股関節痛 – 主な原因
聖人のシャンカラチャリヤは、まだ若い頃に人生の偉大なる教訓のひとつを見つけていました。内なる自己を早く持つことに失敗すれば、私たちは平凡な人生の石臼に粉々にされていまうだろう。この気付きは、子供だったシャンカラチャリヤが、市場で小麦を挽いている女性に出会った時でした。その後継があまりにも深く彼を動揺させたので、彼は先生のもとへ涙を流しながら走っていきました。「人生ってそうなんですね」と彼は泣きました。「毎日、時間の石臼で粉々に挽かれているんだ」先生は、市場に彼と一緒に戻って、石臼の上の石を持ち上げて言いました。「見なさい。中心軸に早く戻ったものはそのままだ。そういうものだけが失わなくて済むのだよ」シャンカラチャリヤは感動し、この教えを晩年も役立てました。私たちもまた役立てることができます、様々なレベルにおいて。
この教えは、私たちの精神的な生活と同様、身体の調子にも応用することができます。何年も使い続け、私たちの関節は荷重というストレスの下で、ギイギイ、パキパキ、ゼイゼイと「粉々に挽かれ」てしまいます。
単純な要素が組み合わせが、股関節に十分な大きさのストレス嵐を作り上げ、股関節痛へと繋がります。特に、ジョギングや散歩の好きな人、週末のアスリート、そしてもちろんアサナの練習をしている人(注意が足りない時には)など、活動的な生活を送っている人たちに多いのです。この問題と、それが原因で起こる股関節痛を理解するには、二つの重要な筋肉群を見ることが必要です。内転筋(内腿と鼠蹊部の筋肉で両脚を身体の中心線へ引く)と外転筋(股関節の外にあって、腿を中心線から離す)です。
鼠蹊部の筋肉(内転筋)は硬くなりがちで、大腿骨頭をソケットに引き込みます。大腿骨はソケットの中心で外転筋によって安定しなければならないのですが、これは鼠蹊部の筋肉とは逆になります。しかし、この外転筋が(大抵の場合はそうなのですが)弱くストレスを受けていると、結果として崩れたバランスがきしみや関節の悪化、股関節痛となる可能性があります。
しかし、必ずしもそうではありません。ヨガは、私たちの広がった中心「近くでホールドする」ことへの理解を与えてくれ、スピリチュアルな面だけでなく股関節の健康に保ちしなやかに歳を重ねていくツールとなります。ヨガは、人生のあらゆるレベルのバランスと調和を目的としており、股関節の痛みや怪我を防止しながら安定、活性化するのに役立ちます。
股関節痛と怪我
内転筋、または鼠蹊部の筋肉には2種類あります。短い方は、恥骨から内腿へと伸びており、よく負傷します。これらの筋肉は、長時間の座り続けや運転、姿勢のストレスなどから硬くなります。この硬さは、悪いフォームでのランニングや、片側のヒップの上で子供を抱える、左右非対称のヨガポーズを間違って行うなどの骨盤を捻ることで、より悪化します。また感情的ストレスによっても両腿をぎゅっと寄せることになるため、硬さが生じます。
その結果起こる怪我は、鼠蹊部の損傷です。突然の勢いのあるストレッチ、特に筋肉が温まっていない時には、筋繊維や腱が裂傷します。例えば、ランナーが中心線を超えて前脚を出して走ると、短い内転筋が硬くなり疲労します。そのストレスは、坂道を駈け上がる時(トレッドミルも含む)に増大するのです。
怪我はアサナの練習でも起こります。パリヴリッタ・トリコナサナやエーカ・パダ・ラジャカポタサナのようなポーズで、前脚の内腿を恥骨から離して引くときに、鼠蹊内転筋は強く引き込まれます。これらのポーズでは、「中心線を挟んで」と指示されることが多いのですが、実際には強く挟みすぎる可能性があり、股関節の中で骨が中心に来るために必要なスペースを作ることができなくなっているかもしれないのです。
主要な外転筋である中臀筋は、股関節内の大腿骨を安定させ、股関節を安全に保つのを助けます。腰骨を大腿骨頭に向かってひきこむことで、この外転筋は股関節を安全に、そして中心線に向かって内転筋が引かれる関節内のスペースを保ちます。私たちが一歩歩くたび、中臀筋は股関節が横に傾くのを防ぎ、関節内で大腿骨を中心に保つのです。
内転筋に関しては、中臀筋の損傷は、ランニングやピボットなど骨盤が捻れたり回転する動きで悪化します。この筋肉は、片足に全体重が乗るとき、ハーフムーン・ポーズ(アルダ・チャンドラサナ)やツリーポーズ(ヴルクシャサナ)などのバランスポーズなどで特に強く働きます。中臀筋が弱く鼠蹊が硬いと怪我をし、その怪我が関係痛となって腰痛を起こし、仙腸関節の機能不全による痛みと間違われることもあります。
股関節痛を防ぐためにバランスを取る
これらの2セットの筋肉群の調整をとることが、股関節の怪我を防ぐのに役立ちます。また、脚や股関節、骨盤の動体的な使い方を新たに理解するのにも役立つでしょう。深いレベルの気づきは、タダサナというシンプルな立位ポーズを意識することから始まります。
私たちが脚を伸ばして真っ直ぐ立つと、大臀筋とそのほかの骨盤深くにある回旋筋によって、腿の自然な外旋が起こります。過度の回旋は股関節に問題を起こす可能性があります。中臀筋は回旋筋ではなく、内転と外転、収縮と伸展のバランスを作り出し、内転筋とよい関係を持っています。この関係は、コアが軽く、開いていて引き上がっていると、保持されます。この正しい内側の動きにより、両脚が強く地面についていればいるほど、コアが引き上がるのです。
内転筋と外転筋の正しいバランスを見つけるためにはふたつの難しい問題があります。まず、立っている時に、鼠蹊部、つまり内腿の上部にある緊張をどのように解くかと身に付ける必要があります。次に、臀筋を使いすぎず、かつ鼠蹊部を固めず、どのように両脚を伸ばすのかを見つけなければいけません。どちらの動きも、坐骨から膝の内側に走る深く長い内転筋を正しく使う必要があるのです。
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次回に続きます。
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