2020年8月21日金曜日

陰ヨガの芸術:創始者ポウリー・ジンクのインタビュー Vol.2
The Art of Yin Yoga: An Interview With Its Founder, Paulie Zink


このアプローチによって生徒が受けた恩恵とはどのようでしょうか?


このおかげで、彼らは自身の潜在能力を開き素晴らしく成長し流れることができました。自身のより深い気付きを養い、先入観から解放することで練習の中により自由をもたらすことができました。また多くの生徒が慢性のけがや閉塞を改善治療するのを見てきました。



ヨガが純粋な芸術なら、誰でもがポーズを作って「ヨガ」と呼んでいいのでしょうか?


はい、できます。ヨガポーズの多くは、私たちが自然のそばで野生状態で暮らしている時の原始的な身体の動かし方からきています。鍛錬としてのヨガの全ては、誰かがどこかで作ったものです。彼らの身体に合うように、また故意に動きや柔軟性を高めるように作ったものです。



あなたのワークショップに初めて参加する時に、生徒が持つ陰ヨガに対するよくある誤解や期待は何でしょう?


彼らは自分に限界があると信じているので、今の能力を超えて成長することはできません。自分の身体は遺伝子によって限定されていると信じています。ただそこに座ってリラックスし、とても簡単で単純なポーズをするのだと思っています。ストップウォッチで時間を測って全てのポーズを同じ長さでするものだと思っています。陰ヨガは優しく、動かず、睡眠時間的なヨガだと考えています。そして重要視されるのは結合組織だと。しかし私が教えようとしている陰ヨガはこのどれでもありません。多くの人は陰ヨガをリストラティブな練習として教えていますが、それが必要な人にはそれで良いでしょう。しかし、健康な生徒たちにただ簡単で優しいだけのヨガを教えているなら、彼らが必要とする身体の強さや引き締めなどを提供していません。そして自然に動き最適な健康を得るには強さと弾力が必要なのです。


私は、身体というのは機械のように部品の集まりではないと考えています。全体的なものです。それぞれが有機体であり、機械ではないのです。身体のなかでどこかが他と離れているという部分や領域はひとつも存在しません。ですから、私にとっては、陰ヨガをしている時に結合組織や経絡でさえも考えることは適切ではありません。このヨガは感じるものであり、考えるものではありません。何を体験しているのか、どのように成長したいのかをイメージすることに精神を集中することがより効果的なのです。


みんなにまとまったひとつの人間になって欲しいのです。身体、精神、心、の中でひとつとなり、周りの全てとの繋がりを感じて欲しいのです。あなたのある部分が他から離れていると考えて、バラバラになって欲しくないのです。柔軟性を高めると、身体の全ての要素が影響を受けます。筋肉、腱、靭帯、静脈、動脈、骨、内臓、血流、そしてエネルギーの流れ全てです。あなたが生きている限り、新しい細胞が作られます。骨もあなたの身体の中で生きています。ですから、骨でさえ成長し形も変わり、密度も増えます。









陰ヨガはどのようにハタヨガと異なるのでしょうか?


ハタヨガで異なる一点は、背骨にそって上下に動くプラナ(気)に注目していることです。伝統的な道教では、気の流れが異なります。生命エネルギーは背骨とチャクラを通って上下に送られます。そして手足と頭へと流れます。これは「5方向に動く気」と呼ばれます。気は中心で作られ身体中を動き、動物が行っているようにそして身体の外までエネルギー場が広がります。動物は全身を気のために使います。動物はエネルギーが背骨の上下だけに限定されているとは考えていません。動物は考えません、感じます。ですから、このようなヨガでは考えないで感じるのです。


猿は、背骨の柱を持って「正しく」動こうとはしません。試してみて私には機能しなかったので、私は理論を信じないのです。理論を手放した時に、本当に理解し始めました。本当の先生である動物園の猿から学んで理解したのです。以前は動物園に毎月出かけて猿たちと1日を過ごしました。ピーナッツを与え、時には彼らの手を握り続けたりしました。


時々、彼らの前腕を持って筋肉を感じたり、目を見つめたりしました。大きな雄のマンドリルが私をじっと見て、私もじっと見返しました。私の精神を彼らの精神に融合したのです。そうすることで何が真実なのかを教わりました。


彼らから本当の方法を教わったとたん、伝統的な理論は私の目的にはかなわないと気づいたのです。経絡の理論もそうでした。知っていても構いませんが、知る必要もありません。経絡の位置を考えることよりも身体全体で動くエネルギーを感じる方がより有益です。




あなたは陰ヨガは「完全な芸術」だと言われます。それはどういう意味でしょうか?何が陰ヨガを完全な芸術にしているのでしょう?


私たちの存在の様々な局面を教えてくれるからです。あなたの本質に合った食事、運動、世の中での生き方を教えてくれます。強さ、柔軟性、バランス、動き、そして機敏さを教えてくれます。微細なエネルギーを育み、身体全体そして身体の外へと流し、エネルギー場を広げることを教えてくれます。陽気さ、原始的な力を感じ、邪魔をする自意識を手放すことを教えます。静寂、そして静寂から動きへ。あなたの中の陰陽をどのように調和するのか。概念を捨て、子供のように元気いっぱいになる方法。猿のように自然に動く方法を教えてくれるのです。


それを学びたい人には、霊的哲学もそこにあります。中国の道教哲学からきていて、地球を敬い女性を基本とします。私たちの存在の源に帰り、偉大なる母である地球とそこにある全生命との相互関係に気付くことで私たちの全体性を思い出すことです。道教の道は「みち」であり、自然の道なのです。


そして自然界では、生命は女性から生まれます。


存在は虚空から現れます。それは不思議な偉大なる創造の力であり、私たちがみな相互的に関係しており依存しているものを通して無数のものを産むのです。


この繋がり、それが生きて私たちの中を流れているのを感じ、生命との完全性を感じるのです。


私たちひとりひとり全てが、永遠で無限の聖なる創造の力を表現する唯一無二の芸術であるということを感じることができるのです。

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