2021年12月10日金曜日

忘れっぽい?集中力と注意力を高める神経科学者推奨のエクササイズ 
Forgetful Much? Try This Neuroscientist’s Simple Exercise to Boost Focus and Attention



神経科学者で「Peak Mind」 の著者であるアミーシュ・ジャア博士は、このところマインドフルネス界のジョン・カバット・ジンみたいに大きな注目を集め話題になっていますが、ある朝、目覚めると歯に感覚がないことに気づいてショックを受けました。そう、まるで局所麻酔したかのように歯が痺れていたのです。多忙でストレスの多い生活が原因で注意危機に陥っており、博士自身が脳科学ラボで研究している「注意システム」により注意を向ける警鐘となりました。

「注意は、大きな能力です」ジャア博士は言います。「注意力の調整することで、日々の生活を理解し、考え、感じ、記憶を味わい、将来を夢見ることができます」

ジャア博士によれば、私たちには3つの高度に調整された「注意システム」があり、脳の中で指揮者のように働いて、後で見つけ出すことのできる考えや経験を蓄えている作業記憶システムを連携させています。




注意が失われる原因は?


わかっているのは、ジャア博士のように昼夜を問わず忙しくしていると、私たちの注意システムはひどく劣化する可能性があるということです。博士の仕事は、高ストレスの教授や研究者で、またTEDのスピーカーで、母で、そして今では新進の作家であり、彼女の多忙な生活をとても優秀な指揮者のように管理しています。もちろん、忙しいと感じていましたが、ほとんどの場合は平気でした。注意システムは、それを変えてくれと懇願していたのです。

注意について、もうひとつショックだったことは、ある日の夕食後、ソファで横たわってリラックしていた時のことでした。幼い息子が「ワンプって何?」と尋ねたのですが、何のことがわからなかったのです。ワンプという名前の生き物が出てくるセウス博士の「One Fish, Two Fish, Red Fish, Blue Fish」を何百回も読んだことがあるのにも関わらずです。

研究者であるジャア博士はすぐに、同じような症状の人が大勢いることを発見しました。私たちは、注意を払わないでいるために、人生の半分を失っているのです。




幸い、ラボや軍の兵舎、消防士のような前線で働く人々とともに行ってきた彼女の研究により、マインドフルネス(ヨガのような活動を含む)が注意システムを元に戻すのに役立つ可能性があることがわかりました。




注意システムを理解する


「注意システム」は3つのサブシステムから成っていて、「ワンプ」に満ちた複雑な人生の中で私たちがうまく機能するよう共に働いています。

  1. 懐中電灯
    注意を集中する時、それがどの点であっても、それは頭の中で明るく強調され顕著になります。例えば、クラスのためにヨガマットが必要だとしましょう。部屋を歩き回ってあなたのマットの色や形、テクスチャを探すと、ほら、あった。ありがとう、懐中電灯さん。


  2. 投光照明
    懐中電灯が狭い範囲で集中するなら、投光照明は広い範囲で多くを照らします。マットが見つかったので、車を運転してヨガクラスに行きます。投光照明は、道路を見て、止まれの標識に注意し、スピードに注目し、歩行者や自転車に気をつけ続けます。何かを探しているわけではなく、注意を集中する必要のあるものに反応していつでも懐中電灯をさっと取り出せる準備ができているのです。


  3. ジャグラー
    ジャグラーは、瞬間ごとに行動を指揮し、監督し、処理します。ジャア博士が言うように「ジャグラーが、行動とともに何をするかという目的を確実にします。つまり、ジャグラーが、行動が順調に果たされるよう頭の中で目的を保ち続けます。(駐車場に車を停めてメールをチェックしている時、ジャグラーが、あなたのスクロールしている手を止めてクラスに行かせようとする)」



注意に注意を払う


作業記憶によって、脳内のこれら3つのサブシステムがそれぞれの役割を調整されています。「作業記憶とはメモ帳のようなものです。脳内の一時的「作業領域」であり、そこで懐中電灯や投光照明、ジャグラーの情報をとても短い時間(数秒から長くても1分)で処理されます」ジャア博士は言います。

注意を払う時は(懐中電灯や投光照明、ジャグラーであっても)いつでも、処理される情報は、作業記憶内に一時的に保存されます。共に、注意と作業記憶システムは意識的な経験で形作られ、そうした情報を日々の生活を送る中で用いることができるのです。

「注意というのはパワフルです。が、揺るぎないというわけではありません」ジャア博士は言います。

脳は、サバンナでガゼルを狩るには懐中電灯、危険を察知するには投光照明、ジャグラーを満足させるために夕食を持って帰るなど、作業記憶のメモ帳の3つのサブシステム間で素早く揺れるようになっています。この能力がサバンナで不可欠である一方、そのせいで激しい「注意市場経済」(宣伝文句や警報、「ニュース速報」の点滅など)の脆い餌食にになります。




