2017年11月17日金曜日

首・肩の痛みのための3ポーズ  
3 Poses for Neck and Shoulder Pain

このネットサーフィン時代に首と肩の痛みが蔓延する中、通常のヨガの練習では治らないこともあります。今回は、痛みを起こさないよう簡単なハタヨガのポーズを紹介しましょう。





私のヨガの生徒たちに多い悩みは、肩甲骨と上背、首周りの慢性的な痛みです。こういう痛みは、コンピューターをタイプする、料理する、子供を抱く、重いものを持つ、皿洗いをするなど両腕を身体の前にした姿勢が多い人たちを悩ませます。つまり、ほとんどの人ということですね。こうした行動は、特に腕、肩、上背に負担をかけるので、どんなにヨガを一生懸命している生徒であってもこんなにも腰痛が多いのは驚くことではありません。

上背の痛みは、通常、前かがみの背骨や丸まった肩が原因です。前かがみの姿勢では肩甲骨が背骨から横方向へ離れていき、周りの筋肉を慢性的に伸長しすぎて弱めてしまいます。結果的に、この長期間の緊張から守るためにこうした筋肉が硬くなるのです。これらの筋肉が疲労すると、弱った繊維質の筋肉は痙攣し、肩甲骨の端や首の横側に熱くしつこい痛みが起こります。

通常の肩のストレッチは、上背の痛みを少ししか和らげないうえ、症状を悪くすることさえあり得ます。その根本にある原因ではなく痛みだけに注目してストレッチすることが多いからです。逆説的に、前かがみの原因は胸の上部の肩の辺り深く、つまり身体の前にあります。胸の上の筋肉が硬くなると肩を前に引っ張り、上腕が内側に回転します。こうした筋肉の緊張を解くことで、上背の慢性痛の主な原因を取り消すことができるのです。


ヨガの練習における課題


胸の上部が緊張すると、基本的なアサナをとるのが困難になったり、時に悪影響を及ぼすこともあります。緊張した筋肉が肩を前に引っ張って上腕骨が内側に回転し、多くのポーズで肩関節にストレスを与えます。例えば、戦士のポーズIIなどのポーズで両腕をサイドに伸ばす時に肩が丸まっていると、骨が肩廻旋筋腱板を締め付け、肩関節の深部が傷つく可能性があります。さらに、肩が丸まると上背も丸まり、肩甲骨が「外に広がって」上背の筋肉を弱めます。

筋肉の硬さはまた、戦士のポーズIや下向きの犬のポーズのように腕が頭上にくるポーズでも現れてきます。戦士のポーズIIで問題となる同じ硬さのせいで、こうしたポーズでも頭上に腕を完全に伸ばしたり、胸を開くことが難しくなります。戦士のポーズIでは、上腕骨が内に回転して両肘が外に曲がり、ここでも方のソケットで肩関節の骨が廻旋筋腱板を締め付けることになります。



下向きの犬のポーズでも同じことがいえます。このポーズで腕を伸ばすのは一般的には簡単ですが、上腕骨はなお耳に向かって内向きに回転しがちです。荷重を支えるポーズの場合、(多くの生徒がするように)胸を床に向かって押した時に、この内回転が最も弱い箇所で両肩にストレスを与えることになってしまいさらに危険なのです。

最後に、サルバンガーサナ(肩立ちのポーズ)など上腕を身体の後ろに伸ばす際、肩関節の前の硬さが両肩を強く内側に回転させ、肘が外側に向かってスライドしていきます。このミスアライメントが、肩に負担をかけ胸が落ち込み、頚椎に危険な荷重がかかります。




問題の根本原因


これらのポーズの共通点は何でしょう?どのケーズも、上腕が内に回転して肩が前に下がり、同時に肩甲骨も下がります。この問題の原因は、腕の内側から脇を通って胸につながる三つの筋肉の硬さにあります。

上腕の内側に走る二つの筋肉は、(二頭筋に沿って)肘を曲げる上腕筋、上腕を体に近づける内転をする烏口腕筋です。三つ目は小胸筋で、烏口突起から上胸の肋骨に繋がっており親指のように肩甲骨を目に伸展させます。この筋肉の役割は、肩を前下へひくことです。何かを動かしたり操作しようと前に伸ばす時(頻繁に行う動きです)、小胸筋、烏口腕筋、上腕筋全てが収縮します。

