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編集者注:以下は、ヨガ実践者や指導者のための一般的な推奨を意図したものです。医療従事者による個人的な助言の代替にはなりません。
パーキンソン病の症状やその度合いは、個々人で(あるいは同じ人でも時間の経過によって)異なりますが、パーキンソン病に悩む人々の多くには、正しく行う力強いヨガクラスから効果を得られることがあります。ここでは、椅子に座ったり、補助具、鏡、音楽などを使い簡単なポーズをゆっくりと行い、徐々にバランスや協調した動きを向上させていく練習法をご紹介します。(この練習法はまた、パーキンソン病と同様の背景を持つ神経障害や怪我などに悩む人々にも適切でしょう:多発性硬化症、ギランバレー症候群、神経炎、あるいは卒中や頭の怪我からのリハビリなど)
椅子を使った練習がお勧めです。なぜなら、ほとんどのパーキンソン病患者(あるいは他の神経症状)の一番の懸念は転ぶことであり、床に降りたり立ち上がったりすることが困難である可能性があるからです。しかし、症状が軽かったり、ヨガの指導者や理学療法士がマンツーマンで安全だと考えられるなら、もちろん立位の練習も適切です。実際、パーキンソン病の初期段階によく見られる背骨の前方への湾曲を緩和するのには、こちらの練習(脊柱後彎症)が大変効果的でしょう。
また、体がどうなっているかというヒントにもなるので、補助具や鏡を使うことをお勧めします。神経障害では、ある程度の認知的知覚的問題を抱えていることがあるので、容易には捉えにくくなっている情報を与えてくれるからです。
以下のシーケンスでは、椅子と共に、ストラップやボルスター、ブロックを使います。可能なら、例えば腕が真っすぐになっているかなど、意図した通りの姿勢になれるように鏡に向かって練習しましょう。
このヨガのシーケンスには、音楽を流しながらもまた良いでしょう。体の調整を促進することが知られていますし、神経障害の人の気分に良い効果があると考えられているからです。
運動のペースについては、転倒に対する注意が特に重要ではありますが、パーキンソン病の方は、できるだけ頻繁にそして力強く運動することを目指しましょう。というのも、20ー30分間、心拍数を上げて動くというような激しい有酸素運動が特にパーキンソン病患者には効果があるとわかっているからです。運動そして非運動機能を向上し、全体的な幸福感を高めます。力強い運動はまた、パーキンソン病であってもなくても、神経可塑性や脳が適応、配線し直す能力を育みます。
以上をふまえた上で、何が力強い運動なのかは、もちろん各個人の身体的なコンディションによります。他に指示がなければ、これらの運動を、今の状態に応じてそれが何回であれ疲れるまで数回繰り返すことをお勧めします。
練習法
1. 垂直に座る
神経障害には姿勢に関する症状が現れることがありますので、ニュートラルな背骨を確立して保つ練習をしましょう。
坐骨を通してしっかりと根付き、頭頂へと引き上げます。理想的には、首の後ろを長く保ったまま耳が肩の上に来るようにしましょう。
鎖骨を左右に広げ胸骨上部を持ち上げて、両手を膝の上におくか、椅子の底面で指を丸めておきます。
2. 両足を地に着ける
足の感覚に集中することは、地面に根付く感覚を促進し、より良いバランスを得るのに役立ちます。
椅子の端に座り、両足を股関節の幅で並行にして、両手は膝に置くか椅子の底面の辺りに置きます。両目は開いたままでも閉じても構いません、リラックスしましょう。
両足の重みが地面に委ねられていくのをイメージします。右の足、左の足、足指の付け根の内側と外側、かかとの内側と外側。つま先をゆっくりと動かして、持ち上げ広げてみましょう。そして、つま先をリラックスして床に下ろします。
3. 腹式呼吸
腹式呼吸(横隔膜呼吸)は、コルチゾールのレベルを下げメラトニンのレベルを上昇、激しい運動によるストレスを緩和します。
椅子の端に安定して座り、背骨を伸ばし両足を地面に着け、両手はお腹に置きます。たっぷりと長く心地よい呼吸をし、吸い込むたびお腹を膨らませ、吐きだすたびに軽くお腹を引き込みましょう。
1ー2分間、呼吸に集中して、この腹式呼吸を安定させて、この呼吸と呼吸への気づきを練習の間ずっと保ってみましょう。
4. ムードらで手を温める
これらの動きは筋肉のコーディネーションに役立ちます。ここでは両手を使ったムードラをお伝えしていますが、神経障害で起こる体の片側にある不随意の動きの傾向を緩和するため、片側ずつ練習しても良いでしょう。簡単に動かせるようになったら、スピードを上げます。ただ、必ずストレスを感じない速さで行いましょう。
1. 肋骨の脇で肘を曲げ、両手を体の前でブロックを持っているかのようにします。手のひらを内側に、指は伸ばします。
2. 手首を曲げずに(前腕と手の甲をまっすぐに)、左右のそれぞれの親指と他の指をくっつけましょう。このまま1、2回呼吸します。
3. そして、人差し指を残して他の指を伸ばし、OKの形(ジナーナ・ムードラ)にします。そこで1、2回呼吸します。
4. また見えないブロックを持っているかのように、全ての指を伸ばしましょう。そのまま1、2回呼吸します。
5. 再度、全ての指を親指にくっつけて、1、2回呼吸しましょう。
今度は、中指だけを親指に着けて他の指を伸ばします。そうやって小指まで続け、逆に戻ります。薬指、そして中指、そして人差し指。
それから、全ての指をのばしてブロックを持つ手にし、最初から何回か繰り返します。
5. ブロックを持ち上げる
このエクササイズは、腕や肩を強化し、腕の今の可動域を深く探ります。補助具を使ってフィードバックを得ます。
1. 両足を地面にしっかりと着けて背骨を伸ばし、体の前のちょうど膝の上でブロックを持って、腕をまっすぐ伸ばします。(鏡を見て、思っているように腕が伸びているかを確認しましょう)
2. ブロックを手で強く挟んで、ゆっくりとできるだけ高く持ち上げ、頭上に上げたまま1、2回呼吸します。
3. ブロックを膝の上まで下ろし、1、2呼吸分休み、そして何度かまた繰り返しましょう。
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次回に続きます。
(出典)https://yogainternational.com/article/view/yoga-for-parkinsons-disease
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