2020年12月25日金曜日

股関節の痛み:対策と予防 Vol.2 
Hip Pain: Overcoming and Preventing It



内転筋と外転筋のバランスを見つける有用なツールはヨガブロックです。ヨガブロックを使うと、同時に大腿骨を回転することなく、鼠蹊部を和らげて内腿上部を坐骨に向かって引く方法がわかります。この過程で、中臀筋のバランスのよい動きができるようになります。


両方の腿の上部の間にブロックを置いて始めましょう。内転筋の動きがわかるはずです。両手を股関節の谷へ、そして人差し指を谷に沿って置いて鼠蹊の筋肉が感じられるようにします。

大腿骨を平行にしたまま、両膝を曲げます。これが回旋筋群をある程度中和し、内転筋の動きをよりわかりやすくします。体重を踵に少し移動し、つま先を和らげましょう。


 

股関節のバランスを取るーステップ1


では、硬くしないように、内転筋に優しく力を入れましょう。内腿の上部を坐骨の方向へ「溶かし」、ブロックを締め付けないように後ろへ引きます。この動きが内腿の後ろから来るのを感じましょう。腿の付け根の筋肉が人差し指がの下で、柔らかくなるのを感じるでしょう。柔らぐとともに、仙骨が前傾し腰のアーチが強くなります。


このように、大腿骨を内に大きく回転させたり緊張させたりしないで、中心に向かって内転筋を「螺旋状」に動かしましょう。最初、この動きは鼠蹊部の緊張を解き、和らぐように感じます。しかし続けていると、大腿骨を関節の中心に置くには、関節の中で大腿骨を横に動かして広げるという動きが必要となります。



ステップ1:ブロックを締め付けないで後ろへ引き、
鼠蹊部を緊張させず大腿骨を内旋させずに
中心に向かって螺旋状に動かす。
ステップ2:親指で筋肉の動きを観察しながら、
ブロックを後方、下方に動かす力と
尾骨を地面におろす力のバランスを取る。



そして次は、内腿を、指先の下にある鼠蹊ではなく深いところで硬くし、腿の内側全体を坐骨に向かって後方へ伸ばします。この深い内転筋は、すでに部分的に使われいるはずです。より強くして、それらの筋肉が大腿骨に対して外側へ押すようにしましょう。内腿が反発しあって(引きつけるのではなく)磁石の両極のほうに働きます。これが骨盤底を開きます。



股関節のバランスを取るーステップ2


次に、両脚を伸ばしていきましょう。ここで中臀筋が働きます。尾骨が重くなり床に向かって降りていくのをイメージしましょう。まるで尾骨が、やや前方に曲がりながら下りているしっぽであるかのようにこの重みを感じます。内腿を後方へ溶かし続けて、この尾骨の引き下げとバランスをとりましょう。


尾骨を下げながら、脚を伸ばし続け徐々に大腿四頭筋(腿の前)を硬くしていきます。ブロックを後方へ下げ続けるために内腿がより強く働き始め、強くブロックを締め付けているように感じるでしょう。ブロックを後方へ引く力、下げる力、そして尾骨に向かって下ろしていく力のバランスをとりましょう。


脚を長く伸ばしていくつれ、臀部の上部と腰の横の動きを感じるでしょう。これが中臀筋です。親指を臀筋の上に戻し、どの筋肉が働いているかを感じてみましょう。また、大きな臀筋(大臀筋)が、尾骨に向かって内側へ締め付け始めていないか、緊張しすぎていないか、両脚が外旋して腰が硬くなってしまっていないかをみましょう。脚をまっすぐに伸ばしながら、骨盤の中心部のスペースを感じ続けます。この場合、「中心を掴む」というのは、デリケートかつダイナミックなバランスで、地面と繋がりつつ広がっています。胸が引き上がって開き、腰はリラックスして(自然なカーブを維持しつつ)伸びているでしょう。



より深い練習:パリヴリッタ・トリコナサナで股関節痛を緩和する


他の立位ポーズ、特にツイストでは、同じ動きをしていますがより著しくなります。パリヴリッタ・トリコナサナやパリヴリッタ・アルダチャンドラサナは特によい例です。というのも、正しくやれば股関節痛や腰痛を緩和してくれますが、間違ってやると挟み込みや股関節の軋みの原因となるからです。


正しい動きを覚えるため、パリヴリッタ・トリコナサナをパートナーの助けを借りて試してみましょう。パートナーに後ろ足の踵の外側あたりに片足を置いて立ってもらいます。そこにしっかりと立っていてもらいましょう。ベルトを後ろ脚の内腿の周りにかけます。



パリヴリッタ・トリコナサナ
ベルトが腿上部を内側、坐骨に向かって後方へと螺旋状に動かす。
練習で、この動きを自分でできるようになる。




ツイストに入ったら、パートナーに股関節から斜めにとても優しく引いてもらいます。あなたの股関節の左右が並んで安定する程度の強さで引いてもらい、内腿の筋肉(大腿骨でなく)が内側そして坐骨に向かって後方へ螺旋状になるように内側をやさしく引いてもらいましょう。ベルトは、内腿の筋肉の強さであり支えの役割をします。ここでは、股関節を平行に保ちながら、この動きを自分で作り出すことを身につけましょう。


それから、前脚に注目します。アライメントを確実にしましょう。膝を少し曲げて必要なら腿を調整し、坐骨と膝、踵の3点を並べましょう。それから脚を伸ばし、腰の外側に力が入って硬く強くなるのを感じましょう。


次に、大腿四頭筋を強くして下腹部に引き上げ、脚を地面に向かって伸ばしましょう。先程の練習で親指を置いていた臀筋上部から脚を下ろします。そこから、お尻の中心、大腿骨を通るエネルギーの流れを感じ、腰の外側を後方へ引きましょう。


ストレッチと力が、腰の前で同時に起こっていることに注目しましょう。腰が固まって丸くなるので、脚を伸ばしすぎないようにします。同様に、しっかり伸ばさないと、腰が過剰に落ち込んで腰の外側(中臀筋)に不快な張力を感じ、内腿を締め付けます。バランスが取れていると、中臀筋が股関節前部から骨盤の重みを引き上げてくれます。後ろ脚の内腿(ベルトの力を借りて)の引き上げと広がり、そして中臀筋の動きによる前脚からの伸展とグラウンディングの組み合わせにより、股関節が左右平行になるのです。最終的には、股関節が広がり、強く、そして安定します。


これらの筋肉を使うのがより難しくなるのは、全体重が片足にのるバランスポーズで、特にパリヴリッタ・アルダチャンドラサナのようにツイストとバランスの組み合わせです。ここでは、後ろ脚の内腿はより強く働かなければならず、中臀筋のより力強い働きで前脚をグラウンディングしなければなりません。股関節を左右平行に安定させるため、腰の外側と臀筋が強く働きます。


パリヴリッタ・アルダチャンドラサナ
このポーズでは、解放され支持された内転筋が引き上がり、
中臀筋が長く伸展することでバランスが作られる。




このように股関節に働きかけることで、股関節痛や怪我を防止するのに役立つだけでなく、何世紀も前に市場でシャンカラチャリヤが学んだ教訓を思い出させてくれます。それは、ヨガマットの上だけでなく日々の生活にも当てはめることが重要な教訓です。私たちの中心を保つことで、精神的にも肉体的にも、強さ、広がり、そして内なる自由の感覚を得ることができるのです。

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