「責任・義務」という言葉は時に、とても自信のある人でさえもその出口戦略を見出すことに心配や不安を感じさせるものなのかもしれません。例えば、私の友人が最近とても好きな相手を結婚しました。けれど、「その日」の数週間前、彼女は突然不安に襲われました。もし自分の気持ちが変わってしまったら?彼が愛の誓いを守れなかったら?私は彼女に何が一番
不安なのかを尋ねました。彼女は涙をポロポロ流しながら叫んだのです「私は責任とか義務には向いていないのよ!」
この友達は、アサナやプラナヤマの練習を長い間続けてきました。私は、彼女がずっとこうした練習を熱心に続けてきたことを指摘しました。「それは、また違う」彼女は言いました「それは義務じゃないの。本当にヨガがしたいの」本気で?毎日?私は言いました。「1日も欠かさず練習したがる人なんて、聞いたことないわ」もちろん彼女の毎日というわけではないけれど、でも毎日練習してきたのです。「したい時もしたくない時も私はヨガをするの。そうやって長い間続けた努力から成果を得るの」私は、うまくいった結婚みたいだと思いました。
人間関係の多くを根付かせて育てるためには、こういったタイプの持続した責任や義務が必要です。パタンジャリは、こうした考えをヨガスートラの第1章14節ではっきりと説明していて、練習に専念するということを定義づけています。練習を確立するということは、すなわち練習が自身の堅固な基盤となるということと彼は述べています。長い間、敬意と愛情を持って続ければ確立されると。
私たちはみんな、故意であるかそうでないかに関係なく、何であれ習慣的に行うことができ、確かな習慣やルーチンを作ることができます。毎晩寝る前にお茶を飲むことだったり、毎日午後4時に犬を同じ道で散歩させることだったり、毎朝、朝食前に瞑想をすることだったり。敬意をもって取り組むことで何でも実践や練習にすることができます。そしてその取り組みが自分自身への約束となり、あまり考えずに行う作業やただ決めたルールではなく、向上したいという意思となるのです。
私たちの練習は、自身の価値や熱意を持って続けるに値するその追求を確かにする手段です。献身と敬意を観念的な理想と見るのではなく、マットの上でアサナをしている時もマットの外で自分のことや人間関係について取り組んでいる時も、私たちは敬意と愛情を持ち続けることができます。長い間繰り返し練習すれば、パタンジャリの言うように、安定した基盤を作ることができ、逆説的に言えば人生の中でより大きな自由に到達するのです。
ロチェスター大学宗教学教授であるダグラス・ブルックス博士は学生たちに、ヨガでは「自由は自由から来るのではない。自由は束縛から来る」と念を押します。ブルックス氏はヨガのことを「洗練された束縛」と呼び、心の中で真実だと信じるものに従って生きる自由をその実践者に与えるのだと。有害で思慮のない習慣にはもはやとらわれず、実践者は、死と蘇りという究極の束縛、つまりサムサラからの自由を見つける力を得るための練習を完璧なものしようと献身しています。いったん精神的な安定を得られれば、自由に自身の心の叡智に耳を傾けたりそれに従って人生を生きることができます。
パササナ(投げ輪のポーズ)は、束縛と自由、義務と献身を体験させてくれます。深いねじって腕を組むこのポーズは身体的に、背骨を自由に深くねじれるような強固な土台をつくるため、両脚と股関節を強く働かせなければなりません。ねじりが深くなればなるほど、肩を開き脚の後ろで手を組みながら、胸や肺でしっかりと呼吸し、喜びと解放感を感じることが容易になります。
比喩的には、パササナの安定した土台は約束の力を、ねじりの動きは最も深い真実を中心におくという私たちのゴールを表しています。組んだ手は中心にある価値に留まることを表現します。そして練習が時間をかけて持続する努力を必要とするように、この難しいポーズは熱心に継続して繰り返し練習することのみで完成することができます。最初に試したときにこのポーズができる人はとても少ないのです。では、実際のレベルは?パササナは空腹時にだけ行いましょう。また膝や腰に問題がある、椎間板ヘルニアの場合はこのポーズは行わないでください。
