼吸(ナディ・ショーダナ)
    • 平穏な心で行う散歩
    • 自然の中の穏やかなハイキング
    • エクササイズ
    • ヨガ
    • 労働を減らす
    • 休みとリラックスを増やす


    2. 毎日のストレッチ


    血行不良の方全てにストレッチは欠かせません。身体の凝り固まって滞った場所をストレッチすることにより、緊張を取り除き血流を促すことができます。血流が悪いのは身体の片側だけかもしれませんが、バランスを取り正しい位置に戻すためストレッチは両サイド行うことが重要です。

    少なくとも日に一回、その場所を(可能なら反対側も)5ー15分間ストレッチしましょう。最も高い効果を得るには、可能なら起床時、日中、そして就寝前に短いストレッチをするよいでしょう。


    3. 長時間座り続けない


    あなたの仕事が長時間座り続けなければならないものなら、それが血行不良の主な原因かもしれません。毎日8時間座ることには多くの危険要素があるのですが、特に多くの場合コンピュータの前に長時間いることと関係しているからです。仕事で一日中座り続けているのなら、1時間おきに立ち上がって動かなければいけません。単にトイレに立つとかランチ休憩を取ることだけでは十分ではありません。一日中座ることが多いなら、取り入れるべき習慣のいくつかが以下です。

    • 水分をとるため1時間おきに立ち上がる、トイレに行く、あるいはただ手足を振る
    • 2-3時間おきに5-15分間、影響のある箇所をストレッチする(例えば、手首や腕に問題がある場合は首、肩、腕、手首、両手をストレッチするなど)
    • 5-10分間でもいいので、昼食のあと少し散歩する
    • 人間工学を考慮し、椅子、キーボードなど体に合ったものを使うと同時に正しい座り方、タイピングの仕方を心がける



    4. 太陽礼拝を10回行う


    太陽礼拝は、原因や患部がどこかに関わらず全身の血流を高めます。太陽礼拝で全身を動かすことができ(つまり全身の血流も)、同時に熱を作り、滞りを取り除いて緊張を解きます。


    毎朝起床時に10回の太陽礼拝(あなたに合った強度と速さで)を行いましょう。可能ならさらに、日中、仕事の後、そして就寝前に3-10分間行うと良いでしょう。



    5. 温かいジンジャー・バスに入る


    ジンジャー・バスは血流にはとても重要です。生姜は、温めて刺激を与える効果があることから、血行不良の治療に合ったハーブです。いずれも、温かいお風呂に浸かることは、ストレスを軽減し緊張を解き、滞りを取り除いて体の経路を開く素晴らしい方法です。

    週に少なくとも3回は就寝前にジンジャー・バスに入りましょう。温かい〜熱いお湯に15分以上浸かります。



    6. お白湯を飲む


    毎日血流をよくする簡単な方法は、お白湯を飲むことです。お湯の温かさが血管を内側から拡張させ、体から老廃物を出すのを助けます。血行不良の原因が脱水にもあるように、お白湯は正しく水分を補給することにもなります。

    朝起きて空腹時に500ccのお白湯を飲みます。日中は食間にカップ1-2杯のお白湯を飲みましょう。必要ならレモンやライムを加えてもいいでしょう。


    7. ジンジャー・ティーを飲む


    生姜は、その浸透性と温める性質から血流を高める基本となるハーブです。温かいジンジャー・ティーを作って毎日飲むと、血管の拡張を促すとともに、消化、代謝、解毒を促進します。