この三つの中で姿勢の問題の原因は、最も小胸筋にあります。比較的小さな筋肉ですが、烏口突起に繋がっているため肩への作用はとても大きいものです。何かに手を伸ばす時は、小胸筋の収縮が肩を前にひき、それで肩甲骨が背骨から離れていき上背が丸くなります。小胸筋の慢性的な緊張は、そのために肩の前かがみを助長し、腕の内側に走る筋肉の緊張が腕を内側に回転させて問題をもっと悪化させるのです。

痛みを起こす原因の筋肉は身体の前になるのですが、痛み自体は背中上部に感じます。肩が丸くなることで常に背骨か遠ざかるよう引っ張られている肩甲骨のミスアライメントによるものなのです。この引っ張りが、肩甲骨の端に沿って痛い痙攣を起こします。最も影響のある筋肉は以下の通りです。

  • 肩甲骨と背骨を繋ぐ菱形筋。小胸筋の引っ張りに対抗して肩甲骨を元に戻そうとすることで特に菱形筋上部には負荷がかかります。
  • 肩甲骨の上端から頚椎に伸びる肩甲挙筋。この筋肉は、肩甲骨を持ち上げ、肩が前に下がる時の肩の引っ張りによって負荷がかかります。

菱形筋の緊張によって肩甲骨の背骨に最も近い端に沿って慢性痛が起こり、肩甲挙筋の緊張によって首の横の痛みが起こり頭が回しにくくなります。例えば、もし右肩が前に丸まっていると、首の右側の肩甲挙筋の緊張で頭を右に回すのが難しくなります。この痛みはまた、肩甲骨の内端から下方へと感じることもあります。

こうした背中上部の筋肉に焦点を当てた巧みな運動は痛みを軽減はしますが、小胸筋にある胸の前の緊張という原因を取り除くことはありません。上背痛があるのなら、鎖骨の真下、特に第3、4肋骨の間をマッサージしてみてください。おそらくとても柔らかいはずです。(これらにある神経リンクの感覚である肩甲骨の下の関連痛に驚くかもしれません)上背をマッサージするのと同じように、胸上部の筋肉をマッサージすることが重要です。胸筋の柔らかさは、集中的なストレッチをして慢性の筋肉緊張を取り除くまで痛みが続くということを意味するのです。


正しく胸をストレッチ・開く方法


ハタヨガのポーズは、胸をストレッチし開くパワフルな方法です。しかし、これらのポーズで正しく問題に対処するために、いくつかの細かい点に注意する必要があります。例えば、よくある胸の上部のストレッチの一つは、多くの場合間違って行われることが多いです。このストレッチでは、肩の前をストレッチするために身体の後ろで両手を強く握り、両腕を背中から離して引きます。しかし、注意深く行わないと、ストレッチしようとしている筋肉そのものが両腕のミスアライメントの原因となり、肩にさらなるストレスをかけかねません。



このストレッチを正しく行うために、両肘を曲げて身体の後ろで指を組み、手のひらは離しておきます。肘を曲げたまま肩をまっすぐ持ち上げます。それから肩を後ろに引き、上腕同士が平行になるように両肘を引き寄せましょう。柔軟な人は、腕をまっすぐにして肘を過度に伸ばしたくなるかもしれませんが、ストレッチの効果が減少するのでこれは我慢すべきです。肩を正しくまっすぐにし、肘を曲げて上腕を平行にすると、上腕が外旋し、胸の上部と肩関節の前の間の空間を開きます。さらに、腕の骨が肩関節を支え、回旋筋腱板を守ります。

ストレッチを増やすには、胸を持ち上げながら両手を背中から遠ざけていきます。最後に、肩が内側そして下向きに回転しなければ、両腕を伸ばしましょう。腕をあまりにも早く伸ばしすぎる人が多いので、肘は少し曲げたままにしておいた方が良いでしょう。