今回のシーケンスを練習するときは、全てのポーズで決まった数の呼吸を続けてください。すべてのポーズでウッジャイ呼吸を5回行うこと、あるいは前もって決めた時間ポーズを保つことで、自身で境界を決めることができ、それが皮肉にも自由を与えてくれます。これで、少し不快感を感じた時にモゾモゾしたりポーズをやめようかなと思ったりすることなく、ポーズに注意を向けることができます。体力やスタミナ、経験に応じて30秒から1分間やってみましょう。
もちろん、ポーズの間痛みを感じるべきではありません。痛みが生じたり呼吸が乱れたら、ポーズをやめましょう。これらの境界は厳格ではありません。自分自身の練習に取り組んでください。最大の効果を得るために同じポーズを2回以上するのがいいと思うかもしれませんし、繰り返すことでより学び向上できると感じるかもしれません。
パササナ(投げ輪のポーズ)の準備
1. パールシュヴォッタナアサナ
タダアサナから、両手を背中で合わせて合掌します。肩が硬いと感じたら、背中で両肘を掴むか指を組みましょう。背中に肩甲骨を引いて寄せます。両腕の骨頭つまり上端を背面へと動かします。この動きによって肩が安定し、胸をより大きく開くことができます。
息を吸い込んで、両足を1ー1.5mほど開き、右脚は外側へ左脚は内側へしっかりと回転させます。まず両脚の次の3つの力強い動きに注目しましょう。筋肉を骨に向かってまとめる、両脚は強く引き寄せあう、そして足先のエネルギーを股関節に引く。尾骨は引いて下腹部をおへそに向かって引き上げ、胸を上げながら頭頂に向かって背骨を伸ばします。二重顎を作るかのように首を戻して、空に向かって顔を上げましょう。
息を吐き出して、股関節から前屈します。胴部を下げながら、右足の指の付け根でアクセルペダルを踏みこむのをイメージします。かかとを地面に着けたまま、指の付け根を通って後方の足が床の方へ重たく感じるまで押します。この動きで、重みを均等に両足にかけることができ、前方の脚が過伸展するのを防ぎます。まず額をすねに向けて、それから顎をすねに向けていきます。このポーズで5回しっかりと呼吸するか、自分で決めた時間まで保持しましょう。
息を吸って、後方の脚を押して、立ち上がります。反対側で繰り返します。
2. ガルーダアサナ
タダアサナで立ち、右脚を曲げます。左脚を右脚の周りにからませます。左足首を曲げて右脚のふくらはぎに後ろに置いて、つま先は床の方へ向けておきます。左足が安定しなければ、もう一度やってみましょう。右脚をより深く曲げて左脚をもっと高く持ち上げ右脚の上の方へからめてみます。または、左足先を右足首の外側にそっと置いておきましょう。今度は、左腕を右腕の下にして、肘と手首で交差します。できるだけ両手のひらを近づけましょう。
軸足を深く安定させ、からめた脚と強く合わせます。今度は、できるだけ後方へ上背部を引き上げます。両脚の強さを維持しながら、ウェストで前屈し、脇腹を後方へスライド、魔女の猫のように背中を膨らまします。背を丸めて両肘を上の脚の外側へ動かします。この前屈によって股関節が開いて背中が伸び、次のポーズの準備となります。ホールドして解放したら、反対側でも繰り返しましょう。
3. パリヴリッタ・パールシュヴァコナアサナ
タダアサナから両足を1.2-1.8mほど開きます。右脚を外側へ回転させて、股関節がマットの前端の並行になるまで左足指の付け根を軸に回旋します。息を吸い込んで両脚に強く働かせ、筋肉を骨にまとめ、股関節に向かってエネルギーを引きます。左腕を頭上に伸ばして背骨を伸ばします。息を吐き出して、少し背中を丸めて、前の脚の上で上半身を捻ります。左の脇の下の外側を右膝の外側におきましょう。左手は床かブロックに乗せます。
ねじりが安定していると感じたら、前屈をやめます。胸を上げて頭と尾骨が一直線になるよう上背部を開きます。ねじりを深めるには、安定性を作るため両脚に力をこめ、上半身の左右両側が同じ長さになるように右の腰と右脇の下の間を伸ばします。もっと捻っていきましょう。右腕を頭上にあげて上を見ます。ホールドして解放したら、反対側も繰り返しましょう。
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次回に続きます。
(出典)https://yogainternational.com/article/view/exquisite-bondage-pasana-noose-pose/
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