    多めのジンジャー・ティーを朝に作り、1日に1ー3杯飲みましょう。深刻で慢性の問題の場合は、毎日飲むとよいでしょう。

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    次回に続きます。


    2019年10月3日木曜日

    後屈のありがちな間違い 
    The Easiest Mistake to Make in Backbends

    実は私は体型や普段の筋肉の使い方で、前屈や内転・内旋は比較的得意なのですが
    後屈や外転・外旋がとにかく苦手で、どちらかというと「嫌い」です。
    あえて不得手なポーズをたくさん練習した方がいいと思って、自主練習も多く取り入れるのですが、やっぱりなかなか深められず苦手のままです。
    ふと、こんな記事をみつけました。
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    後屈と言えば、すごく硬いからウルドヴァ・ダヌラサナ(上向きの弓、あるいは車輪のポーズとも呼ばれる)なんか絶対にできないわとあなたは考えたりするかもしれません。あるいは、あなたはこの同じポーズで簡単に足首を掴めるので注目、賞賛を浴びるヨギかもしれません。どちらにしても、後屈のバイオメカニクス(生体力学)を試してみると後屈の感覚が変わるということに気づくでしょう。気づきと調和、そして解剖学的知識を使って、ヨギがよくしてしまう後屈の間違いをどう防ぐことができるかを見ていきましょう。


    解剖学レベルでは、後屈を練習する主な理由は、胸椎の伸展の方向への柔軟性を見出すことです。しかし、脊椎の動きは多数ある各関節に依存しているのですが、私たちはみんなそれぞれに、とてもスムーズに動く椎関節もあれば、より「硬く」「詰まった」ように感じる場所もあります。こうした動きの不一致が後屈をする中で、一部の関節が動きすぎ他のぶぶんでは十分動かないということが起こります。


    解剖学用語では、過剰な動きが可能となる場所を「ハイパーモバイル(過可動)」、あまり動かないものを「ハイポモバイル(過小可動)」と呼びます。身体のハイパーとハイプポのエリアは大抵は隣り合っているのですが、それはある関節があまり動かなくなると近くの関節がそれを補うためにより動く必要が出てくるからです。動きがもともと楽な場所で動き続けるというのが身体の自然な傾向なので、このようにバランスが崩れるとなかなか変わりません(でも不可能ではない!)


    身体のハイパー・ハイポモビリティの標準的パターンのひとつが、胸椎・胸郭エリア(中背・上背)と腰椎(腰)の関係性です。私たちのほとんどは、胸椎があまり動きません。そうです、このエリアの本来の構造のため可動域が少なくなってしまう傾向がありますが。理想的な呼吸をしていなかったり、姿勢が悪かったり、1日中座りっぱなしというような習慣を私たちの多くが送っているため、本来あるべき胸椎の可動性が低くなってしまっているのです。胸椎の低可動を補うため、そのすぐ下にある腰椎を過剰に動かすようになります。


    12の椎骨がきれいに繋がりしなやかに動く胸椎の代わりに、私たちの多くが、胸椎全体と胸郭を「がっちり」ひとつの大きなユニットとして動かすようになっています。これが起こると、後屈で上背・中背の各椎骨の動きが少なくなり、胸郭全体が元の形のまま単に「後ろへ傾き」ます。「前方胸郭」や「リブ・スラスト(肋骨の突き出し)」と呼ばれます。


    後屈でリブ・スラストを起こすと、今やってると思っている「健康的な脊椎伸展」が、実はもっと正確にいうと「胸椎のとても少ない伸展と腰椎上部の過剰な伸展」になっています。言い換えれば、脊椎全体に渡るよいカーブではなく、上背と中背の小さな曲線と腰の大きすぎるカーブです。この動きのパターンは後屈ではかなりよく見られ、腰椎への過剰な圧迫とせん断力を与えます。



    脊椎全体にきれいに分散した後屈ができている?


