2026年3月9日月曜日

アナンターサナ(ヴィシュヌの寝椅子)の神話 
The Mythology Behind Anantasana (Vishnu's Couch)



「終わりのない」「無限」という意味のアナンタは、永遠、誕生や成長、死などすべての変化の超越などを表し、喜びや幸福感が無限である状態を表します。感じられる物質を超えたこの甘く自然な状態は、アナンタという巨大な神話上の蛇で表されます。アナンタのとぐろは宇宙を支え、ヴィシュヌ神が次の生まれ変わりの前に休む際の寝椅子となります。アナンタにアサナを付けるとヨガポーズの名前となり、この生まれ持った幸福感、平穏、永遠の感覚を養うのに役立ちます。


アナンタ(アディシェシャとも言われます)はヨギにとっては重要な人物です。ヨガスートラを編纂したパタンジャリはアナンタの生まれ変わりだと言われます。バガヴァットギータでクリシュナは「蛇の中でも、私はアナンタである」と言います。アナンタは、宇宙を支える者の一人で、時が始まる前から存在していました。


神たちが乳海を撹拌して世界を作った時、アナンタの体はロープとして使われました。アナンタは、他の世界であるパティアーラの海に浮かび、彼のとぐろの上で保護者であるヴィシュヌとともに永遠に住んでいました。700年ごと、あるいは創造物が本当に困ったことになった時、アナンタはとぐろをかすかに動かしヴィシュヌ神が形をとって地上に現れ、そして時代が始まります。時代の終わりには、ヴィシュヌは休息へと戻るのです。どんな時も、創造物が生まれ、育ち、愛し、争い、死ぬ時も、アナンタは下で地上のあらゆる活動の影響は受けず、究極の目撃者であり続けます。


パタンジャリの頭上にはコブラが被さっており、世界の考えうる全ての悪や困難からの究極の保護を表しています。7匹の蛇が、パタンジャリや彼に師事した全ての弟子らを守るための聖なる傘を形作っています。この7つの蛇は、地水火風空の5行を完全に理解したこと、また解脱と悟り、モクシャとサマディを得たことを象徴しています。




個人的な世界でのアナンタ


個人の世界においては、背骨が体の土台で支柱であり、中枢神経の存在する場所です。下界から危険が迫ると、アナンタがヴィシュヌ神を呼び起こして地上の危機に対処するように、体の交感神経が動き出して反応を刺激します。心拍数や呼吸数が増え、消化に影響を与え、筋肉に血液が送られ、闘争逃走行動の準備をします。危機が去れば、副交感神経が体と心を落ち着かせ、心拍数呼吸数がゆっくりになり、心もまた落ち着き、ヴィシュヌはアナンタのとぐろへと戻っていきます。


興味深いことに脳の基部は「爬虫類脳」とも呼ばれ、呼吸のような生命維持のための最も基本的な行動を司っています。それは知覚には全く関係がありません。もし呼吸について考えなければならないとすれば、注意散漫になったり眠ってしまったらすぐに死んでしまうでしょう。感じられる世界の変化や要求に反応する時、警戒する役目を果たすのは前頭葉(認知脳)で、何が起こっているのか、どう反応すべきかを理解します。アナンターサナは、深い内側へと降りていき、爬虫類脳の本能的な認識、静けさ、休息の深い感覚を体験するよう促してくれます。







アナンタサナのポーズ




  1. 左を下に横たわります。両膝はやや曲げても構いません。バランスをとるため右手を体の前の床におき、左腕は床の上で左耳の横に伸ばします。体の左側を、股関節から腋の下まで伸ばします。できれば、左の腋の下は床に下ろします。

  2. 腋の下を下げ続けながら、左肘を曲げます。左手を左耳につけます。肘はできるだけ耳の横に置いておきましょう。三頭筋を伸ばします。

  3. 床で左脚を踵に向かって伸ばします。腋の下から踵まで体の左側を床に押しましょう。右脚を左脚の上に重ねます。

  4. 仙骨を前へ引きます。左脚を腰から踵まで落ち着かせます。横たわってはいますが、これはバランスをとるポーズです(股関節屈筋にも効きます)。両膝は伸ばしたまま、頭から尾骨まで長く一直線にしましょう。左側全体を押し下げて体を安定させます。まっすぐ前を見て、目の高さで床の上の安定した点を見つけて見つめましょう。

  5. 呼吸を一旦止めます。尾骨へと息を吐きます。コブラの頭のように、頭骨の基部にある骨を広げます。頭頂を通って息を吐きます。呼吸と意識を、両足の下20センチと頭の上20センチまで広げましょう。

  6. 次に、右膝を曲げます。右脚を外旋させて左脚の内側まで踵を引きます。右足の親指を右手の親指と人差し指で掴みます。右肩を回し下ろしましょう(親指がつかめない、肩が開かない場合はストラップを使います)。

  7. 息を吐きながら、指を掴んだまま右脚を伸ばします。右腕の上端を肩関節に向かって引き寄せ、右肩甲骨を下げます。脚は前方に右臀部は後方に向くはずです。仙骨を引き寄せて、右の坐骨を左踵に向かって伸ばしましょ
    う。

  8. 舌をやわらげます。全ての力を抜きます。体全体を呼吸で下ろします。呼吸を背骨に沿って、ゆっくりと心地よい、蛇のような動きで波立たせます。呼吸が背骨を支えて地面が体を支えているのを感じます。目の力を和らげて、コブラの頭の基部である頭骨の底へと脳を休ませます。表面で起こっている事柄は流して、アナンタと共に、深く、根源的で、無限で不変の状態になりましょう。


  9. 無限の700年が終わったら、長くゆっくりと息を吐きます。少しシューッと音が出るかもしれません。体を回して座位にもどり、とぐろを調整して、反対側でも繰り返します。そうでシューッ。



ヨガスートラの2.47でパタンジャリはこう書いています。「無理な努力をやめ、心を無限(アナンタ)集中することでアーサナは完全なものになる」さて、これをあなたの練習に取り入れたらどんな感じがするでしょうか?

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