座位のストレッチ


プルヴォッターサな(上向きのプランク)は、上腕筋(腕の内側の筋肉)と胸をストレッチするポーズです。始めに、膝を曲げて床の座り、両足は身体の前で快適な距離におきます。両手を30〜40cm後ろにおき、腰よりは広く(理想的には)指は前に向けます。(この位置で手首に痛みを感じるなら、手首の下に折り畳んだタオルなどのサポートを置くか、手を外向けにおきましょう。)少し肘を曲げ、息を吐いて胸を下方に緩め、頭を下げます。息を吸いながら両肩を後ろに引き、両肘は曲げ上腕は平行のままにしておきましょう。胸の上部を持ち上げて開き、鎖骨の少し下にストレッチを感じましょう。お尻は床につけたままにします。



次に、胸と肩関節の間の空間を広げたまま、息を吸う度に胸を持ち上げ腕を伸ばします。人差し指の付け根から下方に押しながら腕を伸ばしていくと、二頭筋と前腕の内側に沿ってストレッチを感じるはずです。




腰を持ち上げてポーズを深めましょう。頭は最初は後ろにせず、膝を見るように持ち上げておきます。胸を引き上げ続けましょう。最後に頭頂に向かって長く伸ばし頭を後ろにします。






胸を下げて首を過度に伸ばした形で頭を後ろに下ろさないようにしましょう。腕が内に入るとき、肩の内側に鋭い引かれた感覚を感じるとき、また胸が落ち込むときは、腰を持ち上げないでおきましょう。

完全なポーズに入ったら、身体の前で両脚をまっすぐに伸ばします。両踵を手の方向にアイソメトリック(脚の長さを変えずに)で引き、ハムストリングスを活性化させます。


立位のストレッチ


このストレッチは、硬くなった腕、肩、胸に深いレベルで効きます。両足を平行に快適に開いて壁際に立ちます。一方の腕を完全に伸ばし、手の指先を肩の高さで壁におきましょう。もう一方の手は腰に置いておきます。壁には指先だけが着くように指を立てながら、親指が(人差し指より)上に向くように、腕を少し外に回します。肩を手の高さに保ちながら、呼吸とともに胸を持ち上げて開き、鎖骨を後ろに回しましょう。




次に、ウェストからツイストして上半身だけを回し、壁が自分から離れて行くかのように腕から指先にかけて伸ばします。このストレッチでは、胸と脇の下から、腕の内側、親指にかけての全てが伸ばされます。このラインに沿ってストレッチを感じるでしょう。ほとんどの筋肉ストレッチとは異なり、深い筋膜のストレッチです。チクチクするかもしれませんが、これは硬くなった筋膜組織が長くなっているからです。呼吸しましょう。鋭く集中した痛みでなければ、このチクチクは普通で心配はありません。このストレッチで、腕と肩の深いレベルでの緊張を解き、伸ばしている部分の血流を促します。



より効果的に行うために


肩の動きはほとんど全てのハタヨガ・ポーズの基礎です。慢性的に短くなった腕の内側や胸の筋肉を伸ばすことは、肩のアライメントを正し、上背部の疲労や痛みのある痙攣を解消します。肩関節を正しく動かせば、その可動域は最大になります。胸が広く開いたように感じ、肩甲骨の下端が安定し背中が快適になります。

背中に下ろした腕で胸を開くポーズ、上向きのプランクポーズ、壁際の立位のストレッチ、これら三つの簡単なストレッチに慣れて来たら、少し自分の体をチェックしてみましょう。肩甲骨の間の筋肉と背骨が広く、軽く引き締まった感覚があるでしょう。少し外向きに回転した両腕は体の横に、胸の上部が広がった感覚を保ちます。頭は左右にスムーズに動き、両腕を頭の上や横に伸ばしても自由に動かせることでしょう。例えば、戦士のポーズIで腕を頭上に伸ばした時、胸が開くとともに肩甲骨の内側が下方に解かれるのを感じるでしょう。首の付け根の筋肉には何の詰まりもないはずです。これらは全て良くなった兆候で、上背部の慢性痛を解消し、もっと実りのあるアサナの練習のためのスペースが作られてきたサインなのです。






(出典)https://yogainternational.com/article/view/3-poses-for-neck-and-shoulder-pain


0 件のコメント:

コメントを投稿