注意が最も消耗するのは


けれど、Appleに怒りをぶつける前に、知っておいてください。携帯電話は問題の一端に過ぎません。僧たちは、紀元400年から心の動揺全てを避けようとしていて、それがとても困難なことだと気づいています。
 
注意が最も消耗されるのは、実は、思考や感情、後悔、心配、欲望、予定など、忙しさが煮立った大鍋のような頭の中なのです。「注意は常に、居てほしい場所から引き離されて、それが真実から最も遠いものであっても心がより『関係があり』『緊急』だと決めたものへと移ります」博士は言います。そんなストレスや、沈んだ気分、恐れだけでなく、注意の質が下がり、ああ!すっかり忘れてた!と言うことになるのです。

ジャア博士の研究(そして、彼女の歯が痺れた体験)から、注意に影響を与えるのはストレスの多い体験だけではないことがわかっています。「やるべきことが多すぎると感じたり、心の明晰さや集中力の変化に気づき始めるかもしれません」その結果、ワンプのページ全部が隠れてしまい、心の中の買い物リストが消え、年金をもらい始めるずっと前から「何話してったっけ」の瞬間がやってきます。

大きな能力をケアする方法のひとつは、マルチタスクしようとしないことです(代わりにひとつのタスクを)。けれど、もちろん、ストレッサーの多くは避けられません。仕事、子供の世話、夕食の準備などが一気に直撃します。

ストレスの原因のひとつも諦めるつもりのない博士は、その強力な懐中電灯の光線を注意システムの理解に向けました。マインドフルネス瞑想を毎日行うこと、「今この瞬間に注意を落ち着けて、何が起こっているのか、何が起こるのかの物語を論じることなく体験すること」が、心の曇りを晴らし、心を整理し、心の集中力を強め、それによってより人生を体験することができるのです。




プレッシャー下でマインドフルに


毎日20分のマインドフルネスを続けるうちに、博士は歯の感覚を取り戻しただけでなく、よりその瞬間を感じ、より効果的に体により落ち着けるようになりました。「自分が有能だという感覚やコントロールできている、困難に向き合ってそれを乗り越えられるという自信を感じました」

「自分自身を行動指向で、結果主義、高い目標にぎりぎりまで挑む競争的な野心家だと考えていたので、これで得られたことは驚きでした。もっと強く求める、より早く良く考える、より多く行動するということではない心の使い方を、初めて体験しました。それは、人生のその瞬間を感じる、受け入れる、好奇心を持つことでした」

ジャア博士は、私たちは考えることや行動することにまとまって慢性的に中毒になっていると考えています。その状態にあるというモードには、簡単にはなれません。しかし彼女の研究では、マインドフルネス瞑想が、より効果的に考えたり行動したりするのに役立つと示唆されています。

「Peak Mind とは、考えたり行動することを優先しない状態です。注意のどちらのモードをも制御します。集中しながら受け入れられる、このバランスによって、注意に関する困難を乗り越え突破できるのです」




STOP の実践法


博士は、著書 Peak Mind の中で、パフォーマンスを最大にする毎日の集中と注意システム喚起を通して注意コントロールを取り戻すことに的を絞った、12分間の脳トレ・プログラムを開発しています。

マインドフルネスが初めての方や、毎日の12分間脳トレをするのはまだ無理だという方に博士が推奨するのは、以下の STOP を1日に数回行い、いつでも注意がどこにあるのかへの気づきを高めることです。

  • S(Stop) = この瞬間にしていることを止める

  • T (Take a breath)= 呼吸をする

  • O (Observe)= 心の中や周囲で起きていること(思考、感情、身体感覚)を観察し、それに引き込まれることなく気づく。ただ観察し、身を任せ、そして受け入れる。

  • P(Proceed)= より集中し、より明確に続ける

博士が1日を通して注意を払うことでマインドフルネスを実践し始めた頃、心がバッタのように常にあちこち飛び跳ねてちっとも集中できないことに気づきました。「一日中、どんなに心が彷徨っているかにショックを受けました!」マインドフルネスを毎日2ヶ月行った後、劇的な変化を感じました。生きていると強く感じたのです。

現在、ジャア博士は、Peak Mind の毎日の練習と20年間の脳研究のおかげで、人生を豊かに生きられるようになっただけでなく、集中力、そして不思議なワンプのように消えていく人生の半分を取り戻すため、毎日数分間の脳トレを広めるため皆さんの注意を惹きつける使命に取り組んでいます。

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