2020年12月18日金曜日

筋膜とヨガについて知っておくべきこと 
Everything You Need to Know About Fascia and Yoga



筋膜は、体の他の部分と同様に重要です。ヨガの練習は、筋膜を健康に保つことができ、柔軟性や安定性を高めるために作り替えることも可能です。


こんな感覚を感じたことがあるでしょう。脚をストレッチすると肩の凝りがほぐれる、股関節を開くと腰痛が緩和されるなど。これを起こしているのは、自然の意図なのです。私たちは皆、「筋膜」と呼ばれるコラーゲンの絡み合った網を体中に持っており、この網の一部で何かが起こると私たちは他の場所にその影響を感じることができるのです。


「前屈はハムストリングスのストレッチ?まあ、そうです。でもそれ以上です」と、アナトミートレインの著者であり「Fascial Release for Structural Balance」の共著者トム・マイヤーは説明します。「ヨガで筋膜を考慮しなければ、それが何なのかという全体像をみていないということです」







筋膜が重要な理由


筋膜要素とヨガ


ヨガのアサナを含む動きは、筋膜を活性し、みずみずしく耐性を維持することで筋膜を健康的に保ちます。ヨガは、筋膜の4つの重要な要素に影響します。

  1. 水。筋膜のほとんどは水です。筋肉を伸展、収縮する時やヨガポーズをホールドする時、あなたの筋膜から水が圧搾されます。動きを止めたり伸展をやめると組織は再び水分を取り戻し、より多くなります。科学的証拠が示しているのは、筋膜は動きを通して、絞り出した以上の水分を吸い上げるということです。「水は動いて場所を変えます。そして水は組織の様々な化学物質を出し入れしますが、それには神経ペプチドやホルモン、新しいタンパク質、ヒスタミンなどを含みます」ヨガのポーズは、体を組織的に全可動域で動かすため、ヨガはこうした再生を促進するのに特に長けているのです。


  2. ヒアルロン酸。ヒアルロン酸はスポンジ状構造をしていて、水分を吸い上げます。たっぷり水分を含んでいるときは、卵白のようなジェル状になっています。「このヒアルロン酸が水分を保っているときは、とても素晴らしい潤滑性があるので関節の中の抵抗はほとんどゼロに近い」とマイヤーは言います。しかし、ヒアルロン酸の水分が足りない時には粘りが出ます。動かさなかったり、あるいは自然な加齢により筋膜の潤滑性は失われ、関節はお互いに軋みあって関節炎へと向かってしまうのです・・。この関節内部の相互作用こそが関節炎へと、悪化への道を進ませるのです。また、使いすぎも問題になります。摩擦が多すぎると炎症が起こりヒアルロン酸の鎖を切ってしまい、組織をまとめて水分を保つことが困難になります。「水分が勢いよく入ってくる状態、それを腫れと呼んでいます」マイヤーは言います。


  3. グリコサミノグリカン。グリコサミノグリカンは水分をとらえます。水分が近くにあるときはシダのように広がって、その端に沿って水の分子を引き込みます。体を動かさないでいると、それらが丸まったままになります。「ヨガで行う動きによって、特に普段動かさない場所の、グリコサミノグリカンが割れて開くため、広がって水分を受け入れる」と、マイヤーは言います。


  4. コラーゲン。コラーゲン(肉の中に見える白い筋ばったもの)は、鉄よりも強靭です。その繊維がお互い寄り添うように並んでいます。「これをストレッチすると、この粘った分子が放たれます。これらの繊維間にある結合が解かれます。繊維がお互いに滑りあって、そして結合を長い形へと作り替えるのです」


筋膜の成長とヨガ


筋膜で働いている細胞は線維芽細胞です。これは、新しい筋膜を作り古い筋膜を取り除きます。新しい筋膜は、フェルトのようでどの方向にも動く組織されていない繊維です」マイヤーはいいます。「横になっているだけでは、筋膜を組織づくることのできる細胞はひとつもありません。あなたの動きが筋膜を作り組織立てている」ヨガなどの動きを通して、筋膜を組織立てはじめると、以下のような性質を認識し始めるでしょう。


  1. 弾力性。筋膜は、ゴムバンドのようではなく、スーパーボールのような弾力性を持っています。復元率にすぐれています。弾力性は良いことです。必要なのはバネのような腱(筋膜がたくさんあります)だとマイヤーは言います。筋肉ストレッチで弾力性をトレーニングすることができます。1秒間ほどの曲線の動きが、筋膜の素早いストレッチと反動を作ります。急な坂を自転車でこいで上がるよりは、ウッティタ・トリコナサナで30秒間ホールドしたり、エアロビクスで弾む動きを取り入れてみましょう。


  2. 可塑性。筋膜は粘着性と柔軟性があり、可塑性に優れています。例えば、ウッティタ・トリコナサナのように長いストレッチをすると、筋膜繊維の間の結合が溶けてお互いにスライドしあって長さをつくりますが、こういったときに可塑性が上がります。薄いプラスチックのバッグをゆっくり伸ばすところをイメージしましょう。あなたが引っ張っている箇所でプラスチックは長くなり、元の形には戻りません。柔軟性を通り越して可塑性へと移動したわけです。マイヤーによれば、あなたの筋膜でも同じことが起こります。柔軟性と可塑性を超えてストレッチし腱を無理に引っ張ったり、急に筋膜をストレッチすると、怪我をしてしまいます。


  3. 再形成する。筋膜は常に再形成されています(線維芽細胞が古い筋膜を取り除いて新しい筋膜を作り上げるのを思い出しましょう)。、例えば、腱を強く引っ張って筋膜を損傷した怪我を考えてみましょう。体を保護するため、線維芽細胞が新しい筋膜をどんどん作って瘢痕組織(きずあと)ができます。しかし、再形成にはよい面があります。激しいヨガや運動で筋膜に著しい負荷がかかったとき、筋膜はフィットネス業界がいうところの「ティア・アンド・リペア」で再形成されます。少し筋膜が引き裂かれるのですが、年齢や食事、健康状態、運動習慣などにより、1-2日間あるいはそれ以上の時間をかけて修復されていきます。




「マットの上で行っているのは刺激です」とマイヤーは言います。「マットから出た後に起こることの方が、あなたの体にとってはより興味深いのです」言い換えれば、より興味深いのは、再形成や編み直しです。時間が経つにつれ、再形成によって筋膜のより健全なパターンが作られ、例えば頭が前に突き出たような悪い姿勢を正してくれるのです。





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