    後屈の時、このよくない補完戦略が使われているかどうか、どうしたらわかるのでしょう?まずはっきりとした兆候は、後屈中と後に感じる腰の痛みや不快感です。痛みや不快感は、後屈が平均的に分散されていないという明らかなサインで、これは実際に多くのヨギがかなりよく体験することです。次にアサナのクラスに行ったら、よく観察してみましょう。ウルドヴァ・ダヌラサナをしようとしている生徒の多くが、浅くて荒い呼吸や苦しそうな顔など頑張りすぎて疲れているのがわかるでしょう。そしてポーズから下りてとてもホッとしている。まるで、ポーズをするためにものすごい不快なことを身体に無理やりさせて、そしてその不快がやっと終わるのだというような。でも、ちゃんと行う後屈というのは、へとへとで心地悪いのではなく安らかで意のままに感じられるべきなのです。


    後屈がうまく分散できていない指標のふたつめは見た目です。形はどんなでしょう?熟練した後屈は、全身でスムーズな弧を描くよう、たくさんの関節に渡り適度の動きを使っています。トッド・ハルグローブが彼の著書「A Guide to Better Movement」の中でこう書いています。


    ー もし動きが全身にうまく分散されていなければ断続性があるはずだ。直線の後の急な角度、ある部分が働きすぎている一方で他が全く働いていない証拠だ。これは、効率的な動きは「角ではなく弧」を見つけることで確認できるとなぜエリック・コブ博士が言ったかということだ。長い年月が経ち、古代の建物の角度のついた壁が壊れてしまってもアーチ状の出入口はまだ立っているのを見るのは興味深いことだ。



    この革新的な「角度でなくアーチ」コンセプトをアサナに取り入れていきましょう。後屈の際の身体をみてみると、理想的には全身のスムーズで均等なアーチを作ろうとします。そうなっていれば、脊椎が健康的な度合いの伸展をしていて、24の椎骨の全てが均等に広がっているということです。けれど、多くの後屈ではそうはなっていないことが多いのです。大抵の場合はスムーズで身体の前面に沿って描かれた弧ではなく、腹筋から肋骨が前に飛び出て尖っており、まさに「アーチ」ではなく「角度」になっています。肋骨下部の前面がこのように前に突き出して見えるということは、後屈で「リブ・スラスト」に入ってしまっているという兆候なのです。


    そして後屈での背面のラインに沿っては、均等なアーチではなく、腰椎が過度に曲がり(特に胸椎と腰椎が隣り合っているところ、T12とL1、L1とL2など)、胸椎がほとんどフラットに見えることが多いのです。これは「鋭い角度」の後の「平たいライン」の例で、後屈において腰椎が曲がりすぎており胸椎が比較的動きに貢献していないという明らかな証拠となります。



    後屈でスムーズなアーチを作るには?


    後屈で脊椎に負荷を均等に分散させる主な方法は、動かしにくい場所(胸椎)が動けるように、すでにかなり動く場所(腰椎)を安定させる方法を理解することです。後屈でのリブ・スラストを制御する方法を知ることが、このプロセスにおいて重要なステップになります。肋骨下部の前が前に突き出て見え、胸郭全体が後傾している時、リブ・スラストになるとわかりましたね。この動きを止めるには、肋骨前面の下部を「内側下方に」ひきこむと、腹筋が使われて胸郭が前傾します。この動きから始めて後屈に入る準備をし、ポーズの間ずっとこの安定を維持するのです。この肋骨の前を引き込むことが肋骨の後部を持ち上げることになり、脊椎全体のより理想的なアライメントを作り出すのです。


    また、腰椎の過伸展を必要とする後屈ポーズのバリエーションは、やるべきではないでしょう。それらは美しさの点では「深く」「優雅に」見えるかもしれませんが、私たちの身体の機能性や構造に、なんら良い変化を作るわけではありません。自身に聞いてみましょう「練習を通してどんな構造を私は築こうとしているのか?」何年も続けられるものなのか?それとも今だけとても美的に素敵なものだけれど、それは物理学の法則からしてそのうちダメになって崩れてしまいがちなものなのか?代わりにこれらの深い後屈の穏やかなバージョンを試してみて(気にせすプロップスを使いましょう!)、身体の気づきと動きのまとまりに根付いた基礎によって作られるスムーズで均等、安定したアーチ作ることに努力しましょう。